新米おんな社長の奮闘記(古米になりつつある)

新米おんな社長の奮闘記(古米になりつつある)

「遠距離恋愛編」



 愛子には、いま、自分を一番大事にしたいと言ってくれる彼氏がいる。愛子は名古屋、彼・タカシは東京。新幹線で2時間といっても毎日行けるわけではないので、愛子にとってタカシとのつきあいは「遠距離」だ。東京の友達は言う。「2時間なんて、私が通っている時間と変わらないわよー。会おうと思ったらいつだって会えるじゃん。」

 東京に住むタカシはやはり東京感覚。「平日だって、会社が終わって6時くらいの新幹線に乗れば、8時には着くじゃん。残業おわってちょうど8時ってとこでメシ食いにいくにはいい時間だよ。次の日の朝帰ればいいじゃん。」

 「まあ、確かにそうなんだけど、仕事だってあるし、たまには会社帰りに飲みに行ったりするし、一応自宅通勤だから家の手伝いに早く帰ることもあるし・・・私だっていろいろやることもあるのよ。だったらタカシが早めに仕事きりあげて名古屋にくればいいじゃないの。」

 「オレだって、仕事もあるし、接待だって時にはあるし・・あ、そうだ、今度の週末は会社の仲間とゴルフに行くから、会えても日曜日だな。どうする?」

 「じゃ、土曜日の夕方に着くように行くね。」


 土曜日、愛子はタカシのマンションで夕食の準備をして帰りを待っていた。が、なかなか帰ってこない。ゴルフが終わって移動して・・たとえ道路が混んでいても10時って遅すぎ、と愛子はちょっと怒り気味。「もう、先にごはんたべる!」

 タカシは結局夜中12時をまわってから、ほのかに酒の匂いとともにご帰宅。「ごめん、ごめん。終わってから軽く飲んでたら、取引先の人と会っちゃってさ。」愛子はため息をついて、でも声をあげたりせずに静かに言った。「だったら、遅くなるって最初から言ってよ。」タカシは寄っていることもあってか「最初から取引先の人に会う予定で行ってたわけじゃないんだよ。仕方ないじゃん。」とちょっと興奮気味。愛子も刺激されてか、少し声を大きく言った。「だったら、彼女が来てるからすぐ帰りますって言えばいいじゃないの。」「言えるかよ、そんなこと。」「言ってよ、遠くから来てる私のほうが大切じゃないの?」


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 よくあるテーマだねぇ。「仕事」「会社の付き合い」「家庭」「近所付き合い」「親戚付き合い」「友達とのつきあい」などなど、人間は生きていくうちに、いろいろな人といろいろな付き合いをしていくことになる。

 人によって、人生の1番星は何で、2番星はなんなのか・・・大切なものの順番は異なるだろう。その順番は、時には、時間や分や秒のタイミングで入れ替わることもある。でも、まったく入れ替わらないものもあるかもしれない。1番や2番を決める順番って、何なのだろう。

 タカシは、「いま」大切なものの順番を、ちゃんと愛子に伝えられるのだろうか。毎日顔をあわせて話しができるわけではないのなら、きちんと伝えなくては伝わらないぞ、タカシくん。

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