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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m ノルマンは手に大きなバケツとゴミ袋を持っていた。 「無駄話はやめて早く片付けなさい。」 ノルマンはそう言うと、部屋に入って、猫の死骸をゴミ袋に 入れてメイドに手渡し、捨ててくるように命じた。メイドは 黙って受け取り、軽くお辞儀をすると部屋を出て行った。 「さっきの話はでたらめです。」 ノルマンはメイドがいなくなったのを見計らってから言った。 「奥様は夜の散歩の途中、足を滑らせて湖に落ちたのです。 彼女が見た時にはもう溺れていました。幽霊話も想像に 過ぎません。これは旦那様の言う通り悪質な悪戯です。」 「悪戯なら何故警察に届けない?」 シエルがノルマンに聞いた。 「それは・・・」 ノルマンは何か言いかけて黙り込んでしまった。 「失礼ですが、坊ちゃんの言う通り警察に届けたほうが良い と思います。警察沙汰にできない事情があれば別ですが・・・」 セバスチャンに見透かされたと思ったのかノルマンの顔色 が変わった。 「では、質問を変えましょう。あなたは大変お若いように見え ますが、何年くらい執事をなさっていらっしゃいますか?」 「3年です。16歳の時に父の経営する会社が倒産しまして、 縁あって旦那様が父の借金を肩代わりしてくださいました。 それ以来、こちらで執事兼家庭教師を勤めさせていただい ております。」 「ほう、坊ちゃんの教育係も兼任なさっておいでですか? 私と同じですね。」 セバスチャンがにっこりと笑った。だが、ノルマンは暗い顔を してこう言った。 「部屋を掃除いたしますから、出て行ってもらえませんか?」 ノルマンはバケツの雑巾で壁を拭きだした。その失礼な 態度にシエルは何か言おうとしたが、セバスチャンはシエル を制して、大人しく部屋を出た。二人が部屋を出た後も ノルマンは一人でゴシゴシと壁の血を落としていた。 一度描かれた魔法陣は消したくても完全には消えない。 血塗られた歴史を象徴する魔法陣は濡れて血の涙を流して いた。やがてメイドが戻ってきて、ノルマンと代わった。 ノルマンは静かに部屋を出て、スチュアート男爵の元へと 向かった。 (続く)
2009年12月12日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「キャア~~!!」 絹を引き裂くような女性の悲鳴が聞こえた。先程とは違い、 明らかに人の叫ぶ声だった。シエルたちは悲鳴の聞こえる 2階の部屋に慌てて駆けつけた。悲鳴の主はメイドだった。 メイドは床にへたりこんで、ワナワナと恐怖に震えていた。 部屋の中には首の無い猫の死体が置いてあった。そして、 壁には猫の血で魔法陣が描かれていた。 「一体誰がこんなことを・・・」 「きっと奥様に違いないわ!月の魔女の呪いだわ!」 メイドは泣き叫んでそう言った。 「バカなことを言うものじゃない。妻は1年前に死んだんだ。 また幽霊の仕業だというのか?バカバカしい。きっとこれは 誰かの悪戯だ。お前は泣いている暇があるならさっさとこの 部屋を片付けろ!」 スチュアート男爵は怒ったようにメイドを怒鳴りつけると 立ち去って行った。 「大丈夫ですか?何か事情がおありのようですね。」 セバスチャンがメイドに聞いた。 「ええ。奥様がお亡くなりになってから気味の悪い事ばかり 起こるんです。まず、最初に魔法陣を見たのは奥様が亡く なられた翌朝でした。湖の岸辺に大きな魔法陣が木の棒 か何かで地面に書かれていました。それからというもの 満月の日には頭のないネズミの死骸や鳥の死骸が古城の どこかに捨ててあるんです。ダイニングテーブルに血文字で 魔法陣が書かれていたこともありました。奥様が満月の夜に 湖で入水自殺なさったから、こんなことに・・・」 「自殺?事故ではなかったのですか?」 「はい。旦那様は事故だと言い張っていますが、本当は自殺 なんです。あれは1年前の月の明るい夜でした。私は奥様 が白い寝間着のまま一人で湖へ歩いて行くのを見ました。 湖の中へどんどん歩いて入って行って、そのまま帰らぬ 人に・・・私は窓から見ていて、慌てて旦那様に知らせたの ですが、皆が駆けつけた時にはもう手遅れでした。」 「男爵夫人は何故自殺したのですか?」 「それはきっとノルマンさんと旦那様が・・・」 「私がなんだって?」 部屋の外にノルマンが立っていた。 (続く)
2009年12月11日
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BLの苦手な方は読まないでください。 万が一、魔女狩りの拷問道具についての説明に 気分が悪くなられたら、読むのをやめてください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 部屋の中央に鉄の処女が3体置かれていた。一体は聖母 マリアを模した顔の木製の人形型だった。もう一体は同じく 木製だが、高さ2メートルの樽のような形をしていた。 そして最後の一体は扉が開いていた。扉の内側には鉄製 の太くて長い針がびっしりとついており、中からも無数の 針が突き出ている。これに人を入れて扉を閉めるのかと 思ったらゾッとするとシエルは思った。鉄の処女の針には 血がこびりついていた。 「どうです?素晴らしいでしょう?」 スチュアート男爵はシエルの顔色が変わったのを見て、 ニヤッと笑って言った。 「他にも多数の拷問道具がこの部屋にはあります。審問椅子、 さらし台、鉄製の吊り籠、何でもあります。特にこの魔女の 椅子はレア物ですが、どのようにして使うかご存知ですか? この椅子は尻を乗せる部分が周囲の枠のみで真ん中が 何も無いでしょう。下から蝋燭の火であぶるんです。尻が こげ、排泄困難になるまであぶり続けたと言われています。」 シエルは話を聞いていて気分が悪くなった。スチュアート 男爵は魔女狩りマニアの変態だったのだ。シエルは指輪を 返して家に帰りたくなった。だが、スチュアート男爵はそんな ことおかまいなしに喋り続けた。 「17世紀になってもこの城の主は魔女狩りをやめません でした。むしろそれまで教会に委ねていた魔女狩りを領主 自ら行うようになり、領内の村から美しい若者を捕らえては 地下牢に閉じ込めて、拷問を繰り返していたのです。そして、 18世紀に怒った領民がこの城に押し寄せてスチュアート家 は滅亡しました。滅亡したといっても、絶対王政の時代です から、一揆は1日で治まり、本家の代わりに分家の祖父が 家督を継ぎました。でも、祖父は血塗られた歴史に恐怖し、 この城には一度も住まなかったのです。」 (続く)
2009年12月07日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「私の祖父は代々この城を所有するスチュアート家の分家 の身でした。本家の血筋が絶えたので、この300年前に 建てられた古城を受け継いだのですが、住むには至りません でした。私はロンドン育ちで田舎に住むのは初めてですが、 空気の良い所で育てたら息子の喘息が治るのではないかと 妻が言うので、3年前に引っ越してきました。だが、それは 間違いでした。会社を使用人に任せて私は狩りなどを楽しみ、 田舎暮らしを満喫しましたが、会社は傾き合併へと追い込ま れました。私はファントムハイヴ社との合併がうまくいったら 会社経営から退くつもりです。私はもう45歳です。エドワード は遅くに出来た子で、息子のことは心配ですが、ここには 私の大好きな骨董品があります。森と湖に囲まれて余生を 過ごしたいと思っています。ですから、ぜひ我が社の提示 した条件で契約をしてもらいたいのです。あ、そうそう、 先ほどの失態のお詫びに我が家の家宝をプレゼントする お約束でしたな。」 スチュアート男爵はそう言うと、大きな木箱から小さな宝石 箱を取り出して、その中の指輪をシエルに手渡した。 「スチュアート家に代々伝わる家宝『月の魔女』です。どうか お受け取りください。」 黄金色に輝く指輪は美しかった。 「1カラットのイエローダイヤです。リングも純金でできていま す。ここまで球形に近くカットされたダイヤは珍しいでしょう? 満月をモチーフに造られた指輪です。満月の夜には不思議な 力がこの指輪に宿ると言われています。また、持ち主に栄光 か破滅のどちらかを与えるとも言われています。私の場合 は後者でしたが、あなたには栄光が訪れることを祈ります。」 スチュアート男爵はシエルの右手の中指に指輪をはめた。 そして、ニコッと微笑むと次の部屋の扉を開けた。 「素晴らしいコレクションですね。」 セバスチャンが感嘆した。 「これは一体・・・」 シエルは驚いて目を丸くした。 「魔女狩りの拷問道具ですよ。」 スチュアート男爵は不敵な笑みを浮かべて言った。 (続く)
2009年12月05日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m エドワードと一人分の食事が速やかに片付けられた後、 晩餐は何事もなかったかのように続けられたが、ダイニング テーブルにはわずかなシミが残っていた。シエルは子羊の 肉に口をつけなかった。キジの丸焼きは何度も勧められた ので、仕方なく少しだけ食べたものの美味しく感じなかった。 シェフの腕が悪いとかの問題ではなくて、食事を取り替えても おかしくないはずなのに、平然と息子が可愛がっていた羊の 肉を食べる父親を見て気分が悪くなったのだった。デザート の後の紅茶を飲み終わるとスチュアート男爵はこう言った。 「お見苦しいところをお見せしたお詫びといっては何ですが、 我が家の家宝をプレゼントします。私は古美術や骨董を 集めるのが趣味でして、今からコレクションルームにご案内 しましょう。」 「それは楽しみです。」 黙り込んでいるシエルに代わってセバスチャンが受け答えした。 食事の後、1階の奥にあるコレクションルームと呼ばれて いる部屋へ案内された。赤い絨毯の廊下を歩いている時、 ひぃ~、ひぃえぇ~と気味の悪い悲鳴がかすかに聞こえた。 何の音だろうとシエルが立ち止まると、スチュアート男爵は こう言った。 「風の音です。地下に湖に通じる抜け道があって、そこの 通気口から聞こえてくるのです。」 「随分と気味の悪い風の音ですね。」 セバスチャンが眉を吊り上げて言った。だが、男爵は黙って 部屋の扉を開けた。コレクションルームとは名ばかりの 物置部屋には雑然と近世の鎧や武器が置かれていた。 そして、壁には数々の絵画が飾られていた。 「歴代の城の主とその家族の肖像画です。みな16世紀 から18世紀にかけて描かれた絵です。」 スチュアート男爵は自慢げに言った。無名の画家が描いた にしても近世に描かれたものなら値打ちがあるということか。 それにしても、よくもまあこんなにたくさん集めたものだ。 シエルはあたりを見回した。すると、部屋の奥にもう一つ扉 があって、その横の壁にエドワードの肖像画が飾ってあった。 エドワードは何故か古めかしい貴族の格好をしていた。 「ジェームス2世の肖像画です。」 スチュアート男爵は言った。 「息子と同じ顔で驚かれたでしょう。100年前、この城に 住んでいた領主のご子息です。3年前、ここに引っ越して 来た時には私も驚きました。」 (続く)
2009年12月01日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「お食事のご用意ができました。」 メイドが部屋に知らせに来た。 「もう5時ですか。時が経つのは早いですね。今夜はシェフ 自慢の料理を取り揃えております。晩餐をお楽しみください。 ささ、どうぞ。ご案内いたします。」 ノルマンはシエル達を1階へ連れて行き、長いダイニング テーブルのある広い部屋に案内した。20人は座れるほどの ダイニングテーブルには4人分の豪華な食事が用意されて いた。薄暗い部屋に灯された蝋燭の明かりが綺麗だった。 「キジはお好きですか?私が昨日、森で仕留めたやつです。」 スチュアート男爵がニコニコとキジの丸焼きを指差して言った。 「他にもフォアグラや子羊などこの古城で飼っている新鮮な 食材で作らせました。」 シエルは席に着いたとたん、食欲が失せた。 「子羊ってメイじゃないよね?」 エドワードが心配そうに聞いた。 「羊の名前なんか覚えてないが、おまえが可愛がっている 羊ではないと思うよ。」 「メイでございます。」 ノルマンが言った。 「旦那様が一番太っている美味しそうな子羊をと申されま したので、私がシェフに伝えました。シェフは旦那様の言い つけ通り料理したまででございます。」 エドワードの顔が見る見る蒼ざめ、エドワードはゲーっと 吐いた。汚物がテーブルの上に広がった。 「うわっ!また吐きよった。ノルマン、早く片付けろ!」 メイドが数人慌しく寄ってきて吐いたものを掃除し始めた。 「坊ちゃん、大丈夫ですか?」 ノルマンはエドワードの汚れた服や顔をハンカチで拭いた。 「もう、いい。エドワードを部屋に連れて行け。」 スチュアートが怒ったようにノルマンに言った。 「晩餐が台無しですね。」 その惨状を見ていたセバスチャンは冷ややかに言った。 (続く)
2009年11月29日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 案内された部屋は眺めの良い2階の部屋だった。窓から湖 が一望できた。シエルがバルコニーへ出て景色を眺めると、 湖の向うには山々が連なり、青い空にはぼんやりとした 白い月が浮かんでいた。今日は満月だった。森から小鳥の 声が聞こえる静かな湖だった。シエルはふと、湖の向こう側 から歩いてくる白い服の女性に気付いた。遠くてよく分から ないが、その女性はどんどん歩いてこちらに近づいてくる。 まるで湖の中へと入って行く勢いだった。しかし、女性の 背丈はいくら歩いても同じで、白い服は濡れることなく湖の 水面から上にあった。シエルが目を凝らして見ると、白い服 の女性はシエルに気付き、にっこりと笑いかけた。 「あの女性は誰だ?」 シエルが指差してノルマンに聞いた。だが、ノルマンは 「何のことです?私には何も見えませんが・・・」 と言った。 「見えない?」 シエルがもう一度、湖を見ると女性の姿は消えていた。 その時、背後からギギーッと重い扉を開ける音がした。 シエルが振り返って見ると、ドアノブに青白い手が・・・ 「エドワード坊ちゃん。立ち聞きはいけませんよ。」 ノルマンが言った。 「ごめんなさい。」 部屋の中へ入って来たのは10歳くらいの男の子だった。 金髪碧眼透き通るような白い肌の美少年は頬をほんの少し 上気させ、もじもじとノルマンの後ろに隠れた。 「坊ちゃん、お客様にちゃんとご挨拶なさいませ。」 執事に言われて、エドワードはひょっこり顔を出し 「エドワード・スチュアートです。ごきげんよう。」 そう言うとまた執事の後ろに隠れてしまった。 「申し訳ございません。坊ちゃんは人見知りが激しくて・・・ しかも、お体が弱くて学校にも行ってないものですから お友達がおりません。歳の近いファントムハイヴ伯爵様 に仲良くして欲しいのでしょう。」 「そうですか。うちの坊ちゃんもお友達がいませんので、 ぜひ仲良くしてください。」 セバスチャンがすかさず万遍の笑みを浮かべて答えた。 子守なんかできるか!そう言いたいのをシエルは我慢した。 セバスチャンの奴、完全に面白がっているなと思った。 「エドワード坊ちゃんは喘息の持病をお持ちなので、3年前、 ロンドンからこの古城へ引っ越して来ました。森に囲まれて 空気がきれいな所で静養すれば、きっと良くなると奥様は 考えたのですが、まさかあんなことになるなんて・・・」 ノルマンは暗い顔をしてエドワードを見つめた。 「あんなことってなんですか?」 「奥様は1年前、湖で事故に遭われて水死なさったのです。」 (続く)
2009年11月19日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 森をぬけると美しい湖が広がっていた。 「綺麗ですね。」 セバスチャンは何時間も馬車に揺られてうんざりしていた シエルに話しかけた。シエルが馬車の窓から外を眺めると 湖は太陽の光が反射してキラキラと宝石のように輝いていた。 そして、中世を想わせる小さな城が姿を現した。 「あの古城です。ようやく着きましたね。」 セバスチャンがにっこりと微笑んだ。スチュアート家の別荘 は緑豊かな森に囲まれた湖の隣にひっそりと建っている古城 だった。会社の合併話をもちかけられ、契約はぜひ接待も 兼ねてスチュアート男爵自慢の別荘でとの誘いだった。 ロンドンですれば良いものを何故とも思ったが、まるで おとぎ話に出てくるような美しい光景を見ていると7時間も 馬車に揺られて来たことすら忘れてしまいそうだった。 古城の外門をくぐると、丸く切りそろえられた低木が連なって 城まで続いている。季節はずれのバラ園や青々とした芝生 が広がる良く手入れの行き届いた庭だった。古城の前には 赤いカーペットが敷かれていて、執事が一人立っていた。 「ようこそ。おいでくださいました。」 馬車を降りるとすぐに執事が出迎えの挨拶をした。 「長旅でお疲れになりましたでしょう。ファントムハイヴ伯爵 様。主人が客間にてお待ち申し上げております。」 黒髪に眼鏡をかけた気の弱そうな執事だった。 城の中は意外と装飾品も少なくガランとしていた。床一面 赤い絨毯で窓には深緑色のカーテンが全室つけられていた。 天井は高くシャンデリアはゴシック調だった。アンティーク で統一された家具も趣味は悪くないのだが、部屋が広すぎて 殺風景に感じられた。エントラスルーム、リビングルーム、 長い廊下を通って、客間にたどり着いた。客間も赤い絨毯の 殺風景な部屋だった。 「ようこそ。ファントムハイヴ伯爵。遠路はるばる良く来て くださいました。」 「お招きいただきありがとうございます。スチュアート男爵。」 「お噂はかねがね聞いておりましたが、実に可愛らしい。」 スチュアート男爵はニコニコと笑顔を浮かべており、悪気は ない様子だったが、シエルは舐めるような視線を感じて不快 に思った。こいつも変態なのか?来るんじゃなかった。 後悔が顔に表れたのか、セバスチャンが気遣うように 「坊ちゃんは長旅で疲れております。夕食まで休ませて いただいてもよろしいですか?」 と申し出た。スチュアート男爵は 「これは申し訳ない。さぞかしお疲れでしょう。今、執事に 部屋を案内させます。」 と言った。 「ノルマン。お客様を部屋に案内しなさい。」 コホンと咳払いするようにして執事に言いつけると、彼はまた ニコニコと笑顔を作った。 (続く)
2009年11月18日
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5万HIT記念に小説を書きました。 私の書く変態小説を読んでくださる皆様に感謝します。 今回もR指定です。 BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m その古城はいくつかの森を越えた湖のほとりにひっそりと 建っていた。月が満ちて森を明るく照らす夜、湖の水面に 浮かぶ満月は血塗られた。 「美しい。」 古城の主は窓からその光景を眺めてこう言った。 「我が妻は自ら贄となり、湖に住む魔女となる。湖の底に 沈んだ肉体は朽ち果てようともその魂は永遠に生き続け るであろう。」 「お父様、何故、お母様を殺したのですか?」 「禁忌を犯したからだ。」 古城の主は鎖で繋がれている我が子の元へゆっくりと近づき そっと足に触れた。足枷がきついのか血が滲んでいる。 「私はおまえを失いたくないのだよ。罪を犯した者はその罪 を償わなければならない。分かるね。さあ手を出しなさい。」 恐る恐る差し出した白く細い手首に手枷をはめて、古城の 主はこう言った。 「我が愛しき天使よ。きっと『月の魔女』がおまえを守って くれる。だから今は父を信じて大人しくしていなさい。」 そして、まだ幼い我が子を抱きしめ、その唇に口づけした。 黄金色の髪を愛撫しながら別れを惜しむように唇を重ね 合わせた。一時が永遠になるかも知れない。そんな思い が募った。長いキスの後、彼は拘束具を手にして足枷を はめ直した。 「いや、お父様、やめて!」 泣き叫ぶ息子の口を拘束具で塞ぎ、無理やり魔法陣が 書かれた棺に閉じ込めた。彼は部屋の床に書かれた 魔法陣を消し、棺を抱えて部屋を出た。 月は美しく輝き、湖に浮かぶ死体を照らしていた。 満月の夜にふさわしい生贄だった。 (続く)
2009年11月10日
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BLの苦手な方は読まないでください。 R指定です。 この作品は『鳥籠』の続きです。 詳しくはカテゴリ黒執事小説の『鳥籠』を 読んでくださいませ。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m その夜、シエルは夢を見た。不思議な夢だった。 巨大な大きな鍋の中にチョコレートがグツグツと煮え ている。美味しそうと思って鍋の中をのぞいた瞬間、 シエルは鍋の中に落ちてしまった。溺れそうになった シエルは慌てて泳いだが、チョコレートがヌルヌルと 肌にまとわりつき、体が沈んでいく。 「セバスチャン!」 と、シエルが叫ぶと、ひのきの棒が差し出された。シエル はそれを必死につかんでしがみつくと、ひのきの棒は鍋 から引き上げられた。助かったと思ったのも束の間、巨大 化したセバスチャンがにんまりとシエルを見つめていた。 いや、セバスチャンが巨大化したのではなく、シエルが 小さくなっていたのだった。ひのきの棒と思ったのは 爪楊枝だった。セバスチャンは嬉しそうに爪楊枝を口元に 運んで、まずはペロッと全身チョコレートで濡れている シエルを舐めあげた。そして、美味しそうに大きな口を 開けてシエルを食べてしまった。 「うわあああ~」 シエルは目が覚めた。自分が食べられる夢なんか初めて 見た。なんでこんな夢を見たんだろう。チョコレートプレイ のせいなのか・・・あのドロドロとしたチョコレートが肌に まとわりつく感触が忘れられない。手枷足枷で食台に鎖 で縛りつけられ、体中にチョコレートを塗りたくられた。 シエルは自由を奪われた形で体中を舐め上げられ、貪り つく唇にヌルヌルとした舌の感触に翻弄された。人として 扱われることのない屈辱と食べられるかもしれないという 恐怖がシエルを侵す。もう、セバスチャン以外誰にも 触れられたくないはずだったのに・・・もし、体中をヌメヌメ と這いまわる舌がセバスチャンだったら・・・そう考えた だけでシエルの身体に熱いものがこみあげてきた。 シエルはそっと自分の身体に手を伸ばした。セバスチャン に舐められている自分を想像して触れてみた。 「あっ」 シエルは思わず小さな吐息を洩らした。チョコレートに 溺れるが如く快楽の波に溺れてシエルは自らを慰める のはいけない事だと分かっていても手の動きを早めた。 「あ、ああ~セバスチャン」 セバスチャンの名を呼び、絶頂を迎えようとした時、 シエルの前にセバスチャンが現れた。最初、これも夢 なのかと思ったが、現実だった。セバスチャンは名前を 呼ぶと何処にいようと駆けつけて飛んでくるのだった。 「坊ちゃん、何をしていたのですか?」 セバスチャンはニヤリとシエルを見て言った。 「いけない子だ。」 シエルは顔を真っ赤に染めてうろたえた。 「さっき何をしていたのか私にもう一度見せてください。」 セバスチャンがシエルの耳元で囁いた。そして、シエル を押し倒した。 「はしたない。こんなに濡らして・・・」 セバスチャンがシエルを握りしめた。 「自分でするのとどちらが気持ち良いですか?」 「ばか。」 シエルは目を閉じてセバスチャンにしがみついた。熱い 口づけとともにセバスチャンがシエルの中へ入ってくる。 「ああああ~」 シエルは痛みに顔を歪ませて歓喜の声をあげた。赤い 蝋燭の炎のように揺れ動く快楽にシエルは翻弄された。 熱く激しく燃えて炎に呑み込まれる。闇の中に燃え上がる 炎のように快楽はシエルを天へと導いて行く。絶頂を 迎えた後もなお、口づけを交わすセバスチャンにシエルは 蕩けてしまった。このまま本当に食べられてしまいたい。 シエルは心からそう願った。悪魔に身も心も捧げる背徳 の夜は闇に包まれた炎のようにいつまでも燃え続けた。 (完)
2009年09月04日
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BLの苦手な方は読まないでください。 この作品は猟奇的描写を含みますので R指定とさせていただきます。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m セバスチャンは肩をすくめてこう言った。 「人間とはやっかいな生き物ですね。血が繋がっている というだけですぐ愛だとかに結びつけたがる。鞭で打ち、 暴行し、躾と称して数々の変態プレイを強要する父親が果 たして自分の息子を本当に愛せるものなのでしょうか? 世の中には腹を痛めて生んだ我が子を殴り殺すような 母親もいるというのに精子を提供しただけの父親が血が 繋がっているだけの理由で我が子を愛しむことができると お思いですか?もし本当に自分の息子を愛せる人間なら 性的虐待はしないでしょうね。貴方はずっと愛という言葉 に騙されていたのですよ。」 「う、嘘だ!嘘をつくな!」 「嘘ではありません。貴方も本当は気付いていた事で しょう?だから父親の自由を奪った。自分を罵る舌を切り 取り、自分を蔑む瞳を抉り取り、更には耳と鼻をも削ぎ落と した。貴方は自分を愛さない父親に復讐をしたのです。」 「違う!復讐なんかじゃない!僕はお父様を愛している。 愛しているんだ・・・」 アルベルトは泣き崩れた。 「もう、いいだろう。」 シエルはセバスチャンに言った。 「よろしいので?捕まえないのですか?」 「ああ。奴はもう逃げないだろうからな。行くぞ。」 「随分と甘いですね。」 シエルが部屋を出る時、銃声が2発鳴り響いた。 アルベルトが父親を撃ち、自らの頭も撃ちぬいて自殺した のだった。シエルが振り返ると、アルベルトは父親の膝に 顔を埋めて死んでいた。アルベルトの血が父親の包帯を 赤く染めていた。父親の心臓から流れ出る血とアルベルト の血が混じりあい、二人は混じりあった血の海の中で 死んでいた。地の底で二人は結ばれるだろうか。そんな 想いが一瞬シエルの脳裏を横切った。 「坊ちゃんはこうなることを予期されていたのですか?」 「あの父親を連れて逃げる事はできないからな。本当に 愛しているのなら父親を残して逃げたりはしないだろう。」 「人間とは不思議な生き物ですね。」 愛を渇望している人間ほど愛する人に残酷になる。 憎しみは愛に比例するからだ。アルベルトは本当に父親 を愛していたのだ。愛されていたかは定かではないが・・・ 血と肉体と親子を結ぶ絆に翻弄されてアルベルトは 生きていた。死に逝くまで父親だけを見つめて。 (完) あとがき・・・私の変態小説を読んで気分が悪くなられた 方には深くお詫び致します。m(_ _)m 子が父に求める愛をテーマに書いたつもりが 変態猟奇小説になってしまいました。(笑) この作品は菜々里お嬢様の黒執事感謝祭に 参加する為に書いたものです。 3万HITから書き始めたのですが、多忙の為 延びに延びて4万HIT近くまでかかってしまい 申し訳ありませんでした。
2009年08月22日
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BLの苦手な方は読まないでください。 この作品は猟奇的描写を含みますので R指定とさせていただきます。 もし読んでいて気分が悪くなるようでしたら 読むのをやめてください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「お父様のことかい?」 アルベルト・ホーエンハイム男爵がニヤリと笑って言った。 「お父様は不幸な事故に遭われて手足を失ったんだよ。」 アルベルトは車椅子に座っている包帯グルグル巻きの 父親の肩にそっと手を置いた。 「車が崖から落ちて炎上してね。お父様は全身大やけど を負い、こんな醜い姿になったんだ。病院で両手両足を 切断された後、お父様は生きることを悲観されて自殺なさ ろうとした。まだ傷が治っていないのに自ら退院を申し出 て、この屋敷に戻られたのだ。お父様は手がなくて自分 で飲めないものだから僕に毒を飲ませるよう命令した。 もちろん、僕は毒なんか飲ませなかったよ。代わりに お父様の飼っていた犬を殺して全身包帯でグルグル巻き にして葬式を出してやった。お父様の死亡届は簡単に 受理され、僕は男爵の爵位を継いだってわけさ。そして、 お父様は僕だけのものになった。」 アルベルトはゆっくりと手を滑らせて父親を後ろから 抱きしめた。 「でもね、お父様は犬を殺したことに腹を立てて僕を 罵ったのさ。だから僕はお父様の舌を切り取った。喋れ なくなってお父様は少し大人しくなったけど、今度は 僕を睨むのさ。それで僕はお父様の瞳を抉り取った。 耳と鼻をそぎ落とした頃にはすっかり大人しくなって、 今では僕だけを愛してくれるようになったのさ。」 アルベルトは包帯で覆われた父親の顔にキスをした。 だが、父親は身動き一つしなかった。 「バカじゃないのか?」 シエルが言った。 「愛?そんなことをして本当に愛を得ることができたと 思っているのか?父親の自由を奪って独占欲を満たした だけだろ?」 シエルの言葉にアルベルトは顔色を変えた。 「君は何も分かっていない。僕はお父様を愛している。 お父様だって昔は僕を愛してくれていた。あの犬を飼う までは・・・『仔犬の会』なんてなければ、ずっと僕を愛し てくれていたはずさ。お父様が初めて僕を愛してくれた のは8歳の誕生日だった。僕が生まれてすぐにお母様は 亡くなったから僕にはお父様しかいなかった。それなのに 僕が16歳になると、お父様は孤児院から8歳の子を連れ てきた。お父様は子供しか愛せない人だった。犬を調教 するのは楽しいとお父様は言いながら、僕と愛を交わす 時と同じ行為を8歳の子にした。お父様は泣き叫ぶ犬を 可愛がり、僕には手を出さなくなった。僕は僕を愛する ことをやめたお父様が許せなかった。」 (続く) あとがき・・・私の変態小説を読んで気分が悪くなられた 方には心よりお詫びいたします。m(_ _)m
2009年08月21日
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BLの苦手な方は読まないでください。 この作品は猟奇的描写を含みますので R指定とさせていただきます。 もし、読んで気分が悪くなりそうだと思ったら 読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「セバスチャン。命令だ。早く少年を助けろ。」 シエルが言った。 「イエス・マイ・ロード。」 セバスチャンはピラニアの水槽に向かってナイフを投げた。 水槽のガラスが割れて水とピラニアがどっと溢れ出した。 観客は悲鳴をあげて逃げ惑った。セバスチャンは少年の 元へ素早く飛び寄りロープを切って少年を助け出した。 「貴様、何者だ。」 アルベルト・ホーエンハイムがセバスチャンに銃を向けた。 「そんなことをしても無駄でございますよ。」 セバスチャンは不敵な笑みを浮かべてアルベルトに 近づいた。 「来るな!それ以上近づくな!撃つぞ!!」 アルベルトは銃の引き金を引いた。銃声が轟き、会場に いた人々は我先にと逃げ出した。だが、撃たれたはずの セバスチャンは無事だった。目に見えぬ速さで銃弾を キャッチしていたのだった。セバスチャンが指に挟んで 受け止めた銃弾を見せると、アルベルトは恐れ慄いて 「化け物!!」 と叫んで、ステージ裏の扉から逃げ出した。 「失礼な。悪魔で執事ですから。」 セバスチャンは逃げ足の速さに呆れたように呟いた。 「何をしている。早く捕まえないか。」 シエルが言った。 「御意。」 セバスチャンはかしこまって返事をするとステージ裏の 地下へと続く階段を下りて追いかけた。地下にはいくつか の牢屋が並んでいた。おそらく逃げ出した少年を閉じ込め ておく為の地下牢だろう。狭い通路の先には鉄製の扉が あった。中から鍵がかけられているが、セバスチャンは ものともせずに蹴破った。 「うわっ!!化け物!!」 アルベルトが再び恐れ慄いた。 「随分と失礼な方ですね。おや、そちらの車椅子に座って いる化け物のようなお方は誰ですか?」 セバスチャンは部屋の中央の車椅子に座っている全身 包帯でグルグル巻きのだるまのような人を指さした。 そのだるまには手足がなかった。正確にいうと腕と脚が 切断されていた。 (続く) あとがき・・・いよいよお父様登場です。 次回親子の愛について語ります。 私の変態小説を読んで気分が悪くなられた 方には深くお詫びいたします。m(_ _)m
2009年08月20日
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BLの苦手な方は読まないでください。 この作品は猟奇的描写を含みますので、 R指定とさせていただきます。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「レディース&ジェントルマン。我が秘密結社へようこそ。 ただ今からオークションを開催いたします。」 会場のステージにスポットライトが当たると、金髪の美しい 顔立ちの青年が立っていた。アルベルト・ホーエンハイム 男爵だった。男爵は檻に被せてあった布をとりはらった。 檻の中には少年が裸で口と手首を縛られて泣いていた。 先週、もらわれて行った孤児院の少年だった。 「歳は8歳。金髪碧眼の少年です。我が秘密結社の売りに 出す規定年齢に至るまで数年間孤児院で飼育しておりま した。今月誕生日が来たばかりです。まずは1000から。」 「2000」「2500」「3000」・・・ 次々と値が上がっていく。 「久しぶりの上物ですよ。どなたか他にいらっしゃい ませんか?」 「5000」 「5000が出ました。では5000で落札いたします。」 少年はかなりの高額で初老の紳士に売られていった。 「では、次に皆様お待ちかねの逃げ出した犬のお仕置き ショーを行います。」 ステージに大きな水槽が運ばれて来た。水槽の中には 10匹のピラニアが泳いでいた。そこへ縄でグルグル 巻きにされ口を塞がれた全裸の少年が連れて来られ、 天井から吊るし上げられた。 「イッツ・ア・ショータイム。」 ホーエンハイム男爵がパチンと指を鳴らすと、少年は ピラニアの泳ぐ水槽へと沈められた。少年は声なき 悲鳴をあげた。獰猛なピラニアが一斉に少年の身体を ついばみ始める。少年の身体から流れる血が水槽の水を 赤く染めていった。 (続く)
2009年08月18日
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BLの苦手な方は読まないでください。 ドSコートの苦手な方は読まないでください。 R指定です。お子様は読んではいけません。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m ホーエンハイム男爵の屋敷に着くとセバスチャンが鎖を手に してこう言った。 「坊ちゃん、とてもお似合いですよ。まるで可憐な駒鳥の ようでございます。今夜は私がエスコートいたします。」 「セバスチャン。これはいったい何のまねだ。」 赤い首輪をつけられたシエルが不満そうに訪ねた。 「ですから、エスコートですよ。」 セバスチャンは万遍の笑みを浮かべてシエルの首輪の鎖を クイッと引っ張った。シエルは一瞬、首が締めつけられて むせそうになったが、セバスチャンはそんなことお構いなしに 首輪を引っ張ってパーティー会場の中へと入って行った。 シエルは驚いた。会場内には首輪をつけた女装した男の子が 数人いたのだ。いずれも貴族らしき紳士にエスコートされて 大人しく連れられて歩いていた。そして、さらに奥へと進むと、 裸で四つん這いになってお尻を振っている男の子がいた。 頭に犬耳をつけて尻尾型のディルドをお尻にさしている。 飼い主はもっと尻尾を振るように命令していた。 「仔犬の会とは名前そのものですね。秘密結社のメンバーは 毎月オークションの日に自分のワンちゃんを見せに連れて来る のですよ。きらびやかなドレスを着せて可愛がっている紳士から 裸で地面を這わせていたぶっている紳士まで千差万別ですね。 しかも私の調べたところ全員あの孤児院出身のワンちゃん たちです。」 「ヘドが出るな。」 悪趣味なパーティーにシエルは吐き気がした。 (続く)
2009年08月15日
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BLの苦手な方は読まないでください。 R指定です。お子様は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「うわっ!よせっ!」 シエルはセバスチャンに服を脱がされてしまった。下着まで 剥ぎ取られた後、コルセットを装着する為に生まれたままの姿で 壁際に立たされ、後ろからセバスチャンに抱き寄せられた。 「さあ、壁に手をついて。」 耳元でそっと囁かれて、シエルは逆らえなかった。 「セバス・・・セバスチャン・・・」 シエルは苦悶の表情を浮かべてセバスチャンの名を呼んだ。 「もっと力を抜いてください。」 「これ以上・・・無理・・・あっ・・・」 セバスチャンが意地悪くコルセットの紐を思いっきり引っ張った。 「ふふふ・・・よく締まりますね。」 「あ・・・苦しい。あ・・・もう・・・我慢できない・・・」 「やはり坊ちゃんはこういうのが好きでしょう?」 「ち、違う。」 「違うものですか。身体はこんなに喜んでる。」 セバスチャンが前に手をまわした。 「あっ・・・」 シエルの身体がビクッと震えた。 「相変わらず感じやすいですね。」 セバスチャンが容赦なく腰を打ちつける。 「あ、で、出る。あああああ~」 シエルは絶頂に達した。コルセットを着けながらのプレイに シエルはあっけなくイってしまった。悪魔の考えていることは よく分からない。全裸にコルセットを着けた格好でシエルは 絨毯の上に寝そべっていた。セバスチャンは壁に放たれた 白い液体を何食わぬ顔で拭いている。 「おい、セバスチャン。何をしている。早く服を着せろ。」 「これは失礼いたしました。」 セバスチャンが胸に大きなリボンのついたドレスをシエルに 着せて、真っ赤なハイヒールを履かせた。シエルが 「もう、勝手なマネはするなよ。」 と不機嫌そうに言うと、セバスチャンは跪き、シエルの赤い靴に 忠誠の証のキスをした。太陽は空を赤く染めて沈んで行く。 シエルはしばらく黙って赤い空を見つめていた。空が闇に 覆われるのは時間の問題だった。闇が訪れた頃、シエルは セバスチャンと共にパーティー会場へと向かった。 (続く)
2009年08月14日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 数日後 「坊ちゃん、ホーエンハイム男爵の主催するパーティーの招待 状を手に入れました。」 「秘密結社『仔犬の会』?随分と悪趣味な名前だな。」 「はい。いかにも・・・という名前ですね。ホーエンハイム男爵の 先代が結成した秘密結社なのですが、数年前、先代が不幸な 事故で亡くなり、二十歳で後を継がれたアルベルト・ホーエン ハイム様は慈善事業に力を入れる傍ら商才がおありで毎月 第三金曜日に会員制パーティーを主催されるようになりました。 パーティーでは仔犬のオークションが行われているとの事です。 招待状を入手するのに苦労いたしましたが、これでオークション に私共も参加する事ができます。」 「オークションか・・・人身売買は今英国で問題になっている。 ましてや孤児院の子供をもらってきては変態どもに売りつける なんて真似は許されるはずがない。女王はホーエンハイム 男爵が人身売買に関与している噂が本当か確かめるよう御 命じあそばされたが、彼が犯人なのはもう明白だな。あとは 潜入して証拠をつかんでやる。セバスチャン、支度をしろ。 パーティー会場へ乗り込むぞ。」 「イエス・マイ・ロード。」 セバスチャンは恭しく跪いてドレスを差し出し、こう言った。 「坊ちゃん、潜入捜査に欠かせないものが一つございます。 駒鳥のように美しいドレスでございます。さあ、お着替えを・・・」 「何?!そんなことは聞いてないぞ。」 「何をおっしゃいます。会員制といえども英国貴族が集まる パーティーに変装もせず堂々とファントムハイヴの名で出席 するおつもりなのですか?女王の番犬と名高い坊ちゃんが 現れたらオークションは中止になってしまいます。ここはなんと してでもお着替えを・・・」 セバスチャンは無理やりシエルを脱がし始めた。 (続く)
2009年08月08日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「これはこれはホーエンハイム男爵。ようこそおいでください ました。皆、貴方様をお待ち申し上げております。ささ、奥へ どうぞ。8歳から10歳までの男の子を全員部屋へ集めて おきました。今日はどの子になさいますか?」 小太りの男は卑下た笑いを浮かべて言った。 「そうせかすな。まずは子供達にキャンディーを配ってからだ。 ほら、チョコレートもあるぞ。」 ホーエンハイム男爵はチョコレートをばらまいた。孤児達は 一つ一つ銀紙に包まれたチョコレートを押し合いへし合いで 地面に這いつくばり、我先にと拾い集めた。男爵はせせら笑う ように奪い合う子供達を眺めた後、満足そうに孤児院の建物の 中へと入って行った。 「嫌な奴だな。」 遠くからその光景を見ていたシエルはセバスチャンに言った。 「そうですか?でも、みなさん、喜んでいますよ。」 セバスチャンは嬉しそうにチョコレートやキャンディーを頬張る 子供達を指差して言った。 「孤児院の子供達にとってお菓子は月に一度しか食べる事が できない贅沢品なのでしょう。貧しい者への施しはいかにも 慈善家らしいやり方ですね。坊ちゃん、貧しい子供達は男爵に もらわれていくのを待ち焦がれているのではないでしょうか。 多分、もらわれた後の運命を知らされていないのだと思います。 きっと、ここよりも良い暮らしが待っていると信じて、皆、男爵に 媚へつらうのでしょう。本当の地獄が待っているとも知らずに・・・ あ、もう、出てきましたよ。意外と早いですね。」 セバスチャンとシエルは木陰に隠れた。男爵が8歳くらいの 金髪の男の子を連れて孤児院から出て来た。小太りの男は こめつきバッタみたいにペコペコと何度もお辞儀をして男爵を 見送った。手荷物一つ持たない子供を馬車に乗せて、男爵は 去って行った。後に残された子供達は美味しそうに施しを食べ ている。太陽は燦燦と輝き子供達の未来を照らしていた。 (続く)
2009年08月03日
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BLの苦手な方は読まないで下さい。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 緑豊かなロンドン郊外にその孤児院はあった。古い2階建ての 粗末なレンガ造りの建物だが、そこで暮らしている孤児達は 貧しいながらも生き生きとしていた。笑いながら5、6歳くらい の男の子達が庭で鬼ごっこをしている。初夏の陽ざしは眩しくて キラキラと木洩れ日が輝いていた。太陽は木陰にいても容赦なく 人々を照りつける。 「暑いぞ。セバスチャン。」 シエルは不快そうに言った。 「見たところ、さしたる虐待も行われていなさそうだが・・・ 本当にここの孤児院なのか?」 「はい。ここに間違いはございません。情報によりますと、 毎月第二土曜日に慈善事業家であるホーエンハイム男爵が 子供達の慰問に参ります。そして、見目形の良い男の子を 毎月1人もらって行くのです。怪しいとは思いませんか?」 「確かに。怪しいな。」 「あ、坊ちゃん。ホーエンハイム男爵がお見えになりました。」 およそ孤児院には似つかわしくない立派な貴族の馬車が 粗末な孤児院の前のあぜ道に停まった。そして馬車から美しい 20代の男性が降りてきた。ホーエンハイム男爵だった。 男爵は手に大きな紙袋を持って、にこやかに笑いながら 子供達のいるほうへと真っ直ぐに歩いて行った。 「キャンディーが欲しい子、この指とまれ。」 男爵は戯言を言いながら、ペロペロキャンディーを紙袋から 取り出して子供達に見せた。子供達がわーっと集まって来た。 男爵は万遍の笑みを浮かべて子供達にキャンディーを配った。 建物の奥から子供達と一緒に施設の責任者がやって来た。 田舎臭い小太りの中年の男だった。 (続く)
2009年08月02日
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菜々里お嬢様主催の「黒執事第二期放送決定感謝祭」に 出展する20禁小説を連載します。 菜々里お嬢様のご希望に添えず、エロ少なめ(?)になって しまいました。 後半、猟奇的描写を含みますので、大人のお嬢様方限定と させていただきます。 BLの苦手な方は読まないで下さい。 今回も「鳥籠」同様、犯人はオリジナルキャラです。 二次創作ですので苦情は一切受け付けません。 何卒お許しくださいませ。 「さあ、朝摘みの葉をお食べなさい。」 ダイニングテーブルに一枚の皿が置かれた。皿には雑草や 低木の葉っぱなどが無造作に盛られていた。 「朝一番に起きて庭で摘んできた新鮮な葉っぱと草だよ。 一応洗ってあるから安心してお食べなさい。」 少年は皿の中の葉っぱをフォークを使って恐る恐る口に運んだ。 しかし、本来食することのない葉っぱをどうしても飲み込めない でいた。 「好き嫌いはいけないよ。出されたものは残さず食べなさい。」 少年は泣きながら葉っぱを飲み込んだ。そして、思わず吐き気 を催したが、食べたものを吐き出すとますます起こられるのが 分かっているので、自分の手で口を押さえて耐えた。 「アルベルトどうした?まだ沢山あるよ。早くもっと食べなさい。」 「お父様、もう許して。」 「ダメだ。これは儀式なのだよ。お前が従順な良い子になったか 試しているんだ。昨夜は飲めと命じたものが飲めなかったね。 好き嫌いはいけないと前々から何度も言っているのに、どうして 言うことが聞けないのかね?私はお前の背中にこれ以上、鞭の 痕を増やしたくないのだよ。良い子だから、おあがりなさい。」 少年はポロポロ涙をこぼしながら葉っぱを食べた。 屈辱を感じながらも更なる罰を恐れてひたすら食べた。 「良い子だ。アルベルト。全部食べたらご褒美をあげようね。」 父は満足そうに微笑んだ。 (続く)
2009年07月27日
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BLの苦手な方は読まないでください。 R18指定です。お子様は読んではいけません。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。 セバスチャンがシエルの中に入ってきた。大きな異物感に シエルは顔をしかめた。 「痛いですか?」 「あたりまえだ。」 「でも、ここは嬉しそうですよ。」 セバスチャンはシエルを握りしめた。 「あっ」 シエルの身体がビクッと震えた。後ろを貫かれながら前を弄られて シエルは今まで感じたこともない快感に襲われた。 「気持ち良いですか?坊ちゃん。もっと良くしてさしあげますよ。」 「あああ~」 シエルは嬌声をあげながら、無意識のうちに身体が宙に浮くような 錯覚にみまわれた。シエルが必死でセバスチャンにしがみつくと 「そろそろ行きますか?」 と聞かれた。シエルは魂を持って行かれるのだと思った。不思議と 不安はなかった。死を恐れないと言えば嘘になるが、セバスチャン と一つになることで己の身が浄化されていく気がした。ただ食さ れるのではなく、浄化されるのだ。全身全霊を尽くして愛する人に 食されるのは魂の浄化に他ならない。シエルは薄れ逝く意識の 中で天使よりも美しい悪魔に接吻した。セバスチャンはシエルを 抱きしめ、深い口づけの中でエナジーを吸い取った。 そして、セバスチャンは瞳を閉じて安らかな眠りについたシエル の髪を撫で、優しく瞼にキスをした。 「んっ?」 シエルが再び瞳を開けると、そこは天国でも地獄でもなかった。 セバスチャンに連れて来られた最後の場所、廃墟だった。 「坊ちゃん、お目覚めですか?ぐっすり眠っておられましたね。」 セバスチャンがいつものように微笑んでいる。 「魂はまだ喰ってなかったのか?」 シエルがいぶかしげに聞くと、セバスチャンはこう答えた。 「いいえ、美味しくいただきました。私は坊ちゃんのエナジーを 食べさせていただきましたので。人間がイク時に発するエナジー は大変おいしゅうございます。魂は一度に食べてしまわなくとも 睦みあう度に何度でもエナジーを食することができるので ございます。」 「妖怪みたいだな。」 「失敬な。私は悪魔で執事ですから。」 悪魔に魂を売り渡すということは甘美な世界を知るという事だった。 シエルは契約の意味を誤解していた。悪魔との契約がある限り、 二人が死を別つまで主従関係は続く。シエルはこれから先も食を 与える義務があった。シエルは満腹そうにしているセバスチャンを 見ていると、毎晩、与えるのも悪くないと心の中で密かに思った。 (完)
2009年05月23日
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BLの苦手な方は読まないでください。 R18指定です。お子様は読んではいけません。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。 生まれたままの姿にされたシエルは恥ずかしそうに目を閉じた。 「美しい。」 セバスチャンは感嘆の吐息をもらした。 「坊ちゃん、脚を開いて。もっと見せてください。」 「嫌だ。セバスチャン。どこ見て・・・」 セバスチャンはしなやかな肢体を開かせてシエルの最も感じる 部分に口づけをした。 「あ、ああ~」 シエルは思わず声を出してしまった。シエルは恥ずかしくなり、 自分の手で口を塞ぎ、手を軽く咬み、声を殺した。 「坊ちゃん、声を出すのが恥ずかしいのなら、いっそのこと 猿轡でも致しますか?」 「な、何?!」 「恥ずかしがる必要はありません。他に誰もおりませんから。 存分に声をお出しください。」 セバスチャンはそう言うとシエルの肋骨の上にある刻印に 口づけした。不浄の証であるその刻印に口づけされてシエルは 困惑した。男共に弄ばれた日々が一瞬シエルの脳裏をよぎった。 シエルは家畜のように扱われ、人としての尊厳を奪われた あの日々を忘れることができなかった。それ故、シエルは人と 肌を触れ合わせることを拒んでいた。セバスチャンにも今日まで 許さなかった。悪魔に魂を捧げる今日という日まで・・・どうせ 喰われるなら最後に一回だけ身体を許してやっても良いと思った。 セバスチャンがそれを望むのなら・・・ 「もういい。さっさとやれ。痛くしろと言っただろ?僕に前戯は 無用だ。」 「坊ちゃん。」 セバスチャンの赤い瞳が光った。セバスチャンは何か言おうと したが、呆れたという顔をした。そして、微笑んでこう言った。 「では、遠慮なく、いただきます。」 (続く)
2009年05月22日
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BLの苦手な方は読まないでください。 マリッサお嬢様お誕生日おめでとうございます。 日頃お世話になっているマリッサお嬢様のために 急遽、書き上げました。2万HITリクエスト小説でございます。 お誕生日プレゼントに絵でも描けたら良いのですが 私は絵が下手なので、代わりにこの小説を捧げます。 「秘密」が終わってから「黒執事」を書きますと言っていた 怠け者の私は今まで全然書いていませんでした。 今日お誕生日と知り、4時間かけて書きました。 コハルビヨリお嬢様はじめ他のお嬢様方には申し訳ありませんが リクエスト「黒執事」最終回のRバージョン(?)を お誕生日プレゼントにかえさせていただきます。 もちろんRなのでお子様は読んではいけません。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。 滔滔と流れる河の水面に一輪の花が浮かんでいる。何処からか 流れてきた小さな花を見て、シエルは自分のようだと思った。 これから何処へ行くのかも分からない。どうなるのかも分から ない。ただ流されるままにゆらゆらと漂っているだけの小さな花。 執事の漕ぐ渡し舟に乗っている自分と同じだ。ゆらゆらと身を 任せて最後の時を迎えるのだ。シネマティックレコードの見える 河はいくつもの思い出を映し出す。シエルを思う人達の心の光が 眩いほどにキラキラと美しく輝いてシエルの周りを囲んでいた。 「坊ちゃん、花を・・・」 セバスチャンは小さな花を河からすくってシエルの左手の薬指に はめた。シエルは手を蒼い空にかざして婚約指輪さながらの青い 花を見つめた。人の心の光達は二人を祝福しているかの如く 輝いていた。光の群れを通り過ぎると見知らぬ島が見えてきた。 セバスチャンはシエルを抱え、船を降りて、森の中を歩いた。 やがて廃墟にたどり着くとセバスチャンは石の椅子にシエルを 座らせた。 「坊ちゃん、本当によろしいのですか?」 「・・・痛いか?」 「そうですね。なるべく優しくはしますが・・・」 「いや、思い切り痛くしてくれ。生きていたという、痛みを魂に しっかりと刻みつけてくれ。」 「イエス、マイロード。」 セバスチャンがシエルの頬を優しく撫で、顔を近づけて来た。 赤く光る瞳は恐ろしくはなかったがシエルはぎゅっと目を閉じた。 セバスチャンの唇がシエルの柔らかい唇に重なる。二人にとって 初めてのキスだった。微かに開いた唇の隙間から舌が滑り込ん できた。シエルは絡まるセバスチャンの舌に息苦しさを覚えた。 舌に吸い付く舌は生き物のように蠢き、シエルを翻弄した。 口腔を犯されたシエルは瞳に生理的な涙を浮かべた。 「坊ちゃん、苦しいですか?それとも気持ち良過ぎますか?」 シエルは頬を染めてプイッと顔を背けた。セバスチャンはその 可愛らしいしぐさを嘲るように微笑み、シエルの服のボタンに 手をかけ、ゆっくりと脱がしていった。 (続く)
2009年05月21日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから~苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦くださいませ。m(_ _)m 「リチャード!!」 助けようとするシエルをセバスチャンは遮り、シエルだけかついで 屋敷から脱出した。安全な所までたどり着くと、セバスチャンは肩 に担いでいたシエルをおろした。炎は瞬く間に燃え広がり、屋敷を 焼き尽くした。シエルは何故リチャードが死を選んだのか、また、 叔父を愛したのか理解できなかった。セバスチャンはシエルの肩を そっと抱き寄せてこう言った。 「人にはそれぞれの考え方や幸せがあるのですよ。リチャード様は 鳥籠の中の居心地が良かったのでしょう。愛に飢えた子供が陥り やすい甘い罠から、抜け出すことを恐れるあまり、リチャード様は 死を選んだのです。」 燃え盛る炎が夜の闇を照らしていた。リチャードは叔父といて幸せ だったのだろうか。本当の愛も知らないまま火を放ち死んでいった リチャード。哀れという言葉では片付けられないとシエルは思った。 屋敷を燃やす炎が夜空に立ち昇り、まるでリチャードの魂をあの世 に導いているようだった。 「帰りましょう坊ちゃん。ここにいてもする事がもうありませんから。」 「随分と冷たいんだな。リチャードも助けようと思えば助けられた のに・・・」 「私は檻に閉じ込められて、そこから出たいと思わない人間に興味 ありません。生きる気力のない人間を助けるのは無意味というもの です。」 「僕がもし、あの日、死にたいと思っていたのなら、お前は現れな かったのか?」 「はい、さようでございます。しかし、坊ちゃんはあの日、生きたい と願った。ですから、私が今ここにいるのです。私はいつまでもどこ までも坊ちゃんのおそばにおります。あくまで執事ですから。」 セバスチャンの甘い誘惑にも似た微笑にシエルは思わず目をそら した。そして、リチャードと自分を重ね合わせて感情的になっていた のだと気づいた。 「帰るぞ。」 シエルは目を伏せたまま、歩きだした。夜の闇は暗く、ガートランド だけが赤々と燃えていた。深い闇の中へシエルは帰っていった。 (完)
2009年02月17日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから~苦情は一切受け付けません。 何卒、お許しくださいませ。 「やはり、そうでしたか。そして、あなたは死体の処理を叔父さんに 頼んだのですね。」 「そうだよ。僕が頼めば、なんとかなると思って・・・」 「それで色仕掛けでたらしこんだわけですね。ブラコンでロリコンの 叔父さんなら自分の味方になってくれると?でも、実際はそんなに 甘くなかった。ワーウィックはあなたに薬を飲ませて、何もかも手に 入れようとした。毎日、薬をチョコレートに混ぜてこっそり飲ませた。 あなたは見事に騙されて、チョコレートなしではいられない身体に なってしまった。そうでしょう?」 「ああ、そうだよ。叔父様は僕を薬漬けにして、鳥籠に閉じ込めて、 僕からすべてを奪ったんだ。」 「だから、殺したのか?君はワーウィックを憎んでいたのか?」 シエルがリチャードに聞いた。 「憎む?僕が叔父様を憎める訳がない。お父様はいつも仕事優先 でチョコレート工場が一番大事な人だった。チョコレートで自分の像 まで作るくらいのチョコレート好きだったから。家族よりも何よりも チョコレート工場が大切だったんだ。お母様は社交界の付き合いも 大切だからと言って嘘をついて出かけ、男と遊んでたんだ。だから いつも僕は屋敷に置き去りにされていた。唯一僕に優しかったのは 叔父様だけだった。叔父様だけが僕と遊んでくれた。僕は叔父様 を愛していたんだ。なのに、浮気するなんて・・・」 「浮気とは坊ちゃんの事ですか?あれは襲われていたのですよ。」 「しかし、檻に閉じ込めるような卑劣な男を好いていたなんて、 哀れな奴だな。君はこれから、どうする?一緒に警察に行くか?」 「警察はいやだ。それに僕の身体はもう、薬なしでは生きられない んだ。こうなったら、死んだほうがましだ。」 リチャードはそう言うと、部屋に灯されていたろうそくを倒して、 カーテンに火をつけた。火は見る見るうちに燃え上がり、リチャード はあっという間に炎に包まれてしまった。 (続く・・・)
2009年02月16日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから~苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦くださいませ。 「ば、化け物!!」 ワーウィックは腰を抜かしたまま後ずさって逃げ出そうとしたが、 セバスチャンに捕まった。 「化け物とは心外ですね。事の経緯を話してもらいましょうか?」 「あの女がいけないんだ。浮気していた男と再婚するとか言い出 して・・・だから、あんなことに・・・」 「もっと詳しく話してもらえませんか?」 「実は、あの女を殺したのは・・・う、ぐはっ!!」 ワーウィックが突然血を吐いて倒れた。苦しむ彼の背中には斧が 刺さっていた。シエルがハッとしてあたりを見まわすと、部屋の扉 の近くにメイドが立っていた。 「僕を裏切る者は許さない。」 メイドはそう言うと、眼鏡とかつらを外した。美しい大きな碧い瞳と 透き通るような金髪の少年が姿を現した。 「リチャード?!」 シエルは我が目を疑った。驚いたことに、メイドはリチャードが変装 していたのだった。 「ようやく本性を現しましたね。」 セバスチャンは不敵な笑みを浮かべた。 「ガートランド伯爵夫人を殺したのはあなたですね?」 「ああ、そうだよ。お母様は僕を裏切った。若い男に入れあげて、 お父様の喪が明けないうちから屋敷に男を連れ込むようになった。 人目もはばからずに若い男と遊ぶお母様が許せなかった。しかも、 再婚するから僕が邪魔だって言ったんだ。邪魔な僕を寄宿学校に 入れるって男と話してたのを聞いたよ。だから、殺した。寝室で 男と交わるお母様を斧で殺したんだ。この斧で男ともども頭を叩き 割ってやったよ。お母様の死体はこの屋敷の塔の窓から投げて、 自殺したということにしたんだ。お父様の死を嘆いての後追い自殺 だよ。男の死体は庭の森に埋めた。警察も誰も気づかなかった。」 (続く・・・)
2009年02月12日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから~苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦くださいませ。 「みんなお前が殺したのか?」 「人聞きの悪いことを言わないでくれたまえ。兄は病死だよ。石膏 で型を取るだけで殺すわけないだろう?私は誰も殺してないよ。」 「じゃあ、リチャードは何処にいる?」 「それは言えないな。それよりも美味しそうだ。君が食べたい。」 ワーウィックはそう言うと、シエルの身体を舐め始めた。ゆっくりと シエルに塗られたチョコレートを舌で味わうように舐めとり、丹念に 肌を舐めまわした。シエルはねっとりとした舌の感触に抗おうとし たが、鎖に繋がれた手枷足枷がシエルを拘束していた。 「や、やめろ!いやだ~!!セバスチャン!!」 シエルが叫ぶとセバスチャンが現れた。ワーウィックは驚いて 「き、きさま、死んだんじゃなかったのか!?」 と言った。するとセバスチャンは澄ました顔でこう言った。 「ファントムハイヴ家の執事たる者、あれしきのことで死んでどうし ます?坊ちゃん、このお礼は如何なさいますか?」 「セバスチャン、何故、最初に呼んだ時にすぐ来ない?まず、この 状態をなんとかしろ。ベトベトして気持ち悪い。」 「イエス、マイロード。坊ちゃん、手品はお好きですか?」 セバスチャンは何処からかシーツを取り出し、パサッとシエルに かけたかと思うとすぐに取り払った。すると、身体に塗られていた チョコレートはすべて消え去り、手枷足枷も外されて、シエルは服 まで着ていた。ワーウィックは腰を抜かして驚いた。それを見た セバスチャンはニッコリと微笑んでこう言った。 「ファントムハイヴ家の執事たる者、これくらい出来なくてどうし ます?あくまで執事ですから。」 (続く・・・)
2009年02月11日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですので~苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦くださいませ。m(_ _)m 目が覚めるとシエルは手枷足枷で鎖に繋がれて寝かされていた。 部屋のカーテンは閉め切られていて、薄暗い部屋には何本もの 蝋燭が灯されていた。衣服を剥ぎ取られて、生まれたままの姿の シエルを蝋燭は妖しく照らしていた。 「おや、もう、目が覚めたのかい?まだ、身体にチョコレートを塗り 終わっていないのに・・・」 「な、何をするんだ!?や、やめろ!!」 ワーウィックはチョコレートをシエルの下腹部に塗りながら、ニヤリ と笑ってこう言った。 「君の執事なら死んだよ。メイドが斧で首をはねたからね。」 「う、嘘だ。セバスチャンが死ぬはずがない。」 「君がチョコレートを食べている時に後ろからそっと、油断していた 彼の首をはねたんだよ。信じないならそれでも良いけど・・・そうだ。 君に良い物を見せてあげよう。」 と言うと、ワーウィックはまるで本物そっくりの人間のように作られ たチョコレートが乗った台車を運んで来た。 「私の兄だよ。石膏で型をとってチョコレートで等身大の像を作った んだ。素晴らしいだろ?兄の妻のも、その子供のもある。」 (続く・・・)
2009年02月10日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで、二次創作なので~苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦くださいませ。 ガートランドチョコレート工場はロンドンから馬車で半日以上離れた 田舎にあった。村の名前もガートランドで、ガートランド家の領地と なっていた。そして、村外れの古城がガートランド家の屋敷だった。 シエルたちが屋敷に着くと、眼鏡をかけた長い髪の背の低いメイド が出迎えた。 「これはこれは、お待ち申し上げておりました。」 彼女は深々と頭を下げて、シエルたちを屋敷に迎え入れた。 「お付きの方はこちらでお待ちください。」 メイドはセバスチャンを残して、シエルだけワーウィックの所へ案内 した。客間には30代の紳士が椅子に座って待っていた。 「ようこそ、シエル・ファントムハイヴ伯爵。」 「はじめまして。ワーウィック・ガートランド卿。行方不明のリチャード 伯爵の調査に参りました。」 「甥のリチャードは神隠しに会いましてね。無事に帰って来ると 良いのですが・・・そうそう、チョコレートはいかがですかな。 我が社自慢の逸品をご用意しました。さあ、召し上がれ。」 銀のトレイに美しいトリュフが並んでいた。シエルが一粒つまんで 食べてみると、甘くてとっても美味しかった。 「遠慮なさらずに全部どうぞ。」 シエルはもう一つ口に運ぶとまたもう一つと食べたくなった。お腹 が空いている訳でもないのにおかしいと思いながらも、余りの美味 しさに食べることを止められなかった。不思議なチョコレートだった。 一口食べただけで口の中が蕩けるような幸せを感じ、高揚感まで 味わうチョコレート。まるで媚薬のような・・・あ、しまった・・・ 気づいた時にはもう遅かった。シエルは視界がぼやけて、身体が 動かなくなり、気を失った。 (続く・・・)
2009年02月10日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで二次創作ですから~苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦ください。 「あ~、もうダメ~。がまんできない。欲しい。」 鳥籠の中で少年は瞳を潤ませて悶えていた。 部屋の中央に金と銀で作られた大きな鳥籠が置いてある。 その美しい鳥籠に閉じ込められた金髪碧眼の美少年は格子の 隙間から手を伸ばして欲しがった。 「早く~。薬~、薬ちょうだい。」 少年は目の前で楽しそうに眺めていた男に薬をせがんだ。 「もう、欲しくなったのかい?まだ、お薬の時間じゃないよ。 もうしばらくおもちゃで遊んでいなさい。」 男はわざとじらすためにそう言った。 「いや、もう耐えられない。叔父様、なんでもするからお願いです。 薬をください。」 「ほう、なんでもするって言ったね。いい子だ。薬をあげよう。」 男はチョコレートを袋から取り出して、少年に見せた。そして、口を 開けてヨダレをたらしている少年の口にチョコレートを放り込んだ。 「チョコレートに薬が入っていることを知っても、まだ欲しがるとは 馬鹿な子だ。これだけ美しい小鳥なら餌を与えながら鳥籠で飼うの もまた一興・・・」 男はご満悦の表情を浮かべて、笑った。 「坊ちゃん、女王陛下から手紙が届いております。」 セバスチャンが銀のトレイに手紙を載せて仰々しく持ってきた。 シエルがそれを受け取り、読むと、手紙にはこう書かれていた。 伯爵家を継いだばかりのリチャード・ガートランド13歳が行方不明 になって3ヶ月経つ。後見人である叔父のワーウィックが正式に ガートランド家のチョコレート工場を相続したいと申し出たので、 調べて欲しいという内容だった。 「ガートランドはチョコレートに関しては一流だ。ただ、あの会社は 他と違ってチョコレートしか作らない。行ってみるか。」 シエルはセバスチャンと共にガートランド伯爵家を訪れた。 (続く・・・)
2009年02月09日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで、二次創作ですので苦情は一切受け付けません。 何卒、ご容赦くださいませ。 部屋の外にはフィニ、メイリン、バルドの3人がいた。 庭に出るまでもなく、見られてしまった。 「きゃあああ~可愛いですだぁ~」 「ホント可愛い子猫ちゃんだね。」 「この猫、拾ってきたのか?なんて名前だ?」 僕は3人が口々に言う言葉を理解できなかった。 だが、次の瞬間、僕は完全に猫になっていることに気がついた。 セバスチャンは僕を軽々と抱きかかえ、僕に頬ずりして、言った。 「シエル坊ちゃんですよ。猫になってしまわれたのです。 これからは皆さん、猫にお使えするのです。きっと、毎日が今まで 以上に楽しいですよ。見てください。この肉球を。」 セバスチャンは僕の手をぷにっと押してご満悦の表情を浮かべた。 「わぁ~僕にも触らせて~」 「私にもさせてくださいですだぁ~」 「俺にもやらせろよ。」 3人がよってたかって僕の肉球をぷにぷに押し始めた。 「いやだぁ~やめてくれ~」 僕は叫んだが声にならない。失意の中で僕は意識を失った。 「坊ちゃん、お目覚めの時間ですよ。」 セバスチャンが部屋の窓のカーテンを開けると、眩しい朝の陽ざし が差し込んで、僕は再び目を覚ました。 「うなされておいでのようでしたが、どうかなさいましたか?」 「いや、なんでもない。」 僕は夢だったのかとほっとした。人間が猫化するわけがない。 「本日の朝食はポーチドサーモンとミントサラダとスコーンをご用意 致しました。」 「紅茶はセイロンか。」 僕はウェッジウッドのティーカップに注がれた紅茶に口をつけて、 何気なく部屋のドアの方へ目をやると、首輪が床に落ちていた。 僕は驚きのあまり凝固した。頭が真っ白になった。 「申し訳ありません。首輪を一つ片付けるのを忘れておりました。」 セバスチャンはクスッと笑って、僕に手鏡を差し出し、こう言った。 「ご心配には及びません。すべては元通りに致しました。 ファントムハイヴ家の執事たる者これくらい出来なくてどうします? あくまで、執事ですから。」 セバスチャンは僕にニッコリと微笑んだ。 (完)
2009年01月18日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで、二次創作ですので、苦情は一切受け付けておりません。 ご容赦くださいませ。 「問題は大有りだ。なぜ、猫になんか・・・」 「それにしても、なんとも可愛らしい。」 セバスチャンが僕の猫耳を撫でた。 ビクッと僕の体は反応し、耳がキュンとなった。 「感じやすいんですね。」 セバスチャンはニヤリと笑って僕の反応を楽しんだ。 「尻尾のほうはどうですか?」 セバスチャンが今度は尻尾をギュッと掴んだ。 「あんっ。」 僕は思わず声を出してしまった。 「やはり尻尾のほうが感度良いですね。」 セバスチャンは僕の尻尾を掴んだまま、ゆっくりと愛撫するように 手を動かした。僕は尻尾を撫でられるたびにゾクゾクした。 快感が体を駆け巡り、我を忘れそうになった。僕は無意識のうちに セバスチャンの手の動きにあわせて尻尾をくねらせて悦んだ。 「おやおや、尻尾が揺れてますよ。そんなに良いですか?」 「あぁ、ああぁ~、もっとぉ~。」 「もっと何ですか?坊ちゃん、おねだりの仕方は教えたでしょう?」 僕は顔が真っ赤になった。尻尾を撫でられてセバスチャンが欲しく なったとは恥ずかしくてとても言えない。意地悪なセバスチャンは 口の端をニヤリとつりあげて、こう言った。 「言えないのなら、罰を与えなければいけませんね。」 セバスチャンは何処からか首輪を取り出して、僕の首につけた。 そして、首輪についた鎖を引っ張って、ベッドから引きずり下ろし、 「罰として、お庭を一周しましょう。フィニたちにもこの滑稽な姿を 見てもらいます。」 「や、やめろ。い、いやだ。やめてくれ。」 僕は必死に抵抗した。しかし、力でかなうわけもなく、無残にも 僕は部屋から連れ出されてしまった。 (続く・・・)
2009年01月17日
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BLの苦手な方は読まないでください。 あくまで、二次創作ですので、苦情は一切受け付けません。 どうかご容赦くださいませ。 にゃん、にゃん、僕は猫になる。 ゴロニャン、猫になりたいニャン。 人間よりも猫のほうが楽だから。 生きているのが苦しい時に僕は猫化する。 猫になったら、いっぱい甘えられるし、 いっぱい可愛がってもらえるし、 嫌なことも辛いことも忘れられる。 だから、僕は猫になる。・・・ 「坊ちゃんお目覚めの時間ですよ。」 セバスチャンに起こされて、僕は夢から覚めた。 それにしても、変な夢を見たものだ。猫になる夢とは・・・ 「本日の朝食はポーチドサーモンとミントサラダとスコーンをご用意 致しました。」 「この香り、今日はセイロンか。」 「ええ、本日はロイヤル・ドルトンのものをご用意致しました。」 僕の朝は一杯の紅茶から始まる。 「おや、坊ちゃんの後ろにクネクネと蠢いているものは何です?」 「え?僕の後ろに何かあるのか?」 「何やら尻尾のように見えますが・・・」 言われてみれば、お尻のあたりがムズムズするような・・・ 僕が恐る恐る後ろを振り向くと、やはり尻尾だった。 そして、信じられないことに尻尾は僕のお尻から生えていた。 「こんなものをつけておいでとは・・・坊ちゃんにも困りましたね。」 セバスチャンが僕を見て、ため息をついた。 「頭に猫耳までおつけになって、いったいどういうおつもりです?」 「え?!」 僕は驚いて両手で頭を押さえてみると確かに大きな耳が頭の上に 二つある。いったいこれはどうなっているんだ?あの変な夢が現実 になってしまった・・・僕は途方にくれた。 「魔界ではストレスが原因で猫に変身する病があるとかないとか ・・・坊ちゃんは人間ですが、何らかの影響を受けて、そうなって しまったのかもしれませんね。」 セバスチャンは僕を見てクスクス笑った。 「しかし、まぁ、可愛らしいので問題はありませんね。」 (続く・・・)
2009年01月17日
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