アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

建設不況の脱出


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                第20号
               ★★★★★★★★ 
       「見方が変わる!『超』マーケティング発想法」
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  ●発行責任者:アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩
 読者数:930名
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 【はじめに】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――――――――――
こんにちは、みつおかです。いよいよ4月ですね。桜もここかしこで咲き出
しました。23日、大学の卒業式に25年目のOBが呼ばれました。私は仕事
で参加できませんでしたが、昨日、ニューオータニで卒業25周年の謝恩会が
ありました。四半世紀振りに会う顔は皆貫禄が出ていましたが、少し話すと学
生時代に戻りました。懐かしい顔です。千人を越す参加者。嬉しい伝統です。
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◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇ 不況業種からの脱出を考える ◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆
            建設不況をぶっ飛ばせ        
      NHKビジネス塾「燃える日本の中小企業」より  
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●建設業界は公共事業費の大幅削減に揺れています。かつては700万人いた
就労者は600万人を割りこもうとしてます。NHKビジネス塾のケースを素
材にして、危機に瀕した建設業自活の道を見てみましょう。
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▼建設業社はどんな小さな、町にも必ずある。福島県だけでも1万1千社が存
在する。公共事業費は3年前と比し25%も落ち込んだ。福島県建設業協会の
会長、佐藤勝三は危機感を募らせた。2001年14社の会員企業が倒産した
。このままでは毎年、3、40社が倒産する。従業員の雇用を守るため、考え
たのが、どこにもある強みを生かした介護サービス事業への参入である。

▼地方では高齢化が進んでいて、福島県下には65歳以上の人口が50%を越
える地域もあった。ここに目をつけての大胆な発想であった。地域密着の強み
を生かしてキメ細かな介護サービスができるのではと考えたのだ。まず、協同
組合で養成研修を実施し、2級訪問介護員を養成する。合格した介護員を新会
社ケア・ビルダーに登録し、随時ヘルパーとして派遣する。

▼建設業従業員がホームヘルパー?との疑問の声もあったが、建設業で鍛えら
れた気力は、肉体的にもきつい介護サービスに適していた。また、介護だけで
なく、高齢者向けのてすりなど住宅改修の必要性にも気づくはずだ。介護を通
じて新たな建設需要も掘り起こせるかもしれないと考えたのだ。2002年、
161人のヘルパーが誕生した。目標は3年で1万人である。夢は膨らむ。
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▼北海道・遠別町では1つの建設業者が町を再興する原動力となっている。北
浜建設株式会社の有田社長である。人口が4千人にも満たないこの町は過疎が
進んでいた。稚内から南下した遠別町は稲作ができる北限の地である。遠別町
では、建設業に従事する人の割合が最も高く働いてる人の3割を占める。無論
農業が町を支えているが、専業は少なくほとんどは兼業農家で、多くが建設業
に従事している。有田は建設業の将来に大きな不安を抱いていた。

▼これ以上公共事業が減ったら社員をリストラせざるを得ない。だが、この小
さな町で再就職先を探すのは至難の技である。有田は何をすべきか悩みぬいた
。足元を見つめ直してだした結論は農業だった。考えてみれば、土地を切り拓
いたり農道を作ったりと建設業は農業と密接に関係している。土が資本の農業
と土のプロの建設業。とは言っても有田は、農業はズブの素人であった。

▼そんな有田が出会ったのが、有用微生物群を利用した有機農業の「EM農法
」であった。素人の強さで行動した。広大な耕地を借り入れ、早速ブルドーザ
ーを入れた。土地は兼業農家の従業員もあきれる荒地であった。有田は「素人
にできっこない」との大合唱の中、土作りを始めた。牛糞400トンを畑の角
に集めEM菌で醗酵させ堆肥を作った。有機農業のためのいい土作りには土壌
改良が必要だ。土壌改良を担う所に、建設業の活路を有田は見出したのだ。

▼4ヘクタールの畑に5月、かぼちゃと大豆の種を播いた。責任者に北浜建設
の取締役工事部長、辻昭博が任命された。辻は毎朝3時30分に畑に育ち具合
を見にきた。かぼちゃに向かって話しかけるのが日課になった。「あんたのお
蔭で私らは首がつながっているんだよ。ありがとね」。予想外の豊作だった。

▼結局、志を同じくする仲間が集まった。基幹産業の農業が衰退すれば、町も
衰退する。建設業社3社とタクシー、ガソリンスタンド、農協、魚連なども加
わって、民の力を結集して遠別産業復興公社を設立した。農業生産法人の認可
も取得した。酪農家や漁業家から買い取った原料で堆肥を作り、供給する。で
きた有機農産物を公社が買い取り加工食品を作る。その食品を遠別の特産品と
して地元の商店街が販売する。その結果、町も活力を取り戻す。有田はそんな
「循環構想」を描いた。事実、北海道全域からの視察が絶えなくなってきた。

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【 みつおか流料理のツボ 】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――
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●どうでしたか?今回はちょっと視点を変えてみました。不況業種の建設業界
。リストラをさせたくないという「想い」が新しい事業を生み出しました。



▼田坂広志氏の本『これから働き方はどう変わるか』を読んだ。田坂氏は複雑
な事象をシンプルに捉える天才である。原理原則を実に分かりやすく解説して
くれる。我々は何故、働く喜びを失ってしまったのか?その原因を、収入や肩
書きなどの目に見える報酬にとらわれているからだと言う。勝者と敗者がはっ
きりするゼロサムの時代には、目に見えない報酬を身につけることが大事だ。

▼目に見えない報酬は三つある。1)「職業人としての能力」2)「働き甲斐
のある仕事」3)「人間としての成長」。これらの目に見えない報酬は、一旦
身につければ、決して失われない報酬である。これからは、仕事をすればする
ほど皆が喜ぶ、社会起業家の時代になると予言する。まさに、きつい介護事業
への参入もこんな時代に対応している、働き甲斐のある仕事のように思える。

▼私は7年前に猫の額程の畑を借り5年間ほど有機農業を目指したことがある
。やはりまずは土作りからであった。落ち葉や生ごみを集めて醗酵させる。堆
肥を混ぜて、化学肥料と農薬でやられた土地を回復させるのだ。これらの有機
物を微生物が食べてくれる。できた堆肥を食べにミミズがやってくる。ミミズ
君は縦横無尽に畑を耕してくれる。畑が柔らかくふわふわしてくる。

▼驚異の自然連鎖が土を甦らせてくれるのだ。入手するのに苦労したが私もE
M菌を活用した事がある。EM農法は琉球大学の比嘉教授が偶然生み出したも
のである。今まで醗酵には単一菌を用いてきた。何故か善玉菌と悪玉菌をごち
ゃ混ぜにした有用微生物群を用いると驚く成果が出た。しかし農学会からはい
かがわしいと総スカンを食った。結果はよいが、科学的なメカニズムが分から
ないという理由だ。化学肥料を販売している農協も総反対した。

▼日本が生み出した画期的なEM農法は日本では広がらず皮肉にも海外で評価
された。痩せた土地でも廉価で収穫量が上がる結果に、東南アジア、南米、ヨ
ーロッパで広がったのだ。実践結果より学会や農協のメカニズム重視。日本で
も農協から独立した一部の農家が実績を上げた。比嘉教授の本「地球を救う大
変革」はこうした書籍としては珍しく、十年前にベストセラーとなった。

▼産業の空洞化が叫ばれるが、老齢化とか健康関連など地域生活に密着した事
業は今後もますます増大する。不況業種の建設業界の一部がそこに目をつけ、
介護事業や有機農法循環構想に自ら乗り出したのは注目に値する。「働く」と
は「はた(身近な人)を楽にする」ことだが、これからは「社会の皆を楽にす
る」ことが重要かもしれない。働き甲斐を各人が考える時代になってきた。
 21世紀は、自分の魂が喜ぶことをする人間成長の時代なのかもしれない。
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【今週のみつおかひろしの薀蓄】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――― 
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●【マーケティング原理33】「成熟・衰退市場にはチャンスが眠っている。
               他の成長分野のビジネスモデルを適用せよ」

●【今週の一言】
 「我々一人ひとりの「働き方」の変革とは何か。
          それが、『社会起業家』としての働き方への変革です」
      田坂広志 『これから働き方はどう変わるか』 ダイヤモンド社 

 「人間の幸福の条件は一生通じて、本当に好きなことをやりとおせる
                           ことにあります」
      比嘉照夫 『地球を救う大変革』 サンマーク社 

 「人に学び、人と学び、人を高める」 BBメディア・CEO佐野 真一  

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★☆☆☆☆☆  <<みつおかひろし の編集後記>>  ☆☆☆☆☆★
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■■■■編集後記□□□□
■■■ 卒業25周年謝恩会に3次会まで参加してしまいました。二日酔いの
■■ 頭で夜中に一気に書き綴りました。迷わずに書けるのでたまにはいい
   のでは? でも眠いヨー。 

 ■【次回予告】では、来週は野菜ビジネスを考えてみましょう。ローテクと
  ハイテクを融合したビジネス・モデルです。 

●アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩(みつおか ひろし)
  http://plaza.rakuten.co.jp/hiroshi777
  http://www.h6.dion.ne.jp/~hiroshi3/index.html 




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