☆＝　デビュー ☆＝

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憎しみ

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朝の連続テレビドラマの主人公の父が旅芸人の一座の団員と一緒だった事が
わたしの幼い頃の思いに火をつけた、この事は生涯言葉にしていく気構えだ、決して忘れない。
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中学１年生
団地の中でいつまでも明かりが点かない部屋がある、夕方に台所の換気扇が回る事も無い
自分の人生の中でもっとも不愉快な出来事をこの時知った。
１０月の木枯らしが吹く頃、乱暴者のA君が動物を飼い自分で飼育しているという話から
大丈夫かな？いじめないだろうかと話題になった事から、Ａ君の近所の同級生と様子を
見ることになった。調べてもいつも留守で何も分からない動物なんて居そうに無い。

Ａ君いつも給食のパンを集めて動物の飼うなんて思わなかったな、そんな優しい気持ちが
あるとは信じられなかった。和田君は驚いた顔で違うよ動物の為じゃないんだ。
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私はＡ君の家庭の事情がどうであろうとこの親だけは許さない、必ず後悔させてやると
作戦を友人と練ることにした。Ａ君の隣の奥さんが心配して少し面倒を見てくれていること
Ａ君の親が兵庫に居る事も突き止めた。連絡が取れる寸前小学校時代の担任から直ぐに合いたいと連絡が来た。友人が心配で話を先生にしたので詳しい話しを聞かせなさいという事だ。
Ａ君の親が旅役者で１年前頃からだんだん連絡がつかなくなりとうとう仕送りも無くなったこと
小学校４年生の頃から妹の面倒をＡ君はひとりで見てきたこと、ついに電気も止められ食べるものも
無くなったことを話した。
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Ａ君の親が呼ばれ教育委員会から転校するように言われている。

小学校の頃教育長や事務長はよく知っている口うるさい事務長だが意地悪なことは絶対に無いはず
なのに優しくない言葉が飛び交うのは何故なんだ。
よく分からなかった。
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A君は卒業まで私の前に姿を見せなかった、色々悪さをしていたらしいひどい事をして

私の親友もA君を責めた何故なのか理由は話したくは無い。それでも、私はA君を助けた理由は
A君が小さい頃猫を拾ってきて妹と可愛がっていた事を聞いたから、あの頃は優しい子供だった
と聞いていたからでしかない。
それから最後までA君親の顔を見る事も無かった、会えば少しは酷い思いをさせていたであろう、私の憎しみを肌で感じさせたかった。
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繁華街で不良たちに声を掛けられた、「何もしないから少し付き合ってくれ」。
わたしを彼らの自宅に連れて行き家の中に入った、居場所の無い家庭や子供に何の関心も抱かない親を見た。頭にきた、怒った私が「ばかやろう」と家を出たみんなが笑っていた親も不良たちも嬉しそうに笑顔だった。
その中の人が成人した頃私の実家の近所にアパートを借りて住み始めた。
七つ年上の水商売の女性と同棲生活生まれたばかりの赤ちゃんがいた、彼は仕事も無い。
母の友人のアパートなのでいろいろな話が直ぐに入ってきた、いつも喧嘩ばかりしている
このままだと別れてしまうだろうけれど子供がいるからねぇ。
ある日、彼の住むアパートに喧嘩している最中にドアを開け「ギャアーギャアー騒ぐんじゃない」と
大声で入っていった。
アパートの持ち主に来てもらいこれから先何か有ればわたしが分かるまで話しをするという約束で
滞納分の家賃も近所迷惑もいままでの事を許して欲しいと頼んだ。
彼は多分子供が出来てこの子供のために何が自分に出来るのかわからず私の家の前を赤ん坊を抱いて行ったり来たりしていたのでと思う。そう思ったから助けて見たのだ。
彼はその後仕事を見つけ結婚、妻は水商売から足を洗ってパートで働いている。
子供達の道しるべを今も築いている。

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