☆= デビュー ☆=

☆= デビュー ☆=

PR

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

2025.12
2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2025.03
2005.05.24
XML
カテゴリ: 神を名乗るもの
少年は割れた石仏を直そうとその場所に向かった。
その石仏は、これがそうなんだろう。
この壊れた石仏を直そう、うまく収まるかな。
少年が石仏を持ち上げようとすると隣の男が『やめろ!俺がやる。』と割り込んで石仏を持ち上げた。以前からこの石に触るな、触ると不幸になると言って居た男が自分から率先して直そうと少年を払いのけた。この石仏を直した者は死ぬと昔から言われていて誰も触らなかったんだ、死ぬのなら私が死んだ方が良いんだ。
男は石仏を持ち上げ積み上げた。
少年が「この男に幸運を」と叫ぶと、男は心底から喜んで笑顔を見せた。その時、白い薄い煙が立ち上げ隣の家に消えた。少年の力では無い、孫のその姿を観ていたこの家のおばあちゃんが仏壇の前で孫の無事を祈っていた。
少年はこの石仏は本来隣の家をこの家から守る為に祭ったもので、いつの間にか境界線が外れたんだと話した。それともう一つ、この三十歳になる男の父親と話さなければならない事が有った。
玄関から中に入ると家族が揃っていた、両親も兄や姉も妹もそこに居た。
家に入ると今おきた出来事を説明してお礼を言った、すると父親がこんな馬鹿にお礼なんて言うこと無いと平然と言い退けた。

ごめんよ、私が悪いんだと話を聞いていたおばあちゃんが泣き出すと当の本人の男が思わぬ事を話し始めた。
俺、仕事が嫌で会社を辞めたんじゃないんだよ。
段々仕事が難しくなるとどうすれば良いか分からなくなって、失敗ばかりするんで周りの人に迷惑を掛けるから辞めたんだ。その後も何度か仕事を探したがどれも理解できなかったんで嫌になった。
15歳頃に友達と話をしていても話の内容が分からなくなる事が良くあって、あの頃から自分が人と違うんじゃないかと感じていた。
今まで言わなかったのは、家族が気にするから言えなかった。
父親も母親も兄弟もそれで充分に理解できた様子で、父親が『俺が悪かった、気付かずにいた事を詫びた』父親が土下座し詫びると家族全員同じ様に土下座し詫びた。
少年は何故こんな事にまで係わったのか自分でも理解できなかった、近所の話しではあのおばあちゃんには不思議な力があると教えてくれた。
その後、この男は30まで働いていなかった事と今まで知的障害者の認定を受けていなかった事で市役所から認定できないと連絡があったが家で内職という仕事を続けていた事で認定が降りた。
これだけでは無かった、当時釣りブームでグラスファイバーの釣り竿が大人気。
男が器用に巻いた竿が使ってる人から頑丈で解けないと評判を呼び、この分野で職人技と言われるようになった。収入も相当なものでおばあちゃんと毎月温泉旅行に行くことや兄弟にいろいろ分け与える事も出来た。父親は自分でもこんなに給料貰った事も無いと自慢だった。
少年はこの家に何度か顔を出した。

この家のあの男、怖そうだよね!
偉そうにお茶して、きっと働きもしないで家で怖そうな顔しているんだよ。
な~んて、友人の噂話を聞かされたのでその場で直ぐに廊下にあったお菓子を食べに久しぶりに一人で遊びに行った。「よう!学校帰りか」と男が言うとこの家では誰も飲まない少年が来た時飲む分のコーラを冷蔵庫から貰って、どうしてわざとそんなに怖い顔しているのと聞いた。
なんと、最近ここら辺の子供が敷地内で遊んで釣竿を壊してしまったと言う事で子供が集まらない様にこんな顔をする事にしたそうだ。
少年も以前はこのあたりで遊んでいたので話がよく分かった。

夜中帰宅すると深夜に起きてくれと声がする、もうダメだ。
孫が心配なので早朝家に来てくれと言うのだ、無理だよ起きられそうに無い。
気が付くと朝7時でこの家の周りは静まりかえっている、目覚時計が鳴り出し最初に男が目を覚ました。『おばあちゃん!』・・・・・。
おばあちゃん?
その声に父親が目を覚ました。
おばあちゃんが・・・
鳴き声が聞こえ、朝の静けさの中で小鳥の鳴き声も遠慮して聞こえた。
(手を合わせその場から立ち去る少年の気持ちの中で安心したおばあちゃんの顔が見えた。)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.05.24 23:04:59
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Profile

祐三

祐三

Free Space

設定されていません。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: