ラッコの映画生活

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2007.06.20
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カテゴリ: フランス映画
IRREVERSIBLE

99min

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寸評:好きな映画か?、人にお薦めの映画か?、楽しい映画か?、もう一度見たい映画か?、と問われれば NO と答えるだろうが、あって良い映画か?、評価するか?、名作か?、真面目な映画か?、できれば見て欲しい映画か?、と問われれば YES とボクは答えるだろう。強姦と暴力を扱った映画だが、モニカ・ベルッチの役が女性なのに アレックス と名付けられている点と映画ラストにベートーベンの交響曲が流れる点が、この映画を解釈するポイントかもしれない。

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映画を見てひとときの楽しみを得ようという向きには決してお薦めはしない。特に映画とはストーリーを語り、演じるものだと考える人にはお薦めできない。原題は IRREVERSIBLE (不可逆的な、元に戻せない、取り消せない)。日本題『アレックス』はモニカ・ベルッチの演ずる役の名前だが、本来女性の名前ではない。では何故アレックス?。想像するに『時計じかけのオレンジ』の主人公の名前からきている。このキューブリックの傑作の中でマルコム・マクダウェル演じる アレックス

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(以下完全ネタバレ)
物語はいくつかのシーンが時間的に逆行して描かれる。それを時間順に立て直してストーリーを書いてしまおう。かつてピエールと恋人(夫婦?)関係にあったアレックス(モニカ・ベルッチ)は今はマルキュス(ヴァンサン・カッセル)と暮らし幸せな日々を送っていた。どうやら妊娠したらしい。ある晩ピエールと3人で一緒に行ったパーティーでマルキュスはドラッグとアルコールで羽目を外していた。そんな彼を見てアレックスは家に帰ると言い出し、一人では危険だとマルキュスやピエールが送っていくと言うがそれを断って彼女は一人外に出る。タクシーに乗るため広い通りを渡ろうと横断地下道を使うが、そこで男に襲われ、強姦された上にボコボコに暴行を受けてしまう。ピエールとマルキュスが外に出るとパトカーや救急車が来て騒然としていたが、2人はアレックスが襲われたことを知り、血だらけのアレックスが救急隊に運ばれるところだった。そんな2人に話し掛けたのは地域を島にしているというチンピラ。「警察に任せたって犯人が捕まるかどうか分からないし、捕まったところで刑務所に入るだけだ。オレ達に任せれば警察より先に見つけ出してやるから、復讐すればいい。」と取引きを促す。そして浮上した人物はル・テニアというホモでポンビキの男。マルキュスはピエールを無理矢理連れてそのル・テニアがいるというホモSMクラブ ル・レクトゥム (=直腸)に潜入するが、SMゲイプレーで渾沌とする中をマルキュスはル・テニアを狂ったように探し回る。マルキュスは腕をへし折られ、犯されそうにもなるが、ル・テニアは別の男に消化器で頭をめった打ちにされて息絶える。警官隊が来て男は逮捕され、暴行を受けたマルキュスは救急車で運ばれていく。

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既に書いたように映画は時間を逆行して進むが、まず娘を強姦して服役していた脂ぎったデブが部屋で男に語っているシーンから始まる。外が騒がしくなり、ル・レクトゥムの事件のシーンとなり、そして更に逆行してル・レクトゥムでの暴行シーン。そしてアレックスが地下道で強姦・暴行を受けるシーンとなる。このル・レクトゥムでの過激な暴行シーンや9分とかの映画史上最長の強姦シーン等が批判された。しかしそういう現実があることを観客に示すことが必要なのだ。まさに観客は『時計じかけのオレンジ』のアレックスの位置に置かれる。肌を露出した服で深夜の街に一人で出るアレックスを自殺的行為だと言う人もいるが、正に物語のこの 平凡性 こそが不可欠な点で、特異な物語では強姦や暴力の現実を普遍化できない。そして時間は更に逆行して幸せだったアレックスとマルキュスが描かれ、妊娠を確認して喜びに浸るアレックス、そして昼間の公園で明るい服を着たアレックスが日光浴をしていて、周囲には戯れる無邪気な子供たちが描かれる、平穏な明るい世界の描写に戻って映画は終わる。そして「時はすべてを破壊する」というテロップ。

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妻子が暴行されたり殺されたりして、夫が復讐をするという物語はよくある。しかしそういう映画はその夫の個別の物語を描くことになってしまうし、また場合によっては復讐のためということで正当化しておいて、バイオレンスを描くことが目的と思われる映画もある。そして最後に復讐が成功したとき観客はスカッとする。しかしこの映画は違う。最初の30分に吐き気やめまいを起こさせる28ヘルツの音が入っているように、過激な暴力や強姦のシーンを見せ、観客に嫌悪感を催させる。そして時間を遡って平穏で幸せだったアレックスやマルキュスを見せる。それによって観客は、現実に存在する暴力や強姦のおぞましさを再認識させられ、思い起こさせられ、考えさせられるのだ。地下道でアレックスが襲われかけているところで、長い地下道の遠い向こう側に現れた通りすがりの男が写される。しかし彼は事を避けて立ち去ってしまう。現実に存在する暴力を考えないようにしている多くの人々のあり方を象徴しているのがこの人物だ。そこから抜け出して必要な現実直視を促そうというのがこの映画の目的だと思う。そのためにはこの映画は マイナーな 映画ではならなかった。それでは 特殊な映画 で終わってしまう。だからモニカ・ベルッチやヴァンサン・カッセルという人気俳優の起用が是非とも必要だったのだと思う。また観客が見たくないと感じるような過激な暴力・強姦シーンがなければ映画の目的は達成されない。その観点からこの映画の過激な部分は正当化されると思う。また最後にベートーベンの交響曲第7番が流れるが、ここでも『時計じかけのオレンジ』への関連を監督は示している。

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Last updated  2007.07.29 02:21:28
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