5月17日、公明党の山口那津男代表は党幹部の会合で声を張り上げた。前日の16日夜には、自民党の谷垣禎一総裁と会談。
自公両党の党首で会談するのは久しぶりのこと。
思惑の違いを指摘されていた両党が足並みをそろえ始めた。
公明党と創価学会にとって、東京都議選と参院選が控える来年に衆院選も実施され「トリプル選挙」になるのは何としても避けたい。
さらに、「前回、ゼロだった小選挙区での当選がウチの至上命題。そのうち関西の6選挙区は、橋下徹大阪市長との協力でメドがついた」(公明党幹部)ことも強硬姿勢の背景にある。
創価学会の池田大作名誉会長が「関西ナンバーワン作戦」を推進してから半世紀、金城湯池だった関西を席巻するとみられる大阪維新の会との選挙協力がほぼ、みえてきた。
創価学会は「7月22日」を最短の投票日に設定した選挙態勢を本格化させており、いつ選挙になっても準備は整っているからだ。
ただ、仮に自民党と民主党が消費増税法案で合意すれば、公明党幹部は「賛成するのはやぶさかでない。その場合は事実上の大連立となり、長く続くのは世論が許さない。
いずれにしても年内には選挙だ」と語る。硬軟両様、二正面作戦が現段階での公明党のスタンスだ。
6月になれば、いよいよ公明党の出番だ。政局が緊迫して会期延長論などが出れば、必ず内閣不信任決議案の話も出てくる。友党の公明党が不信任に明確に動けば、同じく野党の自民党は反対には回りにくくなる。事情通は「不信任案は衆院で50人いれば提出できる。自民抜きでも成り立つ数字だ」と解説する。
一方、総選挙を考えると、公明党も先走って、自民党との共闘は崩したくない。公明党が不信任に舵を切るか否か。野田政権の命運を見極めるには、ここを見ていれば間違えることはなさそうだ。