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感謝カ～ン激！阪神・金本、ビデオ判定弾

マンモスが一瞬静まりかえり、二塁ベース上の金本が心の中で手を合わせた。バットが快音を発してから約３分半後、真鍋三塁塁審が右手をグルグルと回す。判定が覆っての先制３号２ラン。お祭り騒ぎに変わった聖地を、いたずらっ子のような笑みで駆け抜けた。

　「ビデオ判定だったんですが、１点よりも２点の方がいい。監督が抗議してくれて、覆ってよかった。ヤクルトの選手が本塁打のような顔をしていたので、早くビデオを見てくれないかなと思っていました」

　お立ち台で振り返ったのは一回二死二塁。先発左腕・村中の真ん中高め１４５キロ直球を一閃。打球は浜風に乗って、左翼ポール際にガシャン！　先制弾に見えたが、判定は「二塁打」。真弓監督がベンチを飛び出した。

　前日は微妙な判定に鬼気迫る表情で声を荒らげた指揮官だが、「（名幸球審に）『はっきり見えている』といわれた」と、３０秒足らずで“白旗”。駆け足で引き揚げようとした。これには“ビデオで確認して！”とばかりに、金本も二塁ベース付近で必死のジェスチャー。きびすを返した将は「ベンチから見えなかったので、お願いした」とアピールし、ようやく甲子園初のビデオ判定に持ち込まれた。

　責任審判の真鍋塁審が「金属の部分に当たっていた」と説明し、ポール直撃弾と確認。長嶋茂雄を超える通算４４５号は、虎版“メークドラマ”に演出された。

　主砲とベンチの“必死の抗議”が打線に勢いをつける。一度は逆転されたが、四回にはブラゼルの３ランで再逆転。七回二死満塁で、自ら右前へダメ押しの２点打をはじき返した。

　「（長嶋さんを）超えたといっても本塁打だけ。それ以外はとても追いつく人じゃない。でも、超えたのはうれしいです」と謙遜するが、「やっと集中力というか速いボールに対応できるようになってきた」。

　開幕直前に右肩を痛め、打率は１割台と低迷しているが、和田打撃コーチも「日増しによくなっている」と証言する。今春の血液検査で疲労回復を促す成長ホルモンが、３０代の数値をたたき出していたことも判明。驚異の回復力で右手でのハイタッチも“解禁”した。今季初の３試合連続安打。試合後はベンチ裏で約３０分間の素振りを繰り返し、復調の手応えを反すうした。

　３カードぶりの勝ち越しで勝率を５割に戻し、１３日からは東京ドームでの巨人戦。鉄人と呼ばれる男の心の叫びが、虎を再び上昇気流に乗せた。

ミスター超え！金本、ビデオ判定で４４５号

阪神・金本が一回裏、今季３号となる先制２ランを放ち、通算４４５号本塁打を達成。巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の通算４４４号を抜き、歴代単独１３位となった。

　試合開始早々の一回裏二死二塁、金本が放った打球はレフトポールに当たり、最初はニ塁打と判定された。しかし金本が真弓監督にアピール、ビデオ判定の結果、本塁打となった。判定を聞いた金本は笑顔でホームイン。７日に放った４４４号に続き、４４５号も甲子園でメモリアル弾を放った。

阪神２連勝！金本、メモリアル弾含む４打点

阪神は、４番・金本が先制２ランを含む４打数２安打４打点の活躍、７番・ブラゼルが逆転３ランを放つなどして快勝、２連勝とした。先発の下柳は５回３失点ながらも今季初勝利を挙げた。
金本は試合開始早々の一回裏二死二塁、放った打球がレフトポールに当たり、最初はニ塁打と判定された。しかしビデオ判定の結果、本塁打となり通算４４５号本塁打を達成。巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の通算４４４号を抜き、歴代単独１３位となった。

　阪神は二回表、ヤクルト・衣川のタイムリーなどで同点に追いつかれ、四回表にも１点を追加され２－３と勝ち越しを許した。しかしその裏、ブラゼルが３ランを放ち、５－３と逆転。七回裏には二死走者なしからヤクルト・衣川の送球エラー、四球などで満塁となり、金本がタイムリーを放って２点を追加した。

　金本はこの日４打数２安打４打点の活躍。試合後、ビデオ判定でのメモリアル弾について「（判定が）覆って良かったです。ヤクルトの選手が“ホームランだ”って顔してたんで。これからどんどん調子を上げていきたい」とコメントし、長嶋氏の記録を超えたことについては「ホームランだけでも超えられたのは嬉しい」と笑顔で語った。

阪神・金本、思わぬ形で長嶋超え達成

にやりと、いたずらっ子のような表情で４２歳はダイヤモンドを一周した。阪神・金本の通算４４５号は、二塁打からビデオ判定で本塁打と認められる思わぬ形で達成された。長嶋茂雄を超え、歴代単独１３位となる一発に「ヤクルトの選手が本塁打っていう顔をしていた。覆ってくれて良かった」と鼻をこすった。

　一回２死二塁から、高めの直球を「とにかく力負けしないようにと思って振った」という打球は左翼ポールを直撃。２試合連続の先制打でチームを勢いづけた。七回には２死満塁から今度は右前に運び、大きな２点をたたき出した。

　開幕前に右肩を痛めたこともあり、打率は１割台に低迷していた。だが和田打撃コーチは「練習でも日増しに力強くなっている」と話し、本人も「やっと速いボールに対応できるようになった」と復調を認める。

　４番打者の活躍で、チームは３カードぶりの勝ち越し。「今年は打って打って投手を助ける戦い方。打ちまくりたい」。虎の主砲が自信を取り戻しつつある。

甲子園では初！阪神・ブラ、右へ逆転Ｖ弾

「この３連戦は、いいところで打てていなかった。甘い球が来たら逃さないようにと思っていたら、上手くバットに当たってくれたね」

　１点を追う四回無死一、二塁。先発・村中の内角低めのスライダーをジャストミートした。チーム１位の５号。大股で悠々とベースを１周し、跳ねるように仲間とタッチを交わした。

　「低めの変化球やボール球の見極めが去年よりできているよ。甲子園で右翼席に打った覚えがないけど、初めてかな」

　９日のヤクルト戦の４号は左翼ポール直撃。昨季は１５本塁打中１０本が右方向だが、本拠地の４発はすべて中堅から左だった。３月１６日の巨人とのオープン戦で、東京ドームの右翼席上段へ特大弾。チーム関係者に「大きかったな」と称えられると、「あれでも甲子園では入らないよ」と答えた。それほど“嫌い”な浜風。試合開始から吹いていた右から左への風がストップし、待望の一発を後押しした。

　助っ人コンビのマートンの絶好調にも、「１人の調子がいいとみんなに勇気を与えるね」と喜んだ。そんな相棒に５日、長女・メイシーちゃんが誕生した。家族ぐるみで付き合う友人の朗報。ラニー夫人と一緒にお祝いを用意していた。赤ちゃん用の小さなブランケットとテディベア。生まれたその日に、マートン宅に届けた。病院で家族で過ごす一家に気を遣い、「楽しみだけど、いまは大変な時期だからね」と静かに祝福した。

阪神・新井、今季２度目の３安打猛打賞！

阪神・新井が今季２度目の３安打猛打賞。５番にも当たりが戻ってきた。一回、金本のビデオ判定弾の余韻がまだ残る打席で、右中間二塁打。四回の先頭では、内角のスライダーを左前にはじき返し、ブラゼルの逆転３ランを呼び込んだ。六回にも左安を放ち、３本目。４打数３安打で試合前の打率・２３９から・２８０まで上げ、真弓監督も「（調子が）戻ってきたみたいだね」と復調を感じていた。

虎マートン、開幕からず～っと出塁シテマス

助っ人の全力プレーが、試合の天秤を虎に傾けさせた。先制弾のお膳立てに、ダメ押しタイムリーの呼び水。開幕から全試合で塁上を賑わし続ける阪神・マートンが、勝利を引き寄せた。

　「勝ったのが１番だよ。バッティングの調子はいいし、勝ててよかった」

　勝者の列でトレードマークの赤毛が揺れた。１９９１年にオマリーが記録した開幕から１９試合連続出塁に迫る好調ぶり。虎の新たな切り込み隊長が、また魅せた。

　まずは一回。ヤクルト先発・村中の初球、１４５キロをコンパクトに右前にはじき返した。１４試合連続出塁となる一打で足がかりを作ると、二死後に金本が先制２ラン。打線を勢いづかせた。

　同点の三回先頭でも中前打を放つと、１点差の七回二死走者なしでは、たたきつけたゴロがイレギュラーバウンド。一塁手・デントナのまたの下をすり抜けた。敵失を誘ってリズムを崩すと、悪送球と四球で作った満塁から金本が２点打。Ｍ砲のバットが、勝利の女神を振り向かせた。

　やる気がみなぎっている。帰宅を心待ちにしていた“女神”が９日に戻ってきた。長女・メイシーちゃんを５日に出産した後、ステファニー夫人（２８）は病院で生活。慣れない異国の地での１人暮らしが続いたが、それも終わった。

　ナイター後、１人で西宮市内の牛丼屋に向かったこともあった。「吉野屋？　ベリーグッド！」と日本の味を楽しみもしたが、「守るべき家族が増えた」と自身を支えてくれる妻子の存在が、何よりの活力だ。

　「タイガースファンはすごいね」。ロッカーへ戻る直前。聖地の大観衆を思い浮かべた。ノリにノっている虎の『１番・中堅』が、猛虎をさらに加速させる。

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