《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2017.11.09
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
カタールのハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・アール・サーニー前首相が同国のテレビ番組で発言した内容が注目されている。西側の有力メディアは無視しているようだが、それだけ重大な内容だとも言える。シリアで戦争が始まった2011年からカタールはサウジアラビアやアメリカと手を組み、シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すために物資をトルコ経由で運んだと語っているのだ。(​ 番組 問題部分 ​)アメリカが描いた侵略計画が破綻、内紛が激しくなっている。

シリア侵略のプランは1991年の段階でネオコンが作成していたことも本ブログでは書いてきた。アメリカの国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツはその年、イラク、シリア、イランを殲滅すると語っていたという。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は2007年が明言していることだ。(​ 3月 ​、​ 10月 ​)その年の12月にソ連が消滅、ウォルフォウィッツは1992年2月に国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成する。これが​ ウォルフォウィッツ・ドクトリン ​だ。

この計画通り、ネオコンに主導されたアメリカは2003年にイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒し、瓦礫と死体の山を築く。それから4年を経た2007年、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは3月5日付けのニューヨーカー誌で、​ アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めた ​と書いている。これもウォルフォウィッツが1991年の段階で口にしていた国だ。ハーシュの記事には、この工作にムスリム同胞団やサラフィ主義者が使われることも示唆されている。



シリアやリビアに対する侵略の主力はアル・カイダ系武装集団。バラク・オバマ大統領は穏健派を支援しているとしていたが、​ シリアで政府軍と戦っているのはサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(イラクのアル・カイダ) ​だとアメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月にホワイトハウスへ報告している。しかも、オバマ政権の政策が続くと東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配圏が作られる可能性があると警告していた。これはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実になる。

2012年当時、DIAを率いていたマイケル・フリン中将は退役後、この問題をアル・ジャジーラの番組で問われ、​ ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が決めた政策による ​と語っている。

ダーイッシュは2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧している。モスル制圧の際にはトヨタ製の真新しい小型トラックのハイラックスを連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が配信されている。パレードを含め、ダーイッシュの行動をアメリカの軍や情報機関はスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人から情報を把握していたはずだが、攻撃せずに静観していた。フリンが退役に追い込まれたのはこの年の8月である。

フリン退役の翌月にトーマス・マッキナリー中将はアメリカがダーイッシュを作る手助けをしたと発言、同じ月には統合参謀本部議長だったマーティン・デンプシー大将が上院軍事委員会で、ダーイッシュに資金提供している主要なアラブ同盟国を知っていると証言した。2015年にはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官がアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語っている。

また、2014年10月には副大統領だったジョー・バイデンがハーバーバード大学で行った講演の中で、中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると発言、ヒラリー・クリントンは2014年8月にジョン・ポデスタ宛てに出した電子メールの中で、サウジアラビアやカタールがダーイッシュなどへ資金や物資を供給していると書いていた。勿論、アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュを使った侵略にはイスラエルも参加している。

アメリカ政府はどこかの国を「テロ支援国」のリストに載せて制裁することを考慮しているとも伝えられているが、まずそのリストに載せなければならないのはアメリカにほかならない。イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコ、イギリス、フランス、ドイツなども載せる必要がある。そうした実態を伝えなかった西側の有力メディアも責任は免れない。

2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒されると戦闘員と武器/兵器はシリアへ運ばれ、翌年になるとシリアでの戦闘が激化する。そして5月にはシリア北部ホムスで住民が虐殺され、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝した。「住民を助ける」という口実でリビアと同じようにNATO軍なりアメリカ主導軍が軍事侵攻するつもりだったのだろうが、真相はすぐに発覚する。ロシアの対応もリビアと同じではなかった。

その際、虐殺を調査した東方カトリックのフランス人司教は反政府軍のサラフィ主義者や外国人傭兵が住民を虐殺したと報告、それは教皇庁の通信社が伝えた。その報告の冒頭には次のように書かれている:「​ もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。 ​」





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.11.09 04:34:18


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: