《櫻井ジャーナル》

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2024.07.17
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 NATO(北大西洋条約機構)の首脳会談がワシントンDCで始まる前日の7月8日にインドのナレンドラ・モディ首相がロシアを訪問、9日にはウラジミル・プーチン露大統領と会談、貿易決済についても話し合ったようだ。

 アメリカやその従属国は別として、世界の多くの国々はアメリカ政府が金融システムを支配の道具として使ったことを懸念、SWIFT(国際銀行間金融通信協会)への信頼をなくしている。新たな決済の仕組みを築く必要があると考える国が増えているようだ。

 モディはロシアとインドの関係は重要であり、世界全体にとっても大きな意味を持つと発言、両国のパートナーシップは重要性を帯びているとしている。「世界の安定と平和」も口にしたが、戦争について話し合うNATOの首脳会談に合わせてロシアを訪問することにより、行動でも示した。

 ロシアと中国は多極化した世界を作り上げようとしているが、中国とインドの間には国境問題があり、軍事的な緊張が高まった時期もある。それをアメリカは利用して中国とインドの分断を強め、インドを従属させようとしてきた。

 アメリカはインド洋から太平洋にかけての地域における支配力を強めるため、2017年11月にオーストラリア、インド、アメリカ、日本で組織されるクワドの復活を協議、2018年5月にはアメリカ太平洋軍をインド太平洋軍へ名称変更した。太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うとされた。

 しかし、インドネシアはアメリカと一線を隠す動きを見せ、ここにきてインドもアメリカに従属しない姿勢を見せている。インドと歴史的に関係の深いロシアが動いているのだろう。そこでアメリカが目をつけたのがフィリピンにほかならない。日本がフィリピンと軍事兵站協定を締結した目的もそこにあると言われている。

 ワシントンDCで開かれたNATOの首脳会談ではウクライナ情勢について議論したというが、すでにウクライナは国として機能していない。兵士も兵器もない。西側諸国は特殊部隊を含む軍人、あるいはオペレーターをウクライナへ派遣、軍事衛星、偵察機、地上のスパイ網などで入手した機密情報をウクライナへ提供、さらに各国から傭兵を送り込んでいるようだが、限界に来ている。「ウクライナ対ロシア」という見掛けを維持できなくなった。

 NATOが前面に出てロシアと戦争するしかなくなっているのだが、そのNATOはひとつの組織として動かすことが難しい。そのため、戦争の準備としてRAA(相互アクセス協定/部隊間協力円滑化協定)の交渉や調印が進められている。日本も昨年はじめにイギリスとRAAに調印した。岸田文雄首相がNATOの首脳会談に出席した、あるいは出席させられた目的も同じだ。東アジアでは日本とアメリカが中心になり、韓国やフィリピンと軍事同盟が築かれようとしている。

 これまでモディはアメリカやイスラエルとの関係を深めていたが、ロシアや中国との関係をそれ以上に深めている。インドは歴史的にイギリスやアメリカの私的権力、シティやウォール街を拠点にする金融資本の支配下にあったが、そうした構造が揺らいでいるようだ。それを補う核にしようと米英支配層が考えている国が日本だ。日本は再び「東アジアの疫病神」になろうとしている。






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最終更新日  2024.07.17 09:07:37


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