パレスチナを拠点として活動しているハマス、ファタハ、イスラム聖戦、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)、DFLP(パレスチナ解放民主戦線)など14グループの代表団が中国の仲介で7月21日から北京の釣魚台国賓館で会談し、23日には分断の終結とパレスチナ民族の団結強化のための「北京宣言」に署名、「暫定国家和解政府」を設立することで合意したという。すでにパレスチナのグループは中東全域に協力網を築いている。
ガザやヨルダン側西岸でパレスチナ人を虐殺しているイスラエルはアメリカやヨーロッパから支援を受けているほか、サウジアラビア、エジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンと協定を結んで軍事的な情報を交換、UAEとバーレーンのイスラエル向け輸出品はヨルダン経由で運ばれてきた。イエメン(アンサール・アッラー)がイスラエルへの輸送を阻止しているアラビア海から公開のルートを避けるためだ。
しかし、中東では一部の上層部を除く大多数の人びとがパレスチナ人を支持、イスラエルに協力しているヨルダンの支配層は神経質になっているようだ。パレスチナには中国のほか、ロシアやアルジェリアなどが後ろ盾になっている。
イエメンはガザでの虐殺を続けるイスラエルや虐殺を支援しているアメリカなどの船舶を攻撃してきたが、7月19日にはテル・アビブにあるアメリカ領事館の近くをドローンで攻撃した。それに対してイスラエルは20日にフダイダ港を攻撃したが、イエメンは報復を宣言、軍事施設と治安施設を標的にするとしている。紅海を迂回する陸路や空路を提供している「一部のアラブ国」、つまりヨルダンへの報復も示唆している。そのヨルダンにNATOは連絡事務所を設立することを決定したと今月、発表したが、すでに約3000名のアメリカ兵をはじめとする西側の部隊が駐留、軍事インフラも存在している。
アメリカの重要な「同盟国」だったサウジラビアの場合、ロシアへ接近しつつある。2015年にシリア政府の要請で軍事介入したロシア軍の強さ、ロシア製兵器の性能の高さを目の当たりにしたことが大きいのだろう。2017年10月にサルマン国王はモスクワを訪問、ロシア製防空システムのS-400を購入したいという意向を伝え、ロシア側は受け入れる姿勢を示したと伝えられた。
その後、サウジアラビはイランとの関係修復に乗り出すのだが、それに対してアメリカはイスラエルの協力を受け、2020年1月3日にイラクのバグダッド国際空港でイスラム革命防衛隊のコッズ軍を指揮していたガーセム・ソレイマーニーをドローンで暗殺している。怒ったイラクの議会は暗殺の2日後、アメリカ軍に国外へ出て行くように求める決議を採択した。イラクにも反米感情が蔓延している。
最近では西側諸国によるロシアの資産を差し押さえる動きをサウジアラビアは批判、差し押さえを決定した場合には保有する欧州債の一部を売却する可能性を内々にほのめかしていたという。また、ウクライナへの支援にも反対している。
ところで、イスラエルによるガザでの虐殺を受け、レバノンのヒズボラが昨年10月8日からイスラエルを攻撃した。イスラエル北部の軍事施設にミサイルを発射、北部に住むイスラエル人入植者8万人が自宅から逃げ出している。
ヒズボラには2500人の特殊部隊員、訓練を受けた2万人の兵士、3万人の予備役、さらに5万人がいると言われている。つまりヒズボラの兵力は10万人を超えるのだが、それだけでなく、戦闘陣地とトンネルが縦横に張り巡らされ、15万発以上のミサイル(その多くは長距離)が準備されている。さらにイラク、アフガニスタン、パキスタンの反帝国主義勢力、そしてイエメンのアンサール・アッラーの戦闘員がレバノンへ派遣される可能性もある。
**********************************************