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闘魂 サバイバル生活者のブログ
陰謀論の系譜
副島隆彦・佐藤優「暴走する国家、恐慌化する世界」を一気に読んだ。「陰謀の分析なしに国際情勢は読めない」として「陰謀理論の系譜をきちんと学ぶことが必要」と題した節から引用。陰謀理論の系譜について副島氏が語ってくれている。引用部分のあとには、ユダヤ人のラチオとレゾンについて話が及ぶ。副島氏によれば、ユダヤ人は、自分の首をくくる縄さえ売る。強欲と拝金思想にほとほと嫌気がさして、キリスト教やイスラム教が生まれたという経緯らしい。仏教も同じ。そして、ラチオとレゾンは、ユダヤ人だけのものではないけれども、ユダヤ人は徹底している点において、特異な存在だとする。副島氏とて、ラチオとレゾンを否定するものではないが、極端なラチオとレゾンの追求は否定する。みんなが迷惑を被る。金融工学が生んだ、今回の金融危機・大恐慌も典型。いわば、自分の首をくくる縄さえ売って、とうとうロシア・中国をコアにインド・ブラジル、ドイツ・フランスが組んで、アメリカ処分を行う流れになってしまった。ウォールストリート=アメリカにはそのことが見えていないらしい。
(引用はじめ)
陰謀論というと、日本ではいかがわしいものだと誤解されています。しかし、陰謀はある。日本の歴史の中にも多くの謀(はかりごと)や謀議はありました…
…この40年間ぐらいの間にアメリカ合衆国でいわゆる陰謀理論家と呼ばれる人々が出現しました。陰謀理論家として優れていたのは
ユースタス・マリンズ
という誠実な人物です。彼の主著は『世界権力構造の秘密』…です。
このユースタス・マリンズの先生が
エズラ・パウンド
という詩人です。何とアメリカの桂冠詩人です…彼はFRB…の出生の秘密を暴いた本を書いて出版しました。そのために戦争中は国家反逆罪で投獄されていた。そのとき、彼の救護活動を始めたのがユーズタス・マリンズでした。私はこの2人の英傑は尊敬しています。歴史上の真実が多く書かれている。
ところがこのあと、ジョン・コールマンというイギリス人がアメリカに亡命して来て、「(イルミナティ)300人委員会」という一連の本を出版し始めた。この頃からだんだんおかしくなった。さらにディヴィッド・アイクというイギリス人が出てきて、エリザベス女王が爬虫類人だとか、宇宙人が存在し、地球に関与しているとか書き始めた。この辺から、まじめな陰謀論者たちのなかに、おかしな人間たちが計画的に潜り込んできました。
日本では、1980年頃から、宇野正美氏と太田龍氏の陰謀論の本が出るようになった。その中身の大半はアメリカの陰謀論の翻訳です。この2人の仕事のなかには、明らかに虚偽であるのに、強引に陰謀理論として妄想と現実の区別をつけないで書き散らしたと思われる文章が出るようになりました。私、副島隆彦からすると「宇宙人が地球を支配している」とする類の妄想を書く者たちは許しがたい。大きな真実が一般国民に知れ渡ることを阻止しようとする権力者たちの側からの策動に無自覚にひっかかっている人々である…
…総じていえることは、アメリカの新興財閥…であるロックフェラー石油財閥が今の世界支配の頂点にいる。この真実をなるべく軽視して、それよりもイギリスのロスチャイルド・ユダヤ(アシュケナジー)財閥のほうが極悪人であると、意図的に描こうとする傾向があります。このことは広瀬隆氏の大作『赤い楯』…にもいえることだ。とにかく欧州ロスチャイルド家を腐して彼らの悪を書き連ねる。私、副島隆彦の考えからすれば、手落ちであり、たしかに19世紀の大英帝国の時代にはロスチャイルド金融財閥が大英帝国を背後から操ったのは事実でしょう。しかし、20世紀の100年間は、明らかにロスチャイルド家が愛した金(ゴールド)よりも石油の時代であり、ロックフェラー家の力のほうが上回った…
…私は広瀬氏に対して、「ロックフェラー家の巨悪についてももっと書いたらどうですか」と自著の中で呼びかけたことがあります。セリッグ・ハリソンという現役のCIAの核問題担当の高官が広瀬氏の先生ということでしょう。
このように、ヨーロッパ(イギリス)とアメリカ合衆国の戦いのなかに現代世界史の中心軸がある。「ソビエト共産主義陣営対アメリカ自由主義陣営の戦い」は世界の人民大衆を操るためにつくられた対立構造だったのだと思います…
…
キャロル・キグレー
Carrol Kyglley
という重要人物がいます。彼はワシントンDCの名門ジョージタウン大学の教授だった人で、1963年11月22日にジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたときに強い衝撃を受けて、大きな真実を明らかにすることを決意し、大著『悲劇と希望』Tragedy and Hope(1966年)を著しました。彼は、ジョージタウン大学の正教授でありながら秘密結社にも入っていました。最高レベルの学者でした。キャロル・キグレーはビル・クリントンの指導教授でもありました。
この世界はごく少数の人々が権力を掌握しており、民主政治を実質的に乗っ取り形骸化させ、上から支配することが行われていると満天下に明らかにしました。いわゆる「陰謀理論」という一群の著作群は、このキグレー教授の勇敢なる、大きな真実の暴きの本である『悲劇と希望』から始まったのだといってもいいでしょう…
…このようにアメリカではコンスピラシー(共謀)研究という学問のスタイルになっているのに、日本の知識人や読書人の多くは怖がって近寄りません。人種差別の臭いをかぎとるからでしょう。ところが、日本の臆病な反陰謀論の人たちほど、実は密かにこれらの本を読んで感動しています…
(引用おわり)
ちなみに、この話を受けて、佐藤優氏は、陰謀論の系譜を研究すれば、自分が陰謀家でないことを証明できると述べている。要は、陰謀論にハマって判断力を失なってしまわないことが大切だ。本書は期せずしてそうならないための格好の入門書となっている。テーマは神学や秘密結社に及んでいて、非常に勉強になる。これらに焼けどしないよう、正しい理解に到達するのに必須の文献であり、ここから出発すれば、日本の政界・官界・学界・メディアもすこしはまともになる。副島氏の言葉を借りれば、「獣道」ではあるけれども、ここを避けていては絶対に「世界水準(レベル)」に至らない。世界認識において。
2008年12月21日 根賀源三
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