発達障害児が伸び伸びと育つために~保健師の目で見た子育て~

理解を得るための「言葉」を考え抜くこと。



例えば、
1.分野別の能力にばらつきがあること 
2.多刺激に対応するのが苦手なこと 等々を伝え、

1)具体的な指示を与えてほしいこと 
2)刺激が多いと集中できないので、座席は一番前にしてほしいこと 
3)指示はひとつずつ与えてほしいこと 
4)様子を知りたいのでノート交換をしてほしいこと
・・・・・を頼みました。
先生は了解してくれるものの、反応は、「他にももっと問題のある子はいる、算数なんてもっと出来ない子もいる、なのになぜTAKUYA君だけ?」という感じでした。

なんともいえないもどかしさを抱えましたが、しょうがないです。

親としては、「もっとできの悪い子がいるんだから・・・TAKUYA君なんてまだましですよ。なぜ特別な支援を求めるの?」と(さりげなく)言われるのは、心外でしたが、返す言葉が見つかりません。

「そうではない」と上手に伝えて、相手を説得するための言葉を思いつかなかったのです。

だから、心の中で「ひどい」と思っても、黙って「ただお願い」するしかできなかったのです。
それでは信頼関係を作ることは難しく、「わかってくれない」と弱者意識・被害者意識を持ってしまうだけです。

親は、泣いたり怒ったりするよりも、「伝える言葉を身につける」ということが、なにより必要なことだと感じました。
理解されにくい子をもつ親だからこそ、理解されるような努力をしなきゃいけない。


言葉で表現できないと、なかなか理解を得られなくて、結局は「愚痴」と「泣き言」「あきらめ」「怒り」で終わらなければいけなくなってしまうのです。

「言葉で表現することが苦手なわが子」を見ていると、
親も一緒に「言葉で表現する修行」を与えられているように感じました。
私たちは、親子で同じ修行を始めたのです。

説明する言葉や理解を得る言葉を選び、考え抜いた2年間でした。今でこそ、信頼関係を作って、理解され、必要な支援を得られるようになっていますが、最初は戦いでした。

言葉には言葉できちんと返さないといけません。返す言葉を持てるよう、考え抜かないといけない。また、本を読むのもその助けになります。


例えば、
「お宅のお子さんだけ“特別扱い”はできません」と言われたら、そこでひるむのではなく、
「“特別扱い”ではなく、“特別な支援”が必要なんです。どの子に対しても、その子にあった支援をしてくださっていると思います。この子にあった支援には工夫が必要だというだけなんです。特別な支援があれば、この子は伸びることができるんです」
と切り返す力が必要です。

それによって、先生自身も納得してくださり、支援しやすくなるということもあるんですよ。

先生だって、「特別扱い」だと思うと他の子に申し訳なくて、できないのです。でも、この子にあった「特別な支援」だと思うと、一生懸命取り組んでくださいます。
言葉は、本当に、力を持った生き物だと思います。


Akiko

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