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娘の通う高校には制服がなかったので、着て行く服には娘なりの予定があって、大して多くはない洋服の中でも「この服にはこの靴下」とコーディネートを考えていたようだ。
でも雨が続いたり洗濯物の量が多かったりすると、娘の予定していた物の洗濯ができていない、ということがあった。そうすると娘は朝からご機嫌が悪い。そんな時娘と私の小さな言い争いが起きる。
「今日はあの服を着て行こうと思っていたのに!」とむくれる娘。「あなたの服だけを洗濯しているわけじゃないんだからね。雨が続いて洗濯物がたまってしまうこともあるのよ」と私。
その後娘は他県の大学への入学を機に家を出た。娘が初めて帰省した夏休み、娘の変化に驚いた。翌日に着て行きたい服の洗濯が間に合わないと思うと、その服だけ自分で手洗いして自分の部屋に干して自分で間に合わせていた。
大学では体育会系の部活に入り、アルバイトもしていた娘。授業や部活・バイトを終えて、疲れてアパートに戻ると洗濯物の山。洗濯機があるとはいえ、ごろんと横になりたい気持ちを振り払って洗濯をしていたようだ。きっと何もせずに洗濯物ができ上っていたことの有難さを実感したのだろう。
もう一つ驚いたことがあった。帰省の折家族で外食したら、会計の後、娘が夫と私に「ごちそうさまでした」とちょこんと頭を下げたのだ。部活で先輩に奢ってもらうことがあるのだなあ、と思った。
子どもが大きくなるにつれて「してやること」が優しさではなくて、むしろ「してやらないこと」が本当の優しさであるケースが増えてくる。けれどそばにいれば、親はどうしても可哀そうに思って手を出してしまう。そしてその結果、自分でできることを自分でしない子どもにしてしまう。
親としては寂しいけれど、親が手を出せない所に離すことで、子どもは精神的に成長するのだなあ、と思った。