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みなさん、こんにちは(^^)/。
昨日、物産展で上京していた五木村の観光協会事務局長と、川辺川ダム中止を記念して祝杯を上げました。民主党が「中止」を公言して以来、八ッ場ダムとともに「地元はダム推進」のような報道が見られますが、「真の住民」の本音は「後始末さえきちんとやってくれれば、ダム本体なんか誰も欲しいと思っていない」というケースがほとんどなんですよ。
席上には元”公共事業チェック議員の会”会長の中村敦夫さんと佐藤謙一郎さんにもお来しいただきましたが、ふたりともすっかり議員臭が抜けて健康そうでした。ご両人とも政界復帰の意思は無いようですが、本当はこういう人たちにこそ、議員をやってもらいたいんですよね。
さて、表題の件。最近になってようやく、高速道路のETCに批判的な記事を見かけるようになりましたが、そのほとんどは管理団体ORSEの天下り団体批判です。試行運用当時から、ETCシステム本体の問題や、一部企業との不適切な関係を批判してきた安藤からすれば、「国が新しい事業をやれば天下り団体のひとつやふたつできるのは当たり前」であって、こればかりを批判すると、もっと本質的な問題が見えにくなってしまうのではと危惧しております。
ETCは当初からクレジットカード会社と連携して進められてきたため、運用開始からしばらくの間は、クレジットカード契約ができない人は利用できませんでした。道路公団時代の高速道路料金は「公共料金」であり、民間企業による所得信用度調査基準を満たすか否かで利便性や通行料金に差ができてしまうのは、どう考えても「法の下の平等」を定めた憲法第14条に違反していますし、「租税公平主義」にも反しています。
ETCを推進した官僚は、このことに気がつかなかったんでしょうか。
この点を追求する質問主意書を'03年に提出 した結果、'05年になってから、ETCパーソナルカード(高速道路6社が共同運用する預託金式ETCカード)が発行されるようになりました(国交省は憲法違反を認めていませんが、両者のタイミングからして、主意書が大きな影響を与えたことは明らかです)。
これで憲法14条違反は回避できることになりましたが、それで「落着」とはなりません。なにしろ、信販会社を頼らなければ運営できなかいほど大掛かりな料金管理システムを別に作らなければならないわけで、それなりの運用コストがかかるはず。一方で、高額な預託金を納めてまでETCパーソナルカードを利用する人がそれほど多いとは言えず、運用が黒字になるとは思えないんですね。
というわけで、調べてみました。(ちなみに年会費は1,200円です)
年度 '05 '06 '07 '08
会員数 2,277 8,111 17,549 29,374
会費収入 2,732,400 9,733,200 21,058,800 35,248,800
運営経費 136,600,000 194,900,000 233,400,000 277,600,000
収支 ▲133,867,600 ▲185,166,800 ▲202,341,200 ▲242,351,200
一人当たり経費 59,991 24,029 12,730 9451
注目すべきは2点。収支が年々、悪化していることと、一人当たり経費の下げ幅が飽和してきていることです。一人当たり経費の推移をグラフ化しますと、漸近線となり、飽和点はおおむね8,000円、すなわち、年間ひとりあたり6,800円の損失を、永久に出し続けることになるのです。
この損失は、いったいどうやって補填するのでしょうか? ETCパーソナルカードは高額な預託金を預けることになっており、当面の運営原資には、これを充てることができるでしょうけれど、これはあくまで「預託金」であり、退会時には返還しなければなりません。高速道路が一部でも無料化されれば、退会者が続出することは想像に難くありません。赤字が顕在化したら、税金で補填するしか方法は無いはずで、いずれ必ず問題化することになるでしょう。
ETCの導入が計画されていた当時、きちんと検討されていれば、こんなことは当然、予測可能だったはずです。しかも前払いの「スイカ方式」にすれば、ハイウェイカードの料金管理システムがそのまま使え、憲法14条問題も回避できたはずで、そうしなかったあたりに”担当者の想像力と知識の貧困”が垣間見えると同時に、”特定企業との不適切な関係”が疑われます。
それからもうひとつ、このETCパーソナルカードを運用する「ETCパーソナルカード事務局」というのも、非常に不可解な組織です。公表されているのは宮前区の私書箱と電話番号のみ。所在地も代表者も不明だし、なにしろ組織の属性(会社なのか特殊法人なのか任意団体なのか)すら明らかにされていません。これは現在、調査中ですので、わかり次第、当ブログでご報告致します。