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2年前に亡くなった父の遺品を整理することがなく過ぎていた。
引越しの際ふたつのダンボールがあって中には写真や日記帳、将棋関係のものが
あった。
将棋は休みのたびにセンターへ行って腕を磨いていたし、家に人を呼んでは
さしていた。
アマ4段だったらしい。
将棋といえば「山くずし」しか知らないのでどれほどスゴイのか知らない。
たぶん、スゴイんでしょうね。
私には兄が二人いて、どちらかというと長兄と将棋をさしていた父。
休みに帰省すると
「どうだ、一局」といい、楽しみにしていた。
次兄もやるにはやるが、どうだろ、長兄ほどの相手ではなかったみたい。
こんなこと知ったら怒るかも。
で、話は変わる。
几帳面な父は毎年同じショップで、同じ装丁の日記を求め、一日も欠けることなく
日々の出来事を綴っていた。
私は見事にそのDNAを受け継いでいる。
とにかく「記録することがダイスキ」なのだ。
元気ハツラツの頃は力強くはっきりした文字が並んでいる。
晩年の日記はやはり年のせいか筆圧も弱くなっている。
次女のお腹の子はよく動くようで「動いたとか、なんとか手帳に書いてる?」と聞くと
初めての子、第一子なのに感動もないのだろうか。
もともと「記録することは得意じゃない」のかしら。
「おかんは爺ちゃんに似たんだね」と次女が言った。
母は電話番号を書き留める小さな赤い皮の手帳を持っているだけ。
日記は書かないが読書が好きな母。
それぞれいいところをもらったと私は思う。
引越しの際に処分に困るかもしれないが「歴史」ですもん。
パソコンに保存するのも手かもしれない。
でもね・・・
以前、載せたことのある父の若かりし頃。社宅の屋上にて。
最後まで傍に居て看取ったにもかかわらず、もうこの世にはいないなんて
思えない。
一緒に生活していた時期が短かったからだ。
「〇〇か、いいイワシが入ったでな、イワシ寿司作ったから取りにこいよ」
「おはぎ作ったから取りにこいよ、ばーさんの分もあるゾ」
「正月に餅はつくのか?うちでついてやるから頼まんでいいぞ」
父から電話がいつか掛かってくるんじゃないか、と思うこともある。
「悪かったなぁ・・・」
皆が見守る中、母にだけ母に向かって言った言葉。
それからすぅ~っと・・・逝ってしまったよ。
母はその年の暑い夏から言動がおかしくなった。
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