全161件 (161件中 1-50件目)
少年・青年漫画の人気作で、気になっていたタイトルをいくつか爆読しました。超簡単感想です。*以下、最終話までのネタバレ含みます。*少年漫画感想『東京卍リベンジャーズ』(和久井 健先生・講談社・週刊少年マガジン・全31巻)大人気作。ずっと気になっていましたが、昨年の完結を受け、一気読みしました。非常に面白かったです!マガジンお得意の不良ケンカモノですが、タイムリープ設定が、ただの不良モノとは一線を画す正当性・納得感を生んでいたと思います。いわゆるケンカモノで、「男の意地・友情」を「退けねぇ理由だ」的に描かれても、正直私には感情移入は出来ず、「はぁ…大変だね(この場は逃げるのが100%得策だと思うが)」という感情しか湧かないことがほとんどなのですが、本作の、主役の武道くんを突き動かす「悲惨な未来を絶対に変えたい!」という意志は、「そりゃ、絶対に退けんわ!」と素直に応援しながら読み進めることが出来ました。武道くんが、何度も何度も何度も何度も諦めずにタイムリープを繰り返して、その彼の折れない心を、ヒナちゃんや千冬くんといった、本当に武道くんがやっていることをきちんと見てくれている人たちが支えているのもよく分かります。読み進める中で、何を頑張っても「悲惨」に変容していく未来の根本的な原因に、圧倒的カリスマ・『マイキー』の存在があることは、ひしひしと感じ取ることが出来ました。彼自身がそれを望んでいるわけでは全くないですが、あまりの彼の魅力に周りが狂っていってしまって、「マイキーのために」って変な動きをし出してしまう。結果、大事にしたいものから傷ついて失っていってしまう、マイキーの、カリスマであるが故の孤独…というか、なんやかんや「ココ」が原因だな、ときちんと分かるように見事に描かれていたな、と思います。また、この「悲惨の連鎖」の始まりとして、マイキーのお兄さんの過去話が出てきたところは、なるほど、こうやってちゃんとこの部分を形にして出してくるんだ、と驚きました。形にすることで、最後「これなら連鎖を断ち切ることが出来る」と解決策きちんと提示することも出来ていて、はぁ~なるほど~、と感心しながら読みました。本作の、やはり一番の見どころというか、一番大きな課題としては、「武道くんが、絶対に敵わない圧倒的カリスマ・マイキーに挑みに行く」というものがあります。第1巻を読んで、真っ先に期待したくなるのも、やはりこれ↑です。紆余曲折ありながら、ラストはそこに盛大に向かっていってくれて、しっかりやり切ってくれて、やり切った先の、大逆転の突き抜けハッピーエンド!登場してくるキャラクターも、皆いちいち魅力的なので、最後は嬉しいばっかりの気持ちで、読み切った~!読んで良かった~!と素直に思える最終巻でした。アニメや映画版は未鑑賞なのですが、アニメOPテーマ・Official髭男dismの♪Cry Babyは、とても合ってるな、素晴らしいテーマ曲だな!と思って聴いています。by姉
2023.08.08
コメント(0)
少年・青年漫画の人気作で、気になっていたタイトルをいくつか爆読しました。超簡単感想をアップしていきます。少年漫画感想『五等分の花嫁』(春場ねぎ先生・講談社・週刊少年マガジン・全17巻)大人気ラブコメ作品を、今更ですが鑑賞しました。美少女5つ子ちゃんと、彼女たちの家庭教師を請け負った男子高校生(貧乏で秀才)の物語。ずば抜けた画力、脳みそと画面が繋がっていることが分かる演出・描写力、ベターでありながら、いちいち意外性のあるお話回し、ラブコメ作品に求めるテンポ・緩急も素晴らしく、全方位で抜けている漫画作品だな、という印象です。更に、これだけクオリティの高い作品で、最大の魅力は、キャラクター作りが非常に柔軟な点。5つ子ちゃんたちが、一人一人個性的なのはもちろんなのですが、いちいちテンプレから外れた部分を持っているというか、いちいち、ツッコミどころを持っている点だと感じました。「どうしようもない部分」という言い方が良いかもしれませんが、全員、どっか「ずるい」部分、「後ろめたい」部分があって、それがフックになっているというか、読者として無視できない存在感でそれぞれのキャラクターを捉えられるようになっていたな、と思います。最後、結構びっくりするくらい、はっきりと「結婚相手」が決まりますが、主人公の風太郎くん自身も、かなりぶっ飛んだ、読者としては、実は一番付いて行けない天才系のキャラクターだったので、ひとたび気持ちをはっきりさせてからの彼の突き抜け方も、妙に納得できました。読者としても、風太郎くんの特別はこの子だったのはすごく分かるけど、俺は●●ちゃんが一番だな!という読み方が自然と出来るな、と思いました。はっきりと結論が出るのに、どんな読み方をしていても、爽やかな読後感を得られる非常にオモシロいラブコメ作品だったなぁ、と思います。by姉
2023.08.06
コメント(0)
Twitterで知りましたが、本日は許斐剛先生のお誕生日だそうですね。昨年の7月に、映画『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』の本予告映像を見て衝撃を受け、漫画原作を爆速で漁り、9月の公開以降劇場に総計21回通いつめ、BD発売以降は、毎週末に必ず鑑賞、なんならミュージカルシーンは毎日鑑賞、というとんでもない中毒症状に私(&妹)が見舞われているのですが、そんな状態に陥ってから、もうすぐ1年が経過してしまうということですね!…怖いですね!少年漫画感想『LADY COOL - RENTAL BODYGUARD -』(許斐剛先生、全2巻、2013-14、ジャンプLIVE)人の心を先読みする能力に長け、向き合った相手とラジカセで会話をする女性…レンタルボディーガードの「COOL」。ボディーガード依頼をするため、喫茶店『JAM』を訪れたのは、「命を狙われている」と言う少年・鼓太郎で…。許斐先生の初連載作・『COOL - RENTAL BODYGUARD -』の主人公を、「闘う女性」に変換して展開されている作品です。こちらですが、ジャンプLIVEという、現在のアプリ・ジャンプ+の前身アプリ雑誌での配信作品だそうです。ジャンプLIVEですが、2013年の初期初期にジャンプが初めて立ち上げたアプリ雑誌とのことで、Wikiを見る限り、紙雑誌ではできない、アプリならではの面白味・企画(動画等?)を盛り込んだ、かなり挑戦的な内容になっており、このジャンプLIVE創刊号で、本作『LADY COOL』の1巻にあたる連載が行われたようです。こういった条件の中で、許斐先生の仕掛けたのが本作ということですね。『許斐メソッド』と紹介されていましたが、とても面白い企画だと思います。・全8回で、4日おきに十数ページの更新を行う。・各話のラストで、A・Bの二つの選択肢が提示され、読者が投票を行う。 ⇒1日で投票を締め切り、多い方の選択肢に沿って次の話が展開する。この企画自体の概要を読んで、真っ先に思ったことが、「許斐先生自身が、自身の最も得意とする『構成』部分を当て込んだ企画だな」でした。私は、許斐剛先生の漫画作品の魅力は…もちろん、キャラクターセンスですとか、いろいろあるのですが、一番の強みは何か、を挙げるとしたら「構成・演出」だと思っています。どんなところに居ても、そこから限られた時間・リソースの中で、実現可能な表出の形に向けて一気に、「構成」できる。その中で、魅せるべきインパクトを「演出」できる。だからこそ、「テニスの王子様」についても、連載当初は想定していなかった、集団アイドルとしての作品展開に、あれほどまでに柔軟で発展性を持った形で、どんどん広がる展開が出来たのだと思います。ですので、掲載から「今後の展開の選択肢のアンケート」を取り、4日ペースで漫画作品の更新をする、というのは、もちろん、出し手としては超高等級の挑戦的な企画なのだと思いますが、私的には、「うん、許斐先生だったら出来るだろうね」というのが素直な印象でした。*以下、本編のあらすじの完全なるネタバレを含む感想です。本作品は、絶対に漫画作品として鑑賞した方が面白いです。未読の方はご注意ください。*◆LADY COOL 1について(2013年8月~)元の「COOL」の「青年・女子高生」という設定を、「女性・少年」に置き換え、出だしの話筋自体は、かなり元作に近い形で展開していきます。ただ。本作については、LIVEがLIVEであるが故の恐ろしさが、後半で大爆発炎上を起こし、言い表すのであれば、構成作品としては「事故作品」とも言えるようなとんでもないところに突っ走っていってしまいます。これがまた…その事故り方が、あまりにもクリエイティブで超オモシロいんですよ。第3話で、殺人事件の容疑者として、許斐先生を模したキャラクターが登場します。<キャラクター詳細>・名前:漫画家 越前たけし・「ラブミュ」として人気を博す「ラブラブ王子様」の作者・女性ファンにキャーキャー言われている<キャラクター発展>・ラブプリ音楽プロデューサー松井氏と、暴露本の件でトラブルになり、彼を殺害・COOLたち主役主体に追い詰められ、鼓太郎くんを人質にして逃亡。・超早業で整形・外国人タケシ・クロフォードとして生まれ変わる・心も外国人になったのか、突如会話の中で英語を使い始める・捨て台詞が、ONE PIECEのゴールド・ロジャー級に名セリフ「俺は天才漫画家 越前たけし!!無限の輝き!無二の個性派貴様ごときに奪われる安い命ではないわ!!」はっきり言って、「LADY COOL1」については、許斐先生作品では初の試み・女性主役のCOOLや、作品としての構成云々の話はすっ飛び、ひたすら越前たけしの暴走と、彼に作品が乗っ取られていく様を楽しむものになります。◆LADY COOL 2について(2013年12月~)舞台は沖縄。「超人気アイドル」のボディーガード依頼を請け負ったCOOLだが、その対象は子豚で…。2回目の本作について、やり方は前回と全く同じです。ただ、1回目は当初やろうとしていたことが出来なかった(越前たけしに乗っ取られた)ので、そこをやり直す…「最初にやろうとしたことをやり切る」点に注力している印象です。こちらの作品は、企画に対しては大成功な仕上がりだと思います。・許斐先生の物語構成力・演出力がいかんなく発揮されている・シチュエーションが、陸地~海中・海上、昼~夜とバリエーションに富んでおり、 1冊の漫画作品として、読み応えがあり、満足感が高いそもそも、各話毎に設定される、読者に選択を委ねる「分岐」も、その選択肢自体、第1回目よりかなり恣意的なものになっています。その2つを提示されれば、おおよそどちらが選ばれるかは想像できたり、(たいてい刺激的な方)あるいは、どちらを選んでも大筋はそうも変えずに、進められるようなものです。読者に「選ばせてる」ようで、話筋自体は安定している印象です。これだけ、読み物としての面白さのある作品ですので、逆に、画面の「薄さ」が気になってしまうくらいです。このLADY COOLの画面は、基本、鉛筆画をラフなデジタルカラー処理したものです。アプリ配信である点を考え、カラーは維持しつつ、基本作画作業時間が3日間しかない点を考慮し、この形にしたということが1巻のコメントで記載されていました。この「LADY COOL2」については、先ほども言ったようにシチュエーションも多様で、「もっとしっかりした画面で読みたいな」と思いました。(1の時より、ずっと画面も安定しているのですが、この話筋を魅力的に読ませようと思ったら、このレベル感だと勿体ないな、ってニュアンスです。)◆LADY COOLの企画全般、メディア変遷について結局、この「LADY COOL」ですが、「ジャンプLIVE」自体がコンテンツ量で飽和状態となり、第3号の発行に至らず、「ジャンプ+」アプリ立ち上げへ向かったそうです。それに伴い…だと思いますが、「LADY COOL」も2巻までの発刊で続編は今のところありません。おそらくですが、この「LADY COOL」を出すまでの2013~2014年頭頃までは、許斐先生はテニプリ以外の、新規連載作品を世に出すことを画策されていたのではないかと思っています。この「LADY COOL」の企画終了後、だと思いますが、2014年の段階で「新テニスの王子様」の展開を大きく動かし、(リョーマくんの日本合宿離脱&アメリカ代表入り、世界大会編の開始)このタイミングで、新規作品(テニプリ以外の作品)の企画立ち上げは断念(見送り?)されている、と勝手に認識しています。「テニスの王子様」に絞った、というか。この「LADY COOL」と連動した「テニスの王子様」本編の動きに関しては、時代の変遷という点で観ても、とても面白いところだな、と思っています。そもそも、ジャンプがアプリ雑誌を発刊するという試みをしたことからも分かるように、個人向け携帯端末のスマホ・タブレット移行とともに、電子書籍化が大きく進んでいるのが、この頃、2013~14年頃のようです。要は、メディアの一大変革期ですね。更に掘り下げると、「テニスの王子様」に関しては、作品の年表を見る限り…多分なのですが、2015年初め頃に最後のDSソフトを発売した後、メディアミックスの一大スポンサーだったコナミが撤退していることが見受けられます。ゲーム文化については全然知識がないのですが、これも従来のパッケージ販売から、アプリゲーム…ソシャゲ?へのメディア転換という流れもあった上でのことなんじゃないかな、と想像しています。↑こういったメディア変遷の流れの中で、「テニスの王子様」がいったん、いち時代、2000年代から続いた、第一線でのメディア展開の形・スキームを終えた、というか。このタイミングで、ひとまず「LADY COOL」でアプリに漫画作品を掲載することも試験的にやってみた許斐先生が、新しいメディア…新しい、電子書籍や様々なアプリ文化に展開させていく作品として注力したくなったのは、「新しい企画作品」ではなくて、「テニスの王子様」であり、まだまだ満足いくまで描き切れていない、愛すべきキャラクターたちだったんじゃないかな、と思っています。◆越前たけしについてここまで「LADY COOL」について、メディア変遷がどうこうと、小難しく語って来ましたし、それはそれで大きな流れとして、当然あると思っています。また、そもそも漫画作品として非常に高度な試みで、レジェンド作家様の自己研磨の仕掛け方も、よくよく観察できます。素晴らしいと思います。…ただ、何が一番心に残ったかって…当然のごとく、越前たけし一択です。最初はそれこそ、こんなに暴走させるつもりも全然なかったと思うんですよ。それが、蓋を開けたらLIVE感の中で超暴走し出して…許斐先生ご自身が抱え込んでいたであろうフラストレーションをぶちまけて来ました。「LADY COOL 1」を読み終わった感想は、一言でした。許斐先生、完全に「ラブラブ王子様」の作者演るのに疲れてるじゃん。ファンに「幻滅」され、終いには、整形して別人になろうとしてまして…。これは、本当にご本人も描いてみて、びっくりしたんじゃないかと思うんです。「なんだコイツ」って。「越前」ってつけちゃったのもそれに拍車をかけた…というか、リョーマくんのフラストレーションも乗っかって来たのかな、と。いや、許斐先生は女性向けコンテンツの始祖みたいになってますけど、もともと「鉄人~世界一固い男~」とかでデビューされた方ですから。おそらく、ご本人が一番好きなのは、男らし~い、古風でベターなゲッテゲテの少年・青年王道作品なので。基本的に、気質もやろうとして仕掛けたことも、明らかに「女性向けコンテンツ」ではない作家様だと思っています。ただ、「SLAM DUNK」「ONE PIECE」という大人気王道少年漫画と比較される立ち位置で仕掛ける連載作品として、そことの差別化もあって、「越前リョーマ」「王子様」を前面に押し出したし、それが見事にはまって、大成功を収めた、というか。そこから更に、構成の鬼であり、ファンサービス精神の塊だったために、行った先でどんどん求められるものを形にしちゃうというか、できちゃって、気づいたら、立ってたのがココ、というか。(もともとの気質じゃない方がやってるアイドル展開だからこそ、「創造的」「分析的」「柔軟」で、毒々しくて面白いんだと思うんですけどね。)ただ、やっぱり「自身の気質を出せない」中での創作…それも、数年という期間ではない、十数年に渡る創作活動というのは、並大抵の精神力ではできませんし、どれほどセルフメンテナンスが優れた方であっても、どうしてもフラストレーションは蓄積すると思います。この「LADY COOL」を出して、なぜか「越前たけし」が暴走して、許斐先生も、改めてご自身(&リョーマ君)のフラストレーションが極限まで来ているのを自覚されたのかな、と思って読みました。こんな観点↑で読んでも、超絶面白い作品です。『LADY COOL - RENTAL BODYGUARD -』…2021年公開の映画『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』が出て来るに至るメディア変遷という大きな流れや、許斐先生自身の心情を想像することができる、非常に興味深い作品だと思います!興味のある、漫画好きの方は、是非!by姉
2022.06.26
コメント(0)
少年漫画感想『SPY×FAMILY』(既刊9巻以下続刊、遠藤達哉先生、集英社、少年ジャンプ+)東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)の二国間では、仮の平和が維持されていたが、その内々では熾烈な情報戦が繰り広げられていた。西国一の凄腕スパイ・コードネーム「黄昏」に、あるミッションが下された。東国・国家統一党総裁デズモンドの動き・真意を探るべく、疑似家族を作り、彼の息子が通う予定の名門・イーデン校へ子どもを通わせ、保護者の懇親会の場で取り入ること。差し迫る入学試験に向け、彼が急ごしらえで作った疑似家族…孤児院から引き取った娘・アーニャは、人の心が読める超能力者、世間体を気にして偽装夫婦設定に乗って来た妻・ヨルは、殺し屋だった。かくして、スパイ×殺し屋×超能力者という、一風変わった嘘だらけの疑似家族が誕生し、名門校のお受験に挑むことになったが…。既刊9巻で、私の購入したコミックスには1800万部の文字が躍っていましたので、単巻200万部という単純計算なわけで…凄いですね。アニメ化され、爆発的に売れているジャンプ作品、という認識で、電子書籍の1巻無料を立ち読みし、「もうこれは…!」と思い、すぐに既刊コミックを買いそろえました。もう、文句なしに面白いです。文句なしに、というか、読んだ最初に出て来た言葉は、「なんだこの漫画、カワイくないな」でした。漫画作品として、全方位に対して「落ち」がなさ過ぎる。まず第一に、企画として。一応、「少年ジャンプ+」配信連載とのことで、ジャンルとしては「少年漫画」なんだと思いますが、基本的には「少年漫画」が大好きな大人読者が大喜びする作品だと思います。ものすごく正しい、大人向けの「少年漫画」というか。「『家族』を頑張って作る」「演じる」ことを、「ミッションをこなす」と表現する。別の仕事をこなしながらも、「家族サービス」や「奥さん・子どものご機嫌とり」を頑張ってやる、という身近に想像しやすい事象が「カッコよく、仕事として」描かれています。奥さんも別の仕事をこなしていて、夫婦がそれぞれ別の世界を持ちながら、ひとつの「家庭」を全うしようと一生懸命になっているというのも、感性が非常に現代的ですし、それがこれほどエンタメとして気持ちよく読める形にまとまっていますので、これは面白いわ…!と思います。そして「お話が作れる」と同義ではありますが、キャラクターの設定が、いちいち上手い。柔軟。登場してくるキャラクター、それぞれ唸りながら読んでいるですが、まずはとにかく、娘・アーニャちゃんの「心が読める」設定です。「嘘・偽り」だらけの家庭の中で、この子だけがすべての世界についていけてる…話回しの中心が、いつもこの子のわけではないのですが、全部の状況に、この子が主体的に絡んでいくことができます。父・母や、学校生活の同級生たち…ダミアンくんが特にそうですが、それぞれが「別の」世界の中で信念を持って頑張っていることが、否応なしに拾えてしまう娘ですので。この娘なりに、一生懸命周囲の人たちに気を使って立ち回ろうとする姿が健気ですし、こんなに「頑張ってる部分」を拾ってくれる娘、絶対に大事にしなきゃだよ!と思います。この娘の存在が、疑似家族の象徴であり、この娘を守る、大事にする…「フォージャー家」といういち家族に集約していく感情が、大きな話で、東西平和に向かう原動力になっていくんだろうな、というところまで、出だしの段階からきちんと期待できるように描かれています。話に関しては、上述して来たような「設定」という仕掛けあってのものですが、1エピソード毎の読み応え・満足感も素晴らしいです。基本、1話が二十数ページなのかな?と思いますが、(アクションシーンの過多で増ページになる場合もあり)毎話、どこに焦点を置いても、必要な要素を選定して、パパパっと話筋を構築できてしまうんだろうな、というのがよくよく見て取れます。また、話回しのためのエピソード作りも、脚本が本業なのかと勘違いするほどに柔軟です。個人的に感動したのが、コミック2巻収録の番外編。作者様のコメントがついていましたが、週刊少年ジャンプ本誌への出張番外編だそうなので、作品の魅力を分かりやすく盛り込んだ、「自己紹介」的な1話です。フォージャー家が水族館に行くのですが、そこでスパイとしての別ミッションに後付けでアサインされてしまい、家族サービスと別ミッションの同時遂行に奮闘する父と、それを援護しようとするアーニャちゃんの活躍が主に描かれています。「ペンギンの選別」というエピソードですとか…なんて上手なんだと思って。超高度な洞察力・技術が必要であることが分かる且つ、作品のほんわかした部分をきちんと織り込んだ、見事に、この作品の「面白い部分」やスタンスが、分かりやすーくまとまっています。いや、「自己紹介」を三十数ページでしろ、と言われて、ポーンと、この満足感を持った完璧な形で打ち返せるような漫画家、めったに居ませんから。キャラクター立てや各描写も、みんな「頑張ってる部分」「気遣い」がきちんと拾えるようになっていて、大人から子供、更には動物まで、いちいち好きになれます。その上で…その上で、というか、こっち方が作家様の強みとして先に立っているのかもしれませんが、絵が上手すぎます。キャラクターの動作・表情、アクションシーンも「上手い」…というのも言葉として安っぽいレベルで上手い。なんでこんなに自由自在に描けるんだ…と。また、漫画画面としてのクオリティが高すぎる上、漫画表現…漫画的な演出できちんと魅せてくれるものですから…まぁ…もう、あまりにも「落ち」がないです。圧倒的な安心感・安定感。冒頭に繋がりますが、あまりにも漫画作品として出来過ぎてて、最初の感想が「なんだこの漫画、カワイくないな」になりました。作者の遠藤達哉先生…存じ上げない作家様でしたので、どんな方なんだろう?とWikiを覗いてみましたが、なるほど。2000年、ストーリーキング出身の現在41歳…なるほど。デビュー自体は、銀魂の空知先生(2002年)より前ですね。実年齢は、遠藤先生のがひとつ下かな?その後、主にはジャンプSQで、ご自身で数作の連載もされていましたが、おそらく、アシスタントとして、雑誌内の主要作家陣営のなかをぐるぐると回られていた…編集者たちから引く手数多の、スーパープロアシとして活躍されていたのかな?と受け取りました。…なるほど。すごく納得!!!良かった…これ、「20代の新人作家が出して来た作品だ」とか言われた日には、「この作家、人生何周目?短期間で、全方位の技術がこんな風に洗練出来るわけないんだけど!?」とか思うところだった…。遠藤先生の経歴を見て、ヒーロー・黄昏さんの、「信頼を勝ち得た組織人」としての描写に説得力があるのもよく分かるな…と。また、作風と画面・話回しの満足感から、明らかに「SQ」の作家様だよな、と思って読み進めており、なんで「アプリ配信なんだろう?」と不思議に思っていた点も、しっくり来ました。30代前半で立ち上げる企画でしたら、SQ掲載が自然の流れだったのかもしれませんが、40代を見越した中で、「アプリ配信」という選択肢が…非常に妥当というか。やはり、週刊・隔週・月刊の固定ページペースの連載は、限界を超えた体力勝負だと思います。目標とする更新サイクルはありつつ、でも頻度・ページ数に自由度を持たせることが出来る「アプリ配信」は、完成度を保持した上で、連載作を掲載することができる作家様の裾野を大きく広げていると思っています。いち漫画好きとしましては、大・歓・迎です。話が脱線しますが、小学生の頃から大好きだった90年代の「なかよし」主要作家陣が、2000年代に入り、(雑誌の方向転換・新陳代謝方針も受けてのことでしたが)本誌への掲載が出来なくなったり、雑誌連載ペースでの原稿アップが難しくなり、(表立っての)創作活動から身を退いてしまうのを見て来まして。今ならっ…!今の電子配信がある状況だったら、大好きな作家様たちの作品を、もっと読むことが出来てただろうな、と思うんです。今回、「アプリ配信」という新たな形式の掲載場所を用意することで、前に大きなヒット作を出しているわけではない状態で40近くになった、でもものすごい技術を持った作家様が、こうして大風呂敷を広げ、作り込んだ連載企画を立ち上げ、しっかり数千万部レベルの爆売れ連載作品を走らせることができたというのは、「流石、ジャンプ!懐広いぜ!最先端!!」というか。漫画媒体の可能性がまだまだ無限にあることを、知らしめているな、と思いました。SPY×FAMILY…この先も、満足度の高い展開をどんどんしてくれそうな期待感が、とてもとてもあります。どこまでも「家族」に集約して行って欲しい!その過程で、フォージャー一家に「東西平和」まで勝ち取って欲しい!今後も、是非追いかけていきたいと思います。by姉
2022.06.07
コメント(0)
ここ半年、劇場版公開を機に、「テニスの王子様」にどっぷりはまっています。多メディア展開の広がりの把握も今後行って行きたいとは思っていますが、まずは、原作者・許斐剛先生のワークス漁りをまったりやっています。許斐剛先生、超面白いです。テニスの王子様以外で、単行本・文庫本が発売されているシリーズを鑑賞しました。諸々感想です。『COOL - RENTAL BODYGUARD -』(1997年・許斐剛先生・週刊少年ジャンプ・文庫本2冊)人の心を先読みする能力に長け、向き合った相手とラジカセで会話をする男…レンタルボディーガード派遣の『JAM』に所属する、トリッキーこと「COOL」。海外勤務中の父親が、仕事関係でトラブルに巻き込まれ、自身の身の危険も感じた女子高生・笑子は、ボディーガード依頼をするため、指定された喫茶店『JAM』を訪れるが…。「テニスの王子様」より2年前の、許斐剛先生の初連載作品。今回、初めて読みました。文庫本1巻収録の、プロトタイプとなる読切が96年末の赤マルジャンプに掲載され、その後、文庫本2巻収録のもう1作・「COOL」の読切の掲載を経て、97年40号~ジャンプ本誌で本格連載が開始しています。以下、蛇足になりますが、この97年当時のジャンプを取り巻く環境について。95・96年に「ドラゴンボール」「スラムダンク」の2大巨頭が相次いで連載終了をし、96年後半~97年にかけてで、それまで600万部超を誇っていた発行部数が400万部付近まで急落(ネット情報)。週刊少年マガジンに、発行部数を抜かれる事態となっています。ちなみに当時、我が家でも父が毎週スラムダンク目当てでジャンプを購入しており、私たちもその恩恵にあずかっておりましたが(子供たちの方が、他作品も含めて楽しんでた)、当然ながら連載終了と同時に本誌購読は終了となりました。個々には、まだまだ人気作が多数掲載されている状況とはいえ、世間一般まで認知されるような、勢いのある看板作は、おそらく「るろうに剣心」のみ。97年に入ると、「ろくでなしBLUES」も終了とのことで、年齢が高めの読者層的には、「もういいか」「卒業」という状況だったかと。(96年内には、「封神演義」や「遊戯王」という、しっかりしたつくりの名作も連載開始しているようなのですが…)週刊少年ジャンプとしては、正念場ですよね。で、この97年にジャンプ本誌で初連載を獲得している新人が、下記↓の、まさに90年代末~2000年代のジャンプ本誌を牽引するスター作家様たちです。・仏ゾーン:武井宏之 先生・世紀末リーダー伝たけし!:島袋光年 先生・ONE PIECE:尾田栄一郎 先生・COOL- RENTAL BODY GUARD -:許斐剛 先生 いずれの作家も、92~5年頃の雑誌絶頂期にデビューし、数年、数か所の連載作家陣の元へアシスタントとして配属され、週刊連載作の作り方・画面の作り方を学んだ、「ジャンプブランドが育てた」作家様かと思います。ネット情報を見た感じですと、ONE PIECE が34号~で、その次に新連載として始まっているのが、40号~の、この「COOL」のようです。(すごい話だな…。)「世紀末リーダー伝たけし!」と、「ONE PIECE」が、明らかに子ども向けを意識した作品なのに対し、こちらの「COOL」は、それよりも年齢層高め読者を対象としている印象です。前置きが長くなりましたが、こういった↑状況下で、許斐先生が渾身作として仕掛けて来ていたのが、この「COOL」だった、ということです。ぶっ通しで読んだ感想は、素直に「オモシロい作品」でした。特に、文庫本1巻収録のプロトタイプの読切と、連載開始~6話までのエピソードに関しては、事前のかなりの練込みを感じ、読み応え抜群でした。「話の作れる作家様の作品って、いいよね!」「演出が妥当、魅せたいものが明確で、ノーストレスで読める!」と思えました。キャラクターにも練り込み・ひねりを感じました。とても魅力的です。ラジカセで人と会話しようとする変人・COOLと、愛嬌良く、物おじしないヒロインの笑子ちゃんのキャラクター同士の相性も非常に良く、掛け合いが微笑ましいです。以下、個人的な注目どころ。・世界観・モチーフ舞台は一応は日本なのですが、オープンカー・ごついバイク・銃 が悪びれもなくガンガン登場する、かなりアメリカナイズな世界観で話が展開されます。単行本3冊分で、本連載は終了となっていますが、その先はアメリカ編を展開予定だったと、文庫版のコラムに記されていました。本作を読んで、妹と話したのが、「リョーマ!新生劇場版テニスの王子様」の世界観・モチーフが、もろにこの「COOL」に見て取れる、オモシロい、という話でした。リョーマ!を鑑賞した際、「テニスの王子様」ではない世界観に、リョーマくんと桜乃ちゃんを連れて来たかったなんだな、と認識したのですが、それにしても「しっくりくるなぁ、世界観が出来上がってるなぁ」と感じていました。劇場版では、主に脚本家様…だと思うのですが、おそらくこの「COOL」まできちんと事前に読み込んだ上で、オープンカー、悪の組織、電話BOX、カーアクションといった要素・モチーフを許斐剛ワールドの構築材料として組み込んでいたんだな、と。※ちなみに、「教会」モチーフは「COOL」、「LADY COOL」内、「テニスの王子様」原作を含め、どこにも登場しない。※「銃」は、中一の子たちの逃亡劇には物騒過ぎるので、ナイフになったっぽい。・1ページ目・ヒロインの「ふえ~ん」で開幕許斐先生の作品ですが、後ほど語るデビュー作「鉄人」から、この初連載作・「COOL」と一貫して、極論を言えば、「困ってる女性・子どもを助けるヒーロー」の話です。許斐先生の価値観の大前提として、コレ↓があるんだと思います。「女・子どもを守るのが、“男らしさ”だろ!」「無条件で女の子を守ってあげられる男の子、それが皆が見たい少年漫画ヒーローだろ!」まぁ…90年代初頭からの作家様にしても、かなりステレオタイプと言うか、古めかしい「昭和」なジェンダー感性だな、と感じます。ただこれは、もうしょうがないんだと思うんです。おそらく許斐先生が、幼い頃から心を弾ませてきたエンタメ作品を元に形成してきた価値観なんだと思います。ちなみに私も妹も、思いっきり、エンタメの大前提として↑この価値観を土台に据えている人間です。仕方がないんだ…!東映アニメーションの原点的な劇場長編アニメーション『長靴をはいた猫』や『天空の城ラピュタ』を、子どもの頃から刷り込まれて生きてきたんだ…!「これ」がエンタメの基本形なんです。仕方がないんですよ…!「テニスの王子様」という作品で、女性層に絶大な支持を得て、ファンに求められるものをなんとか形成・提供しようと、譲れるものはすべて譲って、ひたすら腐心されて来た許斐先生が、ど~~~~しても、「ヒーローとヒロイン」…「リョーマ君と桜乃ちゃん」だけは!ここだけは譲れない。…そんなの、当たり前だと思うんですよ。「COOL」を読めば、一目瞭然です。(実際は、「COOL」まで読まなくても、「テニスの王子様」出だしの描き方だけで十分分かることですが)COOLが動き出すきっかけは、常にヒロインの笑子ちゃんですし、レンタルボディーガードの依頼者は、だいたい女性です。土台です。この「当たり前」からしか、許斐先生の中で「最高の物語」は始まりませんし、ここが崩れたら、志向する「エンタメ」の定義から分からなくなっちゃうんだと思うんです。また、COOL本編中では、笑子ちゃんのクラスメイトとして、正義感・男気のあるテニス少年と、彼に恋する控えめな女の子が登場して来ました。そしてプロトタイプの読切作では、ヒロインの笑子ちゃんが、「運動は苦手だけど、日々一人でトレーニングを頑張るバスケ少女」として登場していました。本当に…テニスの王子様の「桜乃ちゃん」というヒロインは、許斐先生が心から、主人公が「可愛いと思う」、「守ってあげたくなる」魅力的な娘になるようにと、大事に設定を詰めて、生み出した娘なんだなぁ、とひしひしと感じました。ここを否定するのは、許斐先生と、主人公のリョーマ君の否定と同義です。本当に。・音楽モチーフ本作、主人公・COOLが、気分が盛り上がると、「COOL!COOL!COOL!COOL!」と絶叫しながらバイクをぶっ放す、というのが、お約束の魅せ場として設定されています。「ハイテンションに『COOL!』って絶叫してる」というツッコミどころ満載感が…どうなんだろう?笑って欲しかったのか、カッコイイと思って欲しかったのか、測りかねるところなのですが。(どっちの方向性としても、ちゃんと詰めて描いてあるので、どっちでも良かったのかもしれません…)まぁ、「許斐剛 節」ですよね。『大真面目に、はっちゃける』こちらですが、タイトルや主人公名も含め、林田健司さんの楽曲・♪COOL をモチーフにしていたとのこと。林田健司さんといえば、私の中ではSMAP楽曲の数々の提供者様です。♪$10♪君色思い♪青いイナズマ関ジャニ∞の♪イッツマイソウルの作曲も林田健司さんなんですよね。あの曲、やたらと好きなんですよ…。原曲を確認しましたが、ファンキーなサウンドに、ノリノリで「COOL!COOL!」とボーカルが踊るようにのっかる楽曲でした。確かに、この楽曲から感じる魅力が、漫画画面にちゃんと落とし込まれていたな、と感じました。林田健司さんの元楽曲を知っている方が、本作を読めば、許斐剛先生が、音楽的な素養がある方なんだな、というのはすぐに分かると思います。ーただ、だからって、「この漫画家、20年後には、劇中歌全曲・作詞作曲して、ディズニー張りの3Dミュージカル映画作り出すんだぜ」と言っても、誰も信じなかったでしょうね…。(私も、今文章で書きながら、改めて「なんのこっちゃ」と思いました。)『鉄人〜世界一固い男〜』(1993年、許斐先生のデビュー作)文庫本2巻に収録されていました。Wikiの作品情報を見るだに、1993年のこのデビュー作以来、1996年末に「COOL」のプロトタイプ読切が増刊号に掲載されるまで、丸3年間おそらく、発表された許斐先生の作品はない…のだと思います。えっとですね…このデビュー作はですね…最初読んだ時、思わず口に出た言葉を包み隠さず記すと、「これは、テニプリという作品の品格を守るためにも、再び表に出すべきではなかったのでは!?」でした。超絶的なオモシロさ・・・作家に眠る、無限の可能性と未知なるパワーの神秘をまざまざと見せつけられたというか。妹の方が先に文庫本を購入し、鑑賞していたのですが、電話で「COOL」ではなく、ほぼこちらの「鉄人」の感想しか話して来ませんでした。「(自己紹介ページも含め)、すごい…許斐剛のすべてが既にここにある…イケメン以外。」なんかよく分からないのですが、とにかく主人公は、頭がツンツンで、軟派なことと豆腐が大嫌いな、硬派で「世界一硬い男」だそうで。人差し指と小指を立てながら発する、「ぐふふ…硬いよ!!」がキメ台詞。「とにかく硬い」という意味不明なキャラクターなのですが、意味不明なまま、最期まで突っ切ります。これもですね…受け取り方を迷う…笑って欲しいのか、カッコイイと思って欲しいのかが、本当に分からない。流石にこれは、「笑い」は狙ってるんだと思うんですが…それにしては真面目にストーリーを詰めて描いてあるので、「真面目にカッコイイヒーロー」を描いてるのかも…とも思う。いずれにせよ、まさかこの作家様が、後に「女性向けコンテンツの始祖」として、ジャパニーズエンタメ界で名を馳せることになる・・・ なんてことは、誰が想像するか!…って作品です。作中、豆腐が大嫌いな主人公が、「冷奴」のことを「豆腐の王子様」と馬鹿にするシーンが登場して、爆笑しました。このシーンでは、明らかに「ナヨッとした」という揶揄の意味を込めて、「王子様」という単語を使ってるんだと思うんですよ。多分、本当に「テニスの王子様」というタイトルも、ジャンプで繰り出す時点で、いったん「揶揄」的な意味合いというか、「馬鹿にされる」視点の集中を狙って付けてるんだと思うんです。「王子様」とか言って、なんだと思うでしょ?でも実はこの「王子様」、すごく熱くて男気のある子なんだぜ…!という反転の面白さを狙って来てた、というか。たぶんですが。オモシロいです…。「王子様」「プリンス」という単語に、これほどまでに向き合い、その第一人者となる作家様のデビュー作に、この単語がこういった形で出てきているというのが、とにかく面白いです。もうちょっと真面目に、93年・黄金期真っただ中の、おそらく漫画投稿者もめちゃくちゃ多い中において、ジャンプ編集部が、この作品で許斐先生を採用した理由について。まず、明らかに「絵」での採用ではないと思います。子どもの頃からお絵かきが好きで好きで、アクションシーンが好きで好きで描いて来た人…という印象は、全く感じないからです。恐ろしいことに、キャラクターたちの演技はきちんと描けてます。写真を見ながら、その演技動作を絵に落とし込むことは出来るんだと思います。でもじゃあ、この作家様に、ドラゴンボールのような、「革新的なアクションシーン」を期待できるかと言うと、それはまずない。また、この時点で23歳という許斐先生は、10代採用も多いジャンプ作家陣の中において、決して若いわけではなく、それにしては、漫画画面の完成度が高い状態とは言えない為、今後ヒット作を飛ばすにしても、育成に時間がかかるだろう・・・と感じます。では、この作品で何を買ったのか、と考えると、コレ↓だと思います。・構成力・演出力特に、ひたすら「主人公に集約」していく形で、キャラクター配置、話展開から、演出まで、徹し切って構成できる力、なんじゃないかな、と思いました。話を作れる(物語を要素分解して組み立てられる)、話が通じる(編集者の意図が汲み取れる)、作家様だというのは、この作品を読めばすぐに分かります。ただ、それだけではなくて、この「訳の分からない主人公」を、徹底的に演出してくる。全部の設定・話回しを、そこに持って来る…というのは、担当さんの付いていない状態の投稿者では、おそらくあまりやって来ない。それが、セルフで組み立てられている。ドラゴンボール、スラムダンクに憧れた、ひたすら絵・アクションに寄ったものが多かったであろう数多の投稿作(想像)の中で、この「鉄人」を買った理由は、ココだったんだろうな、と想像しながら読みました。(あとは、なんかこの…「謎の勢い」と、「謎の満ち溢れた自信」。)この作品の主人公自体は意味が分かりませんが、、この作品のような「主役集約型」の作品構築ができる作家様なのであれば、どんなタイプの主人公を据えても、おそらく同じように構成・演出が出来ます。デビュー時に期待されていたであろう、この強味が、今後見事に華やぎ、「テニスの王子様」という大ヒット作品が生まれたんだろうな、と思いました。「COOL」「鉄人」と、本当に読み応え&鑑賞しがい抜群でした。文庫本全2冊、おススメです!「テニスの王子様」ファンの方で、もしこの前作「COOL」、デビュー作「鉄人」を読んでいない方がいらしゃったら、本当に是非!なんかもう、漫画を読んでる・鑑賞してるというか、「許斐剛」を読んでる・鑑賞してる状態になっています。なんてオモシロい作家様なんだ、「許斐剛先生」…!「COOL」とは、同じ世界線の「LADY COOL」(2013~14年)という作品も、鑑賞済です。こちらもすごく面白かったので、また感想を書いていきたいです。by姉
2022.03.14
コメント(0)
少年漫画感想『新テニスの王子様』-その3◆25~26巻の展開について2018年の秋頃に、漫画原作が3カ月?の休みを取り、冬から、明らかに作画クオリティのギアを切り替え、対フランス・越前リョーマの公式戦が展開されます。新テニスの王子様の連載開始以降、リョーマくんの公式戦が、最初から最後までしっかり描かれるのは、これが初めてになります。(アメリカ代表でも、公式戦に出場している描写は出て来ていましたが、ガッツリ1試合をすべて見せる描き方ではありませんでした。)おそらく映画関連に関して、許斐先生の監修すべき部分が大方片付き、本当の意味で、リョーマくん(&許斐先生の意識)が、漫画原作に帰還したのが、この25巻かな、と思って読みました。いきなり、桜乃ちゃんを挟んで、白馬に乗ったフランスの王子(プランスくん)と、黒馬に乗ったリョーマくんが対峙しています。フルスロットルで、いきなりぶっ飛んでます。この「馬テニス」のシーンは、雑誌掲載のリアルタイム時に、ツイッターで話題になっていたのをなんとなく知っています。同時に、テニプリが「桜乃ちゃんを巡って三角関係」をぶっ放して来た!というのも、ちゃんと読んだわけではありませんでしたが、うっすら知っていました。「あぁ、許斐先生…ここはどうしても描きたいんだな…そりゃそうだよな…(涙)」と思いました。なんか、いろいろ完全に「テニプリ」をなめてたというか…まさか裏であんなとんでもない映画作ってて、その流れで出て来たものだったとは…当時は知りようもありませんでした。上述した内容とも被りますが、この対プランス戦は渾身作だと思っていて、見どころがたくさんあります。・とにかく作画クオリティ!映画を鑑賞して感動し、この新テニスの王子様25・26巻を購入して、読んだ妹から真っ先に出て来た言葉が、「テニスの王子様って、こんなに絵が上手かったっけ?」でした。妹はその後、23巻を観て、あまりの線の荒れ具合に愕然としていました。「何があった…!!?」と。それくらい、切り替えて描かれています。面白いです。端々まで丁寧に、神経が研ぎ澄まされて描かれているのもあるのですが、やはり一番には、映画から帰還したリョーマくんの存在感、立体感…というか、本当に「イイ」。パワーがある。・リョーマくんと桜乃ちゃんの関係性映画公開に向けた前準備として、リョーマくんと桜乃ちゃんを大々的に描く。それも、誰が観ても「三角関係」という図式にして。よほどひねくれた観方をしない限りは、「この2人を、描くよ。覚悟してね。」という、作品の確固たる意志を込めた宣言であることは分かりますので。作品を取り巻く空気感を「変えるよ。」という、下準備ですよね。作品の意志は、先に出しておく。また、このエピソード自体は、映画よりも時系列で後になります。わざわざ、映画作中の構図や、セリフを先んじて随所に織り込みつつ、その上で、面白味として、映画の段階より「ちょっと進んでるよ♪」とはっきり分かる描写も入っています。ちなみに、26巻のプランス戦の締め…プランスくんとの死闘の後、倒れて担ぎ込まれた病室で、わざわざ、リョーマくんと桜乃ちゃんが、2人きりになるよっ!…という直前で、超不自然にシーンをぶった切って、このエピソードは終わっています。ここでリョーマくん、速攻で告白してるんじゃないですかね?桜乃ちゃんに言い寄る男どもをけん制するのも、周囲に言い訳するのも、いろいろ面倒くさくなって。こう捉えると、25・26巻のプランスくんのキャラクター設定や、端々での発言が、「ここに持っていきたい」ための要素として、非常にしっくり来るな、と思っています。この辺は、本当に個人的なただの解釈ですし、またここに関しては、本編中で、今後どうとでも転がせるようにしてあると思います。今後の作品展開で、「しっかり、作品の一部・恋愛パートとして描写していきたい」となれば、急ぐ必要もありませんし。◆27~29巻の展開についてちょっと楽に読めるターンかな、と思います。あまりしっかり描写出来ていなかったアメリカ代表を描きつつ、28巻からは、準決勝の対ドイツ戦が始まります。ドイツ代表・Q・Pと監督のエピソード、魅せ方がキレてました…。好きです。個人的に注目ポイントは、27巻に収録されていた、「時期部長読み切り」。後ほど、しっかり語りたいと思いますが、今後の作品展開について、「この観点を持ってくれ」という、下準備かな、と受け取っています。29巻にも、一律でキャラクターたちが「成長」した姿のイラストがピンナップで掲載されていました。◆30~32巻の展開について2020年の春頃~。28巻、ドイツ戦が始まったあたりからもそうだったのですが、ただ、この30巻以降は、もう画面が…!!テニスの王子様を読んで来て、未だかつてないほどのキレ具合。パッと見で実感します。「過去最高のクオリティ」です。ここからを個人的にはこう呼んでいます。「テニプリっていいな」期。映画の全体像が形になって来て…嬉しくって嬉しくって、ノリノリ。…なイメージです。許斐先生が、映画公開時のインタビュー等で、「22年で今が一番ノッてる」とおっしゃってるのを見ましたが、漫画画面観れば、それが嘘でないことがよく分かります。本当に、今までで一番ノッてます。内容の話ですが、30巻より、新テニスの王子様内で仕掛けていた、大きな布石…ドイツ代表になっていた手塚部長VS日本代表・幸村くんの闘いが始まります。コミックにも、とにかく渾身の一戦であることが明記されていましたし、確かに、本当に画面・魅せ方がキレッキレで、とにかく面白いです。手塚部長も、日本代表も、素直に応援できない青学の面々が可哀想でしたが、試合終盤で、リョーマくんが旧作のワンシーンを彷彿とさせながら、バシッとキメてくれました。キレてます。個人的な注目点としては、幸村くんの魅せ場におけるセリフの数々。・天衣無縫に対峙するトラウマを克服し、「あ~~~っ スッキリした」・試合が最終局面に差し掛かり、「色々諦めなくて良かった」・試合直後に「未来を塗り替えよう」これは、もちろん幸村くんのセリフなんですが…その背後で、許斐先生が同じセリフを合唱してる幻覚が見えます。映画…作れて、本当に良かったね…!って思います。◆33~34巻の展開についてドイツ戦第4試合・ダブルス2 種子島修二+切原赤也戦。30巻以降の、手塚×幸村戦からの流れがあり、また、アニメオリジナルの企画で、立海VS氷帝(前・後編)という作品が2021年2月にU-NEXTで公開されていました。(鑑賞しましたが、しっかりやりたいこと・軸のある作りで、めちゃくちゃ面白かったです。)とにかく、立海の世代交代に焦点を当てて、この赤也くんが非常にフューチャーされていました。この子も、リョーマくんと要素を対にして、原作初期から投入している「少年漫画基軸」で考えて作ってあるキャラクターだと思っています。立海がアイドル揃いということもあり、旧作を読んでいる限りでは、この赤也くんも消化不良感のあるキャラクターだな、と思っていましたので、ここに来て、この子を大々的に持ち上げて来るのは、すごく良いなぁ、と思って鑑賞しています。◆35巻の展開について実は今回、一番語りたかったのが、この最新・35巻についてです。ドイツ最終戦。日本チームNo.1の平等院さんと、世界ランク1位のドイツNo.1のボルク(プロ)という、実質、新テニスの王子様内の最強対決です。漫画画面がなんかもう…凄いことになってます。キャラクターや話が全然分からなかったとしても、画面を眺めるだけで、購入の価値がある。それくらい、クオリティと勢いが凄いんです。この、35巻収録分からが、2021年の映画公開時期と重なります。35巻を手に取って、パラパラと眺めて、あぁこれはもう完全に、「リョーマ!新生劇場版テニスの王子様」を繰り出す、リアルタイムの、許斐先生の心象風景だな、と思いました。35巻の構成自体、すごく面白いんです。表紙めくった、最初のカラーピンナップに映画のメインビジュアル(許斐先生の元絵)を据えて、コミックの中では、とてもU-17とは思えない容姿のキャラ(どう見てもおっさん)たちが、血みどろで闘ってるんです。「王子様・お姫様の大冒険」みたいな顔した映画作品を繰り出す、その心情が「コレ」って…テニプリ面白過ぎますよ。35巻を読んで、私は一気に購入できていなかった「新テニスの王子様」の既刊分を買いそろえました。いち漫画好きとして、「メタで読む」という、「新テニスの王子様」の読み方・楽しみ方がはっきり掴めた、というか。平等院さんというキャラクターは、リョーマくんを日本代表から追い出したり、他の作中のキャラクターでは出来ないことをやってくれる、ある意味で、許斐先生の分身というか、その意志を、漫画内で体現してくれるキャラクターなのかな、と思っています。過去に一度、落雷で死んでたり、13時間後に何事もなかったかのように蘇生してたり、35巻で展開される「命がけ」の闘いも、他のキャラクターたちにはやらせられないよね、と。試合(?)中で、モチーフが大きく2つ登場します。◆阿修羅イメージ。あえて、修羅の道を行く。ひたすら、「滅びよ…そして蘇れ…」「蘇れなかったらそれまでだ!」を念仏のように唱えていました。◆海賊イメージもともと、この平等院さんの背負っていたモチーフなのですが、あぁ、これはきっと、ひげ面の海賊のおっさんが、「友情・努力・勝利」を勝ち取るための…そう!「少年漫画」としての姿、ジャンプ魂を再び勝ち取るための闘い!…なのか…?とか深読みしてみたり…。闘い方が高度過ぎて、まったくジャンプっぽくはないけど。また、もういろいろやり過ぎてて、わけわかんないんですが、試合中に、旧作の最終回同様、鑑賞者は誰も知らない、許斐先生作詞楽曲が流れます。♪Death Parade~どちらかを選べ!!~ という曲。(おそらく、旧作最終回で流れた ♪Dear Prince~テニスの王子様達へ~と対になる楽曲ですね。新テニ版。タイトル頭文字が「D・P」で対になっていますし、作曲家様も同じ方です。)どんな曲かは知らないのですが、この歌詞がすごく面白くて。今回の映画作品、基本的にはリョーマくんのためだけに作ったというか、最初は、本当に「リョーマくんを、なんとか昇華してあげたい」という思いから立ち上がってると思うんです。なんですが、映画内でリョーマくんが、「パンドラの箱」を開けた…「世界転換のスイッチ」を押して、未来が変わった。これは本当に、桜乃ちゃんを出す、出さない…も含め、それだけではない…リョーマくんから、どんどん周囲を巻き込んでいく、本気の本気で「テニスの王子様」という作品全体の転換スイッチだったんだな、と。「新テニスの王子様」を読んで、この35巻を読んで、ようやくその実感まで追いつきました。「転換」の先に、目指すべくはおそらく作品全体としての、「ネバーランド」からの脱却。少年漫画としての「成長の物語」ではないかな、と思っています。作品全体として、「変わらないで欲しい」というアイドル文化としての需要に対し、Death Parade(デス・パレード)を、本気でやるつもりなんだな、と。「物語」は、当然アイドル文化とは、作り方・考え方が異なります。主人公や主役級に描きたい成長軸を持ったキャラクターたちが居ますので、そのキャラクターに寄って、描く。需要に寄って、ではなくて。本編は、人気投票結果を発表する場ではなく、全キャラクターに均一に魅せ場を作ってあげるための場でもなく、主役・成長主体を描くために、魅せたいものを魅せるためのバランスで描く場所です。当たり前の話なんですが、「テニスの王子様」は、一度これ↑がどうしても出来なくなってしまった経緯があります。傍から見てれば、少年漫画作品としての大ヒット、その先の女性向けコンテンツとしての独自路線での大ヒット、20年以上の作品展開を経て、作品としての役目をすべて果たした…今、変わる必要性なんて、絶対的にあるわけじゃないと思います。このまま、長年追いかけてくれたファンたちの求める姿で、寿命を全うしても、それはそれでとても幸せな作品だと思うんです。でも…この作品は、まだまだこんなもんじゃない。ここで、あえて修羅の道を行く。すごいエネルギーです。すっっっっっっごく面白いです。とっちらかった感想になりましたが、総括です。「新テニスの王子様」、最初にも書いた通り、漫画作品としてだけで楽しめるものではないと思っています。これだけでは、意味が分かりません。ただ、「リョーマ!新生劇場版テニスの王子様」が出て来た今こそ。映画と一緒に、是非鑑賞してみていただきたいです。私は、漫画媒体がとにかく好きな人間ですが、今回のような、多メディアを行き来するような漫画感想を書いたのは初めてです。テニスの王子様は、(超優れた)他のメディアミックス展開の勢いに押され、一度は、漫画原作のバランスが保てなくなってしまった作品だと思っています。ただ、許斐先生が、それらを決して否定せず、悲観せず、アニメ・音楽・舞台・イベント…他メディア展開のパワー・素晴らしさを肯定的に捉え、それらメディア展開の立ち上げ方、作り方を観て、吸収して、そして今回、3Dミュージカル映画という他メディアを許斐先生自身が用いて、「テニスの王子様」を自身の描き出したいバランスへ、引き寄せようとして来ている。漫画家が、映像の作り込み、音楽、舞台、イベント…多メディアを自身で使いこなせるようになることで、更に、3Dという最高次元メディアに自らが挑戦することで、作品の「統制」を勝ち取ろうとして来ている。これが、許斐先生が「ハッピーメディアクリエイター」を名乗られている意味か、とまじまじと実感するとともに、そんなことが本当に可能なのか…と思うようなことが、本気で展開され、映画・漫画作品として、実際に鑑賞者の目の前に出てきています。「奇跡を観た」ような感覚です。多メディアのノウハウは、また漫画原作に帰結・集約して来ます。今、「新テニスの王子様」は、まさに異次元の旨味のノッた状態であり、本当に、こんなもの読まなきゃ損!だと思います。テニスの王子様…めちゃくちゃ高度な多メディア合戦の末、作品としてのパワーがとんでもないことになっています。(もちろん、私が未鑑賞なミュージカルやその他のメディアミックス展開も、それぞれの挑戦や面白味が詰まっているのだと思います。これらも、追々…出来る範囲で鑑賞したいのですが、とにかくまずは漫画と映画だけ…。)面白過ぎます。この闘いを、今後も是非追いかけていきたいと思っています。漫画好きの方は、本当に是非!メディアを超えた闘いが楽しめる「漫画作品」なんて、他にありません、おススメです!!by姉
2022.02.05
コメント(0)
少年漫画感想『新テニスの王子様』-その2◆14~17巻の展開についてリョーマくんを、アメリカ代表に放り込んで、さて、いよいよオーストラリアで、世界大会開幕だ!という展開。日本代表も、手塚くんの居るドイツと前哨戦を繰り広げますし、リョーマくんも、アメリカ代表としての活躍がきちんと描かれます。合宿所の、最期の方の苦しい感じから抜け出せて、画面クオリティも高く、話回しも満足感が高いです。…ただ、リョーマくんが、かなり荒れてます。あんまり笑ってくれません。日本が恋しそうなんですね。17巻の後半の方で、リョーマくんが徳川さんに向かい、敵役っぽいセリフを吐き捨てます。これがおそらく…2015年の末…とかかな?これ以降21巻のラストまで、約コミック4巻分に渡り、(過去シーンを除いて)リョーマ君がぱったりと本編に出て来なくなります。◆2016年1月 許斐剛☆サプライズLIVE~一人テニプリフェスタ~ についてここで、漫画原作以外のメディア展開の話が必要になります。ちょうど17巻の内容の掲載時期かと思いますが、2016年1月に、『許斐剛☆サプライズLIVE~一人テニプリフェスタ~』というライブイベントが開催されているようです。未鑑賞の為、DVDの商品ページ等の情報や、コミック記載の概要を見ただけですが、許斐先生が企画からすべて行い、キャラクターの3DCGを用いた、自らが歌うライブイベントのようです。(いずれ、ちゃんと鑑賞したいです。)そして、2021年公開の映画パンフレットのプロデューサー様のお話には、映画企画が2016年2月、許斐先生の提案(売り込み)で立ち上がったことが明記されています。このライブ企画に向けて、初めて出て来たものなのか、それとも、そもそも映画企画への道筋を描いた上で、このライブ企画を立ち上げたのか、その辺は分かりませんが、とにかくここで、テニプリにとっての未知の媒体・3DCGが、ポッと、直接、許斐先生の手元に現れて来ています。そしてライブ終了後、光の速さで「3Dの子供向け映画」企画立ち上げまでこぎつけているわけで…いや、天才的にぶっ飛び過ぎてて…最初から、どこまで狙ってたのか…私のような凡人には到底推し量れません。ただこのライブ企画準備が、おそらくおおよそ2015年内に行われており、そして、結果として製作された映画作品が『リョーマ!』であったことからも、リョーマくんというキャラクターを、そして許斐先生自身の描きたいモノ自体を、なんとか昇華したい…!その思いが3D媒体と繋がることによって、「子ども向けの3D映画」という筋道が、バシーーーッと出来上がったんだろうな、と。おそらく、“新作ファンタジー”製作に数年間取り組まれていた、その際の思考回路も相当影響しているのだとも思うのですが…しかし、飛んでる…あまりにも…。◆18巻~22巻の展開について時期を見ると、18巻収録分のあたりから、映画の話が同時並行で進み始めているようです。先ほども書いたように、18~21巻のラストまで、リョーマくんがぱったりと本編に登場しなくなります。ちょっと、映画の世界・「夏のアメリカ」に引き籠ってた…というか、逃がしてあげてたかな、と。許斐先生の労力も、当然映画の方に費やされ始め、漫画原作の画面クオリティや、話回し、キャラクター設定に割く時間が、明らかに減っている印象です。まず、18~19巻で展開される日本VSギリシャ戦ですが、ギリシャチームのキャラクター設定が、テニスの王子様では未だかつて見たことがないほどにやっつけです。石膏像みたいな造作の、もはや人間だと思って描いてないキャラクターたちがテニスをし始めます。でも20~21巻で展開されるオーストラリア戦は、日本VS開催国との対戦ということで、事前から練ってあったのかな…?オーストラリア側のキャラクターも、アウェーの空気感の中での闘いという話展開も、跡部様を筆頭に、日本代表のたちの活躍も存分に楽しめ、非常に読み応えがあり、面白いです。21巻のラストが、とても印象的です。アメリカ戦の会場に駆け付けた桜乃ちゃんと金太郎君が、それぞれリョーマ君に言葉を投げかけるのですが、「リョーマくんが、一番言って欲しい言葉」を言っているのかな、と思います。この21巻後半の辺りが、2017年春~初夏頃でしょうか。映画でぐるぐるしている時期なのだろうと思うのですが、オーストラリア戦の各話タイトルで「全てを敵に回して」とか、桜乃ちゃんの言葉で「どこの代表でも…」とか、少し姿を変えて、映画に登場してくるような言い回しが散見されて、すごく面白いです。22巻。スイス戦が描かれます。おそらく映画関連で、許斐先生の負荷マックスがこの22~23巻の辺りかな、と思います。ギリシャに続き、世界No.2のはずのスイス代表の、あまりにやっつけなキャラクター造形。監督は「ジン・オノジイハ」(逆読みしたままの容姿)、構成員には「ペーター」…。そして、「テニスの王子様」とは思えないほどに、荒れまくる線。漫画画面のクオリティを、完全に意図的に捨ててます。ダブルス戦がほとんど描写されず、ひたすらS3の阿久津くんの闘いが描かれるのですが、このオーダー自体、「作画が勢い任せになることを想定」したものだったのかな、とすら思います。コミックの記載を見る限り、この辺りでは、CGクオリティ底上げを裏目的とした番組?やら、企画を立ち上げまくってたっぽいので、そういったお仕事もMAXだったのだと思いますが…。とにかく、18~24巻の辺りは、ここまで旧作からテニスの王子様の漫画を読んで来て、一番「別の何か(映画)>>>>>漫画原作」というバランスに(あえて)なっていると感じています。分かんないよ…あのクオリティの映画が出て来れば、逆算して推し量ることも出来るけど、分かんないよ…漫画をリアルタイムで読んでるだけじゃ絶対…。◆23巻の展開について23巻開始直後、いきなりの超急展開が訪れます。リョーマくんが、アメリカ代表を抜け、日本代表チームに戻って来ます。ここの流れに関しては、「大した理由はない」としか言いようのないものであり、漫画を読んでいるだけでは、あまりに不自然です。21巻~22巻頃…2017年頃の、映画の内容を詰めていく段階において、映画の中で、リョーマくんがきちんと定まったんだろうな、というメタの視点を持たない限り、すんなりと読める展開ではないと思います。私の認識的には、↓こんな感じです。・漫画旧作の最終巻、全国大会終了直後に、リョーマくんをアメリカに逃がしている。 「テニスの王子様」の中で、リョーマくんが息がしづらくなった時に、 アメリカに逃がすのは、ここで初めてやってる。・漫画・新テニスの王子様・13巻で、再びリョーマくんをアイドル集団(日本代表)から離し、 アメリカ(代表)へ逃がしている。※付き添い:お兄さん・リョーマくんのフラストレーションが漫画原作内では昇華し切れないと踏み、 映画の世界(やっぱり舞台はアメリカ)へ更なる逃亡をさせている。※同伴:桜乃ちゃん ★重要★ 基本的に考え方は「逃亡劇」のはずなのに、なぜか渾身の3D映画製作という、超クリエイティブな攻め姿勢。 これまでの作品展開(漫画、アニメ、2.5次元舞台等)よりも、原作に寄せたビジュアルであり、且つ高次元媒体で表出することにより、それらに本気で勝ちに来ている。天才の所業。 →逃亡に次ぐ逃亡の最果てにあったのが教会であり、そこで桜乃ちゃんに「必ず守る」と誓う。 ※この部分を抑圧したことが、リョーマくんが作品内で身動きが取れなくなった原因の、大元の大元(最大の枷)であり、パンドラの箱。 →リョーマくんが映画内で、ものすごい勢いで「テニプリ」ワールドへリターン。・映画の勢いのまま、漫画原作内においても、日本代表へ一気にリターン。映画製作において、いつ頃、どういう順番で、展開・各シーンが出来上がったかは、鑑賞者には知りようもない話ですが、ただ、リョーマくんが映画内で満足して、「少年漫画主人公」として定まって、その上で「みんな大好き!テニプリ大好き!戻る!」って言ってくれない限りは、漫画原作において、この展開にはならないと思います。分かんないよ…あのヤバい映画を鑑賞した後なら、いくらでも後付けで解釈できるけど、分かんないよ…漫画をリアルタイムで読んでるだけじゃ絶対…。23巻は、まだまだ許斐先生の時間がなかったのかな、という感じで漫画画面・線は荒れまくっていますが、漫画表現はキレッキレです。謎の呪術集団が登場したり、(↑おそらく、リョーマくんと金太郎くんを少年漫画的に戦わせたかった)白馬に乗ったフランスの王子が登場する、その前振りがページをめくる前の2コマ、「パカラッ パカラッ」という効果音しかない等、あらゆる面で、ぶっ飛んではいますが、ただ、キャラクターも皆イキイキしていて、とても面白いです。すごく好きな巻です。◆許斐 剛✮パーフェクトLIVE~一人オールテニプリフェスタ2018~ここで、また漫画原作以外のメディア展開の話です。2018年6月、24巻執筆中…かその直後くらい?の段階だと思いますが、上記タイトルで、再び許斐先生のソロライブが開催されているようです。こちらも未鑑賞なのですが、2016年と同様に、3DCGのキャラクターを用いたライブとのこと。この時に、ご本人がはっきりおっしゃってたのかもしれませんが、このライブ企画は明らかに、製作中の映画における、3DCGの、特にミュージカルシーン(&テニス試合シーン)の、動きのクオリティ底上げを主(もしくは裏)目的としたものだと想像しています。妹と、劇場版『リョーマ!』の作り方について、(全部想像で)散々語り合っているのですが、おそらく、下記2楽曲…・RAP FESTIVAL・超えたいその壁をについては、かなり初期の段階で、作品の方向性を決定づける意味合いも含め、パイロットフィルム的に製作されてるのではないか、と話しています。映画パンフレットで、RAP FESTIVALを担当された方が、「2017年製作時」とおっしゃっていますし、特に映画冒頭部分の3DCGに関しては、後半と比べ動きがかなりぎこちない面があります。パイロットフィルム製作の反省点や課題点を克服するための修練の場が、2018年の、このライブ企画だったのかな…と。ミュージカルシーンでは、下記3楽曲…・オープニング・♪Dear Prince~テニスの王子様たちへ~・♪Peace of mind~星の歌を聴きながら~・世界を敵に回してもこれらに関しては、映像クオリティの高さが異常であり、(単にお金がかかっている、という意味ではなく、伝えたいものを伝え切る、キャラクターの演技力・魅せ方という点で)おそらく2018年の修練を経て、振り付けも作り込んで、製作ノウハウが蓄積された、最期に作り込んでいるのではないかと思っています。「漫画家」ってなんだっけ…?いや、「ハッピーメディアクリエイター」か…うん…。マジ半端ねぇ。恐ろしい…。その3につづく。by姉
2022.02.05
コメント(0)
21年9月頭の映画『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』公開以降…実際には、8月から映画公開に向けて原作旧作を爆買いして読み直したりしていたのですが、それ以降、基本・映画の中に住みながら、他のテニプリコンテンツを少しずつ噛み砕いています。8月の時点で、原作旧作である『テニスの王子様』全42巻について漫画の感想記事は書いていたのですが、『新テニスの王子様』については、ところどころ購入しつつ…全巻揃えれていませんでした。最新巻・35巻までようやく揃え、じっくり読み…あまりに面白かったので!!!感じたその面白さについて書いていきたいと思います。*以下、映画感想もそうでしたが、あくまで、漫画原作を読んだいち読者の、ただの「想像」「いち鑑賞者の解釈」です。また、『テニスの王子様』の他のメディア展開について詳しいわけではないので、漫画・映画だけを鑑賞して、こういう風に捉えている人も居るんだな、と思っていただければ。*『新テニスの王子様』(許斐剛先生、ジャンプスクエア、2009年~、既刊35巻~以下続刊)全国大会終了後、秋。高校日本代表候補(U-17)合宿地に、50人の中学生が集められた。青春学園、四天宝寺、氷帝学園、立海大付属中・・・高校生を含め、300名以上の候補者たちの生き残りをかけたサバイバルが始まる。前提として、漫画作品としてだけで、この『新テニスの王子様』楽しむことは難しいのではないか、と思っています。作画クオリティ、キャラクターや話筋の練り込みという点で、ムラが大き過ぎます。また、映画感想の際にも書きましたが、『新テニスの王子様』は、基本的に「物語ではない」と私は認識しています。漫画原作としての『新テニスの王子様』の連載中に、『テニスの王子様』という多メディアパッケージの「作品が存在する目的」「作品のスタンス」が、意識的に、意図的に、変革を起こしています。確実に、映画『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』が、その変革の核に座す作品だと思っています。パッケージ自体が、生まれ変わろうとしている…その変遷の過程を、串刺して見て取れる(想像できる)のが、ずっと連載を継続している、原作漫画『新テニスの王子様』だと思います。『テニスの王子様』という作品は、漫画だけでは語れないんですよ。許斐先生が「漫画家」ではなく、「ハッピーメディアクリエイター」ですので。イベント・作詞作曲・映画製作…その他多種多様な表現媒体…多メディアなんです。漫画原作と、他メディア作品とで、許斐先生とキャラクターたちが行ったり来たりしてるんです。個々に作品として完結してそうな顔してるんですけど、やっぱり一つのメディアを鑑賞しているだけじゃ、筋として理解できない。ですので、この漫画『新テニスの王子様』の楽しみ方としては、映画『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』が2021年9月に公開されることを前提として、原作の執筆・掲載時期と、映画の製作過程を照らして、想像する。原作に、映画製作に取り組む許斐先生の心象風景がリアルタイムに反映されてきている(であろう)過程を、想像して、楽しむ。読者が、漫画読みながら、多メディアをまたがる『テニスの王子様』の作品形成について、勝手に解釈の空中戦をやる感じですね。…めちゃくちゃ、面白いです!!映画感想記事でも少し書きましたが、まず、『新テニスの王子様』の作りについて。2008年に旧作が週刊少年ジャンプ誌上で完結を迎え、2009年に、ジャンプスクエアで本作が連載開始しています。この立ち上げについては、私の捉え方では、「少年漫画」ではなく、「アイドル需要に応えるため」のものだったのだろう、と思っています。旧作を締めるに至った経緯も、私の目線で読み取る限り、TVアニメ放送終了を待ち、コミック20巻台後半~30巻台前半で試みた「少年漫画の再開幕」がこの状況では出来ない、無理だ、と判断したんだろうな、と感じています。もし、旧作の『テニスの王子様』が続いていた場合、どういった形で展開する予定だったのかは分かりませんが、普通に「少年漫画」であれば、当然、夏の全国大会を終えれば、3年生は中学テニスは引退し、各校、2年生を中心とした体制へ移行するでしょう。金太郎君や赤也君といった、力を入れて設定してあるライバルキャラクターはもちろん、不動峰や六角といった、1~2年が主要メンバーとして形成されている学校に関しても、リョーマ君の成長軸と呼応して、成長していく主体として設定されていました。ただ、ファンの大多数に「集団アイドル」を求められる中で、とてもそういった変化が許容される状態ではなかったんだろうな、と。新テニスの王子様は、U-17世界大会という舞台自体が、3年生たちも引退させず、キャラクター皆を「世界大会」まで連れて行く、いわば『ネバーランド』だと思っています。旧作において最大の特徴だった「学校別団体チーム」を解体し、キャラクターたちを、成長や生活感から切り離してます。単純に、「高校生・中学生たち…お前ら、学校は?」って話なんですよ。旧作を読む限り、キャラクターたちの生活感を無視して描くことはしない作家様です。求められるものを描くために、あえてこの形にしてる。許斐先生が、旧作を畳んでから、たったの1年で、自身の心の折り合いをつけて、求められるものに徹しきるこの「ネバーランド」を構築してきたことは、本当に凄いな、責任感だな、と思います。『テニスの王子様』という作品を描くモチベーションを、「求められるものに応える喜び」と整理し、切り替えられたんじゃないかな、と思います。映画公開の少し前に、オリコンだったと思うのですが、許斐先生のインタビュー記事が掲載されていました。その記事上で、とても印象深かったのが、「新テニ連載と同時並行で、新しいファンタジー作品の連載構想を練っていた」というお話。結局形にならなかったが、3年くらい取り組んでいた、といった内容だったと思います。『新テニスの王子様』の出だしと照らして想像すると、「自身の描きたいものを形にする喜び」という、漫画製作の根本に根差すはずのモチベーションを、別の作品製作として昇華し、クリエイティブのバランスを取ろうとされていたのかな、と感じました。◆1~12巻について上述のように、本作の出だし…13巻まで、隔離されたU-17候補者選抜の合宿所で展開されますが、私は、読むのがやはりとても辛かったです。遠眼に、この作品を「こういう状態なんだろうな」と捉えていた認識と、ズレはありませんでした。…が、まじまじと鑑賞すると、やっぱりツラい。許斐先生が、「求められるものに応えよう」とされているのは、とにかく凄いと思います。尊敬しかありません。もちろん、「求められる」こと自体は、喜びだと思います。ただ、同時に、ファンや他のメディアミックス製作主体から寄せられる、「テニスの王子様には、こうであって欲しい」という声や要望が、「無から形作る」「描きたいものを形にする・物語にする」…作者様が漫画作品を創造していくための、モチベーションや体制構築というものに対して、思慮・配慮を欠いたものだったであろうことが、ありありと想像できてしまう…。もちろん、他のメディア展開から得られる喜び・モチベーションがたくさんあったからこそ走らせることが出来ていた状態なのだとは思いますが、私は、根本的に「漫画好き」ですので、明らかに無理をして描いていることが分かる、この状態を見るのはどうしても辛いです。1~5巻くらいまでに関しては、崖の上の特訓ですとか、新しい絵面もあり、少年漫画として面白いと感じることができます。ただ、6巻以降になってくると、先が見えない五里霧中感が漂っており、個人的には、読み進めるのが…辛かった。今回の映画作品が出て来なかったら、とてもではないけれど、直視出来るものではありませんでした。この、2009年~新テニスの王子様の出だし5年間に関しては、「求められるものに徹した」展開だったのだろうと認識しています。また、許斐先生自身が、イベントや楽曲製作等、多メディアを用いた作品形成に、本格的に乗り出しているのも、この時期でしょうか?2011年には東日本大震災もありましたし、本当に責任感を持って取り組まれていたのだろうな、と。コミック9巻・11巻に、立て続けに許斐先生が体調を崩され、病院に運ばれた・入院したと記載がありました。過労…でしょうか…?この体調不良もあって、なのかは分かりませんが、この辺りで新作漫画製作に関しては、「諦める」方向に動いたのかな、と感じました。2013~2014年頃?かと思います。…ここまで、いち漫画好きとして、悲観的な語りになってしまっていますが、エンタメ作品として、「需要に(期待以上の形で)応える」スタンスは、否定の余地など一切ないものですし、「テニスの王子様」という作品の、その部分の凄さは、重々承知しております。作品としての黄金期は、この旧作中盤~新テニスの王子様立ち上げ時期であることは間違いなく、(主に女性向けコンテンツとして)後続文化に多大な影響を与える、伝説となるようなワークスは、まさしくこの時期に産み出されたものだと思っています。◆13巻の展開について2014年、「新テニスの王子様」の展開が大きく動きます。リョーマくんが、日本代表合宿を「失格」という形で離脱します。これは、「求められるものに応える」という考え方では、まず出て来ない展開だと思います。ここで、作品の定義が一度切り替わってる、と感じます。全部勝手な想像の上に立って解釈しますと。まず、許斐先生が新作製作を諦め、「テニスの王子様」一本で描いていくと決めた。自身の「描きたいものを形にする」というモチベーションを、再びこの「テニスの王子様」内で実現していかなくては、と腹をくくった。そしてもう1点。新テニスの王子様の連載を走らせていく中で、主人公のリョーマくんが、全く動けない状態になっているな、と感じました。旧作の段階から、重い枷を背負わせて来た子です。守るべき存在として出したヒロインの女の子(桜乃ちゃん)が、メタの世界で、まぁ、観たこともないような大変な状況に居たのを、「助けに行くな」と。「王子様」なのに、お姫様を「守りに行くな」「優しくするな」と、作品のためにずっと我慢させて来たよなぁ…と。TVアニメが終わっても、リョーマ君と桜乃ちゃんに関しては、まともに描くことが叶わず、また、新テニスの王子様では、大好きな青学というフィールド自体が離散状態です。桜乃ちゃんと青学…この子が、大事にすべきと仕掛けたものを、全部取り上げてしまった状態、且つ12歳から微塵も成長させてあげられないネバーランド内において、「作品の顔・集団アイドルのセンターとして、ファンサだけ頑張れ!」って、なんて酷なことを言うんだ、と思います。真面目な子なんで、頑張ってやって来ましたよ。でも、表情も発言もグッと少なくなってしまって、自分から「やりたいこと」の提案もして来ない。「少年漫画の主人公」として、死ぬ直前まで来ていた…ひょっとしたら、一回死んでたかもしれません。分かり切っていたこととはいえ、無理して「求められるもの(集団アイドル)を描く」方向に振り切れた分のガタが、やっぱりリョーマ君と青学という、物語の主役(として設定していた)主体に出てしまっている。まずは、とにかくリョーマくんを、この子をどうにかしなければ、と。そこで出て来た展開が、「日本チームから離す」だったのかな、と思いました。ここから数年間の「テニスの王子様」は、「リョーマくんに笑ってもらう」ことが、すべてにおいて、何よりも優先されていると感じます。13巻のラスト。合宿所を離れたリョーマくんの前に、ここまで『新テニスの王子様』本編には一切登場させて来なかった桜乃ちゃんが、鮮やかに登場します。(女の子キャラクター自体が、おそらくここで初登場…かな?)「求められるものを描く」だけの作品ではなくなったから、出したという認識で良いのかな、と思っています。リョーマくんが、本当にヤバい状態なので。なんとか桜乃ちゃんに励ましてもらって、笑って欲しかったんでしょう。旧作10巻以降で、初めてまともに本編の中でこの2人が描けたシーンだと思います。このデート回ですが、漫画画面が非常にキレています。旧作においても、この2人のシーンでは「向き合って見えないように」「並んで見えないように」アングルを設定するという、ものすごく不自然な画面取りを行ってきていましたが、このシーンでは、それを取っ払って、とても素直に画面取りがなされています。以下、蛇足ですが、私と妹内の話の中では、許斐先生の中では、この時点で「実は既に付き合ってる設定」があったのかもね、という話になっています。この13巻のデート回の、2人の言動行動が、流石に「付き合ってる」と思った方が、素直に見れるレベルですので。旧作を畳んだ許斐先生が、再び「テニスの王子様」に向き合うに際し、求められるものと、製作モチベーションの折り合いを付けていく段階で、「描写は出来ない」けど「この2人はちゃんと仲が良くて、進展してる」設定を内々に据えていたのかな、と。勝手な想像です。ただ、もしそうだったとしても、明言はしていないので。今回、この2人をメインに映画製作をすることになった段階で、「いったん『同級生』に戻した」のかな、と想像しています。その2に続くby姉
2022.02.05
コメント(0)
コミック全巻セットを衝動買い&週末を使って爆読しました。少年漫画感想『テニスの王子様』(全42巻・週刊少年ジャンプ・1999-2008年)名門・青春学園中等部のテニス部に入学して来たのは、アメリカJr.大会4連続優勝の天才少年・越前リョーマ。小さな身体から繰り出される超絶技巧…スーパー上から目線で生意気な口をききながら、リョーマの日本中学テニス界での快進撃が始まる。9月に初のCG映像の劇場版が公開されるということで、予告(→こちら)を何気なしに観てみたら…なんか…なんかっっ!よく分からないけど、大勢で歌って踊ってて、お祭り感があって、すごく楽しそう!コロナ禍で、久しく見ていなかったようなこの感じ!イイ!楽しい!そして、桜乃ちゃんがまさかのサードクレジット表示!え、桜乃ちゃんがガッツリ出るなら、観に行っちゃおうかな!でも、踊ってる他校の子たち、全く分からないな。テニプリ本編、実は旧作の十何巻かまでしか、読んだことないからな。よし、真面目に読んでみよう!といういきさつなのですが…。テニプリ…こと、『テニスの王子様』については、ブログの初期初期でも記事を書いてた…こともあるかもしれませんが、私たちは、漫画の連載開始時、限りなく主役のリョーマ君に近い年齢だったという、「超・ど真ん中世代」の作品です。連載開始~アニメ化くらいまでの間は、友達にコミックを貸してもらって、読んでいました。面白い作品だとは思っていましたが、小学生の頃より慣れ親しんだ「SLAMDUNK」に比べ、スポーツ漫画としては描写が物足りないと感じた点や、桜乃ちゃん等、登場が楽しみだった可愛い女の子たちが、フェードアウトしてしまった点、同時期にアニメが開始した「ヒカルの碁」の方のコミックを揃え、のめり込んだこともあり、ハマることはなかったな、という作品でした。ただ、「自分たち向けのコンテンツ」だとは認識していませんでしたが、二十年以上経っても、こうして漫画の連載も続き、大きなメディア展開も継続されているということで、本当にすごい作品だな、と思っています。特に、作者の許斐先生の徹底したファンサービス精神も合いまった、見たことのなかったような多種多様なメディアミックス展開に関しては、(詳しいわけではないですが)私の意識化では「テニプリが走りだな」と思っているものが多々あります。何十人(何百人?)という裾野の広いキャラクター達のキャラソンCD発売や、2.5次元舞台・ミュージカルというジャンルの確立、何より、大勢のイケメンや美少女が並び、お気に入りの子を選び、「推す」、集団アイドル的な作品パッケージ展開。あとは、自ら「王子様」「プリンス」と名乗る…たいへん潔く、訴求対象に伝わりやすいパッケージタイトル。今でこそ当たり前に思うようなものも、この作品が開拓して来た道じゃないかなぁ、と思っています。(いや、本当に「テニスの王子様」って最初に聞いた時、「なんだそりゃ!」って思いましたもん。「少年漫画において、自分でそこまでえげつなく名乗るのか、裸の王様みたいだな」とすら思いましたもん。当時ではそれくらい他にない、大胆なタイトルでした。)ここ20年における日本エンタメ界に与えた影響、生み出した文化は、数知れず…偉大なパッケージですよね。本当に。メディア展開のすべてに手を出す気はありませんが、とにかく漫画本編をきちんと真面目に読んでみよう、と思いまして、すっごく真面目に読みました。改めて、「こんな作品だったんだな」と感動する部分がたくさんありましたので、取り留めなく書き記していきたいと思います。*以下、最終巻までのネタバレを含む感想です。未読の方はお気をつけください。*◆「漫画」がめちゃくちゃ上手い発行部数何千万部のレジェンド作家様の作品に、今更何言ってんだ、って感じですが、「こんなに『漫画』が上手い漫画だったのか!」が、今回一番驚いた部分でした。単純に、情報が一発で入ってきて、読みやすい。一コマ一コマの構図取りが練ってあることが分かる。絵にもパワーがあり、伝えたいインパクトが伝わってくる。いちいちページをめくったところに、思わず「わっ」と言わせる、漫画特有の仕掛けがある。パラパラめくるだけで、すごく面白いんですよ。「魅せる」力のなんてある漫画作品なんだ、と思いました。本当に、今更何言ってんだ、ですが。◆青春学園レギュラー陣がそれぞれ読み応えがある他校のキャラクターたちも含めて、キャラクター個人、各校毎にそれぞれのファンがついている作品、という認識だったので、話が進むにつれて、他校の描写が増えてくるのかな?と思っていましたが、そうでもなくて。基本的には、青春学園の主観で、地方大会・都大会・関東大会・全国大会をずっと戦い抜く物語であり、(主役のリョーマ君を立てることを前提として、)ほとんどずーーっと、青学のレギュラー陣が描かれていました。手塚・大石・不二・乾・菊丸・河村・桃城・海堂・越前 の9キャラクターですね。この9名に関しては、42巻を駆け抜けて、一人一人成長や変化があり、本当に読み応え・満足感がありました。あぁ、こんなに青学に寄った作品だったんだな、こんなにココが読み応えがある作品だったんだな、と思いました。(もちろん旧作のみの話であり、『新テニスの王子様』では、この辺は変わって来てるんだとは思います。)各キャラクターについては、後ほど触れていきたいと思います。◆「王子様」の話なのか、「王子様たち」の話なのか今回読み直して、改めて確認しておきたかった部分です。私は、メディアミックス展開がまだないような漫画初期から触りだけ読んでいて、この作品は、「リョーマくんの『ドヤーーッッ』を魅せる作品だ」、と認識していました。超英才教育を施された天才テニスプレイヤーのサラブレットの、なんか細胞のつくりから違う感じ…リョーマくんというキャラクターの本質は、実に少年漫画的な、テニスにストイックな「サムライ」なんですけど、周囲から観たその存在感は何かと言ったら、生まれから違う「王子」というか。数多のテニスプレイヤーたちを魅力的に登場させながらも、それらを全員引き立て役・囃し立て役にしてしまうリョーマくんの特別感を、いかに描写するか、それがこの作品の売りであり、描くべきものだと思っています。ですので、上述してきた話で少し触れているようなメディアミックス展開…「王子様たちの中から、推しを見つける」という乙女ゲーム的な楽しみの提供・パッケージ感に関しては、この作品の抱える「ダブルスタンダード」だな、と思っています。メディアミックス展開に関しては、企画主体が別に存在するわけで、もちろん他作品においても同様に「原作と製作意図が異なる」「バランスが異なる」のは普通のことなのですが、この「テニプリ」という作品におけるそこのギャップは、非常に顕著だな、と感じています。漫画作品というのは、「物語」なので。受け取り方は読者によって千差万別になる、のは分かっているのですが、でも「軸がきちんとある作品」であれば、基本的に「提示できるもの」は一つだけだと思います。全42巻を駆け抜けて…しっかりと、はっきりと認識できたのは、「漫画原作は、『越前リョーマ』という『テニスの王子様』を描く作品だ」ということでした。そうだよね…!やっぱり、そういう作品だよねっ…!もちろん、中盤になってくると、他キャラクターの試合が長く描写されたりはしますが、ただ物語としては、ほとんどの対戦における花形試合をリョーマくんがかっさらうという作りで、一切ぶれることなく、「王子様」に花を持たせるお約束展開でした。絶対的な安心感・信頼感を持って読み進められました。◆女の子キャラクターの描写について本記事冒頭で、「桜乃ちゃんが出るなら、映画見ようかな!」と思った、と書きました。「テニプリ」というと、男キャラクターだらけの作品という印象が強いですが、漫画原作初期では、桜乃ちゃんをはじめ、女の子のキャラクターというのは、複数人、結構印象的に登場していました。テレビアニメが始まり、10巻台に入ってくると、先ほど書いたようなメディアミックス展開も加速していき、まぁ…作者の許斐先生が、ファンに気を使った…という言い方でいいのか分かりませんが、女の子キャラクターの登場自体が極端に減ってしまい、私としては残念に思っていました。もともと許斐先生は、女の子キャラクターを大事に描ける作家様だと思っています。それぞれの個性を活かしたビジュアルで、可愛らしく描写するのが非常に上手ですし、また、さり気なくベターでキュンとくるシーン・エピソード作りも、ジャンプ作品では他にあまり見ないくらい、上手い作家様です。はっきり言って、やろうと思えば、サンデーラブコメ並み…コナン並みのラブコメ度合いで話を回そうと思っても、全然出来る作家様だと思います。私としては、「ちょっと勿体ないな…」と感じる部分だったりするのですが、まぁ…これは難しいところだな、と。あえて、たくさん女の子を出して、たくさんカップル作って…なんてことは、もちろんやる必要はないと思います。ただ、この作品の「ダブルスタンダード」のうち、漫画原作軸…「リョーマ君」に集約する物語として、桜乃ちゃんだけは!ここだけは、当初仕掛けた通りに、こだわってちゃんと描き切ろうとしてるのかな、と。桜乃ちゃんというキャラクターは、第一話の冒頭から思いっきり定義されていますが、リョーマくんを、「王子様」にするキャラクターです。「お姫様」居てこその「王子様」だろ!という、ものすごく単純な考え方だと思います。単純なんですけど、この娘を助けたり、守ったり…という描写、単純に、ものすっっごく「王子」感出るんですよ。ダブルスタンダードが喧嘩してしまう部分なので、「テニプリ」というパッケージ上、気を使う部分だろうな、とは思うのですが…ただ、やはり描くべきものとして、こうして桜乃ちゃんを大々的に魅せてくるバランスは、漫画原作を基軸に捉えている私のような読者としては、非常にしっくり来ます。だって…第一話冒頭から…最初から、描く気満々で仕掛けてあったし。ビジュアルも、「王子」・「姫」で対比させて、どんどん大人っぽくしていく予定だっただろうし。◆テニス→謎の魔術合戦化最初はテニスをちゃんとやっていましたが、だんだんテニスではないものになっていく…というのは、有名でしたので知っていました。私は十数巻までしかしっかり読んだことがなかったので、今回初めて、そのインフレーションっぷりをまじまじと体感したわけですが、まぁ・・・噂に違わず、まぁ・・・いろいろ凄かったです。十巻後半台の、最初の氷帝戦のあたりで、若干「ん??」と思うような技が出始め…二十巻台に入ると、分身したり、身体が光ったりしてスーパーサイヤ人みたいになったり…三十巻台の全国大会に入ってくると、テニスの話というか、オーラの使い方の話をずっとしていましたし、選手が客席まで吹っ飛び始め、血みどろ・吐血が当たり前な空気感に。二十巻台以降は、キメ技シーンで噴き出すことが多々ありましたし、正直最後の方は、何を読んでいるのかよく分からなくなったりもしました。…が、もともとインフレーションしていくのを知っており、心の準備ができていたのもありますが、案外、違和感なく読めたな、というのが素直な感想です。基本的に私は、この作品はテニスを魅せる作品というより、「リョーマくんの『ドヤーッッ』を魅せる作品」だという認識だったので、テニス離れ・人間離れしていっても、『ドヤーッッ』が描けていれば、作品として筋が通っていると感じるいうか。終いには「相手の五感を奪う」という完全にただの魔術めいた応酬が繰り広げられますが、これも、その中でテニスを楽しみ始めるリョーマくんを描くためのものですので、不自然だろうが、トンチキだろうが、何のための設定なのかがぶれなければ、(あくまで私は、ですが)素直に読めるもんだな、と思いました。…「新~」の方に入っても、インフラは加速・悪化の一途を辿るようですので、どこまでついていけるか、許容できるかは分かりませんが…。◆各キャラクターについて・越前リョーマ(青春学園中等部1年)絶対的主人公。ここまでも書いて来ましたが、やはり「テニスの王子様」とはこの子を指している、と認識して私は読み進めました。最初読んだときは、まんま「SLAMDUNK」の流川楓、という印象だったのですが、ちゃんと読むと、この子はこの子としてきちんと確立しているなぁ、と思います。周囲の年上達に可愛がられ慣れてる&持ち上げられ慣れてる、誰に言わせても「天才」ということで、ひたすら「王子様」ですね。あまりにも生意気な口をききますし、「唯我独尊」タイプではありますが、「暴君」ではない…ちゃんと周囲のキャラクターたちを大事に&尊敬できる、魅力的なキャラクターだと思います。先輩たちの試合のピンチの場面で、焚きつけるようなセリフをバシッ言い放つシーンが複数回ありましたが、それぞれのシーンがインパクトがあって、すごく好きでした。あまりに「王子」的な立ち位置からの、この子しか言えないセリフばかりでしたので。・桃城武(青春学園中等部2年)今回読んで、「こんなに読み応えのあるキャラクターだったんだ」と感心したキャラクターその1です。レギュラー陣の中で、リョーマくんと一番仲が良いようで、自然と出番の多いキャラクターでした。熱血漢の直情タイプ…に一見みえるけど、案外くえない「青学いちのくせ者」。「周りが見えなくなる」良さと「周りをよく見る」良さとを、よくよく使い分けているというか。もともと、こういったキャラクターとして描く予定だったのか分からないのですが、なかなか他では見ない、「実際にこういう人居そう」なリアリティもあり、なんか「怖い」キャラクターだな、と思って読みました。・海堂薫(青春学園中等部2年)得意技「スネイク」と、粘って粘って粘っていくスタイルを貫くキャラクターでした。上からも下からも、かなりとっつきにくい、絡みにくいキャラクターだな、と思っていましたが、試合では、シングルス枠が埋まってしまっているため、ダブルスでの出場が多く、思ったより協調性のあるキャラクターだったんだな、と思いました。・手塚国光(青春学園中等部3年・部長)青学テニス部内において、絶対的王者として君臨する部長。リョーマくんのことは、天才同士でしか分かり合えない次元でよく把握できているのか、扱い方が非常に上手だな、と思って観ました。カッコいいんですが…絶対「中学3年生」は嘘だと思います。・大石秀一郎(青春学園中等部3年・副部長)「こんなに読み応えのあるキャラクターだったんだ」と感心したキャラクターその2です。超天才や自分勝手なキャラクターがとっちらかる青学テニス部を一手に世話する優しく安定感のある副部長。青学テニス部が、なんとなく上手くまとまった、イイ感じのチームに見えるのは、ほぼこのキャラクターの腐心によるものだと思って読みました。このキャラクターの働きっぷりは、もっと評価されるべきだと思います。今回、まじまじと「テニプリ」を読んで、一番憧れるキャラクターは誰か?と言われたら、私的には間違いなく、この大石くんでした。プレイヤーとしては、ダブルスを得意としていますが、派手さはないですですが…いや、このキャラクターは凄いですよ。なんやかんや、青学レギュラー陣が、大石くんに頭が上がらない描写に説得力がありました。・不二周助(青春学園中等部3年)「こんなに読み応えのあるキャラクターだったんだ」と感心したキャラクターその3。名実ともに、部内「No.2」の天才プレイヤー。リョーマくんが、はっきりと「バケモノ」だと明言したのは、青学内では手塚くんと、この不二くんの2人だけでした。このキャラクターは、とにかく全国大会セミファイナル・四天宝寺戦がとても印象深かったです。グイグイこのキャラクターの本質…というか、内の部分に踏み込んでいくような戦いだったので、見応えがすごくあって、「ここまでしっかり描くのか」と驚きました。・菊丸英二(青春学園中等部3年)アクロバティックプレイを得意とする、基本的にはダブルスプレイヤー。アクロバティックというか、もはや忍者のようになっていまして、分身とかしだして、更に分身しながら一人ダブルスとかやり始めて、やる気になればNARUTOに登場できるんじゃないかこの子、と思いながら読みました。最初、この子が分身したのが21巻とかなんですが、あまりにインパクトがあって、ジャンプ掲載当時、学校で噂になっていたのを覚えています。飄々としたキャラクターですが、「兄2人、姉2人の5人兄弟の末っ子」という設定が巻中のどこかに書かれていて、なるほど…!とすごくしっくり来ました。他のキャラクターもそうなのですが、家族構成までしっかり見えてくる、説得力があるキャラクター描写がさらっとなされていて、凄いな、と思っています。・乾貞治(青春学園中等部3年)長身のデータ大好き・イロモノキャラクターですが、大石くんが部の運営的なマネジメント方面を司っているとしたら、構成部員各々の、トレーニング等の技能的・身体能力的なマネジメント方面を見ていたのがこの乾くんであり、いちプレイヤーの域を超えた活躍を見せた、超有能キャラクターです。中学の部活動…ですので、普通と言えば普通なのかもですが、青春学園中等部のテニス部、全国区で有名な名門校であるにも関わらず、まともに大人の指導者をつけていないので。(竜崎先生もテニスの球出し等はやっていましたが、基本的にはただの顧問ですので…。)乾くんの存在は大きかったと思います。・河村隆(青春学園中等部3年)ラケットを握ると、人格豹変…以外にあまり印象がなかったのですが、パワー勝負には常に駆り出され、いつも大けがを負いながらの血みどろ戦を繰り広げてくれた人身御供…いえ、流石に37巻の四天王寺戦で、はるかかなたの客席上段へ吹っ飛ばされた時はどうしようかと思いました。他の選手の試合と絵面が大きく異なり、作品として色はつくのですが…いえ、身体に気を付けたテニスをしてね…。・越前南次郎世界ランク1位に手をかけかけていた、元伝説のテニスプレイヤー。リョーマくんの父親。ひたすら最強キャラということで、さほど多くない登場シーンが、どれも印象的に描かれており、存在感がありました。「まだまだだな」とか言いながら、息子の才能を誰よりも信じ切っており、期待しまくっている節があるので、とりあえず…リョーマくんが素直にテニスを頑張ってくれる子でよかったね、というか…最終話付近、唐突な山籠もり修行の敢行で、若干息子を殺しかけたことについては、もうちょっとしっかり反省してもいいかな、と思います。・竜崎桜乃大事にされて欲しいです!!!・不動峰中学校(東京)流石、初期をしっかり読んでいただけあって、この学校の登場人物は非常によく覚えていました。神尾・伊武くんの2人が、キャラが立っててお気に入りです。・聖ルドルフ学院中学校(東京)こちらも、しっかり読んでる時期でしたので、覚えてる…部分もありました。不二(弟)のブラコンっぷりが印象的でした。・山吹中学校(東京)対亜久津くんの試合…ここまではかなりしっかり読んでいたので、覚えてました。・氷帝学園中等部(東京)これが、かの有名な「跡部景吾」か…!と。テニプリをしっかり読んでいなかった私ですら、流石になんとなく名前を知っている人気キャラです。(ちょっと前に、単独CMとかなんとか言ってたような…。)10巻台の、最初の青学との対戦描写を観るだに、他の学校と比べて、これほどのけた違いな人気を得る理由がいまいち分からなかったのですが、関東大会初戦で消えたはずのこの学校が、なぜか全国大会に出場し、大々的に青学と再び対戦する展開になったのは、ファンの熱心な応援の賜物なんだろうな、と思って読みました。・六角中学校(千葉)幼少期よりオジイにテニスを教わって育った一団で形成される、仲良しチーム。アイドル的なキャラクターの不在?からか、地味めな扱いになっている感がありましたが、私的には、とても好きなチームでした。・立海大附属中学校(神奈川)絶対的覇者。「SKAMDUNK」で言うところの山王工業。真田くんと幸村くんが、最初同じ人かと思っていろいろ混乱しました。・比嘉中学校(沖縄)構成員、全員忍者。あまりいい描かれ方ではなかったので、ちょっと可哀想でしたね。・四天宝寺中学校(大阪)強烈キャラのオンパレード。青学との各対戦も、かなりぶっ飛んでて、見応えがありました。金太郎くんは、「新ー」の方でもガッツリ描かれるのかな?楽しみです。…とりあえず、爆読直後に思ったことは全部書けたかな?超真面目に読みました!!!めちゃくちゃ面白かったです!!!20年以上続く作品ということで、メディアミックスが多岐に渡り、また、それを受けてもありますが、作品を支える熱心なファンの求める作品像も多岐にわたる中で、作品自体をどう位置付けていくか…長期連載になっている漫画作品を追いかけている身としても、非常に勉強・参考になる部分があるなぁ、と思います。さて、次は「新テニスの王子様」ですね。ちゃんと読んでいきたいと思います。9月公開の劇場版は、基本的には観に行く気満々なんですが、コロナの状況等もありますので、無理はせず…鑑賞できる機会で、鑑賞していきたいな、と思っています。by姉
2021.08.04
コメント(2)
少年漫画感想『逃げ上手の若君』1巻(松井優征先生、週間少年ジャンプ)1333年。鎌倉幕府の正当後継者とされる少年・北条時行は、足利尊氏の謀反により一族・家臣郎党すべてを奪われ、鎌倉を追われる。文武に優れているわけではない、ありふれた少年の唯一の特技は…「逃げること」。ひたすらに「逃げること」、そして「生きること」でやがて少年は世を揺らし、伝説となっていく…。『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』の、松井優征先生の最新作!連載開始時から「面白そう!」とときめいておりまして、昨日、第1巻発売を待っていそいそと購入しました。とにかく、前2作の面白さ、キャラクターの良さ…何より、ラストまでぶれず、振った要素をきれいにまとめ上げてくれるジャンプ漫画あるまじき満足感・読後感が凄まじく、絶対的な信頼感を持って読み始められる作家様です。今回は、日本史の中でも人気のない部分を取り上げた、実在人物をベースにした歴史モノとのことで…今までの2作とは、第一印象が異なりました。ネウロ、暗殺教室に関しては、真っ先に奇抜なアイデアやコマ取り…「異質」感が、読者へ訴求してくる第一印象でしたが、本作は、「異質」「奇抜」といった印象が先立ってはいません。非常にまっとうで、正当な作品、という印象。そして…1巻の表紙を観れば、一目瞭然!「画面意欲作」です。画面への意欲が、これまでの2作と明らかに違います。メディアミックスとしての展開が云々、仕掛けとして云々、というとっかかりではなく、「漫画作品」としての高みをひたすらに目指した作品だ、と感じました。巻末には、Special Thanks として、日本画家、書家、歴史監修、着物柄デザイナー、水墨画家、3Dモデル製作(甲冑・武器)…といった外注先の方のお名前が並んでいて、これはっっ…盤石な体勢の作家様にしか出来ない、贅沢な作り方の漫画作品だ!!とひしひしと感じました。めっちゃ読み応えありました!!漫・画・万・歳!!!!漫画って、…本当にイイもんだな…無限の奥行がそこにあるものな…。この作品は、暗殺教室のような、派手なメディアミックス展開の期待できる「来た!」という作品に比べ、印象は地味なものになるんじゃないかなぁ、と思います。ただ!読まなきゃいけないのは、漫画媒体が好きで好きで仕方がない、「漫画好き」な読者です!漫・画・万・歳!!!!主人公・時行様は、信濃の国・諏訪大社の神官・諏訪頼重に匿われ、作品の舞台は鎌倉から長野県・諏訪湖へと移りました。個人的に、土地勘も(そこそこ)ある場所での展開になり、ワクワクしています♪第2巻は、来月早々に発売されるとのことで、続きを楽しみにしています!by姉
2021.07.03
コメント(0)
漫画感想『灰色の十字架』(佐佐木あつし先生)1944年、神戸。太平洋戦争の戦況が悪化していく中、悲劇の足音は、父・母・姉・兄・妹と6人家族で暮らす少年・松岡秀樹の日常にも忍び寄っていた。この漫画はすごいです。何がというと、「二十数年経って、わざわざ探させて、買わせて、読ませる」パワーがあります。今の学校にもある…と思うのですが、小学校の図書館に、「はだしのゲン」を筆頭に、戦争モノの漫画が結構な冊数置いてありました。こちらの作品も、「戦争シリーズ」みたいな、5冊くらいだったかな?のシリーズの中の1冊として置いてありました。(たしかシリーズの中ではVol.2だったと思う。)小学生の低学年の頃には、既に完全なる漫画狂だった私は、図書館の漫画というのは、世界の偉人シリーズやこういった戦争モノも片っ端から読みたくっていました。その中で、とにかく印象深かったのが、こちらの作品でした。最近、白線社の漫画アプリ「まんがPark」で、戦争モノの作品をちらちらと読み進めていて(ペリリュー)、ふと、「そういえば…小学生の頃に読んだあの戦争漫画、もう一度読みたいな…」と思い立ちました。漫画のタイトルは全く覚えていなかったのですが、「戦争 姉 犬」と検索をかけたら、あっさりYahoo!知恵袋で見つかりました。「そう!コレ!」ということで、購入しました。2018年に、コンビニムックで発売されたバージョンでした。私みたいな、古(いにしえ)の記憶を辿って読みたくなる需要があったのかな?*以下、作品の内容について、ガッツリネタバレあり感想です*改めて読み直してみましたが…驚きました。かなり細かい部分まで、ほとんどのシーンを正確に覚えていました。基本的には、読者層として小学生を想定した作品だと思いますので、主役も小学生の少年ですし、話回しの要素も、小学生の感性に寄り添った強調のされ方をしていると思います。犬の献納運動の取り上げ方が非常に大きかったり、なかなか、他の戦争漫画では見ないバランスかな、と思います。ただもう…何よりも、焼き付きます。ワンシーンワンシーンが。空襲シーンでは、家族が一人一人どんどん亡くなっていくのですが、ほとんどのシーンを覚えてました。本作ラストの、雪中のお姉ちゃんのシーン…強烈に焼き付いてました。「漫画」が超絶上手い。漫画画面で出来る、ありとあらゆる手法を用いて、何が何でもシーンと感情を焼き付けよう!としてくるというか。この作品は、もちろん「戦争のリアル」ではないと思います。「戦争の悲惨さを訴える」シリーズ漫画の一角に位置する作品ではありますが、単純に「面白い」…何度も読み返したくなる、エンタメ作品なんですよ。やはり「リアル」というのは、実体験した方が、もちろん「その目線から」でしか語れないものだと思います。そういった点では、やはり水木しげる先生の戦争体験エッセイ漫画ですとか、「はだしのゲン」は…全部がリアルだとは思っていないのですが、やはり訴えたい感情というのが、生のものだなぁ…と感じたりします。ただ、エンタメに寄った作品の方が、後世の代には読みやすいんです。これはもうしょうがないです。オモシロく読めるんですもん。これほどド暗い、悲惨な内容を焼き付けて、二十数年後に追いかけさせるのは、エンタメの力だな、とひしひしと感じました。いい作品、意義のある作品だと思います。興味のある方は、是非。余談ですが、もう1作ご紹介です。個人的に一番印象深い戦争漫画作品としては、こちら↓の作品があります。CITY HUNTER、CATS EYEの 北条司先生が、終戦50年企画として、95年に週刊少年ジャンプで展開した「戦争」シリーズです。・蒼空の果て…ー少年たちの戦場ー 特攻を、兄弟を軸に描いた作品です。・少年たちのいた夏~Melody of Jenny~ 少年たちの学童疎開からの脱出と、アメリカ人捕虜の男性との交流が、 長野~東京の線路沿いを歩くシチュエーション…映画「スタンド・バイ・ミー」風味で描かれています。・American Dream 戦争突入直前に、アメリカ遠征での日本人投手の活躍を描く…野球という題材で魅せる、異色な戦争漫画作品です。こちらの作品群も、とにかくラストシーンが焼き付く…リアルタイムで本誌で読み進めた記憶も相まって、小学生の頃に読んだ戦争漫画作品としては、一番印象深い作品群です。別途で思いの丈を吐き出す記事を、いつか書きたいと思っています。by姉
2021.06.13
コメント(4)
第2巻購入しました。簡単感想です。『洗脳執事 2巻』(浅山わかび先生、週間少年サンデー)高藤家に仕え始めた執事・九鬼清十郎。留学から帰ったばかりの高藤家長女・苺は、洗練された身のこなしと人心掌握術(?)で家中の人々を意のままにする彼を警戒するが、次第にその人物像を理解していく。彼の生い立ちと、執事を始めたきっかけとは…?第1巻発売日に感想を書いていましたが、こちらの作品、第2巻(最終巻)が発売されました。全2巻ということで、まぁ…連載が軌道に乗った作品ではありませんし、正直なところ、誰におススメするわけでもないのですが、個人的に、とにかく印象に残る描写が多い作品でした。第2巻では、超人であり変人である執事・九鬼の人物像が苺ちゃん目線と育ての親目線、そして九鬼本人の回想で語られ、不気味な人物像として登場した本キャラクターが、とてもかわいい人物像に着地していました。2巻を読んで、なんでこんなに私がこの漫画が気になったかが分かりました。執事・九鬼清十郎に、すごく入っていける。…若干、自分と近しい気質を感じる。いや、もちろん私はこのキャラクターのような鉄壁超人ではありませんが、この…「仕事」なら全然活き活きと動けるくせに、「プライベート」になった瞬間、一切のコミュニケーション能力が壊死する感じ!口では「友達が欲しい」みたいなことを言うくせに、本当は「(どうせ自分が逃げるから)全く欲しくない」感じ! とか…妙なシンパシーを感じるんです。この目線からだと、苺お嬢様が本当に眩しくてですね…。自分が大事に出来ないことを、いちばん頑張れる娘だし、特に2巻では、その娘がガンガン自分の人物像を把握して、ズバズバ真意を言い当てて来るから…もうメロメロですよね。(感情移入し過ぎ)特に2巻の後半は、ここにしかない口説き文句のオンパレードで、苺お嬢様万歳!!って感じでした。(感情移入し過ぎ)・・・というわけで、なんかよく分からないけど、ものすごく気に入りました、『洗脳執事』!!!リアルタイムでコミックスが購入できて、よかったです。浅山わかび先生、次回作も期待しております。(出来れば、読者受けの良さそうな、サンデー的な良質ラブコメを、是非…!絶対描けるもん…!)by姉
2020.05.24
コメント(0)
少年漫画感想。『洗脳執事 1巻』(浅山わかび先生、小学館、週間少年サンデー)高藤家の長女・苺お嬢様(16歳)が、1年間の英国での留学を終え、帰国した。明るく、品行方正、成績優秀。誰からも「イイ子」と称される彼女は、大好きな家族の待つ家に到着するが、そこには異様な光景が広がっていた。苺に一瞥もせず、黙々と朝食を食べる家族たち。そして彼らを支配するのは、見慣れぬ男性。金髪・マッシュルームヘアの新しい執事・九鬼(くき)清十郎だった。彼が、家族を「洗脳」している…!!?九鬼から家族を開放しようと、苺は一人抵抗を試みるが…!?サンデーで始まった作品の第1巻を購入しました。本当にたまたま…毎号サンデーを購入も立ち読みもしているわけではないのですが、本当にたまたま、美容室の開店時間勘違いして早く着いちゃって、隣のコンビニで10分ほど時間を潰してる時に手にしたサンデーが、この作品の新連載の号で。なんかすっごくインパクトがあって、なんかよく分からないまま、今回思わず第1巻を購入してしまいました。『漫画』が上手いです。絵も上手いし、それだけじゃなくて…漫画表現がいちいちキレッキレで、やたらと謎の感動があります。で。最終的にこれは何をやっている作品なんだろう?この作品は、ゾッとする描写から始まっていることもあり、サイコパスと闘うホラーっぽい作品風に始まるのですが、人のドロドロした嫌な部分に突っ込んでいくかと思いきや、その後はわりとほっこりするようなところに着地したり。少女漫画級に心情変遷に寄ったお話作りも出来る作家様だと思いますので、ラブコメも出来るんだろうな…出来そうな出し方をしてるしな…と思うのですが、最終的にそっちに持っていくつもりなのかよく分かりません。黒髪美少女はイイとして、そもそもマッシュルームカットのヒーロー…。↑なんでも描けるんですよ!漫画が上手すぎて、なんでも描けちゃうから、これがなんなのかよく分からない。だが、読み応えはすごくある!!そんな第1巻でした。コミックの裏面には、「不敵で完璧。でも、どことなく可愛げのある執事との日常コメディー!」と記載がありました。日常コメディー…!!?いや、そういった部分もなくなかった…よ?日常…いや、なんて言うのかな…説明にどんな言葉を使っても違和感が付きまとうんだ…。作者様は…若い方なのかな?全然他の情報も出てこないし、Twitterとか見ても、同人界隈で名をはせていた方のような雰囲気はないし…でも、この漫画画面の仕上がりで「新人」っていうのもしっくり来ないんだけど…なんかよく分からん!!ただ、めちゃくちゃ上手い!!何なのかよく分からないまま、私はこの作品を追いかけることになるんだろうな…。この作品が何なのかよく分かりませんので、他の方におススメ!っていうのも違いますが、とにかくすごい気になる作品ですので、気になる方は、是非。by姉
2020.03.22
コメント(0)
姉が記事を上げていましたが、私妹も遅ればせながら…高橋留美子先生最新作のMao(マオ)めちゃくちゃ面白いです! …という気持ちを表現したくて絵を描きました。ストラスモア水彩紙にカラーインクです。青春時代に狂ったように読み漁ったるーみっくワールドはもはや我が心のふるさと…DNAに組み込まれております。1巻から謎ばかりで先が気になるのですが、最新刊の3巻では少し種明かしがあり&華やかな新キャラが登場し…さらに先が気になります!どんどん面白くなる!人魚シリーズや犬夜叉のような「ダークるーみっく」が好きな方は是非~! by妹
2020.02.28
コメント(0)
おはようございます。記事を書いていませんでしたので…。コミックス発売の都度、楽しみに購入しています!『金田一37歳の事件簿』(天城征丸、さとうふみや先生、講談社 イブニング)名探偵・金田一耕助の孫であり、永遠の高校2年生・金田一一が、まさかの37歳に!?高校生の頃から数え切れない程の殺人事件を解決し、警視庁でも一目置かれる存在だった金田一少年は、20年後、警察官でも私立探偵でもなく、音羽ブラックPR社でうだつの上がらない営業部主任となっていた。「もう謎は解きたくない!!」と危険事からひたすら遠ざかろうとする彼だが、とある孤島リゾートのホテルオープニングイベント企画を任されることになる。その孤島の名は、「歌島」…「オペラ座の怪人」にまつわる、三度の殺人事件が起こった惨劇の島だった…。2018年から、週刊少年マガジンより、青年誌へ掲載を移し、天城征丸×さとうふみや先生という公式本家タッグで連載されています。私たちにとっては、小学生の頃、読み始めた時に「お兄ちゃん」のだった金田一少年が、また年上になってくれたんだ…という感慨があります。最初はどんな大人になっているのか…想像するのが怖かったのですが、いざ社会人・金田一を観てみると、とてもすっと落ちて来る「はじめちゃん」像でした。どちらかと言うと、あまりにシリーズが長期化・壮大化したこともあり、高校生設定の方がもともと無理があったと言うか…起こる殺人事件やその動機は、どれも「高校生」の手に負えるような内容ではありませんでしたし…いや、本当に今更なんですが…。気苦労の多い「37歳サラリーマン」の方が、犯人の動機付けにおける、社会の中でのジレンマの作り方ですとか、拾いやすく設定できるのかな…と思います。実際に、17歳の頃は、犯人の動機等がかなりドラマチック&壮大で、犯人それぞれの過去話だけでヒューマンドラマ感があったのですが、37歳になってからは、かなり意図的に、下世話…というか、週刊誌のゴシップ記事になりそうな題材でお話しが回されています。また、犯人たちがネット環境で情報・トリック用の小物の調達をしている描写が印象的です。この辺りが、今までの金田一シリーズとは違う読み心地を生んでいるのだと思います。お話し回しも、漫画画面もノッていて読み応えがあるので、興味のある方は是非…!!こちらについても書いてませんでした。『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』(船津紳平先生・講談社)綿密に計画を立て、殺人事件を実行に移そうとした犯人たち目線よるウラ「金田一少年の事件簿」。人気過ぎて、現在7…8?冊くらいコミックスが出てます。ちなみに、このシリーズだけで百数十万部売ってるみたいです。売れ過ぎです。本当の本当に金田一シリーズを読み込み、それぞれの事件の展開、シーン、細かなセリフを、空でばっちり解説出来るレベルの読者にしか全く伝わらない、あまりにマニアックな突っ込みの数々…。そう!ここは「どうやってやったんだろう?」と思ってた!とか、犯人の独白でこう説明されてたけど、これは無理だろと思ってた!とか、確かに…こいつ、この場になってこの犯罪思いついたんだよね…とか。金田一少年の事件簿本編は、基本的に犯人による劇場型の連続殺人劇が行われた後(か途中)で、金田一少年による大々的な犯人暴きのシーンがあります。このシーンでは、基本的には犯人の動機や人物像を目いっぱい描くことに重きが置かれています。もちろんトリックの過程等の説明もあるのですが、かなり短略的で、実際にはあいまいな部分がかなりあります。この部分↑を、思いっきり犯人目線で詰める、というのが本作の主なつくり方です。読者が何気なくスルーしていたシーンも、犯人目線からすると、実はすごくビクビクしていたり、逆に大変なことをやり切った自分の演技力や体力を自画自賛していたり。いやもう本当に、楽しみの難易度が高いブラックギャグ漫画です。シリアスな殺人事件のストーリーを、犯人目線でギャグ風に仕立てるとか。金田一少年本編が、童話のように身に沁みつき過ぎている読者しか絶対に楽しめない。分かり切った話筋の、その粗探しを本気でやってるのが楽しい!それを楽しむギャグマンガ!という・・・。なかなか…こんな作りの、二次創作的なスピンオフ作品が、こんな規模で売れるというのもないことだと思います。金田一少年というパッケージの恐ろしさ…この作品を、どれだけ多くの人が、本当に一生懸命読んでいたかが思い知らされます。読む方全員が楽しめる作品ではありませんが、「金田一少年の事件簿」がばっちり頭に入っている方は、是非。by姉
2019.12.08
コメント(0)
高橋留美子先生の新作を読みました。超簡単感想!『MAO 1巻』(高橋留美子先生・小学館・少年サンデー)7歳の時、不可思議な道路陥没事故に遭遇し、両親を亡くした菜花(なのか)。中学3年生になった彼女が事故現場に行くと、何故か周囲の世界は一変。不可思議な世界に迷い込んでしまう。彼女はそこで、陰陽師を名乗る不思議な少年・摩緒(まお)と出会う。彼は菜花に、「おまえ妖だろう。」と言い放ち…。「宿命」の2人が、いずれ来る「運命」に立ち向かう大正怪奇ロマン!とコミックス裏には記載がありました。ざっと読んだ印象は、真っ先に「犬夜叉に、人魚シリーズ要素が入った感じの作品!」でした。シチュエーションや絵面、キャラクターの掛け合いの感じは犬夜叉のイメージが強かったのですが、第1話から、ヒロインの手首が吹っ飛んだり、出て来る妖も、わざといちいち「グロッ」と感じる描写を織り交ぜて来ている印象で、その感じが人魚シリーズだなぁ、と思いました。摩緒くんも、「呪い」で長~く生きているようですし。ただ、それをRINNEのノリも含んでちょーっと軽く描かれてる感じ。まだ第1巻ですのでなんともですが、とにかく!必ずボーイ・ミーツ・ガールから始まる、るーみっくワールドの定石に忠実であり、また、人魚シリーズや初期ダーク短編の辺りを読みなれてる読者にとっては、あえての微グロ描写に心躍る出だしでした!続きも楽しみにしております!by姉
2019.10.13
コメント(0)
一気読みしました!少年漫画感想。『冥銭のドラグーン 全4巻』(沢田ひろふみ先生・講談社・月刊少年マガジン・2016年~)1615年・大阪夏の陣。戦力差はほぼ2倍。勝てる見込のない戦の中、真田幸村率いる三千騎は、単独で徳川家康本陣に迫った。そして、幸村の嫡男・大輔と、幼なじみで鉄砲や軍略に精通する少年・鏡風太は、見事、家康を討ち取ることに成功する。・・・これを機に、「日本の歴史」は一変!「天下泰平の世」は遠のき、再び乱世が訪れた・・・。「遮那王義経」の沢田ひろふみ先生の新作!「お!今度のモチーフは真田なのか!」と認識はしていたのですが、「もう少し単行本が溜まったら読もう!」と思って放っておいたうちに、とっくに完結していたようです・・・。今回ふと古本屋で目に入り、立ち読みを初めて、あまりに好みな作品なもので、一気買いして来まして・・・なんでリアルタイム・新刊で買わなかったんだ!私!・・・という後悔に苛まれています。イイじゃん!!この作品、すごくイイじゃん!!歴史の流れを眺めていて、誰もが妄想するここでこうなってたらオモシロかったのにな~・・・を、沢田ひろふみ先生の、どこまでも丁寧に書き込まれた画面で、躊躇なく本気で具現化した、スーパーパラレル歴史漫画です。漫画ならではなとっかかりだなぁ~!と思います。丁寧で、実力・意欲に満ちた漫画画面でしか意味を成しませんし、もう、やろうとしていることが大好きです。コアな歴史好きの方の受けがいいとは思いませんが・・・基本、面白ければいい!というエンタメ歴史好きの私には、スーパークリティカルヒットですよ!えっと・・・どこから語ろうかな。城!・・・城ですよ!出だしから、豊臣の旧大阪城天守閣の描写から始まるという・・・とにかく、城描写に特化した作品でした。日本の城は、石垣作りのイメージが強い方も多いと思います。よほどコアな方でない限り、「城に観光」に行くときは、大きな石垣で作られた、または天守閣が残っている&復元されているようなお城に行くと思います。こうしたお城は、基本的にはほぼ江戸時代以降のお城です。城づくりに石垣が登場して来るのが、安土桃山でもかなり後期の方。・・・用途によっては、それ以前よりあったみたいですけどね。特に信長などは、とにかく「魅せる城」にこだわっていましたので、かなり初期のお城から、天守・石垣が「見えやすい位置に」ずどーんと据えてあったりします。ただまぁとにかく、乱世の城というのは、基本的に「立て籠もる」為の、山に必死で凹凸を作った「土&木づくりの要塞」だと思います。石垣での丁寧な築城なんて、やってる時間も財力もない。それが、やはり関ヶ原の合戦後以降が主・・・なのかな?戦が少なくなってくると、総石垣作りの巨大城郭が登場して来ます。時代が進むと、政治的・役所的な機能に重きが置かれたり、庭に凝り過ぎて、城だか庭だか何だか分からないものになったり(金沢城とか)、実際の戦闘的な危機感からは遠ざかったお城になっていきますが・・・やはり、安土桃山ラスト~江戸時代初期初期の築城や城の改築というのは、乱世をモロに体験した方たちが、持ちうる全ての経験・知恵を投入し、まだ何が起こるか分からないという高い高い危機意識で作っていますので、・・・超面白いんですよ。その最たる城が、彦根城だったり、熊本城だったり・・・という、「お城好き」と名乗る方たちが、真っ先に挙げ連ねる、有名な城郭たちだと思います。今回の漫画は、「戦国の合戦」の面影を残しつつ、どんどん改良を重ねる火薬道具でそこからの変化を妄想しながら、こういった↑江戸初期のお城で、攻城戦を思いっきりやろう!・・・という作品だったと思います。彦根城の戦闘とか・・・超観たいですよね?!城好きの方なら、絶対分かりますよね?!そこにある、城のロマンが!!書けば書くほど、私(←城大好き)のような人間の為の漫画だなぁ・・・。最終的には、4巻で彦根城攻めだけをガッツリやったところで、連載終了となっていますが・・・もっともっと読みたかったなぁ~><!!いや、リアルタイムで雑誌も単行本も購入していなかった人間に、何も言う権利はないのですが・・・言うだけ言う!!好きだなぁ~~!この漫画~~!!全4巻。2巻の段階から、わざわざガッツリ登場させていた伊達政宗とか・・・もっともっとお話を膨らませる予定だったんだろうな、という要素がそこかしこに見受けられますので、残念な気持ちも残りますが・・・いくつか登場する合戦シーンもそれぞれ特徴的で、しっかり読み応えのある、いち作品としてまとまっていると思います。「漫画っていいな」と改めて思える作品でした。満足感もありますので、城好き・エンタメ歴史好きの方は、是非!沢田先生、今後も質の高い、しっかりと読み込める漫画作品を何卒!よろしくお願いします。今度は、ちゃんとリアルタイムで追いかけます・・・!by姉
2019.01.13
コメント(0)
購入してました。簡単で、非常に偏った感想です。『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚・北海道編 1巻』(和月伸宏先生・集英社・ジャンプSQ)時は、本編より5年後・明治16年。北海道(函館?)を舞台に、るろうに剣心が再開幕です。1巻では、今作より登場する新キャラクターの紹介のような話と、剣心&薫ちゃん(&息子の剣路くん)が、北海道に旅立つまでが描かれています。まだまだ今後、話がどう展開するのか分かりませんが、とりあえず叫びたい・・・。弥彦くん、カッコ良くなったなぁ…!今回、弥彦くんは北海道へは行かないことになりそうです。本編においては、京都編でも薫ちゃんを引っ張る形で京都へ渡り、人誅編においては、落ち込んで世捨てしかけた主人公に変わり、ひたすら諦めずに東京中を走り回っていた弥彦君です。当時の年齢設定10歳。私自身が、初めてるろうに剣心を読み始めたのが、ちょうど弥彦くんの年齢(か、もう少し小さいとき)でした。なので、どうしてもどうしても、私にとってのこの作品の主人公は、弥彦くんなんですよ…!剣心や佐之助は、カッコイイと思いますし、ちゃんとキャラクター背景なども理解して読んでいるつもりでしたが、なかなか入っていけなかった。やっぱり、大人っぽかった。そのカッコイイ大人たちの中で、子ども目線で言って欲しいこと、やって欲しいことを、全部実行してくれるのが、弥彦くんでした。以前、実写映画公開時だったと思うのですが、「るろうに剣心ーキネマ版」という、本編を上下巻で再構築した連載がありました。そのコミックスで、和月先生が「主人公が20代後半という設定のため、低年齢層の少年読者が入れる目線として弥彦を設定したが、作品の読者層が10代後半以上(&女性層)に寄っていたため、あまり機能しなかった」というような内容のコメントをされていました。ちょっと待って!何を言っているんだ!!私(当時10歳前後)は、思いっきりその仕掛け通りの読み方をしていたし、今でも、そしてこれからも、そのフィルターから逃れられないですよ!!弥彦くん目線からしか、この作品には入れる気がしません。読者層として、声が小さかっただけですよ。ファンレター書いたりしないし、アンケート出したりしないし、キャラクターグッツ買ったりしないし。でも、ちゃんと活きてましたから!!私みたいな読者、大勢居ると思うんですよ・・・。いえ、今回、弥彦くんが北海道行きから外れてることに関して不平不満があるわけではないんです。だって、カッコよくなり過ぎちゃってて。これ、北海道にまでついて行ったら、人誅編どころではない、本格的に作品を乗っ取っちゃうな・・・と思うので。大恩があるとは言え、子育てで忙しい道場主と、その旦那(単独での稼ぎ無し)に、「神谷道場の運営は全部俺がやっとくから、剣心と薫は北海道行ってきな」とか言える15歳って・・・どうよ!?3人登場した新キャラ達に、教育を施そうとしていますが、明日郎くんが16歳?なら、たぶん、弥彦くんの方が年下設定なんじゃ・・・。正義感・責任感があり過ぎるくらいあって、道場の運営体制や生活・お金の心配も出来て、女遊びもなく燕ちゃん一筋で、お前…仕上がり過ぎだろ、15歳…。剣心・佐之助はもちろんのこと、斎藤さんや蒼紫さまもじっくり見て来て、それぞれの影響を多分に受けてるな~、と思います。また、元スリ上がりという、底辺の底辺まで子どもの頃から見て来たからこそのこの大人っぽさだと思いますが、もっとやんちゃも失敗も沢山していいんだぞ・・・。というわけで、1巻読んだ感想は弥彦くん、カッコよくなり過ぎてた!・・・ってことでした。2巻以降の北海道展開も気になりますが、出来たら東京のシーン(弥彦くん・燕ちゃん・由太郎くん)もちょくちょく挟んでいただけたら、嬉しいです。↑こういう読者が、大喜びします!by姉
2018.11.03
コメント(0)
おはようございます。久々に、ジャンプ漫画を新しく購入し始めました。『鬼滅の刃(きめつのやいば)』(吾峠呼世晴先生・週刊少年ジャンプ・2016年~)大正時代。父親が若死にし、炭焼きの家業を行いながら母を助け、幼い弟・妹を養う少年・竈門炭治郎(かまどたんじろう)。ある冬の日、炭を売りに山を下った炭治郎だが、家に帰ると、家族は「鬼」に皆殺しにされていた。一人、生き残っていた妹の禰豆子(ねづこ)を医者の元へ連れて行こうとするが、禰豆子は「鬼」に変貌してしまった・・・。家族の敵を討ち、妹を元の姿に戻す方法を探すため、炭治郎は「鬼狩り」の剣士になることを決心する。最新・11巻まで購入しました!いやぁ・・・正直、銀魂以降はジャンプ漫画で読もうと思った作品はなかったんですが、NARUTO、ブリーチ等々、15~20年作品が立て続けに終了する中で、ちゃんと次の作家が出てくるもんですねぇ・・・。「流石ジャンプ」というかなんと言うか。この作品は、全然「深い」とか言うつもりもないですし、すっごく分かりやすい、はっきりした勧善懲悪なアクション作品です。それだけです。ただもう、この吾峠先生は、本当にどんっどんアクションシーンが見えてきて、それをほとんどストレスなく、思ったまんまの形・テンションで画面に落とし込めてしまう方・・・だと思います。どんどん面白いシチュエーションが湧き出てきて、読んだ最初の感想は、とにかく「あぁ、天才だ」でした。キャラクターも、いちいちいいんですよ。編集さんが上手いんだろうな・・・作者さまが頭いいんだろうな・・・と思いますが、主役の堅物キャラと対を成す、突っ込みどころ満載の サブキャラの配置が絶妙で、またその子たちが生き生きとしゃべってくれるので、作品の雰囲気もガラッと変わりますし。とにかく主役・炭治郎くんの同期2人、特に、全力で弱音を吐きながら、カッコイイことをやる善逸(ぜんいつ)くんは作品の色付け的にも、読者のテンション操作にも、いい役割をしてくれてるな~と思って読んでいます。あと、禰豆子ちゃんをはじめとした女の子の描写もカワイイ。アニメ化も発表されたばかりとのことで、今後も作品として、更に盛り上がっていくんじゃないかと思います。キレキレアクションで、今後も楽しませていただきたいです。by姉
2018.06.16
コメント(0)
こんばんは妹です。姉は漫画にはまると、大体大人買いして実家に置いて帰るんですね。そろそろ両親が「漫画収納小屋建ててよ」って感じになってきているんですが…それはともかく。その漫画の山の中から読み漁り、感服いたしました。時代モノ好きな方は必見です、この作品…! 『センゴク』『センゴク天正記』『センゴク一統記』(宮下英樹先生・2004年~ヤングマガジン)姉記事はコチラ…いやぁ…参りました。こんな凄い漫画が存在していたのか…。キャラクターの各々の思想を形成する環境・風土までもが視覚化され…現地での取材を元に描きこまれた細密描写は、大河ドラマよりリアルに感じます。戦国の風を体感できます。野山を駆け回れます。そして押し寄せる激流に飲み込まれます。流されるも人生。抗いぬくも人生。英雄と民衆が、命がけで生き抜いた時代がここにあります。 本編のほうは戦国史上、失敗し、最も挽回した男・仙石権兵衛秀久という一武将の視点で織田・豊臣・徳川の時代が描かれる大長編群像劇です。現在3作目の一統記が連載中。既刊総計44巻~以下続刊。 (個人的には今のところ天正記が一番お気に入りです。天正記は武田に始まり武田で終わるのですが…武田勝頼がもうもう格好良すぎて!!!一番織田家がノリノリでイケイケの時期ですしね。痛快なんです。) ちょっと巻数が多すぎて手が出しづらい…という方、コチラがオススメです。『センゴク外伝 桶狭間戦記』(全5巻)涙が出てくるほど大傑作でした!!!若き織田信長と今川義元、両者が主役です。幼少時目に映った時代・人々の営みが、2人の武将の確固たる思想を形成していきます。そして迎える永禄3年、桶狭間の合戦の真実とは-・・・!!! 時代劇で描かれる今川義元といえば、貴族趣味・頭の悪い肥えた中年のボンボン。圧倒的な大軍を有し、信長をなめまくっていて出陣中に宴会を開き…奇襲を受けまさかの討ち死に。 ーってそんな訳ないからね!圧倒的な大軍を用意して、時代の風雲児・信長をいち早く叩こうとした人だからね!!この人も法度によって民衆のやる気と国力を上げた優れた武将だったんだからね!!!という感じでした。(←いち読者が作品から受けた印象) この作品を読んでしまうと今川義元ファンにならざるを得ませんでした。そしてなんだか 桶狭間に行ってみたくなりました^^(単純)。by妹
2015.12.09
コメント(0)
最近読んだ漫画の簡単感想ーその5『あっかんべェ一休 上巻』(坂口尚先生・1993年~)なんかすげぇもん読んだ・・・。なんかいろいろ超越したもん読んだ・・・。なんかよく分からないけど、悟りを開きかけた気がした。『石の花』、『12色物語』と、徐々に読み進めている坂口尚先生。アマゾンなんかだと、文庫本の値段が高騰してしまっていて・・・;中古屋で安く買えるものを気長に探してます。この『あっかんべェ一休』は、最後の長編であり、絶筆の作品・・・になるのでしょうか。600年前の僧侶・一休宗純・・・とんちで有名な一休さんの、人生をなぞる物語です。一休さん・・・アニメの印象で、ど真面目なストイック堅実僧侶だと思っていたのですが、真面目過ぎて、狂乱扱いされるまで行きついた方だったんですか・・・。知らなかった;「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」あ、この句って、一休さんの句だったのか、って句がいくつか作中に登場してますが、・・・さらっととんでもないこと言うなぁ・・・;純粋な少年~青年期の一休宗純の目に映る、戦乱の世、飢饉、金・政治と結びつき、腐敗した仏門徒たち、朝日、山、川、湖・・・。情景が、目の前でぐるぐる回る最初に『石の花』を読んだときになんじゃっこりゃ!と思った映像美が、一休宗純の心を形成していく、そして崩していく、この作品の核でした。朝日とか木漏れ日とか戦シーンとか・・・いろいろあるのですが、個人的には、「雨」のシーンがすごく心に焼き付きました。しとしともの寂しい・・・こんなにリアルで、心をざわつかせる雨ってあるんだなぁ・・・と。この作品はやっぱり、坂口尚先生の、集大成なんだろうな、と思います。なんか・・・とにかく・・・すごいもん読んだ・・・。下巻の方も、気長に探していきたいと思います。by姉
2015.11.08
コメント(0)
つれづれ感想。最近読んだ漫画の簡単感想ーその4『ダイヤのA 35~47巻』(寺嶋裕二先生・週刊少年マガジン)*以下、試合の勝敗等、内容に関するネタバレありです。お気をつけて!*大きな流れが一区切りしたっぽかったので、一気読みしました。主に、秋季大会の快進撃ですね。夏の甲子園を、劇的な幕切れで終えた青道が、2年生(っていうか、御幸君)を中心に体制を整え直し、1年生ピッチャー陣の成長とともに、トーナメント戦を勝ち進んでいきます。3年生たちのキャラクターばかりインパクトがあって、2年生以降のキャラクターが薄い子ばっかりだったので、この先、このチーム面白くなるのかな・・・と思っていましたが、この辺はもう、もともとレギュラーだったメインの子たちがばっちりアイドルとヒーローをキメてくれてました。途中、出てくる対戦相手のピッチャーが変な奴ばっかりになってきて・・・なんか・・・アンパンマンを崇拝し、ずっとマウンドでアンパンマンの歌を口ずさんでるやつとか・・・めっちゃ性格悪くて、対峙する人をゆるキャラに例えて心の中で馬鹿にしてるやつとか・・・っていうか、なんでいちいちとっかかりが超私好みなポイントばかりなんだろうかとか・・・。寺嶋先生、これ疲れてるのかな、と心配になったりもしましたが。しっかりじっくり、新体制で気持ちのいいチームの形、そして栄光を掴むまで行きました。っていうか、「秋」の主役は御幸くんでしたね。いや、栄純くんもそりゃあ成長して、チームの起爆剤になってたし、降谷くんもエースとしての責任を十分果たせるまでになってたし、素晴らしかったんですが・・・完全に御幸くんオンステージでしたね。この状況じゃあね・・・そりゃ、こうなるよね・・・と。なるべくしてなったチーム・作品バランスだったかな、と思います。あとは・・・やっぱり「橋の下のバットマン」から読んじゃってるので、どうしても薬師高校が好きなんですよ、私は・・・!さり気に親ばか・子ばかな轟親子が、雷市くんが大好きなんですよ・・・!今回は決勝戦で存分に活躍を拝見できてうれしかったです。ピッチャー登板には驚きました。・・・が、負けました。いや、ここまでは、本当にしっかり、青道高校を応援して読んでたんですよ。なんですが、薬師高校はダメですね。完全に、相手方応援席に座って読んでました。えっと・・・あとは・・・監督!辞めなくてよかった!大好きです、片岡監督。落合コーチもよかった!秋大会の見どころのひとつでした。この監督交代劇。面白かったです。第2部はもうマガジンで始まってるのかな?春からは、新1年生なんかも入ってきて、またチームバランスが変わってくるんじゃないかと思います。この、どんどん流動的に変わっていく、完成したと思ったら、すぐに解体する、危うい「チーム感」が、この作品の最大の見どころだと思っています。栄純くんと降谷くんも、チーム内での責任がますます大きくなってくるはず。楽しみです。by姉
2015.11.03
コメント(0)
いろいろ読んでたんですが、全然感想かけてませんでした。簡単にですが、少しずつ吐き出します。最近読んだ漫画の簡単感想ーその1『DAYS』(安田剛士先生・マガジン・既刊13巻以下続刊)偶然知り合った天才サッカー少年・風間陣に触発され、心優しき少年・柄本つくしは、スポーツ経験0まま、名門・聖蹟高校サッカー部に入部した。おどおどした、一見ひ弱そうな、いかにもサッカーなど向かなそうな主人公の、愚直で誰も真似できない、忍耐・チームへの献身の姿勢が周囲の人々の心を打ち、チーム全体の流れを変えていきます。内容も、とても読みやすい画面も、とにかく素直に「いい漫画だな~~」と思える作品でした。それにしても、マガジンは本当にスポーツ漫画だらけですね。本誌連載には、長期連載になっているサッカー漫画『エリアの騎士』があるのに。ほかにも、ボクシング・バスケ・野球・テニス・・・なんか、なんでも揃ってる印象。どの作品も、とにかく安心して読める、勢いというより、律儀なものばかりだな~と思ってます。そして、一歩くんをはじめとして・・・主人公は「可愛い真面目系」の子が多いなぁ・・・って。きちんと努力を描くときに、真面目が勝たずして、何が勝つんだ、って感じでしょうか。さてさて。DAYS本編について。★家庭環境までしっかり詰められたキャラクターが魅力的です!特に主役のつくしくんの、足の不自由な、それでもすごく明るい母親との母子家庭・・・というのが、この子の「当たり前」に大きな影響を与えてて、また、この感性が周囲を感動させていくのも、すごく説得力があります。★私は、君下くんと大柴くん・・・2年生推しです。君下くん:トップ下。学年首席。実家はスポーツ用品店。度々「貧乏」ネタが出てくる。わりと気性が荒い。大柴くん:フォワード。素質だけならチーム1と言わしめる、体格・才能に恵まれた羨ましい限りの人間だが、バカ。やる気が持続せず、周囲をやきもきさせることもしばしば。この二人はなかなかほかに居ないキャラクターで面白い!★ツンデレ優等生マネージャー・生方さんが可愛い。つくしくんと、チーム自体の成長を楽しみに、これからも読んでいきたいです。by姉
2015.10.24
コメント(0)
おはようございます。 簡易少年漫画感想『花のち晴れ~花男NextSeason~』(神尾葉子先生・ジャンプ+)F4が卒業をして2年後の永徳学園。他のライバル校に生徒を奪われ、失墜しつつある学園の品位を保とうと、道明寺司に憧れる神楽木晴人は、コレクト5というチームを結成し、「庶民狩り」を行っていた。父の会社が倒産し、お嬢様ではなくなった隠れ庶民・江戸川音は、卒業まで彼らに目をつけられないよう、その事実を必死に隠して学園生活を送っていたが・・・。最初は気が付きませんでしたが、こちらの作品、まさかの少年漫画です。中身を読むと納得。頑張らなきゃいけないのは、男の子の方だ・・・コレ。レンタルで読んだ際、スーパーボンボン気質のヒーロー・神楽木くんがあまりに馬鹿で可愛かったので・・・思わず購入してしまいました。この作家様は、馬鹿を描くとどうしてこんなにいきいきするんだろう・・・;いや~おもしろいです。本家・道明寺は、まじで猛獣!って印象でしたが、こっちは可愛い。コレクト5に女の子一人混ぜてるのも、本家との違いが出てて面白そうです。友人たちも、活きてきそうですし・・・とにかく、人物設定がすごくわくわくします。本家『花より男子』も、言われてみりゃ恋愛面でひたすら頑張ってたのはヒーローだったな・・・今回は、それを本格的に「少年漫画で!」を目標に仕上げる!ってことなんだと思います。ジャンプ+で、無料配信されている続きもうっかり読んじゃいましたが・・・振ったものがきちんと活きてきてて、すごく面白い!これは追っかけていきたい作品です。神楽木くん頑張れ。by姉
2015.09.25
コメント(0)
時間が経つのも忘れて、読みふけりました・・・。『黒博物館 ゴースト アンド レディ 上下巻』(藤田和日郎先生・講談社・モーニング 2015年)1856年・英国。ドルーリー・レーン王立劇場の幽霊・<灰色の服の男>が座席に残していったのは、弾丸と弾丸が正面からぶつかった「かち合い弾」だった。時は流れ・・・ある夜、その謎の品を保管する黒博物館(ブラックミュージアム)に、<灰色の服の男>が現れる。幽霊が学芸員に語る、「かち合い弾」の真実とは・・・?1852年、幽霊は一人の女性と出会った。彼女の名前は、フロレンス・ナイチンゲール。面白かった・・・!めっちゃくちゃ面白かった・・・!!本屋さんの新刊コーナーで見かけたときから気になってはいたのですが、1冊が1000円弱という、なかなかのお値段でして、躊躇してました。今回、レンタルで借りて読んでみたのですが、いや~~・・・面白かったです。これは、つべこべ言わずに購入いたします。っていうか、読み終わって速攻、楽天ブックスでポチりました。ナイチンゲールのクリミア戦争という史実が、思いっきりエンタメ的に曲解して描かれます。幽霊と絡ませ、更に人間の意志を<生霊>として視覚化し、彼女の“精神の”戦いを描き、そして、その恐ろしいほどのモチベーションの源泉を説明し、劇的な絵面で魅せます。少年漫画畑の方の感性じゃないと、ナイチンゲールの戦いを、「決闘代理人」の幽霊のナイト物語にすることはできないと思います。また、前作・『月光条例』で、既存「おとぎ話」とエンドレスで闘ったからこそできた、「偉人の伝記」の料理だったんだろうな~・・・と思います。流石、藤田和日郎先生><!偉人を描く大河ストーリーでもありながら、「かち合い弾」の謎を解くミステリーであり、そして、ファンタジックなアクション満載の、闘うヒロインと幽霊ナイトのラブストーリーであり・・・読後の満足感、半端ないです!いや・・・いや~・・・面白かった・・・!ワンシーンワンシーンが、感情と一緒に心に焼き付きました。いいもの読みました・・・本当に。「漫画」が大好きな方は、是非是非読んでみてください!今日は、大事に読んでいきたい漫画作品を見つけられて、大満足の休日でしたw。はぁ・・・漫画って・・・やっぱりイイな。by姉
2015.09.13
コメント(0)
新作!購入しました~!簡単に感想を。『鏡が来た 高橋留美子短編集』(1999-2014発表の短編・高橋留美子先生)「高橋留美子劇場」のシリーズを除けば、『1orW(ワンオアダブル)』以来の短編集なのかな?皮肉が効いている「高橋留美子劇場」よりも、ふり幅の広い短編が収録されていました。どれも初見。カラーページも収録した単行本で、ちょっと高めの値段設定だったので・・・少し迷いましたが、・・・おもしろかったです!やっぱり、買ってよかった! 一番最新作&表題作・『鏡が来た』この、タイトルのインパクトがまず素敵だと思います!釣ってくれてありがとう!犬夜叉・RINNEの雰囲気に、短編独特の「アンハッピーエンド」の怖さが混ざっていて、読み応えがありました。中学3年生の主人公たちが、ちゃんと「現代の」中学3年生なのが、すごいな・・・と思います。一番私の好みな作品だった『リベンジドール』落ち目のオッサン漫画家の一喜一憂物語。「高橋留美子劇場」のノリに一番近かったかも。全部が全部ってわけじゃないんですが、本当に面白いと思う作品って、この感情を捨て去ってしまっては、生まれないと思います。皮肉と自虐と劣等意識とか自尊心とか・・・なんか、その辺。おっさんの思考回路が「なぜそこからそーなる」感満載で、だけどなんかついていけて。面白かったです。観たことのないるーみっく作品でした。びびりました。『星は千の顔』華やかな女優の表情で回す物語・・・でしょうか。なんか、こんなの見たことがなかった。美女とイケメンって大事ですよね。どんなに「見た目じゃない」って言ってもね。中身残念でも、絵になるって大切ですよね。気持ち悪かった・・・。『可愛い花』主役の女性が負けそうになかったので、安心して読めましたが・・・。しかし、なぜこんな題材の物語が面白いんだろう・・・;口で話しても、何にもおもしろくないのになぁ・・・。なつかしのらんまのノリでした。『with CAT』猫嫌いの男の子は、乱馬くんにしか見えませんね;らんまの二人より素直な子たちでしたので、めずらしくも、素直なラブコメでした。歴代ヒロインたちとタイプの違う、ヒロインの美弥ちゃんも可愛かった!『マイスイートサンデー』あだち充先生との共作。二大巨頭が、サンデーとの出逢いに至るまでを語ります。 普通、作家様って・・・何作か読むと、「ああ、ここにすごく興味のある方なんだな」って分かるもんじゃないですか。お話回しも、○○先生節って、絶対に出てきますし。・・・分からないんですよね;何年・・・何作読み続けても。るーみっくは本当に・・・底が見えない;あ~・・・初期初期あたりからの短編集が読みたくなってきた!人魚シリーズの名作たち、炎トリッパー笑う標的闇をかけるまなざし戦国生徒会われら顔面仲間 迷走家族F(ファイヤー)君がいるだけで宝塚への招待1orW・・・超読みたい!!実家だ~><by姉
2015.07.20
コメント(0)
大人気大河野球ロマン「MAJOR」の続編! 主役は茂野吾郎の息子・大吾君!満田拓也先生「MAJOR 2nd(メジャーセカンド)」第1巻 購読しました~!*ネタばれありですので、未読の方はお気を付けください* 吾郎の息子・大吾(小六)は、才能のなさと二世の重圧から、ドルフィンズを辞めていた。 だが佐藤寿也の息子と名乗る光の登場で、諦めていたはずの大吾の野球人生が大きく変わり始め…? とても面白かったです!! 絵が抜群に綺麗で読みやすい!憧れの野球選手・おとさんはメジャーリーガー。大吾君にとって、野球をすること=世界に通用する選手になるということ。いやいや息子だからって、そうそう成れるものじゃないですからね!夢を諦める所からしか、大吾君の野球人生は始まらない気がします。難儀な事です。 大吾君がもう…泣けるほど野球大好きすぎるんですよ…。好きすぎて潔癖になってしまって、ドツボにはまっています。でもどうしても好きなんです。大吾君は「野球のせいで未来が見えない…」と嘆いていましたが、野球を遠ざけようとしてるから、未来が見えないんだと思います。卑屈になる心を野球パッションで乗り越えるんだ! 頑張れ大吾君! 光君は天才的な野球センスを持っていそうですが、今のところ熱意はあまりなさそうです。大吾君と光君が、お互いにどんな影響を与え合うのでしょうか…次巻が楽しみです♪ あ、あと大吾くんは自分の女運の良さに感謝すべきだと思いますw。母親に薫ちゃん・姉にいずみちゃん・幼なじみに美少女の佐倉睦子ちゃん…とか。何この天国。 by妹
2015.07.01
コメント(0)
おはようございます。読み始めました!『センゴク』『センゴク天正記』『センゴク一統記』(宮下英樹先生・2004年~ヤングマガジン)1567年・稲葉山城の戦い。斎藤家家臣・仙石権兵衛秀久(15)は、落城の最中、織田軍に単身乗り込み、勇猛果敢に闘うも生け捕りにされる。その面構えで信長に気に入られた権兵衛は、織田家家臣・木下藤吉郎秀吉の寄騎となる。美濃・斉藤家を攻略した信長は、「天下布武」に向けて動き出すが、その脅威を感じた周辺諸国・勢力は結託し、「信長包囲網」を形成し・・・。戦国史上、失敗し、最も挽回した男の物語。 第一部・『センゴク』全15巻第二部・『センゴク天正記』全15巻第三部・『センゴク一統記』既刊12巻~以下続刊、その他番外編などがもろもろある模様。いや、以前よりちょっと気にしていたタイトルではあったのですが、巻数が多くて、気後れしてました。少し前に、電子書籍1巻無料で少し読みまして・・・「・・・おもしろい!読む!!」レンタルしてきました。とりあえず、先週末から読み始めて今、『天正記』の3巻まで来たところ。やっべぇえええええ!!コレめっちゃおもしれぇぇええええええ!!昨日なんか一日中読みふけってました。いや、一日あれば、15・6冊くらい読めると思うかもしれませんが、この作品、1冊が濃すぎますから。っていうか、現在の引き(天正記3巻)がこれ↓なんですけど。これまで衝突を避け続けて来た武田軍と対に相まみえる!新たな闘い方・鉄砲を用いた殲滅戦は武田に通じるのか!?いざ!長篠の戦い!!レンタルする時、区切るところ間違えたあぁあああ!とにかく、「超リアル戦国時代」!小説・ドラマ・映画・漫画、数多存在するスーパースタンダードな「信長の快進撃、秀吉の天下統一・・・の筋」を、とにかくリアルに、立体的に、現地地形・史実に基づいて。各々の合戦、各々の武将を、作者の宮下英樹先生がその想像図を作り上げて、「納得して、リアルに還元してる」・・・そんな作品でした。合戦に、個人が跳び込んで行く、そこの高揚感は『キングダム』(原泰久先生)と似ている部分もあるな、と感じましたが、あちらは、基本ファンタジー作品だと思っています。あんな、中国の雄大な大地で、幾万の兵士が激突する・・・それを、あの「中」に入って体感できるなんて、日本のエンタメ作品では、今まで観たことがない作品だ、と。あの作品には、私は「ファンタジー漫画好き」として喰いつきました。こちらの『センゴク』は、少し違います。大好きな戦国時代に、大真面目に行きたい・・・!ホンモノの秀吉をやっぱり観てみたい・・・!本気で、「城」を体感してみたい・・・!そこのロマンを追い求め、具現化するという基本的には、NHK「大河ドラマ」と同じ志で、媒体が「漫画」、という作品だと思います。簡単に書きますけど、だって・・・「リアルに還元」って、リアルな絵が描けなきゃ無理ですからね。その土地に行ってみて、文献に書かれているものが、実際にはどのようなものか想像して、その上で、納得の行かない部分は自分なりの解釈を加えて。リアルだからこそ、合戦に跳び込んで行く人がどれだけ勇敢か、攻める方も攻められる方も、余裕なく必死か、それが落ちて来ます。っていうか・・・これ、私みたいな人間の為の漫画ですよね。分かります。第一部の盛り上がりとして用意されてた「小谷城の戦い」なんて、もうこれがやりたかったんだ~~~!!って勢いのノリッぷりでしたし。小谷城に実際に行って、「京極曲輪!はぁ~///」とかやってた人間が一番求める、戦国時代エンタメの形ですよね。何で今まで読んでなかったんだ、この作品!と思う反面、ここ数年、城めぐりに目覚めて、近場のお城めぐりをそこそこの数やってきて、その後に出会えて本当によかった><!・・・とも思っています。「そう!そうそう、この場所~~!」ってなる。正直この作品、その土地に行ったことがある人の方が、楽しめます。本当にその場所を描こうとしてるんだ!ってところが拾えるので。稲葉山城(岐阜城)、小谷城、一乗谷、岩村城、躑躅ヶ崎館、長篠の合戦跡地、長篠城・・・この辺りは、出てくるともう入って来方が違いました。私自身が、訪れたことがあるからw。舞台が西に移動していくと、知らない場所が増えて来ますが、東に向かえば、話筋上・・・北条攻め時の支城(八王子城とか?山中城とか?)及び小田原城、秀吉の石垣山一夜城、上田城、これまで訪れたことのある城郭たちが、まだまだ沢山出てきそうです。・・・ふふふふふ。超楽しい。お城めぐりも楽しくなるし、そのうえで漫画読むのも楽しくなるし・・・。・・・・ふふふふふふふふふh・・・。あ、あと書きそびれてましたが、土地やモノの描写のみならず、各武将たちの描写が、本当に面白いです!武将たちが、それぞれ自身の美徳・・・というか、考え方を堂々と宣言しながら出てくるんですが、最初、「あれ?こんな人なの?」と違和感を覚えます。ですが、読み進めていくうち、元々持っていたイメージにどんどん近付いていって。秀吉の描写は見事でした・・・。はぁ・・・。だんだん、小学生の私が憧れた、「秀吉」像になっていって、カッコいいったらもう///っていうか、この作品主役は秀吉・・・いえ、私がどうしてもそうやって読んじゃうだけなんですけど。(↑大河ドラマ・『秀吉』で戦国が大好きになった人間)秀吉の家臣が主役の作品って、結局秀吉が主役になっちゃうじゃないですか。いつも。あれ・・・?私がそういう目で見るからなのかな?いや、仙石権兵衛はすごく好きなんですよ。特に、彼の「秀吉大好き~~!」ってところに感情移入し易くて。(↑結局そこ。)とりあえず・・・買おう。この作品は。by姉
2015.06.08
コメント(0)
先日発売した 金田一少年の事件簿R(リターンズ)第5巻 買いました!今度は蟻地獄かぁ…7月発売の解決編も楽しみです! それにしても、新刊が出るたびに騒いでる気がします…『暁のヨナ』しか受け付けない脳になっていようが、免許合宿参加中だろうが、雨が降ろうが槍が降ろうが、どうしても手にしてしまう作品です。小学生の頃から読んでいて…もはや自分の中ではこの作品が「エンターテイメントの基盤」になっている気がします。金田一といえば、耕介ではなく一(はじめ)ちゃんです。 ちなみにこの曲↓も、最強のトラウマソングです。♪金田一少年の事件簿(堂本剛さん主演)BGM『the mysterius mallets 』両親世代から言わせると「イヤこれエクソシストのテーマのパクリだよね」らしいのですが…^^;。私達世代にとっては、永遠のトラウマソングです。by妹
2015.05.09
コメント(0)
しまった・・・!!「暁のヨナヨナ・・・」言ってたら、昨日発売のサンデーで、『MAJOR2(セカンド)』が始まってた・・・!楽しみにしていたことすら、完っっ全に忘れてた・・・!!今日、帰りがけにコンビニに寄りましたが、サンデー自体がなかった・・・;;ああぁああ!息子が主役とのことで。・・・とにかく私は、清水ちゃんに会いたい。by姉
2015.03.12
コメント(0)
おはようございます。 簡単感想『金田一少年の事件簿R 4巻』 まるまる一冊、前巻より始まった『狐火流し殺人事件』です。これにて完結。いや~~・・・オモシロかった!!今回のシリーズ、本当にどんどん面白くなりますね。特にこの狐火~に関しては、なんというか・・・すごく、昔の、金田一少年最盛期の頃の魅力がある事件だったと思います。ラストシーンがまた特に、画面絵ヅラがすごくきれいで。そして、何より過去の知り合い達との会合が舞台、ということではじめちゃんが、最初からすごく「主観」で入って行ってくれて。登場人物や、過去の出来事というものに対して、自分の感情をすごく強く出すのでそれにつられるように、受け手もそれぞれの要素を一生懸命捉えてしまう、というのがありました。・・・感情が入って来るんですよぉ。最初の被害者に対するはじめちゃんの評価が、「すごくいいこだったよな」・・・とか。これだけで、入って行け方が大分違うので。うん。個人的には、過去のシリーズから通算しても、かなり好きな、上位にくる事件になったかも・・・と思います。 昔のシリーズの、特に10巻~20巻台前半あたり、感情と雰囲気で読者を連れていく金田一少年ワールドが好きな方は、是非是非!!おすすめです。 イラスト by妹、 文 by姉
2014.12.23
コメント(0)
今週から・・・・ふふ、次はいつ休めるかな。長期連勤予定です。週末に、癒されよう!と思いまして、・・・中高生の頃に読んでた少女漫画を読み直してみちゃおっかな~・・・と、ブックオフに足を運んだのですが、なんか、気分が乗らなくって。どうしよっかな~・・・と思ってグダグダしてるうちに、目に付いたこのコミックを1冊手にとっていました。『囚人リク 1巻』(瀬口忍先生・週刊少年チャンピョン)隕石によって荒廃した世界・・・。苦境でも、正義感を貫こうとする少年の、刑務所脱獄モノ。・・・正直、私の精神状態は相当良くないな、と思いました。ウフフキラキラな萌え少女漫画買いに行って、なんでこれを買って帰って来てるんだ。私は一体、何から逃亡したいんだ;いや、しかしですよ。これがっっっ・・・めっちゃ面白いんですよ!!!リンチシーンとかも出て来て、かなり・・・痛そうな描写もあり、少年漫画っていうか、青年漫画くらいの方がいいのかな、と思う部分も多々あります。女性読者は、読みにくいかもな・・・。でも、かなり映像文化の入った、スタンダードなアクション・アドベンチャーをやってくれますし、なにより描写の1個1個が・・・上手い。漫画として、脚本として、演技動作1個、セリフ1個をとってもう~ん・・・上手い。・・・これは、おもしろい!!!チャンピョンの漫画は、この前、『弱虫ペダル』をバーーっと飛ばし読みしたくらいしか触れたことがなかったのですが、この2作を観る限り、本当にしっかりした漫画が載ってるんだなぁ、という印象。とりあえず、『囚人リク』は続きも集めるとして、機会があれば、他の作品も読んでいきたいなぁ。 はっはっは、連勤だよ、ちくしょう。当分お預けだよ。・・・はぁ~~;by姉
2014.09.29
コメント(0)
5連続・ひとこと漫画感想3『金田一少年の事件簿R 3巻』(天城征丸・さとうふみや先生・マガジン)待ってました新刊~♪妹も感想記事を上げていましたが、今回のシリーズ・・・凄くイイ!!とにかく、各事件の出だしでいちいちわくわくします。・・・犯人の動機とか、個人的にはちょっといまいちかな~、って部分もありますが;でも、何よりも・・・絵が、画面力が、演技が、一時期に比べて戻って来てる!って、表紙を観ても思います。前巻からの「亡霊校舎の殺人」は、今までにない独特な舞台でアドベンチャー感があり、わくわくしましたが、今巻から始まった「狐火流し殺人事件」も、出だしから気になる展開!モチーフにも雰囲気があってイイですね~><早く続きが読みたいです。 『金田一少年の1泊2日小旅行 1巻』(あわ箱先生・マガジン)ネット配信?してるのかな?好奇心に負けて購入しちゃいました;金田一少年の事件簿・公式二次スピンオフゆるコメディ。複数の方が寄稿されてるトリビュート集は、読み応えもないでしょうし、正直あんまり興味はないのですが、こちらは一人の方が単行本1冊分描いてる・・・しかも、目に飛び込んで来る「1巻」の文字;・・・気になるじゃン;内容は・・・というと、これがまぁ・・・なんていうか、完全に金田一を読みこんでいる人向け・・・より更に踏み込んだキャラいじりやっちゃったりしてて;・・・意外とおもしろかった!この筆者さまの、はじめちゃんの崩せなさ(どうしてもカッコ良くなる)、それに伴い、ほぼはっちゃけた美雪ちゃんが主人公という、謎のバランス。二次創作独特の面白さもありました。by姉
2014.09.23
コメント(0)
マンガたくさん読みました!ちょっとずつ感想です。5連続・ひとこと漫画感想1『ONE PIECE 75巻』(尾田栄一郎先生・ジャンプ)ドレスローザ編・・・イイな!!好きさ!ちょっと登場キャラが多過ぎて、頭飽和するけど。片足の兵隊さん・・・英雄・キュロスと娘のレベッカ、リク王とヴァイオレットさん・・・この辺りの血縁集団と、小人集団&ウソップ(目立つ!)との絡み、船長にそろそろ仲間認識され始めたローさんと、何故か最近は常識的な発言&表情をする船長にメロメロさぁ!!特に今巻は、アドベンチャーのロマンがいっぱい詰まっててよかったなぁ・・・><カブトムシで跳ぶシーン素敵でした。by姉
2014.09.21
コメント(0)
『MAJOR』キャラクター感想・その2清水薫についてメインヒロイン。小学4年生の時、クラスメイトになった吾郎くんの影響でルールもよく知らなかった野球を始め、それ以来、中学~大学までずっとソフトボールに青春を費やします。その間、無謀ともとれる挑戦を繰り返す吾郎くんを陰ひなたに応援し続け、出会いから丁度10年目の大学1年の冬に、恋人に。その後、メジャーリーグで活躍する吾郎くんと数年(5~6年?)の遠恋期間を経て、結婚&渡米。女の子と男の子の二子を設け、最終回では、左肩の故障によりメジャーを引退&日本に帰国した吾郎くんの野手転向と、円満家庭を支え続けています。吾郎くんも衝撃的な主人公でしたが、それと同じくらい・・・いや、正直、それ以上かもしれない、衝撃的なヒロインでした。この清水ちゃん。描かれ方ですね。作品後半における、清水ちゃんの描かれ方を確認して安心してから、この作品を購入し始めました。特に、何が凄いとか、特別な子じゃない。小学生の頃から学級委員をやったり、真面目な家庭&かなりの優等生気質な子・・・というのは描かれていましたが、特別に美人だったり、何かの才能があったりするわけじゃない、「普通の子」の域は決して出ない子です。転校をコロコロ繰り返しては、野球での挑戦に全てをかけ、果ては高卒即渡米&米プロ野球界に殴りこんでしまうという誰も真似できない、道なき道を突き進む吾郎くんに対して、公立の小~中学校を経て、偏差値が高めの私立高校・四年制女子大学に順調に進学&卒業する・・・「普通の優等生の女の子」です。この子の人生が、吾郎くんの人生とどこまでも対等なのが・・・凄いんですよ!なんでこのバランスを保てるのかな。ヒーローの方が本当に特別な存在なので、「普通な」ヒロインなんて、都合のいいように動かせばいいじゃん・・・って、なりそうで・・・ならない。出会いのシーンのインパクトが、その対等性を無視できなくしてくれたのかな。この子を置いていった時点で、読者の目線を置いていくのと同じこと・・・なんじゃないかなぁ、なんて思います。分かりませんが。少なくとも私にとっては、この作品を読み進めて行く中で、清水ちゃんの目線というのは、本当に比重が高かったです。・・・吾郎くんには、最初からなれません。別に、野球好きでもありませんし。でも清水ちゃん。この子が居てくれるから、この子の目線で、野球に興味を持ち、吾郎くんを追っかけながら読むことができる・・・そんな感じ。いっつもいっつも置いてかれては、その背中に追いつけなくとも、なんとかギリギリ「観える位置」に居続けた清水ちゃんが、本当にこれはもう・・・観えなくなっちゃうな、と諦めかけたのが渡米1年目・マイナーリーグで結果を残した吾郎くんが帰国した時でした。ここで本当に諦められちゃうから、このキャラクターは凄いんですよね。全部が全部、ヒーローに付き合いきれない部分がある。無理なものは無理、自分のバランスが崩れちゃう、そう思える・・・強さがある。この段階での清水ちゃんの焦りと諦めを、吾郎くんが超敏感に感じ取って、読者驚愕の突然展開で恋人になりましたが・・・。作品が終わってから冷静に考えると、吾郎くん的には、まだメジャー確定前とはいえアメリカ野球界でもやっていけるという手ごたえを得ることが出来た後、清水ちゃん的には、ワールドカップで吾郎くんが世界的に注目を集める選手にのし上がる直前、・・・ここしか、お互いに躊躇や遠慮なく恋人になれるタイミングはなかったな、って分かるのが恐ろしいところです;ここのエピソードの詰め方が大好きです。ワールドカップへと吾郎くんの気を向けつつ、清水ちゃんの焦りが、きちんと伝わり、そこからの吾郎くんの潔さ・行動力の高さがどの要素も本当にしっかり落ちて来て。清水ちゃんが、ソフトボールをずっとやり続けたことで、各ステージにおいてゲスト?ともとれる別のヒロインを投入したりもしています。聖秀編なんかが分かりやすいですね。普通なら清水ちゃんを野球部のマネージャーにしたくなるところを、出番も少なくなるのに、あえて・・・。・・・こういった天才ヒーローに偏った作品で、ここまでして、ヒロインの立ち位置にこだわるという姿勢が感動だったんですよ。だからこそ、大河ドラマとしてこの子の人生が映えるんだろうなぁ・・・。結婚云々の話が出て来た時や、結婚後の描写も、清水ちゃんが本当の本当に、自身の幸せを考え、人生を選べているのが分かるからこそグッと来るんですよね。そんじょそこらの、お前にはそれしかねーのか、と突っ込みたくなる馬鹿そうというか、主体性のない少年漫画ヒロインたちと格が違うというか。えっと・・・やっぱり上手く書けないな。イイ子ですよね・・・清水ちゃん。ホントに。特に「男のロマン」みたいな、女の子じゃないんですよ。夢見てんじゃねーぞ、とツッコミたくなる美少女幼なじみじゃない。付き合ってるのがステイタスになる彼女って存在でもない。少年漫画的に、天才ヒーローの相手役なら、もうちょっと夢見てもいいんじゃないか、という意見も分かります。・・・ただ、これは大人目線になっちゃうかもしれませんが、・・・結婚するなら、絶対にこういう子がイイ!そういう子なんです。賢くて明るくて、気遣い屋ですが自分をしっかり持ってて、・・・この子を奥さんにしたら、生活サイクル・家庭内関係・親戚関係・友人関係、近所付き合いから子どもの学校関係まで・・・絶対にオール円満です。メジャーという作品を最後まで読む&アニメを観ると、心底思うんです。・・・こんな奥さんが欲しい!!・・・茂野吾郎、本っっ当に羨ましい!!最後、ヒーロー&ヒロインが結婚する漫画は少年漫画・少女漫画通して別に珍しくありませんが、ここまで強烈に「羨ましい!!」と思ったのは初めてです。恋愛関係と結婚が、これほど分けた次元で描かれている、それだけの立体感がある作品からこそ、っていうのが大きいですね。というわけで・・・えっと。とにかく、私にとっては、メジャーという作品において、茂野吾郎というヒーローが強烈な光だとするなら、その立体感を維持し続け、安心して観ていられる存在にしてくれる「影」・・・それがこのヒロイン・清水ちゃんです。登場する度に、「吾郎くんに対して、『普通の感覚で』今度は何を言ってくれるんだろう!」というわくわくが常にありました。この子が居なかったら、私はこの作品・・・読めなかっただろうな。読者として感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう清水ちゃん!もうホント、ずっと幸せで居て!お願いします!私的「少年漫画ヒロインBEST1」かもしれません;;by姉
2014.09.15
コメント(0)
『MAJOR』キャラクター感想・その1茂野吾郎について 1の続きです。 家族描写ともう一つ。アメリカに行って以降・・・特に、ワールドカップ編以降がなければ、私はここまでこの作品・このキャラクターにハマりこんではいなかったと思います。メジャーという作品の、一番の盛り上がり・・・吾郎くんというキャラクターが、一番活きているステージは、間違いなく海堂を経てからの聖秀編だと思っています。漫画作品として、画面が一番のっているのもやっぱりこの辺り。あのステージをやり切った直後に、吾郎くんがマイナーリーグに乗り込む過程が、ぶっとんでるのにしっくり落ちて来た時、「この作品&主人公、すげぇ!!」って、世間の評価がついて来たのかな、と思います。ここが作品の最高潮・・・これは犯しがたいところだと思います。・・・が、マイナー編の途中でNKKでのアニメ化が決定し、そこからの、展開ですね。そこからの展開が・・・「他にない」の更にその先の次元にあります。こっから先があるから、だから「メジャー」は凄いんだ、とそう思っているんです。ワールドカップ編以降のお話回し、要素の盛り込み方には、「責任感」を感じるんですよ。メジャー少年誌の看板作とはいえ、まだ読者層が限定されていた頃と、NHKの夕方かな?でアニメが放送されてからでは、・・・やっぱりもう、作品の存在意義が違いますから。「国民的」な作品、っていう意識かな。その意識が、顕著に表れていると思うんです。最高にしないといけないんです・・・吾郎くんの人生を。野球選手としての最高の挑戦と栄誉を、そして、最高に幸せな家庭を。吾郎くんが、全力で「全部」を掴みにいってくれるんです。「コレさえあれば、他に何もいらない」んじゃなくて、何もかも全部を手に入れにいくんですね。ギブソン親子との積年の思いをのせた対決を果たしながら、幼なじみと恋人になり・・・・・・これがまた、吾郎くんが最初から驚くほど高い意識で対応するので、完全に読者目線の先を行かれます。あ、この子にとって「彼女」って、結婚前提なんだ、って。野球に関しては、数手どころか地球の反対側くらいまで先に行かれちゃうのが吾郎くんですが、こっちの身辺固め?に関しては、相手の居ることなので無理せず、焦らずのじっくりペースを崩さないんです。いや、この年齢でそもそも「無理せず」に気が向いてる時点でもう先を行かれてますが。ワールドカップで、無茶して一気にスターダムに駆けあがった後、若干のスランプを経て、長い眼で観た安定感のあるプロ野球選手への成長、そして真の「世界一の称号」を掴み、さらにさらにその先、おとさんの果たし得なかった挑戦に向かう・・・という。 えっと・・・なんだ、くそぉ、全然上手く書けない。要約すると・・・最終的には、世界最高峰の富と栄誉を掴んでなお、挑戦者の瞳をギラギラさせて、いくつになっても未来への展望が尽きず、それでいて円満家庭を築き、愛妻家・カッコいい父親であるという・・・落ち度のなさすぎる人間になります。欲張り過ぎですね。ただ、このキャラクターのそこに向かうモチベーションの源泉がしっかり分かり、また、そこに至る過程において、吾郎くんには、それら全てを掴みとれるだけの才能とバランス力があるという説得力があります。 衝撃的なキャラクターでした。特に「主役のパワー」という点に関して言えば、これほどインパクトのある作品に出会えることはこれから先、もうないかもしれない・・・そんなことすら感じました。 茂野吾郎は、男の夢なんですよ!メロメロです。・・・超・羨ましい!!! ・・・はぁ、まだまだ、いろんなこと思ってるんですけど。もう、のめり込み過ぎてて上手く書けない~・・・;;他のキャラクターについても、結局吾郎くんとの兼ね合いで語ることになりますので、その辺りでまた思いっきり書きたいと思います。by姉
2014.09.11
コメント(2)
ほぼ3カ月間、本気で抜け出せないMAJOR・・・。各ステージについての感想を一通り吐き出したので、今度は各キャラクターについて、気のすむまで、くどくどと語りたいと思います。 『MAJOR』キャラクター感想・その1茂野吾郎についてなんかもう・・・悔しいんです。悔しいくらい・・・メロッメロですよ。夢中ですよ。このキャラクターに。なんなんだコイツは、本当にもう; どの野球コミュニティに置いても、天才の称号を欲しいがままにしてしまう、超人主人公。指導者やスカウトにはエリート扱いでは飽き足らないというより、「ここ」に収まりきらない鬼才だという評価を受け、経営者には、金を稼げる器だと眼をつけられ、チームメイトたちには、「コイツは別物」と評される・・・。実父の影響と、弱小チームに好んで在籍する傾向があったためピッチャーポジションが定着していきましたが、基本的にはバッターや野手ポジションをやってもその天才っぷりを発揮します。 ビジュアルは以前から知っていたので、大御所少年漫画の・・・スタンダードヒーローだと思っていたんです。それが、いざしっかり読み始めたら、お前っっ・・・!!という突っ込みどころ満載のキャラクターで;5歳の段階で、「勉強なんかやらなくても、僕はプロ野球選手になるから大丈夫だよ」とか言ってて、・・・おい、その本気の曇りなき眼はやめろ、って感じでしたが、特に、9歳になった時が驚きました。「クラス内のいじめ?俺には関係ねー」とか、しらっと言っちゃうとか。正義?知るか。それより野球だ、という;本当にコイツは少年漫画のヒーローなのか?いや、確かにストイックを突き詰めるとこうなるのは分かるけど;;「生きる」を「野球やる」と読む、どこまでも偏った価値観の持ち主・・・自他共に認める、病的なまでの「スーパー野球バカ」です。読み手として、最初はびっくりして、「大丈夫なのかコイツは」とか、あんまりひどい発言の数々に、「痛い目に逢えばいいのにコイツ」とか思うんですが;・・・「偏っていること」は、本人も自覚済みってところが重要なところですね。発言を拾っていくと、厄介なことに「野球馬鹿」ではありますが、決して「頭の悪い馬鹿」ではないんです。どちらかというと、幼少期より考え方がしっかりしていて、変化する生活に対して、自身の位置づけをどんどん適応させていける、・・・そして、直に干渉されると反射的に反発しますが、周囲の人々をちゃんと観て、受け入れることはできるという・・・分かりづらいですが、賢い部類の人間なんですね。・・・この、価値観が周囲とズレているので、一見極端で不安定な存在のようでいて、実はセルフコントロール力が非常に優れていて、どんな状態でも自身の生活を「野球をするため」に安定させられるという、意外性がもう。天才だから出来ることなんですが、周囲の人間に、「自分はこういう存在だ」と押し切れる。家族をはじめ、周囲の人への甘え方も頼り方も知っている天才。大事にしたいモノの順番がはっきりしていて、ぶれない天才。「バランス力のいい天才」。これに尽きます。そこそこの数の少年漫画ヒーローを観て来て、こんなに思ったことはない。・・・羨ましい!!!と。 メジャーという作品は、個人的に・・・「スポーツ漫画」というより、「野球で大成する人間を主役に据えた大河ドラマ」です。他のスポーツ作品と、とにかく一線を画すのが家族描写。前作・「健太やります!」では、それほど感じませんでしたので、メジャーでは、やっぱり出だしの「おとさん」というインパクトが、作品を引っ張ってるんだなぁ・・・と思います。家族描写がなければ、私はここまでこの作品にハマりこむこともなく、「おもしろいスポーツ漫画」の認識であっさり読んだと思います。吾郎くんは、父子家庭・母子家庭(養母)を体験した後、10歳の時に母が再婚。「茂野一家」において、両親のどちらとも血の繋がりはありません。(当然、数年後に生まれてくる年の離れた弟・妹とも)そして新しい家はかなりのお金持ち;思いのほか複雑な家庭環境で、最初は「えぇ!!?」って思いました。少年漫画において、作品の途中で主人公の名字が変わるというまさかの展開です。・・・が、この家族が素敵なんですよ><実父・「おとさん」の吾郎くんへの思いに婚約者だった桃子先生と、親友の茂野のおじさんがのっかる形で、新しい家族が形成されていく過程が見事でもう・・・。お話筋がどう・・・というより、キャラクターたちが、自身と、何より吾郎くんの幸せを考えて動いた結果なのが分かるんですよ。養父母の感情が生きてて、本当に強烈なんです。その思いを、吾郎くんがちゃんと受けとって感謝してて、「家族大事だぞ~~」って出来ちゃうのが・・・凄い。吾郎くんというキャラクターの人生の命題は、プロ野球で大成することというより、「幸せになること」なんですね。「幸せ」への躊躇が全くない。それが、両親・養父母の思いへの何よりの恩返しだって、分かってるのが・・・凄い。吾郎くんは、傍から観たら、捨て身ともとれる挑戦を幾度も繰り返しますが、「やりたいことやらないままなのは、不幸せだから」出来ちゃうんだろうなぁ、・・・ってとこまで分かる。こんな意識描写、初めて観た。 字数制限に引っ掛かりました;2に続きます・・・。by姉
2014.09.11
コメント(0)
少年漫画感想買いました!『健太やります!』(満田拓也先生・週刊少年サンデー・全26巻)弱小・坂見台高校バレー部に入部した、井口健太と前田隆彦。近隣の超名門校・誠陵を倒すという目標に向かって、坂見台バレー部が新始動する。キャプテン・健太くん、エース・前田くんという立位置をはっきりさせたWヒーローを主役に据えた、弱小部活動モノ。 タイトルは知っていましたが、そうか・・・この作品も『メジャー』の満田先生だったのか。とにかく、どうやったら『MAJOR』のような作品が出てくるのか、それが読み解けるかな~・・・という観点で手を出してみました。先にそこの感想を申しますと・・・かなり、「ああ、なるほど」と思う部分がありました。楽しい・・・!あだち充先生の作品を読んでいてもすごく感じるのですが、「なんでこの設定が出てきたかな、普通に考えたら、こうはならないよ」って部分の答えは、その前作にあります。・・・というか、「サンデー気質」の作家様に特に感じる部分です。前作は前作で、きっちり形にするのですが、作品を詰めて形にする段階で、「面白くなった部分」や「もしこうだったら、もっと・・・という部分」を、前面に押し出した次作が出てくる。常に安定感の上に、驚き・熱さがあるという、まさに「実力派」の小学館ならではだな~・・・と思う部分です。以下、「MAJOR」を読んだ時に、「なんでこうなったのかな?」とおもって、「健太~」を読み比べた時、「ああ!」と落ちて来た部分の列記です。・・・どの要素も、どんどん繋がってくるんですが、とりあえず箇条書きで。★キャラクター「本田吾郎」とにかく、「メジャー」を最初読み進めて、びびったのがここです。なんでこんなキャラクターが出て来た?!って。で、「健太やります!」を読んで、前田くんを見て、「あぁ・・・!」と;このキャラクターが居たから、更に極端な形で吾郎くんが出て来たのか・・・!★名門校と弱小校聖秀編というのは、メジャーという作品にしかないステージだと思っています。あの、名門校を経てからの弱小校(というか、部活動新設からやる)というのは、・・・あらすじだけじゃ「は?」ってなりますから。面白いのは分かりますが、まぁ・・・無茶苦茶過ぎますので。この、名門校は名門校で、伝統と誇り、数々のノウハウがあって、弱小校は弱小校のモチベーションがあって・・・という部分。ここが、満田先生の興味所だったんだな、というのが健太~を読むと、よく分かりました。★1年毎のステージメジャーを読んで、なるほど他にない、と思ったのが海堂~聖秀の切り返しもそうですが、ほぼ1年おきに、身を置くチームが変わって行くところです。登場メンバーもほぼ総入れ替えになるので、作品の色すらコロコロと変わって。なんてリスキーなことすんだ、と思ったんです。それが、高校2年生の夏の大会で燃え尽きてしまった健太~を観て、ああ・・・・と;いや、普通・・・3年生まで引っ張るよね?1個のシチュエーションで、トーナメント戦とかやると盛り上げ過ぎちゃうんですね。新入部員たちの思いも、この大会で引退の先輩たちの思いも、ケガをしてしまうエース・前田くんという要素もひっくるめて、ここで勝たないと嘘だ!みたいに盛りあがってしまって。逆に、これだけ盛り上げられることが分かっているから、聖秀編やワールドカップ編なんてリスクの高いお話筋に、自信を持って取り掛かれたのかな、とも思いました。★部活動内の温度差とキャラクターメジャーを読んで、主役の吾郎くんをはじめとした各キャラクタ-のパワーというのが・・・衝撃でした。自分の軸の方に、持ってきちゃうんです。所属組織の空気を。メジャーに関しては、もう出だしのリトルリーグ編から、どうしてこんなにいろんな軸を持っている小学生が描けるんだ、と思いましたが、健太~を読んで、なるほど、と思いました。W主役で据えている健太くんと前田くんに関しては、最初からしっかりとした軸を持って、その掛け合いを活かそうとしていますが、特に・・・1学年上の先輩3人。モブ・・・でもないんですけど、出だしの1巻では、全員わりと没個性的に、わいわいガヤガヤな雰囲気で描かれていましたが、夏の合宿の辺りから特に・・・かな?それぞれが、なるほどらしいな、という発言をぐいぐいするようになって。・・・佐々木先輩ともめるとことか、本当に面白いんです。キャプテン・健太くんの真価が問われるところです。容姿の微妙な要素の違いが、どんどん活きてくる。 メジャーでは、それを最初から織り込み、もっと極端で意外性のあるキャラクターをどんどん投入していますね。 最後に。健太やります!を読んで、メジャーにはこれはなかった!!と思った部分について。基本的には、もちろん巻数も違うのでメジャーにあって、健太~にないものの方が断然多いです。・・・が、そのまんまなんですけど・・・キャプテン・健太くんと坂見台高校バレー部という一つの部活への愛とこだわり。これは・・・メジャーにはなかった。健太くんに関しては、とにかく「真面目な頑張りや」ですが、いちばん印象的だったのが、上手い経験者の後輩が入ってきた時に、セッターの座を譲るエピソード。主役なのに、キャプテンなのに、ポジションがなくなってレギュラーから外れるかもしれない・・・これに対して、他のチームメイトたちが反発する感情も分かりますし、それでも人一倍後輩育成に力を注ぐ健太くんの姿はグッとくるものがありました。「キャプテン」だなぁ・・・!って。逆境こそ、ピンチほど、不穏なムードこそ、キャラクターがすごい開き直り方をして、読者を引っ張ってくれる・・・という、この、満田先生のキャラクターの底力というのは・・・本当にもう、なんなんでしょうか。似たような要素でも、他の作品ではここまで伝わってこないんですよ。キャラクター、周囲の人の立体感が・・・そうさせるのか、もう、グイグイ心にねじ込んで来ます。 健太やります!・・・青春部活モノとして、これだけで読み応えがありますが、「メジャー」と比較するのも、やっぱりすごく面白かったですよ!「メジャー」をもっと落とし込みたい!という方は・・・是非。 by姉
2014.09.06
コメント(0)
少年漫画感想 『MAJOR』 その6・ワールドシリーズ編~その後-2 その1の続きです。 ★吾郎くんの打席幻の決勝打。・・・このシーン好きだったんですが;アニメじゃ、イイ具合に省かれちゃってました。まぁ確かに・・・このこけ方では、交代させられても仕方ないかなとは思います。★アレックス代打ワールドカップの時に登場したアレックス選手が、レイダースのピンチヒッターとして登場するシーン。原作では、このワールドシリーズ編の中で一番好きなシーンです。というよりも、このアレックスさんが、チョイ役の癖に・・・結構味があって好きなんですよ。ボス(ギブソン監督)のために!ってとこも素敵。これも、アニメの方では残念ながら省かれてしまいましたが。OVAは、70分の力作なんですが・・・コミック3巻分を映像化するには、要素省かなきゃでしたね。その分、あっさり鑑賞できる形に収まっていますが。★寿くんのお母さんまぁ・・・5歳の頃からさっぱりイイ描写がありませんでしたし、正直どうでもいいというか。漫画を読んだ時は、寿くんも、こんな親のことさっさと忘れた方がいいよ、くらいのテンションで読み省いていたのですが、それが、アニメで観た時に、なんか・・・グッときた!おじいちゃんのセリフも、漫画で読んでる時は「ふーん」って感じでしたが、声優さんの演技がつくと、ちゃんと入って来ました。おじいちゃんが長いこと元気でいてくれて、嬉しいです。演技と演出・・・かな。あとは、アニメの「スタンド」感。寿くんが腕を振り上げるシーンの、カメラアングル?これがすごく好きです。★小森くん!日本で、この試合を観戦(というか、電気屋さんでテレビ観戦)する堅実サラリーマンになった小森くん(&その部下)。このシーンもアニメでは・・・(以下略)。ですが、OVA「メッセージ」の方で、本当に素敵な登場をしてくれているので・・・まぁいいや。小森くんは・・・なんというか歴代チームメイトたちの中でも、やっぱりどっか特別な子ですね。小森くんと清水ちゃん、あとは沢村くんも・・・ですが、小学校の同級生組の「視点」というのは、メジャーという作品を串刺す、布石・・・というか。どのステージにおいても、この子たちの「視点」が吾郎くんをどう捉えているのか、常に気になっちゃうんですよ。★長女誕生第一子が女の子だった・・・というのは、本当に、なんて配慮の行き届いた漫画なんだ!と感動どころでした。確かに、ここで男の子一人が生まれてきたら・・・どうしても悲劇の無限ループを想像してしまいますので;名前に関してですが、作中で誕生する子供たちの名前が・・・なんかいちいち泣けるんですよ。基本的に、男の子は吾郎くんの名前にちなんで、女の子はお母さん方面にちなんでます。・真吾くん・・・劇場版でも命名の意味がちょっと述べられていますが、基本的には、血の繋がらない吾郎くんとの繋がりを作る名前ですね。両親の愛情を感じます。・千春ちゃん・・・吾郎くんの実母・千秋さんと、桃子さんの名前から・・・かな?ここまで・・・本田夫妻の幻影にとらわれなくても;と思わなくもないですが;千秋さんが、美人で野球好きの素敵な女性だったとのことなので、そうなって欲しいな、という思いもあるのかもしれません。・いずみちゃん・・・おそらくですが、清水ちゃん方面の「水」イメージからかな?大河くんと同じような感覚で。・大吾くん・・・メジャー(大)リーグ+吾郎くんの吾。これは分かりやすいですね。 ★メッセージここからは、ワールドシリーズ編の更に後日談。ピッチャーとして、世界一の舞台で10年以上に渡り活躍した・・・更にその後。まぁもう・・・ここにたどり着くしかありませんよね。吾郎くんの人生は;よくよく考えれば、この先が真の「おとさんの人生の肯定」です。大分状況も違うんですけどね;おとさんなんて、日本野球界の第一線でほとんど何も出来ないまま明日から父子二人、どうやって食っていこう・・・って状況だったので;えっと、この34歳になった吾郎くんの野手復活劇・序章に関しては、漫画ももちろん・・・ぐっと来るんですが、何と言っても・・・アニメが!!アニメが素晴らしすぎるんです!24分?の本編の中に、これでもかぁあああああ!!!ってくらいファンの観たいものを詰め込みまくってあるんです。吾郎くんが、2年間一人で身体を作り直している描写を季節感とともに丁寧に拾ったり、漫画では登場しなかった周囲の人々・・・寿くん・小森くん・大河くん・ギブソン親子がそれぞれ登場し、またこれが、本当にしっくりくる形で関わってきてくれます。清水ちゃんの家族に対する心配も丁寧に描いてくれて、・・・っていうか、清水ちゃんがここに至って、過去最高級にカワイイんですが。どういうこと?いずみちゃんの小学校入学シーンとか。おとさんは、吾郎くんの小学校入学式には出れませんでしたので・・・なんかその辺りを踏まえて、わざわざ入っていたんだと思いますが、・・・泣けるわ。これだけで。ホームランを打つシーンに、モノローグでかぶさる吾郎くんの野球の定義・・・「野球は、わくわくするくらい楽しくて、夢がいっぱいに詰まってなきゃいけねぇ!!」ってところは、概念は漫画と一緒なのですが・・・インパクトが桁違いです。追い込まれてから、わくわくし出している本人の描写が細かく入って、なるほど~・・・と押し切られます。そして、漫画にはなかった「ぬいぐるみ」の小道具が上手い!お父さんがホームラン打ってぬいぐるみ投げてくれたら・・・これはたまらん!子ども心理を的確に掴んでます!ラスト、ぬいぐるみ2匹の描写も・・・素晴らしい!良かった。大吾くんのトラウマになるんじゃないかとちょっと心配しちゃった。EDでは、吾郎役の声優さんの♪心絵が流れ、家族4人のキャッチボールシーンで締め。・・・ここまでやりきってくれるか、ってレベルでやりきってくれてます。漫画しか読んだことのない方も、是非このOVA・『メッセージ』だけでもチェックしていただきたいです。私的には、このアニメも含めて「メジャー」の終幕かな・・・って感じです。by姉
2014.08.24
コメント(0)
少年漫画感想『MAJOR』 その6・ワールドシリーズ編~その後-1ワールドシリーズ編と、その後の吾郎くんと家族を描いた「メッセージ」は、TVシリーズではなく、OVAとしてアニメ化されています。まだ発売されて2年と経っていなかったので、他のDVDと比べて大分高かったのですが・・・ようやく、購入しました!!・・・これがまた、素晴らしい出来で><アニメ、DVD全巻揃ったぜ!ひゃっほう!!枚数も多いし、それ相応にお金はかかりましたが・・・悔いなし!!買ってよかった!!やりきった感、半端ない!! ★ワールドシリーズ編プロポーズから、7年の歳月が流れ、その間に吾郎くんと清水ちゃんは結婚。第一子を授かり、その誕生を間近に控えた頃、所属チーム・ホーネッツはシーズンを勝ち抜き、初のワールドシリーズ制覇へ、王手をかけていた。「メジャー」に向かう少年の物語・・・の、後日談的な、このワールドシリーズ編。吾郎くんがピッチャーとして、世界の頂点に立つ瞬間を見せてくれるサービス的な要素が強いかな?対戦相手のレイダースは、引退して監督1年目であるギブソン、そして打線の主軸であるギブソンJr、レイダースに移籍したキーン、そしてメジャーへやってきた眉村くんまで居ます。ホーネッツはというと、基本的にはバッツ時代からの仲間メンバーが主ですが、クローザ-だったワッツが監督になっており、・・・なんとなんと、寿くんがホーネッツへ移籍してます。吾郎くんと寿くんのバッテリーが、世界の頂上決戦で実現・・・!・・・いいんです。どんだけご都合でも。せっかくの「最高の舞台」なんですから、役者は全員揃えなくちゃ。メジャーリーガー・茂野吾郎は、デビュー直後から、いろいろあったとはいえスター街道まっしぐらだったらしく、ここまでに数々のタイトルを獲得し、ホーネッツ不動の守護神として君臨していました。 以下、シーンシーンについての感想です。★がおーっえっ・・・あぁ、こういう感じなんだ。結婚した吾郎くんと清水ちゃん。若干読者がとまどうくらい、ラッブラブのイッチャイチャだな;;このシーン、漫画はそこまでのプロポーズの流れもありましたし、まだあっさりと読んだのですが、アニメになると・・・演技もついて、結構破壊力がありました;吾郎くん・・・;お前・・・誰だ・・・;;いや・・・分かるけど。身内にはとことん優しいのは昔からなので。しかし、二人の小学生の出会いの頃を考えると、感慨深いっていうか、面白いっていうか。結婚した時期は明記されていませんが、清水ちゃんの発言や、結婚式の写真の弟・妹の容姿から察するに・・・2~3年前?くらいかな?個人的には、清水ちゃんには就活をして、大学卒業後、2~3年は会社員を経験して欲しいなぁ、とも思ってます。自信もつきますし。 ★ギブソン監督の「手堅い」シーンギブソンの、監督としての資質を立たせるシーンがたくさん織り込まれていました。「手堅い」がキーワードかな?いや、監督1年目から優勝争いしてるなんて、監督としての資質ばっちりじゃないですか。ギブソンさんが監督として登場した瞬間、「ってことは、吾郎くんの選手引退後は、監督か」ってとこまで深読みしちゃったじゃないですか。ギブソンユナイテットステイツと茂野ジャパンで、ワールドカップ決戦!ふたたび!とか。何でも出来るな。それもそれで読んでみたいw。★眉村くんの結婚普通にびっくりしました。・・・いやだって海堂の頃も、この二人、ほとんど絡んでなかったし;同期の怪物3人の中でも真っ先に子どもが生まれてるとは;寿くんは・・・?あれ?独り身??あえて描いてないの?いや、あれだけ「家族」にトラウマがあったら難しいかもですが、だからこそ・・・寿くんにこそ、幸せな家庭を築いてほしいなぁ・・・と思って。これから・・・かな?★マードックの活躍大好きなキャラクターなんですよ・・・マードック!アニメのメジャーリーグ編が、また話数をかけて丁寧に作ってくれていて、見ごたえがありますし、彼の「ホーネッツ愛」も説得力があります。 字数制限にひっかかりました! その2に続く! by姉
2014.08.24
コメント(0)
少年漫画感想『MAJOR』 その5・メジャーリーグ編★メジャーリーグ編ワールドカップの激戦が終わり、所属しているインディアナ・ホーネッツのキャンプへと戻ってきた茂野吾郎。サヨナラ負けの敗戦投手という本人の意識とは裏腹に、周囲からは一躍、期待の超若手スター扱いをされ、戸惑う。開幕メジャーが確定し、迎えた初先発戦。コンディションも絶好調で、三振の山を築き・・・史上初のメジャーデビュー戦・ノーヒットノーランの期待が高まってきたその瞬間、異変が起こる。 丁寧に成長を描くステージとしては、ラストステージとなるこのメジャーリーグ編。ワールドカップ編は、前記事でも書いたように「少年」のラストステージかなぁ・・・と思っていますが、このメジャーリーグ編は、更にその先。少年から、プロの野球人になる過渡期・・・というか、全てのエピソードが、吾郎くんを「プロ」へ導いている、そういう印象のあるステージです。前半は、イップス(投球恐怖症)との内なる闘い、後半は、チーム優勝戦の最中にかかってしまった血行障害との闘い。はっきり言いますと、非常にフラストレーションが溜まります。スカッとする活躍シーンが、あんまりないんですよ。ワールドカップの幕切れがああだったので、なんかもう・・・吾郎くんを応援する、周囲の人の気持ちになってしまって;自信を取り戻せるような、いい活躍して欲しいなぁ・・・と思いながら最初読んだので、どうしても「・・・そんなにいじめなくても;;」と思っちゃいます。日本の知り合い達も周りに居なくて、まぁ・・・孤独ですし;・・・が、3回目くらいですね。ぐるぐる読み直して、3回目くらい。作品の初期・中期を読みこんで、で、ここにまた行きついた時。「ああ・・・!!」と描かれているものがすっぽり頭に入って来る瞬間があって。その途端に、「メジャーリーグ編、最高・・・!!」ってなりました。少年漫画として・・・あんまり見たくない主役の姿です。障害に次ぐ障害で、ストレスフルです。ファンブックの作者様インタビューでもはっきり書いてありましたが、アニメのヒットがなければ、「描く予定のなかったステージ」です。・・・だけど、このステージがあるから、いいんだ!これまでの滅茶苦茶に突っ走る各ステージが、きちんと「大成するプロ野球人」の道筋になるのは、このステージがあるからなんですよ!このステージがあるから、右肩を壊す原因を作ってしまった三船ドルフィンズ編や、ほぼ喧嘩しっぱなしの三船中学編、「修行」の場である海堂高校編、誰もが顔をしかめる無茶をやりきる星秀高校編、・・・この全部を、「大丈夫だ、メジャーリーグに繋がるステップだ」と安心して読めるようになるんです。この観点でメジャーリーグ編を読むと・・・まぁ・・・スランプも含めた、全ての要素がなんかもう尊いです。一言一言が染み入ってきます。 以下、特に好きなシーンの列挙です。・キャンプに戻った時の、周囲との温度差。おもしろい描写で大好きです。底力を見せつけ、最終的にはアメリカ&ギブソン親子に花を持たせる結果になり、それがアメリカで活躍する上では、好印象として受け入れられたのも・・・なんかよく分かります。おもしろいな。・デビュー戦・ノーヒットノーランにたどり着きそうになった瞬間にモチベーションがキレてしまうシーン。・・・実は、これまでに手を伸ばしてきた無茶苦茶な夢を叶えたことって・・・対横浜リトル戦しかないんですよね。吾郎くん。このキャラクターが、「夢を叶え慣れてないんだ」っていうのは、ここまで来ないと気づきませんでした。・「金と名声か・・・やべーな・・・あんま興味ねーや俺・・・」大好きなモノローグです。吾郎くんというキャラクターに、この気質を感じてはいました。言われてみれば・・・です。「この子、プロに向いてないよな」っていうのも、読み進めていく上で不安を感じていました。これも、言われてみれば・・・なんですが。これだけしっかり、この部分を顕在化してくれるのか!という感動がありました。・69巻の全て。ギブソン・オンステージ&吾郎くんの復活。一言では言い表せられない・・・ほど好きです。この巻。おとさんVSギブソンと被せた吾郎くんVSギブソンのシーン、マイナーの舞台に立つギブソンの姿、ピンチになるほどわくわくし出す、復活のマウンド、・・・全てのシーンが圧巻です。 ・渡米資金を稼ぐためのアルバイトと、部活動の両立に悩む清水ちゃん。・・・このエピソードは・・・いい。メジャーという夢の舞台と打って変わって、本当に身近な悩みが・・・いい。清水ちゃんが居るから、ずっと地に足がついた状態でこの作品を鑑賞できます。・ストライクゾーンの狭い球審「演出家がうまいと盛り上がるね」・・・このセリフが死ぬほど好きなんですが、アニメでは少し違う表現になってたかな?ちょっと難しいニュアンスではありますが、この微妙さがたまらんのですよ。・ホーネッツVSコヨーテスの優勝決定戦・・・を鑑賞する清水姉弟。可愛過ぎる・・・この姉弟。端々に見てとれる、清水家の厳格さ&真面目さがいいんですよ。品のいいご家庭だなぁ。・優勝決定戦、登板直後に打たれまくるシーン。観戦各所の反応がいちいちおもしろくって。特に大河くんの反応は、毎回意外性があります。・自らマウンドを降りるシーン。メジャーリーグ編のクライマックスシーンですね。・・・このシーンがもう・・・観れば観るほど、繰り返し読めば読むほど・・・じわじわ来る!このシーン単体じゃダメです。ここまでを踏まえて読まなきゃです。横浜リトル戦・星秀VS海堂戦・ワールドカップ決勝・・・この辺りを思い起こしながら読まなきゃ。このシーンがあるから、逆にそれ以前の無茶が輝くんですよぉ!・プロポーズシーン最初読んだ時は・・・かなりビビりました。これはもう・・・大河巨編でしかたどり着けないシーン・セリフですね。前ふりとして、おとさんのプロポーズシーンとひっかけた「車をよけるシーン」が事前に入っていたり、遊びが満載なんです。雰囲気が違い過ぎて、分かりづらいですが。ブランコは、二人の対等さも現れていますが、・・・それと、子ども時代の象徴・・・かな?中学時代のシーンとのひっかけも含めて、先にブランコから立った吾郎くんと、まだブランコに座ったままの清水ちゃん・・・という概念を顕在化したシチュエーションです。一つ前の寿くんとのシーンが、明らかに(ちょっと高級そうな)飲み屋さんな描写とかも・・・効いてくる作りになってます。・・・う~ん、週刊連載が、よくこんなとこで盛れるなぁ; ・・・というわけで、もうほんと、この規模の作品にしかない感慨深さ満点のステージです。「メジャーリーグ編」。リアルタイムで読んでたら、辛かっただろうなぁ・・・と思うので、うん、完結してる状態で手を出せて良かったかも・・・w大っっっ好きです。by姉
2014.08.06
コメント(0)
少年漫画感想『MAJOR』 その4・ワールドカップ編★ワールドカップ編メンフィスバッツでの3A優勝を果たし、シーズンオフに日本に帰国した吾郎くんは、次の年の春、野球の世界大会・ワールドカップが開催されることを知る。既に、メジャーで活躍中の選手を含む日本代表は決定していたが、調整入れ替えの可能性にかけ、親父のコネを使って、代表の沖縄キャンプへもぐりこむ。 突如降ってきた一大イベント。ここまでふってきたキャラクターたちがアメリカで一同に会し闘う、まさにお祭りイベントという派手さのあるステージです。あまりの顔ぶれ豪華さに、作品の「クライマックス」を感じさせます。事実、この後に「メジャーリーグ編」がありますが、第一話からふってきた要素の帰結地点としては、このワールドカップ編がその最高到達地点だと思います。ジョー・ギブソン及びギブソンJrとの決戦。また、吾郎くんの年齢が・・・ここで19歳。上に、上に、上に・・・という、無茶しまくりの野球「少年」のラストステージも、ここかな、と。えっと、はい・・・大好きなんですよ!このステージ!ひたすら吾郎くんの単身挑戦編だったマイナー編と比べて、日本代表チーム内に、お父さんや寿くん・眉村くんもいて、家族・清水ちゃん・友人たちも応援にアメリカに来てくれて、皆登場してくれて、嬉しい~~///とにかく・・・まず感動したのが、お話回しです。もうメジャーの舞台が眼と鼻の先に見えてますから、まさかここでワールドカップという大舞台が突如現れるとは想像だにしていなくて。この次元に来ても吾郎「少年」の無茶や異常なモチベーションの高さが説得力を持って落ちてくるエピソード作りって、普通の頭では、なかなか作れないと思うんです。この、日本代表の座を掴むため、沖縄キャンプに乗り込み!(しかも諸事情で、代表と対戦する予定の若手選抜に入れず、バッティングピッチャーとして潜入)ってとこは、なんって自由にお話が回せる人なんだ!!!作者、天才!!ってすごく思いました。 寿くんの妹登場も、かなり無理やり感はいなめませんが、それでも、このキャラクターに対する責任を取ろう!という意志と、清水ちゃんを活かそう!という要素を折り合わせられる、頭の柔らかさを感じました。 このステージ、特筆すべきはもうひとつ・・・吾郎くんと、幼なじみ・清水ちゃんとの恋の進展です。日本帰国後、(いろいろあって)デートした時に吾郎くんから、っつーか清水ちゃんから、っつーか、どっちともとれるような形で恋人になりました。・・・が。もう・・・これは読み進めて来て、本当にイイ意味で裏切られた部分です。結構あっさりした告白シーンだったなぁ、っていうのが最初の印象だったのですが、だって・・・その後、吾郎くんがあそこまで慎重で堅実な対応をし始めるなんて思ってなかったんですもん!まさか・・・ツンデレじゃない・・・だとぉ!?って感じですよ。お前っ・・・まさかその性格で、オープンに愛妻家できちゃうのか??意外すぎるわ!・・・いや、分からなくないけど。これはもう、5歳から生い立ちを見て来てるからこそ、50巻以上物語が進んで、初めて見えて来てもよくよく考えれば、しっくり来る部分だけど・・・。二人の父親の見せて来た、家庭に対する姿勢と、母親の愛情の全てを感謝で捉えられる環境だったのが良かったとしか言いようがない;・・・主役の意外性に、本当にやられました。感動した。これを踏まえて、告白シーンを見直すとまぁ・・・とにかく一言一言が深いんです。凄いシーンだ。この作品は、ラブコメじゃない・・・ラブ主体に本編を回すことはできないので。だからこそ、清水ちゃんの言い方が賢いんですよ・・・ホントに。とにかく、感動した。この辺りは、各キャラクターについて記事を書く際にでも、思う存分語りたいと思います。 えっと・・・繰り返しになりますが、オールスター総出演の、豪華な晴れ舞台・ワールドカップ編。大好きなシーンがいっぱいありますが、特に、好きなシーンはこの辺り↓です!・10年越しの告白のシーン・バッティングピッチャーとしてキャンプに乗り込んだ吾郎くんが、メジャー一流選手たちに勝負を挑みまくるシーン、そしてバッティングピッチャーとして学びを得ようとするシーン・2次リーグ初戦・ベネズエラ戦吾郎くん&寿くんの見せ場がたっぷりあって好き♪特に監督の「ホームランでええ」が最高に好き。・対韓国戦、天童のオッサンが足の痛いふりをして、マウンドをゆずるシーン突如出て来た、「嫌な奴」なキャラクターに、何故感情移入ができるのか・・・;不思議とやられた感がありました。・「母さん、そんなひねくれた真吾嫌いよ。」弟・真吾くんは・・・大変ですよ、コレ。この先も絶対。実父と義兄のプレッシャー半端ないですよ。どんなに家がお金持ちでも、この立ち位置には生まれたくないですね;ただ・・・個人的には、この子が主役の高校編とか観てみたい気もします。「根性」がより立ちそうな印象。実父も晩成型(高校時代はあんまり派手な活躍をする方じゃなかった)っぽいし。・ギブソンが投げられないことを知った吾郎くんを清水ちゃんが励ますシーンなんて上手な励まし方するんだ、この子は・・・。いいなぁ、羨ましいな。こんなお嫁さん欲しいなぁ。・ギブソンの喝が、アメリカ代表を震わせるシーン・・・ギブソン、カッコいいです。もう、大好きです。特にステージがアメリカに渡ってからは、なんかもうギブソンの一挙一動が神過ぎて;ギブソンの喝のシーンは、メジャーという長編作品の中で、一番好きなシーンだと言っても過言じゃない・・・ほど好きです。めちゃカッコいい!言い方がいいんだまた・・・。監督や他の選手にも配慮し、言葉を選びながら「ベースボールに最も真摯でない国をこのアメリカにしたい奴はー・・・」って言い方が。ギブソンは、特にツンツン性格がとんがっていた来日の頃から、最終的に監督になってチームを指揮するまで、一貫して「ファンの喜ぶベースボール」にこだわっていて、そこが・・・なんともカッコいいんですよ。こんなに手放しで「カッコいい・・・!」と思えるキャラクターは、そんなに多くは居ないと思います。ギブソンJrも、なんやかんやで・・・好きです。息子にするなら、吾郎くんよりJrですね。かわいい性格してるじゃないですか。アニメの出来も素晴らしい5thステージです。OPもEDも合ってて素敵。ラストの衝撃的な幕切れも含めて、個人的には・・・ベストステージ・・・かも。ここまで大風呂敷を広げた長期連載にしかたどり着けない、派手派手なステージ・・・最高です。 by姉
2014.07.27
コメント(0)
漫画の新刊『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』2巻がとても良かった!ドラマ『金田一少年の事件簿N(ネオ)』第一話もすごく良かった!! ということで、長年の金田一ファンとして喜んでいます^▽^。 漫画に関しては・・・もう小学生の時から発売したら、ほぼ欠かさず購入してまして。大好きなんです!可能な限りついて行きます!! ・・・なんですが、最近のシリーズは「・・・やっぱり話も絵も、最盛期のようなキレはないよな・・・」という思いも若干あったんです。しょうがないんですが。 でも・・・なんか今回のシリーズは すごくイイ!!雪鬼の話はムードも犯人力(←個人的に判断した犯人の魅力度)を感じたし、亡霊教頭の話も、金田一特有の「一目でわかる人間味」を各々のキャラクターに感じました。三巻の発売が楽しみです^▽^。 ドラマの第一話の「殺人鬼スコーピオン」も見ました。うん・・・あの・・・ものすごく良かった!!何が良かったって被害者役の神木君が良かった!! (←オイ)まさかこの話で蔵沢部長の描写を掘り下げるとは・・・! やられました・・・!!いや・・・もちろん山田君や川口さんも良かったんですよ勿論 ^^;。 この山田君の金田一シリーズは、脚本、脇を固めるキャストさん細かい美術、演技描写等々が堅実に作りこんであるなぁ・・・と、スペシャル(特に二つ目の獄門塾)の頃から感じています。(欲を言えばもう少し音楽を頑張って欲しかった・・・いやいや。) この調子で、一話に無理して収めず前後編などで丁寧に描写していって欲しいなぁ。。原作ファンの切なる願いです。 第二話は「ゲームの館殺人」ですか!これは・・・はじめちゃん格好良いシーンがたくさんあるので・・・山田君に期待期待ww。 by妹
2014.07.24
コメント(0)
少年漫画感想『MAJOR』 その3・アメリカ挑戦編 お久しぶりです。最初に『メジャー読み始めました』記事を上げてから既に1カ月以上経過していますが・・・やばい。まじでこれはヤバい。本当に1カ月以上、帰って来れてない! 家族にも、新動詞・『メジャる』が通じるようになるほど仕事行ってるか、野球やってるかの2択しかなかった;この1カ月;;・・・流石に自分でも、こののめり込み方はヤバいと思う; 満たされる名誉欲!満たされるちやほやされたい願望!「ファミリーもの」としてだけでおいしくいただけるわ!くらいな両親・そして養父母の愛情だらけの話回ししといてからに、スポ根漫画として、チームメイト・ライバルたちとの友情はもちろん、あんな明るくて賢い幼なじみ(後の奥さん)との大河ラブストーリーまでやってくれちゃって。こんだけ欲張っといて、一個一個にしっかり時間をかけての完結ですから、なんかもう・・・「主役の人生」にこれ以上は求められないという「やりきった」感が凄くって・・・;;コミック全78巻の・・・セリフの一言一言、シーンのひとつひとつ、キャラクターの一人ひとりが・・・大好きなんですよぉ;もうちょっと噛み砕いたら、各キャラクター毎にもちょこちょこと感想を書きたいなぁ、と思っています。 とりあえず、噛み砕けきれてない状態ではありますが・・・各ステージ毎の感想の続きを。 ★アメリカ挑戦編吾郎くんは、高卒で単身渡米!マイナーリーグへ殴り込み、メジャー昇格を目指す!昨夜、このアメリカ挑戦編のアニメを、DVDラスト3巻辺り流し観してました。・・・アニメ、素晴らしすぎますね!これ本当に。それまで、だいたい12~15冊くらいをアニメ26話でやっていたんですが、この部分は7冊ほどしかありません。そこを、日本のプロ野球・寿くんと眉村くんの新人王争いや、大河くんの新始動聖秀野球部、小森くんのお話でふくらませながらそれぞれの初のプロの舞台や大学生活を魅せてくれます。アメリカ編は、漫画で読み進めた時にとにかく「うわ!描きにくそう!!」って思ったんです。キャラクターの生活を地に落として、・・・というより、実際にリアル世界があり、キャラクターがそこで活き活きと生活して・・・それを捉える描き方をされる方なので、当然、異国の衣食住・空気まで全部捉えきるのは至難の業で。読者にしても、アメリカの空気を実際に知っている方なんで限られてますから、伝えきるのは、なかなか難しいところだと思います。そのせいか、とにかく「野球シーン」に寄っていて、・・・メジャーという作品のバランスとしては、確かに異質なんですが、ストイックな野球ステージとして・・・面白いんですよ。で、ここにきて、ナイターやアメリカの日差しの日中戦なんかが・・・アニメが映えるんですよぉ。アイキャッチで、いちいち美術ボード?を見せてくれるくらい世界観の説明にも力を入れていたり、またサントラでもアメリカ~ンな印象を作ってくれたりして、・・・見ごたえあるんです/// まぁ、最後の方はなんかもう完全にギブソンJrが主役だけど!完全にあっちが主観だけど!「とーさんのバカー!!」みたいな、ファザコンをこじらせた感のお話支配力が半端ないんです。アニメだとさらに・・・なんか;;でも、そこまでギブソンJrを描いてくれるからこそ、ポッと出で、とんでもない後付け設定を引っ提げて来てるくせに、なんか・・・コイツ好きだな、って思えますし、何より、吾郎君との、意地対意地の真っ向ガチンコ勝負が面白いんです。しかし、アニメ・・・面白かった・・・本当に。ラストのプレーオフの連戦は見ごたえあった・・・あつっくるしいOPすら、飛ばす気にならない中毒性があった;はぁ・・・大好きだ、この作品。 感想まだまだ続きます。by姉
2014.07.23
コメント(0)
少年漫画感想『MAJOR』 その2・海堂高校・聖秀学院編 ★海堂高校編セレクション審査と夢島編は、頭一つ抜けて浮いている「スポ根モノ」ですね。「重いコンダラ」を引いちゃうような感じの。「ねーよ、こんな高校」感。私自身が、スポ根モノというのをまじまじと読んだことがなかったので、(主に「スポーツ」と書いて「ラブコメ」と訳す漫画しか手を出してこなかった;スラムダンク以外は;)なるほど!!これがスポ根か!!・・・という新鮮さがありました。野球バカたちの中で、一際目立ちまくる天才・吾郎くんの描写は、これ、特に男の子の読者はしびれるだろうなぁ~~と思いました。この辺りは、私も中・高校生の頃に読みたかったなぁ。やっぱりそこそこ社会人やった今の感覚で読むのと、大分入って来方が違ったと思うんですよね。燃えないわけじゃないんですが、ここまで天才だと、大人感覚が「冷静に」読もうとしちゃって;しかし、最近のスポーツものって、こういう冷静に観なきゃいけないような天才が、あんまり居ないですよね。知らないだけだったら申し訳ないのですが。クセを活かした主人公が多いっていうか。それはそれでいいんですけど・・・やっぱり、こういう天才主役も大事だと思うんですよ。「この漫画があったからこのスポーツ始めた!」って言ってもらえる、そういう漫画って、天才主役の作品だけだと思うんです。よっっっぽど上手い画面作りとよっっっぽど上手いエピソード作りが出来なきゃ面白くできない・・・のかもですが。各審査内容・訓練内容がいちいちトリッキーで、面白かった!セレクション審査合格後、勉強の試験を受けなければならなくなった吾郎くんがこれ以上なく苦しむエピソード、吾郎くんが理想とするプレーヤー「打って走って守れ、三振もとれるプロ野球選手」を明言するシーン、夢島の、夜の外野手練習シーン、この辺りがお気に入りシーンです。一軍との壮行試合の辺りでは、寿くんに感情移入しちゃって辛いんですが;海堂編があるからこその、吾郎くんと寿くんの「親友」の説得力だと思います。 ★聖秀学院編 33巻~47巻ここの転換は、まさにまさしく、「MAJOR」という作品にしかない切り返しでしょう。異次元の超名門・海堂高校から、男子生徒8名の元女子高へ転校、全員を勧誘して、野球部を設立!打倒海堂へ!!読者としても、「そんなことしなくても・・・」と言いたくなる茨の道のはずなのですが、スポ根・ファンタジー感の強かった海堂から、生活の場が「日常風景」に戻ったので、実はすごくホッとしました。家族も出てくるし、清水ちゃんも居ますしね。吾郎くんの人格形成にとっても、ものすごく影響のあったステージだと思います。とにかく設定として上手いと思うのが、吾郎くんが転入する前の男子生徒が7名・・・そもそも一人足りない、先の保障がない状態なのに、一人の漏れなく野球部に入ってもらわなきゃいけない、ってところ。普通、こんなん無理だと思うのですが、いざエピソードで詰めて提示されると、・・・なんか、落ちてくる。内山くんと、宮崎くんなんて、普通の状態じゃ、絶対に部活動なんてやらない子・・・それも分かるのですが、いざ、この状況・・・「絶対やってくれないと困る」、ここに置かれたら、やると思うんですよね。期限も決まっていますし。それに・・・「やってみれば楽しい」。これは鉄板でしょう。私自身が、わりと宮崎くんと近いタイプというか;「運動部活なんて無理」タイプなので、なんかもう・・・すげぇ、羨ましいな、って思います。星秀学園の男子生徒たちが。まさかまさかの状態で、わけもわからんまま、夏の地区大会というベッタベタな地で、青春を謳歌出来るなんて。本当は、誰にだって「やってみたい」気持ちはあるでしょう、こんなの。一度でいいから、私もやらざるを得ない状況に追い込まれてみたかったなぁ。口では「嫌」って言いながら、すげぇ楽しんだと思います。何言ってんだ、勝手にやれ、って感じですね;;このステージで登場する、新キャラクターの大河くんがすごく好きなんです。清水ちゃんの弟、という吾郎くんの人生的にも重要ポジションを、後付けとは思えないような存在感で詰めてくれて。最後まで、いい立ち位置で発言してくれるキャラクターです。 聖秀学院編は、とにかくどのシーンも大好きなのですが、取り立てて・・・お母さんに「勝手やった分はバイトしろ!」って怒られるシーン、内山くん・宮崎くんを勧誘するシーン、野球には詳しくないですが、なんとも「教師」的な観点で野球部を導いてくれる白人英語教師・山田先生の描写はどこも好きです。相変わらず、親父はカッコいいし、対三船戦は、聖秀・三船両校のメンバーたちの思いが交錯してて本当にグッと来ます。地区予選が始まってからは、足のケガに苦しみながらも、チームの精神的支柱を全うしようとする吾郎くんですが、ここの意識・「チームのムードを常に好転させようとする姿勢」は、特にこの先、プロのステージで常に輝きを発揮します。・・・説得力があるんですよ。これだけ、無茶苦茶な道筋を歩いてきた子だから、「ここ」の能力に優れてるんだよ、っていうのが。とにかく、「ザ・MAJOR」という聖秀学院編です。このステージがあるからこその、吾郎くんのその後の飛躍ですし、また、この状況で目標に向かって野球がやれる、・・・というのは突拍子もない転換をころころ迎える吾郎くんの人生を、安心して観ることができるその説得力になっている部分だと思います。続く。by姉
2014.06.29
コメント(0)
少年漫画感想『MAJOR』 その1・~三船中学編まで もう、どっちが現実か分からないくらいの勢いで『MAJOR』の世界に行ってます。全78巻、速攻で集まりました。これだけの長期連載で、各ステージの読み応えがこれでは・・・;当分、帰国出来そうにありません;おもしれぇよぉ・・・。小・中学生の頃からサンデー漫画(るーみっくとあだち充作品が主ですが)をあれだけ摂取してきて、なんで今までこれに手を出さなかったかな。巻数的に大河長編過ぎたのと、あとは・・・大人っぽい作品だと思ってたんですよね。本格的スポーツ漫画!みたいな。いやでも、完結した段階で、何の前知識もなく読み始められたのは良かったと思います。 とりあえず、今の段階で叫びたいことをつれづれと。 ★作品全体についてとにかく、主役の吾郎くんの年齢とともにどんどん繰り上がっていく各ステージの、それぞれの見ごたえ!アニメのOP・ED映像DVDを見てても思いますが、きっかり区分された「○○編」のそれぞれが、様々な人々の思いがある中で、きちんと「吾郎くんの物語」として頭に入り、いちいちそのステージにしかない面白さがあります。その上で、一人の野球少年の夢の道筋として繋がっているのがよく分かって・・・。これは・・・たまらん。今のところ、個人的な好みはリトルリーグ編、聖秀学園編、ワールドカップ編・・・かな。ただ、本当に各ステージで、画面や、ワールドの力学というか、触覚まで違ってくるんです。各ステージ毎の感想を。★プロローグ・おとさん編 1~3巻 出だし3巻・・・というか、実際には吾郎くんの為に、おとさんが野手転向を決意した段階で、すでにノックアウトされてました。ここまで、キャラクターの生活を地に落とした作品です。1軍半(2軍生活が長い)プロ野球選手と、5歳の息子・・・この父子家庭の「生活」が生々しく一気に入ってきて。正直、プロ野球選手の生活感覚なんて知識もないし、私には想像もつかなかったのですが、これだけしっかり生活を描かれては・・・。正直、そこまで描く?ってくらい描写が丁寧です。おとさんが遠征中の吾郎くんの描写とか。お話の要素としてみれば、無駄な情報も多い。ただ、セリフだけの「野球と息子がすべてだ」と、生活感まで全部裏打ちしてからの「野球と息子がすべてだ」では、なんかもう全てが違いますから。吾郎くんの物語が始まるまで、結局3巻を費やした「おとさん編」ですが、だからこそこれだけの描写が出来たんだろうなぁ・・・。普通だったら、せめて1巻にまとめたくなる内容だと思いますし、たぶん・・・短期決戦のジャンプなんかじゃ、1話だけでここまで持って来ちゃうんじゃないかな?と。とにかく強烈なインパクト・・・というか、父親の強烈な愛情が心に焼きつく、すごい3巻でした。 ★三船リトル編 3巻末~14巻途中までまずは・・・9歳になった吾郎くんの気性に驚きました。こんな主人公でいいのか??吾郎くんのキャラクターに関しては、『メジャーリーグに殴り込みに行く子』ということを念頭に設定されていたのだと思いますが、それにしても、主人公として据えるにしてはすごくリスクの高い性格設定だったと思います。そこで活きてくる、女性キャラクター。「保母さん」の養母・桃子さんと、正義感が強く、マイペースを貫けるヒロイン・清水ちゃんの存在感は、これまた衝撃だったのですが、この辺はまた、後で熱く語りたいと思います。ここでもまた思ったのですが、こんなに生々しい「小学校の教室」、そこそこの数の漫画を読んでも、見たことがなかったんです。「小学生」って、分かってないことと分かってることが、すごくアンバランス・・・なのかなぁ。あの「教室」は、誰でも知ってるはずなんですが、なかなかこの立体感はないなぁ・・・、とこれを読んで思いました。各エピソードを、わりと他の漫画では倦厭されるような要素も使いながらしっかり回して、描ききってくれていて、とにかく胸に突き刺さる感情が多いステージだな、と思います。清水ちゃんが「野球やめる!」って言い出すエピソードと、公式デビュー戦である対本牧リトル戦、対横浜リトル戦終了後、スタジアムを電車から眺めるシーンと、新しい一家の形が出来上がる、茂野のおじさんの前で、吾郎くんが泣くアパート前のシーン、・・・この辺りがめっちゃくちゃ好きです。★三船中学編一気に4年の月日が経っての中学生編。画面が変わった!!大人の体格に近づく描写の為だと思いますが、ここで明らかにギアチェンジしてるのがよく分かります。中学~海堂高校編は、作中でもちょっと浮いてるなぁと思います。90年代の後半にしては、ちょっと古めかしい80年代風味?な「ザ・少年漫画感」・・・というか。正直、中古屋でぱらぱら~っと読み進めてきて、ここの段階で、いったん不安になって読むのをやめました。不安になるくらい・・・変わったんです。吾郎くんは、この辺りが一番性格がとんがってるというか、もう手が付けられないレベルでハメ外してますし、モロ喧嘩及び喧嘩腰の描写満載で。なんですが・・・やっぱりこれもしっかり読むと、だんだん落ちてくるんですよね。小森くんや、清水ちゃんの存在が大きい。三船中学編は、吾郎くんの物語の一部ですが、その後の三船高校野球部の礎形成段階でもあるので、それぞれ、メンバーのまちまちの温度差を抱えながら刺激し合っているのが、中学野球らしいなぁ、と思います。清水ちゃんに久々の再会でぶん殴られるシーン、球のキレを出す為、球速のない球を投げるシーン、対寿也くんの対戦では、この中学編の一戦が一番真っ向勝負だったかな?小森くんが「本田くんのキャッチャーは僕だろ!?」って叫ぶシーン、あとは、度々出てくる茂野一家のシーンが大好きです。親父カッコよすぎる・・・///妹に簡単に、「お前、茂野父好きだろ」って見破られました。それにしても、スポーツ漫画で主役の家庭が明らかに金持ち描写なのって、個人的に新鮮・・・; 続く。 by姉
2014.06.28
コメント(0)
ここ1週間ほど、社内登用試験及びもろもろのストレスから逃避するため、・・・アメリカに行ってベースボールやってました。 『MAJOR』読み始めました。(満田拓也先生・週刊少年サンデー・1994~2010年)世の中がサッカーに傾くと、野球をやりたくなるのか、私は・・・。ひねくれてんなぁ。 『MAJOR』は、以前出だし3巻まで読んで速攻でボロ泣きして、集め始めようかな・・・と思っていたのですが、その先をぱらぱらっとめくってみると、小学生時代から、吾郎くんのケガの描写が多かったり、読んでると辛くなりそうな気がしちゃって。ちょっと躊躇していたました。が、今回、購入してしっかり読み進めていくと・・・なんかもう、やばいですね、コレ。面白すぎますね、この漫画。鳥肌立ちまくり。 大胆不遜・怖いもの知らずの超天才・吾郎くんは、パッと見、「ついていけなさそうな主人公だな」と思っていましたが、5歳からその生い立ちを見てると、この子の人生軸がばっちり入ってきて、ドハマリしちゃいます・・・;(野球のこととなると)周囲を顧みず、どんなとこにも突っ込んで行っちゃう、不安定さがありそうな印象だったのですが、じっくり追っかけてくと・・・その印象がひっくり返されちゃいます。何がなんでも幸せになれる主人公でした。家族にしても、恋人にしても、チームメイトや友人にしても、絶対良好な関係に出来ますから。この漫画、「最高!」って言う方が居るの・・・凄く分かります。だって主役が、自分の人生を「最高」に出来るパワーで突っ切ってくれるんですもん。 漫画を買い始める前に、アニメをちらっと試聴したのですが・・・これがもうホント、大丈夫か?ってくらい素晴らしい出来の作品で;「いいもん作ってんだぞ~~!」という、作り手側の喜びをすごく感じられるアニメ、という印象。漫画を買おうか、DVDを集めようかで若干迷いましたが;とりあえず・・・漫画から。でも、このアニメはDVD欲しいなぁ。とりあえず、主題歌&サントラ・OPED映像DVDだけ購入しました。流石に、一人の人間の半生(超激動)を追っかけた作品は、OP・ED映像だけでも見ごたえあるなぁ・・・。 あ、フレンチキスの♪ずっと前からが入ってる!(買ってから気づいた。)やった、これ音源持ってなかったんだ。by姉
2014.06.20
コメント(0)
遅ればせながら、購入しました! 『るろうに剣心ー特筆版ー』(和月伸宏先生・上・下巻・2012年)実写映画公開に合わせ、和月先生自らが再編成したコンパクト「るろうに」。続編でもない、『再編成版』・・・ということで、幼いころから慣れ親しんだ本編の大ファンとしては、これは楽しめるのかな?・・・という不安があり、なかなか手に取ることができませんでした。 しかし・・・いざ読み始めてみると、これがすっっっごく面白かったんです!とにかく、一番の印象は、「なんて完成された画面なんだ!」でした。今さらにしても今さら過ぎる感想ですが、それでも尚・・・驚きました。それくらい、1ページ1ページがそれ単体で観惚れてしまう程の美しさで・・・。そして、後半になってくるに連れて、完全に筆が走りだしているのが分かります。最終・刃衛編のアクションシーンの印象は、週刊時代本編の印象にかなり近いものがあります。何故、この「るろうに」のアシスタントをしていた方から尾田先生はじめ、あれだけの有名作家が出ているのか、今さらながらに実感しました。・・・こんなに、「漫画」が上手い方、なかなか探せませんもん。 受け付けることが出来るかな?と不安だった、エピソード&キャラクターの変更点に関しては、びっくりするくらい、すんなり頭に入って来ました。というのも、「なんでこう変更したか・こうまとめたか」のそれぞれの意図が本当に明確で、確かに、こうした方がコンパクトにまとまるな、とかシーン・キャラクターのインパクトがあるな、とか、いちいち納得できるんですよ。 もし、まだ「るろうにー」を全然読んだことがない方が読み始めるなら、もちろん本編をおススメします。あっちの方が、作品の生の魅力がありますから。ただ、この『特筆版』は、本編ファンだから受け付けられないんじゃなくて、逆に本編ファンだから・・・『再編成版』が面白い!情報の閉じ込め方が上手すぎてもう///コンパクトに、ギュッと詰まった「るろうに」の魅力を楽しみたいときに、手を伸ばす・・・そういう作品だったと思います。 本編にはなかったシーンで、「ガス灯のシーン」がすごく印象的でした。ガス灯と侍・着物の女の子・・・というのが、明治ならではで、素敵・・・/// さて・・・そろそろ、弥彦くん・由太くん・燕ちゃん主役で明治十六年・・・やりませんか?ただただ馬鹿明るいエンタメ少年活劇「るろうに」は、安直過ぎて無理なのかな・・・;連載終了時から、私&妹の間ではものすっごく需要があるんですが;by姉
2014.06.15
コメント(0)
ここ10日ばかし、私を悩ませていた体調不良が良くなってきましたので、週末は憂さ晴らしの漫画三昧です!!書き飛ばし感想~!! 『Baby Step』(勝木光先生・週刊少年マガジン)超几帳面で完璧主義な少年・丸尾栄一郎(通称エーちゃん)は、高校に入り、身体をなまらせない為にテニスを始める。教わったこと・気づいたことを全てノートにまとめ、一つ一つ出来るようにしていく。それが快感で、どんどんテニスにのめり込み、やがてプロを目指すことに・・・。 現在アニメが放送中。アニメの1話だけ観て、「漫画も読んでみたいな」と思い手を出してみました。マガジンには、一通りスポーツ漫画が揃っているのは知っていましたが、この作品は全く眼に入っていませんでした。・・・地味なんですよ;;とにかく、印象が。ですが、それで何十巻も続いているのですから、中身が堅実なのは確実で、この漫画を開いた時の最初の印象が、「なんって真面目なんだ!!!」だったんです。その漫画の印象そのままが、エーちゃんという主人公の凄さなんだな~・・・という、不思議な説得力がありました。 一個例を上げるとすると、ラケットのガット。どんなに細かい絵でも、網目の折り込みが・・・描いてあるんです。上・下・上であみあみしてあるんですね。これは、「テニス漫画」として、命がけでこだわってる部分だと思うのですが、・・・やるか普通;;と;;でも、だからこそのラケットの存在感で、それを手にしている重みも伝わって来ますし、「テニス」を大事にしているのが凄く分かります。うん・・・エピソードにしても、1試合1試合の相手の詰め方・それに対する向かい方にしても、とにかく・・・真面目!!漫画好きとしてもすごく、心象のイイ作品です。大好きですよ~!!こういう堅実な漫画!! あ、あと、なんてったってヒロインのなっちゃんが可愛いですw。今、ちょっとずつ読み進めているところです。主役の成長が、全然「Baby Step」じゃない気はしますが、あ、でもまだなかなか大会で優勝できていなのかな?頑張り屋過ぎて、なかなか感情移入は難しいキャラクターですが、傍目に、「この人は報われてほしい」と思える子だと思います。 by姉
2014.06.08
コメント(0)
おはようございます。 『1/11 じゅういちぶんのいち』(中村尚傭先生・ジャンプスクエア)才能・体格に限界を感じ、有名進学校に入学することで大好きなサッカーを辞める決意をした安藤ソラ。そんな彼の前に、女子日本代表に選ばれた天才少女若宮四季が現れる。安藤ソラのサッカー人生を軸に、彼に関わる人々を1話1話丁寧に描く、オムニバス集。 表紙につられて手を出した王道スポーツ漫画・・・かと思ったら、「王道サクセススポーツストーリー」を、周囲の人々(かなり関わりの薄い方も)を一人ずつと取り上げるという、かなりひねくれた形で魅せていく、人情?漫画でした。「かなりマニアックな漫画に手を出したぞ、ふふふ」とか思っていたのですが、こちらの作品、今度実写映画化するとのことで、ジャンプ本誌なんかにも堂々と宣伝が掲載されていまして;なんか全然マニアックどころじゃありませんでした。普通に人気作でした。安藤ソラくんのサクセスストーリーは、傍から見てもカッコよすぎる、まっすぐな一本道なのですが、(本人的にはそうじゃないかもですが)高校の同級生や、同じクラブのサッカー選手・・・彼らから見ると、眩しすぎたり、やっぱりちょっとひがみの対象だったりします。ですが、その「安藤ソラくんとの出会い」から、周囲の一人ひとりが、何かしら掴んで、前を向いていける・・・それが毎話毎話、本当にしっかりお話になっています。すごい読み応えなんですよ。よく、これだけのいろんな立場の人々主観を掴んで、ふとした感情の変化から、人生軸に関わる感情の変化まで、それ相応の程度でしっかりきっちりお話にするな・・・他のスポーツ漫画とは、一線を画す構成の漫画には、やっぱり他のスポーツ漫画にはなかなかない感動がありました。作者の中村先生が、こうやって・・・成功する人本人だけではない、周りの人々の小さな変化にも意義を見出す、そういう視野の広い方なんだな~ということと、そういった自身の感性を自覚し、既成スポーツ漫画にとらわれず、自分にあった形で法則化し、読者が安心して読める形で商品にまで昇華したんだな~・・・ということ、それがすごく入ってきます。大人しそうな絵柄や、頭の堅そうな・・・まじめなお話回しが印象的ですが、実は反骨・・・ってわけではないのですが、自身の性分との兼ね合いで、一度諦めた境地からしか、この作品は出て来ないな、と思います。まぁ・・・なんだ・・・すごく気に入って、全巻購入しちゃいました!個人的には・・・チームものや、天才のサクセスストーリーという作りのスポーツ漫画ももちろん好きですが、こっちの捉え方の方が・・・私自身の感覚には近いような気がします。読んでいて、すごく気持ちイイ。 今のところのお気に入りエピソードは、2巻・#4「神埼真臣」作者さまの巻末でも、「人気作」と書かれていましたが、納得の感動作でした。「1/11」という作品の作りでしか、これほどカッコよく描けないと思います。奥さんが・・・可愛いです。3巻・#9「紺野兼次」異常にキャラクターの立った1話。こんなところでここまで読ませる話を作るのか・・・と感動した1話です。オフサイド難しい・・・っていうか、ラブコメ万歳。4巻・#11「堂本誠治」スカウトマン目線・・・おもしろいですね。こういう迷いや葛藤は、当然あるだろうな、と思います。5巻・#13「青柳大貴」奥さんの人物設定とか・・・本当に上手なんですよ。掘り下げると、もっともっと描くことは出てくるのかもですが、1話にまとめる時の要素出しが、欲張らず、全部が活かせる程度にしっかり留めてあるので、毎話本当に読み易いんです。6巻・#19「吉岡航」ぶっちぎりで地味なお話ですが、個人的にはぶっちぎりでお気に入りエピソードです。すごい・・・入って来る。様々な立場のキャラクターが主役を張りますが、中でも一番自分に近いキャラクターだったような気がします。こんなにつまらない人間の主観で切り取って、こんなにおもしろいって・・・すごいな。安藤ソラくんの人生には、こんな子まで引っ張るパワーがあるというのも、素直に入ってきます。7巻・#20「篠森勇人」ラストシーンは、ベタだな~・・・と思いつつ、普通~に感動してしまいました。主観でくるからさ・・・ダメだよ・・・納得させられちゃうんですよ。 新刊の8巻はまだ読めてません~・・・が、まぁすぐ揃うと思います。とにかく、脚本力・・・というか、毎話毎話し~っかりした読み応えのオムニバスです。作品としての「堅実さ」に魅力を感じる方なら、読んで損のない作品だと思います!この先、どれくらい続く作品か分かりませんが、最後まで読み切りたいです。by姉
2014.03.19
コメント(0)
全161件 (161件中 1-50件目)