雪月花

花火の夜に







灼熱のたてがみがゆれる 
黄金の磯巾着が誘う
今夜限りの流星群が 
私を宇宙へ持っていく

目を奪われて 
吸い込まれそうになって
気付かぬうちに 
おびきよせられて
我に返った私は 
地面を足で確かめる

今までどれくらいの人が夜空に誘いこまれ
光の輪の奥に隠されているのだろう
吸い込まれた人間たちは 
花火たちの美しさの源となって。

彼らの望郷の叫びが今夜も
花火と地球を吸い寄せあわせる。
声は花火にかきけされ届かず
姿は花火にくらまされ映らず
花火の夜にまた誰かがいなくなる。












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