PR
Free Space
Freepage List
Calendar
Category
Keyword Search
Comments
幽晦との境界が、破れている。内部の薄明が昏黒に洩れている。ならばそこから夜が染みて来る…。生まれてこのかた笑ったこともない生真面目な浪人、伊右衛門。疱瘡を病み顔崩れても凛として正しさを失わない女、岩―「四谷怪談」は今、極限の愛の物語へと昇華する!第二十五回泉鏡花文学賞受賞作。
京極夏彦作品にしては普通のサイズ
の本です。
他の本は レンガ並み
の厚さですものね。
でも中身はいつもの京極ワールド。
魑魅魍魎がわらわらいそう
な空気感は
独特の表現にあるのでしょうか?
たとえば、
”ー岩は。−岩の。”
みたいな後に続く言葉を省略して言葉の前に空間を作る書き方。
これって癖になります。
頭の中でこだまします。
この前後にはいかなる言葉も当てはまりそうでいて当てはまらない
もやもや感。
だってその言い手である人物たちが”言いよどんでいる”
”決めかねている””混乱している”のだから。
これが物語全体を支配する不安定感につながっていて
癖になるんですよね。
四谷怪談
をベースに書かれた小説ですが
一般的な四谷怪談とはまったく別のお話です。
怪談、ではないと思います。
映画のサブタイトルは”エターナル・ラブ”だったそうで
それはどうかと思いますが。
岩、 男前
です。
今は醜くなってしまったとはいえ病気の前は美人。
でも今も昔も自分の容姿などに興味はない。
曲がったことがキライですが、欲もない。
自己完結
してしまうがために
他人との関係を保つことは出来ないという自分というものを
良く知っていて、好意を持つ人を幸せにするために
そして自分も解放されるために身を引くことも
潔しとする。
むっちゃ男前。
対して夫の伊右衛門もこれまた心に傷を負った不器用者。
人生半分捨てたように感情的にはならないけれど
醜くても気にせず相手を自分なりに思いやる心は持っていて
こちらも男前。
この小説中女なのは後妻に入る梅くらいでしょうか。
他の人物が男前なだけにこの梅の女特有の”かわいい頭”が
イヤらしい感じ。
いずれにせよ行灯つくりを生業にしひっそり生きることに満足していた岩が
伊右衛門が幸せではないことを知って
なぜ発狂しなくてはならなかった理由がイマイチわからないのですが
一種ハッピーエンドなのでしょうか。
でももう少しあきらめずに一緒にいたらもっとハッピーエンドになったような。
結婚式でよくスピーチされる近づきすぎると傷つけあってしまうし
離れすぎると寒くなるという ”はりねずみの夫婦”の話
を思い出しました。
めざめ 藤堂志津子 Apr 11, 2025
少女 湊かなえ Apr 8, 2025
夫婦の情景 曽野綾子 Jan 23, 2025