ラッコの映画生活

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2006.12.29
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カテゴリ: 日本映画
マタンゴ
本多猪四郎

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小学校の夏休み、暑い暑い日の昼下がりに、家の近くにあった仮設のような映画館(?)で見ました。その質素な建物が映画上映用とは知りませんでした。でも冷房は寒いほどに効いていました。映画が大衆娯楽としてまだ立派に生きていた時代だったのでしょう。同時上映は加山雄三の『ハワイの若大将』。これについてはほとんど記憶がありません。馬肉のスリカエとギックリ腰がわずかに記憶に残っているだけです。

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一方この『マタンゴ』、まだ小学校低学年だったのですが、ずっとよくよく記憶していました。それから20年くらいたってレンタルビデオ屋にβのがあった。気になりましたが、ゴダールやレネやヴィスコンティやキューブリック等々を先にして後回しにしていたらそのビデオ屋がなくなってしまいました。それからさらに10年以上たって、ネットで検索していたら、なんとTDKビデオ販売とかなんとかにまだあって、VHSを買い、ほんとうに何十年ぶりかに見たわけです。その後も数回見ています。

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ヨットで航海に出た大学教授と教え子、会社社長と愛人と社員、推理作家、雇われの漁師の息子の7人。最初はもちろん楽しい航海。でもそこでも男女や階級の人間関係がまずしっかりと、何気なく描かれている。この辺の映画作りはテレビの影響で説明的になり過ぎた昨今の映画とは違っていいですね。映画本来の味があります。暴風雨にあって漂流し、とある無人島にたどり着く。小さな島の反対側の海岸には古い座礁船。人気は全くない。航海日誌か何かに「MATANGO」なる謎の記述がある。7人はこの難破船にあった缶詰やらで食いつなぐんですが、それも底をつき、女の奪い合いも含めて、段々に欲望むき出しの争いとなっていく。ここで描かれる人間模様は見甲斐があります。

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特撮は今のSFXに見慣れているとチャチと感じるかも知れませんが、なにせ40年以上も前の映画。かえって楽しみに見られます。船の模型を使っての暴風雨や難破船など、実に立派に出来ています。もともと映画はすべて作り物なわけですが、SFでもホラーでも、それで何か、そして我々は人間なわけで人間の何かを描くわけです。だから特撮の素晴らしさも映画の醍醐味ではあるわけですが、必ずしもをれを目的とする必要もないわけです。性描写がどんなにもの凄くても、内容がなければそれはただのポルノかAVで、本格的映画ではないのと同じです。(ポルノやAVの存在価値を否定しているわけではありません。)

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ちょっとだけネタバレして書けば、マタンゴという奇妙なキノコは、原爆のキノコ雲と関連があるらしい。映画は1962年制作。漁船の第五福竜丸が米国ビキニ環礁の水爆実験で死の灰を浴びたのは1954年。放射能による突然変異とかで特殊な生物が生まれるとか、広島などの原爆でただれた人の顔とか、それをモデルとしたキノコなのかも知れない。また映画最後の言葉からボクなりにかなり勝手な解釈をすれば、食物や女性をめぐる島での7人の争いにしても、そういう人間の姿を国家にたとえれば戦争、そして冷戦時代だから核戦争の恐怖。我々が普通に生きる世界も、島での極限状況の世界も、大して変わらないというペシミズムがあるのかも知れません。






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Last updated  2006.12.31 01:42:21
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