お願いだから、あと一杯

お願いだから、あと一杯

2006.05.03
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松尾スズキ著『クワイエットルームにようこそ』
 読み終わって一言。誰にでも、精神的に一線越えちゃう危険性はあるのかな。多分、病んでる人と健康な人との差は「心」を剥き出しにしている割合だ。口に出したり行動に移しちゃいけない事なんて誰もが考えてる。少なくともボクは毎日のように考えている。作中で佐倉が思うように、痴漢をするようなリスクとリターンをコントロールできない男は強制入院させてもいいだろう。痴漢行為を妄想するのは自由だけど、そこで実際に指を動かすのは病気だ。ボクだって、電車の中や街中、エレベーター、授業中の教室でだって「触りたい」と思ったことはある。数え切れない程にある。しかし、妄想が手に伝わるまでには果てしない距離があると思う。心で「死ね」ってつぶやくのと、実際にナイフを突き立てるのと同じくらいにかけ離れたことだ。
 そういう出しちゃいけないことを、アルコールや色んなお薬、または劇的な状況に押し出されて現実に出してしまう人が「病気」とされるんだろう。下剤は癖になるらしいけど(ボクは酒のせいか慢性的に朝だけ緩いので便秘になったことがない…そう言えば、禁酒してた四月はあまり下ってなかった気がする)、下剤と同じように、感情が一線越えるのも癖になるんだろう。一回沸騰したら沸点が極端に低くなるんだろう。
 主人公の「わたし・佐倉」は普通だ。ちょっとした間違いで精神病院に入院する羽目になった女だ。彼女も自らを普通だと想っている。そんなに間違った認識じゃない。ただ、普通を超えかけてる姿も垣間見える。でも、彼女の周囲に現れる入院患者たちはもっと悲惨だ。みんなあからさまに普通じゃない。だけど、このお話は悲惨じゃない。だからすうっと読める。笑いながら読める。まぁ、時々笑えない。そういう分別がある自分は、今のところ普通だと思った。
 この作品は芥川賞候補になったんですね。取っても良かったと思うけど、ちょっと前に「空中ブランコ」が直木賞取ってるからなぁ。精神病でかぶってるもんな(関係ないかも知れないけど)。
 面白い小説でした。これはお勧めしたいですね。





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最終更新日  2006.05.04 01:03:51
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