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2004年10月19日
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テーマ: 戦争反対(1190)
 平成15年6月に公布された「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」ですが、本年6月には関連法案として「武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律」「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」「武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律」「武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律」「武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律」が公布され、うち国民保護法など2つは9月17日付で施行されたところです。
 この有事法関連については、当初から財産権の侵害になるのではとか、武力保持の助長になるのではと懸念する声も多々聞かれましたが、なんだかんだで関連法も次々と制定されてきています。さらに、各法律に対応する施行令や規則、基準等が徐々に出始めてきたところです。最近では「国民の保護のための措置に関する法律」に関して厚生労働省が「同法律による救援の程度及び方法の基準」を公布適用しています。
 まだ、全文をしっかり読んだわけではないのですが、なんだか変な法案だなと思うことがいっぱいあるので、少しづつ考えていこうかなと思います。
 今日はまず基本法案である「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」から見ていこうと思います。

(目的)
第一条 この法律は、武力攻撃事態等(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態をいう。以下同じ。)への対処について、基本理念、国、地方公共団体等の責務、国民の協力その他の基本となる事項を定めることにより、武力攻撃事態等への対処のための態勢を整備し、併せて武力攻撃事態等への対処に関して必要となる法制の整備に関する事項を定め、もって我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。


これが目的である。明らかに「武力攻撃」を対象としたものであり、武器を持って攻めてこられたらという対外的武力に対するものである。独立国家として、こうした法律がなかったこと自体ある意味愕然とするものであり、独立国家としてはこうした規定はあって当然と言えるだろう。しかし、こうした「国民」保護法案がないまま60年を経過してしまった日本にとって、このような法案がいかに現実的でないかと言うことを痛感するのである。

 現実的ではないと感じる第1点は、この法律が国民「自衛」法ではなく、国民「保護」法であるということ。第1条に「武力攻撃事態等への対処のための態勢を整備し、併せて武力攻撃事態等への対処に関して必要となる法制の整備に関する事項を定め」とあるが、いかにも国民が一致団結して敵武力勢力に対抗するような印象を与えるものの、以下の条文を見ていくと国民が「自衛」対処策を講じようというのではなく、「誰かが」国民を「保護」する対処策を考えよという構成なのである。
 つまり、
「第三条 武力攻撃事態等への対処においては、国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない。」
とあるように、「誰かが」とは国・地方公共団体及び指定公共機関なのである。すでに、日本という国は国民は「保護」の対象であって、国体維持のための主体者ではないという構図ができあがっているのである。国民は自らの保護を全て国等の公共機関に委ねているという「甘え」の構図にほかならない。近年の、消防・警察・救急への通報件数の激増や、公共機関批判というのが、自己解決能力の低下と他力本願的姿勢が強まったためという報告があるとおり、すでに法律そのものがそうした構図でしか立案できなくなっているとも読み取れる。
ちなみに、敵武力勢力に対しては「自衛隊」が武力で対抗することが想定されているのだろうが、これまでの世界中の武力紛争の実態として、敵の前線にさらされるのは国民も同様であって、危急的な自衛のためには武力を行使する必要性も出てくることが想定される。もともと武器を保有しない日本ではあるが、敵から奪った武器での応戦や自衛隊に協力した対応なども当然あり得るであろう。そういった際に武器を所持すると、「銃刀法」で罰せられたりするんだろうか。そういった国民の「自衛」部分については全く想定されていな法のようだ。


(国の責務)
第四条 国は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つため、武力攻撃事態等において、我が国を防衛し、国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護する固有の使命を有することから、前条の基本理念にのっとり、組織及び機能のすべてを挙げて、武力攻撃事態等に対処するとともに、国全体として万全の措置が講じられるようにする責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、当該地方公共団体の地域並びに当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することにかんがみ、国及び他の地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する(指定公共機関の責務)
第六条 指定公共機関は、国及び地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、その業務について、必要な措置を実施する責務を有する。
(国と地方公共団体との役割分担) 
第七条 武力攻撃事態等への対処の性格にかんがみ、国においては武力攻撃事態等への対処に関する主要な役割を担い、地方公共団体においては武力攻撃事態等における当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産の保護に関して、国の方針に基づく措置の実施その他適切な役割を担うことを基本とするものとする。


 何だか変だと思いませんか。「国」の責務は、国の責任者であり、法律を定める立場であり、国防の業務に従する自衛隊を所管しているのだからわかる。しかし、その次の地方公共団体である。地方公共団体とは都道府県や市町村のことであり、そこに所属するのは単なる地方公務員。警察や消防関係職員を除けば日頃から書類を作ったり、スマイル受付業務を強要されているおじさん、おばさん達である。彼らに武力攻撃等の事態の際に何を期待するというのだろう。そもそも、都道府県においては、武力関係に関するセクションはないし、災害等の防災危機管理担当部局にしても職員なんて10人もいれば良い方だろう。しかも、2,3年の異動で常に新人状態であるのが現実ではないか。そんな体制の組織に武力攻撃等に対応しろと言う方が無理。確かに、地方自治法で「住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有する」ことになっているが、これはあくまで民法、行政法上でのこと。対外武力での不測の事態に対応したものとは、職員の人たちは誰も思っていないだろう。
 では、この法律では何を想定しているか。国の役人が現地に行くには時間も人でもかかるから、とりあえず現地の都道府県や市町村で対応してよ、というお決まりの縦割り行政以外の何者でもないのだ。確かに、これは地域住民や現場での即応性という点では一理あることはある。これが、地震等の災害なら現場即決定、即対応でこれでいいだろう。ところが、武力攻撃への対処となるとそうはいかない。災害が基本的に発生してしまえばあとは事後処理だけなのに対して、武力攻撃は日々刻々と変化するものであり、しかも今のところ武力対抗するのは自衛隊のみ。都道府県や市町村は日頃から自衛隊とは何の連携もないし、第一指揮権がない。地域住民を避難させる計画を立てるときには、当然のように武力支援や作戦との綿密な情報交換が必要なことは明らかだ。これがなされなかった例として第二次世界大戦沖縄戦で住民が戦争に巻き込まれて多量に死亡するという歴史がある。
 加えて言えば、地方公共団体の職員が、国民保護のために必要な措置を講じるためにはそれ相応の訓練が必要だろう。危機管理能力や軍事作戦にある程度精通していなければみすみす激戦地に国民を追いやることにもなりかねない。前面に出て指揮や保護措置に立つ場合は生命の危険にさらされる可能性だって高い。これほど、大変な業務に日頃から公務員批判され俸給減されてやる気のなくなっている彼らは、そんな能力も気概もないだろう。
 つまるところ、現場(前線)で対応すべき人員が、実態としては非戦力であるということだ。個人的には、アメリカの州軍に相当するような組織や自警団的な即応組織がなければ、これがたとえ防災活動であっても機能はしないと思っている。

 第3点目は、2点目に関係しているが、国や都道府県の「責務」などと言っておきながら、この法律では
(対処基本方針)
第九条 政府は、武力攻撃事態等に至ったときは、武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針(以下「対処基本方針」という。)を定めるものとする。
(事態対処法制の整備)
第二十二条 政府は、事態対処法制の整備に当たっては、次に掲げる措置が適切かつ効果的に実施されるようにするものとする。
 一 次に掲げる措置その他の武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護するため、又は武力攻撃が国民生活及び国民経済に影響を及ぼす場合において当該影響が最小となるようにするための措置
  イ 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、消防等に関する措置
  ロ 施設及び設備の応急の復旧に関する措置
  ハ 保健衛生の確保及び社会秩序の維持に関する措置
  ニ 輸送及び通信に関する措置
  ホ 国民の生活の安定に関する措置
  ヘ 被害の復旧に関する措置
 二 武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する行動が円滑かつ効果的に実施されるための次に掲げる措置その他の武力攻撃事態等を終結させるための措置(次号に掲げるものを除く。)
  イ 捕虜の取扱いに関する措置
  ロ 電波の利用その他通信に関する措置
  ハ 船舶及び航空機の航行に関する措置
 三 アメリカ合衆国の軍隊が実施する日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置

という具合に関連法案を制定しよう!という意気込み法なのだ。これらのいくつかはすでに法律として制定されているが、実際に運用するためには、施行令、基準規則、そして地方公共団体の実施マニュアル(計画書)、訓練が必要なのであり上級法案の制定だけでは機能しない。つまり、実際にこの法が機能していくためには、下級公共機関で体制やマニュアル(計画書)を作成し、幾度にもわたる訓練といった実行動が必要にもかかわらず、「三位一体改革」「地方財源委譲」などという施策を打ち出している最中、地方公共団体がそんなことを実現できる見通しはない。

 という訳で、本法を見るだけでも、いかに現実味がないかが見て取れる。革新系が言うように「自衛隊の民間財産強制収用」のための隠れ蓑ではないかという指摘もいささか見当違いとも言えないお粗末さである。これも、現時点での国体の体制においてであり、地方の独自性が打ち出されて、各都道府県で県軍や予備隊のようなものが創設できるようになったりしたら、俄然変わってくるのだろうけど。
 今後は関連法案に関して見ていくことにしていこうかな。


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最終更新日  2004年10月19日 15時02分05秒
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