サッカー狂

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Jan 3, 2006
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カテゴリ: J1
オシムの言葉

先日、 『オシムの言葉』 という本を読み終えた。

オシムの人生とそれを彩るサッカーの話だ。

オシムは、素晴らしい監督だと、サッカー関係者も、Jリーグファンも皆、口にする。俺もその一人だ。理由は、ジェフという下位に甘んじるクラブをリーグの上位チームに変貌させたその手腕が最たる例であろう。では、毎年、戦力が抜け落ちていくジェフ千葉の中で彼は、何をどうしてチームを上位に導いているのか?

練習がハードで相当走らせている。それで、どのチームにも走り負けないチームを作ったんだという解釈ではないだろうか。では、それだけなのか?全員が走り負けない練習をすればオシムが率いるチームと同じことが出来るのかといったらそうではない。

では、どんなパーツが欠けているのか。俺は以前ブログでこう書いた。

戦術が一貫し、誰が入っても一緒で戦えるチームを作ったオシムの功績はすばらしい。ただ、これは選手たちがこなせねば、戦術は機能しない事を前提におかねばならない。では、監督が選手を思うように動かせなかったのか、それとも選手が戦術をこなせなかったのかは、水掛け論になってしまうのだろう。

この部分では、戦術を選手がこなせるという所にポイントがある。よく仕事でもある事だが、上司が仕事をこうしろと具体的な過程を含めた指示を出す。これに対し、部下はやり方も知っているのだが仕事をこなせなかったとする。これは、指示を伝えたと言っても、出来なかった以上、正確に伝え切れていなかったか、若しくは、知ってはいたが部下がやらなかった、知ってはいたができなかったかのどれかでしか無いのだ。

では、オシムに話を戻せば、彼の練習には面白い発想がある。例えば、2チームに分かれてハーフコートで1対1をやれという指示をオシムは出す。選手は1対1をやる。そして、片方がボールを取られそうになる。これを見ているオシムは、『何故助けにいかない』 と言う。1対1の練習なのに、『何を助けるんだ!?』って感じになるだろう。そりゃ、そうだ、こうやれと命令されたら、それをやるのが日本人だし。しかし、オシムは違う。『サポートに入り、2対1にして助けてやれと。』彼は実戦で1対1など長く続くシーンはそうはない。だから、言われたままではなく、自らのアイデアも加えて練習をこなせということを言っているのだ。だから、最終的には人数は増えたり減ったりで常に状況が変わる練習となる。また、助けに入る選手も今が入るべき時なのか、そうでないのかを常に考える。この考えるという部分がその練習が何を意味し、何をしなければならないのかを理解することにつながるという訳だ。

ここで、先に書いた、伝達という部分が重要となる。知ってはいたが部下がやらなかったという例はやる気の問題でサッカー以前の話であるが、知ってはいたができなかったかのであれば、それを補完する練習といえよう。何かをこなすという場合、技術的な側面は勿論、基礎能力として重要だが、考えて行動するという事自体は、一つの行動に沢山の意味・意義を発生させることが出来る。これこそが行動の選択肢となり、チーム戦術の浸透を促進しているのではないか。また、正確に伝え切れていなかった場合でも、部下が対応能力を身につけさえしておけば、100教えて、理解が50だったとしても75まで自らで引き上げることも可能となるわけだ。

全てを理解して望むことがベストであるのは当たり前だが、自らの発想で結果的に同じ方向性にもっていく素養を身に付けさせるという点では、サッカーという同じ局面が毎回訪れるとは限らないスポーツにおいては重要であるといえる。これこそが、他チームには無いパーツであると俺は思う。



では、こういった観点・指揮は常人では出来ないのだろうか。答えは、非常に難しいと言える(笑)彼はよく知られているように数学教授になれる程の学力も備える。しかも、現役時代には東京オリンピックにユーゴ代表として、来日し、日本相手に2点奪ったし、当時はFWでかなり巧いドリブラーだったらしい!!サッカーの腕もありつつ、数学教授になれる程の学力を持つ男にはそう簡単にはなれないよね(苦笑)これだけでも、彼が凄い事はわかる。

しかし、彼が生まれ育った国も彼の人生に大きな影響を与えたことは想像に難くない。彼は知られているように当時ユーゴスラヴィアのサラエボで生まれた。サラエボは、現在ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都である。ボスニアは、クロアチアやスロヴェニアとは違い、主要民族独立国家ではない。それは、クロアチア人とセルビア人、そして、同系のムスリムが分け隔てなく生活しているからだ。これが国内の覇権を巡り、 内戦 になっていく訳だが・・・。この時、オシムはサラエボにいた。それはそうだ。彼の自宅はサラエボにあるのだから。しかし、彼がベオグラードに出発した日の2日後、紛争が勃発する。彼は妻と娘を戦火の真っ只中のサラエボに残したまま、監督として手腕を振るうことになったのだ。何にも代え難い家族がサラエボで安否すらわからない日々が続く。結果的に2年半もオシムは妻と娘に対面することは出来なかったのだ。。常人なら気が狂う話だ。最近の日本でいえば北朝鮮に拉致された事件が最もこれに近い悲劇かもしれない。それ程、悲しみが溢れる状態の中、オシムは監督であり続けた。しかも、結果は出し続けているのだ。戦火に塗れたサラエボは電気も水も無かったとの事だが、よくぞ無事でしたとしか、コメントできない。2年半もの間、街には軍が銃を持ち、民間人でもうたれる危険に溢れる中、水を汲みに街を出なくてはならず、更には電気が無いのだ。TVや電話というレベルの話だけでは済まされない。改めて、俺が自らの部屋を見渡せば、電気がないと生きていけるのかと疑ってしまうくらい困難な状況だ。。これを偉そうに俺が語ることは出来ないし、ただ、家族が無事で良かったと安堵しか出来ないのが現実であろう。

『そういうものから学べたとするなら、それが必要なものになってしまう。そういう戦争が・・・』

オシムにとって、その経験が自らの考え方に沢山の影響があったことは間違いない。しかし、それを言葉で学んだと言ってしまっては戦争自体を肯定してしまう結果になるとの配慮が加えられているのである。これは、オシムの言葉自体が証明する。

『今の世の中、真実そのものを言うことは往々にして危険だ。サッカーも政治も日常生活も、世の真実には辛いことが多すぎる。だから、真実に近いこと、大体真実であろうと思われることを言うようにしているのだ。』

オシムの相手に考えさせるコメント の一つ一つには奥深い内容が隠されている。これを完全に紐解けるのは本人しかいないのであろうが、それを考え、自らの人生に少しでも活かせれば、オシムが日本に来てくれた意味は増大するであろう。オシムは素晴らしい監督であると同時に素晴らしい人間だとも言い換えれる。サッカーで知ったオシムだが、その知性が発する言動は、俺にとって物事をより深く考える良い契機となった。オシムには学ぶべき所が多すぎるが、これを俺の頭の中で整理し、理解し、そして人生に活かせるかは俺次第だろう。


最後に、この本を貸してくれた mizzosanさん





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Last updated  Jan 3, 2006 03:59:25 PM
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Soccer 狂 @ うぶげのきもち♪さんへ 私も名古屋に頑張って欲しいと思ってます♪…
Soccer 狂 @ King-Yさんへ ありがとうございます♪ こちらこそ来年…
うぶげのきもち♪ @ Re:天皇杯決勝は(12/29) 是非とも、名古屋に頑張ってほしい もち…
King-Y @ Re:ブログを移転します!!(12/31) 私もアメブロにアカウント持っているので…
Soccer 狂 @ SEIRO1956さんへ 本当ですね。頑張ってもらいたいものです♪
SEIRO1956 @ Re:コンサにゴン中山!!!(12/24) ゴン中山の活躍を期待しています。
Soccer 狂 @ キリさんへ ユーベも確かに大変なことになってますね…

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