森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.08.12
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集談会では抑うつで苦しいという方はたくさんおられる。
大うつ病ほどではないが、慢性的なうつ状態が思春期前後から始まり現在に至るまで持続している。
生活はなんとか維持されているが、精神的には不安におびえて、一日中憂鬱である。
これは抑うつ神経症といわれるものだと思う。
これに関しては、アメリカの精神医学会のDSM-4-TRによると、気分変調性障害に分類されている。
その特徴は、
1、 憂うつな気分がほとんど1日中存在し、少なくとも2年間続いている。
憂うつな気分がない日があっても、憂うつな気分がある日のほうが多い。
2、 憂うつな気分の時には、次の3つ以上が存在すること。

・悲観主義、絶望、または希望のなさ
・全般的な興味または喜びの喪失
・社会的引きこもり
・慢性の倦怠感または疲労感
・罪悪感、過去のことをくよくよ考える
・イライラしているという主観的感覚、または過度の怒り
・低下した活動性、効率、または生産性
・集中力低下、記憶力低下、または決断困難に反映される思考困難

この気分変調性障害には抗うつ剤がある程度効くことは確かめられている。
これは気分変調性障害が内因性の原因によるものだということである。
ノルアドレナリンやセロトニン等の神経伝達物質のバランスの回復の結果、症状が改善するのでしょう。


それは適応障害の原因となっているストレス等が絡んでいるのではないかと思う。
脳の神経伝達物質というよりは、心理的、身体的ストレス等が抑うつ感を発生させているのだ。
気分変調性障害は心因性の原因が含まれているということである。

ストレス等が原因とすると、気分変調性障害は病気というよりも、環境や人間関係、本人の資質、性格等の影響が強いように思われる。
また、認識の誤りが強くて、物事を悲観的、ネガティブに受け止めてしまうその受け止め方を変えていかないと解決にはならないような気がする。


精神科医水島広子氏は、それでも気分変調性障害は病気であると言われる。
病気であると認めることが何よりも大切である。
認めないと症状を長引かせ、克服できないと言われる。
私はこの考え方は一理あると思う。
私は今まで、慢性うつは薬の効き目が少ないのであるから、病気という面は少ない。
本人の性格、資質の問題が大半であると思ってきた。
そう思うと、自分を責めてしまうのだ。苦しみを深めてしまうのだ。

水島氏の見解を聞いて認識の間違いがあることに気がついた。
病気のために物事を悲観的、ネガティブに受け止めてしまうのだ。
だから自分は気分変調性障害という病気になっていることをまずもって認めてしまう。
白旗をあげるのである。抑うつ状態におけるネガティブな行動は自分の責任ではなくなる。
病気のために引き起こされていたのだということが分かる。
自己否定する必要はなくなる。自分を責めない分落ち着いてくる。冷静になってくる。
会社の人にも、家族にも自分は気分変調性障害という病気になっていることを理解してもらう。
すると思いもかけない解決の糸口が見えてくるのである。

水島氏は病気であると認めることのメリットを次のように説明されている。
気分変調性障害の人は、あらゆることを「自分をいじめるような形で」捉えることが多い。
すべて「自分のせい」としてとらえています。
他人に対して不満を感じる時でさえ、「でもそんな事態を招いた私が悪い」
「これくらいのことを我慢できない私が悪い」というふうに捉えるのです。
ですから気分変調性障害が「病気のせい」なのか「本人の資質」のせいなのかを明確にすることは、ことのほか重要です。
苦しんでいるのは自業自得だと思う場合と、苦しい症状を呈する病気にかかっているにすぎないと思う場合では、症状の重さは同じであっても、受け取るストレスに大きな違いが生じます。

そのうえで症状を治すための「人間関係療法」について説明されている。
これについては明日以降説明してみたい。
(対人関係療法でなおす気分変調性障害 水島広子 創元社参照)





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Last updated  2015.08.13 06:51:59
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