極めて個人的な外界との繋がり

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雪村抱月

雪村抱月

October 21, 2004
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 朝、囁くように降っていた小雨は昼前には上がって、見る見るうちに雲が薄くなっていった。午前中を会議で潰されてしまったお蔭で、午後一杯は、また走り回る事になった。

 「富士山、見える?」「さっきまでは見えていたんだけどね」そんな会話を交わして、またいそいそと席に戻る。
 夏に比べて太陽の高度が落ちているので、これまで日が当たらなかった場所に光が届くようになっている。
 「摩天楼」は、窓から見える遠くのビル群ではなく、私の机(及びその隣の机)に堆く積まれた書類やファイルの事である。斜めに差し込む日差しによってそこかしこにファイルの影ができる。もうほとんど収拾が付かないほどに散らかっているので、あまり暢気にその情景を楽しんでいる場合ではないのだが・・・。
 どこまでも広がっている空が気が付くと青みを増し、見事な晴天に生まれ変わっている。雨上がりだからだろうか、すっきりとしているように見える。気持ちもそれによって少し落ち着く。
 「ああ、仕事しなくっちゃ」とPCに目を戻す。
 夕刻、黄金色からセピア色、更に群青色が入り混じるようになる。暗くなり始めた地平線のちょっと上のほうは、ビロードのような薄い灰色になっている。雲がなかったので、ちょっと単調な夕暮れだったけれども、何となく秋から今度は冬へと向かうような、シックな感じのする時間だった。
 「あれ?あの書類どこだっけか??」上司に言われて、資料を探してそうにも、INBOXどころか、キーボードの右も左も紙だらけで(しかも左側のお隣さんの机にまで侵略している!)、ガサゴソしていると、「あー慌てなくて良いから。しかし、ちょっと酷いな」と上司が苦言を呈す。元来、片付けるのが苦手と言っても、威張れた事ではないし、ここのところの忙しさでは、片付ける時間がないも同然なので、「すみませ~ん」と言いながら、意味のない(しかし奥が深い)笑いを浮かべてみせる。

 しかし、そろそろ限界だから、摩天楼を解体して、出来るだけサラ地が多くなるようにしなくては。
 誰も居ないのに、バサバサと書類の山が崩れるようになるのが、私達の部署では「危険信号」としている。それじゃ、まずいのだけれどね。





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Last updated  October 22, 2004 12:02:02 AM
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