発達障害児が伸び伸びと育つために~保健師の目で見た子育て~

親と一緒に歩んでくださいね。


その分、厳しさも持っておられます。

小1になって、ほんの1ヶ月もたたない頃でした。
さっそく呼び出されました。仕事を休んで、先生に会いに行きました。

当時、私の妹が2年半の闘病の末、入学式の5日目に亡くなったばかりだったので、なにげに涙が浮かんでくるような状態でした。長い闘病生活の間、子どもたちに寂しい思いをさせることもしばしばでした。

まだ、診断もされていない時の話です。
TAKUYAの落ち着きのなさは、常に心の重荷でした。TAKUYAが落ち着かないのは、私が妹の闘病生活に一生懸命になっているから、愛情不足なのかもしれないと思っていました。


担任のS先生から呼び出された私は、TAKUYAの問題行動の数々を伝えられたのです。もう、がっくりと力を落とし、涙をこらえるのだけで精一杯。
何も言えずにいた私に、S先生は、
「TAKUYA君が喧嘩をして、友達の体操帽のゴムを引きちぎってしまったので、修理して持ってきてください」と手渡されました。

妹を亡くし、まだ落ち着かないことは連絡帳で伝えてあります。

心を奮い立たせて、これまでの状況や、「関わり不足でTAKUYAの情緒が不安定になっているかもしれません」と言いました。

すると先生は、
「そんな言い訳は子供には通用しませんよ」と、おっしゃいました。
厳しいばかりに事実を伝えてくださった先生でした。

子どもの世界では言い訳は通用しない・・・


厳しいその言葉は、真実です。

「TAKUYA君は乱暴者で怖い」というレッテルを子どもたちに貼られたら、「こんな状況なので今は愛情不足なんです」なんて言い訳できないということです。


言外に、こんな言葉が続いていたと思います。
「だから、親がしっかりしなきゃいけませんよ」「親が背負わなきゃいけませんよ」

当時、途方にくれていた私には、とても重くのしかかってくる言葉でした。
とても厳しく感じました。心細く感じました。

今の私は、こう思います。

子どもの世界では言い訳ができないからこそ、発達障害を持った子には、大人の理解とある程度の介入が必要なのです。

そして、「その言い訳できない現実を、親だけが背負わなければいけないわけではない、学校も一緒に背負ってください。」
と、胸を張って頼むことができる親になりました。

「学校でも一緒に背負っていただけるように、学校に対してがんばって働きかけましょうね」
こんな風に言って、初めて親の重荷を軽くしてくれたのは、その1年後に出会った教育相談センターのM先生でした。


一緒に歩んでくれる人との出会いで、それまで背負い続けていた重荷が、どれほど軽くなったことでしょう。


先生、どうか親と一緒に歩んでくださいね。
先生のことも一生懸命応援したいと思っています。

Akiko



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