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愛の讃歌　覚え書き

テーマ：【演劇】何か見に行きますか？　行きましたか？(3316)

カテゴリ：美輪明宏さんの舞台＆映画

美輪明宏さん主演の舞台を五月に鑑賞。時間が経っていますので

【舞台の内容に触れますのでご覧になりたくない方はどうぞスキップなさって下さいね】

エディット・ピアフの生涯を描いた「愛の讃歌」を見たのは２００６年が初めてで、
今回は２度目。

先回は、全体的に哀調ただよう舞台だったような記憶があるのですけれど、
ピアフの妹分であるシモーヌをＹＯＵさんが演じておられたおかげか、
コミカルに和やかな色も添えられていて。

次々巻き起こる悲惨で救いようのないような場面でも笑いを含むことができ、

舞台をとてもメリハリのあるものに、なにより、美輪さんがとても愉しそうでした。

先回は、木村さんが演じておられたピアフの最後のパートナー・テオは、２００９年の
「毛皮のマリー」の美少年役・吉村卓也さんと同じく、オーディションで役を獲得された
佐藤雄一さん。

すでに名を成し、その名を聞いただけで人物をイメージできる恋人たちに対して
はじめ一ファンとして立つテオは、物語の最後の最後になって登場することもあって、
ピアフの全存在を支える男性として成長するさまを見せるのは、かなり困難なこと。

それが、佐藤さんのテオは、第三幕目の短い時間にどんどんと変化してゆき、
おずおずとした少年が、ピアフを心から思い、ときに叱れるまでになり、
彼女がこの世を去ったあとも愛し続ける姿がきちんとイメージできるほど。

ピアフが椅子の上で最期を迎えるシーンでは、彼女の膝に顔をふせ

全身から感情のうねりがほとばしるように伝わってきて、舞台鑑賞では
泣いた記憶はほとんどない私をふくめ、涙した方々がたくさんいらしたのでした。

ラストは「水に流して」の日本語バージョン。
ＮＨＫの「ＴＡＲＯの塔」のテーマ曲では、フランス語で歌われていたので
この曲を美輪さんの美しい日本語で聞けたのも嬉しいこと、そのほか

お芝居とコンサートを同時に堪能できる佳き舞台。

カーテンコールでは、客席をご覧になりながら佐藤さんに寄り添って
美輪さんが何か話しかけられていたのが印象深く。

いつもはご自分ひとりに集中することの多い視線が、ピアフと同じく
育て上げたパートナーにも暖かく注がれていることを喜ばれていたのではないかしらと
想像しながら、愉しき舞台鑑賞を終えたのでした。

「美輪明宏さんの舞台鑑賞の日記」