個人的にジョニー・レイはミュージカル「ショウほど素敵な商売はない」での出演が凄く印象深い。この戦前からのジャズ・ソングを中心にした旅一座の物語には、それにふさわしいミュージカルスターが総出演。ドナルド・オコーナー、ミッチィ・ゲイナー、エセル・マーマン…これらの芸達者な連中の中で、異質なのがジョニー・レイ。演技は下手だが、ピアノを弾きながらのゴスペルふうの演奏に熱がこもり、グイグイ引きこまれていく。ジャズとは違うし、ロックとも言えない。白人が歌うブルー・アイド・ソウルのようだ。
エセル・マーマンが歌うジャズ・ソングも黒人的なのだが、同じ黒人音楽をルーツにもつゴスペルふうのジョニーレイの歌はそれとは違うもっと異質なものを感じさせる。中村とうよう、片岡義男共に「そのシャウトする歌い方に若者たちは危険なものを感じ、それまでの白人音楽への拒否する反動としてレイへの共感したのではないか」と。「しかし、レイはエルヴィス・プレスリーにはなれなかった」と、中村とうようは書く。
なぜエルヴィスがスーパースターになれたのか。ガチャガチャとした楽器伴奏、強いビート、セクシーでナイーブな歌声、不敵な面構え、腰振るステージング・パフォーマンス…ジョニー・レイの歌声に感じた危険なものが1個だとしたら、単純に考えてもエルヴィスには5個ある。超ど級の危険物。それがエルヴィスの登場の衝撃だったのでは。今見てもエルヴィスの50年代パフォーマンスは魅力的で危なすぎる。
しかし今回購入したブギウギ4枚組「Boogie Woogie Goodies」を聴くと、そんな危険なものがすぐ隣(黒人音楽)にいくらでも転がっていたようだ。ロックン・ロール出現前夜の、大爆発前の小爆発が、ブルース、R&B、ジャズ…あらゆるところで起きている。そしてビル・ヘイリー、チャック・ベリー、プレスリーと大噴火するのである。
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