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震災、台風、海水温上昇・・・いろんな要因がありますが。
工事が多い影響もあるかと。
秋サケが今年も不漁だ。イベントが中止や縮小に追い込まれたり、仕入れ値の高騰が新巻きサケやイクラの加工業者を直撃したりしている。最盛期を迎える秋サケ漁はどうなるのか。
津波と火災で壊滅状態となり、今も空き地が目立つ大槌町の中心部。11月28日朝、老舗の「中里 鮮魚店 」が6年9カ月ぶりにオープンした。店頭には再開を祝う花。なじみ客が詰めかける。なのに、経営者の中里正義さん(72)の表情は曇りがちだ。
「全然(サケが)捕れねえから、あるうちに買っといた方がいいよ」
正月用のイクラを予約しようとした女性に、早めの購入を勧めた。
同町は新巻きサケが特産だ。吹き下ろす寒風に揺れるサケは冬の風物詩。この時期ならではの味覚を待ちかねる人も多い。中里さんは新巻きサケを作って半世紀だが、今年も不漁。仕入れ値が前年比で2割以上になった。すべてを販売価格に転嫁することは難しい。
「せっかく店を元通りにしても、海が細っていて不安です」
県内大手のイクラ加工業者も「仕入れ値が前年同期の1・3~1・5倍。思ったように数が集まらない。大幅値上げをすれば、客離れを招きかねず悩ましい」と話す。
不漁は、各地で開かれるサケまつりにも影を落とす。呼び物である「つかみ取り」に使う量が確保できないからだ。
山田町 は、当初は11月26日開催の計画で、サケも200匹用意するはずだったが、漁獲数が山田魚市場で前年の76%にとどまり、開催を断念した。町の担当者は「稚魚の放流に備えて採卵を優先した。まつりが来年以降も開けるかどうかは予測不能」とする。
大槌町は、今年が新巻きサケの祖とされる 江戸時代 の城主「大槌孫八郎政貞」の没後400年に当たるとして、12月3日に予定通り開催する。しかし、つかみ取りができるサケの数は最大でも100匹で、参加費も前回の千円台から2500円に上がり(1人1匹まで)、「直近の漁獲量次第で変更や中止があり得る」と呼びかけている。
県内の秋サケの漁獲量は1996年度の7万3526トンをピークに2万~3万トンで推移し、2年連続の不漁だった2016年度は8745トンまで減った。県水産技術センターは今年度戻ってくるサケの量を前年度比25%増の1万934トンと予測したが、11月20日時点では前年同期比2・1%減の3456トンにとどまる。同センター資源管理部の横沢祐司部長は「最盛期の12月上旬までが勝負だが、状況は厳しい」と話す。
なぜ、秋サケの漁獲量が減っているのか。
センターによると、震災後に稚魚の放流数が減ったことが大きい。稚魚の多くは春の放流から約3年半~約4年半後に地元の川に戻る。震災前、県内では約4億4千万匹の稚魚が放流されていたが、津波で孵化(ふか)場が壊れ、震災後の放流数は1~3割減少。今年、川に戻るサケは放流数が震災前の7割程度だった2013年と9割程度の2014年のものだ。
海水温の変化も影響しているとみられる。稚魚の成育に適した水温は5~13度とされているが、近年は3~5月の放流時期の海水温が高くなる傾向がある。13度を超える時期も早まっており、稚魚が生き残って成魚になる数が減っている可能性があるという。
低迷する漁獲量を回復させるため、県は震災前と同水準となる4億匹の放流を目標にしている。しかし、昨年8月の台風10号で孵化場が被災した影響が残り、11月20日時点、確保できている卵は計画の約77%にとどまっている。県さけ・ます増殖協会の担当者は「親の量が少なく、今年度確保できる卵の量は目標を2割程度下回る見込みだ」と話す。(渡辺洋介、星乃勇介)
12/3 朝日新聞より
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