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現代UKバンドのギタリストによるファースト・ソロ作 ダンカン・ロイド(Duncan Lloyd)は、2000年にマキシモ・パーク(Maxïmo Park)を結成したイギリス出身のギタリスト。マキシモ・パークは、2003年にポール・スミスを迎え、2005年にファースト作を発表し人気を獲得していく。その一方で、ダンカン・ロイドがバンド活動と並行して制作し、2008年にリリースしたソロ・アルバム作品が、この『シーイング・ダブル(Seeing Double)』である。 21世紀に入り、サイケやパンクどころか、オルタナの名で括られたり分類されたりするロックすらも一巡した後の時代。そんな時代的な流れの中で、それがうまく消化され、音に体現されている好盤というのが、このアルバムを最初に聴いたときの、筆者の第一印象だった。実際、彼の中には1990年代のインディー・ロックやガレージ・ロックなどリアルに体験した音楽と、それ以前のロック史の積み重ね(邦盤ライナーによれば、例えばキャプテン・ビーフハートなんかにも触れている)の双方が流れていると言えそうだ。 特に注目したいナンバーをいくつか挙げておきたい。筆者が気に入っているのは、1.「セヴン・レターズ」や4.「ナイトフライ」といった、本盤収録曲の中では“やや地味”なナンバー。表題曲の8.「シーイング・ダブル」もどちらかと言えば、その流れに近いかもしれない。あと、アコギに持ち替えての6.「ヴィクトリー・アンド・サレンダー」と、10.「アナザー・チャンス」は、いずれもシンプルながら聴き手を妙に惹きつける魅力があり、聴けば聴くほどソングライティングのよさに頷いてしまう。 日本盤ではさらに地味な2曲が追加されているが、それらを含めても総収録時間は38分弱。本来の10曲だけなら30分ちょっとなので、一気に聴けてしまう。それでもって、この長さの中に詰まっている曲の密度は、なかなか濃いものだと言えると思う。[収録曲]1. Seven Letters2. Make Our Escape3. Suzee4. Nightfly5. Misfit6. Victory and Surrender7. You Are Partly to Blame8. Seeing Double9. 3 Times Over10. Another Chance~以下、日本盤ボーナス・トラック~11. All Ours (I Guess I’m at a Loss, Part 2)12. Waiting for Thee2008年リリース。 【国内盤CD】ダンカン・ロイド / シーイング・ダブル ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月09日
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成熟の域に達したアコースティック・ライヴの好盤 ハート(Heart)は、1976年にデビューしたバンドで、1980年代にはポップな方向性を盛り込んだりして人気を博した。1995年に発表した『ザ・ロード・ホーム(The Road Home)』は、このバンドの成熟をよく示すライヴ盤だと思う。 1990年代、MTVの“アンプラグド”という企画が一世を風靡した。本ライヴ盤は、その流れの中で出来上がったものだったが、当時の流行とは関係なく、後から聴いても実によくできたライヴ作品になった。 その理由というか背景としては、いくつかのことが指摘できると思うのだけれど、一つは、ハートというバンドのバックグラウンド。周知の通り、レッド・ツェッペリンの影響を強く受けており、アコースティックな演奏というのは、ハートにとって付け焼刃ではなく、体内に消化されたものだと言える。次に、アン・ウィルソンのヴォーカリストとしての成熟も挙げられる。当時のアンはちょうど40歳代半ば辺りで、ヴォーカリストとしての味(それはさらに年齢を重ねて深みを増していった)が成熟の域に達していった頃だった。さらに、彼らが敬愛するレッド・ツェッペリンの元メンバー、ジョン・ポール・ジョーンズが演奏とプロデュースで参加している。これらの要素が組み合わさってのこのライヴ盤の出来栄えという結果になったのだろう。 そのようなわけで、アコースティックな演奏とアンのヴォーカルのよさが存分に楽しめる盤と言えるように思う。本盤所収のお気に入りの演奏を挙げ始めるときりがなくなりそうなのだけれど、いくつか触れておきたい。冒頭の1.「夢見るアニー」、2.「ドッグ・アンド・バタフライ」は、70年代のハートらしくアコースティック向きの好曲。これらの曲の間のMCで“私たちのリヴィング・ルームへようこそ”と聴衆に話しかけているのもいい。80年代のヒット曲である5.「アローン」や6.「ジーズ・ドリームズ」もアコースティック向けのアレンジで、特に前者のヴォーカルはアンの実力発揮のナンバーで、ジョニ・ミッチェルのカバーである12.「リヴァー」と合わせて、ヴォーカルの聴きどころとなっている。 さらに、ロック調のヒット曲である10.「クレイジー・オン・ユー」や13.「バラクーダ」は、元の曲のイメージを保ちながら、アコースティック・ギターでの盛り上がりの演奏を披露している。なお、カバー曲としては、上記12.(ジョニ・ミッチェル)以外に、7.(エヴリブラザーズ)や11.(エルトン・ジョン)も含まれており、“リヴィング・ルーム”感がある。さらに、シークレット・トラックとして、アルバム表題になっている15.「ザ・ロード・ホーム」が収められている。[収録曲]1. Dreamboat Annie (Fantasy Child) 2. Dog and Butterfly 3. (Up on) Cherry Blossom Road4. Back to Avalon5. Alone 6. These Dreams 7. Love Hurts 8. Straight On9. All I Wanna Do Is Make Love to You10. Crazy on You11. Seasons12. River13. Barracuda 14. Dream of the Archer15. The Road Home1995年リリース。 Heart ハート / Road Home(Live) 【CD】 【輸入盤CD】Heart / Road Home (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月05日
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ロック・ギタリストによるポップ志向の強い盤 かつて“ギター小僧”などと評されることが多かったニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)は、1980年代以降、ブルース・スプリングスティーンのE・ストリート・バンドの活躍でも知られる米国人のギタリストである。1970年代は確かにギター少年がそのままアーティストになって自身のバンド(グリン)やソロで作品を発表していったかのようなイメージに当てはまるところも多分にあった。しかし、そんな彼は、1980年代に入る頃から、エレキギターに重きを置きながらもポップな方向に進み、1990年代以降になると、再びロック寄りでなおかつヴォーカルで聴かせることにも長けていった。 以上のようなアーティストとしての変遷の中で、とくにポップなサウンドに傾いた作風と言えるのが、7作目となった本盤『ワンダーランド(Wonderland)』(1983年発表)である。このような特徴ゆえに、ファンの間でも好みが分かれるかもしれない盤だが、筆者はかなり気に入っている。ポップな方向性を持つとは言っても、ギターを聴かせる場面というのも随所に見られるし、聴きやすい明るいサウンドという志向は、成功したと思われるからだ。 筆者お勧めの聴きどころをいくつか挙げてみたい。冒頭の1.「アクロス・ザ・トラックス」は、本作のポップ度とロック度のバランスをよく表していると思う。全面的にポップというわけでは決してなく、ギターを積極的に生かしながらの演奏という好ナンバーだと思う。これと似た方向性で成功している注目曲としては、8.「コンフィデント・ガール」もある。 よりポップな方向性の曲としては、表題曲の6.「ワンダーランド」がある。肩の力の抜け具合もいい感じで、筆者的にはニルス・ロフグレンのお気に入りナンバーの一つになっている。少しテンポを落としたバラード風のナンバーが目立つのも本盤の特徴と言えそうで、2.「イントゥ・ザ・ナイト」や7.「ルーム・ウィズアウト・ラヴ」が個人的にはおすすめ。 収録曲は基本的にニルス本人のペンによるが、カバーの3.「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」もいい。ローリング・ストーンズで知られる曲(アルバムとしては、こちらに収録)だが、ストーンズ加入もささやかれたニルス・ロフグレンらしい、聴かせどころの一つとなっているナンバーだと思う。[収録曲]1. Across the Tracks2. Into the Night3. It's All Over Now4. I Wait for You5. Daddy Dream6. Wonderland7. Room Without Love8. Confident Girl9. Lonesome Ranger10. Everybody Wants11. Deadline1983年リリース。 ワンダーランド [ ニルス・ロフグレン ] [枚数限定][限定盤]ワンダーランド/ニルス・ロフグレン[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月01日
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“らしさ”を保ち続けた第11作 リトル・リバー・バンド(リトル・リヴァー・バンド、Little River Band)は、1975年にオーストラリアのメルボルンで結成されたバンド。当時の豪州出身バンドとしては、アメリカおよび世界への進出の先駆けとなる役割を果たした。時代が進むと、その先駆者的役割は終わっていったとはいえ、1980年代~1990年代にかけては、そのコーラスを生かした好作をリリースし続けていた。そんな時期の一枚が、本作『ゲット・ラッキー(Get Lucky)』である。 1980年代にグレン・シャロックがバンドを抜け、ジョン・ファーナムがその後継に入るという事態が生じたが、本盤は、ちょうどグレン・シャロックの復帰後の時期に当たる。実際、収録の10曲中、彼がヴォーカルを取っている曲は7曲(うち3曲はウェイン・ネルソンがリード・ヴォーカルを担当)となっている。 30年ほど経過した今から見ると、サウンド的には少なからず時代への迎合が見られる気もしないではない。とはいえ、全体としては、LRBらしいメロディやコーラス・ワークに力点を置いたナンバーが並ぶ。以下、個人的な好みも含め、聴きどころと思う曲を挙げてみたい。 表題曲と言える1.「アイ・ゲット・ラッキー」は、リラックスした曲調と余裕の感じられるグレン・シャロックのヴォーカルがいい。2.「ゼアズ・ノット・アナザー・ユー」は、筆者的には特にお気に入りのナンバーで、スリリングな曲展開が魅力と言える。5.「アイ・ドリーム・アローン」は、バラード曲で、このままでも十分魅力的なのだけれど、あと一歩スロー・テンポならば、さらに名バラードになったのではないかという気もする。 アルバム後半に入ると、ウェイン・ネルソンがリード・ヴォーカルとなっている曲(7.~9.の3曲)が目立つ。正直なところ、その当時の印象としては、ウェイン・ネルソンの部分はあまり強く印象に残らなかったのだけれど、今になって聴いてみれば、後のこのバンドの行く末を先取りしていたと言えるのかもしれない。ウェイン・ネルソンがヴォーカルを取っている曲の中でのベストは、9.「ワン・ザット・ゴット・アウェイ」。次の時代に続くLRBらしさが体現された1曲だと言えるように思う。 ある種、過渡期の作品と言えそうなので、これこそLRBのこれぞ1枚にはならないかもしれない。けれども、LRBの演奏を気に入った人、さらにはこのバンドの変遷が気になる人にとっては、何とも興味深い1枚と言っていいようにも思う。また、それ以外のリスナーにとっても、上で触れた1.、2.、5.、9.はぜひ耳にしてもらいたい、そんな盤だったりする。 [収録曲]1. If I Get Lucky2. There's Not Another You3. Second Wind4. Every Time I Turn Around5. I Dream Alone6. Time and Eternity7. Two Emotions8. As Long as I'm Alive9. The One That Got Away10. Listen to Your Heart1990年リリース。 ↓いずれもベスト盤です↓ 【輸入盤CD】Little River Band / Best Of (リトル・リヴァー・バンド) 【輸入盤CD】Little River Band / Definitive Collection (リトル・リバー・バンド) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年03月13日
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オリジナル・レインボーの最終作 ディープ・パープルを抜けたリッチー・ブラックモアは、1975年から新しいバンド、レインボー(Rainbow)としての活動を展開していった。このレインボーというバンドは、“バロック様式美”と呼ばれるハード・ロック音楽を作り上げていく。しかし、その一方で、アメリカでの売り上げが伸びないという問題とも向かい合わざるを得なくなった。結局のところ、レインボーは、米国リスナーに広く受けいれられるようなストレートで聴きやすいハード・ロック路線へと舵を切っていった。 1981年の『アイ・サレンダー(原題:ディフィカルト・トゥ・キュア)』がその象徴ともいえるアルバムだったが、その路線を継続したのが、その次作に当たる本盤『ストリート・オブ・ドリームス(Bent Out Of Shape)』(1983年)だった。 この時期のレインボーと言えば、何よりもジョー・リン・ターナーの存在が大きな特徴である。個人的には、この売れ筋志向の路線と彼のヴォーカルは実にマッチしていたと思う。その典型は、冒頭の1.「ストランデッド」。伸びのある高音のヴォーカルとキャッチーな曲調は、賛否両論あるとはいえ、レインボーの活動後期を象徴するナンバーの一つだと言えるだろう。同じく聴きやすさという意味では、アルバム表題の邦訳にも採用された7.「ストリート・オブ・ドリームス」も、コアなファンからは否定的な評価を下されがちなのかもしれないが、大衆向けの意図がわかりやすく反映された1曲ということになるだろう。 その一方で、当初からのレインボーらしさの名残をところどころに保っていることも無視できない。個人的な好みでは、2.「キャント・レット・ユー・ゴー」、4.「ファイヤー・ダンス」、9.「スノーマン」などは、本盤の収録の中で注目度の高いナンバーだという気がしている。 ディープ・パープル再結成の話もあって、レインボーはこの盤を最後に解散してしまった(ただし、1990年代、2010年代にそれぞれメンバー総入れ替えでブラックモアはレインボー名義で再び活動している)。キャッチーでポップな部分を含んだハード・ロックという路線は、次の世代へとバトンをつないだということだろうか。例えば、ボン・ジョヴィが結成されたのは本盤がリリースされたのと同じ1983年(デビュー盤の発表は翌年)であった。時代は着実に移り変わりつつあった。レインボーの“ラスト作”は、そんな当時の環境を映し出すアルバムでもあったとも言えるのかもしれない。[収録曲]1. Stranded2. Can't Let You Go3. Fool for the Night4. Fire Dance5. Anybody There6. Desperate Heart7. Street of Dreams8. Drinking with the Devil9. Snowman10. Make Your Move1983年リリース。 【輸入盤CD】Rainbow / Bent Out Of Shape ストリート・オブ・ドリームス [ レインボー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年02月19日
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音楽的バックグラウンドが詰まったデビュー盤 見るからにマニアックそうな青年の顔写真のジャケット…。1970年にリリースされたジョン・ホール(John Hall)の『アクション(Action)』というアルバムである。ジョン・ホールは、1948年、ボルチモア出身で、ニューヨークで育ったミュージシャンである。東海岸で頭角を現していった彼は、1972年にはオーリアンズを結成し、やがてこのバンドのヒット曲「ダンス・ウィズ・ミー」などに結びつく。本盤は、その前の段階で彼がソロとしてリリースしたデビュー作というわけである。 ギタリストであるジョン・ホールのスタイルの確立が見てとられるアルバムと言われたりもするが、筆者としては、本盤の魅力はこの点だけではないという風に思う。ブルース・ロック、スワンプ、カントリーなど彼のバックボーンとなった音楽を消化し、彼なりのヴォーカルとギターで表現している。そのため、確かに雰囲気の異なる楽曲が散りばめられているという印象は免れないが、このヴォーカルがこれら作風の異なる素材を貫く一つの軸になっているようにも思う。 私的にお勧めのナンバーをいくつか挙げておきたい。まずは、ヴォーカルに着目すると、1.「ニュー・トゥーン」と7.「アクション」がいい。加えて、8.「シング・ア・ブルース・ソング」も、筆者としてはお気に入りである。とりわけ、表題曲の7.はギターを強く前に出しつつ、ヴォーカルのよさがうまく組み合わされているように思う。あと、ギターに注目するなら、9.「パーク・レーン・ブルース」、10.「スカッフル」といったインスト曲も含まれている。とりわけ、後者の10.は筆者としてはお勧めの1曲だったりする。 ちなみに、冒頭で触れた写真の青年ことジョン・ホールは、21世紀に入って民主党所属の下院議員としても活躍した。その一方、演奏活動も続けたのだけれど、2019年いっぱいで引退しているとのことだ。[収録曲]1. Nu Toone2. Look in My Eyes3. Where Would I Be4. Milwaukee5. True Love6. Sitting on Top of the World7. Action8. Sing a Blues Song9. Park Lane Blues10. Scuffle11. Going to the Valley1970年リリース。 アクション/ジョン・ホール[CD]【返品種別A】 アクション [ ジョン・ホール ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年02月17日
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音よし演奏よし歌よし、心に染み入る好作 ジェームス・テイラー(James Taylor)は、1970年の『スウィート・ベイビー・ジェームス』がヒット作となり、以降、順調にアルバム・セールスを積み上げていった。今回取り上げる『ゴリラ(Gorilla)』は、前作に当たる『ウォーキング・マン』からおよそ1年後にリリースされた第6作となるアルバムで、1975年にリリースされた。前作よりもセールスを伸ばし、全米チャートで6位を記録した。 本盤収録曲のうち、1.「メキシコ」と3.「君の愛につつまれて」がシングルとして発売され、とくに後者は全米5位のヒットとなった。この3.は、マーヴィン・ゲイが10年前にヒットさせていたモータウン曲である。また、さほど目立つ部分ではないものの、バックの女性コーラスは、当時の妻であったカーリー・サイモンが務めている。 上記のシングル2曲以外では、2.「ミュージック」が聴き逃がせない。ジェームス・テイラーの曲作りという意味では、上述の1.「メキシコ」とこの2.「ミュージック」が本盤収録曲の中ではベスト2曲と筆者は思っている。さらにもう1曲、どうしても外しがたい名曲と言えるのが、7.「愚かだった僕」。シンガーとして、心に染み入る歌唱がジェームス・テイラーの本領発揮だと思うのだけれど、この観点からすると、2.「ミュージック」とこの7.「愚かだった僕」が本盤のベスト2曲という風にも言えると思う。 そもそも、ジェームス・テイラーは、弾き語りがベースにあるシンガーソングライターである。本盤だけの傾向ではないとはいえ、作曲がよい、演奏がよい、そして歌唱がよいという三拍子が見事に揃っていることが、本盤からは強く感じ取られる。こういう心に染みる名作は、細々とでもいいから永久に聴き続けられてほしい、そんな風に思わされる1枚だったりする。[収録曲]1. Mexico2. Music3. How Sweet It Is (To Be Loved by You)4. Wandering5. Gorilla6. You Make It Easy7. I Was a Fool to Care8. Lighthouse9. Angry Blues10. Love Songs11. Sarah Maria1975年リリース。 【中古】 ゴリラ /ジェイムス・テイラー(Rock) 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年02月15日
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死後10数年を経て世に出たお蔵入り盤 兄リチャードと妹カレンによるデュオ、カーペンターズ(Carpenters)のカレン・カーペンター(Karen Carpenter)による初ソロ作となるはずだったのが、1980年に一度は完成した『遠い初恋(Karen Carpenter)』というセルフタイトル作(邦題は、収録ナンバーの邦訳がそのままアルバムのタイトルとなっている)である。 本盤作成の経緯というのは、次のようなものだった。1979年、薬物依存症からの回復のため、カンザス州のリハビリ施設に留まり、カーペンターズの活動は一時的に休止することになった。その間にカレンはニューヨークへ渡り、フィル・ラモーンをプロデューサーとしてソロ作の制作に取り掛かった。けれども、完成したアルバムは、レコード会社(A&M)にとっても、兄リチャードにとっても納得のいくものではなく、結局カレンは発表しないことを決断してお蔵入りとなった。 1983年のカレン死去の後、本盤の収録曲のうち1.「ラヴラインズ」などいくつかのナンバーは、未発表曲集アルバム『ラヴラインズ』に収められた。そして、カレンの没後13年が経った1996年、お蔵入りとなった1980年作の本盤は正式リリースとなった。その背景には、日本でカーペンターズのリヴァイヴァルがあり、これに伴って日本だけでなく米国でもリリースされることになったらしい。 お蔵入りとなったこのアルバムのどこがよくなかったのか。その当時はカレンも悩んでいたというが、全体としてカーペンターズと大きく作風が違っているのは明白である。1980年頃のディスコ調サウンドやフュージョン的なサウンドが特徴的である。このイメージチェンジの捉え方は、聴き手によってさまざまなのだろうけれど、少なくとも当時のレーベルや兄リチャードには前向きに捉えられるものではなかったということなのだろう。カレンの没後となっては、貴重な音源ということでリリースされたが、聴衆にとってみれば、おそらくはカレンの歌声がさらに聴けてよかったという人もいれば、カーペンターズとのイメージの違いに違和感を感じる人もいるという、そんな作品と言えるのかもしれない。[収録曲]1. Lovelines2. All Because of You3. If I Had You4. Making Love in the Afternoon5. If We Try6. Remember When Lovin' Took All Night(愛の想い出)7. Still in Love With You8. My Body Keeps Changing My Mind9. Make Believe It's Your First Time(遠い初恋)10. Guess I Just Lost My Head11. Still Crazy After All These Years(時の流れに)12. Last One Singin' the Blues1996年リリース。 遠い初恋 [ カレン・カーペンター ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年02月11日
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バランスのとれた好作 ジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)と言えば、イーグルスのギタリストというイメージが強いことだろう。とはいえ、無名の人物がイーグルスで突然に開花したり注目を浴びたというわけではなかった。彼は、1975年にイーグルスに加入した時点で、既に複数のバンドなどでの活動歴を重ねたアーティストであった。1960年代末から1970年代に入る頃までの数年間、ジェイムズ・ギャングで活動したが、ソロの活動へと向かい、バンドを脱退して発表したのが、1972年の本盤『バーンストーム(Barnstorm)』だった。 少々ややこしいのだけれど、この作品の性質について少しだけ説明しておこうと思う。本盤はジョー・ウォルシュ名義の“バーンストーム”という表題の作品ということになっている。けれども、実態としては、ジョー・ウォルシュがバーンストームという名のバンドを結成していて、その実質的ファースト作がこのアルバムということになる。 本盤の楽曲と演奏は、ジェイムズ・ギャングのハードな演奏のイメージとは異なり、適度にロックしつつ、適度にマイルドかつキャッチーである。バーンストームのメンバーは、ウォルシュに加え、ベーシストのケニー・パサレリ、ドラマーのジョー・ヴァイタル(ヴィタール)。注目すべきは、それぞれが実にマルチなプレーヤーという点である。前者はギタロン(メキシカン・ギター)を操り、後者はピアノやキーボード、さらにはフルートも担当する。ウォルシュもギターに加えてシンセやキーボードを演奏するので、3人の演奏面の引き出しは多い。さらに、全員がヴォーカルを担当できたというのもそうしたマルチぶりの重要な要素だった。 本盤で筆者が特に気に入っているのは、アルバム全体の統一されたトーンである。特にアルバム前半にこのことが強くあてはまる。前に迫って来るのではなく、奥行きのある空間から届いてくるサウンド、といった雰囲気と言えばよいだろうか。1.「ヒア・ウィ・ゴー」は収録曲の中で上位の好ナンバー。本盤の楽曲の大半はウォルシュのペンによるが、4.「ジャイアント・ボヘモス」と5.「マザー・セッズ」は各メンバーとの共作で、インストの4.は特に聴きどころと言える。 アルバム後半に移って、やや牧歌的な雰囲気の曲も目立つようになる。上で述べたように奥行き感のあるサウンドが基本なので、前へ前へという目玉的な目立つ曲がないというのも事実だけれど、粒ぞろいの好曲がひたすら続く。筆者の好みとしては、6.「バードコール・モーニング」、8.「お前の世界(アイル・テル・ザ・ワールド)」がいい。ちなみに、ちょっとだけハードなギター・サウンドが顔をのぞかせる場面として、上述の5.と9.「ターン・トゥ・ストーン」がある。アルバムを通して聴いたとき、単調さを避ける上でのいいアクセントと言える曲配置になっていると感じる。[収録曲]1. Here We Go2. Midnight Visitor3. One and One4. Giant Bohemoth5. Mother Says6. Birdcall Morning7. Home8. I'll Tell the World9. Turn to Stone10. Comin' Down1972年リリース。 バーンストーム [ ジョー・ウォルシュ ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年02月03日
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ギタリスツ・ギタリストの実質的ファースト作 フェンダー社製のギター、テレキャスターによるサウンドで聴き手を魅了した演奏者の筆頭と言えば、このロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)の名を挙げることができるだろう。アーティストとしては決して名が広く知れ渡っているというわけではないけれども、彼をリスペクトする有名ミュージシャンは多い。彼の影響を受けたギタリストの中には、例えば、ゲリー・ムーア、ジェフ・ベック、デヴィッド・ギルモア、ジェリー・ガルシア、ニルス・ロフグレン、エリック・クラプトンなどがおり、その影響力の大きさがうかがえる。 そんな彼には、本盤の前に自分でプロデュースしてライヴ会場で販売していた自主製作盤があるものの、きちんとした形で最初に制作されたのは、ポリドールからリリースされた1972年のこのセルフ・タイトル作、『ロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)』だった。 最初の作品ということで、若干のぎこちなさが残っているように感じられるのは事実である。けれども、職人芸のギター演奏は随所に散りばめられており、十分に聴きごたえがある。『セカンド・アルバム』、『ライヴ・ストック』、あるいは『メシアが再び』など、一般的に先に手に取りそうな盤が他にあるのは事実だけれど、2枚目や3枚目として、ブキャナンの原点とも言えそうな本盤は、手を出して損はない。 この盤の全体的な雰囲気は、いくぶん長閑と言ってもいいように思う。例えば、セカンド作の雰囲気と比べると、良くも悪くも“ハードさ”に欠ける。カントリー的なアプローチの曲が多い点は、好みなので何とも言い難いが、ブルース・ロック的なハードコアと、ギター芸術的な長閑さは、初期フリートウッド・マックなんかにも見られるように表裏一体の関係と言えるのかもしれない。そんなことを思わず考えてみたりする。 さて、その“長閑さ”という観点で注目したい演奏の筆頭は、1.「スウィート・ドリームス」である。長閑なカントリー調はほかのナンバーでも聴けるのだけれど、このまったり感は、上述のフリートウッド・マックで言えば、「アルバトロス」に通ずるものがある。その一方、彼のブルースあるいはブルース・ロック的ギター・プレイという意味で注目したいのは、7.「メシアが再び」。この曲は1976年のアルバム(『ア・ストリート・コールド・ストレート』、日本盤の表題は『メシアが再び』が表題)にも再録されている。あともう1曲、聴き逃せないと思うナンバーを挙げておきたい。6.「ピートズ・ブルー」という曲がそのナンバーなのだけれど、通好みの(というか、通にしか受けなさそうな)このテレキャス・サウンドの演奏…。きっとこういうところが、一般受けではなくミュージシャン受けとなってしまう原因なのだろう。けれども、それがブキャナンの魅力という結論にたどり着くしかない、というのが筆者の見解だったりする。[収録曲]1. Sweet Dreams2. I Am a Lonesome Fugitive3. Cajun 4. John's Blues5. Haunted House6. Pete's Blues7. The Messiah Will Come Again8. Hey Good Lookin'1972年リリース。 ロイ・ブキャナン [ ロイ・ブキャナン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年01月26日
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ロニー・スペクター追悼 もう1週間以上が経ってしまったのですが、ザ・ロネッツのリード・シンガーだったロニー・スペクター(Ronnie Spector)ことヴェロニカ・ベネットが今月(2022年1月)12日に癌で亡くなったと報じられました。享年78歳でした。 彼女の代表作といえば、何と言っても、1963年のフィル・スペクター(後のロニーの夫)によるヒット曲「ビー・マイ・ベイビー(Be My Baby)」(邦題は「あたしのベビー」)ということになるかと思います。まずは、往時の何とも愛らしい姿とヴォーカルの映像をご覧ください。 続いては、後のライヴでのパフォーマンスをご覧ください。まずは、ベリンダ・カーライルとグレース・スリックをバックに迎えての豪華なライヴでの歌唱です。 さらにより最近に近いものをということで、2015年のステージの様子をご覧いただこうと思います。 さて、ロニーと言えばこの「ビー・マイ・ベイビー」ばかりがクローズアップされがちですが、少しは違ったものも載せておきたいと思います。ビリー・ジョエルの「さよならハリウッド(Say Goodbye to Hollywood)」をカバーしている1970年代の映像です。 さらに、よく知られた話ではありますが、1980年代にエディー・マネー(Eddie Money)が「テイク・ミー・ホーム・トゥナイト(Take Me Home Tonight)」(参考過去記事)という曲をヒットさせました。この曲には”ビー・マイ・リトル・ベイビー”などというくだりがあり、その部分を実際に歌っているのが、ロニーでした。ちなみに、エディー・マネーは2019年9月に闘病生活の末に70歳で亡くなっており、お二人とも鬼籍に入ってしまったということになります。 ロニーのご冥福をお祈りします。R.I.P. 【輸入盤CD】Ronettes / Best Of (ロネッツ) ヴェリー・ベスト・オブ・ロニー・スペクター [ ロニー・スペクター ] 【輸入盤CD】Eddie Money / Best (エディ・マネー) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年01月21日
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“スーパーグループ”的なメンバー再会盤 1965年にデビューしたザ・バーズは、やがて結束を失い、1968年末には分解状態となった。1973年には、メンバーが再会して短期間活動したものの、結局はその年のうちに解散してしまった。そこからさらに年月が流れ、1979年、オリジナル・メンバーのうちの3人によるアルバムが発表された。それが、本盤『マッギン、クラーク&ヒルマン(McGuinn, Clark & Hillman)』であった。 この“再結成”的にも見える新たなユニットの誕生には、前哨となる出来事があったという。1977年、ロサンゼルスのトルバドゥールでのロジャー・マッギンのライヴにジーン・クラークがやってきて、2人が「霧の8マイル」を歌った。このトルバドゥールは、1964年、つまりザ・バーズ結成の年にマッギンがクラークに(さらにはデヴィッド・クロスビーにも)出会った場所であった。やがて、こうして再会した2人にクリス・ヒルマンが加わった。3人は1977~78年にかけて活動を共にし、翌1979年初頭にこの盤を発表するに至ったという経緯である。 本盤の内容は、当然のことながらザ・バーズの再現というわけではない。けれども、ザ・バーズで実現しなかったことの続きを疑似体験する聴き手もいるのではないかと思う。三者三様の曲が並ぶが、それらは三者がぶつかり合うというよりは、共存し、時に融合するといった印象である。 個人的な好みで注目の何曲か挙げてみたい。冒頭の1.「ロング・ロング・タイム」は、本盤の中でも特に気に入っているナンバーの一つで、さらりと流れていくような曲調とヴォーカルがいい。3.「ドント・ユー・ライト・ハー・オフ」は、マッギンらしい工夫されたサウンドと曲の展開がいい。クラーク作の5.「バックステージ・パス」は、一見すると地味な曲ではあるが、筆者的には案外こういうのが響いたりする。対して8.「サッド・ボーイ」はヒルマンらしい曲とヴォーカルで、彼が作り出すこういったR&Bや南部音楽に根差したロックの本領発揮のナンバーとなっている。最後の10.「バイ・バイ・ベイビー」はマッギンのペンによるナンバーで、一抹の寂しさを残すバラード。 このように収録曲をいくつか見てくると、何だかばらばらの作品ではないかとの疑念を持つ人もいるかもしれない。けれども、上で書いたように、むしろそれは“共存”なのである。作風の違いはアルバムを通して聴いたときの抑揚になり、時にメンバーの力が融合するという、そういう点では実にバランスのよい(しかも微妙な均衡の上に成立している)作品と言えるのかもしれない。[収録曲]1. Long Long Time2. Little Mama3. Don't You Write Her Off4. Surrender To Me5. Backstage Pass6. Stopping Traffic7. Feelin' Higher8. Sad Boy9. Release Me Girl10. Bye Bye, Baby1979年リリース。 [枚数限定][限定盤]マッギン、クラーク&ヒルマン/マッギン、クラーク&ヒルマン[CD]【返品種別A】 マッギン、クラーク&ヒルマン [ マッギン、クラーク&ヒルマン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ a href="//music.blogmura.com/rock/ranking.html" target="_blank">
2021年12月09日
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自然体のカッコよさの極致 “人は第一印象が8割”などと言われることもあれば、その一方で、“人は見かけじゃない、中身だ”などと言われたりもする。見てくれがすべてではないにしても、見かけだけを繕うのには限界がある。裏を返せば、“中身”は何らかの形で“外見”に反映されるというのもまた真なのかもしれない。 そんな真理(?)を知ってか知らずか、中身をそのままにさらけ出したかのような作品と言えそうなのが、ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)の『ブループリント(Blueprint)』である。ソロとしてのスタジオ第3作(1973年発表)で、“自然体”のロリーの姿がそのままアルバムになったかのような、つまりは、彼の“人となり”が、そのまんま音楽化されたという印象を筆者は抱いている。 上記のような観点から、注目したい曲をいくつか挙げてみたい。何と言っても筆頭は、1.「ウォーク・オン・ホット・コールズ」。この曲を聴くたびに思うのだけれど、これと同じパフォーマンスをそんじょそこらのミュージシャンがやっても、ただのキザ野郎になってしまう。ロックに、ブルースに、ギターに生きる彼の自然体だからこそ、聴き手はそこに魅力やカッコよさを見ることができるのだと思う。 続いて、5.「レイス・ザ・ブリーズ」はギターがなかなか聴きどころになっているのだけれど、このプレイもまた体から自然と滲み出ている感じがとくに伝わってくる。ギターだけではない。上の1.に加えて、6.「セヴンス・サン」のヴォーカルも自然体。決して、ヴォーカリストとしての技量がどうとかという問題ではない(どちらかというと彼のヴォーカルは詞を言い放つというか歌い放すような調子である)。このリズムや楽器と完全にシンクロした歌い手という側面も、筆者が思うにロリー・ギャラガーの外せない魅力なのである。 ついでにあと二点ばかり、付け加えておきたい。アコースティックな演奏もロリー・ギャラガーの魅力で、本盤では、3.「バンカーズ・ブルース」とインスト曲の7.「アンミリタリー・トゥー・ステップ」が注目。それから、2000年のリマスターによって最後の2曲が追加されているが、これら2曲もアルバム本編の収録曲に負けない好曲・好パフォーマンスだと思う。[収録曲]1. Walk on Hot Coals2. Daughter of the Everglades3. Banker's Blues4. Hands Off5. Race the Breeze6. Seventh Son of a Seventh Son7. Unmilitary Two-Step8. If I Had a Reason~以下、リマスターCDのボーナス・トラック~9. Stompin' Ground 10. Treat Her Right1973年リリース。 ブループリント +2 [ ロリー・ギャラガー ] 【輸入盤CD】Rory Gallagher / Blueprint 【K2018/3/23発売】(ロリー・ギャラガー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年12月06日
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ジェフ・ベック・グループとしてのデビュー盤 エリック・クラプトンの後釜としてヤードバーズでギタリストを務めたジェフ・ベックは、1967年に自身のバンドを結成した。このジェフ・ベック・グループ(The Jeff Beck Group)は、最初の数年(第1期、ファースト・グループ)と短い断絶を挟んだその後の数年(第2期、セカンド・グループ)に分けられるのだけれど、本盤『トゥルース(Truth)』は、そのいちばん最初のアルバムに当たるもので、1968年にリリースされた。 ギターのジェフ・ベックが集めたメンバーは、ロッド・スチュワート(ヴォーカル)、ロン・ウッド(ベース)、ミック・ウォーラー(ドラムス)を核とする面々。とりわけ、ロッド・スチュワートとロン・ウッドは、その後の華々しいキャリアの中で、全米15位となった本盤が出世作となった。 アルバムの内容としては、ブルース曲のカヴァーや改作が中心で、そういう意味では、ブルースロックのアルバムだと言える。けれども、これを正面切ってブルースロックだと断言するのには、個人的にはどこかしら躊躇いがある。それにはいくつか理由があって、ブルースロックというにはヘヴィーな、むしろハードロックに通ずるサウンドがとくに前半(LPのA面)に目立つこと、さらには、随所であまりにジェフ・ベックらしいギターのフレーズが登場することなんかが挙げられる。そういう意味では、ブルースロックという呼称で括られる音楽から、次のステップへ半分くらいは脱皮してしまっているサウンドだと言っていいのかもしれない。 個人的にお勧めの曲を数曲だけでも触れておきたい。1.「シェイプス・オブ・シングス」は、各楽器のバランスと一体感の上にロッド・スチュワートのヴォーカルが秀逸なナンバー。4.「ユー・シュック・ミー」は、レッド・ツェッペリンがファースト盤でも取り上げているウィリー・ディクスンの曲であるが、ふつうのブルースロック的カバーかと思いきや、ピアノの活躍ぶりと途中からどんどん増してくるハモンドオルガンの存在感が気に入っている。同じくウィリー・ディクスンの曲である10.「迷信嫌い(アイ・エイント・スーパースティシャス)」や、ジミー・ペイジがシングル曲用にとジェフ・ベックに提供した「ベックス・ボレロ」も捨てがたいのだけれど、終わりがなくなりそうなので、あともう1曲にしておきたい。その最後の1曲としては、9.「ブルース・デラックス」を挙げておきたいのだけれど、ピアノ演奏を生かしてのブルースロック調を基礎にしつつも、ヴォーカルと掛け合いをやるギター演奏は後のレッド・ツェッペリンっぽさがあり、そのギターは秀逸なソロを繰り広げ、ところどころ重い音の演奏の部分を含み、7分の長尺が何とも聴きごたえ感満載だと言えるように思う。[収録曲]1. Shapes of Things2. Let Me Love You3. Morning Dew4. You Shook Me5. Ol' Man River6. Greensleeves7. Rock My Plimsoul8. Beck's Bolero9. Blues De Luxe10. I Ain't Superstitious1968年リリース。 トゥルース/ジェフ・ベック[CD]【返品種別A】 【中古】 トゥルース&ベック・オラ/ジェフ・ベック 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年12月03日
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バンド黄金期の超名盤 そもそも、ザ・キンクス(The Kinks)は、ビートルズやローリング・ストーンズのように音楽ファン以外にまで広く知られるわけでもなく、“不当に過小評価を受けてきたバンド”の典型例だと言える。それゆえ、忘れ去られぬよう広く聴き継がれ、その評価が長期的には変わっていってほしいと切実に思う。それでもって、聴き継がれるには、初めてこのバンドを聴く人にとって入口となる盤はどれか、という話は重要であろう。なんだか回りくどくなってしまったけれど、要するに本盤『マスウェル・ヒルビリーズ(Muswell Hillbillies)』は、キンクスを初めて聴くという場合の最初の一枚としてお薦めの最有力候補の一つではないかという話である。 キンクスの最盛期は、1966~67年頃から1972年と言われる。アルバム作品で言うと、『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』(あるいはその前作の『サムシング・エルス』)から『マスウェル・ヒルビリーズ』ということになる。筆者個人としては、1970年代の残りの期間の作品にも愛聴盤が複数あり、キンクスの隆盛はまだまだ続くと言いたくなることもあるのだけれど、世間的にはこのように言われるのが一般的である。つまるところ、この作品は、キンクスが最も才能を発揮していた時期の最後を飾る盤で、なおかつバンドの最高傑作と称される盤というわけである。 一言でいえば、ブルースやカントリーといった米国音楽の英国的アダプテーションということになるだろうか。音楽的には米国風なものが随所に見られるのだけれど、トータルでは英国風なのである。かつキンクスらしいコンセプト・アルバムになっているうえ、現代社会を風刺的に描き出すレイ・デイヴィスのソング・ライティングが光る。これほど成功する要素がうまく揃うことは、長く広い音楽業界でもそうそう簡単に起こることがない。そう思えるほど、こうした諸要素が調和し、一つの作品に昇華している。 筆者のお気に入り曲を少し挙げておきたい。まず、20世紀から逃避したいと歌う1.「20世紀の人」。この曲のように、現代社会の生きづらさの嘆きやそこからの逃避といったテーマを皮肉っぽく詞にするレイ・デイヴィスの真骨頂は、本アルバムのあちらこちらに顔を出す。6.「複雑な人生」は、厄介事を切り捨ててシンプルに生きようという、21世紀の現在においても、忙しい現代人には必聴のナンバー。こんな内容をこういう風にまったり演奏してのけるところが何よりの魅力だと言える(ちなみに、まったりした演奏という点では、2.「パラノイア・ブルース」も筆者のお気に入りだったりする)。あと、何が何でも聴き逃がせないのは、アルバムのラストを飾る表題曲の12.「マスウェル・ヒルビリー」。カントリー・ロック風の曲調にのって、ロンドン郊外のマスウェル・ヒルビリーという小さな箱の中に閉じ込められても、画一化されたゾンビーなんかになるものか、という詞の内容。これもまた、“みんな平等”という名のもとの画一化が幅を利かせ続けている今の日本社会への批判としても聴き継がれたいと思うナンバーだったりする。 すっかり長文になってしまったが、最後に、本盤のジャケット・ワークが秀逸なことにも触れておきたい。収録曲の内容とともに、ジャケット(表面・内面とも広げた形の写真)もまたロック史上、最高レベルのものだと個人的には思っていたりする。[収録曲]1. 20th Century Man 2. Acute Schizophrenia Paranoia Blues3. Holiday4. Skin and Bone5. Alcohol6. Complicated Life7. Here Come the People in Grey8. Have a Cuppa Tea9. Holloway Jail10. Oklahoma, U.S.A.11. Uncle Son12. Muswell Hillbilly~以下、CDボーナス・トラック~13. Mountain Woman14. Kentucky Moon1971年リリース。 マスウェル・ヒルビリーズ+2/ザ・キンクス[SHM-CD]【返品種別A】 マスウェル・ヒルビリーズ +2 [ ザ・キンクス ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月30日
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音楽的豊かさと多彩さが際立つ記念碑盤 1965年。この年は、ボブ・ディランが『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』と『追憶のハイウェイ61』を発表した年である。フォークとロックの垣根が取り壊され、その間が埋まっていくという音楽的には重要な転換期だった。ただ、そうは言っても、フォークとロックの距離が狭められていくという動きは、何もディラン一人に限った話ではなかった。例えば、“フォーク・ロック”の始まりは前年のイギリスのアニマルズによる「朝日のあたる家」と言われたりすることもある。 1960年代半ばのこうした音楽的胎動に関して、忘れてはならないアーティストが、このティム・ハーディン(Tim Hardin)と言えるように思う。ディランと同じ1941年の生まれで、フォーク畑のシンガーソングライターである。彼のデビュー盤となった本作『ティム・ハーディン1(Tim Hardin 1)』は、1966年に発表されたものであるが、録音時期は1964年の5月と11月、および1965年12月というから、まさしくこうした動きの真っただ中である。結論から先に言ってしまうと、フォーク・ロックの誕生と確立に携わった功績は、ディランのそれと同じと言えるほど評価されていいように思う。 レコーディングの参加メンバーとしてまず目につくのは、ジョン・セバスチャン(ハーモニカ)である。本盤発表時点では彼はラヴィン・スプーンフルのメンバーとして活躍していたわけだが、録音時期はちょうどラヴィン・スプーンフルのデビューと前後する時期であり、ブルース・ハープの腕を磨いていった頃だった。さらに付け加えると、セバスチャンは同じ時期にボブ・ディランの『ブリンギング~』のレコーディングにも参加していたとのこと。さて、他のメンバーにも目を向けると、ゲイリー・バートン(ヴィブラフォン奏者)やジミー・ヒースのバンドでプレイしたボブ・ブッシュネル(ベース奏者)などジャズ寄りのミュージシャンが参加している。こうしたメンバーの取り合わせ自体が既にただのフォークではない方向を向いていたことを示しているように思われる。 注目点としては、後に様々なミュージシャンにカバーされることになる楽曲が複数含まれていることが挙げられる。7.「リーズン・トゥ・ビリーヴ」はそうした楽曲として有名だけれど、他にも1.「ドント・メイク・プロミセズ」、11.「ミスティ・ローゼズ」や12.「ハング・オン・トゥ・ア・ドリーム」が収められている。とはいえ、この点だけでは、ソングライターとしての評価にしかならない。冒頭で述べたフォーク・ロックの展開という文脈からは、サウンド面にも注目したいところである。あちらこちらでストリングスが効果的に使われ、各曲のテンポに緩急がつけられ、シンプルなフォークやブルースから意図的に乖離していこうとしてるかのように見える。3.「スマグリン・マン」や10.「エイント・ゴナ・ドゥ・ウィズアウト」のようなナンバーと、6.「ネヴァー・ハプン・アゲイン」や12.「ハング・オン・トゥ・ア・ドリーム」のような曲調が同居する不思議さ。そして、筆者はこういうヴァラエティの中ではどちらかといえば中道的と位置づけられそうな1.「ドント・メイク・プロミセズ」や11.「ミスティ・ローゼズ」が気に入っている。[収録曲]1. Don't Make Promises2. Green Rocky Road3. Smugglin' Man4. How Long5. While You're on Your Way6. It'll Never Happen Again7. Reason to Believe8. Never Too Far9. Part of the Wind10. Ain't Gonna Do Without11. Misty Roses12. How Can We Hang on to a Dream?~以下、CDリイシューのボーナス・トラック~13. While You're on Your Way (alternate version)14. It'll Never Happen Again (alternate version)15. She Ain’t Home16. You Say You Love Me17. How Time Flies1966年リリース。 ティム・ハーディン1 [ ティム・ハーディン ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年11月27日
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若きディランの偉大なる金字塔 1962年にデビューしたボブ・ディラン(Bob Dylan)は、まもなく“フォークの貴公子”の枠を飛び出し、エレクトリック楽器を用い、フォーク・ロックの確立(それは従来のフォークの立場からすると、“裏切り”とも揶揄された)へと動いていくこととなった。この流れが如実に出たのは、1960年代のちょうど半ばのことで、1965年には、『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』と本作『追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)』が発表された。『ブリンギング~』も十分に革新的だったけれども、これらの流れが“歴史”となった現在から振り返ると(なおかつ筆者自身の個人的好みも含め)、この『追憶のハイウェイ61』のインパクトは、50年以上が経過しても色褪せることのない強烈な輝きを特に放ち続けているように思う。 アルバムは全米チャートで3位、全英チャートで4位を記録した。シングルとしても1.「ライク・ア・ローリング・ストーン」が全米2位、全英4位のヒットとなった。アルバム表題(かつ7.の表題)の“ハイウェイ61”というのも、フォークという枠には収まらず、ブルースからロックに至るまで、様々な逸話の残る場所(道路)を題材にしている。ベッシー・スミスが事故で亡くなったのも、ロバート・ジョンソンが“悪魔に魂を売り渡したクロスロード”も、プレスリーが育った場所も、このハイウェイ61だった。 アルバム全体として、フォーク色よりもエレクトリック・サウンドが中心となっていて、フォークらしいサウンドが展開されるのは、唯一、9.「廃墟の街」に過ぎない。注目曲としては、ずば抜けて存在感が強いのは、有名な1.「ライク・ア・ローリング・ストーン」。言わずもがな、ボブ・ディランの代表曲であり、この時期のロック音楽の変革、フォーク・ロックの確立を象徴するナンバーである。 この「ライク・ア・ローリング・ストーン」の演奏にも顕著に表れているように、このような“革新”の立役者は、ボブ・ディラン本人だけでなく、それを支える演奏陣に追うところも大きかった。その代表が、オルガン演奏を披露しているアル・クーパー、そしてギタリストのマイク・ブルームフィールドであった。本盤のベストは、この1.「ライク・ア・ローリング・ストーン(転がる石のように)」と、続く2.「トゥームストーン・ブルース(墓石のブルース)」、そして、表題曲の7.「追憶のハイウェイ61」(もちろん、他の曲が聴くに値しないなどというつもりはこれっぽっちもないが、それでもなお、この3曲は必聴という意味だと理解されたい)。“すべてが起こってしまった後”からすると、これがフォーク・ミュージシャンの作品とは全く思えないだろう。無論、当時は新たな音楽に向けた胎動とか、伝統的なフォーク・ファン側の反発(ディランに対する“裏切者”扱い)もあったわけだけれど、半世紀以上経った今から見れば、やはりこれは若きボブ・ディランの輝かしき金字塔として燦然と輝く盤ということになるのだろう。[収録曲]1. Like a Rolling Stone 2. Tombstone Blues3. It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train To Cry4. From a Buick 65. Ballad of a Thin Man6. Queen Jane Approximately7. Highway 61 Revisited8. Just Like Tom Thumb's Blues9. Desolation Row1965年リリース。 NICE PRICE!::追憶のハイウェイ61 [ ボブ・ディラン ] 【輸入盤CD】Bob Dylan / Highway 61 Revisited (ボブ・ディラン) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月13日
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短命ながら着実な影響を後世に残した米国バンド ザ・レフト・バンク(The Left Banke)は、キーボード奏者のマイケル・ブラウンを中心とした米国のバンド。1964年に結成されたバンドを母体とし、1966年にシングル「いとしのルネ」のヒットでデビューを果たす。そして、その翌年にリリースされたファースト・アルバムが、この『いとしのルネ(Walk Away Renée / Pretty Ballerina)』という盤であった。 このバンドの音楽は、ビートルズなどのブリティッシュ・サウンドの影響を受け止めた演奏スタイルが基本となっている。加えて、クラシカルなストリングスのアレンジから、“バッハ・ロック”とか“バロック・ロック”などとも形容される。 本盤は、リリース前年のシングル曲(とそのB面)を軸にアルバム化されたものと言える。1.「プリティ・バレリーナ」は、やはり本盤の前にヒットしたセカンド・シングルで、全米チャートでは、ビルボードで15位、キャッシュボックスで12位を記録した。同じく本盤の前のシングルとしては、上記のデビュー・シングル、7.「いとしのルネ」が、ビルボードで5位、キャッシュボックスで2位という大きなヒットとなった。さらに、2.「シー・メイ・コール・ユー・アップ・トゥナイト」は、本盤リリースの後にシングル・カットされた。 これら3曲が本盤の代表曲で、レフト・バンクスの魅力を象徴してはいるのだけれど、他の曲がこれらに及ばないというわけではない。収録曲の質の高さは、本盤の大きな特徴だと言え、おそらくはこういうところが後世のアーティストに影響を残す要因になったのではないかと思ったりする。個人的な好みでは、4.「アイヴ・ゴット・サムシング・オン・マイ・マインド」や9.「シャドウズ・ブレイキング・オーヴァー・マイ・ヘッド」、さらには、11.「レイジー・デイ」なんかがお勧め曲である。 ちなみに、本盤リリースの翌年に当たる1968年にバンドはセカンド作を発表しているが、バンドの中心となっていたマイケル・ブラウンが完成前に脱退してしまった。その後、再結成もあったが、オリジナル・メンバーが揃っての新作が制作されることはなかった。その意味では、本盤は、レフト・バンクの真の姿を後世の私たちに見せてくれる唯一の盤がこのアルバムだという風にも言えるのかもしれない。[収録曲]1. Pretty Ballerina2. She May Call You Up Tonight3. Barterers and Their Wives4. I've Got Something on My Mind5. Let Go of You Girl6. Evening Gown7. Walk Away Renée8. What Do You Know9. Shadows Breaking Over My Head10. I Haven't Got the Nerve11. Lazy Day1967年リリース。 いとしのルネ [ レフト・バンク ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月04日
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これぞハード・ブギーの代表盤 フォガット(Foghat)は、英国のブルース・ロック・バンド、サヴォイ・ブラウンから脱退したメンバーを中心に結成された。1971年のデビューの後、大きなヒットには恵まれなかったが、そんな彼らが注目を集めた盤と言えば、1975年発表の『シティ・ロックン・ロール(Fool for the City)』(当時の邦題はこのようになっていたが、現行では、邦題も原題通りに『フール・フォー・ザ・シティ』となっている)である。本盤は、それまでの4枚のアルバムと比べて最も上位となる全米チャート23位にランクインした。また、シングル曲にもなった3.「スロー・ライド」の全米20位、全カナダ14位は、フォガットの歴史の中でシングル・ヒットとしては最高位である。 そんなフォガットの代名詞は“ハード・ブギー”あるいは“ブギー・ロック”である。そしてそんな彼らのブギー・サウンドが如実に表れた盤という意味で、上のセールスとは別に、本盤は彼らの代表盤だと言える。全7曲、全編で35~36分というコンパクトな収録時間ながら、当時のフォガットが確立していった音楽の形がよく表れている作品だという風に感じる。 1.「シティ・ロックン・ロール(フール・フォー・ザ・シティ)」は、勢いと盛り上がりで一気に聴かせる曲。この曲もシングルとして発売されたそうだが、全米45位とのことで、もっと売れても不思議ではなかったように感じる。曲調もギターもとにかくカッコよく、聴き手に元気をくれるナンバーだと思う。上述の3.「スロー・ライド」は、スライド・ギターの聴かせ所と抑揚のついた曲調が絶妙に組み合わさった好ナンバーである。4.「テラプレイン・ブルース」は、これまた絶対に外せない本盤の注目曲。かのロバート・ジョンソンのブルース曲を彼ら風にアレンジして演奏しており、これぞブルース・ロックという、デビュー盤以来の彼らの腕前が存分に発揮されている。7.「テイク・イット・オア・リーヴ・イット」は、少し他とは作風が違っているが、これは、ベースのニック・ジェイムソンが唯一曲作りを担当したナンバー(ロンサム・デイヴとの共作)。フォガットというバンドのイメージからは少し外れるかもしれないが、こういう路線の続きも聴きたかったと思わせてくれる(ジェイムソンがフォガットに在籍したのは一時だけで、残念ながら実現はしなかったのだけれど)。[収録曲]1. Fool for the City2. My Babe3. Slow Ride4. Terraplane Blues5. Save Your Loving (For Me)6. Drive Me Home7. Take It or Leave It1975年リリース。 【中古】 フール・フォー・ザ・シティ /フォガット 【中古】afb 【輸入盤CD】FOGHAT / FOOL FOR THE CITY (フォガット) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年11月01日
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地味ながら忘れ去られてはもったいないアルバム U2(ユー・トゥー)というバンドは、1970年代後半にアイルランドで形成された。1980年にデビュー盤を発表してからしばらくは、地元や一部の国では人気を得たものの、世界的に広く認知されたのは、1983年のサード作『WAR(闘)』だった。 本盤『アイリッシュ・オクトーバー(October)』は、1981年に発表された、彼らのセカンド・アルバムである。U2の初期作品らしく、全般に地味で、目立ったヒット曲もないことから、忘れ去られがちなアルバムでもある。 実際、その当時の筆者も、当時のU2によく見られた“澱んだ雰囲気”に馴染めなかった。でも、後になってそれとは別の感想を持つようになったというのも事実である。まず、その“澱んだ雰囲気”というのは、アイルランドという背景もあるのだろうが、それに加えて20歳そこそこの若者たちが作り出しているという点。さらに、その澱んだ感じ、あるいはどんよりとした風景の中で、ヴォーカルやギターの光明が走るというのが、実は病みつきになる要素だということも、後から分かった。要するに、こうしたことが理解できるには、最初にこれを聴いたときの筆者は精神的に子ども過ぎたということなのだろう。 そんなことを思い起こしつつ、いくつかの曲について見ておきたい。まず、冒頭の1.「グロリア」は、アイルランド・チャートで10位(全英では55位止まり)となったシングル曲で、後のライヴ盤『ブラッド・レッド・スカイ=四騎=』でもアルバムのオープニングを飾る曲となった。本盤の収録曲の中では抑揚のあるよくできたナンバーだと思う。4.「リジョイス」は、後々広いファン層に受け入れられている楽曲面と演奏面の特徴がかなり含まれていて、個人的にはボノのヴォーカルが気に入っている。 アルバム後半(LP時代のB面1曲目)の6.「トゥモロー」は、イントロからイリアン・パイプス(アイルランドの伝統楽器)がフィーチャーされ、独特の雰囲気を醸し出しているのがいい。あと、後半で筆者が特に気に入っているのは、最後の2曲。10.「スカーレット」は、ドラムス、ピアノ、ギター(もちろんヴォーカルも)と各演奏がしっかりと存在感を出していて、シンプルかつ短めの楽曲なのについついじっと聴き入ってしまう。末尾の11.「イズ・ザット・オール?」は、ジ・エッジのギターが冴えるナンバーの一つで、さほどの派手さはないが、U2らしい演奏で好曲だと思う。[収録曲]1. Gloria2. I Fall Down3. I Threw a Brick Through a Window4. Rejoice5. Fire6. Tomorrow7. October8. With a Shout (Jerusalem)9. Stranger in a Strange Land10. Scarlet11. Is That All?1983年リリース。 【輸入盤CD】U2 / October (U2) 【国内盤CD】U2 / アイリッシュ・オクトーバー[期間限定盤(2020年3月31日)]【K2019/11/6発売】 アイリッシュ・オクトーバー [ U2 ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年10月29日
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ノリノリの1980年代前半ヒット盤 1970年代後半、『ストレンジャー』や『ニューヨーク52番街』といった盤で成功を収めたビリー・ジョエル(Billy Joel)は、その後も順調に自作の発表を重ねていった。そんな中、1983年にリリースされた『イノセント・マン(An Innocent Man)』というアルバムは、他とは少し違った作風と言えるだろう。 ジェームス・ブラウン、ベン・E・キング、シュープリームスなどビリー・ジョエルが影響を受けた音楽、とりわけリズム・アンド・ブルースやドゥーワップの影響を前面に持ってきた曲が目立つ。前作(1982年発表の『ナイロン・カーテン』)の、どちらかというと“暗い”感じからすると、だいぶと気前よくノリノリのアルバムという印象が強いアルバムである。 個別の収録曲についていくつか見ておきたい。ヒット・ナンバーとしては、5.「あの娘にアタック(テル・ハー・アバウト・イット)」と6.「アップタウン・ガール」がある。前者は、数年前の「ロックンロールが最高さ」に続き、ビリーにとって2曲目の全米ナンバー1ヒットとなった。後者は、全米では3位だったが、イギリスで初の1位を記録した。これらのヒット曲を別にして、個人的な好みとしては、表題曲の2.「イノセント・マン」がいい。さらに、3.「ロンゲスト・タイム」は、声はすべてビリー本人によるアカペラ調の曲(ベースとドラムスのブラッシングを含む)である。 以上のようなわけで、ビリー・ジョエルの作風を代表する盤とは言い兼ねる部分はある。けれども、後になってから彼のキャリアを通して見ると、一つの挿話(エピソード)としてなかなかうまくいった盤だったのではと思ってみたりする。[収録曲]1. Easy Money2. An Innocent Man3. The Longest Time4. This Night5. Tell Her About It6. Uptown Girl7. Careless Talk8. Christie Lee9. Leave a Tender Moment Alone10. Keeping the Faith1983年リリース。 イノセント・マン/ビリー・ジョエル[Blu-specCD2]【返品種別A】 イノセント・マン [ ビリー・ジョエル ] 【国内盤CD】ビリー・ジョエル / イノセント・マン 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年10月26日
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表題に違わぬ“これぞロックンロール”な1枚 ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)は、人気絶頂を保ったまま、1970年代を駆け抜けていった。70年代のストーンズの作品の中で“もっともロックしている作品は”と訊けば、きっと多くの人がこれというであろう作品が、1974年リリースの『イッツ・オンリー・ロックン・ロール(It's Only Rock'n Roll)』ということになるのではないだろうか。 本作は、英国で2位、米国で1位を記録し、グリマー・ツィンズ(ミック・ジャガーとキース・リチャーズのコンビのプロデューサーとしての名義)による最初のプロデュース作品となった。それまでのアルバムと比べ、ストレートなロックンロールを目指すという方向性が顕著に見られ、その点で何とも爽快な盤に仕上がっている。 “これぞロックンロール”なナンバーとしては、冒頭の3曲が圧倒的である。1.「イフ・ユー・キャント・ロック・ミー」は、アルバムのオープニング・ナンバーらしく、勢いに満ちており、2.「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」は、少し抑揚をつけながら、ロックンロール感を維持させる。そして、表題曲の3.「イッツ・オンリー・ロックン・ロール(バット・アイ・ライク・イット)」は、タイトルと歌詞からして“たかがロックンロール、でも自分はそれが好きなんだ”という、分かりやすく気持ちいいメッセージの曲で、曲調もまさにそのまんまの好曲である。 他のナンバーももう少し見ておきたい。5.「タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン」は、ミック・テイラーの長編ギター・ソロが聴きどころ。LP時代のB面(CDトラック6.~10.)に入って、7.「ダンス・リトル・シスター」は、これまた表題も詞もいかにもロックンロールといったモチーフが気持ちいい。アルバム最後の曲の10.「フィンガープリント・ファイル」は、ストレートなロックという意味では軽い変化球だが、“FBIに追われる男”というストーリー性が曲と演奏にも反映されていてなかなか興味深い。 とはいっても、このようなアルバムの出来とは裏腹に、キース・リチャーズの薬物問題、ミック・テイラーの不満などの難題をバンドの背後に抱え込んでいた。実際、ミック・テイラーは本作を最後にストーンズを去ることになり、次のアルバム(『ブラック・アンド・ブルー』)では、ロン・ウッドが代替メンバーとして活躍することになる。ちなみに、そのロン・ウッドに絡んだところで、実は本作の表題曲(3.「イッツ・オンリー・ロックンロール」)の原型は彼が作ったと言われる。クレジットはジャガー/リチャーズとなっているものの、その“原型”は、ミック・ジャガーがロン・ウッドのアルバム制作に参加していて、その時に作った2つの曲の一方(もう一方は、ロン・ウッドのソロ作に収録)だったとのことである。[収録曲]1. If You Can't Rock Me2. Ain't Too Proud to Beg3. It's Only Rock'n Roll (But I Like It) 4. Till The Next Goodbye5. Time Waits for No One6. Luxury7. Dance Little Sister8. If You Really Want to Be My Friend9. Short and Curlies10. Fingerprint File1974年リリース。 イッツ・オンリー・ロックン・ロール/ザ・ローリング・ストーンズ[SHM-CD]【返品種別A】 【輸入盤CD】Rolling Stones / It's Only Rock N Roll (ローリング・ストーンズ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年09月30日
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大きなヒットとなったスタジオ第5作 リトル・リバー・バンド(Little River Band,リトル・リヴァー・バンドとも表記)は、オーストラリア、メルボルン発のバンド。1975年にデビューし、とりわけ1970年代後半に米国で人気を得た。そんな彼らのスタジオ作の中で特にヒット作となった1枚が、1979年発表の本盤『栄光のロング・ラン(First Under The Wire)』である。アルバム・チャートでは、全豪2位、全米10位を記録した。 前年発表の前作(過去記事)からは、「追憶の甘い日々(リミニッシング)」(全米3位)、「レディ(レイディ)」(全米10位)のヒットが生まれた。この勢いそのままに、本盤の収録曲からも2つの全米トップ10ヒットが生まれた。 その2つのシングルのうちの1つは、1.「ロンサム・ルーザー(孤独な負け犬)」。全米6位を記録し、このバンドの特徴であるコーラスワークが見事に発揮されたナンバーである。もう1つは、4.「クール・チェンジ(クールな変革)」。こちらは全米10位のヒットとなり、グレン・シャロックのヴォーカルの持ち味が発揮されたスロウ曲である。 もちろん、他の収録曲にも聴きどころがある。筆者のおすすめとしては、6.および7.の「ハード・ライフ」。前奏曲と本編の2つのトラックから成り、LP盤ではB面の冒頭を飾っていた楽曲で、ハードなギターを含むスリリングな演奏がいい。さらにもう少し他の曲も挙げておきたい。8.「ミドル・マン」は、どちらかというと抒情系のスロウ・ナンバーで、やはりバンドのコーラスワークが生かされた曲である。10.「魔力の女」は、やや陰のあるミドル・ナンバーで、この手のどこかに憂いのある曲調は、リトル・リバー・バンドの大きな魅力の一つでもあると個人的には思っている。[収録曲]1. Lonesome Loser2. The Rumour3. By My Side4. Cool Change5. It's Not a Wonder6. Hard Life (Prelude)7. Hard Life8. Middle Man9. Man on the Run10. Mistress of Mine1979年リリース。 栄光のロング・ラン [ リトル・リバー・バンド ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年09月26日
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大ブレイク前夜のセカンド作 ボン・ジョヴィ(Bon Jovi)は、1986年発表の『ワイルド・イン・ザ・ストリート(原題はSlippery When Wet)』が爆発的なヒットとなり、一気にスターダムにのし上がった。けれども、1984年にデビューしてから同作がヒットするまでの間は、時代を先取りしつつも、いまひとつセールスに恵まれなかった。そんな彼らのセカンド作が1985年リリースの『7800°ファーレンハイト(7800° Fahrenheit)』である。“華氏7800度”を意味するこの表題は、“岩(=ロック)を溶かす温度”なのだとか。 本盤の特徴はというと、時代の先取りと若さ爆発の演奏の二点にあると思う。時代の先取りというのは、新時代のハードロック、つまりはポップな部分も含めて広い聴衆に訴えかけ得るハードロックのサウンドという点に他ならない。若さ爆発というのは、実際に彼らが若かったのはもちろんなのだけれど、演奏やアレンジの物足りない部分(次作ではここが大幅に進歩したからこそのヒットだったと言えるだろう)も含めて若さがはじけていると思う。特にヴォーカルのジョン・ボン・ジョヴィの若々しいはじけっぷりがいい。 注目したい曲としては、まず1.「恋の切り札(イン&アウト・オブ・ラヴ)」。この後のバンドの快進撃の中で見られる演奏や曲調の得意パターンが詰まった1曲である。4.「キング・オブ・ザ・マウンテン」は、粗削りな部分はあるものの、個人的にはその当時かなり斬新な印象を受けた曲。テンポを落とした5.「サイレント・ナイト」は、有名クリスマス曲(「きよしこの夜」)ではなく、ジョン・ボン・ジョヴィのオリジナル曲。ジョンのヴォーカルのよさの片鱗がうかがえる好曲だと思う。6.「TOKYO ロード」は、“サクラ、サクラ…”のイントロから始まるもので、日本のファンにはおなじみのナンバー。早くから応援してくれた日本のファンには、前年のロック・フェス来日に続き、このアルバムが発売された直後にも単独公演を日本で行った。7.「ハーデスト・ナイト」は、いかにもこの頃の産業ロック方面で受けそうなナンバー。シングル・ヒットに結びついてもよかったんじゃないかという気がするのだけれど、なぜだかアメリカではチャートインすらしなかった(全英では68位)。 ボン・ジョヴィの完成形を見たい人には、第三作以降を勧める。この見方に世間の大きな異論はないだろう。けれども、その元の姿がどんなものだったのか、トップ・バンドに上り詰めた彼らの形成過程はどうだったのかという意味では、このセカンド作やそのファースト作を後聴きで試すというのも面白い体験になると思う。[収録曲]1. In & Out of Love2. The Price of Love3. Only Lonely4. King of the Mountain5. Silent Night6. Tokyo Road7. The Hardest Part Is the Night8. Always Run to You9. To the Fire10. Secret Dreams1985年リリース。 【輸入盤】7800 Fahrenheit (Ltd)(Rmt)(Sped) [ Bon Jovi ] 【輸入盤CD】Bon Jovi / 7800 Fahrenheit (ボン・ジョヴィ) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2021年09月04日
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音楽面でもも、人気の面でも、大きくステップアップしたサード作 イーグルス(Eagles)は、1972年にファースト作(参考過去記事)をリリースし、翌72年にセカンド作を発表した。これら最初の2作は、カントリー・ロック的な側面が強かった。ここにあと一振りのロック・フレーバーが加わることで、イーグルスらしさが完成したと言えるように思う。 そんな時期を表す作品が、1974年に発表された第3作『オン・ザ・ボーダー(On the Border)』である。アコースティックな部分やコーラスのハーモニーは、変わらず冴えわたっている。加えて、ドン・フェルダー(ギター)がレコーディングに参加しており、ロック色を強める結果になった(フェルダーはそのままイーグルスに正式メンバーとして加入した)。 個人的なお気に入りナンバーをいくつか紹介しておきたいと思う。1.「過ぎた事(オールレディ・ゴーン)」は、ロック・テイストとコーラス・ワークの魅力がうまく組み合わさった好ナンバー。表題曲でウォーターゲート事件にインスパイアされた5.「オン・ザ・ボーダー」は、この盤以降にいくつもの曲で披露されるイーグルスらしいロック・ナンバー。7.「懐かしき'55年」は、トム・ウェイツのデビュー盤に収録されていたナンバー。トム・ウェイツらしさの発揮された名曲だけれど、イーグルスらしいカバーに仕上がっている。最後に、アルバムを締めくくる10.「我が愛の至上(ベスト・オブ・マイ・ラヴ)」は、イーグルス史上のベストとも言われる名バラード曲。バンドとして初めての全米No.1シングルとなり、1975年の年間チャートでも12位となった。 イーグルスはこの後もロック色を強め(特にジョー・ウォルシュの加入)ていき、さらに大人気のバンドへと発展していく。とはいえ、後の『ホテル・カリフォルニア』に至る彼らの重要なスタート地点の一つとして、このアルバムは鍵になっていたのではないかと思ってみたりする。 [収録曲]1. Already Gone2. You Never Cry Like a Lover3. Midnight Flyer4. My Man5. On the Border6. James Dean7. Ol' '55 8. Is It True? 9. Good Day in Hell 10. Best of My Love1974年リリース。 オン・ザ・ボーダー [ イーグルス ] 【輸入盤CD】Eagles / On The Border (イーグルス) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2021年09月01日
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大きなヒットとなったLP2枚組のライヴ盤 ピーター・フランプトン(Peter Frampton)は、1950年、イギリス出身のロック・ミュージシャンである。ハンブル・パイなどバンドでの活動の後、1972年以降にソロ活動を展開していった。地道な活動を続けた努力も実り、1970年代後半に入った段階で広く受け入れられ、人気を得た。ちょうどそのような時期において、特に大きな成功となった彼の作品が、LP2枚組(現行では1枚のCDのものもある)として1976年に発表された本作『フランプトン・カムズ・アライヴ!(Frampton Comes Alive!)』であった。 このライヴ盤は、リリース前年の1975年の米国ツアーの複数のライヴ・パフォーマンスを収めたものである(6月13日のサン・ラファエル、6月14日のサンフランシスコ、8月24日のロング・アイランド、11月22日のニューヨーク州立大学プラッツバーグ校の音源が使われているとのこと)。大きなヒットとなった本盤は、フランプトンにとって初めて母国イギリスのチャートにランクインし、全英6位を記録した。そして、アメリカでは、全米チャート1位になったというだけでなく、10週連続1位という爆発的なセールスを上げた。 本盤からは複数のシングル・ヒットも生まれた。まず、3.「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」は、全米ビルボードで6位、全英でも10位のヒットを記録し、彼の代表曲として知られるナンバーとなった。また、全米12位となった7.「君を求めて(ベイビー・アイ・ラヴ・ユア・ウェイ)」は、後世になってからも複数のカヴァー・ヴァージョンがチャートを賑わしており、1988年にウィル・トゥ・パワー、1994年にはレゲエ・バンドのビッグ・マウンテンがそれぞれヒットさせている。さらに、14.「ライク・ウィ・ドゥ(ドゥ・ユー・フィール・ライク・ウィ・ドゥ)」もシングル・カットされて全米10位に入るヒットとなった。 もう一つ、注目曲として外せないのは、12.「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」。言わずと知れたローリング・ストーンズの有名ナンバーであるが、そもそもフランプトンによるこの曲のカヴァーは、1972年の最初のソロ盤に収められ、ソロ名義での最初のシングルでもあった。つまりは、既存の“持ち歌”のライヴ・ヴァージョンなわけである。ちなみに、上記の3.「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」と7.「君を求めて」も、本盤のライヴでのヴァージョンがシングル曲としてはヒットしたものの、元々は前年のスタジオ作のものが先にシングル化されていた。元のヴァージョンではなく、後からのライヴ・ヴァージョンがシングルとしてヒットするという現象はたまにあるが、それが2曲続いたというのは少々珍しいと言えそうな気がする。 [収録曲]1. Introduction/Something's Happening2. Doobie Wah3. Show Me the Way4. It's a Plain Shame[LPではここまでA面]5. All I Want to Be (Is by Your Side)6. Wind of Change7. Baby, I Love Your Way 8. I Wanna Go to the Sun[LPではここまでB面]9. Penny for Your Thoughts10. (I'll Give You) Money11. Shine On12. Jumpin' Jack Flash[LPではここまでC面]13. Lines on My Face14. Do You Feel Like We Do[LPではここまでD面]1976年リリース。 [枚数限定]フランプトン・カムズ・アライヴ!/ピーター・フランプトン[SHM-CD]【返品種別A】 【輸入盤】Comes Alive - Remaster [ Peter Frampton ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年08月28日
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65歳、30年ぶりの全米1位作 ボブ・ディラン(Bob Dylan)は、1941年出身のミュージシャンで、2016年に歌手として初めてのノーベル文学賞を受賞した。1962年のデビューの少し前から数えると、既に60年以上の活動期間があり、今年(2021年)の5月には、80歳の誕生日を迎えている。 長い活動期間の中で、ディランのアルバムのセールスがもっとも伸びているのはどの時期の作品だろうか。有名なのは1970年代半ば、『血の轍』(1975年)や『欲望』(1976年)といった作品の辺りである。これらのアルバムは、さらに前年の『プラネット・ウェイヴズ』とともに、全米チャートで1位を獲得している。21世紀に入って、再びディランはアルバム売上を伸ばした。2006年に発表された本盤『モダン・タイムズ(Modern Times)』は、ディランのアルバムとして全米チャート1位を30年ぶりに達成し、当時としては全米1位の最高齢アーティスト(当時65歳)を記録した。さらにリリース翌年のグラミー賞では2部門で受賞を果たしている。 アルバムが多く売れたから、チャートが上位だったから名作ということは、当然ながら言えないわけだけれど、この『モダン・タイムズ』はいい作品であると思う。00年代のロックのベスト作品の一つという声も納得できる。そのよさは、レベルが高くヴァラエティに富んだ楽曲、セルフ・プロデュースの成功(プロデュースのクレジットのジャック・フロストというのはディラン自身の変名)、そして何よりもディラン自身の歌と演奏の安定感にある。 個人的な好みで何曲かピックアップして触れておきたい。1.「サンダー・オン・ザ・マウンテン」は、ディラン節全開の本盤ベスト・トラックの一つ。同じくディランらしくて、本盤を代表する曲の一つと思うのが、3.「ローリン・アンド・タンブリン」。さらに、シングルとなった5.「サムデイ・ベイビー」も本番を代表するナンバーで、上記の2つのグラミーの受賞の一つ(ソロ・ロック・ヴォーカル賞)の対象となった。最後に、もう1曲、聴き逃がせないと思うのは、アルバム最後の10.「エイント・トーキン」。詞は難しくて十分に理解できていないけれど、やっぱり詩人なのだと思う。[収録曲]1. Thunder on the Mountain 2. Spirit on the Water3. Rollin' and Tumblin'4. When the Deal Goes Down5. Someday Baby6. Workingman's Blues #27. Beyond the Horizon8. Nettie Moore9. The Levee's Gonna Break10. Ain't Talkin'2006年リリース。 モダン・タイムズ [ ボブ・ディラン ] [枚数限定][限定盤]モダン・タイムズ/ボブ・ディラン[Blu-specCD2][紙ジャケット]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年08月23日
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名プレイヤー追悼 マイク・フィニガン(Mike Finnigan)は、1945年オハイオ州出身のミュージシャンである。ハモンド・オルガンを得意とし、セッション・ミュージシャンとして様々なアーティスト(ジミヘン、エタ・ジェイムズ、ジョー・コッカー、CS&N、デイヴ・メイスン、バディ・ガイ、ピーター・フランプトン、レナード・コーエンなど挙げだすときりがない)の録音に参加したほか、自身のアルバム作品も残した。 残念ながら、そんな彼の訃報が届いた(外部参考記事)。2021年8月11日、腎臓がんにより76歳で逝去したとのこと。本ブログでは、以前にセルフ・タイトルの名作『マイク・フィニガン』を取り上げている。その時以来、さらに彼の別の作品も取り上げたいと考えていたのだけれど、それが叶わないまま、彼の訃報を知ることになってしまった。そうしたわけで、マイク・フィニガンの追悼ということで、取り上げようと思っていた作品である『ブラック&ホワイト(Black & White)』(1978年リリース)を見ていきたいと思う。 2年前の盤ではカウボーイ風の帽子姿の写真がジャケットになっていたが、本盤ではスーツを着てピアノの前にいるという、ダンディな雰囲気のジャケット写真となっている。アルバム全体のトーンはAORあるいはアダルト・コンテンポラリー風である。泥臭いというよりはお洒落、田舎っぽいというよりは都会的な感じと言えばよいだろうか。1.「ジャスト・ワン・ミニット・モア」の現代的な曲調、美バラードの3.「ザ・ワーズ」が醸し出すきらきらした感じ、4.「キャント・キープ・ア・シークレット」の滑らかなミドル・テンポのヴォーカル…。こうしたところだけを見ると、確かにマイク・フィニガンがルーツを捨て、時代に流されていったのかと思ってしまいそうである。 けれども、アルバム収録の各曲をよくよく聴いてみれば、どうもその考えは違うのではないかと、個人的には思い至った。R&B、ソウル、カントリー、スワンプといった要素の表面に被せられたヴェールのようなものがAOR風なだけで、彼の音楽的本質はちゃんと維持されているように思えてきたのである。わかりやすいところでは、6.「セイルフィッシュ」や9.「レット・ミー・ラヴ・ユー」なんかはその例だと言える。 そのようなわけで、本盤は、フィニガンが“スタイルを変えた”というものではなかったような気がする。『マイク・フィニガン』の項でも書いたように、AOR風の歌唱に彼のヴォーカルはそもそも向いている節があった。それも取り込みながら新たな作品を制作すれば、本盤のようなアルバムができ上るのは、案外、自然なことだったのかもしれないと思ったりする。 ともあれ、たくさんのセッションをこなしてきたマイク・フィニガンの訃報。いまはただ、安らかなる永眠を心からお祈りしたい。R.I.P.[収録曲]1. Just One Minute More2. How Wrong Can You Be3. The Words4. Can't Keep a Secret5. I Could Never Leave You6. Sailfish7. Expressway to Your Heart8. Love Might Keep Us Forever9. Let Me Love You10. Hideaway from Love1978年リリース。 マイク・フィニガン / ブラック&ホワイト(期間生産限定盤) [CD] ブラック&ホワイト [ マイク・フィニガン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年08月20日
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ダスティ・ヒル追悼 先月(2021年7月)末のことですが、ZZトップ(ZZ Top)の3人のメンバーのひとり、ベーシストのダスティ・ヒル(Dusty Hill)が亡くなりました(参考外部記事)。死因は公表されていませんが、自宅で就寝中に亡くなったとのことで、享年72歳でした。 バンドは継続するということですが、追悼の気持ちを込めて、ZZトップのナンバーをいくつか動画とともに見ておきたいと思います。まずは、映画(『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』)に使われたナンバーで、「ダブルバック(Doubleback)」です。 続いては、「ビバ・ラスベガス(ラスベガス万才、Viva Las Vegas)」です。エルヴィス・プレスリーのナンバーとして知られていますが、ZZトップによるこの曲は、通常のアルバムではなく、1992年のベスト盤に収められ、シングルとしても発売されました。 さらにもう1曲。アルバム『トレス・オンブレス』(1973年)に収録されていた「ラ・グランジェ(La Grange)」です。上記2曲はビデオ・クリップでしたが、彼らの真骨頂はライヴにあり、ということで、ライヴの映像をご覧ください。2009年リリースの『ダブル・ダウン・ライヴ』からの「ラ・グランジェ」です。 70歳代前半での逝去は残念でなりませんが、しばしその雄姿を思い出しつつ、ダスティ・ヒルのご冥福をお祈りしたいと思います。R.I.P. Zz Top ジージートップ / Greatest Hits 【SHM-CD】 【中古】 【輸入盤】Recycler /ZZトップ 【中古】afb 【輸入盤CD】ZZ Top / Tres Hombres (w/Bonus Tracks) (ZZトップ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年08月08日
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中毒性の強いバンドによる私的お気に入り盤 ザ・キュアー(The Cure)はイギリス出身のバンドで、1970年代末に結成され、メンバー・チェンジを経つつもロバート・スミス(ヴォーカル、ギター)を中心に現在まで長らく活動を続けている。2019年にロックの殿堂入りを果たした。当初はポストパンクやニューウェーヴに分類されうるバンドだったが、オルタナティヴあるいはゴシック・ロックといった方向へと変化していった。 このバンドの作品は、筆者自身、ほんのいくつかしか知らない。とはいえ、そんな中でもリアルタイムで特によく聴いた盤の一つが、この『ワイルド・ムード・スウィングス(Wild Mood Swings)』である。10枚目のアルバムとして1996年にリリースされ、全英9位、全米12位のチャート・アクションを見せたが、セールス的には不振と言われた。確かに、その前作の『ウィッシュ』(イギリスで1位、米国で2位)ほど売れなかったので、その陰に隠れてしまいがちな盤でもある。 さて、このザ・キュアーの音楽の特徴は何といってもロバート・スミスのカリスマ性にある。アイシャドーに口紅の特徴的な見た目もさることながら、彼のヴォーカルが醸し出す雰囲気は、“カルト宗教”のようである。別に悪い意味で喩えているわけではなく、彼の声そしてこのバンドの演奏には、人を引き込む不思議な力がある。身体のどこかを掴まれて引き込まれるのではなく、周りから囲まれ包まれて気がついたらその中にいるといったような引き込まれ方といえば、少しは筆者の感じているところが伝わるだろうか。 私的な好みで注目曲をいくつか挙げておきたい。1.「ウォント」は長いギターのイントロからして一気に彼らの世界に引き込まれてしまい、気がつけば目を瞑って曲に聴き入ってしまう。3.「ディス・イズ・ア・ライ」はゴシック風な演奏のよさが存分に発揮されていて、やはり目を閉じて瞑想気味に聴くのがお勧め。6.「ミント・カー」は、他に曲でも時々感じられるように、このバンドがポストパンクと言えるところから出発していることを想起させるナンバー。個人的には、案外こういうところが、ザ・キュアーを安心して聴ける要素の一つとして作用しているように思ったりする。10.「ナム」もまた聴き手を包み込みながらその中に引き込んでしまうタイプのナンバー。12.「トラップ」のようなパンチの利いた曲は、アルバムを通して聴いたときに全体の完成度を高めているように思えて、個人的には欠かせない。長尺の14.「ベアー」でじっくりと聴かせてアルバムを締めくくるあたりもよく出来ている(というか、筆者はその術中にすっかりはまってしまっている)。 ロバート・スミス自身によれば、制作意欲満々で臨んだ作品で、ザ・キュアーのアルバムの中でも上位の出来だという。四半世紀経った今でも、個人的には中毒性が高くあり続けていて、時折、急に思い出しては聴き続けているアルバムだったりする。[収録曲]1. Want2. Club America3. This Is a Lie4. The 13th5. Strange Attraction6. Mint Car7. Jupiter Crash8. Round & Round & Round9. Gone!10. Numb11. Return12. Trap13. Treasure14. Bare1996年リリース。 【輸入盤】Wild Mood Swings [ Cure ] 【中古】 ワイルド・ムード・スウィングス /ザ・キュアー 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年08月01日
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売り上げと作品の出来は比例しないことを示す代表例 『スウィート・ベイビー・ジェームス』をはじめとして1970年代を通じて多くのヒット作を送り込んだジェームス・テイラー(James Taylor)。そんな彼の絶頂期において唯一ゴールド認定されなかったアルバムがある。それが1974年に発表された『ウォーキング・マン(Walking Man)』という作品だった。 確かに、大きなヒットを重ねていた当時を考えると、全米13位というのは、彼の作品としては地味なチャート・アクションだった。また、この盤からはシングル・ヒットも生まれなかった。けれども、売り上げの低さと作品の内容は、比例することも多いが、常に比例するわけではないことは自明である。早い話、“売れなかった好盤”というものは世にいくつもある。この盤は、ジェームス・テイラーの作品としてはまさしくそういったタイプの代表格と言えるだろう。 本盤に収められた中からとくに注目の曲をいくつか挙げておきたい。まず、表題曲の1.「ウォーキング・マン」。このナンバーは、シングル発売されたものの、当時は全米チャート入りしなかった。とはいえ、ファンの間では人気が高く、いま聴いても美しい曲調はまったく色褪せていない。もう一つ、本盤収録曲の中で外せない美曲と言えるのは、6.「エイント・ノー・ソング」。筆者はジェームス・テイラーのこの手の曲にめっぽう弱い。同じような傾向のナンバーとしては、10.「フェイディング・アウェイ」もなかなかの好曲。アルバム全体を通観すれば、しっかり弾き語りスタイルのナンバーもあれば、アップ・テンポの曲もあるのだけれど、個人的には上記3曲のような部分にジェームス・テイラーの魅力を最も感じている。[収録曲]1. Walking Man2. Rock 'n' Roll Is Music Now3. Let It All Fall Down4. Me and My Guitar5. Daddy's Baby6. Ain't No Song7. Hello Old Friend8. Migration9. The Promised Land10. Fading Away1974年リリース。 輸入盤 JAMES TAYLOR / WALKING MAN [CD] 【中古】 ウォーキング・マン<SHM-紙ジャケットCD>/CD/WPCR-13822 / ジェイムス・テイラー / ワーナーミュージック・ジャパン [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 【輸入盤CD】James Taylor / Warner Bros. Albums: 1970-1976【2019/7/19発売】(ジェームス・テイラー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年07月28日
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没後に発表されたアコースティック演奏曲集(後編) ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)の没後にリリースされたアコースティック演奏を集めた『ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ』。先に更新した前編に続き、この盤に収録された各曲について、続きを見ていきたい。 7.「バーリー・アンド・グレープ・ラグ」は、1976年作の『コーリング・カード』に収録されていたナンバー。もちろんここに収録されているのは、それとはまったく異なるヴァージョンである。アイリッシュ・フォーク・グループ、ザ・ダブリナーズの中心人物であるロニー・ドリューが上記の盤を聴いてこの曲を気に入り、ダブリナーズとの共演での録音が行われたとのこと。8.「カッコウ」は、フランドル(ベルギー)出身のブルース・ミュージシャンである親友のローラン・ヴァン・カンペンハウト(Roland Van Campenhout)との共演。彼の自宅のスタジオで録音された音源とのことである。トラディショナル曲だが、いかにもロリー・ギャラガー風にアレンジされていて、個人的にはかなり気に入っている。 9.「アメイジング・グレイス」から始まる3曲は、1994年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏。バンジョー奏者のベラ・フレック(Bela Fleck)、ハーモニカ奏者のマーク・フェルサム(Mark Feltham)が一緒に登場したステージである。まず、この「アメイジング・グレイス」は一瞬この曲とは思えないようなアレンジで、バンジョー演奏を伴いながら、ギターがメロディラインを奏でる。この演奏を枕にして、ハーモニカも加わっての10.「ウォーキン・ブルース」と11.「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」が繰り広げられる。10.の方は有名なデルタ・ブルース曲だが、とにかくかっこよく、音だけでなくステージ上の雄姿を見たくなる。メドレー的にそのままの流れで始まる11.はブルーグラスのやはり有名なナンバーで、結局はロリー・ギャラガー節の演奏になっているのが面白い。 12.「ディープ・エルム・ブルース」は、上述のローラン・ヴァン・カンペンハウトとの共演だが、こちらはライヴでの演奏を収めたもの。同じミュージシャンとの共演でも、スタジオ録音の8.とは全く違っていて、ライヴでの雰囲気や勢いが感じられる。13.「ゴーイン・トゥ・マイ・ホームタウン」は、“スキッフルの王様”ロニー・ドネガンに提供した曲だったというが、スタジオではうまくいかず、ライヴで演奏している1980年代初頭のものが、ここに収められた演奏である。14.「ロンサム・ハイウェイ・リフレイニング」は、無題のまま残されたインスト演奏の音源とのことで、4.「ロンサム・ハイウェイ」のリフが含まれているため、この表題で収録されたということらしい。 前回記事でも述べたように、アルバムとしての流れは期待しない方がいい。曲順通りでも、それを無視しても、とにかく個々の演奏を楽しんで聴きたい盤だと言える。そして、聴いた後には、アコースティックでもロリー・ギャラガーはカッコよく、やはりギター・ヒーローなのだということを改めて確認させられる。そんな一枚と言えるように思う。[収録曲]1. Wheels Within Wheels2. Flight to Paradise3. As the Crow Flies4. Lonesome Highway5. Bratacha Dubha6. She Moved Thro' the Fair/Ann Cran Ull7. Barley and Grape Rag8. The Cuckoo9. Amazing Grace10. Walkin' Blues11. Blue Moon of Kentucky12. Deep Elem Blues13. Goin' to My Home Town14. Lonesome Highway Refraining2003年リリース。 ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ/ロリー・ギャラガー[SHM-CD]【返品種別A】 【国内盤CD】ロリー・ギャラガー / ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ【K2018/3/21発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年07月25日
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没後に発表されたアコースティック演奏曲集(前編) 1948年、アイルランド出身のブルース・ロック・ギタリストでシンガーのロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)は、1995年に47歳という早すぎる死を遂げた。その死から8年ほど後、ちょうど彼が生きていれば55歳になったであろう頃にリリースされたコンピレーション盤が、この『ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ(Wheels Within Wheels)』である。没後の未発表音源集のような盤は多くあるけれど、このアルバムは一風変わっていて、初めてロリー・ギャラガーを聴く人に勧めるような盤ではない。というのも、“アコースティック演奏”がキーワードとなった曲集なのである。 様々な音源から集められた楽曲や演奏なので、正直なところ、全体の統一感などといったところには期待しない方がいい。全体として言えることはというと、エレキ・ギターじゃなくても、ロリー・ギャラガーは最高なギタリストだったということぐらいだろうか。けれども、それは裏を返せば、聴き手は個々の演奏をどこからでも好きに聴いて一つ一つ楽しめるということでもある。そんなわけで、簡潔ではあるけれども、収録された各曲について見ていくことにしてみたい。 表題曲の1.「ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ」は、1977年にアルバム制作のために録音したものの、お蔵入りになった音源という。確かに彼らしい雰囲気のナンバーではないけれど、これはこれで美しく、完成度が高い。2.「フライト・トゥ・パラダイス」は、思いっきりフラメンコ調の美ナンバー。アコースティック・ツアー中に合間をぬって録音された音源だという。3.「烏が飛ぶように」は、1974年の『ライヴ・イン・アイルランド』で演じられていたナンバーだが、そのスタジオ・テイクがここに収められている。ライヴの6分には及ばない4分強の長さだが、迫真の演奏の様子がスタジオのものからも存分に伝わってくる。 4.「ロンサム・ハイウェイ」は、このタイトルだけでなく「イッツ・オンリー・レイニング」のタイトルでも構想されていた曲だったそうで、1975年に録音されたものである。アコースティック・ギターの演奏ながら、ロリー・ギャラガー節の王道と言えるナンバー。5.「黒い旗」は、一転してクラシックのような雰囲気の演奏。これは、彼が敬愛していたフォーク・シンガーのマーティン・カーシー(Martin Carthy)との共演による録音で、トラディショナル曲を取り上げたものである。6.「シー・ムーヴド・スルー・ザ・フェア/林檎の木」も同じくトラディショナル曲で、こちらはバート・ヤンシュとの共演。 長くなってきたので、7.以降は、次回更新の後編へ。(収録曲の一覧も後編の中に掲載しています)。 ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ/ロリー・ギャラガー[SHM-CD]【返品種別A】 ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ [ ロリー・ギャラガー ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年07月23日
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未発表音源リリースとなった“初ソロ作” ザ・フー(The Who)の顔であり、屋台骨であるピート・タウンゼント(Pete Townshend)が最初にソロ名義で発表したのが、1972年の本盤『フー・ケイム・ファースト(Who Came First)』だった。とはいえ、これは、一般的なソロ作品と同列には見なせない複雑な事情も含んだ盤であった。 初ソロ作というと、通常はバンド活動とは別に何らかの意図をもって自身の新たな作品を制作したというイメージを連想するだろう。けれども、本盤は、そうしたものとは違って、リリース前の数年間の音源を集めた編集盤となっている。初ソロ作が編集盤となった経緯は、次のようなものだった。当時タウンゼントが心酔していたインドのグル(霊的指導者)、メヘル・ババのために制作されたアルバムの中にタウンゼントの未発表音源が収められた。しかし流通範囲が限られたことからそれらの音源はブートレグ(海賊盤)化して出回るようになった。そこでレコード会社はタウンゼントに働きかけ、それらの音源を含めた編集盤をリリースしたというわけである。 そのようなわけで、アルバムとしてのまとまりは正直なところないと言っていい。けれども、注目曲がいくつも含まれているという意味では無視しがたい作品でもある。そのいくつかに簡単に触れておきたい。 1.「ピュア・アンド・イージー」は、頓挫して実現しなかった“ライフ・ハウス”プロジェクトの楽曲。他にも1971年にシングル発表された4.「レッツ・シー・アクション」なんかが、元々はこのプロジェクトのために用意された曲だった。上述のババ師の生誕75周年を祝うアルバム(ユニヴァーサル・スピリチュアル・リーグというババの教えを広げるための組織が1970年にリリースした『ハッピー・バースデイ』)に収録されていた楽曲としては、2.「エヴォリューション」、8.「コンテント」がある。後者はババ信奉者の女性が書いた詞にタウンゼントが曲をつけたものとのこと。ユニヴァーサル・スピリチュアル・リーグは、1972年(本盤の発表よりも前)にもう1枚『アイ・アム』というアルバムを制作しており、3.「フォーエヴァーズ・ノー・タイム・アット・オール」と9.「パヴァーディガー」はそちらの盤に収録されたものである。 なお、リリース時には本盤には9曲が収められていたが、CD化に伴ってボーナス・トラックが追加された。筆者の手持ちの盤(以下の曲目を参照)では、6曲が追加収録されていて、とりわけ12.「デイ・オブ・サイレンス」や14.「ザ・ラヴ・マン」なんかはなかなかの好曲だと思う。また、筆者は未聴だけれども、後のCDリリースではボーナス・トラック数曲がさらに増え、2018年の45周年記念エディションでは、2枚組になってCDの2枚目が丸ごと追加曲になっている。[収録曲]1. Pure & Easy2. Evolution3. Forever’s No Time At All4. Let's See Action5. Time is Passing6. There’s a Heartache Following Me7. Sheraton Gibson8. Content9. Parvardigar~以下、CD(1990年代のRyko盤)のボーナス・トラック~10. His Hands11. The Seeker12. Day of Silence13. Sleeping Dog14. The Love Man15. Lantern Cabin1972年リリース。 【輸入盤CD】Pete Townshend / Who Came First (w/Bonus Tracks) (ピート・タウンゼント) 【中古】 【輸入盤】Who Came First /ピート・タウンゼント 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年07月15日
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3人組体制の集大成的ライヴ盤(後編) 前年の『ザ・シングル・ヒッツ・コレクション:ライヴ前編』に続き、1993年にリリースされたのが、ジェネシス(Genesis)の本ライヴ盤、『もうひとつのジェネシス:ライヴ後編(Live -The Way We Walk, Volume 2: The Longs)』である。日本盤では“前編”・“後編”という名称であるが、元の盤でも“ヴォリューム1”・“ヴォリューム2”と銘打たれていて、リリースは同時ではなかったものの、2枚で一対のライヴ盤といった風になっていた。 原題に“The Longs”とある通り、この“後編”では、10分を超える長尺の演奏曲やメドレー形式の演奏が全6トラック収められている。音源は前年の『ウィ・キャント・ダンス』のツアーのもので、1992年7月10日(1., 3., 5., 6.)と同13日(2., 4.)のドイツ、ハノーファーでの2公演のものである。 聴きどころは、まず、20分近くに及ぶ1.「オールド・メドレー」。『月影の騎士』(1973年)からのシングル曲だった「アイ・ノウ・ホワット・アイ・ライク」や、『眩惑のブロードウェイ』(1974年)の表題曲「ザ・ラム・ライズ・ダウン・オン・ブロードウェイ」など、過去のジェネシスをメドレー形式で聴かせるもの。もちろんピーター・ガブリエルではなく、フィル・コリンズのヴォーカルなわけだけれど、オールド・ファンにとってはなかなか盛り上がれるメドレーだと思う。もう一つ、本盤の聴きどころとして触れておきたいのは、3.「ドミノ」。『インヴィジブル・タッチ』(1986年)に収められていたナンバーなのだけれど、元々10分超えの大作で、これをライヴのパフォーマンスでじっくり聴けるとは有り難い。ちなみに、当時のライヴではスクリーンを使った派手なヴィジュアル演出を伴っていたとのことである。 他に2.も4.も捨てがたく、結局は全部が聴きどころということになってしまうのだけれど、最後にあと1曲だけ触れておきたい。6.「ドラム・デュエット」というトラックである。正式メンバーが3人のジェネシスのライヴ・ツアーには、当然ながら追加のミュージシャンが加わっていた。ドラマーのチェスター・トンプソンは長年ジェネシスのツアー・メンバーを務めたのだが、本来のジェネシスのドラマーであるフィル・コリンズと2人でドラム・デュエットをしているというもの。これもある種ライヴでの見せ場となっており、なかなか面白い。 ちなみに、英国チャートにおいて、『前編』の最高位は3位だったが、本盤は1位を記録した(全米ではそれぞれ35位と20位)。その一方、累積売り上げを見ると、この『後編』よりも『前編』の方がはるかに多くの枚数が売れたようである。つまり、何が言いたいのかというと、プログレ時代からの古いファンにとっては、2枚組ライヴ・アルバムのような聴かれ方をし、その一方で、直近のファンにはヒット曲ベスト盤ライヴ的に『前編』のみ買う人が案外多かったということなのだろう。余談ではあるが、結果的に、2枚組ではなく、タイミングをずらして別々の2枚の盤というリリースの形は、売り上げ面でも成功したということも言えたりするんじゃないだろうか。[収録曲]1. Old Medley: Dance on a Volcano/The Lamb Lies Down on Broadway/The Musical Box/Firth of Fifth/I Know What I Like (In Your Wardrobe)2. Driving the Last Spike3. Domino: Part I-In the Glow of the Night/ Part II-The Last Domino4. Fading Lights5. Home by the Sea/Second Home by the Sea6. Drum Duet1993年リリース。 【輸入盤CD】GENESIS / LIVE: WE WALK 2--LONGS (ジェネシス) 【中古】 【輸入盤】ライヴ:ウェイ・ウィ・ウォーク・VOL.2 /ジェネシス 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年07月12日
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3人組体制の集大成的ライヴ盤(前編) ピーター・ガブリエル、スティーヴ・ハケットと主要メンバーが抜けていき、そして“3人が残った”ジェネシス(Genesis)は、1980年代、ポップな方向性に舵を切って大成功を収めた。この3人組での活動期の集大成的ライヴ盤と言えそうなのが、今回取り上げる2枚のライヴ・アルバム(原題は『ザ・ウェイ・ウィー・ウォーク』となっていて、それぞれ”Vol. 1”、”Vol. 2”と称されている)である。 その1枚目である『ザ・シングル・ヒッツ・コレクション:ライヴ前編(Live -The Way We Walk Volume One: The Shorts)』には、『インヴィジブル・タッチ』のツアー(1986年の音源から1曲、1987年の音源から2曲)、『ウィ・キャント・ダンス』のツアー(1992年7月~8月の3つの公演から8曲)の演奏が収められている。 1980年代の彼らの代表曲・ヒット曲メドレーでも言うべき内容なので、捨て曲はない。通して聴いて当時のライヴ・パフォーマンスにただただ浸るというのが正しい聴き方の盤とでも言えばよいだろうか。収められているのは11曲で、いずれもがシングルとして発売されたナンバーである。 まず、セルフ・タイトル盤『ジェネシス』(1983年)の収録曲からは、6.「ママ」と8.「ザッツ・オール」の2曲が収められている。次に、最も曲数が多い(というかそもそもシングルの数も多い)のが、『インヴィジブル・タッチ』(1986年)からのものである。1.「混迷の地(ランド・オブ・コンフュージョン)」、4.「スローイング・イット・オール・アウェイ」、9.「イン・トゥー・ディープ」、10.「トゥナイト、トゥナイト、トゥナイト」、11.「インヴィジブル・タッチ」の5曲が本ライヴ盤に収録されている。さらに、『ウィ・キャント・ダンス』(1991年)からは、2.「ノー・サン・オブ・マイン」、3.「ジーザス・ヒー・ノウズ・ミー」、5.「アイ・キャント・ダンス」、7.「ホールド・オン・マイ・ハート」という4曲のライヴ演奏を本盤で聴くことができる。[収録曲]1. Land of Confusion 2. No Son of Mine3. Jesus He Knows Me 4. Throwing It All Away 5. I Can't Dance6. Mama7. Hold on My Heart8. That's All9. In Too Deep 10. Tonight, Tonight, Tonight 11. Invisible Touch 1992年リリース。[参考記事リンク]ジェネシス 『もうひとつのジェネシス:ライヴ後編』 【輸入盤CD】GENESIS / LIVE: WE WALK 1--SHORTS (ジェネシス) 【中古】 ザ・シングル・ヒッツ・コレクション:ライヴ前編 /ジェネシス 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年07月10日
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いわくつきの“ライヴ盤” ザ・バンド(The Band)のライヴ盤と言えば、『ロック・オブ・エイジズ』あるいは『ラスト・ワルツ』。これらを差し置いて優先されるライヴ盤はない。けれども、今回は彼らのいわくつきの“ライヴ盤”に目を向けてみたいと思う。1995年に発売された『ライヴ・アット・ワトキンス・グレン(Live at Watkins Glen)』というのがその盤である。 アーティストの作品は、時に制作途中で頓挫したり、出来上がったとしても何らかの理由でお蔵入りになってしまうことがある。この盤は、1974年に『イズ・エヴリバディ・ウェット?(Is Everybody Wet?)』の表題でリリースが予定されていたらしいが、キャンセルされて“お蔵入り”となった。それから20年以上が経過した1995年、この『ライヴ・アット・ワトキンス・グレン』となってリリースされた。“お蔵入り”から“蔵出し”とういことになったわけである。 この“蔵出し”盤は、賛否両論(というか、否の声の方が圧倒的に大きい)となった。というのも、早い話が本当のワトキンス・グレン・サマー・ジャム(1973年夏の大規模ライヴ)の音源をそのまま収録した盤ではないからだ。どうやら2曲(5.「トゥー・ウェット・トゥ・ワーク」と9.「ジャム」)だけが、該当するライヴの音源で、残りはアウトテイクにライヴ風の音声加工を施した“作り物”であったり、別のライヴ音源だったりするのである(5.なんかは悪天候の雷鳴音なんかが妙に大袈裟に聞こえるので、その辺も加工されているのかもしれない)。1.「バック・トゥ・メンフィス」と2.「エンドレス・ハイウェイ」は、『ムーンドッグ・マチネー』のアウトテイクで、加工前の演奏はそちらの盤のリマスター(2001年)で聴くことができる。3.「アイ・シャル・ビー・リリースト」を含む何曲かは、ライヴ盤『ロック・オブ・エイジズ』のアウトテイクとのこと。さらに、出所がよくわからない音源の曲もいくつか含まれている。 このようなわけで、“フェイク盤”などと揶揄されるのだけれど、羊頭狗肉や疑似ライヴ加工は確かに非難されても仕方がない。だからと言って聴くに値しない演奏内容かと言えば、そういうわけでもない。つまるところ、もうちょっと違う形で作品化されればもっと違う評価を受けた可能性が高いと言えると思う。今の時代にこんな作品というか“商品を売り出す”なんてことをすれば、あっという間にネットで炎上ものである。それにしても、活動当時にリリースが中止になったとはいえ、ザ・バンドのメンバーがなぜこんな加工を是としたのか…。何ともすっきりせず、疑問が残り続ける盤だったりする。[収録曲]1. Back to Memphis2. Endless Highway3. I Shall Be Released4. Loving You Is Sweeter Than Ever5. Too Wet to Work6. Don't Ya Tell Henry7. The Rumor8. Time to Kill9. Jam10. Up on Cripple Creek1995年リリース。 【中古】 ライヴ・アット・ワトキンス・グレン /ザ・バンド 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年07月07日
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地味ながら聴き逃がせない70年代前半の好盤 エリック・ジャスティン・カズ(Eric Justin Kaz)は、1946年、ニューヨーク生まれのシンガーソングライターである。1970年代前半に2枚のソロ作(なお、2015年に41年ぶりの新作が出ているが、筆者は未聴)を残し、さしたるセールスも上げることはなかった。それどころか、日本では当時発売すらされなかったという。その2枚のうち、1972年のファースト・ソロ作が本盤『イフ・ユアー・ロンリー(If You're Lonely)』である。 全曲自作(5.のみ共作)で、鼻にかかった声で淡々と歌う。派手な盛り上がりもなければ、過剰な演出もない。けれども、以下の2つの点で聴き逃がせない好作品に仕上がっているという風に思う。 一つめは、楽曲そのもののよさである。孤独や切なさがテーマになっていてそれを淡々と歌い上げるというスタイルが、かえって詞や楽曲のよさを際立たせているように思う。二つめは、そのシンプルな楽曲の演奏スタイルが決して偶然ではなく、おそらくは綿密に作り込まれた結果という点である。実は、本盤のプロデューサーは、かのマイケル・カスクーナで、ジョージ・デュヴィヴィエをはじめジャズ系ミュージシャンが演奏を支えている。他のゲストもなかなか豪華で、曲の提供者としてコンスタントに活動をしていたことによる人脈もうかがえる。ボニー・レイットがスライド・ギターを披露したり、トレイシー・ネルソンがバッキング・コーラスを務めていたりする。 注目したい曲をいくつかだけ挙げておきたい。表題曲の2.「イフ・ユアー・ロンリー」は、カズのシンガーソングライターとしての本領発揮曲の一つと言えるように思う。他のアーティストとの関わりという意味では、トレイシー・ネルソンで知られる7.「マザー・アース」が代表格なのだろうけれど、後にリンダ・ロンシュタットが取り上げた6.「クライ・ライク・ア・レインストーム」(ロンシュタットは1980年代にこれを表題にしてアルバムを制作している)などといった注目の仕方も面白いかもしれない。[収録曲]1. Cruel Wind2. If You're Lonely3. Temptation (Took Control of Me and I Fell)4. Time Has Come5. Tonight, the Sky's About to Cry6. Cry Like A Rainstorm7. Mother Earth (Provides for Me)8. When I'm Gone9. Someday, My Love May Grow10. Christ, It's Mighty Cold Outside1972年リリース。 イフ・ユアー・ロンリー [ エリック・ジャスティン・カズ ] 【送料無料】 Eric Justin Kaz / If You're Lonely 【紙ジャケット/SHM-CD】 【SHM-CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年07月04日
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現代ギター・インスト・ロックが辿り着いた境地 ジェフ・ベック(Jeff Beck)は、1975年に代表作ともいえる『ブロウ・バイ・ブロウ』を残した。この作品はエレキ・ギターをメインとしたインスト盤の最高峰の一つで、翌年にはこの路線を進めた『ワイアード』もリリースしている。これらの盤が、ロック・ギターの世界に革新や変化をもたらしたものだとすれば、そうしたインストルメンタル路線が達した境地を示しているのが、その10数年後、1980年代末になってリリースされた本盤『ギター・ショップ(Jeff Beck's Guitar Shop)』と言えるような気がしている。 この『ギター・ショップ』は、ビルボードのチャートで49位となり、リリース翌年(1990年)のグラミーでベスト・ロック・インストルメンタル・パフォーマンス賞を受賞した。演奏については、ジェフ・ベック(ギター)に加え、テリー・ボジオがドラムス、トニー・ハイマスがキーボード、シンセサイザーを担当している。ベースラインをハイマスが担当するのも新鮮で、ベックのギターは、1970年代の作品のフュージョン寄りの演奏に比べると、ストレートにロック調の部分が多く、聴きごたえがある。 注目曲として挙げておきたいものとしては、まずは表題曲の1.「ギター・ショップ」。テクニック満載の切れ味のよい演奏が筆者としては好みである。さらに、5.「ホエア・ワー・ユー」はアームの操作で音程を変えている演奏が聴きもの。ほかに、個人的好みでは、6.「スタンド・オン・イット」、8.「トゥー・リヴァーズ」、9.「スリリング・ショット」なんかも外せない。 とまあ見事な作品ではあるのだが、正直なところ、じっくり聴いたら結構疲れるアルバムでもあるという風にも感じる。良くも悪くも、ジェフ・ベックのギターはテクニックが凄いという証と言えるだろう。彼の演奏は、“精密な機械みたい”なんて言われ方をされたりもするわけで、見事な演奏なのだけれど、熱中して聴くには確かに集中力が必要になる。だからと言って、演奏面でもっと“緩い部分”があれば、この盤はより素晴らしい作品になったのだろうか、と考えてみると、きっとそれは誤りのような気がする。聴いている側が息継ぎするタイミングが時にわからなくなるような部分も含め、これがジェフ・ベックのよさということではないのかな、と思ってみたりする。[収録曲]1. Guitar Shop2. Savoy3. Behind the Veil4. Big Block5. Where Were You6. Stand on It7. Day in the House8. Two Rivers9. Sling Shot1989年リリース。 [期間限定][限定盤]ギター・ショップ/ジェフ・ベック[CD]【返品種別A】 ギター・ショップ [ ジェフ・ベック ] 【輸入盤CD】Jeff Beck / Guitar Shop (ジェフ・ベック) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年06月19日
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若き日の輝きを示すヒット作 リック・スプリングフィールド(Rick Springfield)は、1949年、オーストラリアのシドニー郊外で生まれた。1969~71年にはズート(Zoot)というバンドで活動し、オーストラリア国内で人気を博した。その後、渡米してソロ作を発表するようになるが、なかなかヒットには恵まれなかった。その一方で俳優としても活動するようになり、昼ドラマのキャストとして、そしてようやく音楽アーティストとしても注目を浴びるようになったのは、彼が30歳代になった頃、1980年代初頭のことだった。 1981年発表の『ジェシーズ・ガール(Working Class Dog)』は、日本語でのアルバム表題にもなった2.「ジェシーズ・ガール」のミリオン・セラー・ヒットを生み出し、アルバムそのものも全米7位を記録してプラチナ・ディスクとなった。この活躍の結果、翌1982年にスプリングフィールドはグラミーの最優秀男性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞している。 不遇の時期を経てようやくのヒットなどで、20歳代の若者が彗星のごとく現れた的な話ではなかったわけだけれど、それでも本盤は、やっぱり若々しさに溢れているように思う。ロックという触れ込みなわけだけれど、音のつくりはポップな部分を多分に含んでいて、切れがよく軽快な演奏がとにかく印象的である。そうした観点からの注目曲をいくつか挙げてみたいと思う。 2.「ジェシーズ・ガール」は、上述の通りの、いわずとしれたヒット曲。“ジェシーの彼女みたいないい女の子がどこにいるだろうか”といった青春めいた詞の内容だが、ポップでシンセの効いた音の中でギターもちゃんと聴かせ、抑揚の効いた曲展開と、大ヒットもなるほどの出来のナンバーである。5.「エヴリシング・フォー・ユー」はサミー・ヘイガーのペンによる曲であるが、やはりポップ寄りのとっつきやすい演奏がスプリングフィールドらしい。6.「愛の輝き(ザ・ライト・オブ・ラヴ)」は、イントロからしてかっこよくてノリのよさもあり、メリハリの効いた好曲。これら以外の収録曲も総じて若々しい雰囲気に満ちていて、40年ほどたったいま聴くと、“青春の肖像”なんて言葉がふと脳裏をよぎったりする。[収録曲]1. Love Is Alright Tonite2. Jessie's Girl3. Hole in My Heart4. Carry Me Away5. I've Done Everything for You6. The Light of Love7. Everybody's Girl8. Daddy's Pearl9. Red Hot & Blue Love10. Inside Silvia1981年リリース。 Rick Springfield リックスプリングフィールド / Working Class Dog 輸入盤 【CD】 【輸入盤CD】 Rick Springfield / Original Album Classics (Box) 【2014/2/18発売】( リック・スプリングフィールド) 【輸入盤】Original Album Classics (5CD) [ Rick Springfield ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年06月16日
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快進撃を始めたCCRのセカンド作 CCRことクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(Creedence Clearwater Revival)は、1968年にデビューを果たした。彼らは、翌1969年には3枚のアルバム、さらに1970年には2枚のアルバムを発表し、次々とヒット曲を生み出していった。バンドとしては太く短命だったけれども、この集中的なエネルギーに満ちた快進撃の始まりともいえるのが、このセカンド作『バイヨー・カントリー(Bayou Country)』だった。1968年のデビュー盤およびシングルの「スージーQ」で注目されていたが、本盤は彼らのアルバムとして初めて全米10位内に入り、シングルの6.「プラウド・メアリー」は全米2位のヒットとなった。 ジョン・フォガティをはじめ、CCRのメンバーはカリフォルニア州、つまりは西海岸の出身である。とはいえ、彼らのサウンドは南部臭の強いR&B的なもの、南部ロックの先駆といったものである。「スージーQ」が南部出身者(デール・ホーキンズ)のナンバーというイメージも強いだろうが、何よりも彼ら自身がこういうロックを体現しようと一心になっていた。本盤のタイトル(および収録曲1.の表題)の“バイヨー(バイユー)” というのは、現地語(チョクトー語)で“小川”を意味し、ルイジアナ州ニューオーリンズを中心に東西のテキサス州やアラバマ州にかけての地帯は“バイヨー・カントリー”と呼ばれる。つまるところ、西海岸らしさとはかけ離れた志向を持っていたわけである。 本盤に収録された曲から、注目曲をいくつか挙げておきたい。上記の1.「ボーン・オン・ザ・バイヨー」は、シングルとしてヒットした6.「プラウド・メアリー」にカップリングされた曲なのでよく知られているだろう。これら2曲のほかに筆者の趣味としては、5.「天井小屋の乞食(ペントハウス・ポーパー)」。このナンバーは、とにかくカッコよく、聴き逃すことができないと思う。あと、長尺の7.「キープ・オン・チューグリン」もCCRの南部志向のロック魂が炸裂といった趣のナンバーで、個人的になかなかのお気に入りだったりする。[収録曲]1. Born on the Bayou2. Bootleg3. Graveyard Train4. Good Golly, Miss Molly5. Penthouse Pauper6. Proud Mary 7. Keep on Chooglin'*現行盤では、4曲のボーナス・トラックあり。1969年リリース。 バイヨー・カントリー +4 [ クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル ] BAYOU COUNTRY + 4[輸入盤]/CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年06月13日
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“世界一の無名ギタリスト”による本領発揮盤 ロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)という人は、悲しいかな、知名度が低い。セッション・ミュージシャンとして、ブルース、ロック、カントリーなど多彩な演奏ができ、ソロ作も1970年代~80年代にいくつも残しているが、どうしたことか、聴かれることは決して多くない。エリック・クラプトンやジェフ・ベックらがリスペクトするギタリストで、ミュージシャンズ・ミュージシャンの典型だが、インターネットやら何やらでいくらでも情報が入る今の時代になっても、残念なことに、知名度が上がるどころか忘れ去られつつあるのでは…と不安にすらなってしまう。 ブキャナンは、1939年生まれで、1988年に怪しげな“自殺”を遂げている。フェンダー社のテレキャスターを駆使した多彩な奏法が特徴で、いろんなジャンルの演奏を得意とするものの、ブルースあるいはブルース・ロック的な演奏は彼の根幹を成す。アルバムによって、結構作風が違っていたりもするけれど、ソロ第2作のこの『伝説のギタリスト(Second Album)』(当時の邦題は『伝説のギタリスト ロイ・ブキャナン登場』)の演奏は、彼の得意とする演奏スタイルがストレートに反映されているという点で、まさしく本領発揮の盤と言えるのではないかと思っていたりする。 アルバムのどこを切り取っても捨て曲がなく、真骨頂のテレキャスター演奏が炸裂するといった感じなのだけれど、敢えて何曲かピックアップしておきたい。3.「ファイヴ・ストリング・ブルース」の鬼気迫る演奏は、本盤収録曲の中でも白眉と言える。その一方で、7.「エルモア・ジェイムスの賛歌」のようにリズムに乗った演奏も無視できない。さらに、前作からの傾向も引き継ぐ8.「シー・ワンス・リヴド・ヒア」のような、いくぶん長閑な曲調のナンバーもいい。 一般の聴衆受けしづらいロイ・ブキャナンの作品としては、本作は相応のセールスをあげた盤である。でも、実は、そうした売り上げ云々とは関係なしに、こういう内容こそが名盤として生き残っていく(個人的・希望的観測を含め)という風になってほしいと、密かに願っていたりする。[収録曲]1. Filthy Teddy2. After Hours3. Five String Blues4. Thank You Lord5. Treat Her Right6. I Won’t Tell You No Lies7. Tribute to Elmore James8. She Once Lived Here1973年リリース。 [枚数限定][限定盤]伝説のギタリスト/ロイ・ブキャナン[CD]【返品種別A】 伝説のギタリスト [ ロイ・ブキャナン ] ↓こちらはベスト盤↓ 【輸入盤CD】Roy Buchanan / Deluxe Edition (w/Bonus Tracks) (ロイ・ブキャナン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年06月10日
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イギリスの国民的バンド、飛躍の一枚 ステイタス・クォー(Status Quo)は、イギリスのロック・バンドで、ブギー・サウンドを代表するグループとして知られる。1960年代前半に結成され、メンバー・チェンジやバンド名称の変更を経た後、1967年に現在のバンド名となった(厳密には、当初の名称はザ・ステイタス・クォーで、1969年から「ザ」がなくなった)。当初はサイケ・ロックのサウンドを志向していたが、1970年代に入るあたりからブギー・ロックという路線を取り、人気を獲得していった。 そんな彼らにとって節目となったのが、5枚目に当たる『パイルドライヴァー(Piledriver)』という作品である。それまで所属していたレコード会社を替え(パイ・レコードからヴァーティゴ・レコードへ)、心機一転でリリースしたこのアルバムは、英国チャート5位を記録し、人気バンドとして絶頂期への入口となった。 演奏内容としては、ハード・ブギーやブギー・ロックといった彼らのキャッチフレーズから連想されるイメージ通りのものと言える。細かいことを言うと、少しサイケっぽい部分が顔をのぞかせたり、ややポップっぽいブギーが目立ったりといった特徴はあるけれども、初めてステイタス・クォーを聴こうという向きにも好適の盤だと思う。 筆者のお気に入りを含め、いくつかの曲に触れておきたい。ややポップな1.「ドント・ウェイスト・マイ・タイム」やシングルとして全英8位となった6.「ペーパー・プレイン」は、このバンドらしさ全開の典型的ブギー曲。個人的に意外と気に入っているナンバーの一つは、8.「ロードハウス・ブルース」。フォガットなんかにも言えることだけれど、ブルース・ロックからこうしたブギーと括られる音楽への流れという意味で、こういう曲に筆者はついつい釘付けにされてしまう。それから、忘れてはならないのは、アルバム全体を通して聴いた時、決して一本調子になってしまっていないことである。その意味では、4.「アンスポークン・ワーズ」や7.「オール・ザ・リーズンズ」といったなかなか魅力的なナンバーが混じっていて、これらも注目曲と言えるのではないかと思ったりする。[収録曲]1. Don't Waste My Time2. Oh Baby3. A Year4. Unspoken Words5. Big Fat Mama6. Paper Plane7. All the Reasons8. Roadhouse Blues1972年リリース。 パイルドライヴァー +1 [ ステイタス・クォー ] ↓こちらはベスト編集盤↓ ICON[輸入盤]▼/STATUS QUO[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年06月06日
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フィル・コリンズをメインに据えたトリオ期の締め括り盤 メンバーが徐々に脱退していき、フィル・コリンズを軸とする3人体制で1980年代にポップなサウンドを志向して「インヴィジブル・タッチ」などのヒットを飛ばしたジェネシス(Genesis)。やがて1996年にはフィル・コリンズ自身も脱退することになる(ただし2006年に復帰)のだが、この“黄金期”の最後のスタジオ作となったのが、1991年の『ウィ・キャント・ダンス(We Can’t Dance)』というアルバムである。 本盤は、大きなヒットを記録したアルバム『インヴィジブル・タッチ』以来、5年ぶりの新作で、全米4位、全英1位と好評を博した。前作と比べると、ポップさを一定程度は保ちながらも、過度にポップさを強調せず、どちらかと言えば、それよりも前のプログレ・サウンドがうまく盛り込まれている(フィル・コリンズにとってみれば、ひょっとすると、この折衷具合がバンド活動継続のモチヴェーション低下につながったのかもと個人的には勘繰りたくもなってしまうけれど)。 シングルとしてヒットした曲という観点では、1.「ノー・サン・オブ・マイン」(英6位、米12位)と7.「アイ・キャント・ダンス」(英米ともに7位)が目立ったナンバーである。他に筆者の個人的な好みでとくに外せないと思うのは、一応シングルカットされたが上記2曲ほどヒットはしなかった2.「ジーザス・ヒー・ノウズ・ミー」。たたみかけるような演奏に加え、皮肉の聴いた詞の内容も気に入っている。 これら以外に注目したい曲としては、10分ほどの長尺曲が2つ含まれている。ひとつは、3.「ドライヴィング・ザ・ラスト・スパイク」、もうひとつはアルバム末尾の12.「フェイディング・ライツ」である。この12.はプログレ色がいい感じに戻ってきているように思うのだけれど、同じような特徴のナンバーとしては、6.「ドリーミング・ホワイル・ユー・スリープ」も捨てがたい。 結果的には、フィル・コリンズを含むジェネシスのスタジオ作としては、これ以上の新作が出ることはなかった。とはいえ、個人的には、その当時はそれこそよく聴いたし、現在も思い出しては時折引っ張り出してきて聴き続けている盤だったりする。 [収録曲]1. No Son of Mine2. Jesus He Knows Me3. Driving the Last Spike4. I Can't Dance5. Never A Time6. Dreaming While You Sleep7. Tell Me Why8. Living Forever9. Hold on My Heart10. Way of the World11. Since I Lost You12. Fading Lights1991年リリース。 【輸入盤CD】Genesis / We Can't Dance (w/DVD) (ジェネシス) 送料無料【中古】ウイ・キャント・ダンス [Audio CD] ジェネシス 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年06月04日
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ロンドンに渡り成功を収めた一枚 ボブ・マーリー(Bob Marley)は、1945年に生まれ、1981年に36歳で没したジャマイカのミュージシャン。レゲエの先駆的アーティストの一人で、ザ・ウェイラーズというバンドを率いて活動した。そんなボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley &The Wailers)の代表作の一つが、1977年発表の『エクソダス(Exodus)』という盤である。 1970年代に入ってから、アイランド・レコードでアルバムを出すようになり、順調に音楽活動を繰り広げていた彼は、本盤発表の前年に当たる1976年に襲撃事件に巻き込まれている。ジャマイカの大統領を中心に、当時の政治的対立を和らげようと企画されたコンサート(“スマイル・ジャマイカ”)の2日前に、ボブ・マーリーは自宅を襲撃され銃撃を受けた。妻とマネージャーは重傷を負ったが、彼はコンサート当日、90分間の演奏を敢行した。 その後、彼はイギリスへと渡り、本盤を発表する。アルバム表題および表題曲の“エクソダス”(旧約聖書に由来し、“国外脱出”の意)は、当時の彼の状況そのままのものであった。アルバムはセールス面でも成功し、イギリスでは56週連続でチャートインし、アメリカのビルボードでも20位を記録。アイランド・レコードのアルバムとしては初のゴールド・ディスクとなった。 注目したい曲をいくつか挙げておきたい。表題曲の5.「エクソダス」は、古代の歴史を題材にしつつ、自身の時代と重ね合わせていて、重々しいテーマ。この曲を含めてイギリスでは本盤からいくつかのシングルがヒットしたが、6.「ジャミング」もその一つで人気の高いナンバー。さらに、同じくシングルとしても発売され、後々もボブ・マーリーの代表曲として知られていったのが、10.「ワン・ラヴ/ピープル・ゲット・レディ」。ただ単に「ワン・ラヴ」の表題でも知られるが、カーティス・メイフィールド(ジ・インプレッションズ)の「ピープル・ゲット・レディ」を引用しているため、このようなタイトル表示になっている。また、この10.は、マーリー死後の1984年にもシングルで再発売された。[収録曲]1. Natural Mystic2. So Much Things to Say3. Guiltiness4. The Heathen5. Exodus6. Jamming7. Waiting in Vain8. Turn Your Lights Down Low9. Three Little Birds10. One Love/People Get Ready1977年リリース。 エクソダス +2 [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ] ↓こちらは40周年記念エディション↓ EXODUS 40 - THE MOVEMENT CONTINUES(2CD)【輸入盤】▼/BOB MARLEY & THE WAILERS[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月29日
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ジャジーで都会的なAORの超定番作 マイケル・フランクス(Michael Franks)は、1944年カリフォルニア生まれのシンガー。1970年代に入ってデビューし、1990年代までコンスタントにアルバムを発表し続けた。21世紀に入っても、何年かおきに継続して新作を発表していて、現役を続けているようである。 ジャンルで言うと、AOR(大人向けロック)、あるいはクワイエット・ストームの代表格ということになるのだろう。実際、このマイケル・フランクスという人は、とっつきやすく、聴きやすく、安定したシンガーである。そして、彼の代表盤と言えば、1977年発表の本盤『スリーピング・ジプシー(Sleeping Gypsy)』とういことになる。 マイケル・フランクスの魅力は、大きく次の二点に集約されるように思う。一つは、甘く柔らかくて漂う感じのヴォーカル。音楽を評するときに、よく“メロウな”という表現が使われるけれど、この言葉はこういう人のためにあるのだとすら思えてしまう。 二点目は、現代風に言えば“ジャジー”な部分と言えるだろう。ヴォーカルに限ったことではなく、バックにジャズ的要素やボサノヴァ風味(6.「アントニオの歌」は彼の代表曲とされる)を積極的に取り込んで都会的な雰囲気の演奏に仕上げている。もしもチープな演奏にこの声だったとしたら、すべてが軽薄に聞こえてしまったかもしれない。けれども、しっかりアレンジをやって作り込んで、腕のいいミュージシャンでその演奏をやっているからこそ、安心して聴ける音楽になっているのだと感じる。 特大のヒットに恵まれたわけではないので、いくぶん埋没した存在に見られがちな部分もあるようだけれど、過去に置き忘れるにはもったいないアーティストである。AOR系などと言われる音楽が苦手な人はともかく、未体験に人もぜひ試してほしいという勧め方をしたくなる一枚だったりする。[収録曲]1. The Lady Wants to Know2. I Really Hope It's You3. In the Eye of the Storm4. B'wana-He No Home5. Don't Be Blue6. Antonio's Song7. Chain Reaction8. Down in Brazil1977年リリース。 スリーピング・ジプシー [ マイケル・フランクス ] ベスト・オブ・マイケル・フランクス/マイケル・フランクス[SHM-CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月24日
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最大のヒット作にして聴き継ぎたい好盤 ジェファーソン・エアプレイン、ジェファーソン・スターシップ、スターシップ、ポール・カントナー主導の再結成ジェファーソン・スターシップ、ミッキー・トーマス中心のスターシップ…。同じバンドではないことは明らかなのだけれど、メンバーの一部が流れを汲み、分裂したり、時にはバンド名の使用で争ったり、ややこしいことこの上ない。とはいえ、これら一連の関連バンドの作品の中で、いちばんヒットしたものははっきりしている。それがジェファーソン・スターシップ(Jefferson Starship)による、1975年発表の『レッド・オクトパス(Red Octopus)』である。 当初のジェファーソン・エアプレインの解散の一方、別バンドとして結成されたジェファーソン・スターシップは、1970年代半ばから後半にかけて成功を収めたバンドとなった。本盤は1974年のファースト作(ドラゴン・フライ』)に続くセカンド作で、全米1位のヒット盤となった。 ジェファーソン・エアプレインの中心人物と言えば、ポール・カントナーとグレイス・スリックということになるのだろうけれど、このバンドの成功のカギはマーティ・バリンの存在だった。バリンはゲスト・メンバーながら先のファースト作でヴォーカルとして1曲参加しており、この『レッド・オクトパス』では、スリックと並んで、バンドの顔としてその声を聴かせている。収録の全10曲から2つのインスト曲を引いた8曲中、リード・ヴォーカルは、バリンが4曲(2.,5.,7.,10.)、スリックが3曲(1.,4.,6.)、カントナーが1曲(8.)といった具合である。 注目曲としては、2.「ミラクルズ」が筆頭だろう。アルバムに先行してシングルとして発表され(ただしシングル・ヴァージョンは3分半ほどなのに対し、アルバム収録のヴァージョンは7分近い尺になっている)、全米チャート3位を記録した。マーティ・バリンの本領発揮といった感じの甘口バラードの秀逸曲である。 とはいえ、バリンのカラー一色のアルバムでないところが本盤の魅力でもある。グレイス・スリックのナンバーとしては、アルバム冒頭の1.「ファースト・バッグ・フレディ」、それから、シングルにもなった6.「愛を奏でよう(プレイ・オン・ラヴ)」がいい。インストの2曲(3.と9.)は、アルバムの流れの中でも絶妙な曲の配置で、個人的には3.「ギット・フィドラー」のパパ・ジョン・クリーチのヴァイオリンをはじめとする各楽器の競演は、本盤を聴くうえで特に楽しめる部分だと思っている。最後に、唯一ポール・カントナーがリード・ヴォーカルとなっている8.「もう一つの世界(アイ・ウォント・トゥ・シー・アナザー・ワールド)」の、厚みのあるややハードな演奏も聴き逃せない1曲。なお、余談ながら、4.「アイ・ガリマス」は「愛ガアリマス」の邦題や原題のカッコの中(ゼア・イズ・ラヴ)を見ての通り、おかしな表記になっているが、日本語のタイトルの曲ということらしい。[収録曲]1. Fast Buck Freddie2. Miracles3. Git Fiddler4. Ai Garimasũ (There Is Love)5. Sweeter than Honey6. Play on Love7. Tumblin'8. I Want to See Another World9. Sandalphon10. There Will Be Love1975年リリース。 ↓ジャケット・イメージ(リンク先はLP盤)↓ 【送料無料】 Jefferson Starship ジェファーソンスターシップ / Red Octopus (レッドヴァイナル仕様 / 180グラム重量盤レコード / FridayMusic) 【LP】↓こちらは中古CD↓ 【中古】レッド・オクトパス/ジェファーソン・スターシップCDアルバム/洋楽↓ベスト盤です↓ 【輸入盤CD】Jefferson Starship / Platinum & Gold Collection (ジェファーソン・スターシップ) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月18日
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1970年代、ソロシンガーとなったサイモンの代表盤 サイモンとガーファンクルは1960年代に様々なヒットを残し、1970年に解散した。その後、ポール・サイモン(Paul Simon)はソロとしての活動を展開していった。1972年、1973年にそれぞれソロとしてのアルバムを発表したのに続き、1975年にリリースされたのが本盤『時の流れに(Still Crazy After All These Years)』であった。 本作は、全米1位となり、最優秀アルバムに加え、男性ポップ・ボーカル部門でグラミーを受賞した。これはサイモンとガーファンクルとしての受賞以来、ソロで初めての受賞であった。1980年代には『グレイスランド』という大きなヒットとなった盤を出しているが、1970年代の彼の活動としては、この『時の流れに』が代表作だと言えるだろう。 この盤に収められた中で有名曲といえば、4.「恋人と別れる50の方法(フィフティ・ウェイズ・トゥ・リーヴ・ユア・ラヴァ―)」である。全米のほかカナダでも1位を記録したほか、全米では年間のシングルチャート8位となった。シニカルな詞、淡々とした歌いくちといった特徴は、後のスティングに影響を与えたんじゃないかと思ったりする。もう一つ、本盤で大きな注目を集めたのは、アート・ガーファンクルとの共演の2.「マイ・リトル・タウン」。1970年に袂を分かった二人だったけれど、この曲だけは“サイモンとガーファンクル”の名義で録音され、それぞれのソロ・アルバムに収録されることになった。 上記の2曲以外に外せないナンバーとしては、まずは、表題曲の1.「時の流れに(スティル・クレイジー・アフター・オール・ジーズ・イヤーズ)」。そして、7.「ある人の人生(サム・フォークズ・ライヴズ・ロール・イージー)」。どちらもじっくり染み入るタイプの曲と詞がいい。筆者的には、上で触れた4.「恋人と別れる~」とこれらを合わせて、本盤のベスト3曲という気がしている。[収録曲]1. Still Crazy After All These Years2. My Little Town3. I Do It For Your Love4. 50 Ways to Leave Your Lover5. Night Game6. Gone at Last7. Some Folks' Lives Roll Easy8. Have a Good Time9. You're Kind10. Silent Eyes1975年リリース。 時の流れに [ ポール・サイモン ] 【輸入盤】Still Crazy After All These Years [ Paul Simon ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年05月09日
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熟年に達したアルの密かな名作 アル・クーパー(Al Kooper)は1944年生まれで、ロックという音楽が確立されていった時代の生き証人の一人である。そんな彼のソロ作は決して多いわけではなく、しかも1960年代末から1970年代に集中している。1980年代には“指揮者”的な役割のアルバム(『チャンピオンシップ・レスリング』)、1990年代にはインスト盤(『リクーパレイション』)とライヴ盤(『ソウル・オブ・ア・マン』)をリリースしていたが、本格的なスタジオ作品は、30年近くという長い時を経て2005年に出された。それが本盤『ブラック・コーヒー(Black Coffee)』である。 久々の復活盤ともいうべきこの作品は、派手な新作でもなければ出涸らしの駄作でもなかった。まさしくアル・クーパーの世界、それも年月の流れを経て、円熟味が加わっている。そもそも彼の音楽は、基本的にはホワイト・ソウルなどと分類されがちだけれど、アップテンポもあればスローバラード系もあり、ロック色ありと一本調子ではない。本作でもその音楽的な幅というか多様さは十分に生かされており、2000年代の洋楽の密かな名作の一つに数えられてもいいのではと思ってみたりする。 個人的な好みで注目曲をいくつか挙げておきたい。アルの味がよく出ているナンバーとして、1.「マイ・ハンズ・アー・タイド」、9.「アナザー・マンズ・プライズ」が筆者的にはお勧めである。あと、いくつか共作のナンバーが含まれているが、4.「ゴーイング・ゴーイング・ゴーン」は要注目。R&Bやソウルの有名な作曲家ダン・ペンとの共作曲で、本盤収録曲のうち、1、2を争う出来のナンバーだと思う。 他方、全14曲(日本盤ではボーナス・トラックがあるので15曲)のうち自作ではないナンバーが5曲あるのにも注目されたい。筆者が特に気に入っているのは、まずはライヴ演奏(2001年のライヴとのこと)の8.「グリーン・オニオンズ」。言わずと知れたブッカーT&ザ・MG’ズのナンバーだが、アルのオルガン演奏は健在。11.「ガット・マイ・アイオン・フー」は、ダイアー・ストレイツのギタリストを務めたハル・リンデスのナンバーだが、見事にアルのカラーに仕上がっている。これと、同じことは、レイ・チャールズで知られる12.「ジャスト・フォー・ア・スリル」なんかにも言える。[収録曲]1. My Hands Are Tied2. Am I Wrong3. How My Ever Gonna Get Over You4. Going, Going, Gone5. Keep It to Yourself6. Get Ready7. Imaginary Lover8. Green Onions (Live)9. Another Man´s Prize10. Childish Love11. Got My Ion Hue12. Just for a Thrill13. Goin´Back In A Cadillac (Live)14. (I Want You To) Tell Me the Truth15. Test Drive [日本盤ボーナス・トラック]2005年リリース。 【輸入盤CD】AL KOOPER / BLACK COFFEE (アル・クーパー) ブラック・コーヒー / アル・クーパー 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月06日
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初期の熱きコステロを聴くなら本盤かデビュー盤から エルヴィス・コステロのデビュー・アルバムは名曲「アリソン」を含む『マイ・エイム・イズ・トゥルー』(1977年)であった。そして、その翌年になって発売されたセカンド作がこの『ディス・イヤーズ・モデル(This Year’s Model)』である。その当時、日本では上記デビュー作の日本盤は発売されなかったため、本邦初紹介となったのがこの作品だったということになる。 ファースト作と本セカンド作の大きな違いは、バックバンドの存在である。エルヴィス・コステロのバックバンドは、彼自身がデビューした後にようやく形成され、本作で初めてジ・アトラクションズが姿を現した(ただしアルバムそのものには、まだ“エルヴィス・コステロ”とだけ記されている)。この後、コステロは長らくこのアトラクションズとの演奏を続けていくことになる。ちなみにデビュー盤でバックの演奏をやっていたのはクローヴァー(後のヒューイ・ルイス&ザ・ニューズに発展)で、このセカンド作でアトラクションズに含まれることになるメンバー数名もレコーディングに参加していた。 本盤『ディス・イヤーズ・モデル』の特徴は何よりも前作の勢いをそのまま保ちつつも、ややパンク色の強い曲調・演奏が増えている点である。ファーストとセカンドでなかなか優劣がつけがたいのだが、ニューウェーブ的なノリを求める人なら、おそらくはこのセカンド作の方がより気に入るのではないかと思ったりもする。ちなみに、英国チャートでは、前作は14位だったが、本作は4位に躍進した。 私的な好みの曲をいくつか挙げておこうと思う。1.「ノー・アクション」はデビュー当時のコステロのイメージの一つである勢いのある好曲。同じ流れでは、米盤にのみ収録された11.「レイディオ・レイディオ」がいい。やや偏った感じかもしれないけれど、筆者的には、この2曲が本盤のコステロを象徴するナンバーだったりする。これらに次いで注目したい曲としては、2.「ジス・イヤーズ・ガール」、4.「パンプ・イット・アップ」、7.「ハンド・イン・ハンド」、8.「リップ・サービス」なんかが挙げられるだろうか。繰り返しになるが、デビュー盤と並んで、“怒れる若者”何て呼ばれたりもしたエルヴィス・コステロの若いパワーと勢いが伝わってくる盤だと言える。[収録曲]1. No Action2. This Year's Girl3. The Beat4. Pump It Up5. Little Triggers6. You Belong to Me7. Hand in Hand8. Lip Service 9. Living in Paradise10. Lipstick Vogue11. Radio, Radio*英盤・米盤・日本盤それぞれで曲目の異動あり(上の曲目は筆者の手持ちの米盤による)。1978年リリース。 THIS YEARS MODEL[輸入盤]/ELVIS COSTELLO[CD]【返品種別A】 ディス・イヤーズ・モデル +1 [ エルヴィス・コステロ ] 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月03日
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