森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.01.14
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以前、高校の先生が家庭内暴力の絶えない長男を、包丁で刺し殺すという事件がありました。
この事件は社会に衝撃を与え、そのルポは、「仮面の家」として単行本化されました。

私はこの事件は、「かくあるべし」でがんじがらめになった家族が陥った典型的な事件として注目してきました。

東京都精神医学総合研究所の斎藤先生は次のように分析されていました。
規範にとらわれすぎた家族が陥った絵にかいたような事件です。
普通の家族は、もっといい加減で、本音をむき出しにしたり、理想に燃えたりといったジクザグを繰り返しながらやっていくんですよ。

殺すという結論に飛躍がありますね。じゅん先生は、父親や教師の役割を全うすることと、自分が好きなように生きることを、バランスを取りながらやっていけない人なんですね。
また自分の女性性、いわゆる女らしさが嫌いだと思うと、抹消しないと気がすまない。
それが極端になると、いい子活かす子、悪い子殺す子という二者択一の考えに陥ってしまう。


長男は遊びとしてのセックスは可能なのですが、一対一の人間関係となると、できなくなる。
それは相手がどう自分を評価するかということが、ものすごく気になる。
失敗したら男として恥ずかしいといった緊張感が委縮させてしまう。普通はそんなに気にしなくていいんですが、泣いて「ごめん」と謝ったところが父親に似ていて、長男も外面的な男らしさにこだわり、しかも白か黒かの二者択一の思考方法に染まっていたんです。

どうしてそんな考えになってしまうのか。
親との関係での安心感、自分と一緒にいることを親が楽しんでいるという感覚、つまり親に愛されているという自信のある子は、親のネガティブな側面も受け入れることができるのです。
そうした安心感がない子は、親が自分に関心を示しているのは勉強ができたからだといった感覚だけが強くなり、それが二者択一の思考方法を生む母体になる。

そうゆう人は、いつも自分は有能で、役に立っていなきゃいけないと思いやすい。そうでなければだめだ、抹殺しなきゃいけなくなる。
自分に厳しすぎると、他者と普通の人間関係を結ぶことができなくなってしまうのです。
親が何を期待しているかを、いつも気にかけないといけないような育て方はかえって人間としての自立を困難にしてしまうのです。

完全主義、理想主義のつよい「かくあるべしは」物足りない、ふがいない自分や親や子へと刃を向けてそのギャップを埋めようとして誤った努力を続け破滅してゆくのです。
この親子は神経質性格を持ち合わせていれば、森田理論学習をすることによってその苦悩のメカニズムは理解できたと思われます。





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Last updated  2013.01.14 19:34:12
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
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