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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2011.07.30
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カテゴリ: 文芸
『オリガ・モリソヴナの反語法』 は、私にとってとても印象が深い作品。
 本著はその作者、米原さんのエッセイ集である。
 彼女は、プラハ・ソビエト学校で少女時代を過ごし、
 帰国後は、ロシア語同時通訳として活躍した方である。

 社会主義社会で過ごした生活経験故か、
 彼女のエッセイは、他では見られない独特の観点・視点からのものが目立つ。
 欧米流自由主義を持ちこんで形成された戦後日本社会に生きる私たちにとって、
 彼女の指摘には、ハッとさせられる場面が多い。


先に読んだ 『一九八四年』 に登場する「ニュースピーク」によって、
「ことば」について、色々と考えさせられていた私にとって、
まさに、絶妙のタイミングで巡り会ったのが本著。

  「実に便利な言葉だね、スッバラシイーってのは」
  「はあ?」
  「だって、米原さんは、僕がadmirableと言っても、amazingと言っても、
   braveと言っても、brilliantと言っても、exellentと言っても、
   fineと言っても、fantasticと言っても、gloriousと言っても、
   magnificentと言っても、marvelousと言っても、niceと言っても、
   remarkableと言っても、splendidと言っても、wonderfulと言っても、

   (ロストロポーヴィッチは、もちろん「素晴らしい」を意味する
   ロシア語の単語を羅列したのだが、この一文を読まれる大多数の方々には
   分かりにくいのではという老婆心から、該当する英語の単語に置き換えた)(p.114)

実は、私は訳あって、今チョコットだけ英語を勉強し直しているのだが、
英単語を覚える際にいつも強く感じていたのが、

 同じ意味なら、もっと言葉を絞ればいいんじゃないのか?」ということ。

しかし、気付けば、何とこれは「ニュースピーク」の発想ではないか!
日本語に囲まれ生活する私は、実は「ニュースピーク」社会に生きていたのだ!
ロストロポーヴィッチとのこの会話の後、米原さんが部屋に戻り辞書を引くと、
「素晴らしい」と解釈できる形容詞が、彼が羅列した語の、さらに5倍はあったという。

さらに、ロシアのテレビやラジオ、文学作品はもちろん、経済や科学の論文でも、
同じ事柄を同じ語で指し示すのを避けようとする傾向があるという。
何度も同じ単語を反復するのは、野暮の骨頂だそうだ。

それに対し、日本語では言い換えの美学は重要視されない……
何と日本は、ボキャ貧天国だったのか……

思考なき社会……





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Last updated  2011.07.30 11:39:57 コメントを書く
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