FBIと関係の深いサイバーセキュリティー会社、クラウドストライクがソフトウェアのファルコンをアップデートした際に大規模なシステム障害が発生、銀行、航空会社、報道機関、医療機関、政府機関など世界中のユーザーがシステムを利用できない状態になった。この欠陥ソフトウェアが入ったマイクロソフトのOS「ウィンドウズ」の動作に支障が出たようだ。
クラウドストライクの存在が広く知られるようになったのは2016年のこと。この年に実施されたアメリカの大統領選挙で共和党のドナルド・トランプが民主党のヒラリー・クリントンに勝利。その事実を受け入れられない民主党は「ロシアゲート」なるファンタジーを考え出し、キャンペーンを始めたのだが、その演出にクラウドストライクが協力している。
ウクライナのクーデター政権が武器管理に使っていたアプリケーション・ソフトをロシアがハッキングしたのと同じ手法でDNC(民主党全国委員会)のサーバーがハッキングされたのだとクラウドストライクは 報告書 の中で主張しているのだが、証拠は示していない。しかも同社を雇ったのはDNC。問題のサーバーを調べることが許されたのはクラウドストライクだけで、公的な機関はチェックしていない。
選挙で敗北したヒラリー・クリントンだが、私的権力の一部は2015年6月に彼女を次期大統領にすることを内定していたと言われている。この月の中旬、オーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合にジム・メッシナというヒラリーの旧友が出席していたからだ。
その流れが変わったとする噂が流れ始めたのは2016年2月10日。この日、ヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問し、ウラジミル・プーチン露大統領と会談している。
そして 3月16日にWikiLeaksがヒラリー・クリントンの電子メールを公表し始める 。7月22日にはDNCに関係した1万9000件以上の電子メールと8000件の添付資料を明らかにしたが、その中にはバーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害することを民主党の幹部へ求めるものも含まれていたことからサンダースの支持者を怒らせることになった。民主党幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メールもあった。
この電子メールはロシア政府によってハッキングされたと民主党/クリントン陣営は主張したが、NSAの不正を内部告発したウィリアム・ビニーも指摘しているように、それが事実なら証拠をNSAは握っている。それを出せないと言うことは、証拠がない、つまりハッキング話が嘘だと言うことを示している。ちなみに、ビニーは情報機関で通信傍受システムの開発を主導し、NSA史上最高の数学者にひとりと言われている人物だ。
また、 IBMのプログラム・マネージャーだったスキップ・フォルデンは転送速度など技術的な分析からインターネットを通じたハッキングではないという結論に達している 。DNCの内部でダウンロードされ、外へ持ち出されたというわけだ。
電子メールをウィキリークスへ渡したのはDNCのコンピュータ担当スタッフだったセス・リッチだと推測する人は少なくない。その漏洩した電子メールをロシア政府がハッキングしたとする偽情報を流たのはCIA長官だったジョン・ブレナンだと言われている。そのリッチは2万件近い電子メールが公表される12日前、強盗に殺されたとされている。
同じ趣旨のことはリッチの両親が雇った元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーも主張していた。この探偵はセスがWikiLeaksと連絡を取り合い、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルがセスからWikiLeaksへ渡されているという結論に達したという。
2001年から2012年までFBI長官を務めたロバート・ミューラーの部下で、サイバー犯罪捜査部門の責任者を務めていたショーン・ヘンリーは下院情報委員会でDNCに関するデータがDNCから流出したことを示す証拠はないと発言している。ヘンリーはFBIを2012年に退職し、クラウドストライクの上級職に就いていた。
ハッキング説に説得力はないのだが、FBIはDNCのサーバーを調べずにクラウドストライクの主張を無批判に受け入れた。FBIとクラウドストライクは緊密な関係にあるわけで、「猿芝居」だ。
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【 Sakurai’s Substack 】