母が遺した創作ノートから



9月11日(水)曇り

5:15 起床

膨大な量の洗濯を開始。

使えそうなシーツ類の洗濯です。

昨日は片付けの始まりが遅くなってしまった。

2階の衣類置物類はすべて1階に下ろし、母の手作りのセーター類を1箱コンポする。

後は1階の片づけだけになった。

母の活動した足跡(文章等)を整理しているうちに創作ノートが出てきた。

平成元年から平成14年9月28日までの短歌が書かれていた。(平成14年10月28日80歳にて没)

1989年(平成元年9月) キヨ 67才

在りし日の 父の残せし 一言が 祖母となりても 心のかてに

雨上がり 松のみどりも 一段と さわやかになり すがすがし

庭先にこころみにまきし千両の 実のたわわに何時しか実る

久々に 出会いし友と 語り居し 幼き頃の 思い出尽きぬ

夏草のしげみの中の一隅に 可憐な花は名無草とう

台風に根こぎされたるいんげんの 後かたづけは何と空しく

1989年(平成元年10月~) キヨ 68才

ざわざわと 雨降るごとく 音立てて 葉喰う蚕を しばし見つめる

あまりにも 高温の為 蚕作は いかがになるやと 心いためる

繭白く なりゆく様を 見るにつけ 日頃のつかれも しばし忘る?る

播きし場所 忘れる頃に 万?雨の ようやくにして 芽生え始めり

ゆく道はけわしけれど ゆっくりと 進まん心を 励ましつつ

空澄て コスモスの花 ゆらゆらと 更け行く秋に 名残惜しみつつ

腹すかせて 帰る孫にと 作るオヤツ 我の楽しみと キッチンに立つ

色まじえ コスモス咲きぬ ゆらゆらと 風にそよぐを 見つつ安らぐ

空晴れて かけめぐるなり 赤トンボ すいすいと行きつ もどりつ

コンバインの 音ひびかせつ もくもくと 老夫婦今 農繁期なり

今日は晴れ 澄みいる空気に 心おどり いなご取りたり 取りにがしたり 

あどけなき 孫のおせじに ほだされて 疲れも忘れ 料理に精出す

空は澄み コスモスの花 ゆらゆらと 更けゆく秋に 名残惜しみつ

容赦なく 乾すもみの上に とどまらづ 落葉舞い来?る 北風日和

恙?なく秋の取入れ巻き付けと 終りし事を仏前に告ぐ

ゆらゆらと風にと?よぎのコスモスの 花なかめおれば心やわらぐ

若くして 他界せし母を 偲ぶとき 此の身は何と 幸と思う

次々と 椿の花 見るにつけ 寒さにめげづと 気負いてもみる

慣れぬ手で 来る年のえと 馬作り 押絵の馬も いななく様に

れん草の 出荷も今年で やめたいと うそぶきてみる 手足痛めば

まだつけると意気揚々なり 70才の夫今年も元気に餅つく

幾度か この服捨てると 想いしが 捨てきれぬ 戦中育ちの我

半年の歳月を 砂の中にて 眠れし指輪 わが指にもどり

故郷の 史跡巡りに 参加して 昔を偲び 唯々なつかしく

初恋の 君の眠れる 菩提寺に 史跡巡りの 一人として

風吹けば 木々の葉落ちて 飽き深し 冬支度も せわしくなりたり

四季の花 集いて生けし 此の仲間 仲睦まじく 十数年 (平成2年2月21日)

?いにしえの着物ほぐしてかいまきに 老?は??に梁枝に (平成2年2月21日)

集まりて 四季の花 生けしこの仲間 仲睦まじく 十幾年 (平成2年2月25日)

ゆく川の 流れは早く さまざまな 想ひ出残し 我老いて行く (平成2年3月5日)

クラス会 よもやま話に 花が咲き 真夜中迄も 話は尽きぬ (平成2年3月7日)

静かなる 夜中に一人 眠られず 時計の音ばかり 気にかかり (平成2年3月8日)

熊野灘灯台多し勝浦の 港に立ちて故郷を思う (平成元年 11月)

越前の 岬に再度 おとづれて 若かりし日の 想い出に更けり (平成元年 11月)

南紀白浜の車窓よりの風景を ゆっくりと歩止めて見た?? (平成元年11月)

羨なく年を越せるを感謝しつつ 事なき様に神に祈りぬ (平成2?年1月7日)

母の忌に 還暦過ぎし子ら 集まりて 酒くみかわし 亡き母を語る (平成2年2月)

幼な子は 大きなスコップ かつぎ出し かまくら作ると 雪の野に立つ (平成2年2月)

つげの木の すっかりかぶりし 雪帽子 朝日に映えて まぶしく光る (平成2年2月)

よちよちと 短歌創作に 歩み出し 心のあかり 何時迄も保たん (平成2年3月)

登る事は つらいけど 其の度の 神々しさは 筆舌に尽くしがたし (平成2年3月17日)

3年越しにこころみた御岳詣で ようやくに今日ここに参拝 (平成2年3月17日)

八十路坂 超えた人も 元気よく 御社の前で 長寿を祈る (平成2年3月17日)

心地良き 春風にのり 桑畑に ひねもすを草退治にはげむ (平成1?年3月24日)

足止めて見上げれば櫻花何時の間に 開花を待ちてほほえみかける (平成2年3月28日)

浅鍬をかつぎ出る人のなくなりて そっと桑畑に出てひねもすを (胚性2年3月28日)

何事も良きに受け止めこれからの歩み行く道を探し(深く?)求めん (平成2年3月28日)

奥山に友と連れ立ちて湯治する こよなき幸をしみじみ想う (平成2年4月10日)

はらはらと桜舞い散るコートにて 紅白の玉も踊るが如し (平成2年4月11日)

山仕事ふと手を止めて眺めれば ピンクの花が木陰に咲いて (平成2年4月15日)

とめどなく流れる涙こらえつつ ペンを走らせる無情の悲しみ (平成2年4月17日)

再開を約束しつつ右左 同窓の友と名残惜しみつ (平成2年4月20日)

何処より小鳥の運びしさんしょ 木の芽は食卓をうるおす (平成2年4月21日)

道端のタンポポ色よく咲いて 行き交う人にほほえむ如く (平成2年4月24日)

馬鈴薯の芽かきしつつ戦中の 食生活を思い浮かべる(平成2年4月24日)

若葉茂る中に赤赤と咲く ツツジの一株が美しく (平成2年5月1日)

踏まれても道辺に清く咲く花 タンポポの花の如く生きたい (平成2年5月7日)

九つのハードル超えし叔母たづね 元気の様子唯々うれしくて(平成2年5月7日)

養蚕は老夫婦の唯一の 楽しみとして蚕室に入る (平成2年5月10日)

やわらかな菊の芽さして 今日もまた 大きな花咲く様に祈る (平成2年5月9日)

我が庭にみごとに咲きしボタン花 無情の雨に姿あわれに (平成2年5月14日)

つぼみから花開く迄こくこくと 変わりゆく様子カメラにおさめ (平成2年5月14日)

気持ちだけは若く持てども体力の」衰えは桑かつぎて知れり (平成2年5月21日)

純白のしゃくやくの花一輪? 仏前に供えてすがすがし (平成2年五5月21日)

今宵又北風吹いて蚕室の 温度調節になやまされる (平成2年5月22日)

健康をそこねし孫娘 修学の旅果たせて祖母うれし (平成2年5月22日)

北風が陽気をさまし蚕室の 蚕冷たく桑?しきれおり (平成2年5月24日)

ペン持てど夕べ浮かびし歌の句は 忘れ去りて書くことあたわづ (平成2年5月25日)

野まわりてアザミの花の美しく 手折り帰りて盛花として (平成2年5月26日)

脱皮せし蚕は見るからに弱々し 桑待ちの様子がいじらし (平成2年5月27日)

アマリリス四つの花が咲き揃い 何時何時までも散らしたくない (平成2年5月27日)

つかれても今日の日課は記さんと 忘れぬ中にペンを持つ我 (平成2年5月29日)

珍しくカッコの鳴くを耳もとに 桑取る夫婦を励ます様に (平成2年5月29日)

娘より差し入れされしうなぎにて スタミナつけて明日も頑張る (平成2年5月30日)

首を振り桑待つ蚕見ておれず 休むいとまなく桑くれす (平成2年5月31日)

條桑の小屋に入りてスズメ等は 蚕加えて飛び立ちたり (平成2年6月1日)



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