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2020年06月30日
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おはようございます、ひなこです。

8月22日
昨日の夜、ママがジョンに叫んでいて目が覚めた。電話で前に叫んでたのと丁度同じ。
で、奴は笑ってた。
あいつはずっと笑ってんのさ。で、ママは「お前、クソ野郎、私生児野郎!」って言って泣き続けてた。
あいつは笑い続けてた。
それからママは部屋から出て、バスルームに行った。
そこにずっといて、僕は何やってんだろうって不思議に思った。
それから結局、ジョンが寝室のドアを開けて、叫んだ。「おい!」すっごい大声で。家の中にいる他の人のことなんて気にしてないって感じで。

で、ママは黙ってバスルームから出て来た。廊下に戻って、ママがすすり泣いているのが聞こえた。
「中に入れ!」奴がそう言ってドアが閉められた。そして静かになった。
キャロルの部屋は廊下のもっと向こうだ。
キャロルにも聞こえたかな。

8月23日
キャロルはいつも寝てるみたいに見える。でもおかしい。いつ僕が彼女を見てるか知ってるみたいなんだ。
例えば、今日。僕は起きて窓に行った。彼女はうつぶせに寝っ転がってた。
でも僕が彼女を見始めるとすぐ、グルって向きを変えて仰向けになったんだ。
いつも寝てるみたいだけど、でも色んなことをやり始めるんだ。
足をがばっと広げたり、また閉じたりとかさ。
背中を伸ばしたり、曲げたりとか、ベッドの中で心地良い定位置が取れないみたいな感じで。


8月24日
キャロルと一緒に庭にいたけど、今は部屋に戻ってる。
台所にいる時彼女がやって来て、僕が一緒に芝の上に寝っ転がるようにしたんだ。
僕は、硬くなっているのがバレないように、うつぶせに寝た。
少しすると、僕はとてもリラックスしてきてそこで寝っ転がってるのが気に入った。

でも、それから猫の話を始めたんだ。
僕が猫が好きか、犬より猫の方がいいか、犬より猫の方が賢いと思うかとか。
それから、「猫飼ってたでしょ、前に」って言ったんだ。
そんな風に言ったんだよ。
「猫飼ってたでしょ、前に」って。
いいやって僕は答えた。猫なんて飼ったことないし、猫なんて欲しくないって。
そしたら「でも一匹飼ってたと思ったわ。あなたのお母さんがそう言ってたもの」って言った。
だから僕は、ああ、そうだった、忘れてたって答えた。
彼女は、どうやってそういうことを忘れられるんだって言った。
だから、飼ってるっていうほどのことじゃないんだ。だってもういないんだからって言った。
ずっと僕のことをじっと見てた。彼女の小さな丸眼鏡を通してさ。
全身、寒気がした。だからここに戻って来た。
彼女はまだ外。でも彼女を見る気になれない。

8月28日
ママとジョンは、最近よく出かける。
それはすごく良いことだ。
だって、そうすれば僕は芝の上にキャロルと一緒に寝っ転がれるし、2人でゲームができる。
身体中、どこでも触らせてくれるんだ。
とても軽く叩いてあげるんだ、彼女がそうされるのが好きだから。
時々、彼女はうつぶせになって背中をむらなく日に焼くために、ビキニのトップを外す。
僕が背中をなぜるのが好きなんだけど、何もじっくりとは触らせてくれない。
でも、時々、太ももの裏を触る。すごく上の方。僕がそうする度、彼女のおしりがぴくっとなる。無意識にそうなっちゃう感じ。
僕のナニは、すごく硬くなって痛くなる。
でも突然、彼女は遊びを止めちゃって、僕を押し返す。
そうなると、僕はどこにも触らせてもらえない。
あっちに行けって彼女は僕に言って、何かしたら、彼女のお父さんに言いつけるって言う。
そうしたら、家に戻るしかない。
彼女はいつも、僕が彼女の言うことに従って言われた通りにするのを見ると、微笑んでいる。

8月29日
エディーは、サマンサ・ケンダルとやったと思っている。でも僕は信じない。
どんなにすごかったか、どんな風にまたやるかをエディーは言い続けてる。
遊歩道の新聞販売店まで歩いて行った時、偶然会ったんだ。
どうしてもう僕の家に遊びに来ないんだって聞きたかったけど、結局何も言わなかった。
だって、もうエディーは変わっちゃったから。
サマンサ・ケンダルとやったって話はでっちあげだと思うけど。

続く。





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最終更新日  2020年06月30日 07時10分05秒
[サー・カズオ・イシグロ作品の翻訳] カテゴリの最新記事


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