《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2017.01.31
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
1970 戦闘員のコンピュータ・ファイルがアル・カイダ だ。アラビア語でアル・カイダとは「ベース」を意味し、「データベース」の訳として使われる。

 2003年にイラクを先制攻撃で破壊したアメリカ軍だが、その数年後には行き詰まり、1980年代に成功した戦略を使おうとしたのがハーシュの指摘した秘密工作だろう。そして2011年春にリビアやシリアは戦乱に巻き込まれる。「民主派に対する独裁者の弾圧」で始まったわけでないことは明確になっている。本ブログでも繰り返し書いてきたが、リビアではNATOがアル・カイダ系武装集団LIFGと連携、 そこから戦闘員や武器をCIAがシリアへ運んだ ことも発覚している。

 この連携に危機感を持ったロシアはシリアに対するNATOの軍事介入を阻止する。それでもアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルといった国々は戦闘員を送り込み、武器/弾薬を供給してバシャール・アル・アサド体制の打倒を目指す。特殊部隊も送り込んだ。

 しかし、アメリカ国内にもアル・カイダ系武装集団を使うことを懸念する人はいた。そのひとりがトランプ大統領が国家安全保障担当補佐官に選んだマイケル・フリン。アメリカ軍の情報機関 DIA(国防情報局)は2012年8月にシリア情勢に関する文書を作成 、オバマ政権へ提出しているが、その中でシリアにおける反乱の主力をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)だと指摘、西側、湾岸諸国、そしてトルコからの支援を受けているともしている。DIAはアメリカ政府が方針を変えなければシリア東部にサラフ主義の支配地が作られると予測していたが、これはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実になった。

 アル・カイダ系武装集団、あるいはダーイッシュを危険な存在と考えるか、アサド体制を倒す手先と考えるかでフリンとオバマ周辺は対立、2014年8月7日にフリンはDIA長官を辞めることになる。

 退役後、この文書について アル・ジャジーラの番組

 軍隊の内部にはフリンと同じ考えの人物が存在、そのひとりが マーチン・デンプシー大将 。2011年10月から統合参謀本部議長を務めていたが、ハーシュによると、デンプシーを含むグループはオバマ政権の政策を懸念、2013年秋からダーイッシュやアル・カイダ系武装集団に関する情報をホワイトハウスの許可を得ず、シリア政府へ伝え始めたという。

 2013年2月から国防長官を務めたチャック・ヘーゲルも武力によるアサド政権転覆には消極的な姿勢を見せていたのだが、15年2月に好戦派のアシュトン・カーターと交代させられ、9月25日にはデンプシーも辞めさせらる。後任はロシアをアメリカにとって最大の脅威だと発言していたジョセフ・ダンフォードだ。

 デンプシーが退任した3日後、9月28日に国連の一般討論演説でプーチン露大統領は西側の姿勢を批判する。北アフリカ/中東やウクライナを戦乱で破壊、死体の山を築くようなことをした人びと、つまりネオコンをはじめとする西側指導者やサウジアラビアなどペルシャ湾岸産油国、トルコ、イスラエルといった国々の政府に対し、プーチンは「 自分がしでかしたことを理解しているのか? 」という強い言葉を浴びせた。

 そして9月30日にロシア軍はシリアでアル・カイダ系武装集団やダーイッシュに対する空爆を開始する。ウォルフォウィッツが1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしたとき、アメリカが軍事行動に出てもソ連は出てこられないと言っていた。アメリカが単独で先制攻撃してもロシアは文句を言えないという認識だったのだが、この空爆でネオコンはショックを受ける。ロシアの空爆は本島にアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュを攻撃するもので、戦況は一変した。世界を軍事力で制圧するというネオコンの戦略はロシアとの核戦争に発展してしまう。

 それでもウォルフォウィッツ・ドクトリンを推進しようというのがヒラリーであり、当然、支配層の内部にもそれを懸念する人が増えただろう。そして2016年2月のキッシンジャーによるロシア訪問だ。

 キッシンジャーは石油産業と関係が深い。1973年に石油価格が大幅に上昇、石油危機と呼ばれる事態になった。その直接的な原因は第4次中東戦争だが、この戦争を演出したのはキッシンジャーだと言われている。エジプトのアンワール・サダト大統領をアラブ世界の英雄に仕立て上げ、同時にイスラエルへ和平交渉に応じるようプレッシャーをかけようとしたというのだ。

 サウジアラビアのファイサル国王の腹心で、その当時に石油鉱物資源相を務めた シェイク・ヤマニによると 、1973年5月にスウェーデンで開かれた秘密会議でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求、オイル・ショックにつながったとしている。その秘密会議がビルダーバーグ・グループの会合だったことは確認されている。値上げはキッシンジャーから提案されたのだという。

 トランプ大統領は国務長官として巨大石油会社エクソンモービルの会長兼CEOだったレックス・ティラーソンを選んだ。ロシアのプーチン大統領と友好的な関係にあることが注目されているが、その前に石油産業の人間だということを忘れてはならない。現在、窮地に陥っているサウジアラビアだが、何らかの形で救済しようとするだろう。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.01.31 12:09:22


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: