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消防自動車

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バスを待っていると道路をはさんだ向かいの様子を何気なく見ていた。
キョロキョロと周りの様子を見てタバコに火をつけてから公衆電話に
入ってゆく男の様子が何か違うと思っていた。
其処に息を切らした消防隊員が現れて、周りの様子を観察する姿を私は見ていた。
消防自動車が段々と数を増してあたりは大渋滞でついには通行さえ出来ないほどの状態になった。
先程の男を捜すと隣の酒屋でジュースを飲んでいた。
付近の住民と消防隊員の会話で住民のいたずら電話だという話になっている様で、その男は明らかに話をあおっていた。
私は、当時まだ小学校５年生だったので双方共にかなり熱くなっている所でもあるため消防士の影で話を聞いていた。
目の前の消防隊員が携帯無線機で消防本部と交信をしているのを聞いていて、いつだったか消防団の訓練で見せてくれた車載無線を思い出した。

『消防本部聞こえますか？』　これが第一声だ。
驚いた様子で悪戯しないで車から降りるようにと指示されたが、私は今まで見ていた一部始終を報告した。
この時に無線通信の手順を消防本部から指示されて、使い方も覚えた。
無線の手順や度胸は人並みはずれた物を手にしたと思う。
この男の話に戻ろう。
白状しないもので警察に証拠の鑑定を依頼してはどうだろうと話してみた。
吸っていたタバコは公衆電話の中に捨てた。
警察からの回答は、商人の身元確認が必要と言う事で当時仲良しの教育委員会に電話するように頼んだ。
教育長は居なかったので事務長が電話に出た。
無線経由の電話だったのでいつものように喧嘩腰には話しはしないだろうと思っていたら
いつものように喧嘩腰でお互いに対応していた。

学校名クラス出席番号を聞かれ、またまた此処で問題が発生した。
『出席番号？？番』おかしいだろう？
あいうえお順でいって、どう考えても２９番はおかしいだろう。
また、電話か！
問い合わせの結果、すでに事務長が電話連絡済みでした。

その場で逮捕。
汗を流し、息を切らして火災現場に駆けつける消防士とふざけた考えで過ちを犯す犯人との駆け引きは当時話題になった。
私は、知っていたんだよ。
火災になり必死に消そうとする人。
それは消防士の姿だけでなくその家の家族や近所の人たちで、焼け出された人の気持ちだ。
今でもあの時の、真剣だった気持ちが変わらずに残っている事を誓う。

獅子舞