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2015.05.04
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カテゴリ: 突発性難聴体験記
大学病院退院後は結構忙しくなり、例えば自宅から1時間かけてN病院で高圧酸素、その後そこから1時間かけて大学病院でデフィブラーゼ点滴、その後またそこから1時間かけて鍼灸院へ、という日もあった。ずっと一人で運転するのはしんどいので主にカミさんに運転してもらった。もう完全に1日仕事である。
そうこうしながらこれ以上の聴力回復が不可能である場合を考え、今の状態を受け入れる必要を感じていた。

4月2日に入院して以来ずっと仕事は休んでいる。同僚や後輩の医師達には随分迷惑をかけてしまった。「病院のことは心配せずに、とにかく治療に専念して下さい」と気遣ってくれて本当にありがたかった。
そうは言ってもいつまでも休んでいるわけにも行かない。
4月20日から仕事に復帰した。手術の入っていない午後などを利用して通院治療を続けつつ。

仕事に復帰するとあらためて耳の調子が悪いことを自覚する。床や壁が音を反射しやすい場所では特につらい。病棟のナースステーションは反射しやすいのに加えて人の出入りも多く、申し送りの話し声、モニターのアラーム音、院内PHSの呼び出し音などが渦を巻くように耳の中で反射する。
その点外来診察室は床が吸音性の高い素材でできているのでかなり楽だ。ただ診察机の配置状、医師の斜め右隣に患者が座るかっこうになるので、患者からは奇妙に見えたかもしれないが、自分はできるだけ左耳が患者の方に向くよう、椅子をやや右側に回転させて話を聞いたりしている。
分娩室は聴覚補充現象に苦しむ私にとっては最悪の環境だった。部屋全体が反響しやすい上、胎児心拍モニタリングの音、妊婦さんの唸り声(これが一番響く!)、助産師のかけ声、生まれたらベビーの泣き声、酸素モニターのアラーム音などでほとんどパニック状態になってしまう。必ず耳栓をして入ることにした。

こうなると「突発性難聴」という病名はえらく患者の自覚症状とかけ離れたものに感じられる。難聴だから補聴器では無く、音が響くから耳栓が必要になるのである。





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Last updated  2015.05.05 00:10:33
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