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げんぱつミニえほん(1)核のゴミが捨てられる?! 原子炉等規制法 『改正』 に反対しよう! 1986年3月28日 発行1987年4月 3刷発行 核のゴミ野放し法案をつぶそう 3.28実行委員会【解説】高木仁三郎 西尾 漠え・しみずゆりこ 原発による発電量が、全発電設備の発電量の4分の1(関西電力は3分の1と宣伝している)を占めるいきおいです。そこで、≪原発は私たちのくらしに欠かせないもの≫と思われるようになりました。けれども、本当にそうなのでしょうか? 原発の発電量がふえているというのは、実はそれだけ、他の発電所を遊ばせていることです。 全発電設備の稼働率は、ここのところずっと50%にも達していない状況がつづいているのです。原発は、電力需要の変動にあわせて出力の調整ができず、いったん動かしたらフル出力で発電のしっ放し! 放射能のゴミも、もうれつないきおいでたまってきています。 原発を動かせば、いろいろな種類の放射能のゴミがかならず生まれます。放射能のゴミ‥と聞くと、すぐ頭に浮かぶドラム缶は、雑多なゴミをつめこんだものです。【低レベル】 などと呼ばれますが、それでもドラム缶の中には、数百人の人を殺せるだけの放射能が含まれているのです。各種の原子力施設をあわせると、そんなドラム缶がいま、日本全国に60万本もたまっています。 【高レベル】 と呼ばれるのは、死の灰を高濃度に含んだ廃液や、それをガラスなどでかためたもののことです。この 死の灰汁は超猛毒の上に、強く発熱する ため、いつも冷やしておかなくてはならない、やっかいなものです。 ふえつづける放射能のゴミを一時は、太平洋の海底に捨ててしまおう、という計画がありました。ひろい海の中なら、ドラム缶が破れて放射能がもれ出ても、うすまってしまうだろう、という乱暴な考えです。日本政府はこの計画をまだあきらめていませんが、太平洋の人びとの力強い反対で、実質的には実行不可能となっています。 そこで電力会社や政府は、ドラム缶を地下の浅いところに埋め捨ててしまおう と考えました。この埋め捨ては、いまの法律のもとではできないので、法律を変える必要があります。3月7日に国会に提出された 『原子炉等規制法の一部改正案』 がそれです。 この 『改正案』 の最大のねらいは、これまで捨てられず処分にこまっていた放射能のゴミを捨てられるようにする、しかも、きわめて無責任な形で捨ててしまおうというものです。 ≪廃棄物埋設の事業≫なるものを、あらたに法律にもりこみ、放射能のゴミの埋め捨てを認めています。そして、現在は電力会社が負っている 安全の確保と、事故のときの損害賠償の責任を廃棄業者にうつしてしまう。 さらに、高レベルの廃棄物(死の灰)についての廃棄事業をも可能にしている。これらが、法 『改正』 の大きなポイントです。電力会社は、自分の手を汚さずにゴミ捨てができ、原発の運転を心おきなく続行できるわけです。 ドラム缶を埋めたり、捨てたりする仕方にも、いろいろなやり方が考えられています。まず、【低レベル】 をさらに3段階にわけて、レベルの低いものから簡単に捨てられるようにしようというのです。 とくに問題になるのは、ある放射能レベルを決め、これを 【無拘束限界値】 として、その値より低いレベルのものは、放射能として扱わなくてもよいようにする ということです。寿命がつきた原発(廃炉)を解体すると、50万トン以上もの放射能のゴミが生まれますが、その多くを占めるコンクリートなどを、どこにでも捨てたり、あるいは再利用したりできるようにすることが考えられています。 【無拘束】 のものより、やや強い 【極低レベル】 のゴミは、ちょっとした溝をほって埋め捨てにされます。その処分地には、人が立ち入ってもよいとされ、原子力安全委員会のレポートには 「公園などに利用したらよい」 と、気味の悪いことまで、本当に書いてあるのです。それよりレベルの高いものは、コンクリートの施設に埋められますが、何十年かたって、放射能のレベルがさがったら、同じように処分地を使ってもよいということです。 けれども、放射能に 「これ以下なら安心」 というレベルなどありえません。それなのに、捨てる側の都合でしゃにむに決めてしまおうというのですから、危険きわまりない話です。 コンクリートなどで囲った施設に、ドラム缶を埋めて捨てる 核のゴミ捨て場 としてねらわれているのは、下北半島にある 青森県の六ヶ所村 です。ドラム缶を埋めて、はじめは 【貯蔵】 と呼び、放射能のレベルがある程度までさがったら、そのまま捨てたことにする‥という、なし崩しのゴミ捨て計画です。 1991年までに施設をつくり、日本各地の原発から毎年5万本、最終的には300万本ものドラム缶を運びこんで、埋め捨てる計画で、世界のどこにも、そんな例はありません。地下水を汚染して問題になり、閉鎖されたアメリカの核のゴミ捨て場のあやまちを、さらに大規模にくり返そうとしています。 六ヶ所村には他にも、原発の燃料となっている濃縮ウランをつくる工場や、原子炉で燃やしたあとの使用済み燃料をきりきざんで、あと始末をする再処理工場を建設する計画もあります。これらをひっくるめて、核燃料サイクル基地計画 と呼んでいます。 再処理工場には、使用済み燃料を水で冷やしながらためておくプールと、再処理のあとに残る 高レベル廃棄物 などを貯蔵する地下施設もつくられます。1990年代には、イギリスやフランスで再処理してもらっている、海外からの返還廃棄物 も、ここに送りこまれる計画です。まさに、あらゆる核のゴミを集中させる計画! 地元の人びとが猛反対をするのも当然です。核のゴミが捨てられる?!≪その2≫ へ つづきます。
2013年02月20日
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1986年3月28日 発行げんぱつミニえほん(1)核のゴミが捨てられる?!≪その1≫からの つづきです。< 高レベル廃液の発生源である再処理工場は、日本ではいま、茨城県の東海村にあるだけです。これは、動力炉・核燃料開発事業団という、国の機関が所有しているものです。事故つづきで、とまってばかりいますから、まだ、それほど大量の死の灰の廃液はたまっていません。といっても、その わずか200立方mほどの量でも、世界中の人を何回も殺せる ほどの、つよい毒性をもつのですが‥。 この廃液は、ホウケイ酸ガラスの粉末とまぜて、高温でとかし、ステンレス鋼の容器にかためこんで、冷却をつづけながら貯蔵する計画です。その貯蔵場としては、北海道の幌延町というところがねらわれています。 幌延町では、単に 高レベル廃棄物を貯蔵するだけでなく、最終的に捨ててしまうための試験もされることになっています。 貯蔵といっても、そのまま捨て場所とされてしまう おそれが濃厚です。また、【高レベル】 に限らず、東海再処理工場で発生する、さまざまな廃棄物も持ちこまれる計画です。酪農の町に、およそ、ふさわしくないこれらの計画に、周辺の市町村もふくめて反対の声が高まり、北海道知事も反対を表明しています。 この幌延町での計画や、六ヶ所村での海外から返ってくる廃棄物の貯蔵計画のあと押しをするのも、今回の 『改正案』 の大きなねらいのひとつです。 放射能のゴミを野放しにしてしまおうともいうべき 『改正案』 のもとにあるのは、自然界にだって放射能はあるのだから、少しくらい人工の放射能がふえても大丈夫だという甘い期待でしょう。けれども、自然放射能と人工放射能を同じように考えるのはまちがいです。 もちろん、自然放射能も決して無害ではありません。できるだけあびない方がよいのです。自然放射能に人工放射能が加われば、それだけ危険は大きくなりますが、実はそれ以上に、人工放射能に特有の危険がある ことが わかってきました。人工放射能の多くは、自然放射能にくらべて、生物の体の中にとりこまれて、濃縮する度合もはるかに高いのです。 原発でつくられる放射能の中には、長い寿命をもち、何百年もの間、猛毒性を発揮しつづけるものもあります。そうした放射能が環境に蓄積し、食物連鎖をへて、生物体内に濃縮していけばどうなるか? 【低レベル】 だからなどというまやかしは通用しません。 ドラム缶につめて、ためられている廃棄物よりも、もっと放射能レベルの低い気体や液体の廃棄物は、いまも毎日、原発などからたれ流しになっています。 【ごくごく低レベル】 のはずのそれらの放射能によって、原子力施設をかかえる地域では、環境の汚染が深刻なものになりつつあります。さらに、核のゴミが野放しにされてはたまりません。 何万年、何百万年以上もの間、毒の消えない放射能を環境に捨てていけば、それこそ、日本中が放射能まみれになります。この法案の成立をとめることができれば、六ヶ所村や幌延町、さらに周辺の人びとを苦しめている 核のゴミ捨て場計画にストップ がかけられのです。原発の周辺やら、奄美の離島やら、どこやらに捨てようと画策している動きをとめられるのです。 核のゴミ捨て場計画に心をいためながら、現地にはなかなか行けない遠隔の地の住民でも、計画をつぶす力になれるのです。署名運動やデモや集会を各地でもりあげ、周りの人に知らせ、反対の意思表示をつよくしていきましょう。 それでは、たまりつづける放射能のゴミをどうすればよいのか?と思われるかもしれません。まず第一に、これ以上の放射能をつくらないことです。それには、原発をとめるしかありません。その上で、今あるものについては、埋め捨てにしたりせずに、絶対に環境にもれないよう、目に見えるかたちで厳重に管理をつづけ、マイナスの 【遺産】 として、子孫にひきついでいくしかありません。 『改正案』 に示されているのは、まさにこれとは逆の考え方です。わたしたちの健康を守り、子や孫たちに、より明るい未来をひきついでいくためにも、何としてでも、原子炉等規制法 『改正案』 の成立をくいとめましょう。裏表紙より 世界中の人びとを恐れ、おののかせつづけるソ連のチェルノブイリ原子力発電所の大事故。事故は、核暴走という最悪の事態に発展しました。原子炉の制御がきかなくなり、炉心で大爆発が二回もおこって、まっ赤なウランのかたまりが花火のように飛び散ったのです。それとともに、大量の死の灰がいっきょに環境中にもれだしました。この事故は、史上、例をみない地球的規模の大汚染をもたらしました。 日本政府や電力会社は、「原子炉のタイプが違うから日本ではおこらない」 と言いますが、日本の原子力発電所で、同じような事故がおこらないという保証は何もありません。そのような大爆発という事態になれば、どんな閉じこめ技術も役に立たないのです。 ヨーロッパの広範囲の汚染状況から、もし、日本のどこかで同じような事故がおこったら、放射能は日本全土におよび、人と生態系に、壊滅的な影響をもたらすことは明らかです。反原発の声をつよめ、すべての原発を止めようではありませんか。 高木仁三郎 たいへん残念なことですが、原子炉等規制法の 『改正』 案は、1986年5月21日、会期終了まぎわの国会で成立してしまいました。チェルノブイリ原発事故の衝撃を受けて、よその国々では、脱原発が現実のものとなってきているというのに‥。 とはいえ、法案が成立したからといって、すぐに放射能のゴミが捨てられるというわけではありません。私たちは、太平洋の海底へのドラム缶の投棄を、法的な準備がすべて整えられてしまった上でなお、海に生きる人びとの力強いたたかいと、広範な世論によって事実上、断念させることができたではありませんか。 ≪核のゴミ野放し≫計画も、必ずや、断念させたいと思います。 西尾 漠 原発はいらないと思っている人が多ぜいいるのに、日本ではまだまだふやす計画です。大量の放射能が、この瞬間にもつくりつづけられ、捨てられようとしています。私たちひとりひとりが反対の声をだし、原発をとめていきましょう。 制作を思い立ってから発行まで約1か月。ごく一部の方への呼びかけでしたが、約50のグループ、個人が取扱い団体として、印刷原価で100冊以上を買いとって下さいました。おかげさまで発行後、1か月あまりで1万冊がなくなりました。心より御礼申しあげます。 しみずゆりこ核のゴミが捨てられる?!≪その1≫
2013年02月20日
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原発いらない ニコニコ かるた1988年12月 解 説 西尾 漠 原子力資料情報室さく・え しみずゆりこ発行 原子力資料情報室/宇宙はてない社 あおい空 きれいな海辺よ いつまでも 少しでもきれいな環境を、というのが私たちの願いです。 けれども、有害な化学物質に加えて、放射能の 汚染も深刻になってきています。 何十億年もの長い間、生命を はぐくんでくれた地球を もっと 大切にしたいですね。いらないよ! 原爆、原発 どちらもね 原爆と原発。 どちらも 放射能災害を引き起こし、多くの人命を奪い、非常に長い期間にわたって あらゆる生き物を苦しめるという点で 違いはありません。放射能をまきちらす 原発が、なぜ平和利用と 言えるのでしょう?運転を 始めたとたんに 突然変異 原発の煙突や排水口からは、放射能のゴミが 日常的に 捨てられています。そこで、原発の風下では、ムラサキツユクサの花びらや 雄しべの毛が 青紫から ピンクに変わる 突然変異が 増えることが、はっきりと 観測されています。選ぼうよ げんぱつ止める 議員さん 原発を止めるためには、選挙で 原発が争点となるようにし、原発に反対!という議員さんを当選させること、原発推進の人は 選ばないことが 必要です。 地方議会でも 国会でも、脱原発をすすめる議員さんを 増やしましょう。おそろしい 死の灰 とびだし ガンが 続出 1979年3月、アメリカの スリーマイル島原発で原子炉の水が なくなって 燃料が 溶け、原子炉の底に崩れ落ちる大事故がありました。 その後、周辺では 白血病や さまざまなガンなどで 亡くなる人が 増えています。核燃料、日本全国 つっ走る 原子力発電の燃料である 核燃料は、工場から日本中の原発へ、トラックや船で運ばれています。燃料をつくる前のウランも、外国から輸入されて、港から工場へと運ばれます。 もっと こわい使用済みの燃料も! もし 事故を起こしたら?と 考えると、ゾットしますね。今日も にこにこ おひさまと いっしょ 熱、光、風、波‥ 太陽のエネルギーを上手につかえば、つかっても尽きることがありません。そんな自然のエネルギーを活かして つかえるように、私たちの暮らしや 社会のあり方を、もう一度、考え直してみませんか。クリスマス、トナカイの鈴 かなしそう チェルノブイリ原発の事故で、北欧の先住民サミ(ラップ)の人たちの暮らす ラップランドは、強く 放射能で汚染されました。 伝統的に 共に生きてきた トナカイが汚染され、サミの人たちの 生活・文化は 崩壊の危機にあります。原発を つくれば もうかる 電力会社 原発をつくって お金がたくさんかかると、それに 利益を上乗せして値上げができる電気料金のカラクリ! でも、世界一高い料金を それ以上 高くもできず、そろそろ電力会社にとっても、原発はもうからなくなってきました。 こまったな、どこにも トイレが ないんだよ 原発を動かせば、必ず 放射能のゴミがでてきます。 そんな当り前のことを きちんと考えずに原子力の開発が すすめられてきたのですから驚きですね。 トイレのない 欠陥マンション≪原発≫は、今すぐに止めるべきです。原発いらない ニコニコ かるた ≪その2≫ へ つづきます
2013年01月28日
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1988年12月 発行原発いらない ニコニコ かるた≪その1≫ からの つづきです。 裁判で わたしたち みんなが 原告に! チェルノブイリの原発事故は、どこで暮らしていても、そこが≪現地≫だと、教えてくれました。青森の裁判に、東京の人が原告として 加わるようなことがはじまっています。 支援も≪自分の問題として≫ということですね。死の灰は 広島原爆の 1000倍! 原発は 原爆と違って、ゆっくりと核反応を起こさせます。 といっても、100万KW級の原発では、一日に広島原爆が三発爆発する位の反応があるのですから、一年 動かせば1000発分。 死の灰も それだけ生まれます。ストロンチウム、骨にたまって ガン起こす 放射能は その種類によって、体の特定の臓器などに ためこまれる性質を持つ場合があります。 たとえば、ストロンチウム90は半減期が29年。 骨にたまって 放射線を出しつづけ、骨ずいガンや 白血病の原因をつくります。セシウムは、遺伝子とおして 子や孫に セシウム137の半減期は 30年。 全身の筋肉にたまり、また、生殖腺に蓄積されます。本人がガンにかかるかもしれないというばかりでなく、遺伝子を傷つけて、子孫に病気を起こさせることもあり得ます。そろばんを はじけば わかる マイナス収支 原発は 石油に代わるエネルギーと宣伝されていますが、実は、発電所や燃料をつくるのにも、運転をし、その後始末をするのにも、膨大なエネルギーをつかいます。 かえって 石油の無駄づかいに なるかもしれませんね。大事故が 起きてからでは 遅すぎる 自分の身に、直接、火の粉が降りかかってくるまでは、ついつい たかをくくりたくなるものです。大事故なんて もう起きないんじゃないか、と。 でも原発を動かす限り、大事故は避けられません。その前に 止めなくては!チェルノブイリ、つぎは 日本か フランスか ソ連のチェルノブイリ原発で、原子炉が暴走する事故があったのは 1986年4月。 型がちがうから 日本では起きない、なんてとんでもない話です。 事故の起こり方はちがっても、日本で 暴走が起きない保障は ありません。つぎはぎと 応急手当てで 今日も運転 経済性を優先せざるを得なくなって、日本の原発は、とても 乱暴に 運転されています。事故が起きても 動かしたまま修理したり、定期検査は 手抜き‥と、いつか大事故が起きても おかしくない状態に不安が つのります。停電になるぞ、と おどかし 原発つくる 原発を止めたからといって、停電にはなりません。 それは、強引に 建設をすすめるための脅迫です。 実は、原発に 依存してしまう方が 大事故で何基も いっぺんに止まったりして、大停電を 呼び寄せるんですよ。東京で 使って ゴミは 下北に 東京をはじめとする大都市で 大量に消費される電気。 その電気を 原発でつくるとしたら、必ず、放射能のゴミが生まれます。 ゴミは下北半島の六ヶ所村に押しつければいいなんて、そんな身勝手が 許されるでしょうか? 放射能のゴミをつくる原発はいりません。原発いらない ニコニコ かるた ≪その3≫ へ つづきます
2013年01月26日
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1988年12月 発行原発いらない ニコニコ かるた≪その2≫ からの つづきです。 なぜ、つくる? 電気は余っているんだよ日本でつくられる電気の三分の一は原発から。でも、火力や 水力の発電所を もっと働かせれば原発でつくっている以上の電気をらくにつくれます。電気を いちばん たくさん使う時でも(1988年当時)原発なしで大丈夫なのに、なぜ?にげようと 走っていくと とおせんぼ! 原発の大事故に備える 防災対策。 でも、日本のそれは、パニックを避けるなどの名目で、 大量の被ばくをした≪住民を逃がさない≫ことを基本にしています。 これでは、助かるかもしれない人だって 助からなくなりますね。ぬけてるよ、つぎの時代を 見通す目 原子力に頼る割合が 多くなればなるほど、将来、より暮らしよい社会をつくり、そんな社会にふさわしい エネルギーを つくっていくことが困難になります。 そうなる前に 一日も早く脱原発の方向へ 舵を切りかえしましょう。ねる前に 今夜の無事を 祈ります 毎週一回は 原発事故の報道がある 今日このごろ。 その時は何ごともなくおさまっても安心できません。 小さな事故が 重なった時、大事故につながるのですから‥ 大事故は夜に多いようです。 無事を祈らずに いられません。濃縮し、びっくりするほど たまってく 体にたまる性質をもつ放射能を、どんどん取り込むと、排泄される以上に たまって、放射能が濃縮されます。 この濃縮が食物連鎖の中でくり返されたら‥ 人間が食べる時には かなり高い汚染物になっていきます。廃炉から 出るゴミ なんと60万トン 寿命が尽きた原発は、その全体が巨大な放射能のゴミとなります。 100万KW級の原発では、およそ60万トン。 これを、あるレベル以下は 放射能扱いしないことにして、簡単に捨ててしまおうとする動きがあります。被ばく基準 ゆるめて 人間 つかい捨て 原発は、下請労働者の被ばくなしには動かせません。放射能のおそろしさが これまで以上に 明らかになってきたのに、被ばくの規制を いっそうゆるくして、労働者を つかい捨てにする 法令の改悪が行なわれてしまいました。プルトニウム 耳かき一ぱいで 数万人! 原発を運転すると、必ず つくられるプルトニウムはたった1gで 40億人分以上の人の≪許容量≫にあたる 猛毒の物質です。 100万KW級の原発を 一年間 動かして、170kgつくられるとすると、何百兆人分の許容量?平和利用が 原爆つくる かくれみの 『平和利用』の 原発の燃料を つくるためのウラン濃縮で、ウラン原爆もつくれます。燃料を燃やすと、必ず 生じてしまう プルトニウムはプルトニウム原爆の原料。 原発を増やせば核兵器への抜け道も それだけ広がります。放射能、あびれば 必ず 影響が 放射能の影響のうち、発ガンや遺伝障害のようなある確立で発生する障害には、これ以下なら安全という≪しきい値≫がありません。どんなに微量でも放射能を浴びれば、それだけ障害が発生する確率も高くなります。原発いらない ニコニコ かるた ≪その4≫ へ つづきます
2013年01月25日
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1988年12月 発行 原発いらない ニコニコ かるた ≪その3≫ からの つづきです。まいったな、せまい日本に 原発びっしり せまい日本に いまや40基(1988年当時)に近い原発が動いています。 面積当たりにすれば、世界一の原発大国である アメリカの 10倍の密度と言ってよいでしょう。大事故が起きたらそれだけ被害も大きくなるということです。みんなの力で とめよう! げんぱつ 原発をつくりすぎて、いまや電力会社ももて余し気味。これ以上は増やしたくないのが本音のようです。でも、自分からは 『やめる』と 言えないのですから、やっぱり 私たちみんなの力でとめるしかありませんね。むだづかい 水の山ごえ ジャピック計画 原発の余った電気をつかって、川の水を汲み揚げて、新潟から ≪水不足≫ の 関東へ送ろうとの計画が、JAPIC(日本プロジェクト産業協議会)によって、つくられました。 水と電気は東京へ、放射能は地元に‥という計画です。目に見えず におわず こっそり 忍び込む 放射能は目に見えません。 においもしません。大量に放射線を浴びると、金属の味がしたりするとも言われますが、ふつうは五感に感じないのがかえって怖いですね。 食べ物に入っていても、わからないのですから。もれるのが わかっているのに なぜ、すてる? 放射能のゴミを 地下に埋め捨てにする計画がすすめられています。 北海道の幌延町にも、高レベルのゴミを 貯蔵する計画があり、それ自体が 大変に危険なことですが、さらに将来は、地下深く埋め捨てにしようというのです。やめさせた地点も 日本に たくさんあるよ 電力会社によって、原発建設の計画が立てられながら、これにストップをかけた所、計画をくい止めている所も、たくさんあります。新しい地点につくられる 建設計画は、どこも、反対運動で立ち往生しているのが実状です。輸入食品 くすりづけに加えて 放射能 輸入食品には、農薬や添加物などの問題がありましたが、チェルノブイリ事故によって、放射能の汚染が、これに加わりました。さらには放射線照射食品と、危険な食品が、安易に輸入されることに、無関心ではいられません。 ヨウ素は まっすぐ 甲状腺 甲状腺は、ヨウ素を必要とするものですから、放射性のヨウ素でも、これを取り込んでしまいます。原発事故で、大量に漏れ出す放射性のヨウ素が、甲状腺にため込まれると、子どもの成長障害を起こしたり、甲状腺ガンを発病させたりする原因となります。原発いらない ニコニコ かるた ≪その5≫ へ つづきます
2013年01月20日
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1988年12月発行 原発いらない にこにこかるた≪その4≫ からの つづきです。ランドセル せおう子の肩に 核のゴミ放射能のゴミは、私たちの後の世代へと引きつがれていかざるをえません。煮ても焼いてもなくなってはくれないのですから‥ 原発を 日々動かし、放射能のゴミを 生み出すのはまさに≪子孫に対する犯罪≫ですね。利用率 原子力だけ グンと上げ! 原発の設備利用率は、最近(1988年当時)では75パーセントを超えています。 一方、原発以外の発電所の利用率は 40パーセントそこそこ‥ 原発を 優先的に動かすおかげで、火力や 水力発電所は、電気をつくらせてもらえずに遊んでいるわけです。 おかしなことですね。るす番の 家族に むりじい ハン押さす 原発が つくられてしまった背景には、本人のいない留守に家族をだまして、土地を売る書類に ハンをおさせたり、観光用などとウソを言って、土地を買収してきたりという、電力会社の 汚ない やり口があります。 冷却水、もれて 空だき メルトダウン 原発事故の中で、最もこわいとされているのは原子炉を冷やす水が漏れて、炉が空だきとなる事故です。 この事故が起こると、燃料が溶け、原子炉も溶けて、チャイナ・シンドロームとも呼ばれる メルトダウンにつながります。六ヶ所と 三沢基地とは 目と鼻の先 ウラン濃縮、廃棄物貯蔵、再処理という核燃料サイクル施設の 集中計画がすすむ青森県六ヶ所村は、すぐそばに 三沢基地があり、米軍機や自衛隊機が ひんぱんに飛んでいます。墜落・炎上でもすれば、大惨事は免れません。わるあがき 推進キャンペーン 金まかせ 脱原発の運動の高まりに焦った電力会社や政府は、金まかせのPRに必死です。 その中味たるや、まったくお粗末なもの。 もはや、それらをそのまま 鵜呑みにする人が少ないのは、世論調査などによっても 明らかです。再処理を すれば 一層 地球をよごす 原発で燃やしたあとの燃料を、ばらばらにして強い酸で溶かし、プルトニウムと燃え残りのウランと、死の灰とに わけて 取り出すのが、再処理です。 大惨事の危険を抱え、日常的な放射能放出も、原発を ずっと上回ります。ウラン採掘 被ばくで苦しむ 先住民 原発の燃料に使うウランは、カナダ、アメリカ、アフリカ、オーストラリアなどで、先住民の土地から、先住民の大量被ばくという犠牲の上に、掘りだされています。 私たちは、すでに≪核の加害者≫と なっているのです。生きものと 放射能とは 共存せず 自然放射能によっても、多くの障害が発生しています。 これに、人工放射能を加えるのは、とても乱暴な考えです。 人工放射能には、生きものの体内で 濃縮されるものが 多く、微量ならよいという言いわけは通りません。脱原発 国会うごかし 実現させよう! 国会を動かし、『脱原発法』 を 制定させて、原発を止めよう――という 運動がスタートしました。脱原発が ゴールではなく、そこから 本当に望ましい暮らしや、社会のあり方、エネルギーのつくり方などに 向かっていくのです。≪裏表紙より≫ ■ 故 高木仁三郎さんの呼びかけ(1988年当時)です。脱原発法で 原発をとめよう!高木 仁三郎新聞の世論調査でも、今や原発はいらない、という声が急増しています。 今こそ、私たちの 『原発はいらない』という気持を、脱原発という現実の形にかえる運動と手段が必要です。 それが ≪脱原発法≫ です。 ≪脱原発法≫ 制定の運動は、私たちの手で 『新しい原発計画も、今ある原発も すべて廃止する』 という趣旨の法案を国会に提起し、成立させようというものです。私たちは誰でも、請願権をもっています。これを行使して国会に働きかけ、脱原発法を議員立法させるのです。しかし、そのためには何千万という人の声を国会に集める必要があります。あなたが 原発をとめる!!この一月から、そのための全国的な署名運動を行ないます。ぜひ、あなたも身のまわりで署名を集めて下さい。 そんな、ひとりひとりの努力がつみ重なり、国会へ こだますれば、原発を とめることができます。 この運動に協力してくれる人、詳しいことを知りたい人は、原子力資料情報室に連絡を! 【原発いらない ニコニコ かるた】≪その1≫ あ行、か行 ≪その2≫ さ行、た行 ≪その3≫ な行、は行 ≪その4≫ ま行、や行 ≪その5≫ わ行、わをんこちら と こちら と こちら と こちら と こちら とでも 一部が ご覧いただけます。
2013年01月14日
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<子どもたちに放射能はいらないげんぱつのえほん(4)こんな原発! とめたいね1988年7月 発行えとぶん しみずゆりこウラン採掘のときから、すでに始まる放射能汚染 原発の燃料になるウランは、カナダやアメリカ、オーストラリアや南アフリカなどで採掘されます。これらの地域には、白人に追いやられたインディアンやアボリジニ、アパルトヘイトなどで差別されている人たちが住んでいます。人種的な差別に加えて、放射能の害については知らされないまま、鉱夫として働かされています。 掘りだされたウランは核崩壊し、ラドンガスなどとなり、環境を汚染します。放射能をおびた鉱さいの山がいくつもでき、それで家をつくったり、子どもたちが遊んだりし、肺ガンや白血病、流産、死産などに苦しんでいます。大気や、農作物や、飲み水までもが汚染され、人々は採掘の中止を強く訴えています。 原爆をつくる過程でうみだされた濃縮の技術 掘りだされたウラン鉱石は、工場で精錬されます。これが天然ウランと呼ばれるものです。天然ウランには、燃えるウラン235が0.7%しか含まれていません。残りは、燃えないウラン238です。日本の原発では、ウラン235の割合を約3%にした濃縮ウランを使っています。ウラン235を100%近くにまで濃縮したものが原爆です。 日本は濃縮ウランを輸入していますが、このほど岡山県の人形峠で濃縮工場が運転を始めました。二期工事が完成すれば、一年に何十発分かの原爆をつくる能力をもつことになります。世界的に濃縮ウランは余っていますが、下北半島の六ヶ所村には、毎年、数百発分もの原爆をつくる能力をもつ濃縮工場を建設する計画もあります。 核分裂のときに発生する熱を使って電気をおこす ウラン235に中性子をひとつぶつけると、ふたつの原子核にわれて2~3個の中性子がとびだします。原子炉では、このうちのひとつの中性子だけを別なウラン235にぶつけるようにしながら、連鎖反応的に核分裂をくり返していきます。このときに生じる熱で蒸気を発生させ、タービンをまわし、電気をおこすのが原発です。 日本では、ガス冷却炉である東海第一原発をのぞいて、アメリカで開発された軽水炉を用いています。軽水炉には、沸騰水型(BWR)と、加圧水型(PWR)とがあり、どちらも冷却材と減速材に軽水(ふつうの水)を使います。減速材とは、効率よく核分裂がくり返されるように中性子のスピードをおとす役割をするものです。 原発を運転すれば、かならず、できる放射能 ウラン235が核分裂すろと、かならず同量の死の灰ができます。死の灰とは、たとえばセシウム137、ストロンチウム90など、核分裂によってできる放射性物質の総称です。100万KWの原発一基を一年間、運転させるには、約30トンのウランが必要です。このうち、ウラン235は約1トンですから、死の灰も約1トンつくられます。これは、広島原爆によってつくりだされた1000発分の死の灰です。 原子炉のなかで、燃えないウラン238は中性子をひとつ吸収して、プルトニウム239に変化します。100万KWの原発一基が一年間で、約200kgのプルトニウムをつくりだします。これは、長崎におとされたプルトニウム原爆の20~30発分のプルトニウムです。 たとえ、わずかでも障害をおよぼす放射線 放射能というのは、放射線をだす能力または物質のことです。主な放射線には、アルファ線、ベータ線、ガンマ線があります。 アルファ線は、紙一枚でさえぎることができますが、ごく近い部分を強く照射します。アルファ線をだすプルトニウムの場合、ごくわずかでも肺に入ると、周辺の細胞を照射し、破壊し、肺ガンをひきおこすことがあります。 ベータ線は、板や金属などで止まります。原子炉でつくられる死の灰の多くは、ベータ線をだします。 ガンマ線は、ぶ厚いコンクリートや鉛などでようやく止まります。たとえ、わずかでも、放射能が体内に入ったり、放射線が体を突きぬけたりしたときには、必ず、人体を傷つけ、何らかの障害をもたらします。<気が遠くなるほど、寿命の長い放射能 放射能は、時間がたつにつれて減っていきます。半分になる期間を、半減期といいます。ヨウ素131の半減期は8日です。16日たつとゼロになるのではなく、初めの4分の1、24日で8分の1、32日で16分の1‥‥となり、半減期の10倍の80日たつと、初めの約1000分の1まで下がります。 半減期の長いものも多いため、死の灰は、最低500~1000年間は、外にもれないように厳重な管理が必要です。 こんな原発!とめたいね ≪その2≫ へ つづく
2013年01月13日
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≪その1≫ からの つづきです。自然放射能より、危険が大きい人工放射能 日本人は、一年間に平均100ミリレムの自然放射線をあびています。そのために、毎年2000人位がガンで倒れていると推定されています。地球が誕生したころは、あらゆるものが強い放射能をおびていました。時間がたつにつれて放射能のレベルもさがったところで、生物が発生し、今の私たちが存在しています。 生物は、長い進化の過程で、放射能を体内にとりこんだり、蓄積したりしないよう適応する力をつけてきました。けれども人工的につくられた放射能には、対応する仕方がわからず、天然にある栄養物などと同じように、無防備にとりこんでしまいます。体内に入った人工放射能は、排泄されにくく、蓄積されるものが多く、長期にわたって影響を及ぼします。 生態系の中で、びっくりするほど濃縮する放射能 放射能がごく微量でも、生物体内では何十万倍、何百万倍にも濃縮されることがあります。生物が栄養物といっしょに、くり返し取りこむ一方で、排泄されない放射能を、体内に蓄積させていくためです。放射能は、成長期にあるものにほど早く、大量にとりこまれます。動物だったら、胎児や成長期の子どもたち、卵などに集ります。また、授乳中の場合には、母乳にも集中します。 植物は、若芽や果実、球根などに放射能を集めます。これらは、おいしい部分でもあり、鳥や小さな動物たちが食べ、それをより大きな動物たちが食べ、それをまた人間がたべるときには、放射能がびっくりするほど高いレベルに濃縮されていくことがあります。 事故のとき、まっ先に とびだすヨウ素131 原発の事故で大量に放出され、深刻な被害をひきおこす放射能に、ヨウ素131と、セシウム137、ストロンチウム90とがあります。 天然のヨウ素は、生物にとって、なくてはならない重要な栄養素です。生物は、放射性ヨウ素と天然のヨウ素とを区別することができず、体内にいち早くとりこみ、甲状腺に集中させ、ガンや甲状腺障害をひきおこします。甲状腺の小さい乳幼児は、おとなと同じだけの放射性ヨウ素をとりこんでも。5~10倍も強く影響をうけます。 チェルノブイリ原発の事故のあと、ヨーロッパの子どもたちはヨウ素剤をのまされました。甲状腺をヨウ素で飽和状態にしておけば、あとから入ってくる放射性のヨウ素をとりこむ量がへるのではないかというためですが、その効果については疑問視されています。まだまだ続く セシウムやストロンチウムの汚染 チェルノブイリの事故によるヨウ素の汚染は、今は、ほとんど無視できる量にへりました。半減期の長いセシウム137と、ストロンチウム90は、環境の汚染も体内の蓄積も、まだまだ深刻になるばかりです。 セシウムは全身の筋肉をかけめぐります。卵巣などの生殖腺にも蓄積され、遺伝障害をひきおこします。ストロンチウムはカルシウムと性質がよく似ているため、骨に集ります。成長期の子どもほど蓄積される量も多く、強い影響をうけ、白血病や骨髄ガンなどになります。 核実験のたびに、赤ん坊の骨の中のストロンチウム90の量は確実にぐえつづけて、上の表のように、大がかりな核実験の五年後には、5~9才男子のガン死亡率が急増しています。晩発性障害には、これ以下なら安全という値はない 放射線を大量にあびて、数時間から数日間でおこる障害を急性障害といい、やけどや皮膚炎、吐き気やめまい、脱毛、脱力感、白血球減少などがあります。被曝してから症状がでるまで、かなりの時間がかかるものを晩発性障害といい、ガンや遺伝障害、加齢現象などがあります。 ガンは被曝して、数年から数十年たって、突然、あらわれます。乳幼児で被曝したら、おとなになったころ発ガンするわけですが、そのころには原因不明になっていることでしょう。 急性障害は、ある被曝量以下なら症状があらわれないという【しきい値】がありますが、晩発性障害にはありません。たとえ、微量でも、その量に比例した確立で、ガンや遺伝障害がおこります。 機械では全く測定できない 体内からの被曝 原発からは平常運転のときにも、排気塔や排水口から放射能が少しずつもれています。政府や電力会社は、モニタリングポストで測定できない位の量だから安全だと宣伝しています。 けれども、生物は呼吸や食べものを通して、放射能を体内にとりこみます。体の中で、至近距離から強く照射されつづける被曝量を測定することはできません。体内被曝は、まるで爆弾を体の中にとりつけられているようなもので、とても危険なのですが‥ 原発の中では、事故や故障、定期検査などのたびごとに、多くの労働者が被曝していますが、ポケット線量計で測定できるのも、体外被曝だけで、体内被曝については、ほとんど考慮されていません。 猛毒なプルトニウムを200回も空輸する計画が‥ 原子炉から取りだされた使用済みの燃料をきざんで、酸の溶液にとかして、燃え残りのウラン235と、プルトニウムとと死の灰とによりわける所が再処理工場です。原発が環境に放出している一年分の放射能を、再処理工場ではたった一日で放出してしまうほど、汚染のひどい工場です。臨界事故や、使用済み燃料貯蔵プールの冷却水喪失事故、化学爆発などの危険もあります。 日本の使用済み燃料の大部分は、フランスとイギリスの再処理工場に送り込まれています。そこで取りだされたプルトニウムや廃棄物をひきとらなければならない契約になっているため、2000年までに、一回、約250kgのプルトニウムを、200回にわたって空輸する計画がたてられています。 耳かき一杯で、数万人を殺せるプルトニウム プルトニウムを燃料として使おうという計画があります。新型転換炉≪ふげん≫では、ウランにプルトニウムをまぜて燃やします。高速増殖炉≪もんじゅ≫も住民の反対を押しきって建設中です。 けれども、たった1gで数万人を殺したり、肺ガンや骨肉腫にしたりできるほど毒性の強いプルトニウムを燃やすのですから、危険も大きく、汚染もひどいものです。プルトニウムの半減期は実に2万4000年です。ソフトボールほどの大きさで10kg位あり、この大きさにすると爆発します。プルトニウムさえあれば、簡単に原爆をつくることができるため、核ジャックなどを防ぐために、警察力や国民の管理も強められ、核武装への道にも直結するものです。 こんな原発!とめたいね ≪その3≫ へ つづく
2013年01月10日
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≪その2≫ からの つづきです。核のゴミ捨て場にされようとしている下北半島 青森県下北半島の六ヶ所村に、核燃料サイクル基地というものが計画されています。ウラン濃縮工場と再処理工場、放射性廃棄物処分場の三つの施設をつくる計画です。けれども、本当のねらいは、核のゴミ捨て場の確保にあります。イギリスやフランスから返ってくる高レベルの廃棄物や、日本全国の原発からの使用済み燃料3000トン、低レベルのドラム缶100万本‥などの一大処分施設です。 周辺には、アメリカ軍の三沢基地や自衛隊の軍事施設も多く、計画が実現されると、住民は放射能による汚染はもちろん、軍事攻撃の標的となったり、軍用機などの墜落事故、プルトニウム空輸や、核物質の集中輸送にともなう恐怖などにもおびえることになります。 死の灰汁――だれが、どうやって管理するのか? 原発一基、一年分の使用済み燃料は、何百億人分もの致死量の放射能を含み、約20立方mもの廃液になります。寿命の長いものも多く、何万年、何百万年も毒性をもちつづけます。その間、だれが、どうやって管理しつづけるのでしょうか? 東海再処理工場には、1988年3月末現在、約320立方mもの廃液がたまっています。 政府と電力会社は、高レベルの廃棄物をガラス固化して、北海道の幌延の地下に埋める計画で、貯蔵施設の名目で建設を強行しようとしています。ガラス固化しても、中身は高熱を発しつづけているため、容器は腐蝕しやすく、放射能がもれだすおそれがあります。周辺は酪農が盛んな地域で、人々は猛反対しています。 廃炉を解体撤去したあとのゴミをどうするのか? 老朽化して使えなくなった原子炉を廃炉といいます。政府や電力会社は、廃炉を解体撤去する方針です。まず、原子炉内や周辺を、遠隔操作により水中で切りきざんで撤去し、そのあと全体を輪切りやたて切りにしたりして解体します。その後にできる膨大なゴミはどうするのでしょうか? 100万KW級の原発一基は、60~70万トンのゴミになります。長い年月、放射線をあびて強い放射線をおびていますが、政府はこれらのゴミの大部分を、一般産業廃棄物と同じように捨てるか、再利用していく。その他のものも、地中に埋め、一定の管理期間をすぎれば放置していく方針です。 『ミニえほん(1)核のゴミが捨てられる!? 』参照労働者もボロ切れのように、使い捨て 原発で働いた人たちの中には、病院の診察ではどこも悪くはないのに、朝おきられない・無気力や倦怠感に悩まされている・腎ぞうや肝ぞうの調子が悪い‥など、全身の機能が衰弱している人が多くいます。ガンや白血病で苦しんだり、死んだりしている人もいます。 汚染のひどい所で作業させられるのは、身分保障のない下請労働者たちです。廃炉を解体撤去する作業では、労働者が大量の被曝をします。現在の被曝基準を守っていたのでは経費がかかるため、基準が大幅に緩和されようとしています。広島や長崎で被爆した人たちのその後の症状から、当初の予想より放射線の危険が大きいことがわかり、きびしく見直ししていく時なのに‥です。 あわや、メルトダウンのスリーマイル島原発の事故 原子炉の中では、毎秒10トン以上もの水を循環させて、燃料棒を冷やしています。この冷却水がもれると、冷却材喪失事故、いわゆる空だき事故になります。 1979年、アメリカのスリーマイル島原発で、この事故がおこりました。日本にもある加圧水型の軽水炉で、二次系の水が全部止まったため、原子炉の温度と圧力とが異常に高くなり、燃料棒が破損し、少なくとも、20%以上がドロドロに溶けていたことが、何年もあとになってわかりました。本格的な炉心溶融(メルトダウン)にはなりませんでしたが、大量の放射能もれがおこり、住民は正確な情報も得られず被爆し、事故のあと、風下地域ではガンや死産・流産がふえ、一家族で三人もガン死した例もあります。 おこらないはずの事故がおこった チェルノブイリ チェルノブイリ原発は、出力の調整に失敗した核暴走の事故でした。不安定な低出力での試験中、中性子が異常に増加し、わずか3秒位の間に、通常の100倍もの出力にあがって爆発がおこり、その2~3秒後には、二回目の大爆発をおこしました。 事故の直後、マスコミは、チェルノブイリ原発には格納容器がなかったと報道しました。実は、格納容器にあたるものはちゃんとあったのです。本格的な核暴走の事故では、格納容器も何もかも吹っとんでしまうことが証明されたわけです。しかし、もっと大きな事故もあり得ます。それなのに、核暴走事故は絶対におこらないという前提で、安全審査や原子炉の設計はおこなわれているのです。 いちばん被害をうけるのは、赤ん坊や子どもたち チェルノブイリ原発の事故で放出された放射能は、風にのって北欧にまで達し、そのあと南下して、アルプス周辺のオーストリアや、南ドイツ、北イタリア、さらにトルコなどに及び、雨といっしょに降下し、各地に強い汚染地帯(ホットスポット)をつくりました。 トルコのある小さな町では、事故から7か月後の1986年11月には、無脳症児の出産が10件もありました。事故直後に、妊娠初期だった人たちです。多くの国で子どもが牛乳をのむことが禁止されたり、外で遊べなくなりました。西ドイツでも、心臓疾患やダウン症候群の赤ちゃんが多くうまれたり、家畜の出産異常や奇形・死産の増加が報告されています。ポーランドでの出生率も激減しました。 放射能の汚染で危機にあるサミ人の生活文化 チェルノブイリから1800kmも離れた、北欧のラップランドも強く汚染されました。ラップランドは夏の間、わずか10cm位の表面がとけて、地衣類がはえるだけです。降りそそいだセシウムは地表に留まるため、地衣類にたっぷり含まれます。それを食べるトナカイの汚染は深刻です。 スウェーデンでは、事故のあった年、何万頭ものトナカイが射殺され、ミンクのエサにされたり、廃棄されたりしました。その後もトナカイの汚染はすすんでいます。事故から二年過ぎて、トナカイの肉を食べている人の体から、5~10万ベクレルものセシウムが検出されました。食物連鎖を通して、今後、どれだけの放射能が生体内に蓄積されていくか、全く予測できません。 チェルノブイリの放射能 ― 日本では? 放射能は事故から一週間後、8000km離れた日本にもやってきました。全国の雨水から数千ピコキュリー、千葉県では最高1万3300ピコキュリーが検出されました。五月連休中、雨にぬれて大丈夫だろうかと心配されました。放射能まじりの雨水を吸って、野さいや牧草などがスクスク育ちました。初めのころの放射能は表面に付着したものでした。それが過ぎると、土の中にしみこんだ放射能が、生体内に吸収されていきました。 このころの放射能に関して言えば、より安全な自然なものを選んで食べていた人ほど、放射能を体内に多くとりこんでしまいました。ハウス野菜より路地野菜が、市販乳より牧草をたっぷり食べた牛乳の方が汚染されていたからです。 こんな原発!とめたいね ≪その4≫ へ つづく
2013年01月04日
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≪その3≫ からの つづきです。市販品から 基準をこえる放射能が検出されています。370ベクレルという制限値そのものが たいへん高い値です。市販品の中に制限値をこえる放射能が‥ 日本では、汚染食品の輸入制限値が、セシウムについて、370ベクレル/kgです。これは約1万ピコキュリーという非常に高い値です。検査されるのはごくわずかで、全体の重量からいうと0.1%にもならないと言われます。その上、あわせて1kgのぬきとり検査で、汚染のひどい部分も見落とされがちです。輸入許可になった市販品から制限値の二倍以上のセシウムが検出された例もあります。 制限値をこえて送り返されたものは、香辛料やお茶などがほとんどです。子どもや若い女性が好んで食べるイタリア産のスパゲティやマカロニは、確実に30~80ベクレル/kg位も汚染されています。若い人たちが一度に大量に食べるものだけに、影響が心配です。 (原子力資料情報室発行 『食卓にあがった死の灰』 参考) 日本では、大事故がおこっても にげる所はありません。原発の周辺で 交通規制されますが、被ばくした人がちらばらないように、隔離・収容する目的もあります。日本で大事故がおこっても、なす術はなし 原発は100%に近い出力で運転するように設計されていて、出力を変えたり、停止したりする場合は、数日~1週間位かけて調整してきました。けれども、原発をつくりすぎて、週末や夜間に電力が余ってしまうため、短時間で、出力を50%位も上下させようという危険な出力調整運転が、日本で、もうしばしばされています。 また各地で、大事故につながりかねないヒヤッとさせられる事故がひんぱんにおきています。原発のある県では、保健所にヨード剤が配置されています。政府の事故対策としては、8~10km地点で通行制限をして、被ばくした住民が周辺に散らばらないようにチェックする位で、大事故はおこらないことが前提となっています。 世界は 脱原発へとむかっていますが、日本と フランスだけが 原発推進のコースを ひた走っています。大事故のゴールへつく前に、別なコースに向かいたいですね。大事故の前に 脱原発のコースへ向かおう! チェルノブイリの事故のあと、世界は脱原発へと向かっていますが、日本とフランスだけが推進のコースをひた走っています。チェルノブイリ、あるいはそれを上まわる大事故のゴールへ、どちらが先に到着するか? その前に何とか脱原発のコースに向かいましょう。 【主な国の動き】 アメリカ‥1979年以降、新規原発の発注はゼロ。 オーストリア‥ただ一基あった原発を運転しないで解体。 スウェーデン‥2010年までに運転中の12基を廃棄していく方針だったのを、さらに繰りあげを検討。 イタリア‥国民投票で反原発派が圧勝、政府も計画の凍結を発表。 ユーゴスラビア‥2000年までの建設を禁止。 フィンランド‥五基目の計画を1990まで延期。 デンマーク‥隣接するスウェ―デンや東ドイツの原発に対して運転停止の要求を国会で決議。 西ドイツ‥自由民主党が原発推進から慎重論に変化‥等々。 すべての原発をとめても、電気は こんなに あまりますね。シッ~ ないしょだよ!すべての原発を今すぐ止めても電気は十分足りる 一年のうち、電力需要の最大ピークは8月で、1987年の実績では約1億1000万KWです。このとき、全体の発電能力は約1億5000万KWで、約4000万KWが余っていました。原発での発電量は約2500万KWでしたから、すべての原発を止めても1500万KW位も余ります。しかも、このピークはたった数日間だけで、節電のキャンペーンは全くされていません。 電力会社は、私たちが使っている電気の4分の1~3分の1は原子力によるものだと宣伝しています。けれども、原発の設備利用率70%に対して、水力は20%、火力は35%でしかありません。原発は全部の発電施設の17%ですから、利用率を逆にすれば、すべての原発をとめても電気が十分に足りることがよくわかります。 原発をめぐるサイクルの どこをみても、放射能がいっぱいです。日本で 大事故がおこる前に みんなの力で、こんな原発! とめたいですね。脱原発法の制定に向けて、一億人行動を! チェルノブイリ原発の事故から二年目の1988年の4月末、原発を止めるために、東京の日比谷公園に全国から二万人をこえる人たちが集りました 日本でも大きな事故が今夜にでもおこるかもしれない、原発がなくても電気は足りるんだ、ということなどを知れば、ほとんどの人は原発を止めたいと思うに違いありません。 原発を本当に止めるために、脱原発法を国会で制定させよう、そのために1000万人、いや5000万人以上の署名を集めよう、全国各地で自主的に国民投票もやってしまおう‥と、相談が始まっています。事実を知り、ひとりひとりが声を出し、みんながやれることをやっていけば、日本で大惨事がおこる前に原発を止めることも可能です。 あ と が き より安全なものを食べたいと共同購入などの努力をしても、ひとたび原発で大事故がおこってしまったら、水の泡になるのではないだろうかと思って、げんぱつのえほん(1)をつくってから12年が過ぎました。 そのころは、原発からできる放射能ゴミの処分はまだ先のことのように思われていて、南極の氷の下に埋めてしまおうとか、ロケットにつんで宇宙に捨ててしまおうとか、大まじめに言われていました。それが今、現実に、下北半島や北海道に捨てる計画が強行されようとしています。 チェルノブイリ原発の事故のあと、食品の放射能をチェックしなければならなくなりました。ガイガーカウンターの針がふり切れてしまうほどの放射性物質をつんだトラックが、日常的に高速道路を突っ走ったり、新しい日米原子力協定にもとづいて猛毒なプルトニウムを飛行機で運ぶ計画もあります。 チェルノブイリから30km以内は、ゴーストタウンとなりました。130km地点で多くの人の頭髪がぬけました。1800kmも離れたラップランドに住む人の体から5~10万ベクレルもの放射能が検出されました。 日本のどこかで大事故がおこったら、何もかもが放射能でひどく汚染されて、測定器がガーガ―鳴る音を聞きながら、それでも、泣く泣く食べなければならないことでしょう。そうなる前に、何とか、みんなの力ですべての原発を止めていかれたらと思います。 この12年間のさまざまな想いと、『こんな原発!とめたいね』と 思ってくれる人が、もっともっとふえるといいなあという願いをこめて、このえほんをつくりました。まわりの方々にも、おすすめいただければ幸いです。 つくりながら、このようなテーマを選ばなければならないことを本当に悲しく思いました。もっと楽しいテーマで、宇宙はてない社のえほんをつくっていかれる日が、早く来ることを願ってやみません。こんな原発!とめたいね ≪その1≫ ≪その2≫ ≪その3≫
2012年12月30日
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こちら と こちら でも ご覧いただけます。放射能をあびて天使になった子どもたちげんぱつのえほん(3)てんごくのおきゃくさま宇宙はてない社 発行 1983年8月えとぶん しみずゆりこ天国で 天使たちが 星けり遊びをしているとちょっと変った 天使たちが 大勢 昇ってきました。『 きみたち どこから 来たんだい?』『 なんだって そんなに大勢で昇ってきたのさ?』と、天使たちが聞きました。『 ぼくたちは日本から来たんだよ。 お母さんのお腹の中でとっても 気持ちよく暮らしていたんだ。 だけど、ある日、とつぜん 原発で 大きな事故が おこったんだ! げんぱつ‥‥原子力発電(所)のこと。ウランをもやして電気をおこすかわりに、大量の放射性毒物をつくりだします。100万KW級の原発が1年間、稼動すると、広島型原爆1000発分の死の灰と、長崎型原爆50発分のプルトニウムがつくりだされます。1983年7月末現在、日本の原発は24基、新型転換炉『ふげん』をいれると25基、1734.2万KWです。このほかに、建設中・建設準備中のものが20基、1895.7万KWもあります。■‥運転中 25基 ◎‥建設中 13基、建設準備中 7基 高速増殖炉『もんじゅ』をいれると建設中は14基になります。 原発からは たくさんの死の灰や 悪魔のプルトニウムなど放射能が あとから あとから 飛び出してきた。 放射能がお腹に 入ってくると、ぼくたちは 苦しくなって、とうとう死んで 天使になっちゃった。 死の灰‥ウラン235がもえると、もえた量だけ、かならずできる放射性毒物のこと。原子炉の事故のとき、まっ先にとびだしてくるのがヨー素131で、甲状腺にとりこまれ、ガンなどをおこします。そのほかに、骨にたまるストロンチウム90、筋肉組織を破壊するセシウム137などがあります。プルトニウム‥もえないウラン238が、中性子を吸収するとプルトニウムにかわります。人間がつくりだした自然界にはない悪魔の元素。100万分の1gでも肺ガンをひきおこすといわれるほど、きわめて毒性がつよく、量が半減するのに2万4000年、4分の1になるのに4万8000年もかかります。放射能の 毒に やられて、もうすぐ 赤ちゃんや 子どもたち、それから おとなたちも 大勢 天使になって 昇ってくると思うの 』 と新しく来た天使が 泣きながら言いました。 原発の事故は、世界各地でたくさん、おこっています。アメリカのスリーマイル島原発では、操業をはじめて2年目位から、家畜の死産などの異常がではじめていました。そして、1979年3月、ものすごい音をさせて、大量の蒸気をふきだしました。多くの人が金属製の味を感じ、のどや鼻が熱く、ヒリヒリしたり、水ぶくれができたり、下痢・おう吐などをおこしました。その後、とくに、風下地域で新生児の死亡率が異常にふえ、死産・流産も急増しました。 人口わずか100人の村で、2年間に6人がガンで死亡。人間だけでなく、樹木は葉をつけず、犬や猫・鳥もつぎつぎと死に、ハエもいなくなった‥などの報告があります。これら放射能をあびた人たちへの影響は、これから長い年月をへて、次第にあらわれることが予想されています。 『反原発新聞 京都版』 第48号 参考『 そんな危ないもの どうして つくったのさ!放射能が 飛び出してくるなんて まるで原爆と 同じじゃないか!!』天使たちは 驚いて言いました。 もえるウラン235を100%近く集めたものがウラン原子爆弾です。原発では、瞬間的に爆発しないように、ウラン235を3%位にして、少しずつもやします。原発のように、時間をかけてもやした方が、寿命の長い放射性毒物ができるということです。太平洋から、日本の原発、何基かにミサイル攻撃をすれば、日本は亡ぼせるといわれます。『 でもね、日本には そんな恐ろしい原発が 他にも たくさん あるんだよ。 原発のないところでも 恐ろしい放射能を積んだトラックが いっぱい走っているんだ。≪原発は つくらないで! 放射能は いやだ!!≫ と、一生懸命に 叫んでいるけれど、 もっと もっと つくる 計画だ。≪その2≫ へ つづきます。
2012年12月27日
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≪その1≫ からの つづきです。このページの絵は、樋口健二氏写真集 『原発』 を 参考にさせていただきました原発の中で 働いている人たちも放射能を たくさん あびているんだよ。シャワーの水で どんなに ゴシゴシ洗っても体の中に入った 放射能は とれやしない。■放射能(放射性毒物)は、寿命がつきるまで放射線を出しつづけます。 放射線はどんなにわずかでも、かならず害があります。放射線に傷つけられた遺伝子は、そのまま子や孫に伝わります。ですから、できるだけあびない方がよいのですが、反対に現在、労働者の規制が大幅にゆるめられようとしています。たとえば、緊急時には無制限に被ばくしてもよい‥などです。すでに、原発内では若い人たちも、おおぜい被ばくしています。労働者の規制をゆるめることは、原発周辺の住民、そして日本に住む人全体の規制緩和へつながることになりかねません。放射能のごみをつめたドラム缶を 南の海に捨てる計画も あるんだ。 けれども 南の島の人たちは『 海は私たちのいのち! そんなことをしたら 海も私たちも 死んでしまう 』 と 反対しているんだよ。 原発からは、死の灰やプルトニウムのほかに、放射能をおびたゴミのつまったドラム缶がたくさんでます。日本には、すでに40万本がたまっているといわれます。日本政府は、これらのドラム缶を、東京の南東900kmの地点、マリアナ諸島近くの海にまず1万本を試験投棄し、その後、1年間に10万本単位ですてていこうと計画をたてています。けれども、日本の投棄計画に猛反対しているのは南太平洋諸国の人たちばかりではありません。 1983年2月、ロンドンで 『有害物質の海洋投棄規制に関する条約』 についての締結国会議が開かれ、≪放射性物質の海洋投棄は、今後、科学的に検討し、その期間中は中止する≫という決議が、圧倒的多数で可決されました。それに対し、日本政府は 『投棄計画を変更しない』 と 言明しています。 『土の声・民の声』 号外 署名運動ニュース No.29 参考放射能のごみを 山に捨てる 計画もあるけれど、どんなに 山奥の土の中 深くに埋めても、じわじわとしみだして、飲む水を 汚してしまうことになる。 日本列島は 地下水を通して つながっているからね。 死の灰の海洋投棄は、ロンドン条約によって、全面的に禁止されています。日本政府は、死の灰をガラス固化して、約1000mの地下にすてる計画をたて、北海道の下川鉱山や、宮城県の細倉鉱山などで、投棄試験をはじめています。日本には安定した岩盤はきわめて少なく、とくに鉱山のあるような所は、地層も複雑で、岩質が軟弱化しています。坑内湧水もあり、放射能の崩壊熱や圧力で、ガラスからとけだした毒物が、地下水にしみこむことは確実です。また、ドラム缶の投棄試験も全国の鉱山跡などで、こっそりされているということです。 1000年ぶりにおこった新潟地震や、今まで、おこったためしがなかった場所に、初めておこった日本海中部地震などの例のように、日本では、いつ、どこに直下型の大地震がおこるかわかりません。500~1000年も、絶対に外にもれないようにしておかなければならない毒物を、地中へ処分することは危険きわまりません。 『開発と公害』 第15・16号 参考もうすぐ 日本は 放射能や、古くなって動かなくなった 原発で あふれてしまいそう! 魚や カニだけでなく子どもたちにも きっと いろいろな害が 出てくると思うよ。 放射能の毒は 生き物にとって 大切な遺伝子を 狂わせて しまうからね。何百年も 何十万年も 毒の消えない 放射能!これから うまれてくる子どもたちが、どんなふうになっても、お金さえ儲かればよい という おとなたちが今も 放射能を つくり続けているんだよ 』 福井県敦賀市の高木市長は、『原発を誘致して、電源三法の金で、50億円の運動公園、14億円の公営地方卸売市場、20億円のゴミ焼却場、道路、学校の給食センター‥さらに、24~25億円かかる女子短大は、関電、動燃、日本原燃などにお願いしよう‥と、全くタナボタ式の町づくりができる‥50年後、100年後にカタワがうまれるやら、みんな白血病になるやら、保障の限りではないが‥』と、講演しています。 『わかさ通信』 第34号 参考■カタワ‥障がい者の人権を無視した差別用語です。『それは 大変だ! みんなで 何とか出来ないかしら?』と 天使たちは 考えました。 『 そうだ! 子どもたちに手紙を書こうよ 』『 それがいい、それがいい‥』 ≪クリーンな原子力、原子力発電はコスト安≫ と さかんにいわれますが、原発からできる大量の放射性毒物についての処理方法は未解明。そのための費用はほとんど計算されていません。現在、電力はあまっています。まだ使える発電所をあまり使わないで、どんどん原発をつくり、莫大な量の毒物を子孫におしつけていく――今、私たちは、とりかえしのつかないことをしています。みんなは 一生懸命に 手紙を書きました。 そして、子どもたちが 周りの人 みんなに 原発をつくらないように、お話してくれることを願いながら、風船につけて 飛ばしました。風船につけた手紙、もう みなさんのところに届きましたか? 天使たちのお願いどうか きいて あげて下さいね。 三人の子どもたちも、7才、4才10か月、3才となりました。毎日、より安全なものを食べさせたい、と 気をつけていても、原発からできる大量の放射能のことを考えると、気が重くなります。何世代か後の子どもたちはどうなるのだろうか? その頃、自分は生きていないのだから、どうでもよいことではないか!とは、とても思えないのです。食べもののことは身近に考えられても、原発は関係ない、と思われがちです。けれども、子どもたちから未来を奪ってしまうかもしれない放射能‥‥もっともっと、みんなで考えていこうではありませんか!?≪ お し ま い ≫てんごくの おきゃくさま ≪その1≫
2012年12月27日
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こちら と こちら で 一部をご覧いただけますが全文を 載せてみました。エネルギー問題を考える(2) げんぱつなんか いらないぞ!こどもたちから 未来をうばい、石油がなくなれば 止まってしまうものそれが 原子力発電です1978年10月 発行、1988年3月 4刷 えとぶん しみずゆりこひろくんが テレビをみていると、おじちゃんたちが こぶしをにぎって かなしそうな 顔をしていました。げんぱつを そんなにつくって 大丈夫? 西暦2000年 ― 政府の計画では、日本に100基近くもの げんぱつ(原子力発電所)がつくられることになっています。そんなにたくさんの げんぱつをつくって、いったい大丈夫だろうか、という私たちの不安をよそに、買収、供応、宣伝費などだけでも、何十億ものお金がばらまかれ、さまざまな手段を使って、計画が強行されています。事故をかくしたり、住民の反対を押し切り、危険性を訴える学者の声を無視してまで、なぜ、げんぱつをつくらなければならないのでしょうか? みなさんと共に、考えていきたいと思います。 初め、原子炉の耐用年数は、30年位といわれていました。けれども、その実態はひどいものです。設備利用率も、運転をはじめて、初めの1~2年は50~60%を保っていますが、すぐに下がりはじめ、5年をすぎると20%位になって、そのまま止まってしまうものもあります。これでは10年も使えるかどうか、あやぶまれており、まもなく【寿命】がきて、日本の各地に、閉鎖された原子炉が続出することになりそうです。 閉鎖された原子炉は、本体も周辺もおびただしい放射能をおびており、炉の中には、放射性毒物がたくさんつまっているため、危険で解体することもできず、コンクリートで固めて、放置しておくほかありません。そして、その土地は、ほぼ半永久的に使えない廃墟となってしまいます。※1978年7月、日本で運転中の げんぱつは 15基です。ほかに、建設中、建設準備中のものが11基あります。これを10年後には50基にふやそうというのが、政府や電力会社の計画です。毒物は たまるばかりで、打つ手なし げんぱつがふえるにつれて、危険な毒物もどんどんたまっていきます。げんぱつ 敷地内には放射性毒物をつめたドラム缶が、毎年、数千本ずつ、すでに全国には何万本もたまっています。行き場のないドラム缶は、倉庫の中に積みあげられていますが、思わぬ災害で、放射能が外にもれだす事故もおこるでしょう。今でも、放射性気体のほとんどや、一部の廃液はうすめられて環境に放出されています。 また、わずか数万分の1gでガンをおこし、簡単に原爆をつくることのできるプルトニウムも、世界中にたまりつつあります。2000年には全世界で、長崎におとされた原爆100万発分ものプルトニウムがたまるということです。裁判官よ、あなたもか!? 住民が国に対して、原子炉の設置許可の取り消しを求めた≪伊方原発訴訟≫の判決が、1978年4月にだされました。私たち国民に対する許容被ばく線量を、年間0.5レムと定めていることは違法ではない、など、国の主張を全面的に認めた判決でした。これだけの放射線を全国民があびると、ガンと遺伝障害が数万人ずつ出ると推測されていますが、『公共』 のためには、それもがまんしてくれというわけです。 裁判では、住民の追及に、国側の学者が答えきれなかったこともたびたびあり、しどろもどろになり、絶句してうつむいてしまい、裁判長に、『病気ですか?』 と たずねられたこともあったそうです。最高裁の介入によって、判決の直前になって裁判長が変えられてしまい、住民側、国側双方のやりとりを、ほとんど見聞きしていない新しい裁判長によって、判決はだされました。※レムとは、放射線が人体に与える影響の度合を示す単位おじちゃんたち どうしたのかな? げんぱつ? げんぱつ? げんぱつ?ママ、げんぱつって なあに?げんぱつっていうのはネ、べんりなでんきはほんのすこししか つくらないで‥ たくさんの毒物を つくるところよ。げんぱつは 石油がなければ動きません テレビでも新聞でも、くり返し宣伝されているので、私たちは、げんぱつがウランを燃やして、新しいエネルギーをうみだすものだと思っていました。ところが、げんぱつは 石油がなければ一基もつくれないし、燃料のウランを掘ることも、運ぶことも、精製することも、濃縮・加工することもできず、石油がなくなると、まもなく止まってしまうものだったのです。 げんぱつ一基つくるのに投入される石油は実に莫大で、ジャンボジェット350~500機分、あるいはりっぱなレンガづくりで、建坪30坪の住宅10万個分にもなるちうことです。(消費者レポート第321号より) ですから、石油のねだんが上がれば、当然、げんぱつのコストも上がるわけで、1973年の石油ショック以降、石油価格の大幅な値上がりにつれて、それ以上に、ウラン価格や、げんぱつ建設費も急上昇し、今では電力会社の人たちでさえ、火力発電より げんぱつの方が割高になると認めているほどです。 また、げんぱつが動けば必ずできるプルトニウム239は、少なくとも、その半減期の10倍、つまり24万年間は 外界から完全に遮断される形で管理しつづけなければなりません。それには、大量の石油やセメント、鉄や鉛などが必要で、そのためにかかるエネルギーは、げんぱつが 耐用期間中にうみだすエネルギーをはるかにこえてしまいます。ですから、プルトニウム以外にも げんぱつがつくりだす死の灰などの管理に必要な分はもちろん、げんぱつ建設に投入される莫大なエネルギーは完全にマイナスになるわけです。 危険な げんぱつでも、多少の電力をつくりだすのかといえば、そうではなく、どんなにがんばっても、つくりだすのは毒物ばかりで、石油を浪費した上、あらたなエネルギーはいっさい、うみださないものだったのです。 ※ 半減期とは、放射性毒物からでる放射能の強さが半分になる時間のこと。 プルトニウムの半減期は、実に2万4000年です。動かなくても、つくることに意義がある? そんなげんぱつの建設がなぜ、つぎつぎと強行されるのでしょうか? 政府はエネルギー危機だといいながら、エネルギー消費を毎年5~10%ずつふやし、10年毎に倍にしていく計画をたてています。そして、そのための景気浮揚策の中核に、げんぱつの建設をおいているのです。莫大なエネルギーを浪費する げんぱつ一基のねだんは約3000億円(1978年当時)だといいます。 現在、建設中、建設準備中のものはあわせて11基ですが、その他に政府は、1978~1979年度中に14基を認可しようという積極姿勢を示しています。これにあわせて、げんぱつ以上に規模も大きく、危険を伴う再処理工場や高速増殖炉、燃料工場などがつくられれば、何十兆円ものお金が動くことになります。 ほとんどの産業が1978年度の設備投資を減らしている中で、電力会社はどこも大幅にふやしています。電力11社の投資額だけでも3兆円をこえる見込みで、全産業の4割近くをしめています。それらの主な投資先が げんぱつになるわけです。けれども、そのげんぱつも、1977年度は故障が相つぎ、修理も長期化したため、史上最低の稼働率を記録しました。そのための損失額は1200億円にもなるということです。しかも、この計算は電力業界自身が行ったもので、1基あたり100億円ともいわれる修理費などを含めると、もっと多額なものになります。 関西電力の美浜1号炉は1974年7月以来、動いていませんし、東京電力の福島原発は3基とも、1977年夏の電力需要のピーク時を含み、7か月間もいっせいに止まってしまいました。つまり、どんなに投資をして、つくってみても動くかどうかわからないのが げんぱつです。その穴埋めをしているのは 私たちの電気料金で、一部の電力会社では、1980年4月以降、いつでも料金値上げできるよう、すでに準備をはじめているということです。げんぱつなんか いらないぞ! ≪その2≫ へ つづきます。
2012年12月24日
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≪その1≫ からの つづきです。げんぱつっていうのはね、あくまのプルトニウムや死の灰を つくったり、ちきゅうが あっというまに ふっとんでしまうげんばくのもとを、たくさん たくさんつくりだすところなのよ。放射線は ごくわずかでも、ガンをおこします げんぱつからもれる放射能は、自然界にある放射能より 「はるかに微量であるから、その影響はない] と宣伝されています。けれども、げんぱつからもれる放射能は、自然界にはなかった新しい人工のものです。大昔からあった自然放射能とちがって、人工放射能に対して生物は適応できないため、無選択に取りこんだり、高濃縮をおこしたりします。 ヨー素131の場合、気体として放出される放射能の中に、たった1万分の1程度しか含まれていませんが、空気中から植物体内には200万~1000万倍、同じく牛乳中には62万倍にも濃縮することがわかっています。また、げんぱつからもれる放射能が、仮に政府や電力会社が言うように規制値以下であったとしても、それは機械で測定できるものだけで、生物や人間にとって、体外だけからの被ばく線量を示しているにすぎません。(月間『新地平』1978年8月号≪微量放射能の遺伝毒性)参考) げんぱつの事故や故障つづきで、修理のたびごとに多くの労働者が被ばくをしています。これらの労働者が作業する所は、げんぱつの中でもとくに汚染された区域で、空中のほかに、床や壁、手すりや扉、機械類にも放射能が付着していて、どうしても体内に取りこむことになります。その線量の方がフィルム・バッチなどの測定値より、はるかに大きく、体外被ばくの5~10倍にもなるだろうといわれています。このことを、みごとに裏づけている調査がアメリカで行なわれました。 アメリカ最大のある原子力工場で、操業当時から29年間にわたって働いていた人の被ばく線量の記録と死因についての関係を調べたもので、白血病などを含む造血系のガンは2.5レムで、骨髄ガンの場合にはわずか0.8レムで、発生率が倍にふえています。また、被ばく線量の多い人ほど、ガンによる死亡率が高く、これまで考えられていたより、はるかに低線量の被ばくが、ガン死に関係していることがわかりました。日本人に じわじわ ひろがる 放射能汚染 前述のアメリカの調査では、1レム以下という低線量でも、ガンの発生率が倍になる結果がでました。現在、日本の法律では労働者が年間5レムなら、放射能をいくらあびてもよいことが認められています。現実に、日本でもガンや白血病になって苦しんだり、死んだりしている人がたくさんいます。とくに危険な作業は下請労働者にまわされていますが、わかっているだけでも、1976年だけで、0.5レム以上被ばくした人が4194人もいます。このうち1.5~2.5レムの人が679人、2.5~5レムの人が222人もいます。 労働者の多くは、放射能のおそろしさも知らされず、正確な被ばく線量もわからなくなっています。ビキニの水爆実験で被ばくしたミクロネシア諸島の住民の中にも、予想外の低線量でガンになった人がいます。また、アメリカが大気圏内で核実験したときに被ばくした軍の関係者からも、白血病などのガンで死んだり、何らかの障害を訴える人が相ついでいるということです。(原発闘争情報 第44号より) 放射能のおそろしさは、何よりも遺伝毒性をもっていることです。ごく微量の放射能であっても、その線量に比例して、突然変異率が高くなることが証明されています。修理の回数がふえるにつれて、労働者の被ばくも急増しており、4年間で実に8倍にもなっています。また、げんぱつ周辺の人たちは、日常的にもれる放射能を、毎日あびているわけですが、これらの事実は、私たち日本人全体の中に放射能汚染が次第にひろがっているということです。 白血病やさまざまな悪性ガンは、被ばくしてから数か月から数十年後にあらわれますし、微量放射線による遺伝的障害は何世代にもわたって子孫を苦しめます。今すぐ、放射能の影響がみられないからといって、どんどん げんぱつ建設をすすめ、障害があらわれてから、あわてて停止するというのでは取り返しがつきません。げんぱつが どんどん できれば、おひゃくしょうさんも、 りょうしさんも、しごとが できなくなって、こまってしまうの。げんぱつができれば、海はやがて 死の海となります げんぱつからは、まわりの海水の温度より5~8度Cも高い大量の温排水が流されます。これは、げんぱつの熱効率が約30%にすぎず、原子炉で発生した熱の約65%は、温排水として処理されるためです。温排水というと、単に海水が加温されただけで、温度さえ下がれば、ふつうのきれいな海水であると思われがちです。けれども、げんぱつの温排水中にはさまざまな汚染物質が混入しています。 まず、冷却水としてとりこまれた海水の中には、生物が器官類に付着しないよう塩素ガスなどが注入されます。その他に、金属腐蝕防止剤や洗剤なども注入されることがあります。これらの物質は火力発電でも同様ですが、げんぱつの場合には、さらに放射性毒物が加わります。このことは、各地の げんぱつ排水口付近の水産生物や底土から、放射性毒物が検出されていることからも明らかで、生物によっては食物連鎖を通して、数十万倍にも濃縮しているものもあります。(月間『新地平』1978年8月号≪げんぱつ廃水と漁業被害)参考) 現在は、げんぱつがまともに動いていないため、温排水の量も少ないのですが、1974年に運転をはじめて、2年ほど順調に動いていた島根原発では、深刻な漁業被害がでています。排水口付近では、アワビやサザエ、ウニ、小魚などが死亡し、その範囲は年々ひろがっていき、今ではその周辺には藻もなくなり、白い石だけになっているということです。そして、ノリやワカメの品質が低下し、量もへってしまい、マダイやマグロ、ブリなどの高級魚の漁獲量も落ちています。つくるまでは『安全です』 あとは、たれ流し放題 東京電力の福島第一原発の排水口付近でも、奇形魚や内臓のくさった魚が年々ふえているということですが、このほど東京電力の専用港の海底土から、高濃度の放射性毒物が検出されました。これは、げんぱつのたれ流しによるもので、東京電力側も 「放射能で汚れた作業衣の洗たく廃水が原因」 と、放射能のたれ流しを認めています。しかも、検出されたのは、廃水が出される港外の排水口ではなく、港内の取水口です。 これらのことから、放射能によって周辺の海底が広く汚染されていることがわかります。とくに、近くには海底で成長するホッキ貝の漁場があり、魚介類への放射能の濃縮が心配され、漁業者の不安が深刻になっています。また、各地の げんぱつ周辺の松葉からも放射能が検出されていますが、この測定でも、やはり検出されたということで、放射能汚染が陸上にもひろがっていることを示しています。(反原発新聞 第2号 参考) 四国電力が1964年に、げんぱつ建設を決めた愛媛県伊方町では、会社と町当局とが一体となって、げんぱつのことは一切、住民には知らせず、白紙のまま地主にハンコをつかせ、用地買収をはかりました。地主が不在だったため、無理に捺印させられた家族が、あとで板ばさみとなって苦しみ、自殺に追いこまれた悲劇までうんでいます。 げんぱつをつくるまでは 『安全です、放射能はもらしません』 と言い、運転をはじめてしまったらあとは、たれ流し放題、裁判所もこのようなやり方を全面的に容認する、というのでは、住民はいったい、どうしたらよいのでしょうか? げんぱつなんか いらないぞ! ≪その3≫ へ つづきます。
2012年12月24日
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≪その2≫ からの つづきです。このまま、くるまや ひこうきや こうじょうがふえても、おひさまは いきがつまって、ぐったりするばかり!大量の石油消費は、気象まで変えていきます 1960年とくらべると、現在の日本のエネルギー消費量は、約4倍にふえました。車の保有台数は、実に40倍以上にもなっています。その分、私たちは幸福になったでしょうか? 昔から日本人が食べつづけてきた魚や貝は、PCBや水銀などで汚染され、農作物は農薬づけ、家畜は薬づけにされ、子どもたちへの影響を考えると、心配で食べさせるものもなくなりました。その上、広島型原爆の1000発分もの死の灰がつまっている げんぱつの事故や放射能汚染まで心配しなければならなくなりました。 1975年度の石油輸入量は、2.86億キロリットルです。通産省の見通しでは、1985年度には5.05億キロリットルにふえることになっています。げんぱつが莫大な石油を浪費することはすでに述べましたが、このように大量の石油を燃やしていけば、処理できない廃熱によって、重大な危機がもたらされることが予想されます。 日本のエネルギー消費量は、すでに風や波など、気象に関係している太陽エネルギーの量をこえ、日本全体で平均0.576度Cほど上昇する計算になるそうです。これは世界平均の64倍にもなります。もし、日本がすっぽり閉じ込められた状態だとしたら、気象は全く変ってしまっているということです。石油がなくなる前に≪汚れ≫でダウンの日本列島 このまま、政府の計画どおりに、石油の消費を10年毎に倍にふやしていったら、日本はいったいどうなってしまうのでしょうか? 際限もなく≪経済成長≫をめざして、農地や漁場は、飛行場やコンビナート、げんぱつ用地にあてられ、人々は大気汚染や騒音に悩まされ、静かなくらしをうばわれていく。車はますますふえ、高速道路や新幹線が全国を走り、それでも渋滞がつづくようになる。その間をぬって、危険な核燃料や使用済み燃料をつんだ車がひんぱんにかけぬけていく。 放射性毒物をつんだ車の事故で、都市や住宅地にも放射能がまきちらされ、光化学スモッグの被害は、さらに広範囲にまでおよび、大都市では、真夏でもどんよりと曇り、それでいて灼熱地獄の日がつづくようになる。一年中、窓は閉じられ、クーラーやヒーターがうなりつづけ、子どもたちは太陽の下で遊ぶことを忘れてしまう――このような環境の変化が、人の健康や生態系に与える影響についてはわかっていないことが多いのです。 生物としての自然環境をうばわれて、多くの人が異常を訴え、日常生活にさえ支障をきたすことも予想されます。すでに、東京での年間日射量は、スモッグやほこりにさえぎられて20%もへったといわれます。過去290ppmだった炭酸ガス濃度も、現在では330ppmにもなっているということです。 もともと地球には自然の浄化作用がありました。そのため、長い間、炭酸ガス濃度も一定に保たれてきたのです。けれども、石油を大量に使ってできる廃物や廃熱は、この自然の浄化作用ではとても処理しきれません。もちろん、放射能という汚れも、この自然の浄化作用には全くなじみません。いずれは拡散され、地球にたまっていくばかりです。また、太陽熱利用といっても、たくさんの石油を使い、たくさんの廃熱を出す太陽熱発電所のようなものは成り立たないことになります。げんぱつから できてしまった どくぶつは、いつまでたっても きえないし、いまのようにむだなものを どんどんつくっていると、きがついたときには あたりいちめんゴミのやま、なんてことに なっているかも しれないわ。核武装へつながる げんぱつの建設 伊方原発の判決では、使用済み燃料については再処理できると見込みをたてていたのだから大丈夫であると断言されています。けれども、再処理工場では、それまで固体になっている使用済み燃料を酸にとかして、わざわざ扱いにくい液体にして処理します。このとき、えんとつから気体の放射性毒物が大量にもれ、再処理工場では、げんぱつの1年分をたった1日で放出することになります。また、たくさんの化学物質を使うため、つねに爆発や火災の危険にさらされます。扱う物質もすべて高い放射能をもっているため、作業はあついコンクリートの壁ごしに遠隔操作でやります。再処理工場の事故や放射能汚染は、世界各国で相ついでおり、民間で操業しているものは現在、ひとつもありません。 再処理によって、使用済み燃料の中からプルトニウムをとりだします。エネルギー収支の面でも、経済的にもひきあわない げんぱつの建設を強行する裏には、このプルトニウムを使って原爆をつくり、核武装への途を歩むため、ということも多分にあります。また、プルトニウムを効率よく作り出す高速増殖炉が完成すれば、原子の火は永遠だとも宣伝されています。けれども、消費したウランの2倍のプルトニウムができるまで、15年から25年もかかるという気の長い話なのです。何よりも、高速増殖炉はブレーキのきかない、原爆をゆっくり燃やしているようなもので、爆発の危険をたえず伴っています。 今、人類は、何百万年の管理を必要とする毒物をつくりだした上、さらにそれらを再処理によって、より取扱い困難なものにし、おそろしい原爆を世界中にふやしつつあります。日本をはじめ、げんぱつを持つ世界各国で、毒物を海や山にすて、原爆を使いはじめたら、一体、どうなることでしょうか?げんぱつは、浪費社会の頂点をきずくもの 今、東京が大地震にみまわれたらどうなるか? 考えてみると身ぶるいがしてきます。私たちは、日本が世界一の地震国であることを忘れてはならないと思います。世界中で発生する地震のうち、実に15%が日本周辺でおこっているといいます。安全性を優先するなら、日本のどこにも げんぱつはつくれないことになります。けれども、明日にでも地震がおこるかもしれない駿河湾では、浜岡原発が運転中ですし、伊方原発でも、すぐ近くを中央構造線と呼ばれている地震の巣ともいうべき断層がとおっています。それにもかかわらず、判決では全く無視され、安全宣言がなされたのです。 しかも、原子炉の大事故を防ぐかなめとなるはずの、緊急炉心冷却装置(ECCS)は、実験では完全に失敗しており、実際に作動するかどうか、あやぶまれています。これについても判決では、実験で動かなかったからといって、大事故の際にも作動しないという根拠にはならないと、ECCSを有効なものとしてみなしています。 最近、アメリカで げんぱつを疑問視する科学者たちが、原子炉の安全性について未解決な問題が少なくとも200以上もあることをつきとめました。そんな欠陥商品が日本に輸出されていたわけです。かつて、アメリカの原子力メーカーは、1年に20~30基も売っていたのに、この4年間、国内での販売はゼロに近いということです。アメリカでは、すでに げんぱつの新設はむずかしくなっており、運転中のものに対しても差し止める動きさえあります。(消費者リポート 第331号 参考) このように、げんぱつに関して、どれをみても良いことはひとつもありません。げんぱつは、現在の浪費社会の頂点にあり、あらたな差別をうみだすものです。これ以上、子孫に対する犯罪行為を許さないためにも、私たちは げんぱつの建設と運転をただちにやめさせなければならないと思います。 げんぱつなんか いらないぞ! ≪その4≫ へ つづく
2012年12月24日
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≪その3≫ からの つづきです。げんぱつなんか つくらなくても、もっともっと おひさまと なかよしになれば いいのよ。必要なのは、徹底的に省エネルギー化をはかること 石油はあと30年でなくなるとか、いろいろ言われていますが、本当にそうなら、子孫にとっては幸いかもしれません。石油づけの生活からぬけだすことを真剣に考え、放射性毒物や有害な化学物質の製造にもブレーキがかけられるようになるでしょうから。けれども、幸か不孝か、新しい油田の発見により可採年数はふえ、石油消費はふえるばかりです。 ですから、この点でも、今すぐ、げんぱつをつくらなければエネルギーの供給が止まってしまう、と心配する必要など全くないのです。逆に、このまま石油を使いつづけて、廃熱と廃物で身動きできなくなってしまうことの方が、はるかに心配です。そうならないために、私たちがひとりひとりでやっていけることをやっていく他ありません。子孫が、やがては枯渇する化石燃料にたよった生活から、いつかぬけ出せるよう、足がかりとなるものを少しでも多く残していきたいものです。食べものを自給できれば、すべてが変ります。 食べるものは、自分たちでつくる――これはごく当り前のことではなかったでしょうか? せまいと言われる日本でも、1人当り500平方m(約150坪)の農地と、2000平方m(約600坪)の森林が使えることになります。自給するためには、昔の一家族で、3反(約900坪)の土地があればよいといいます。ニワトリやブタ、牛やヤギなどを飼えば、貴重な有機肥料と動物性タンパクが充分、得られます。家畜のフンや野菜くずを醗酵させてできるメタンガスは、家庭での燃料に使えます。 また、食べものを地域ごとに自給できれば、大量生産、大量運輸の必要がなくなりますから、現在、運輸部門の占める約20%のエネルギー消費を、まず減らすことができます。工業についても大企業である必要は全くありません。日本で、外国からの導入技術を使おうとすれば、どうしても原材料も輸入することになります。 和紙、うるし、べっこう、はた織り、鍛冶屋、船づくりなど、日本に昔からあったすぐれた技術は、すべて国産の資源を利用したものです。日本は雨量も多く、生物資源にも恵まれています。エネルギー供給についても、薪や水力、太陽熱などの利用によって、かなりのレベルを維持できるとも言われています。浪費をなくし、現在の4分の1のエネルギー消費ですんでいた1960年のレベルにまでもどることを目標にし、それが無理なら、少なくとも今異常にエネルギー消費をふやさないことです。 また、自給のためには、全国に平均して住むことになりますから、日当たり、風とおしのよい居住環境が可能になります。屋根より高い木があれば、夏のクーラーはなくてもすみますし、冬、日没後の暖房に石油を使ったとしても、その量はわずかです。他にもあげればきりがありません。要するに、げんぱつなどエネルギーを大量に浪費するものの建設はやめて、徹底的に省エネルギー化をはかること――これこそが、今、さし迫って重要な問題だと言えそうです。 制作に当って、プルトニウム研究会の高木仁三郎氏理化学研究所の 槌田 敦 氏大阪大学の 久米三四郎 氏反広告会議の 西尾 漠 氏 他多くの方々にご協力をいただきました。 裏表紙です。 伊方の人たちの願い伊方原発訴訟を支援する会 久米三四郎 氏 伊方の人たちは、急な山はだで ミカンを作る苦しい労働や、都会への出稼ぎで 生活を支えつつ、自分たちの庭先に、お金の音を立てて乗りこんできた 危険な原発を追い出そうと、もう10年近くも努力してきました。そして、公正な裁判所なら、危険なものを危険なものとして認めてくれると信じ、4年以上も、60kmも離れた 松山の裁判所に通いつめ、訴え続けてきたのです。 しかし、柏木裁判長は、電気のためには辛抱せよと、無情にも 住民の訴えを退けてしまったのです。それでも、年老いた伊方の人たちは、『どんなにつらくとも死ぬるまでやる』 と、静かな決意を固めています。住みなれた郷土や 孫子のためだけでなく、過疎地に 危険なものを押しつけることに、心ならずも、協力している都会の人たちの将来のためにも、と信じつつ。 これまで私たちは、安さと便利さということに 身も心も奪われてきました。そして、いつのまにか、お互いのことを 親身に考えることを忘れさせられ、つぎつぎ 現われる便利な道具と、手に余る社会の仕組みの中で、馬車馬のように駆り立てられていることに 気づきはじめています。 伊方の人たちは、恐ろしい原発や、大量の 【死の灰】 と プルトニウムの危険を前にして、田舎でも、都会でも、もっと人間らしい生活はないのだろうか、と考える人たちが 増え続け、それが、一つの新しい流れを 作り出していくことを強く願っています。 各地のげんぱつ周辺の風下で、ムラサキツユクサの花の雄しべの毛の細胞が、ブルーからピンクに変わるという突然変異をおこしています。農薬や殺虫剤、排気ガスなどとの関連も見られず、原因は げんぱつからもれる微量放射線以外に考えられないということです。 ムラサキツユクサも、人間も、同じ程度の放射線量で、遺伝子が破壊されます。その影響がみられるのは、ムラサキツユクサで10~16日後、人間だと少なくても数十年。 げんぱつ推進側は、今、必死になって、この実験を否定しようとしています。ムラサキツユクサが、時には花びらまでピンクに染めて訴えている げんぱつの危険性に、ひとりでも多くの方が耳を傾けて下さるよう願ってやみません。裏表紙の奥付です。 【第4刷のときの追記】 このえほんをつくって、ちょうど10年が過ぎようとしています。1979年3月には、アメリカのスリーマイル島原発で、1986年4月には、ソ連のチェルノブイリ原発で大事故がありました。日本でも、大惨事になりかねない事故がひんぱんにおこっています。 原発がなくても電気は十分に足りるのに、政府は、まだまだつくる計画です。次は、日本で大事故がおこるのではないかと心配されていますが、そうならないように反対の声を強め、すべての原発をとめていきましょう。 げんぱつなんか いらないぞ! ≪その1≫ ≪その2≫ ≪その3≫
2012年12月24日
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こちら と こちら でも 一部がご覧いただけますが36年前に、絵も文も 見よう見まねで つくった 原発のえほん 一冊目の全文を載せてみました。 エネルギー問題をかんがえるげんぱつのえほん(1) 原子力発電所は、便利な 電気といっしょにたくさんの放射性毒物をつくるところです。1976年10月 発行 えとぶん しみずゆりこ この絵本に出てくる主人公たちです。ウラン235が燃えると、その分の【死の灰】ができます原子力とわたしたちの生活について考えてみよう エネルギー不足がさけばれてから、もう久しくなります。それを解消するためにということで、原子力発電所がいくつもつくられました。これからは原子力の時代だともいわれ、原子力発電を中心としたエネルギー政策が何回も発表されました。原子力を中心にすえた社会は、はたして、いわれているほど良いものなのでしょうか? たしかに原子力発電では、石油や石炭より少ないウラン燃料で、べんりな電気をたくさんつくることができます。でも、どんなに最新の設備と技術を用いたとしても、ひとたび原子力発電所が動けば、電気といっしょに大量の 【死の灰】 や 毒性の強い 【プルトニウム】 も できてしまうのです。 ですから、『公害をださない、きれいな原子力発電所』 なんて、世界中のどこをさがしてもないのです。原料の採掘から、精錬、運搬、再処理などにいたるまで、危険がいっぱいの原子力発電所のひとつひとつについて、これから見ていき、日本のエネルギー政策と私たちの生活について考えてみたいと思います。 ウラン238が中性子を吸収してプルトニウムになります原発がうごけば、かならず できる死の灰とプルトニウム 原子力発電の燃料はウランです。ウランにはもえるウラン235と、もえないウラン238とがあります。ウラン235がもえると、それと同じだけの死の灰ができます。たとえば、100万KWの発電所を一年間、稼動させるためには、1トンのウラン235が必要ですから、死の灰も1トンできることになります。 広島上空では、約1kgのウラン235が、瞬間的にもえたといわれていますから、これは、その1000倍もの死の灰の量です。また、同時に、ウラン238の一部が変化して250kgのプルトニウムもつくられます。これは、長崎におとされた原爆(原料はプルトニウム)の50発分にあたります。 原子炉のなかでウラン235に中性子がぶつかると、ふたつの原子核にわかれます。このとき、2個~3個の速度の早い中性子と熱がつくられます。このような現象を 核分裂 といい、あたらしくできた原子核が死の灰です。核分裂でできた中性子を、効率よく利用するために 減速材 で 中性子の速度をおとします。 この中性子をウラン235が吸収して、連鎖反応的に核分裂がくりかえされるわけです。原子力発電のしくみ ― 核分裂は 水の中でおこなわれる 核分裂によってできる熱でタービンをまわして、電気をおこそうとするのが原子力発電です。発電炉にはいろいろな型があります。現在、日本では、イギリス生まれのコールダーホール型発電炉の東海一号炉をのぞいて、アメリカ生まれの軽水炉が用いられています。軽水炉には、沸騰水型(BWR)と 加圧水型(PWR)とがあり、どちらも、減速材と冷却材にふつうの水(軽水)をつかいます。 沸騰水型軽水炉の場合には、燃料棒に接している一次冷却水を沸騰させて蒸気をつくり、その力でタービンをまわし、発電します。加圧水型軽水炉では、原子炉の中が加圧されているため、一次冷却水は沸騰しません。熱せられた一次冷却水が、蒸気発生器の中の水を蒸気にかえ、その力でタービンをまわすのです。どちらも、原子炉の中には うすい金属のサヤでつつまれたウラン燃料棒が、直径約1cm、長さ約4mぐらいの大きさで束にされて、約1万~2万本も挿入されています。この燃料棒の間を、減速材と一次冷却材をかねた水が流れていて、核分裂がおこなわているわけです。 原子力の発電量を今の20倍に!私たちはどこに住めばよいのか これまで、何回も原子力発電所の設置計画がだされ、そのたびに手直しされてきました。その結果、1985年までに4900万KWを開発する計画がたてられていましたが、1976年5月、原子力発電の長期ビジョンの中間報告がまとめられました。 それによると、1995年度には原子力発電の規模が1億2900万KWにされることになっています。現在は、約660万KWですから、20年間で20倍にふやす計画案です。このほかに、1995年度までに、海外に7つのウラン鉱山を開発すること。ウラン濃縮の技術を開発し、1988年から実用化すること。1993年度までに、第二・第三の再処理工場の運転をはじめること。1995年から高速増殖炉の運転をはじめること、などがもりこまれています。 この計画が実行されれば、北海道から九州までの海岸に原子力発電所がたちならび、1億の日本人すべてが放射線の射程距離に入ってしまいます。また、この計画に必要な資金は、原子力発電所の建設費が21兆9000億円、再処理工場などの設備費が2兆4410億円という膨大な金額を想定しています。くり返される 原因不明のままの事故 原子力発電所が原爆のように爆発することは、たぶん、ないだろうといわれています。けれども、死の灰の危険は、原爆よりはるかに多いのです。100万KWのたった一基の発電炉には、核実験によってこれまで地球上にばらまかれたストロンチウム90の約半分が入っています。100万KWというような大型炉は、運転を始めてから日が浅いため、それほどたくさんの死の灰が外にもれるというような大事故はまだおきていません。(1976年当時)けれども、小さな事故はたくさんおこっているのです。 現在、日本の約5倍の原子力発電所が稼動しているアメリカで、事故の報告が、年間、約1400件もあったのに、日本では10件そこそこしかありませんでした。これは、日本の関係者が事故の表面化するのをさけ、もみ消しているためです。その上、日本には、事故の原因を究明する機関がないのです。おなじような事故がくりかえされては、『安全性には問題ない』 と処理されていますが、重要な部分や部品の小事故や、人間のミスなどが重なって、大事故になることが心配されています。空だき事故を防ぐ、緊急炉心冷却装置の有効性は未確認 発電炉が大型化されて、もっとも恐れられている事故が 原子炉の空だきです。原子炉につながっているパイプが破損すると、高温・高圧の冷却水は破損したところから、あっというまに外にでてしまいます。ウラン235は、減速された中性子しか吸収しませんから、減速材の水がなくなってしまえば、連鎖反応は自然に止まります。 けれども水がなくなって、核分裂はおさまっても、炉は空だきの状態となります。死の灰から出る熱で、水が沸騰して吹き出し、炉が空になるからです。溶けてドロドロになった燃料棒は、底にたまって、原子炉の容器や、その土台に穴をあけ、土をとかして、どんどん沈んでいくことが考えられます。アメリカでは、地球の反対側の中国にまでいくかもしれないと冗談めかして、チャイナ・アクシデントと呼んでいます。 このような空だき事故を防ごうというのが、緊急炉心冷却装置(ECCS)です。でも、ECCSの有効性をためすアメリカでの実験は完全に失敗しており、この装置がうまく作動するかどうかは、そのときになってみなければわからないというのが実状です。げんぱつのえほん≪その2≫へ つづきます
2012年12月22日
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げんぱつのえほん≪その1≫ からの続きです。 死の灰が、環境にもれたら どうなるか? 空だき事故で、格納容器が破壊されるようなことになれば、死の灰は、ほとんど外にとびだしてしまいます。そんな大きな事故の時ばかりでなく、ふつうの運転のときでも、死の灰がえんとつの排気や温排水にまじったりして外にでています。 えんとつからもれて、風で運ばれた死の灰からでる放射線は、人間が 直接あびたり、吸い込んだりして、体内にとりこまれます。たとえ、検出器にかからないほど少しの量でも、食物連鎖を通し、生物濃縮をくりかえして、濃度を高めた死の灰の影響が心配されています。ストロンチウム90は、海藻などで60000倍にも濃縮された例があります。 一方、タービンをまわしたあとの、蒸気を冷やすために使われた大量の海水は温排水となって、再び海に流されますが、そのとき、100万KWの原発だと、200万KWもの熱が海に放出されます。この熱による 漁業被害 も また深刻です。北海道から九州までの海岸に、原子力発電所がつくられれば、その温排水のためにも、日本の沿岸漁業は壊滅的打撃をうけるといわれています。天然にあるよく似た物質と おなじところに集まる死の灰 死の灰からでてくる放射線を大量にあびて、やけど、おう吐、脱毛、死亡などの症状が、数時間~数日間でおこる場合を急性障害といい、ガンや遺伝障害などのように、かなり時間のかかるものを晩発性障害とよんでいます。 人体に入ると、たいていの死の灰は、天然にあるよく似た物質とおなじようなはたらきをします。カルシウムと似ているストロンチウム90は、骨にたまります。核実験によって降ってくる死の灰のために、うまれてくる赤ん坊の骨の中のストロンチウム90は、少しずつふえているということです。セシウム137は、ナトリウムやカリウムと似ていて、割合、早く排泄されますが、筋肉内をぐるぐるまわり、生殖細胞を照射するため遺伝的影響が大きいといわれています。ストロンチウム90もセシウム137も寿命がとても長いので、体のなかや環境に長い間、いつづけます。 原子炉の事故があったとき、まっ先にとびだしてくるヨー素131は、海藻にふくまれているヨー素とおなじように、のどの甲状腺にたまってガンをひきおこします。 プルトニウムは、人間がつくりだした悪魔の物質だ 放射性毒物からでてくる放射線のつよさは、時間がたつにつれて、だんだんにへっていきます。そして、放射線が半分になる時間を半減期といいます。プルトニウムの半減期は実に2万4000年で、金属状のかたまりにすると、ソフトボール位の大きさで10kgあり、この大きさにすると爆発します。 細かい粉末になったプルトニウムが、肺などに吸い込まれると大変です。 その近くの細胞がくり返し放射線を受け、高い割合でガンになるからです。 これは、プルトニウムがとてもやっかいなアルファ線をだすためです。アルファ線は、ものを通りぬける力(透過力)が弱いため、体組織中では、100分の数mmしかすすみません。だから、体の外からあびた場合には、表面の皮膚に吸収されて、ひどいやけどをおこします。 体の中では、まわりの細胞を集中的に破壊して、ガンや遺伝子障害をひきおこします。そのため、生物にとって、もっともやっかいな放射線です。プルトニウムの場合、たった耳かき一杯で、数千人を肺がんにするといわれるほどつよい毒性をもっています。自然放射線も、けっして無害ではない 日本の法律では、原子力発電所などによって、1年間に500ミリレム、職業人は5レム(5000ミリレム)の放射線をあびせられても、文句がいえないことになっています。(※1976年当時)500ミリレムをずっとあびつづけたとすると、人口1億人につき、毎年、1万人のガン患者が発生し、2万人の重症の遺伝障害者がうまれてくるということです。 アメリカでこのデータが発表されてから、もう5年以上にもなります。最近になって、5ミリレムの努力目標値がだされてきたものの、日本では、今だに500ミリレムが許容量としてまかりとっているのです。その理由のひとつに『人間は、昔から自然放射線をあびつづけてきたけど平気じゃないか』というのがあげられています。 自然放射線とは、宇宙からとんできたり、食べ物や土の中にふくまれているもので、日本人は1年間に平均100ミリレムあびています。そのため、毎年2000人がガンでたおれていると統計的に推定されていますが、他の原因と区別できないだけで、放射線であれば、どんな少量でも、それなりに害はあるのです。危険もいっしょにぐるぐるまわる、核燃料サイクル 鉱山で掘りだされた天然ウランは精錬されて、濃縮工場で濃縮されます。 つぎに、加工工場で燃料棒に加工されて、原子力発電所に送られます。原子力発電所でもやされた使用済み燃料は、寿命の短い放射性毒物が消えるのを待つため、発電所のプールに半年ほど ねかされます。そして、100トンもある鉄と水にかこまれた容器に入れられて、再処理工場に運ばれます。 再処理工場では、使用済み燃料の中から、もえのこりのウランと プルトニウムと死の灰とをより分けるのです。そして、とりだされたウランは再び濃縮工場へ送られ、プルトニウムは倉庫などに保管され、死の灰は『ドラム缶』につめて、ためておかれます。 このように、原子力をエネルギーとするためには、大量の放射性毒物を、核燃料サイクルにそってぐるぐるまわさなければなりません。その上、現実には、原料も、ウラン濃縮や再処理も外国まかせで、輸送の途中で盗まれたり、放射線がもれたり、たれ流されたりする危険もまた、たえずつきまとっているのです。げんぱつのえほん≪その3≫ へ 続きます。
2012年12月22日
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げんぱつのえほん ≪その2≫ からの 続きです。あてのない廃棄物の処理‥‥あとは、野となれ 山となれ 再処理工場でより分けられた死の灰は、ステンレス製のタンクに入れて、ためておかれます。これは今のところ処理するあてがないからです。死の灰は放射能のために高熱をだすので、いつも水で冷やしていなければなりません。腐食性もつよく、また、水素や その他のガスを発生するため、爆発するおそれもあります。その上、寿命の長いものが多く、原子力発電所から出る廃棄物は、500年から1000年は、厳重に管理していなければなりません。でも、それほど長い間 腐食しない容器はないのです。 学者たちの中には、死の灰を 『ロケットにつんで、太陽にぶちこんだらどうか』 とか、『南極の氷の上に そおっとおいてくれば、自らのだす熱で氷をとかして下に沈んでいき、そのあと、また ふたができるだろう』 とか、『日本海溝のような深い海の底に投げこんで、地球の内部へ沈みこむ造山帯の流れにのせてしまえば、数億年間は地球の表面にはでてこないだろう』 などと、大まじめに考えている人たちもいますが、どれも 実現不可能か、危険なことばかりです。放射能の汚染にくわえて、原爆の恐怖も‥ 天然ウランには、燃えるウラン235が0.7パーセントしか含まれていません。これでは、軽水炉を動かすことができませんので、ウラン235の割合を3パーセント位までに高めた 濃縮ウランを用います。 濃縮ウランをつくれる国は、現在(1976年当時)アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国だけです。ウラン濃縮の技術は、原爆をつくるのをきっかけとして、大がかりに研究されるようになりました。ウラン235を100パーセント近くに濃縮したものが、広島に落とされた原子爆弾です。 一方、1974年には、インドがプルトニウムを原料とする原爆の実験をしました。プルトニウムがあれば、どの国でも原爆をつくれます。そのため、原爆の製造を目的として、原子炉を購入する国が続出しています。国家にせよ、個人のテロ行為にせよ、原爆がつかわれることにでもなれば大変です。原子力発電所がふえれば、それだけプルトニウムが蓄積され、原爆もふえます。わたしたちは放射能汚染の危険だけでなく、原爆の恐怖にも、たえず おののいていなければならなくなりました。電力の需要は横ばい。それなのに強行される発電所の建設 1973年の石油ショックをピークに、電力の需要は低下ないしは横ばいです。それなのに、政府と電力会社は、全国のもうれつな反対運動を無視して、原子力発電を主軸に、大がかりな発電計画をすすめています。原発の稼働率は、事故や故障つづきのため下がる一方で、どれも採算ベースをはるかに下まわっています。その赤字の埋めあわせは、たびたびの電気料金値上げでされているのです。 また、ウランの値上がりには目をみはるものがあり、ウラン供給国の間で、価格カルテルをめざす動きもあります。ほかにも、問題点は山積みされており、どれをみても、わたしたちの未来に利益をもたらすとは考えられません。それなのに、全国各地で発電所のの建設が強行されています。 ばく大な設備投資をすることによって景気を刺激し、各産業に大量の電力を使わせることをねらっているわけですが、わたしたちが、べんりな生活のみを追い、事実を知ろうとしないでいることもまた、人類破滅への道を歩ませる大きなささえになっているといえるのではないでしょうか。裏 表 紙『家庭という名のはなれ島』でやれることを! 私、この6月に出産し、毎日、家のなかにとじこもった生活をしています。この『家庭という名のはなれ島』で、やれることをやっていこうというのが≪宇宙はてない社≫です。 いくら見ても見あきない子どもの顔をながめながら、この子たちが大きくなったとき、どのような世の中になっているのだろうかと考えてしまいます。もしかして、また兵隊にとられたりするようになるのではないだろうかとか、自然は破壊され、海は埋め立てられ、石油タンパクや有害食品のでまわる世の中になるのではないかしら、などと‥。 こんなのは考えすぎならよいのですが、たとえ毒物でも利益になればいくらでもつくったり、売ったり、買ったりしている状況をみると、そうならないと否定することは、だれにもできないと思います。かわいい子どもたちや、そのまたつぎの世代が、今よりもっと身も心も毒され、健康さえ保っていかれない、そんな世の中にならないように、忙しい家事や育児にあてる時間をいくらかずつさいて、家庭という名のはなれ島からできる何かを、みんなで少しずつやっていきませんか。◆ このえほんは主につぎの図書を参考にさせていただきました。久米三四郎 氏 講演録『原子力発電は安全か』ひとりひとりが原子力の恐ろしさを考える会 発行武谷 三男 氏 編『原子力発電』岩波新書久米三四郎氏には、郵送で原稿を ご覧いただき、武谷 三男 氏には、お宅へ伺って、お話をお伺いしアドバイス等を いただきました。 げんぱつのえほん ≪その1≫ ≪その2≫
2012年12月22日
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