そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

2006年10月22日
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拙僧は、この二つのタイプに別れた仏教、
(1)お釈迦様の教えと禅 = 「覚り」の宗教
(2)浄土教系の阿弥陀仏信仰=「救い」の宗教
との間の差異の大きさを考えるとき、これを同じ仏教と考えることに
我が国仏教史の経緯を考慮に入れてもなお、疑問を感じざるを得なかった。

そしてこの本に長年拙僧が抱き続けていた疑問を解く鍵があるのではないかと思って読んだことを記しました。今日はまさにその鍵になった部分を紹介させていただきます。

そもそも浄土教は、死後極楽浄土へ行って仏になる往生成仏を説いています。一方、禅宗や密教では、現生成仏ということになっています。
拙僧もあの世で悟っても手遅れ、今このとき生命あるままで悟りたいと思っています。


浄土教徒が、自分たちの立場を「他力」といい、それに対して禅宗を「自力」といったのはそれはそれでよい。しかし、それを受けた禅者が、みずから禅を「自力」と称するのは、私は禅者の誤りであると思う。「自力」の宗教などというものが、あるはずはない。真の宗教は、どこかで自我を否定するものでなければならない。釈尊の仏教は、はっきり「自我否定」の教えであり、すなわちその基本においてきびしく「無我」を説くものであった。

そうなんだ。自分の力で悟れるなどと本気で思っている禅僧がいたら、おおいに怪しい。
「ただわが身をも心をも、放ち忘れて、仏の家に投げ入れて、仏のかたより行われて、これに従いもてゆくとき、力をも入れず、心をも費やさずして、生死を離れ仏となる。たれの人か心に滞るべき。」(『生死』より)
と、道元禅師は言われています。ただ、この仏を何か対象的実体的な「人の対向者」として考えてはならず、自己の心の中に発見(見性)されるべき仏なのです。「只管打坐」ただただ坐る。覚りの光が訪れるまで坐るのです。だからこそ、道元さんの禅は「覚り」の宗教と言えるのでしょう。

一方「救い」の宗教である浄土教は、
自己が煩悩具足の凡夫であるという認識から出発する。本来の仏教としての先のような「覚りの仏教」を否定はしないが、自分たちのような下根の凡夫は、とうていこの世では悟れないと諦めて、阿弥陀仏の、念仏すれば極楽浄土に迎え取るという本願に頼って、急ぎ浄土に往生して、そこで次生に仏と成るとする。
親鸞上人は、師である浄土宗開祖法然上人の思想をさらに発展させて、
阿弥陀仏に対する「信心」が決定するとき、次生を待たず、正定聚不退(事実上の成仏)の位に入ると、むしろ現世での「信」の決定に重点を置く。
「弥陀の誓願不思議に助けられて、念仏もうさんとする心の起こる時、弥陀の摂取不捨の利益にあづかる。」
こうなると、事実上の「現生成仏」と言ってよいのだと著者は考える。

道元さん、親鸞さん、自力、他力、どれほどの差があるというのか、ということです。

「<弥陀仏>というのは、<自然>の様を知らせん料なり」と言い切った。
密教で大日如来を、大宇宙に遍満する真理を仏の姿に仮に表した法身仏と考えるのと同じですね。

親鸞もここではっきり釈尊の「覚」の立場に帰った。ここで二人は「一仏乗」に帰入したのである。「一息に<超個の個>を自覚する」、ここに「仏教の原点」がある。
著者は、「自力」も「他力」もない。すべては「妙力」だ、といった。

本書のお蔭で、拙僧は、二つのタイプの宗教、「救い」の宗教と「覚り」の宗教。仏教の浄土教と禅宗、それを包含する総合仏教としての密教。すべてが同じ仏教「一仏乗」として矛盾なく感じられるようになりました。



故秋月龍みん教授に
合掌 観学院称徳





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最終更新日  2006年10月22日 22時34分42秒
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