連続テレビ小説で「ごちそうさん」をやっている。そもそも、「ごちそう」いう字は「ご馳走」とかくが、走り回ることを意味している。
昔はお客様の食事を用意するのに馬を走らせ、食材を集めたことから「馳走」が用いられるようになった。さらに、走り回って用意することから、もてなしの意味が含まれるようになった。これに「御」や「さま」がついたのは、感謝の意味で、江戸時代後半から、食後の挨拶語としてつかわれるようになったらしい。
その昔、江戸城で一日に扱った鯛の最高量は5000匹に達したこともあったそうだ。その量を確保するために、日本橋魚河岸の鯛屋敷は配下の魚問屋に命じて、各地から総動員したそうだ。魚だけではない。料理をするのだから、それ以外の食材も確保するのだ。そして、料理に腕をふるうのだ。
食材を作っている人、食材を捕る人、それを届ける人、料理する人、供する人など全ての人の手によって、食事をいただくことができるのだ。
食事をするときは、まず最初に「いただきます」。終わったら「ご馳走さま」というのは、全ての人への感謝の気持ちの表れである。
食器を下げるときに、何も残っていない食器を見ることで、調理する人は、喜びを感じることができるのだ。
どんな、料理にしても、必ず、その食材やそれをつくっていただいた人の想いが込められている。だからこそ、出されたものは最後まできちんと食べる。
「ご馳走さま」は、食事の後、すべてのもの、すべての人に心から最大の感謝の気持ちを表す言葉である。そして、その意味もきちんと伝えていきたいものだ。
そう言えば、小さい頃に「米の一粒も残したらいけない」と言われていたのを思い出した。