見どころは墜落している飛行機の中の回想シーンである。乗客がパニックになったり、必死に祈ったり、隣の乗客と手をつないだり、遺言を録音している中で、主人公がとても穏やかな顔で”This is it. This is the end of my life. Let it go. I can let it go.”と(心の中で)つぶやいて完全にこの世への執着を放棄し、ほかの乗客に笑顔で声をかけたりするシーンはいつもボクの心に深い哀しみと感動を呼び起こす。ボクにとってそんな映画はコレだけである。
この映画についても過去の日記で触れたことがあるのだが、SF仕立てのストーリーでありながら、「人間の素質・才能 vs. 意思・努力」とか、「ホンモノ vs. ニセモノ」とか、アイデンティティの根拠のなさとか、ついでに兄弟・姉妹間のライバル関係とか、そういったことを痛切に考えさせられるシブい作品なんだなあ。それと、主人公を脅かす(心臓疾患による)迫りくる「死」も、この作品の隠し味になってるんだなあ。まあ、あらすじに関してはこれも心斎橋氏の過去日記を読んでくれい。