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ロシア軍は11月21日、マッハ10という極超音速で飛行する中距離弾道ミサイル、オレーシニクでドニプロにあるユジュマシュの工場を攻撃した。射程距離は約6000キロメートルだとされている。これは新型極超音速中距離ミサイルのテストを兼ねた警告だ。 ウクライナ軍は11月19日に6発のアメリカ製ATACMSでロシア深奥部を攻撃、また11月20日にはイギリス製ストームシャドウとHIMARSミサイルで複合攻撃した。いずれの場合もミサイル供与国は攻撃を許可しているはずだ。 ATACMやストームシャドウで戦局が一変することはないのだが、その攻撃における供与国の役割を考えると無視できないということだろう。そうした攻撃はロシアに対するミサイル供与国による攻撃とみなされるとウラジミル・プーチン大統領は明確に警告していた。 バイデン政権はロシアとの戦争を引き起こすことでドナルド・トランプの大統領就任を妨げようとしていると推測する人もいる。トランプ政権の誕生を恐れる関係者が国防総省、CIA、FBI、保健福祉省には少なくないだろう。 ATACMやストームシャドウでの攻撃に対する報復としてロシアはオレーシニクで攻撃したのだが、米英をはじめとするNATO諸国への警告だったことから核弾頭は外されていた。 ATACMSのようなミサイルでロシア深奥部への攻撃は兵器を扱えるオペレーターが必要であるだけでなく、兵器を誘導するための情報を提供する衛星、さらに目標の選定や目標に関する情報などもなければならないとウラジミル・プーチン大統領は以前から指摘していた。 このミサイルがウクライナから発射されたとしても、実際に攻撃したのは兵器を供給し、オペレーターを派遣、情報を提供した国こそが攻撃の主体だということだ。今回の場合、アメリカとイギリスがロシアを攻撃したことになる。プーチン大統領はATACMSなどでロシア深奥部が攻撃された後、ウクライナでの戦争は局地的なものから世界的なものへ性格が変わったと主張した意味はそこにある。 西側はロシアが保有しているオレーシニクは数機にすぎないと主張しているが、ロシアは200機程度をすでに持っているとも言われている。オレーシニクはMIRV(複数個別誘導再突入体)を使用、一度に4ないし6都市を破壊することが可能だ。今後、弾頭に通常の爆弾、あるいは核爆弾を搭載して攻撃する場合、事前に警告することをロシア政府は約束した。 アメリカがネオ・ナチを使ったクーデターを始めたのはバラク・オバマが大統領だった2013年11月のこと。翌年の2月にはビクトル・ヤヌコビッチ政権が暴力的に倒され、ネオ・ナチ体制が樹立された。ウクライナの制圧はロシア侵略の最終局面であり、「ネオバルバロッサ」を始めたとも言える。この段階でロシア政府が動かなかったことをポール・クレイグ・ロバーツ元米財務次官補は批判していた。 今後、米英が戦闘をエスカレートされてロシア深奥部を繰り返し攻撃するようになった場合、ロシアは攻撃目標をウクライナの外へ拡大させる可能性がある。そこで指摘されているのがポーランドに建設されたアメリカのミサイル基地。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.23
CDC(疾病予防管理センター)の所長を2018年3月から21年1月まで務めたロバート・レッドフィールドがCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)について語り、その発言をダナ・パリシュが11月15日に公開した。レッドフィールドによると、このウイルスは人工的に作られたもので、「バイオ防衛プログラムの一環として意図的に作られた」と示唆している。パンデミック騒動にアメリカは重要な役割を果たしたもと彼は主張している。 アメリカ国防総省とCOVID-19の関係は以前から指摘されていた。例えば、製薬業界で25年以上にわたってデータ分析、臨床試験、技術に携わってきたサーシャ・ラティポワ。彼女によると、COVID-19騒動は国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。 国防総省のDTRA(国防脅威削減局)がウクライナ国内で生物兵器の研究開発を進めていたことはロシア軍が指摘、同国の議会は2023年4月に報告書を発表している。 アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月にウクライナをネオ・ナチを使ったクーデターを開始、翌年の2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒してネオ・ナチ体制を樹立させた。 それから8年かけてアメリカ/NATOはウクライナの軍事力を増強、22年に入ると反クーデター軍が支配するドンバスの周辺に部隊を配備し、砲撃を激化させた。ドンバスに対する大規模な軍事作戦を開始、住民を虐殺してロシア軍を要塞線の内側へ引き入れ、封じ込めようとしていたと見られているが、その直前、2月24日にロシア軍はウクライナに対する攻撃を始めた。 その攻撃でウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設から機密文書を回収、分析結果をロシア軍核生物化学防護部隊のイゴール・キリロフ中将は2022年3月7日に公表した。それによると、DTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められたという。ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あったとされている。 キリロフが記者会見した翌日の3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 ロシア議会は2023年4月、アメリカの生物化学兵器の研究開発に関する報告書を発表した。それによると、アメリカの研究者は人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたとしている。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。この特性は「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と酷似。その推測が正しいなら、日本で生物兵器が大量生産されることになる。 レッドフィールドによると、COVID-19の研究はNIH(国立衛生研究所)のほか国防総省、そしてCIAの資金を扱うUSAIDが資金を提供していたが、研究の中心はノースカロライナ大学チャペルヒル校のラルフ・バリック教授。ウイルスの発祥地がチャペルヒルだった可能性は十分にあるとレッドフィールドは推測している。 アンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)は2014年からコロナウイルスの研究費としてエコヘルス連合へ数百万ドルを提供、その一部は「武漢病毒研究所(WIV)」の研究員へ提供されていたと伝えられている。 エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)へアドバイスする立場にある団体で、NIAIDの上部機関であるNIHからWIVの石正麗へ研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられていた。 石正麗を中心とするチームはSARSに似たコロナウイルスのスパイク・タンパク質が人間などの細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と結びつくメカニズムを研究、石はラフル・バリックとも協力関係にあった。 石とバリックは2015年11月にSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替えて新しいウイルスを作り出すことに成功したとも言われ、またコウモリのコロナウイルスを操作してほかの種を攻撃させる方法をバリックは石に教えたともいう。 モデルナはNIAIDと共同開発した「mRNAワクチン」の候補について2019年12月初旬に守秘義務契約を結び、その候補をノースカロライナ大学チャペルヒル校に譲渡することで合意している。 その直前、武漢では2019年10月18日から27日にかけて国際的な軍人の競技会が開かれ、アメリカも選手団を派遣。その前、10月18日にはコロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーション「イベント201」がニューヨークで開かれている。主催者はジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、そしてWEF(世界経済フォーラム)だ。 イベント201には中国疾病預防控制中心の高福主任も参加していた。この人物は1991年にオックスフォード大学へ留学、94年に博士号を取得した人物で、99年から2001年までハーバード大学で研究、その後04年までオックスフォード大学で教えている。NIAIDの所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。高福に限らず、中国のビジネスやアカデミーはアメリカ支配層の強い影響下にあり、それを政治が抑えている。 中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見されたという報告があったのは2019年12月のこと。高福は武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したとする見方を示し、ウイルスは武漢の海鮮市場から世界に広がったというストーリーが世界中で語られるようになった。 しかし、2020年2月からCOVID-19対策は中国軍の陳薇が指揮しはじめた。中国政府は高福の正体を知っていたはずで、信用していなかった可能性がある。陳はSARSの時の経験を活かし、インターフェロン・アルファ2bを使って短期間に沈静化させている。 この医薬品はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。この事実は中国やキューバなどで報道され、中国の習近平国家主席がキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。 COVID-19騒動がアメリカ国防総省のプロジェクトだということは以前から指摘されていたが、元CDC所長がそれについて触れる発言をしたのは興味深い。COVID-19の問題は「COVID-19ワクチン」と呼ばれる遺伝子操作薬の問題につながり、それは生物兵器である可能性が高い。その生物兵器を開発し、大規模な「治験」をしているグループはウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを成功させ、ロシアとの戦争を始めている。その戦争でネオコンはロシアに敗北したが、それだけでなくCOVID-19の闇にも光が当てられるかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.22
ウクライナは11月19日、ロシアのブリャンスクに向かって6機の長距離ミサイルATACMを発射したという。ATACMSでロシア深奥部を攻撃することをジョー・バイデン政権が許可したとニューヨーク・タイムズ紙が伝えた2日後のことだ。長距離ミサイルの使用許可を国防総省へは伝えていなかった可能性が指摘されている。これらのミサイルをすべて撃墜したとロシア側は主張している。バイデン大統領はウクライナに対して対人地雷を供与するともいう。 長距離ミサイルで攻撃するためには、この兵器を扱えるオペレーターが必要であるだけでなく、兵器を誘導するための情報を提供する衛星、さらに目標の選定や目標に関する情報などもなければならない。つまりアメリカやイギリスをはじめとするNATO諸国の支援なしにウクライナは長距離ミサイルを使うことはできないのだ。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は11月19日、最新版の「核抑止力の分野におけるロシア連邦の国家政策の基礎」に署名した。そこには核保有国の支援を受けた非核保有国によるロシアまたはその同盟国への侵略は共同攻撃とみなすと書かれている。ブリャンスクに対するウクライナのミサイル発射はアメリカとの共同攻撃ということだ。空中および宇宙ベースの攻撃システムの発射確認、ロシア国境への侵攻、ロシアやその軍隊に対する大量破壊兵器の使用なども核兵器使用の条件になっている。 ロシア軍は2022年2月にウクライナを攻撃し始めた後、破壊したウクライナの軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設で機密文書を回収、それを分析した結果をロシア議会は報告書として2023年4月に発表した。その中で、アメリカがウクライナで「万能生物兵器」を開発していたと指摘されている。その生物兵器の特性は日本ですでに接種し始めた「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と似ている。 ロシア議会が発表した報告書の180ページから181ページにかけて次のような記述がある。「アメリカは人間だけでなく動物や農作物も標的にできる普遍的な遺伝子操作生物兵器の開発を目指している。その使用はとりわけ敵に大規模で回復不可能な経済的損害を与えることを前提としている。」「避けられない直接的な軍事衝突の可能性を見越して、秘密裏に標的を定めて使用することで、たとえ他の大量破壊兵器を保有している相手であっても、アメリカ軍が優位に立てる可能性がある。アメリカ軍の戦略家によれば、ある特定の時期に、ある特定の地域で、異常な伝染病を引き起こす可能性のある生物学的製剤を、秘密裏に、かつ標的を定めて使用した場合の結果は核の冬に匹敵する可能性がある。」 製薬業界で25年以上にわたってデータ分析、臨床試験、技術に携わってきたサーシャ・ラティポワによると、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だ。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。日本の「ワクチン」政策は国防総省の命令に基づく可能性がある。 しかし、アメリカ国防総省がウクライナに建設した生物化学兵器の研究開発施設はロシア軍に破壊され、拠点は移動している。そのひとつが日本である可能性は否定できない。この推測が正しいなら、日本はロシアや中国にとって攻撃目標になる。ウクライナを見れば明白だが、攻撃されれば短期間に日本は壊滅する。 2022年2月以降、ウクライナ軍は一貫して劣勢。当初、兵士の数はロシア軍より多かったのだが、戦闘はロシア軍が優勢だった。ロシア側で重要な役割を果たしたのはワグナー・グループ。この会社のオーナー、エフゲニー・プリゴジンは料理人だが、周辺には有力な軍人が存在している。 ワグナー・グループはロシアの情報機関によって創設され、ロシア軍参謀本部の第1副本部長を務めているウラジーミル・ステパノビッチ・アレクセーエフ中将がその背後にいたと言われ、後にミハイル・ミジンチェフ上級大将が副司令官を務めていた。このミジンチェフが本当の司令官だと考える人もいた。 プリゴジンはセルゲイ・スロビキン上級大将やミハイル・ミジンチェフ上級大将とも友好的な関係にあった。スロビキンは2022年10月からドンバス、ヘルソン、ザポリージャの戦闘を指揮していた軍人であり、ミジンチェフはマリウポリを解放した作戦の指揮官だ。スロビキンが指揮するようになった頃からロシア軍は戦闘を本格化させていく。 国防相だったセルゲイ・ショイグやワレリー・ゲラシモフ参謀総長をプリゴジンは批判していたが、そのショイグは今年5月に安全保障会議書記へ移動、副首相を務めていた経済を専門とするアンドレイ・ベローゾフが後任に選ばれた。その後、ロシア政府はウクライナ問題を西側と話し合いで解決することを断念したと見られている。 昨年秋までにウクライナ軍は壊滅状態で、イギリスのベン・ウォレス前国防大臣は昨年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。それだけ兵士が死傷しているということにほかならない。この段階でウクライナ側の戦死者数は50万人から100万人、ロシア側はその1割程度だと見られていた。実際、ウクライナの街頭で徴兵担当者に拉致される男性の映像がインターネットで流されている。 すでにウクライナは降伏するか「総玉砕」するかという状況になっているのだが、ネオコンやEUのエリートはロシアを勝たせるわけにはいかないと主張、つまりウクライナを「総玉砕」させようとしている。 それでもダメならバイデンはドナルド・トランプの大統領就任式までに核ボタンを押すのではないかと懸念されている。大統領選挙でトランプの勝利が決定した後に民主党や有力メディアがおとなしいのは、そうした類のことを目論んでいるからではないかという人もいる。西側の好戦派に残された最後の切り札は核戦争による人類の死滅だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.21
ジョー・バイデン米大統領はウクライナ政府に対し、長距離ミサイルのATACMSでロシア深奥部を攻撃することを許可したとニューヨーク・タイムズ紙が伝えたが、ウクライナは6カ月で自前の長距離弾道ミサイルを開発できるともしている。いずれの場合でも、こうした兵器を扱える兵士、兵器を誘導する情報を提供する衛星、さらに目標の選定や目標に関する情報なども必要であり、少なくとも現段階ではアメリカやイギリスをはじめとするNATO諸国の支援なしに長距離ミサイルを使うことはできない。 ロシアのウラジミール・プーチン大統領は今年9月、西側諸国がキエフに対してロシアを攻撃するために長距離兵器の使用を認めれば、それはNATOとロシアが戦争状態になることを意味すると宣言した。ニューヨーク・タイムズ紙の報道が正しいなら、ロシア政府はそれを自国に対する宣戦布告とみなすとも理解できる。ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、報道が事実ならば、それは劇的な軍事的なエスカレーションだとしている。 少なくとも現在のバイデン大統領がこうした問題について判断する能力があるとは思えないが、誰が判断したにしろ、アメリカ側がこうした軍事的な緊張を高める政策を打ち出した。そうした中、プーチン大統領は最新版の「核抑止力の分野におけるロシア連邦の国家政策の基礎」に署名した。それによると、核保有国の支援を受けた非核保有国によるロシアまたはその同盟国への侵略は、共同攻撃とみなすとされている。つまりNATO加盟国がロシアやその同盟国を侵略した場合、アメリカやイギリスを含むNATO全体の侵略とみなすということだ。 1990年8月にイラク軍がクウェートへ攻め込んだ。その前にイラクとクウェートは領土や石油の盗掘をめぐる問題で対立していたのだが、解決の見通しは立っていなかった。そうした中、アメリカ政府はイラク軍がクウェートへ侵攻することを容認するかのようなメッセージを出す。 PLOのヤセル・アラファト議長やヨルダンのフセイン国王はイラクのサダム・フセインに対し、これは罠の可能性があると警告するが、イラクは軍事力を行使したのだ。 イラクが侵攻すると、アメリカ下院の人権会議に「ナイラ」なる少女が登場、イラク軍の残虐性を涙ながらに告発、アメリカで好戦的な雰囲気を高めることに成功し、アメリカ軍は1991年1月にイラクを軍事侵攻した。 しかし、この「告発劇」は広告会社ヒル・アンド・ノールトンが演出したもので、主演の少女はアメリカ駐在クウェート大使の娘。つまり全くの作り話だった。 この戦争でイラクはダメージを受けるが、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はフセイン体制を倒さない。ブッシュやその後ろ盾はイラクをペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤だと考えていたからだ。 それに対し、イラクに親イスラエル体制を樹立させ、シリアとイランを分断して個別の倒すという戦略を立てていたネオコンは怒るのだが、その経験からアメリカが軍事力を行使してもソ連軍は出てこないと考えるようになった。 それ以降、アメリカのどの政権でも大きな影響力を維持したネオコンは、ロシアも脅せば出てこないと信じている。今回、バイデン政権はウクライナに対してATACMの使用を許可したとされているが、バイデン大統領やその周辺の好戦派はロシア政府の警告をハッタリだと考え、ウクライナを解き放ってもロシアは反応しないと思い込んでいるようだ。彼らは「脅せば屈する」という信仰から抜け出せない。これを否定すると彼らの信仰体系が崩壊してしまうからだろう。 ロシアに対する挑発、あるいは長距離ミサイルによるロシア深奥部への攻撃を正当化するつもりなのか、アメリカ、韓国、ウクライナは、朝鮮軍がロシアへ兵士1万2000人を派遣していると評価しているのだが、例によって証拠は示されていない。もしそれだけの部隊が戦闘に参加しても戦況を変化させることはできない。 しかも、実際にそうした攻撃が行われた場合、それはアメリカをはじめとするNATOによるものだとロシアは判断する。いや、クリミアなどに対してはすでに使われているので、ロシアは自国をアメリカをはじめとするNATOが攻撃していると考えているはずだ。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2022年2月にロシアがウクライナへの攻撃を始めた直後、ロシアのプーチン政権と停戦交渉を開始、ほぼ合意に達していたことが判明している。その交渉を潰したのがイギリス政府で、アメリカの政界も戦争を後押しした。 その2年前、ゼレンスキーはイギリスを公式訪問したのだが、その際にロンドンでイギリスの対外情報機関MI6のリチャード・ムーア長官と会談した。その際、ゼレンスキーの周辺から情報が漏れていると指摘され、ゼレンスキーの周辺にはイギリス人スタッフが配備されたという。 それ以降、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、ハンドラーはムーア長官だと考えられるようになった。ゼレンスキーの大統領就任は西側諸国の情報機関による綿密な計画に基づく作戦によるとも言われている。そう考えれば、ゼレンスキーがネオコンのためにウクライナを破壊し、ウクライナ人の大量死を招いた理由が理解できる。MI6の背後にはイギリスの金融界が存在している。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ゼレンスキーはウクライナをアメリカや西側諸国の新型兵器システム、ネオナチで編成された戦闘員、生物化学兵器の研究開発施設などのための実験場にした。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.20
このブログは読者の皆様に支えられています。ブログを存続させるため、カンパ/寄付をお願い申し上げます。【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦 ドナルド・トランプが次期アメリカ大統領に選ばれました。世界を支配してきた「ディープ・ステート」、つまりシティやウォール街を拠点にする金融資本を中核とする強大な私的権力に彼が挑戦してくれると期待する人も少なくないようですが、革命家でない彼が支配構造そのものを壊すことはないでしょう。 ロバート・ケネディ・ジュニアが保健福祉省の長官に、またトゥルシー・ギャバードが国家情報長官に指名され、これによって政策の民主化は期待できるかもしれませんが、支配構造自体が民主化されるとは思えません。勿論、ケネディやギャバードに対する利権集団の攻撃は予想できます。 ハリウッド映画も「政府機関の悪事」を描くこともありますが、それは悪い個人やグループによるものであり、システムは健全だとされています。最後には自浄作用が働き、「正義が勝つ」ということになっています。こうした自浄作用のひとつとしてトランプの勝利を見る人も少なくありません。 問題の本質は支配構造の腐敗にあるのですが、そこへ人びとが目を向けないように情報を操作しているのが有力メディアや「権威」と呼ばれる人びとです。そうしたプロパガンダに対抗し、事実を伝える人びとがインターネット上にはいますが、西側ではそうした情報を封印しようと言論統制を強めています。こうした統制と戦うため、皆様の御支援をお願い申し上げます。櫻井 春彦【追加】 ジョー・バイデン大統領はウクライナ政府に対し、長距離ミサイルのATACMSでロシア深奥部を攻撃することを許可したとニューヨーク・タイムズ紙が伝えている。ウクライナで米英を中心とする西側諸国が続けてきたロシアとの代理戦争を終わらせるとしているドナルド・トランプの大統領就任が2カ月後に迫っている中でのことだ。 ATACMSでロシアの深奥部を攻撃しても戦況に変化はないが、こうした兵器を使用するためには兵器を扱える兵士、兵器を誘導する衛星からの情報、ターゲットの選定やその情報なども提供する必要がある。つまりアメリカ/NATOがロシアに対する攻撃に直接タッチしなければならないということだ。 ロシアのウラジミール・プーチン大統領は9月、西側諸国がキエフに対してロシアを攻撃するために長距離兵器の使用を認めれば、それはNATOとロシアが戦争状態になることを意味すると宣言している。バイデンがATACMSによるロシア深奥部への攻撃を許可したという情報が正しいなら、ロシア政府はそれを自国に対する宣戦布告とみなすということだ。実際、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、報道が事実ならば、それは劇的な軍事的なエスカレーションだとしている。 これまでアメリカでは国防総省が長距離ミサイルの使用を許可しないようにブレーキをかけていたようだが、国務省や安全保障部門、あるいはイギリス政府はウクライナに長距離ミサイルでロシアの深奥部を攻撃させようとしていた。 バイデン大統領やその周辺のネオコンたちは任期が2カ月になった時点でロシアに対して事実上の戦線布告をし、戻れない一線を超えるつもりなのだろう。
2024.11.19
ドナルド・トランプ次期大統領がイーロン・マスクをニューヨークでイランのアミール・サイード・イラバニ国連大使と会談させたとニューヨーク・タイムズ紙が伝えたが、イラン外務省はこの報道を否定した。 同紙はこれまでアメリカ支配層の意向に沿う偽情報を流してきたので嘘だとしても驚きではないが、アメリカやイスラエルによるイランに対する攻撃が近いとする推測が流れる中での出来事だ。 ちなみに、トランプは大統領として2017年4月に巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射、18年4月にはイギリスやフランスを巻き込み、100機以上のトマホークをシリアに対して発射したが、成功しなかった。 そして2018年5月にトランプ大統領はイラン核合意から自国を正式に離脱させ、20年1月にはイランのコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーとPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官をバグダッド国際空港で暗殺している。 また、民主党に所属するふたりの上院議員、ジャック・リード上院軍事委員会委員長と外交委員会メンバーのジーン・シャヒーンはマスクがロシアの高官数人と連絡を取っていたという情報について調査するべきだと要求しているが、今後、こうした話を突破口にしてマスク攻撃を展開するつもりなのかもしれない。 トランプ政権が中東に対してどのような政策を打ち出すのか明確でないが、ロシアとの戦争を回避しようとしている可能性は高い。それに対し、一貫してロシアとの戦争に執着しているのがイギリスの支配層だ。 ロシア軍は2022年2月24日にウクライナ軍に対するミサイル攻撃を開始したが、その直後にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシアのウラジミル・プーチン政権と停戦交渉を始めた。仲介役はイスラエルのナフタリ・ベネット首相とトルコ政府で、ほぼ合意に達していた。 停戦が内定したことを伝えるためにベネットは同年3月5日にドイツへ向かい、オラフ・シュルツと会うのだが、その日、ウクライナの治安機関SBUはキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。 そして4月9日、ボリス・ジョンソン英首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。 2022年10月8日にクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋(ケルチ橋)が爆破された。ロシアのFSB(連邦保安庁)によると、容疑者は12名。そのうち8名が逮捕されたという。トラックに積まれた建設用のフィルム・ロールに偽装したプラスチック爆弾で、爆破工作を計画したのはウクライナ国防省のGUR(情報総局)だとされたが、計画の黒幕はイギリスの対外情報機関SIS(通称MI6)だとする情報もあった。この情報機関はイギリスの金融界、通称「シティ」との関係が深い。 このクリミア橋爆破を含む工作にイギリスの退役した軍人や情報機関のメンバーで組織された一団をイギリス国防省は組織し、「プロジェクト・アルケミー」と呼ばれるようになった。この計画を作り出したのはイギリス軍のチャーリー・スティックランド中将だとされている。このスティックランドがプロジェクト・アルケミーの最初の会議を招集したのは2022年2月26日だという。 イギリスの情報機関は第2次世界大戦の終盤、アメリカの情報機関と共同で「ジェドバラ」なるゲリラ部隊を組織した。メンバーにコミュニストが多かったレジスタンスに対抗するためだとされている。 大戦後、アメリカではジェドバラの一部メンバーは軍へ移動してグリーン・ベレーをはじめとする特殊部隊の創設に関わり、一部は極秘の破壊工作部隊OPCの中核メンバーになった。またヨーロッパでは「ソ連の軍事侵攻に備える」という名目で破壊工作機関のネットワークが構築された。 NATOが組織されると、そのネットワークは吸収され、メンバー国には秘密部隊が作られている。その中で最も有名な組織はイタリアのグラディオだろう。こうしたグラディオのような組織がウクライナでも作られたという。 ウクライナは2014年2月22日、アメリカのネオコンが仕掛けたクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権が倒され、ネオ・ナチが主導権を握る体制が築かれた。 ネオ・ナチを率いてきたひとりがドミトロ・ヤロシュ。この人物はドロボビチ教育大学でワシル・イワニシン教授の教えを受けたことが切っ掛けになってOUN-B(ステパン・バンデラ派)系のKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)に入るが、この人脈はソ連消滅後に国外からウクライナへ戻り、活動を始めている。2007年にヤロシュはKUNの指導者になり、そのタイミングでNATOの秘密部隊ネットワークに参加したとされている。 プロジェクト・アルケミーのメンバーはウクライナにおける代理戦争を長引かせ流ことでプーチン大統領に対するロシア内外の信頼性を失わせ、NATOと戦う能力を低下させることができると考えた。ドンバスでロシア軍が敗北すればプーチン政府崩壊の引き金になってロシアを西側が支配する金融秩序へ吸収でき、ロシアが敗北すればロシアの安い天然ガスや穀物を手に入れられる。おそらく、ヨーロッパ諸国はその「おこぼれ」にあずかれると思ったのだろう。 アルケミーはICC(国際刑事裁判所)にあらゆる可能な支援を提供するよう提案、イギリスの著名な弁護士はICTY(旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所)に類似した組織を設立しようと目論んでいたとも言われている。マックス・ブルーメンタールによると、イギリスはカリム・カーンのICC主任検察官任命で重要な役割を果たしたとされている。 そのカーンは2023年3月にプーチン大統領と子どもの権利オンブズマンであるマリア・リボバ-ベロバに対する逮捕令状を発行、5月にはロシア当局がカーンに対する逮捕令状を発行した。ICCは2024年6月にロシアの元国防大臣セルゲイ・ショイグとロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長に対する逮捕状も発行した。 こうした西側の妄想はロシアがウクライナで軍事的に劣勢にならなければ成立しないのだが、実際はロシアの軍や経済の強さを明らかにすることになっている。西側は窮地に陥った。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.18
ドナルド・トランプ次期米大統領はロバート・ケネディ・ジュニアを保健福祉長官(HHS)に任命、タルシ・ガッバード元下院議員を国家情報長官候補に指名、イーロン・マスクをニューヨークへ派遣してイランのアミール・サイード・イラバニ国連大使と会談させたという。 HHSを構成する部局の中にはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で中心的な役割を果たしたCDC(疾病管理予防センター)やFDA(食品医薬品局)も含まれている。アメリカを支配している人たちは医療システムを支配の道具として利用、COVID-19騒動の背後に国防総省が存在しているので、HHSは重要な省だと言える。 国家情報長官は情報機関を統括する重要な役職だが、それだけに情報部門を支配しているネオコンがガッバードをすんなり受け入れることはないと見られている。 トランプは前回、国家安全保障補佐官にマイケル・フリン元DIA(国防情報局)局長を選んだのだが、この人物が局長だった当時のDIAは、バラク・オバマ政権が中東で進めていたアル・カイダ系武装集団への支援を危険だと指摘していた。 オバマ大統領はムスリム同胞団を使い、地中海沿岸国で体制転覆作戦を展開するため、2010年8月にPSD-11を承認。「アラブの春」はその結果だ。 その作戦ではムスリム同胞団だけでなくサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)も投入、リビアではNATOも連携させた。リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制はその年の10月に倒され、カダフィ本人を惨殺された。 シリア軍はリビア軍と違って強く、アル・カイダ系武装勢力だけではバシャール・アル・アサド政権を倒せない。そこでオバマ政権はリビアから兵器や戦闘員をシリアへ移動させるだけでなく、新たな軍事支援を実行した。 DIAはオバマ政権が支援している「反シリア政府軍」の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、アル・ヌスラと実態は同じだと指摘、その中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと報告している。 報告書の中でDIAは、オバマ政権の政策によってシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域が作られると警告しているが、2014年にそれがダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。そのダーイッシュは残虐さを演出してアメリカ/NATOの介入の口実を作ろうとしたが、2015年9月末にシリア政府はロシア政府に軍事介入を要請、ロシア軍がダーイッシュなど傭兵部隊を一掃していった。 トランプはこうした背景を持つフリンを国家安全保障補佐官に任命した人事をヒラリーを支えていたネオコンや戦争ビジネスは怒り、フリンに最も近い副補佐官とされていたロビン・タウンリーがNSC(国家安全保障会議)で働くために必要なセキュリティ・クリアランスの申請をCIAは拒否、フリンは2017年2月に解任された。ガッバードを国家情報長官に据えられるのか、長官に据えても仕事をできるのか、不明だ。 2015年の6月に欧米の一部支配グループはヒラリー・クリントンを次期大統領にすることを内定していたと言われている。この月の中旬にオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合へジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が出席していたからだ。 オバマ大統領は2015年12月にロシアの外交官35人の追放を命じ、アメリカとロシアとの関係を悪化させようとした。アメリカの大統領選挙に介入しようとしたからだとされているが、この「ロシアゲート」は民主党幹部がCIAやFBIと手を組んで仕掛けたでっち上げであることは明確になっている。 ヒラリー勝利の流れが変わったとする噂が流れ始めたのは2016年2月10日。この日、ヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問し、ウラジミル・プーチン露大統領と会談している。ドナルド・トランプが注目されるようになるのはその後だ。 その一方、3月16日にウィキリークスがヒラリー・クリントンの電子メールを公表、その中にはバーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するよう民主党の幹部に求めるもの、民主党幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆するものもあった。こうした情報はサンダースを支持していた人びとを怒らせることになる。 オバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンはオバマと同じようにロシアとの関係を悪化させ、軍事的な緊張を高めた。2016年の大統領政権でヒラリーが勝利していたならオバマやバイデンと同じようにロシアとの軍事的な緊張を高めていただろう。もっとも、トランプもネオコンの好戦的な政策を変えることはできなかった。 トランプは今回、エリース・ステファニック、マルコ・ルビオ、マイケル・ウォルツというシオニストを要職につけた。トランプがイスラエルと親密な関係にあることは否定できない。そこで注目されているのがマスクの動きだ。 トランプが大統領選挙で勝利した3日後、FBIはイラン系アメリカ人のファルハド・シャケリの話を発表した。ファルハド・シャケリがイランの革命防衛隊に指示されてトランプを暗殺しようと計画していたというのだが、ラリー・ジョンソンによると、この話はCIAの工作である可能性が高い。 シャケリは2019年にスリランカで逮捕された。92キロのヘロインを運ぼうとしていたのだが、この逮捕にはアメリカのDEAが協力、その後DEAはシャケリを情報提供者として採用、シャケリをイランの情報機関員だとする話に信憑性を持たせるため、彼をイランに移住させ、職を得るよう指示したという。シャケリの話を利用し、トランプが大統領に就任する前にイランを攻撃しようとしていた疑いが持たれている。 このストーリーはジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された際に使われたシナリオに似ている。当時、軍や情報機関の好戦派はソ連に対する先制核攻撃を計画、それを正当化するため、ソ連やキューバが暗殺の黒幕だとする話が流されていた。 シャケリの訴追が発表された後、マスクをイランの国連大使と会談させたのは、イランと間接的な協議しか行わなかったバイデン政権と対照的だ。マスクの派遣は好戦派のシナリオを潰すことが目的で、それは成功したのではないかと言われている。 少なからぬシオニストを抱えたトランプ次期大統領はイスラエルを支援すると見られているが、マスクの動きに関する分析が正しいなら、和平に向かう可能性もある。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.17
アゾフ海に面したマリウポリは戦略上、重要な港湾都市だ。2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでキエフを制圧した後、ネオ・ナチ政権は戦車部隊をマリウポリに突入させて建造物を破壊、住民を殺傷している。その様子を撮影した映像を住民が世界に発信していた。 その後、マリウポリはクーデター軍に占領され、少なからぬ住民がロシアなどへ避難し、残った住民の一部はクーデター軍に拘束された。住民が避難したことから空いたスペースに親欧米派が多い西部から入植したが、クーデター体制が崩壊状態になったこともあり、避難していた住民の約30%が戻ったと伝えられている。 クーデターの後、4月12日にCIA長官だったジョン・ブレナンがキエフを極秘訪問、14日にはクーデター政権の大統領代行が東部や南部の制圧作戦を承認し、22日には副大統領だったジョー・バイデンもキエフを訪問、その直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していった。そのタイミングでオデッサ攻撃についての会議が開かれたという。 ここにきてイスラエルのフーリガンがアムステルダムで乱暴狼藉を働いて問題になっているが、2014年5月2日にはウクライナ南部の港湾都市であるオデッサでもサッカー・ファンの暴力が引き金になって虐殺事件が起こっている。 その日の午前8時にフーリガンが列車で到着、赤いテープを腕に巻いた一団(UNA-UNSOだと言われている)が襲撃して挑発し、反クーデター派の住民が集まっていた広場へ誘導した。 広場に集まっていた住民は右派セクターが襲撃してくるので労働組合会館へ避難するように説得され、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込むのだが、その建物の中でネオ・ナチのグループは住民をそこで撲殺、さらに火を放って焼き殺した。皆殺しにするため、屋上へ通じるドアはロックされていたとも言われている。 このとき50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎず、地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地では言われていた。そして5月9日、住民が第2次世界大戦でドイツに勝利したことを祝っていたマリウポリにクーデター政権は戦車を突入させ、住民を殺し始めたのである。 オバマ政権はクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのだが、マリウポリやオデッサを含む東部や南部はヤヌコビッチの支持基盤で、2010年の大統領選挙では有権者の7割がヤヌコビッチに投票していた。 クーデター直後、ウクライナでは軍人や治安機関メンバーの約7割は新体制を拒否、クリミアの場合は9割近い兵士が離脱したと伝えられている。離脱した軍人やメンバーの一部は東部ドンバス(ドネツクやルガンスク)の反クーデター軍に合流したとも伝えられている。 クーデターの状況をいち早く掴んだクリミアでは3月16日にロシアとの統合を求める住民投票を実施、80%以上の住民が参加した投票の結果、95%以上が加盟に賛成した。 クリミアは黒海に突き出た半島で、セバストポリは黒海艦隊の拠点。ロシアはこの拠点を確保するため、1997年にウクライナと条約を結び、基地の使用と2万5000名までのロシア兵駐留が認められていた。この条約に基づき、クーデター当時には1万6000名のロシア軍が実際に駐留していたのだが、ウクライナ軍の約9割が反クーデターだったことから、ロシア軍の存在には関係なく、クーデター政権はクリミアを制圧できなかった。 オデッサと同じで、戦略的に重要なマリウポリはネオ・ナチが制圧したのだが、2022年2月24日にロシア軍はウクライナに対する軍事作戦を開始、地下があった都市のひとつ、マリウポリを解放する。 マリウポリのほか、ソレダル、マリーインカ、そしてアブディフカにも地下要塞が存在、それらを結ぶ要塞線がドンバス周辺に2014年から8年かけて築かれた。 キエフ政権が送り込んだ親衛隊が敗走した後、人質になっていた住民が脱出、外部のジャーナリストと接触できるようになった。そうした住民はマリウポリにおける親衛隊の残虐行為を証言、映像をツイッターに載せていた人もいた。その人のアカウントをツイッターは削除したが、削除しきれていない。(例えばココやココ) その後も脱出した市民の声が伝えられている。現地で取材していいる記者がいるからで、その中にはフランスの有力メディアTF1やRFIのほか、ロシアやイタリア人の記者もいたという。ヨーロッパではそうしたジャーナリストに対する弾圧が続いている。 マリウポリにある産婦人科病院を3月9日に破壊したのはロシア軍だという話を西側の有力メディアは広げていたが、そうした「報道」でアイコン的に使われたマリアナ・ビシェイエルスカヤはその後、報道の裏側について語っている。 彼女は3月6日、市内で最も近代的な産婦人科病院へ入院したが、間もなくウクライナ軍が病院を完全に占拠、患者やスタッフは追い出されてしまう。彼女は近くの小さな産院へ移動した。最初に病院には大きな太陽パネルが設置され、電気を使うことができたので、それが目的だろうと彼女は推測している。 そして9日に大きな爆発が2度あり、爆風で彼女も怪我をした。2度目の爆発があった後、地下室へ避難するが、その時にヘルメットを被った兵士のような人物が近づいてきた。のちにAPの記者だとわかる。そこから記者は彼女に密着して撮影を始めた。彼女は「何が起こったのかわからない」が、「空爆はなかった」と話したという。 病院についてはオンライン新聞の「レンタ・ル」もマリウポリから脱出した別の人物から同じ証言を得ている。その記事が掲載されたのは現地時間で3月8日午前0時1分。マリウポリからの避難民を取材したのだが、その避難民によると、2月28日に制服を着た兵士が問題の産婦人科病院へやってきて、全ての鍵を閉め、病院のスタッフを追い払って銃撃ポイントを作ったとしている。 イギリスのBBCは3月17日、ロシア軍が16日にマリウポリの劇場を空爆したと伝えたが、それを伝えたオリシア・キミアックは広告の専門家だ。マリウポリから脱出した住民はカメラの前で、劇場を破壊したのは親衛隊だと語っている。 アゾフスタル製鉄所から脱出したナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除してしまった。親衛隊の残虐な行為を告発、ロシアへ避難し、戻る場所はドネツクしかないとし、ウクライナを拒否する発言が含まれていたからだ。 シュピーゲル誌はこの映像をロイターから入手したとしているが、ロイターが流した映像は編集で1分間に短縮され、アメリカのジョー・バイデン政権やウクライナのゼレンスキー政権にとって都合の悪い部分が削除されていた。 親衛隊に占領されていた地域から脱出した住民はウスマノバと同じように親衛隊の残虐な行為を非難、ウクライナ軍の兵士も親衛隊を批判している。こうした証言を西側の有力メディアは隠していた。 こうした虐殺の後もクーデター軍はドンバスの住宅街を攻撃、約8年間に住民1万4000人が殺したと言われている。 クーデター軍を恐れて多くのウクライナ人がロシアへ避難、その中にも勿論子どももいたのだが、ICC(国際刑事裁判所)は子どもをウクライナから「強制移住」させたとしてロシアのウラジミル・プーチン大統領と子どもの権利オンブズマンであるマリア・リボバ-ベロバに対する逮捕令状を発行している。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.16
情報を不特定多数の人びとへ伝える手段の発達には情報操作という闇の側面もある。こうしたことはマスメディアが登場した当時からあっただろうが、1970年代後半から闇の部分が急速に広がっていることも確かだ。 その闇の側面の一端をアムステルダムでの出来事は明らかにした。アムステルダムでは11月7日にサッカーの試合、マッカビ・テルアビブ対アヤックスが開催されたのだが、イスラエルから来たフーリガンが市街で乱暴狼藉を働き、反撃された。フーリガンは地元住民の家と思われる建物に飾られていたパレスチナ国旗を引きずり下ろした上で引き裂き、燃やし、通りかかったタクシーを襲撃、アムステルダムの市民と衝突したのだ。 それを西側の政府や有力メディアは正しく伝えない。例えば、オランダのディック・シューフ首相は「容認できない反ユダヤ主義の攻撃」だと主張している。また同国のデービッド・ファン・ウィール安全保障相は、例によって証拠を示さず、人びとがユダヤ人だということを理由に攻撃され、脅迫されたのは事実だ主張した。アメリカのジョー・バイデン大統領とアントニー・ブリンケン国務長官は公式声明で、この暴力行為の爆発は「反ユダヤ主義的」だと直ちに宣言している。 事件直後、イギリスのスカイ・ニュースはマッカビ・テルアビブのフーリガンが襲撃したことを伝え、パレスチナの旗を引き裂く様子を流していたのだが、「スカイニュースのバランスと公平性の基準を満たしていなかった」として再編集、視聴者がイスラエルの暴徒に同情的するような内容へ変えられている。 また「マッカビのファンが地元住民を攻撃しているのが見られ、パトカーが通り過ぎるのが見られる」という説明は削除され、「ソーシャルメディアに投稿された動画には、フードをかぶった大勢の男たちが黒い服を着て通りを走り、人々を無差別に殴っている様子が映っている」というように変更され、その夜の出来事と西側諸国の政治家がどのように反応したかの要約もカットされた。 こうした嘘を暴いたいのは市民にほかならない。そうしたひとりが10代の少年ユーチューバー。別の目撃者も画像と共にインターネットで実際に何があったのかを証言している。西側世界のプロパガンダ機関に市民が立ち向かっている構図だ。 アメリカでは第2次世界大戦の後、情報を操作するためのプロジェクト「モッキンバード」がスタートしたと言われている。ジャーナリストのデボラ・デイビスによると、プロジェクトの中心にいたのはワシントン・ポスト紙の社主を務め、戦争中は陸軍の情報部に所属していたフィリップ・グラハム、大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、破壊工作を担当する秘密機関OPCの局長でダレスの側近だったフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズだ。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) この4名は金融界との関係が深い。ダレスとウィズナーはウォール街の弁護士であり、ヘルムズの祖父であるゲイツ・マクガラーは国際的な投資家で、BIS(国際決済銀行)理事会の初代議長、フィリップ・グラハムの妻、キャサリンの父、ユージン・メイヤーは世界銀行グループの初代総裁で、FRB(連邦準備制度理事会)の議長も務めた。 メイヤーは1933年に競売でワシントン・ポストという倒産会社を競り落とし、自分自身の人脈を利用してこの新聞社を「一流紙」と呼ばれるように作り上げた。 フィリップはキャサリーンと離婚して再婚し、ワシントン・ポスト紙を自分ひとりで経営すると友人に話していたが、1963年6月に精神病院へ入院、8月に自殺する。新聞社はキャサリンが引き継いだ。フィリップと親しくしていたジョン・F・ケネディが暗殺されたのはその3カ月後のことだ。 1970年代の半ばにアメリカの議会では情報機関の秘密工作に対する調査が進められたが、それに対抗して情報機関やその後ろ盾である私的権力は情報統制を強化、メディアの集中支配を可能にするために規制を緩和、今では有力メディアの大半を少数のグループが支配している。 2019年にはCOMCAST(NBCなど)、ディズニー(ABC、FOXなど)、CPB(NPR、PBSなど)、Verizon(Yahooニュース、ハッフィントン・ポスト)、ナショナル・アミューズメンツ(VIACOM、CBS、MTVなど)、AT&T(CNN、TIME、ワーナー・ブラザーズなど)、グーグル、ニューズ・コープ(FOXニュース、ウォール・ストリート・ジャーナルなど)というようになっている。 日本でも1980年代にマスコミの統制が強化された。その直前、毎日新聞の西山太吉記者は沖縄返還協定の背後に密約が存在する事実をつかんで報道するのだが、ライバルのメディアは何者かに操られているかのように情報の収集方法を問題にし、密約自体は曖昧なまま幕引きになった。その出来事で毎日新聞は攻撃の矢面に立たされて経営が悪化している。日米支配システムのタブーに触れると巨大メディアも潰れてしまうことが示されたとも言える。 また、1987年5月には朝日新聞の阪神支局が散弾銃を持った人物に襲われ、ひとりが射殺され、別のひとりが重傷を負った。この襲撃事件で縮み上がったマスコミ関係者は少なくない。 そして1991年。「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭、むのたけじは「ジャーナリズムはとうにくたばった」と発言した。(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.15
シリアのアル・マシア丘の頂上にあるレーダー施設がイスラエル軍から2度の攻撃を受けた11月9日、ロシア国防省は同国の航空宇宙軍とシリアの空軍がシリア領内で合同演習を実施したと発表した。 11月11日にアメリカ中央軍はシリア領内の標的に対して攻撃を実施したことを明らかにし、イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)で報道官を務めているヤヒヤ・サリーは11月12日、彼らはアラビア海でアメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」をミサイルで攻撃したと主張している。ガザやレバノンで住民が虐殺しているイスラエルをイエメンは攻撃、そのイスラエルを支援しているアメリカの軍艦を攻撃したことになる。 11月13日にはロシア大統領の中東担当特使アレクサンダー・ラブレンチェフはイスラエルに対し、シリアの基地付近への攻撃を避けるように要求したと語った。 ドナルド・トランプはジョー・バイデンやカマラ・ハリスと同じようにイスラエルと緊密な関係にあり、次期政権の要職にシオニストを配置すると見られている。 中でも注目されているのはエリース・ステファニック、マルコ・ルビオ、マイケル・ウォルツで、親イスラエルの下院議員であるステファニックは国連大使のポストが提示され、国務長官になると言われているルビオ上院議員もシオニスト。国家安全保障補佐官に任命されると言われているウォルツは陸軍のグリーンベレーに所属していた経歴の持ち主で、好戦的なシオニストだ。 トランプを資金面から支えていたシェルドン・アデルソンはユダヤ系の富豪で、アメリカのラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)でカジノを経営、日本にもカジノを作らせるように要求していた。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とも親しく、2013年にはイランを核攻撃で脅すべきだと語っていた。2021年1月11日に非ホジキン・リンパ腫で死亡、遺体はイスラエルに埋葬されたが、アデルソンの人脈は今も生きている。 大統領選挙でドナルド・トランプの勝利が確定した後、イスラエルはこれまで以上に好戦的な姿勢を見せ、ロシア軍のシリアにおける拠点とされるフメイミム空軍基地の近くにある倉庫を空爆、ロシアを威嚇、あるいは挑発している。これまでロシアはアメリカやイスラエルとの関係を配慮してシリアやイランに対する支援を抑制してきたが、それを逆手に取っている。 これまでアメリカの外交や安全保障分野の政策は基本的にシオニストが取り仕切ってきた。トランプ政権も例外ではないだろうが、アメリカやイスラエルの軍事力や経済力の優位が失われた現在、そうしたこれまでの仕組みが機能しなくなっている。イスラエルも現状を打破するためにロシアを頼るかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.14
ドナルド・トランプはホワイトハウスから新自由主義の信奉者を排除し、1973年頃のアメリカを復活させようとしていると言われているのだが、そうした話に反することも行われている。 トランプが嫌っているというこの経済イデオロギーを広めたのはミルトン・フリードマンやフリードリッヒ・フォン・ハイエク。一部の私的権力へ富を集中させることになるが、必然的に貧富の差が拡大、国は疲弊する。 ハイエクは1929年にアメリカの株式相場が暴落した後、1930年代に私的な投資を推進するべきだと主張、政府の介入を主張するジョン・メイナード・ケインズと衝突した学者だ。ハイエクの教え子にはデイビッド・ロックフェラーも含まれている。 フリードマンは1962年に出版された『資本主義と自由』の中で、企業の利益追求を制限する試みは「全体主義」へ通じていると主張、70年9月にはニューヨーク・タイムズ・マガジンで企業の経営者は社会的な責任を無視するべきだとしていた。この政策を推進すれば富はシステム上優位な立場にある一部の人びとに富が集中、政府を上回る力を持たせることになる。 1933年3月から45年4月までアメリカ大統領を務めたフランクリン・ルーズベルトは1938年4月、人びとが容認する私的権力が民主主義国家そのものより強くなると民主主義国家の自由は危うくなり、その本質はファシズムだと主張している。新自由主義はファシズムの別名だと言えるだろう。この経済イデオロギーはネオコン(新保守)と呼ばれる政治イデオロギーと結びついている。 ネオコンはシオニストの一派で、好戦的だ。ジェラルド・フォードが大統領だった1970年代に台頭した。フォードはリチャード・ニクソン大統領が失脚した後、1974年8月に副大統領から昇格した人物だ。 ネオコンが台頭する前からシオニストはアメリカの外交や安全保障分野を仕切っていた。シオニストと対立したジョン・F・ケネディ大統領も選挙期間中は慣例に従う姿勢を見せていた。 シオニストとユダヤ人を混同する人が少なくないが、シオニズムは16世紀の後半、エリザベス1世が統治するイギリスで広がったキリスト教のイデオロギー。その当時、アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする信じる人物が支配層の中に現れ、「ユダヤ人の国」を作らなければならないと信じるグループが現れた。ブリティッシュ・イスラエル主義だ。このカルトにはユダヤ教のエリートも加わったものの、一般のユダヤ教徒からは相手いされなかったようだ。 こうした話を信じた人の中には、スチュワート朝のスコットランド王ジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)、そしてオリヴァー・クロムウェルの周辺も含まれていた。クロムウェルは1657年にユダヤ人がイングランドへ戻ることを認めている。こうした動くと連動する形でオカルトが支配層の内部で広がっていく。 イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査している。イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。その際に資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) シオニズムという用語はナータン・ビルンバウムなる人物が1893年に初めて使ったとされているが、近代シオニズムの創設者とされているのは1896年に『ユダヤ人国家』を出版したセオドール・ヘルツル。ユダヤ教に興味はなかったとされている。 ユーラシア大陸の周辺を海軍力で支配、内陸部を締め上げるという戦略を立てていたイギリスにとってスエズ運河は重要な意味を持つ。その運河近くにイギリスがサウジアラビアとイスラエルを作ることになる。 イギリス外務省アラブ局はエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させ、1916年6月にアラブ人を扇動して反乱を引き起こした。トーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」もその部署に所属していた。オスマン帝国を解体し、中東を支配することが目的だ。 ローレンスが接触していたフセイン・イブン・アリにイギリスのエジプト駐在弁務官だったヘンリー・マクマホンは書簡を出し、その中でイギリスはアラブ人居住地の独立を支持すると約束した。フセイン・マクマホン協定である。このイブン・アリを追い出したイブン・サウドを中心として1932年に作られた国がサウジアラビアにほかならない。 その一方、イギリスのアーサー・バルフォア外相はロスチャイルド卿に宛てに出した書簡の中で「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。1917年11月のことだ。 また、イギリスとフランスは石油資源に目をつけ、サイクス・ピコ協定を1916年5月に結んでいる。フランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコとイギリスのマーク・サイクスが中心的な役割を果たしたことからそう呼ばれている。 イギリスは1919年、石油利権を手に入れるためにペルシャを保護国にし、その2年後に陸軍の将校だったレザー・ハーンがテヘランを占領する。そして1925年にカージャール朝を廃して「レザー・シャー・パーレビ」を名乗るようになった。 第2次世界大戦後、そのイランは独立の道を歩み始め、1951年4月には議会での指名を受けて国王が首相に任命したムハマド・モサデクがAIOC(アングロ・イラニアン石油、後のBP)の国有化を決める。それはイギリスにとって死活問題だったことからアメリカに頼み込み、クーデターを実行することになる。 米英やその属国がイスラエルと緊密な関係にあるのは、こうした歴史的な背景があるからだ。「ユダヤ人が世界を支配している」という見方は正しくない。「ユダヤ人」は欧米の私的権力、古い表現を使うならば帝国主義者がカモフラージュのために使ってきたと言うべきだ。 ユダヤ系シオニストはそうした帝国主義者の手先として活動してきたのだが、ここにきて問題が起こっているように見える。帝国主義者の手先だったイスラエル人の一部が暴走し始めている。 トランプは新自由主義や新保守主義者を排除するとしているが、アメリカの有力メディアはシオニストが政府に入ると伝えている。中でも注目されているのはエリース・ステファニック、マルコ・ルビオ、マイケル・ウォルツ。 ステファニックは親イスラエルの下院議員で、国連大使のポストが提示され、受け入れたとされている。国務長官になると言われているルビオ上院議員はキューバ系アメリカ人で、シオニスト。出世欲はあるものの、外交面の能力はないとみなされている。ロシアや中国に対して好戦的な姿勢を見せてきたが、「風見鶏」とも言われている。国家安全保障補佐官に任命されると言われているウォルツは陸軍のグリーンベレーに所属していた経歴の持ち主で、好戦的。シオニストでもある。 トランプもシオニストから離れられないようだが、そのシオニストが作ったイスラエルからアムステルダムへ乗り込んだフーリガンは乱暴狼藉を働いた。有力メディアはそのフーリガンを被害者だと宣伝しているが、その嘘は現地の少年ユーチューバー、ベンダーが撮影した映像でもわかる。しかもフーリガンは何者かの指揮の下で行動、警官隊も連携しているように見える。フーリガンの一行にイスラエルの情報機関、モサドが同行していたことをエルサレム・ポストが紹介していたことは本ブログでも紹介した。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.13
次期アメリカ大統領に選ばれたドナルド・トランプが11月7日にロシアのウラジミル・プーチン大統領と電話でウクライナにおける戦争について話し合ったとワシントン・ポスト紙が10日に報じたが、ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官はそれを否定、トランプの広報担当スティーブン・チュンもこのやりとりを認めていない。またウクライナ外務省は、キエフがトランプとプーチン大統領の電話会談について事前に知らされていたという報道は誤りだと述べた。 ワシントン・ポスト紙を含む西側の有力メディアは支配層が人びとを操る道具にすぎないことは明確になっている。今回の記事を書いた記者は「ロシアゲート」なるフィクションを宣伝していたひとりでもある。有力メディアは人びとに幻影を見せ、支配層が望む方向へ国を進めるのが役割であり、ワシントン・ポスト紙が事実を伝えると考えることはできない。 トランプがプーチンに対してウクライナ戦争をエスカレートさせないよう助言、アメリカがヨーロッパにかなりの軍事力を有していることを思い起こさせたと同紙は伝えているのだが、現在、ウクライナ軍は戦死者の山を築きながら後退している状況。ロシア軍は進撃のスピードを速めていると伝えられている。またロシア軍と戦うだけの戦力はヨーロッパに配備されていない。「エスカレート」なる表現が入り込む余地はないのが実態。 ウクライナで戦争を始めたネオコンは「膠着状態」を演出したかったのか、8月6日に1万人から3万人の兵力でロシアのクルスクへ軍事侵攻した。国境警備隊しか配置されていないクルスクを狙ったのかもしれないが、ロシア軍はすぐに航空兵力などで反撃を開始、さらに予備部隊が投入されてウクライナ軍は壊滅的な打撃を受けている。増援部隊を投入しようとしたとも言われているが、成功しなかったようだ。 この軍事作戦には虎の子の「精鋭部隊」が投入されているが、兵士の数が圧倒的に足りないため、アメリカ、イギリス、フランス、ポーランド、コロンビアなどから特殊部隊や傭兵が参加、東アジアからもウクライナ側へ兵士が派遣されているとする噂もある。 この作戦でウクライナ側はすでに3万1000人以上が死亡したとも言われている。戦死者の遺体交換でロシアは563体をウクライナ側へ引き渡し、ウクライナは37体をロシア側に引き渡したとも言われ、こうしたことからウクライナ軍の戦死者数はロシア側の10倍以上だと見られている。ネオコンはウクライナ兵に「玉砕攻撃」を繰り返させ、ロシア兵の死傷者を増やそうとしたようだが、成功したとは言えない。 プーチンはアメリカ側と話し合う用意があるとしているが、西側に対する信頼を失っているロシア政府は軍事力で解決するしかないと覚悟しているはずで、米英が得意とする「幻術」は通用しない。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの情報機関、イギリスの対外情報機関SIS(通称MI-6)のエージェントで、MI6長官のリチャード・ムーアがハンドラーとして操っているとスコット・リッターは自身が作成した2部構成のドキュメント「エージェント、ゼレンスキー」の中で指摘した。(パート1、パート2)イギリス、あるいはシティは厳しい状況に陥っている。 リッターはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官。調査にはフランスの元情報機関員エリック・デネーゼが協力している。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.12
ロシア国防省は11月9日、同国の航空宇宙軍とシリアの空軍がシリア領内で合同演習を実施したと発表した。シリア北西部のグレーター・イドリブ地域でテロリスト集団が政府軍に対する大規模攻撃を開始する準備を進めていると伝えられているが、その対策かもしれない。11月9日にはシリアのアル・マシア丘の頂上にあるレーダー施設がイスラエル軍から2度の攻撃を受けたともいう。 また、アメリカやイギリスなど西側諸国を後ろ盾とするイスラエルがガザやレバノンで住民を虐殺するだけでなく、イランやシリアに対する攻撃も激化させて中東の軍事的な緊張を高めていることも意識している可能性が高い。 イスラエル軍は4月1日にダマスカスのイラン領事館を空爆し、IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害した。7月31日にはテヘランでハマスのイスマイル・ハニヤが暗殺されたが、イスラエルが実行したと信じられている。 8月5日にはロシアの安全保障会議で書記を務めるセルゲイ・ショイグがイランを訪問してマスード・ペゼシュキアン大統領らと会談。ショイグはイスラエルに対する報復についてイラン側と話し合ったのだろうと見られている。イスラエルは「一線」を超えることでアメリカを戦争へ引き込もうとしていると言われている。 次期大統領のドナルド・トランプは2017年1月にもアメリカ大統領に就任している。その3カ月後、アメリカ海軍の駆逐艦2隻、ポーターとロスは地中海から巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したが、その6割が無力化されてしまった。 ロシア製防空システムの能力に興味を持ったのか、その年の10月5日にサウジアラビアのサルマン国王はロシアを訪問、ロシア製防空システムS-400を含む兵器/武器の購入を打診したと言われているが、アメリカの圧力で実現しなかったという。 2018年4月にトランプ政権はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したが、今度は7割が無力化されてしまう。ECM(電子対抗手段)の能力が注目されているが、前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったとも言われている。 この当時、ロシアはシリアやイランへの防空システム供与に慎重だった。アメリカやイスラエルからの圧力があったと言われている。シリアに配備された新しいタイプの防空システムは基本的にロシア軍の基地を守ることが目的だったようだ。 しかし、欧米の支援を受けたイスラエルの攻撃が激しくなり、イランとイスラエルとの戦争が勃発する危険性が高まる中、ロシアはこれまで供与してこなかった兵器も渡し始めた可能性がある。 イラクにしろリビアにしろシリアにしろ、戦争に巻き込んだのはアメリカにほかならない。イスラエルへ供給されている武器の69%はアメリカから、そして30%はドイツから。輸送の拠点はイギリスで、キプロス経由で運ばれている。 中東などでアメリカが侵略戦争を本格化させたのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから。 ジョージ・W・ブッシュ政権は従属国を従えて2003年3月にイラクを先制攻撃したが、この軍事作戦は思惑通りに進まず、09年1月にアメリカ大統領となったバラク・オバマはムスリム同胞団を中心とする武装集団を編成して代理戦争を始めた。この戦術はオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に考えたものだ。 オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を承認、北アフリカからシリアにかけての地中海沿岸国で体制転覆作戦を進め始めた。いわゆる「アラブの春」だ。 オバマ政権は2011年2月にリビア、同年3月にはシリアを攻撃し始めているが、その作戦ではムスリム同胞団のほかサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするアル・カイダ系武装集団が投入された。リビアはその年の10月にムアンマル・アル・カダフィ体制を倒し、カダフィ本人を惨殺したが、シリアのバシャール・アル・アサド政権は倒されていない。 アサド政権を倒せないため、オバマ政権はリビアから武器弾薬や戦闘員を移動させただけでなく、新たな戦闘集団を編成している。イラクのサダム・フセイン政権時代に軍人だった人びとが参加したと言われている。 そうした動きを危険だと判断したのがDIA。オバマ政権が支援している反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、アル・ヌスラと名称が変わっても実態は同じだと指摘している。その集団の中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だ。 DIAは報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告、それがダーイッシュ(IS、ISISなどとも表記)という形で現実になった。2014年1月にダーイッシュはファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧する。 その後、この武装集団は残虐さを演出、アメリカ/NATOの介入を誘う。2015年9月30日にロシア軍はシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュなど傭兵部隊を一掃していくのだが、本格的な介入は行ってこなかった。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.11
アメリカの大統領選挙で勝利したドナルド・トランプは選挙期間中、ウクライナでの戦闘を終わらせると約束していた。この公約を実現できるのかどうかを人びとは注目しているが、トランプも万能ではない。 ウクライナでの戦闘は1992年2月、アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクト(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)をネオコンが作成したところから始まった。 この計画に基づいてアメリカはドイツや日本を自分たちの戦争マシーンに組み込む一方、旧ソ連圏を解体しはじめる。まずユーゴスラビアの解体を進め、NATOは99年3月にユーゴスラビアを先制攻撃して破壊している。世界制覇戦争が本格化するのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてからだ。 アメリカが旧ソ連圏の解体を進め、ウクライナの独立を認める。そこでソ連時代にロシアからウクライナへ割譲された東部や南部の住民はウクライナからの独立や自治権獲得を望むが、これを西側は認めないのだが、それでもウクライナでは西側にもロシアにも与しないという方針を打ち出した。 しかし、ロシア征服の鍵を握るウクライナを制圧したいアメリカの支配層は中立を認めようとしない。2004年の大統領選挙で中立を掲げるビクトル・ヤヌコビッチが勝利すると、アメリカは2004年から05年にかけて「オレンジ革命」と呼ばれたクーデターを実行、西側の傀儡だったビクトル・ユシチェンコを大統領に据えた。ユシチェンコ政権は新自由主義政策を推進、不公正な政策で貧富の差を拡大させたことからウクライナ人の怒りを買う。 2009年1月にバラク・オバマが大統領に就任、その翌年にはウクライナでも大統領選挙があった。その選挙で再びヤヌコビッチが勝利。そこでオバマ政権は2013年から14年にかけてネオ・ナチを利用したクーデターを実行、西側資本の属国にした。 この戦争を主導したのはネオコンで、ホワイトハウスの中では副大統領だったジョー・バイデン、国務次官補だったビクトリア・ヌランド、そして副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンが中心的な存在だったとされている。 しかし、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデタを拒否、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が勃発したのである。こうした経緯を無視してウクライナ情勢を語ることはできない。 2014年にネオ・ナチを主体とするクーデター政権が成立しているのだが、軍や治安機関の約7割は新体制を拒否、クリミアの場合は9割近い兵士が離脱、一部は東部ドンバス(ドネツクやルガンスク)の反クーデター軍に合流したと伝えられている。そのため、当初、ドンバスでの戦闘は反クーデター軍が優勢だった。 そこでロシアと戦う態勢を整えるための時間が必要になり、出てきたのがミンスク合意だ。これをアメリカなど西側諸国は時間稼ぎに使い、8年かけて武器弾薬を供与、兵士を育成、訓練、ドンバス周辺に地下要塞をつなぐ要塞線を構築した。 2021年1月にバイデンが大統領に就任、ロシアのウラジミル・プーチン大統領を人殺し呼ばわりするだけでなく、ロシアに対する軍事的な挑発を始めた。バイデン大統領の下でそうした好戦的な政策を推進していたのは国家安全保障補佐官に就任したサリバン、国務次官になったヌランド、そしてアントニー・ブリンケン国務長官だろう。 2022年に入るとウクライナのクーデター体制はドンバス周辺に部隊を集め、砲撃を活発化させた。そうした状況を見て、少なからぬ人が大規模な軍事作戦が始まると推測していた。そうした時、ロシアはウクライナに対する攻撃を始めたのだ。 こうしたアメリカの好戦派は自国の軍事力や生産能力を過大評価、ロシアの軍事力や生産能力を過小評価し、ロシアと戦争しても簡単に勝てると信じていたようだが、その背景には優生思想、あるいは信仰があるのかもしれない。 アメリカをはじめとする西側諸国はウクライナ人とロシア人を戦わせて「漁夫の利」を得ようとしていた、あるいは共倒れを目論んでいたかもしれないのだが、2022年以降、ロシアの優位は変わらないまま推移し、すでにウクライナ軍は降伏するか全滅するしかない状況だ。 ここにきて西側の有力メディアは「朝鮮兵話」を流しているが、これは西側の軍隊を入れる布石だとする見方もある。そうしたことをロシア側が認めるとは思えず、アメリカ軍とロシア軍が直接衝突することも考えられる。通常兵力では劣勢のアメリカ軍は核兵器を使うことになる可能性も否定できない。朝鮮兵の話を持ち出してきたブルース・W・ベネットはアメリカ国防総省系シンクタンクRANDの上級国際/防衛研究者である。 ロシア政府はウクライナの非武装化、非ナチ化、中立性の回復などを求めてきた。ソ連時代にロシアからウクライナへ一方的に割譲された地域のロシアへの返還も実現しようとするだろう。いかなる形でもNATOがウクライナへ入ることは許さないはずだが、西側の好戦派はロシア政府を甘く見て入ってくる可能性がある。核戦争で脅し続ければロシアは最終的に屈服するとネオコンは今でも信じているかもしれない。 ロシアが実現しようとしている目標の中で最も難しいのは非ナチ化だろう。ナチスはシティやウォール街、つまり米英金融資本から資金援助を受けていた。第2次世界大戦後はアメリカの政府機関に逃亡を助けられ、保護され、雇用され、後継者も育成されてきた。ウクライナでもナチスの後継者、いわゆるネオ・ナチが使われた。米英金融資本を中心とする西側の支配システムが存在している限り「非ナチ化」は不可能だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.10
アムステルダムで11月7日にサッカーの試合があった。イスラエルのマッカビ・テルアビブとオランダのアヤックスが対戦したのだが、その際にイスラエルのフーリガンが地元住民の家と思われる建物に飾られていたパレスチナ国旗を引きずり下ろして引き裂き、燃やすという挑発行為を繰り広げた。また通りかかったタクシーを襲撃、オランダのファンと衝突している。 これに関し、オランダの新聞が伝えた興味深い話をイスラエルのエルサレム・ポストが紹介している。オランダに遠征するマッカビ・テルアビブのチームにイスラエルの情報機関モサドのエージェントが帯同するとしているのだ。このチームはアラブ差別で知られ、アムステルダムで問題を起こすことは見通されていただろう。 11月6日から7日にかけてマッカビ・テルアビブのフーリガンはオランダ人の個人住宅からパレスチナの国旗を引き剥がし、タクシー運転手を襲撃、その様子は撮影され、インターネットで流されている。そうしたフーリガンにモサドのエージェントも混じっていた可能性が高い。 この暴動に関し、オランダのディック・シューフ首相は「容認できない反ユダヤ主義の攻撃」と呼び、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「アムステルダムのイスラエル市民に対する非常に暴力的な事件」と非難しているのだが、オランダを含む欧米諸国でもイスラエルに対する感情はさらに悪化、その怒りはユダヤ人全体に向けられる可能性もある。 ネタニヤフ政権は中東で戦乱を拡大させ、イランとの戦争にアメリカを引き摺り込もうとしているが、そうした政策はイスラム世界を刺激、イスラエルへの攻撃を招き、経済を破綻させている。その結果、イスララエルから脱出する人が増え始めた。脱出する先はヨーロッパやアメリカなどだが、そうした国々でイスラエルに対する怒りが膨らめば脱出先にはならなくなるだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】https://sakuraiharuhiko.substack.com/
2024.11.09
オランダのアムステルダムで11月7日にUEFA(欧州サッカー連盟)の試合があった。対戦したのはイスラエルのマッカビ・テルアビブとオランダのアヤックス。その際、イスラエルのフーリガンが地元住民の家と思われる建物に飾られていたパレスチナ国旗を引きずり下ろして引き裂き、燃やすという挑発行為を繰り広げ、通りかかったタクシーを襲撃し、オランドの若者とも衝突したと伝えられている。 パレスチナを支持するデモは禁止されていたが、現場で取材していた記者によると、衝突は数千人のマッカビ・テルアビブのファンがデモを組織したことから始まった。そうしたファンは試合前、スタジアムに向かいながら「IDF(イスラエル軍)にアラブ人をぶっ殺させてやれ」と叫び、子どもがいないガザには学校がないとも合唱していた。 そうした状況についてオランダのディック・シューフ首相は「容認できない反ユダヤ主義の攻撃」と呼ぶ一方、フーリガンによるオランダ国民への暴行については言及していない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「アムステルダムのイスラエル市民に対する非常に暴力的な事件」と非難、救援機を派遣すると発表した。 こうした人びとや西側の有力メディアはこの衝突を「ユダヤ人弾圧」と宣伝する材料に使い始めている。オランダ第二院の第1党で反イスラムの自由党を率いるヘルト・ウィルダースは今回の衝突を「ポグロム」であり「ユダヤ人狩り」だと表現している。 タグ付けでイメージを作り出そうとしているのだが、イスラエルは実際にパレスチナやレバノンで住民の大量虐殺を繰り広げてきた。これは戦争の巻き添えではなく、計画的。ネタニヤフ首相は昨年10月7日にハマスがイスラエルへ攻め込んだ後、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という旧約聖書の一節を引用している。神の命令として、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は天の下からアマレクの記憶を消し去れと書かれている。パレスチナ人を皆殺しにするだけでなく、歴史から彼らが存在したことを消し去るとネタニヤフは主張しているのだ。 また、サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザやレバノンでイスラエルが行っていることにほかならない。 ガザでは昨年10月7日から4万3469人がイスラエル軍に殺されたとされているが、瓦礫に埋もれ、カウントされていない死体は少なくとも数千あると推測する人もいる。ランセット誌が今年7月に掲載した論文によると、「間接的な死者は直接的な死者の3倍から15倍に及ぶ」。犠牲者の約4割は子どもであり、女性を含めると約7割に達する。イスラエルのフーリガンはこのことを歌ったと言える。 EU諸国の政府はイスラエルを支持、パレスチナ人虐殺を容認する姿勢を示したきたが、アラブ系の人びとだけでなく、一般の人びとのイスラエルに対する怒りは募っている。その怒りのエネルギーをイスラエルのフーリガンは刺激した。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.09
今回のアメリカ大統領選挙で勝利したのはドナルド・トランプでもカマラ・ハリスでもなくネオコンだとする人がいる。トランプもハリスも外交や安全保障分野はネオコンの世界制覇戦略に従っているということだ。 ネオコンが表舞台に登場したのはジェラルド・フォードが大統領だった1970年代。デタント(緊張緩和)を打ち出したリチャード・ニクソン大統領はウォーターゲート事件で1974年8月に失脚し、副大統領を務めていたフォードが昇格したのだ。 大統領になったフォードはFBI長官だったJ・エドガー・フーバーと近く、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後、リンドン・ジョンソン新大統領が設置した「ケネディ大統領暗殺に関する大統領委員会」のメンバーでもあった。 最高裁裁判長だったアール・ウォーレンを委員長に据え、メンバーにはフォード下院議員、ヘイル・ボッグス下院議員、リチャード・ラッセル上院議員、ジョン・クーバー上院議員、アレン・ダレス元CIA長官、ジョン・マックロイ元世界銀行総裁。主席法律顧問を務めたのはリー・ランキンだ。 言うまでもなくダレスはウォール街の弁護士で、大戦中から破壊活動を指揮、ケネディ大統領にCIA長官を辞めさせられた人物。マックロイはウォール街の大物で、大戦の後に世界銀行の総裁を経てドイツの高等弁務官を務め、ナチスの大物たちを守っている。委員会の中で唯一の専従はダレスだった。ダレスの側近で1966年6月から73年2月までCIA長官を務めたリチャード・ヘルムズによると、彼がダレスを委員にするように説得したのだという。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) フォード大統領はジョージ・H・W・ブッシュをCIA長官に、ドナルド・ラムズフェルドを国防長官に据え、ポール・ウォルフォウィッツ、リチャード・パイプスもこの時に表舞台へ出た。ラムズフェルド、チェイニー、ウォルフォウィッツ、パイプスはネオコンと呼ばれる一派に属していた。 ブッシュの父親プレスコットは銀行の元幹部で、ウォール街時代にダレスと親しくしていた。そうしたこともあり、エール大学時代にジョージはCIAからリクルートされたと信じられている。 ネオコンには「元トロツキスト」が多いと言われている。トロツキストはレフ・トロツキーの理論を信奉する人びとだが、この人物は1917年の「二月革命」当時、ニューヨークに住み、メンシェビキのメンバーだった。 トロツキーは1917年3月にニューヨークを離れたが、途中で彼の乗った船がイギリス海軍に拿捕されてしまう。釈放されたのは4月のこと。ロシアへ着いたのは5月に入ってからだ。トロツキーがボルシェビキに加わるのはその後、十月革命の直前になってからである。 ボルシェビキの幹部も二月革命当時、革命の現場にはいなかった。刑務所に入れられていたか、ウラジミル・レーニンのようにスイスへ亡命していた。そのレーニンたちボルシェビキの幹部32名をドイツ外務省は列車でロシアへ運ぶ。当時、第1次世界大戦が始まっていたが、レーニンたちは即時停戦を主張していたからだ。ボルシェビキの幹部がロシアへ戻ったのは1917年4月のことだ。 アメリカのトロツキストで有名な人物のひとりはジェームズ・バーナム。1929年にニューヨーク大学の教授に就任、30年代の半ばからトロツキストだったとされているのだが、第2次世界大戦中にアメリカの戦時情報機関OSS(戦略事務局)入りし、大戦後にはジョージ・ケナンの推薦で極秘の破壊工作機関OPCへ参加したことも知られている。バーナムの周辺からネオコンへ流れた人がいるようだ。 しかし、ネオコンの思想的な支柱はシカゴ大学のレオ・ストラウス教授だとされている。この人物は17歳の頃にウラジミール・ジャボチンスキーのシオニスト運動へ接近、1932年にはロックフェラー財団の奨学金でフランスへ渡り、プラトンやアリストテレスの研究を始めた。 ストラウスは1937年にアメリカへ渡り、コロンビア大学の特別研究員になる。1944年には教授として受け入れられ、49年から73年までシカゴ大学で教えている。ストラウスと同じようにシカゴ大学の教授を務めたアルバート・ウォルステッターもネオコンを支えたひとりだ。 このネオコンの人脈を見ると、彼らの背後にはアメリカやイギリスの金融資本が存在、トランプもハリスも、つまり共和党も民主党も米英金融資本を中心とする私的権力に操られている。ファシズム、あるいは帝国主義と呼ぶべき体制だ。アメリカにおいて選挙は単なる儀式にすぎず、この国の体制を民主主義と呼ぶことはできない。 それにもかかわらずアメリカを「民主主義国」だと信じている人が少なくないのはそのように信じさせる強力な仕組みがあるからだ。教育で思考のベースが形成され、メディアや映画などでイメージが作られている。ハリウッドにはカバラの信者が巣食っているが、CIAはシナリオをチェックしていると言われている。 CIAの検閲基準に従っても支配システム内の犯罪、悪事を描くことは許されるが、あくまでも個人やグループによるとしなければならない。システム全体は健全で、最後にはそのシステムが犯罪や悪事を正すとしなければならないのだ。ハリウッドの外でも、ある政治勢力はダメだが別の政治勢力は良い、システム内の善玉が悪玉を処罰する、といった類の話は眉に唾をつけながら聞いた方が良い。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.08
アメリカ大統領選でドナルド・トランプがカマラ・ハリスを破り、次期大統領に選ばれたようだ。トランプは2016年の選挙でも勝利しているが、その際には民主党だけでなくCIA、FBI、有力メディアから攻撃を受け、国家安全保障担当補佐官に選ばれたマイケル・フリン元DIA局長がホワイトハウスから追い出されている。 2009年1月から17年1月まで大統領を務めたバラク・オバマはロシアとの関係悪化に力を入れ、2010年8月にはPSD-11を承認してムスリム同胞団を利用して北アフリカからシリアにかけての地中海沿岸国で体制転覆作戦を進めた。いわゆる「アラブの春」だ。 シリアやリビアではムスリム同胞団のほかサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするアル・カイダ系武装集団を投入、リビアでは体制転覆に成功、今では無法国家。シリアでは戦乱が続いている。 シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒せないため、リビアから武器弾薬や戦闘員を移動させるだけでなく、新たな戦闘集団を編成している。イラクのサダム・フセイン政権時代に軍人だった人びとが参加したと言われているが、その新戦闘集団をオバマ政権は支援した。 そうした動きを危険だと判断したのがDIA。オバマ政権が支援している反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、アル・ヌスラと名称が変わっても実態は同じだと指摘している。その集団の中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だ。 DIAは報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告、それがダーイッシュ(IS、ISISなどとも表記)という形で現実になった。2014年1月にダーイッシュはファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧する。 その後、この武装集団は残虐さを演出、アメリカ/NATOの介入を誘うのだが、2015年9月にシリア政府はロシア政府に軍事介入を要請、ロシア軍がダーイッシュなど傭兵部隊を一掃していった。 こうした経緯があるため、フリンはオバマ政権がダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団の後ろ盾だったことを熟知していた。武装集団を操っていたオバマ政権のネオコン、CIAなどはフリンが安全保障担当補佐官として活動することを嫌っていたはずだ。 今回、トランプは民主党だったロバート・ケネディ・ジュニアやタルシ・ガッバード元下院議員を要職につけると見られているが、このふたりを民主党幹部は恐れているだろう。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動の暗部、ロシアとの核戦争に向かった政策に関する情報が明るみに出ることも恐怖しているかもしれない。 しかし、トランプ政権が外交や安全保障分野の政策を大きく変更することはないと見られている。ウクライナでの戦闘を「現状維持」で終わらせることは不可能であり、トランプの人脈はガザやレバノンでの住民虐殺を支援している。イスラエルではレバノンへの軍事侵攻に慎重だったヨアブ・ガラント国防相が解任された。イスラエル政府は戦乱を望んでいるのだろうが、その先には破滅が待つ。ペルシャ湾岸の産油国はアメリカやイギリスの従属、イスラエルとの関係を強めてきたが、その政策を続ければ彼らも破滅する可能性が高い。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.07
アメリカの時期大統領を決める選挙が実施される。民主党のカマラ・ハリスと共和党のドナルド・トランプの争いになるそうだ。ウクライナを舞台とした対ロシア戦争をハリスは推進しようとし、トランプは止めようとしていると言われているが、パレスチナでの住民虐殺に関しては両者に大差はない。皆殺しにしろということだ。 しかし、過去を振り返ると、どの政権も政策に大差はない。外交や安全保障分野の政策はシオニストが決めてきた。ジョン・F・ケネディ政権まではそれでもイスラエルに対して厳しい姿勢を示す大統領もいたのだが、ケネディが暗殺されて以降、そうしたことは無くなっていった。 フランクリン・ルーズベルト政権は反植民地、反ファシズムを掲げていたが、第2次世界大戦後、侵略、殺戮、破壊、略奪という帝国主義的な政策を継続してきた。ベトナム戦争のようにアメリカ軍が直接出てくることもあったが、傀儡軍を使ったクーデター、アル・カイダ系武装集団やネオ・ナチで編成された戦闘集団による侵略という手法が取られることが多い。 ウラジミル・プーチンに言わせると、アメリカではあらゆる政策が大統領ではなく「黒いスーツと青いネクタイの男たち」が決めている。 イギリスをはじめとするアングロ・サクソンの支配者は19世紀以来、侵略の最終目標をロシア征服においている。1941年6月にドイツが始めた「バルバロッサ作戦」でもそうだったが、ロシアへの突入はウクライナから始まる可能性が高い。 シオニストの一派であるネオコンは1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクト(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)を作成した。 ウクライナで実施された2004年の大統領選挙で中立を掲げるビクトル・ヤヌコビッチが勝利すると、アメリカは2004年から05年にかけて「オレンジ革命」と呼ばれたクーデターを実行、西側の傀儡だったビクトル・ユシチェンコを大統領に据えた。 ユシチェンコ政権は新自由主義政策を推進、不公正な政策で貧富の差を拡大させたことからウクライナ人の怒りを買い、2010年の大統領選挙では再びヤヌコビッチが勝利。そこでアメリカのバラク・オバマ政権は2013年から14年にかけてネオ・ナチを利用したクーデターを実行、西側資本の属国にしたわけだが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデタを拒否、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が勃発した。 アメリカ/NATOはその内戦をエスカレートさせ、ドンバスに対する本格的な軍事作戦を始めようとしていた2022年2月にロシアは機先を制してウクライナに対する攻撃を開始、その月のうちにキエフ側の敗北は決定的。そこでウォロディミル・ゼレンスキー政権は停戦交渉を開始、ロシア側とほぼ合意しているのだが、それをイギリスとアメリカ両政府が壊してしまった。彼らにとってウクライナはロシアをできるだけ疲弊させるための道具にすぎなかった。 アメリカ/NATOは兵器を供与、兵士を訓練、さらに傭兵や自国兵を送り込んできたが、限界に達している。これ以上続けるためにはアメリカ/NATOが前面に出てこなければならない状況だ。 そうした中、アメリカはジョージアとモルドバの支配を確たるものにしようとしている。ジョージアでは苦戦しているようだが、モルドバの選挙結果は反ロシア派が優勢。11月3日の投票ではハーバード大学ケネディ行政大学院を卒業した反ロシア派のマイア・サンドゥが大統領に選ばれた。 サンドゥに対抗する政党が分裂、投票率が54%にすぎない。投票率の低さは投票しにくい環境が作られていることもある。投票に向かう自動車で大規模な渋滞が発生している様子を撮影した映像も流れている。 モルドバの選挙は国外からの投票で左右されるのだが、「反EU、親ロシア」の有権者の投票をサンドゥ政権はブロックしているとする人もいる。ロシアにいるモルドバの有権者50万人のために設置された投票所の数は2カ所にすぎず、十分な数の投票用紙がなかった。反EU派の投票数を抑えたということだ。親ロシアのトランスニストリアには約45万人のモルドバ人がいるが、そこには投票所がない。勿論、西側諸国には十分な数の投票所が設けられた。 アメリカ支配層にとって都合の良い結果をもたらす選挙は何があっても「公正」であり、都合の悪い結果をもたらす選挙はどれだけ公正な仕組みでも「不正」だとされる。それが西側流の民主主義である。アメリカの選挙には事実上、選択肢がないと言う人もいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.06
ドイツ連邦議会の有力議員、ノルベルト・レットゲンはアメリカの大統領選挙でドナルド・トランプが勝利することを懸念している。レットゲンはドイツがアメリカ軍に占領されている状態を受け入れている政治家で、トランプが勝利するとウクライナにおける戦争でロシアの勝利、つまりアメリカ/NATOの傀儡軍の敗北が決まり、西側諸国は分裂するとしている。 1941年6月にドイツはロシアに対する軍事侵攻作戦「バルバロッサ」を始めるが、最初に侵攻した国がウクライナにほかならない。米英の傀儡軍事組織であるNATOがウクライナを支配下に置くことは新たなバルバロッサ作戦の始まりにほかならず、それをロシアが容認するはずはなかったが、アメリカの外交や安全保障分野を支配しているシオニストはウクライナ制圧を目論む。 ソ連は1991年12月に消滅したが、その前、1990年にウクライナ議会はソ連からの独立を可決している。それに対し、ソ連時代に民意を無視してロシアからウクライナへ割譲されたクリミアでは1991年1月にウクライナからの独立を問う住民投票を実施、94%以上が賛成しているのだが、クリミア議会は住民の意思を無視してウクライナに統合されることを決めてしまった。クリミアと同じようにロシアからウクライナへ割譲された東部ドンバスでも独立や自治権の獲得を目指した。そうした事情を配慮して1990年代のウクライナでは中立を掲げている。 それを気に入らない西側は中立政策をやめさせ、欧米に従属するように要求するのだが、2004年の大統領選挙では東部や南部を支持基盤にし、中立政策を進めようとしていたビクトル・ヤヌコビッチが勝利。その結果を翻すため、アメリカは2004年から05年にかけて「オレンジ革命」と呼ばれたクーデターを実行、西側の傀儡だったビクトル・ユシチェンコを大統領に据えた。 ユシチェンコ政権は新自由主義政策を推進、不公正な政策で貧富の差を拡大させたことからウクライナ人の怒りを買い、2010年の大統領選挙では再びヤヌコビッチが勝利。そこでアメリカのバラク・オバマ政権は2013年から14年にかけてネオ・ナチを利用したクーデターを実行、西側資本の属国にしたわけである。 このクーデターをヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部は拒否、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバスでは武装闘争を開始。軍や治安機関の約7割は新体制を拒否したと言われているが、クリミアの場合は9割近い兵士が離脱したと伝えられている。東部や南部を制圧することは困難な状況だった。そこで西側はキエフ体制の戦力を増強するために必要な時間を稼ごうとする。そこでミンスク合意だ。 8年間に兵器を供給、兵士を訓練、地下要塞を中心とする要塞線を築き、2022年に入るとドンバス周辺に部隊を集中させ、大規模な軍事作戦を始める様相を見せた。のちにそうした作戦があったことを裏付ける文書が出てきている。 その作戦が始まる直前、ロシア軍は2月24日からウクライナに対する攻撃を始めた。ミサイルなどでドンバス周辺に集結していたウクライナ軍の部隊を壊滅させ、航空基地、レーダー施設、あるいは生物兵器の研究開発施設を破壊し始める。これでロシア軍の勝利は確定的だった。 そこでイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットを仲介役として停戦交渉を開始、双方とも妥協して停戦の見通しが立ち、ベネットは3月5日にモスクワへ飛ぶ。彼はウラジミル・プーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけることに成功した。 その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・ショルツ首相と会うのだが、その3月5日にSBUのメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。クーデター後、SBUはCIAの下部機関だ。 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と6月17日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。 こうした交渉を潰すため、4月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令し、4月30日にはアメリカのナンシー・ペロシ下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓った。それ以降、西側はウクライナに対し、ロシアを疲弊させるために戦い続けさせてきた。「総玉砕」を求めたのだ。 ロシアとの戦争で欧米は簡単に勝てると思っていたようだが、戦力的に優位だった段階でも戦況はロシアが優勢で、ロシア側の態勢が整った2023年になるとウクライナの敗北は決定的だった。アメリカ・NATOは軍事支援を強化したが、その流れを変えることはできず、ウクライナは兵士も兵器も足りなくなり、アメリカ/NATOの兵器庫も空。最近ではアメリカやその従属国からのウクライナで戦う戦闘員が増え、必然的に死傷者が出ている。 ウクライナに対する侵略作戦は1992年2月にネオコンがアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成した世界制覇プロジェクト(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)と結びついている。このドクトリンはソ連が消滅、ロシアを含む旧ソ連圏はアメリカの支配下に入ったということが前提になっている。そのプロジェクトが本格始動する切っ掛けが2001年9月11日の出来事、つまりニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎への攻撃だ。 このプロジェクトはロシアの再独立で破綻するのだが、その後もネオコンは世界制覇を諦めない。その結果、西側は窮地に陥り、ウクライナでもアメリカ/NATOは敗北しつつある。その敗北をいかに敗北に見せないかを西側支配層の一部は考えているようだが、あくまでロシアと戦うと主張している人もいる。そのひとりがレットゲンだと言える。 レットゲンのような人びとの政策によってドイツ経済は壊れ始めている。そのひとつの現れがフォルクスワーゲンの工場閉鎖と従業員の大量解雇計画。国内の少なくとも3工場を閉鎖し、数万人の従業員を解雇するという情報。 ドイツを破綻に導いた政策のひとつはロシアとドイツがバルト海に建設した2本のパイプライン、「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」の破壊だ。ウクライナでのクーデターでロシア産の安い天然ガスを入手できなくなっていたが、そのウクライナを迂回して建設されたパイプラインが爆破されたのだ。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表した。 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。 ハーシュが書いているように、この破壊工作はアメリカが実行した可能性が高いことを状況証拠も示している。 例えば、ドナルド・トランプ政権下の2020年7月にマイク・ポンペオ国務長官がNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言。2021年1月に大統領がジョー・バイデンに交代しても状況に変化はなく、22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると恫喝している。2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。 破壊直後には、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーが「ありがとう、アメリカ」と書き込み、その後、ノードストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書いた。パイプラインが爆破された1分後にはイギリスの首相を務めていたリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったと伝えられている。 こうした破壊工作をドイツ政府は知らされていたのではないかという疑いがある。これが事実なら、ドイツの政治家たちはアメリカの命令に従い、自国の経済を破壊、国民を塗炭に突き落としたわけだ。ロシアとの戦争に執着するひとつの理由は、その責任から逃れたいからかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.05
アメリカでは軍も情報機関もウクライナ戦争を膠着状態と表現することはできないと判断しているという。2004年に「オレンジ革命」を仕掛け、2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを利用したクーデターを実行したネオコンに敗北が迫っていることをアメリカの有力メディアも否定できなくなってきたようだ。 ウクライナ軍は東部戦線でロシア軍に押されて後退、クルスクに攻め込んだ部隊も壊滅状態。1万人から3万人が軍事侵攻、さらに増派したと見られているが、すでに3万人程度が戦死したと言われている。2022年2月から戦死したウクライナ兵は50万人とも言われているが、実際は100万人に達していると推測する人もいる。 西側メディアはウクライナ軍の戦死者数はロシア軍の半分だと戯言をいまだに主張しているが、実際はロシア軍の10倍程度だと見られている。ウクライナでは街中で男性が拉致され、ろくな訓練をせずに戦場へ送り込まれ、数日から数週間で80%以上が死亡しているという。 ウクライナでの戦闘はロシアの生産力が西側を圧倒していることも明らかにしている。アメリカ政府の命令に従ってきたEUの経済悪化は深刻で、これまでその経済を牽引してきたドイツではフォルクスワーゲンが国内の少なくとも3工場を閉鎖、数万人の従業員を解雇すると伝えられている。 それに対し、ロシアでは外国資本の撤退が追い風になり、国内の企業が急成長、社会生活に変化は見られない。その様子はロシアに住む外国人がインターネットで伝えていたが、タッカー・カールソンも報告していた。彼はロシアのウラジミル・プーチン大統領をインタビューしているが、それ以上にモスクワのレポートは西側の人びとに大きな影響を及ぼしたかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.04
アメリカ政府はジョージアとモルドバが自立するのを防ごうと必死のようだ。ジョージアでは2003年11月の「バラ革命」を経てヘイル・サーカシビリ政権が登場したが、その新自由主義的で反ロシア的な政策が人びとを不幸にすることを国民は知り、アメリカ離れを起こしている。モルドバも同じ道を歩み始め、その親米政権を維持することは難しい情勢になっているが、ウクライナでの敗北が決定的になっているアメリカとしては、新たなロシア侵略拠点としてジョージアやモルドバを重視しているはずだ。 サーカシビリの経歴を調べると、1994年にコロンビア・ロー・スクールで学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。その後、ニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたとされている。アメリカの支配システムの中から出てきた人物だと言えるだろう。 サーカシビリは2008年1月から大統領を務めたが、その年の8月に南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃でジョージア軍は完敗した。そのジージア軍に兵器を供与、兵士を訓練していたのはイスラエルとアメリカだったことは本ブログで繰り返し書いてきた。 ウクライナでクーデターが始まった2013年11月にサーカシビリは大統領を辞め、18年12月から大統領を務めているのが親米派のサロメ・ズラビシビリだ。 この人物は1952年にフランスのパリで生まれ、1974年にフランス外務省へ入っている。2003年から04年にかけての期間、ジョージア駐在大使を務めたが、2003年11月にジョージアでは「バラ革命」が引き起こされ、サーカシビリが実権を握っている。サーカシビリと連携していたことは間違いないだろう。 ウクライナへNATOを侵攻させるため、ネオコンをはじめとするアメリカ/NATOの好戦派は2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターを実行したが、東部や南部をはじめクーデターに反対するウクライナ人は少なくなかった。軍や治安機関の約7割は新体制を拒否、クリミアの場合は9割近い兵士が離脱したと伝えられている。そこでロシアと戦う態勢を整えるための時間が必要だった。そこで出てきたのがミンスク合意だ。 アメリカ/NATOは兵器の供与や兵士の育成などに8年かけ、ドンバスに要塞線を築いた。マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結んでいたのだが、今年2月にアブディフカが陥落、要塞線は崩壊。東部戦線でウクライナ軍は圧倒されはじめた。 今年8月6日にウクライナ軍は外国人傭兵を含む1万人から3万人ほどの兵力でロシアのクルスクへ軍事侵攻したが、惨憺たる状況だ。当初、クルスクには国境警備隊しかいなかったことから装甲車両を連ねたウクライナ軍に攻め込まれたが、すぐにロシア側は航空兵力で反撃を開始した。ウクライナ側は傭兵を使うだけでなくドンバスから部隊をクルスクへ移動させ、虎の子の機械化部隊を投入したのだが、壊滅状態で、ドンバス戦線ではロシア軍の進撃スピードが速まっている。 ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官によると、ロシアがサンクトペテルブルクで海軍記念日のパレードを開催した7月28日、勢揃いした要人を暗殺しようという計画があったという。この計画が成功していたならロシア国内が混乱する可能性は高く、それに乗じてロシアへ攻め込むつもりだったのだろう。 クルスクの西側にあるブリャンスクでは約20人の部隊が侵入、ロシア側の反撃で侵入部隊のメンバーは死傷したのだが、死亡した4名の出身国はアメリカ、カナダ、ポーランドで、ひとりはアメリカ陸軍の第75レンジャー連隊第2大隊の入れ墨をしていた。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.03
アメリカ、ウクライナ、韓国の政府は朝鮮兵がロシアへ派遣され、ウクライナで戦うと主張しているが、これらには証拠がない。そのように批判する人は少なくない。 そうした状況の中、あるウクライナのチャンネルはドネツクのセリドボ近くで捕虜になった「朝鮮兵の身分証明書」を公表したのだが、そこに貼られていた写真は韓国のベテラン俳優だった。Netflixで配信された韓国のドラマ「イカゲーム」で主演した李政宰だったのである。短期間で嘘が発覚することは明白だったが、アメリカの大統領選挙まで騙せればと思ったのかもしれないと言われている。 アメリカの外交や安全保障分野を支配しているネオコンは2004年に「オレンジ革命」を仕掛け、2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを利用したクーデターを実行したのだが、ソ連時代にロシアからウクライナへ割譲された東部と南部の住民はクーデターで成立したネオ・ナチ体制を拒否、内戦が勃発した。その内戦はアメリカ/NATOとロシアの戦いになり、ロシアの勝利は決定的だと見られている。 戦闘が続いていれば配下の有力メディアを利用して人びとに「勝利の幻影」を見せることで国民から責任を問われないようにしようと目論んでいるが、ウクライナ、つまりアメリカ/NATOの敗北が決まるとこれまで以上の窮地に陥る。ネオコンに支えられ、ウクライナでの戦闘を拡大させてきた民主党政権としては、11月の大統領選挙で負けられない。 そうした状況の中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアがウクライナへ全面侵攻する計画には「朝鮮の戦争への実際の関与」も含まれると述べた。さらにウクライナのメディアは「西側の外交官」の話として朝鮮がロシアへ1万人の兵士を派遣したと語ったと報道、韓国の通信社は朝鮮がウクライナ戦争でロシアを支援するため大規模な軍隊を派遣することを決定、すでに派遣を開始していると同国の情報機関、NIS(国家情報院)が推測していると伝えた。 この評価は尹錫悦大統領が緊急安全保障会議を招集した後に出され、朝鮮が特殊部隊を含む1万2000人の兵士からなる4個旅団をウクライナ戦争に派遣することを決定したとNISはしている。日本のマスコミもそうした話を垂れ流し始めた。 しかし、ウクライナ軍は兵士が足りず、市外で街を歩いている男性を拉致し、短期間の訓練で彼らを戦場へ送り込まざるをえない状況だ。そうした光景を撮影した少なからぬ映像がインターネット上を流れているが、ロシア国内でそうした光景は見られない。ロシアの兵力には余裕があり、ローテーションで交代しながら戦っているだけでなく、予備の部隊も用意されている。 イギリスの国防大臣を2019年7月24日から23年8月31日まで務めたベン・ウォレスは2023年10月、テレグラフ紙でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘した。徴兵年齢を下げる必要があるということだ。 ウクライナの武器弾薬不足も深刻。これはアメリカ/NATOの兵器庫も空になっていることを意味している。 アメリカ/NATOは核ミサイルを発射できるF-16戦闘機をウクライナへ供与し始めたが、操縦できるパイロットがほとんどいない。そこで白羽の矢が立ったのは韓国のパイロット。韓国の第19航空団のパイロット16人がルーマニアのミハイル・コガルニセアヌ近くにある空軍基地に到着、モルドバとの国境近くにある空軍基地にも駐留していると言われている。韓国政府は兵器だけでなく兵士もウクライナへ送り込まなければならなくなってきた。ウクライナへの援助の増額または変更に対する国内の支持はほとんどない。 当初、アメリカの国防総省は朝鮮兵の話に対して慎重な姿勢を見せていたが、10月30日にロイド・オースティン国防長官は朝鮮兵がロシアへ派遣されたことで戦争が長期化すると述べた。また朝鮮軍の兵士約1万人がすでにロシア東部に派遣されていて、ロシアの軍服を着用、ロシアの装備を携行しているとも主張。クルスクにおけるロシアの戦闘を支援しているという様相が強まっているとしているのだが、そうした様相は見られない。 イギリスの国連常駐代表バーバラ・ウッドワードは「プーチン大統領がロシア人を砲弾の餌食として募集するのが難しくなればなるほど、彼は朝鮮に頼る用意が強くなる」と主張しているが、イギリスやアメリカはウクライナ人を「砲弾の餌食」にしてきた。これは本ブログでも繰り返し書いてきたことだ。だからこそ、ウクライナ兵はいなくなり、兵士の平均年齢が40歳代に上昇しているのだ。ウクライナ軍が敗走していることは西側でも否定できなくなっている。 死傷者数についても言えることだが、アメリカやイギリスの支配層は自分たちの行なっていることを相手が行っていると主張する。これは彼らの詐欺師的な常套手段だ。 2014年にクーデターで実権を握ったネオ・ナチだが、東部や南部では反クーデター軍に押されていた。そこでアメリカ/NATOは戦力を増強、ドンバス周辺に要塞線を築くことにするのだが、そのためには時間が必要だった。そこで出てきたのが「ミンスク合意」だが、この手法にロシアは2度と乗らないだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.02
イスラエル政府は安全上の懸念から首相官邸や軍の本部などで会合しないことを決めたと伝えられている。防空システムの「アイアン・ドーム」でイランやヒズボラなどのミサイル攻撃を防げないという判断からだろう。 イランは10月1日にイスラエルの軍事基地や情報機関の本部を180機以上の弾道ミサイルで攻撃、防空システムの「アイアン・ドーム」を突破している。ほとんどのミサイルを撃墜できず、F-35戦闘機を配備するネバティム基地、ハッサン・ナスララをはじめとするヒズボラの指導者を殺害したネツァリム基地、弾道ミサイルのあるテル・ノフ基地、モサドの本部やその周辺に着弾した。10月19日にはベンヤミン・ネタニヤフの自宅にヒズボラのドローンが命中している。 そうした状況を現地で取材していたアメリカ人ジャーナリストのジェレミー・ロフレドがイスラエル当局に逮捕された。10月1日にミサイルの着弾地点を取材したジャーナリストのひとりだ。ロフレドがインターネットを通じて流した映像にはイスラエル政府の説明とは違う光景が映っていた。 10月25日にイスラエル軍はイランを攻撃、テヘランを含む複数の地域で爆発音が聞こえたものの、市内の光景を撮影した映像には攻撃されている様子は映っていない。イランの防空ミサイルがイスラエルのミサイルを撃墜する際の爆発音だと推測されている。 イスラエルのミサイルと思われるものが撮影された映像もあるが、イランがイスラエルを攻撃した時とは違い、大半が撃墜されている。ロシアが防空システムを供与、ECM(電子対抗手段)も使われたようだ。この結果にイスラエル政府は動揺していると言われている。イスラエル軍は子どもや女性を含む一般市民を殺すことしかできないと評価されている。 イランを攻撃するためにイスラエル軍は100機以上の戦闘機をシリアやイラクのアメリカ軍が管理している空域へ侵入させ、200機程度のミサイルを撃ち込んだと見られているが、そのミサイルは撃墜され、イランは平穏だ。 アメリカとイスラエルには自国の軍隊を「神軍」だと信じる人が少なからず存在している。アメリカの場合ベトナム戦争で敗北、その妄想は崩れてしまい、1967年の第3次中東戦争で圧勝したイスラエル軍に飛びついた。そのイスラエル軍を「神軍」だとする妄想も崩れ始めている。西側の有力メディアはこの妄想を維持しようと必死だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2024.11.01
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