森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.10.10
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子供の頃に身につけた「かくあるべし」は、大人になってもそのまま引きずっています。

サキさんのお父さんは、サキさんが少しでもヘマをすると、怒鳴ったりぶったり蹴ったりしていました。サキさんはいつもお父さんの顔色をうかがって身構えていなければなりませんでした。
いつ雷が落ちるか分からないので、行動、表情、口のきき方など、お父さんの前ではいつも細心の注意を払っていました。
でも、どんなに注意してもいきなり爆発が起きることがあるので、そういう時は下を向いて小さくなって、ひたすら謝るしかありませんでした。

そんなサキさんに子どもが生まれました。
その子どもにいきなりキレる母親になってしまいました。
子供だけではなく、ときどきご主人にもキレてしまいます。
あんなに嫌っていたお父さんの行動パターンと同じことをしていたのです。
大人になると力関係が逆転して、言いたい放題になっているのです。


会社でも問題を抱えていました。上司からパワハラを受けていたのです。
これはサキさんの言い分で、上司は上司で別の見方をしていました。
所内会議のとき、上司が「君はどう思う?」とサキさんに聞いても、彼女は下を向いて何も答えない。
チームで仕事をしている時は、みんなの顔色ばかりうかがっていて、自分から積極的に仕事に取り組む姿勢が見られない。言われたことをイヤイヤこなしているように見える。

サキさんは幼いころの父親との人間関係の中で、四六時中父親の意向を忖度しなければならない。父親の気に障るような行動、発言、表情は決して見せてはならないという「かくあるべし」を身に着けました。
その「かくあるべし」が大人になったあとも尾を引いていたのです。
子供や夫の場合は、父親とそっくりで突然キレてしまう。
上司との関係は、借りてきた猫のようになり、オドオドして自由にふるまうことができない。
どちらに転んでも問題です。本人は苦しくて仕方がない。

幼いころに確立した「かくあるべし」を捨て去ることはできないものでしょうか。

最近そのヒントをゲシュタルト心理学の中で見つけました。

自分の気持ち、感情、本音、欲求などが軽視されて問題を引き起こしている。
つまり「かくあるべし」と現実や現状が対立する構造になっている。
人間は観念と現実の狭間でのた打ち回っているというのです。

ファシリテーター(カウンセラーのこと)とクライエント(相談者)がワーク(カウンセリングのこと)という共同作業をしながら呪縛を取り除いていくことができるというのです。

その中で強調されていたことは、過去や未来、他人の言動、境遇や運命、自己嫌悪などに振り回されないで「今、ここ」に集中することが大切になると言われていました。


最近はマインドフルネス認知行動療法という言葉も聞かれるようになりました。
今後は森田理論と他の精神療法との融合も視野に入れていくほうがよいのではないかと考えています。
他の精神療法には、精神分析、交流分析、ゲシュタルト療法、行動療法、認知療法、論理療法、マインドフルネス、ACT、来談者中心療法、内観療法、家族療法、SST、アサーション、芸術療法、ポジティブ心理学などがあります。
森田理論と重なるところも多いですし、森田理論で取り上げていない部分もあります。
他の精神療法のよいところはどんどん取り入れて、新しい森田理論として発展させていくべきではないでしょうか。
(キレたくないのにキレてしまうあなたへ 岡田法悦 朝日新聞出版参照)





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Last updated  2023.10.10 09:51:55
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