世界で一番愛する人と国際結婚

結婚を匂わせる




ブランと付き合いだしてから、4ヶ月目に初めて2人で旅行した。
2泊3日の国内旅行だったが、旅行準備に私は数週間を要した。
その時に着る服や下着、手早くできるメイクグッズを買ったりと
私一人大忙しだった。ブランの前では涼しい顔をしていたが。


その後、2人で数え切れないくらい旅行をした。スキーや
ダイビングにも行った。海外旅行もしたが、日本国内が多かった。
日本国内、どこへでもブランは車を運転していった。
さすがアメリカ人。こっちはたまらないが楽しい思い出ができた。


そして、 あっという間に交際3年目を迎えていた。


付き合って最初の頃、結婚の話になったことがあった。
彼の辛かった元奥様との離婚調停時代の話を聞き、もう再婚は
考えていないと言っていた記憶がある。


彼が再婚する気がないと聞いても、何故か私はあまり気に
しなかった。そのうち彼の考えも変わるだろうと思っていたのと、
私の周りが30代の独身女性ばかりで、友達が多く、毎日が
充実していてとにかく楽しかったからだ。



だが交際3年目になった時、さすがに私から再度聞いてみた。


将来、結婚を考えているかどうかを。



以前は、『再婚はもう考えていない』だったけれど、
その時は『まだ分からない』、と言った。


私はかなり進歩していると思った。ブランの日本での任期が
過ぎて、あと1年でアメリカへ帰国。遠距離恋愛に
なることが分かっていた。その時にプロポーズされるのだろうな、
ふふ、と勝手に思い込んでいた。



だが、以前10代から20代にかけて、6年以上も付き合った人と
別れてしまった経験もある。永過ぎた春がずるずるとした
関係になり、結婚のタイミングを逃すことはよく分かっている。


のんびり屋の私もさすがに不安になる時もあった。


ここまで好きになった人はいない。ここまで気が合って
相性のいい人もいない。
結婚するならこの人だ、と確信していた。



交際3周年を迎え4年目に突入。
彼の帰国を目前にして、私は臨戦態勢に入った。



古い友人の結婚式の写真を探し出してきて、自分の部屋の壁の、
ブランの目につく高さにかざったりした。


妹の結婚式の写真を見せて、

『きれいでしょう?いいなあ、羨ましいなあ。』

明るく楽しそうに 言ってみた。


ある日、オフィス内のデスクに、誰か(全く知らない
カップル)の結婚報告ハガキが置きっ放しにされていた。
私の年齢くらいの日本人女性と、ブランの年齢くらいの
白人カップルのハワイでの結婚式の写真付きだった。


誰だか社員が忘れていったのだろう。私は勝手にそれを家に
持ち帰ってきた。ブランが私の部屋に来る直前に、
そのハガキをぽんとテーブルに置いておいた。


ブランはそれをじっと見ていたが、何もコメントしなかった。
私は負けずに結婚願望があることを、見せていた。



やがて、彼の帰国の日が近づいてきた。


つづく


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