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超話題作『バベル』この間、感想を書いたけど、あたしはなるべく人の感想を見る前に自分なりにまとめたてから、書くようにしてるんだ。なので、今回、感想を書いた後、他の人の感想を見に行ってみて感じたことをつらつらと。どんな映画でも感想が様々になるのは当たり前のこと。みなそれぞれ好みがある訳だから当然だよね。あたしもかなり独自の好みを持ってるので人が面白いっていっていても、世間で大ヒットしたものでもつまんないなーって思うことは多々ある。ただ、今回、バベルの感想をみていてちょっとだけ気になったことが。ほんと評価が二分されていて結構酷評されているんだよね。で、つまらないっていう人の意見を読んでいると「何が言いたいのかまったくわからない」「話が中途半端」とストーリー全体を批判しているものと「聾唖者をバカにしている」「日本の女性の描き方がひどい」といった、菊池凛子が演じたチエコという役柄に対しての批判が多い気がしたんだ。いわゆる娯楽作品と違ってストーリー仕立てが単純ってことでもないしそのわりに一人一人の登場人物の背景に関しての細かな描写もないし「あーして、こーして、こうだから、こうなりました」っていう話しでもない。見る側の想像力っていうか、感受性というかそういったもので補うことが必要な映画ではあると思うのね。わかりやすさというのも映画の面白さの一つだけど見る側にゆだねる部分が残されてるっていう映画なんだよな・・・だから、この監督の作品が好きといっている人たちの多くが「話題性だけで見に行くと後悔する」といっていることには頷いてしまう。あとチエコが聾であることかつチエコが奇行を繰り返すこと。聾=言葉が話せない=身体で表現する=奇行っていう風に解釈されるから先のような感想に繋がっちゃうのかな・・・たしかにそう捉えられても仕方がない部分もあるんだけどね。あたしも多少気になる点でもある。こないだの感想の反転部分がそれ。けど聾であることも、日本人であることも単にキャラクターの一つに過ぎないと思うのにまるでチエコが日本人の聾唖者の代表かのように彼女の描き方についてかなり過剰に反応しているのが気になるの。なんでだろうね?チエコが中国人だったら全然感想が違っていたんだろうか??それともあたしが楽観視しすぎていて世界の人々はこの映画みてこの映画のメッセージが読みとれずチエコのような行動を意味無く行う女性が日本にはたくさんいると思うんだろうか?人がどう思うがこの映画が好きなことに代わりはないので別にいいんだけどふと、思ったことを書いてみました。これ読んで、見る気が失せちゃったってことにならなきゃいいんだけど・・・心のつぶやきってことで。
April 25, 2007
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「ねえ、あなたは悪人なの?」「いいえ、悪人ではないわ。ただ愚かなことをしてしまっただけ・・・」 「愚か」なことは「罪」なのか・・・「愚か」なことは「悪」なのか・・・人は皆、誰もが「愚か」であり「愚か者」が犯した過ちは「悪」と呼ばれ、「愚か者」には「罪人(つみびと)」の烙印を押される。「愚か者」は、その愚かさ故、大切な何かを失い、失って初めて、失ったものの大きさに気づき、己の「愚かさ」を呪う。ならば人間が犯した最も「愚か」な行為とは? 「遠い昔、言葉は一つだった」神に近づこうと、天まで届く塔を建てようとした人間の「愚かさ」に激怒した神は人間にその「愚かさ」を悔いるよう、過酷な罰を与える。”言葉を乱し、世界をバラバラにしよう”人の愚かさに対して神は罰を下す。人は罪を犯すと罰せられる。ならばやはり愚かさとは=「罪」なのだろうか。言語が違うという意味だけではなく自分の想いを誰かに伝えることが、どれほど困難なことか。それが親子であっても、夫婦であっても、言葉が、気持ちが伝わらない・・・神は人の心をバラバラにしてしまった・・・「世界」という名の「バベルの街」に住むわたしたち。世界では「想い」が伝わらないために起こる悲劇が後を絶たない。「わたしたちは、いまだ、つながることができずにいる」すれ違う想い。救いを求める叫び。だが。もがき、苦しんだ先に伝わる「愛」があるのならば、願わずにはいられない。「届け、心」と。 あたしらしくもない文章で始まったバベルのレビュー。冒頭の2行の会話はこの映画の中であたしが最も印象深く感じた台詞。この映画、どうしようもなく「渇いた」映画です。モロッコやメキシコといった物理的に乾いた場所が舞台になっているせいに加えて、登場人物達の孤独な心はまさに「渇き」です。精神的な渇きは、見ているあたしの身体的渇きにも繋がるようで飲み物が欲しくてたまらなくなるのだけど、右肘の先にあるドリンクホルダーにおかれたドリンクのカップに手を伸ばすことができない。それほど、深くあたしの心を捉えてしまった作品。このどうしようもない心の渇きを潤すものは何なのか。それは「相手に伝えたい想い=愛」に他ならない。そしてその「愛」こそが、バラバラになった世界を繋ぐもの。 モロッコの遊牧民の父とその幼い息子たち。モロッコ観光で失われた絆を取り戻そうとするアメリカ人夫婦。やむを得ない事情で雇い主の子供達を連れ旅することになるメキシコ人の乳母。ある日突然、母(妻)を亡くした日本人の娘とその父親。分けられてしまった世界。4つの物語を結ぶのは、たった1つの銃弾。そして4つの物語の中で描かれる「哀しみ」と「想い」。それぞれの物語の主人公たちはみな何かを失っている。失ったことの哀しみ。その哀しみの心の奥底から「救い」を求める彼らの姿が目に焼き付いて離れない。グスターボ・サンタオラヤの押さえがちのサントラとギターの調べが否応なしに心に響いてくる。映画を見終わった今も彼の音楽を聴くだけで、物語がよみがえる。 超話題作というわりに、肝心のストーリーについてはなんの予備知識もなく、見に行ったんだ。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥこの監督の作品は1作も見たことがないの。興味はあったんだけどね。なので、まったくの真っ白な状態で見た、彼の初作品はかなりの衝撃だった。後から知ったんだけど、この監督は時間軸の使い方に特徴があるらしくこの作品でも、4つの物語の時間的な流れが面白い。4つの物語がまるで同時進行しているかのように次々と場面の切り替えがあるので、とまどう人もいるかも。だが、実は時間的な流れはズレているんだよね。けどそれがトリッキーなものに感じず、むしろ、自然に思える。不思議・・・登場人物の誰もがみな魅力的でこの作品が決して「ブラピ映画」ではないことはすぐにわかるはず。ただ、ネーム・バリューのある彼が演じたからこそこの作品への注目度が高まったんだとしたら彼が出演したことは非常に意義があったかなと。他の3つの話がかなり強く関連しているのに比べて地理的にも遠く離れた日本での物語はちょっと異質。だが、この日本での話が最も強烈な印象を与えた。演出も最も刺激的で、心を鷲掴みにされ息苦しくてたまらんくなる。菊池凛子が演じる、チエコのまなざし、裸体が痛々しい。聾であり、声にする言葉を持たない彼女の心こそがこの映画の中でもっとも「渇いて」いた。自分の想いを伝える言葉を持たない変わりに目がくらむような激しい熱情を身体の奥から発散するチエコ。彼女の心が抱える暗い闇。彼女の救いを求める声にならない叫び。彼女の奇異に映る行動は彼女の心の中の発し切れない想いの裏返しのよう・・・まるで自らを傷つけるかのように大胆に振る舞うチエコ・・・この難しい役を演じ切れたことが高い評価に繋がったんだろうな。高校生には見えない風貌だけど外国人向けならアリなのかと。ほんとの高校生じゃ、あの役は演じられないだろうからね。逆にいえば、1年にもおよぶオーディションで彼女がこの役を射止めることができたことはやはり幸運だったといえるんじゃないかな?彼女の叫びを受け止める役として登場した刑事役の二階堂智。彼の演技も素晴らしかった。 まだ公開前なので、物語の詳細には触れないでおこっと。この映画をみた人の感想は様々だろう。あらゆる類の言葉が存在したであろう混沌としたバベルの街のごとく・・・人に想いを伝えるこのことの意義を深く考えさせられる映画です。ちょっと思い入れが強すぎてうまく整理して書けなかったな・・・ただ、話題作っていうだけで見に行くとちょっと辛いかも。時間も長いし、この手の映画は評価が分かれるだろうね。バベルの塔の話を知ってたり予告をみているとモロッコで銃撃事件にあったアメリカ人ってことで「言語の壁」とか「人種の壁」といったものをイメージしちゃうかも。事実あたしも、見に行く前はそう思ってたし。けど、この映画はたとえ同じ国に住んでいても同じ言葉を話していても、家族であっても、言葉が通じない。心が繋がらない。世界中の誰の心の中にある「バベル」その苦しみを抱えながら生きるわたしたち。だが、きっといつか繋がることができる。そう、信じたくなる映画です。こんな感想文でも、この映画に興味もってもらえたら、ポチっとよろしく↓追加(ネタバレ)チエコが真宮刑事に渡した手紙だけど内容が全然読めなかった。あれって、やっぱり母親の死に関してのことが書かれてたのかな?母親は本当に猟銃自殺だったのかな?父親と真宮刑事の最後のやりとり。真宮刑事が言葉を飲み込んだように見えたのがすごく気になる。父親は妻の死の真相を隠しているのか。それともチエコだけが本当のことを知っているのか。どうしてここだけは明確に描かなかったのかなぁ・・・この部分が曖昧なせいで、この映画の意味がわからんという感想に繋がりそうな不安も。あたしは勝手に内容を妄想してそれがあのチエコの奇行に繋がってると解釈したんだけど。誰か手紙を読みとれた人いませんか~?
April 21, 2007
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