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2008年11月01日
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カテゴリ: 戦争映画
2006 イギリス・アメリカ  監督:トニー・ビル
出演:ジェームズ・フランコ、ジャン・レノ、マーティン・ヘンダーソンほか
138分 カラー FLYBOYS


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 第一次大戦時のフランス戦線における、アメリカ人義勇兵パイロットの複葉機による戦いを描いたアクション系ヒューマンドラマ。実在の人物を題材にした物語らしいが、本作はかなりの脚色を加えているようで、伝記的要素を含みながらも娯楽作品に仕上がっている。モーションキャプチャーを多用した先駆け的作品で、鮮明な画像が印象的な作品に仕上がっている。

 時代は1916年から1917年頃を描いたもので、アメリカが中立的立場を取っている段階で、ドイツによって苦境に立たされているフランス空軍にアメリカ人義勇兵がパイロットとして参戦する姿を描いている。義勇飛行部隊はラファイエット戦闘機隊と呼ばれ、フランス人司令官のもと、多くのアメリカ人が加わっている。

 第一次大戦の複葉機空戦ものは、騎士道が残っているおおらかでロマン溢れる作品が多いが、本作もそういった雰囲気は残している。義勇パイロット同士の友情と、パイロット敵味方の意地が主題の一つにもなっている。そこにラブロマンスが若干加えられ、物語としてはかなりの膨らみを持っているといえる。だが、伝記的要素を持っているがために、描かれたイベント量がやや大目で、物語自体の進行速度がかなり速いのが気になる。従って、友情や意地、ラブロマンスといったあたりの描き方が浅く、心情的部分には入れ込むことが出来なかったのが残念。アメリカ人は様々な事情があって義勇兵に志願するのだが、その辺りの思いとか、悲壮感が弱すぎるので、数多く戦死するパイロット達の死があっけなく、心に残らないのだ。

 映像はモーションキャプチャーによる複葉機、そして戦闘シーンが一つの見所でもあるが、使われ方は今ひとつ的確とは思えなかった。機体自体の映像はなかなかリアルに良くできているが、空戦でのアクションや密集度合いが不釣り合い。かつ、機体のアップが多すぎて、空という空間の広がりを感じることができなかった。モーションキャプチャーを自慢したいのはわかるが、空戦シーンというものをもう少し検証して欲しかったところ。
 同様に、複葉機は英軍機ブリストル、ソッピースキャメル、ローヤルエアクラフトSE5a、ハンドレページ爆撃機、仏軍機ニューポール11、ニューポール 17、独軍機フォッカーDr.1、ゴータG.5爆撃機などが登場し、その機体はかなり忠実に描かれている。すでに実在しない機体を映像化するには最適の方法なのだが、やはり機動性がとても変。飛行シーンも空戦シーンも複葉機らしさがなく、フワフワとファンタジー映画のような感じがする。また、ドイツ軍機は下翼上にも十字マークが描かれているなど、ミリタリー的検証といった点ではかなりいい加減だとわかる。機体の再現がしっかりしているだけに、余計にそういう辺りのリアルさが目に付いてしまった。なかなか難しいところだ。
 なお、実機と思われるものが1機飛んでいて、ソッピースパップと思われる。

 基本は娯楽作品の範疇で考えるべき作品で、娯楽先作品としてはそこそこ楽しめる。ただ、先にも述べたが、物語が急ぎすぎなのとアクションがいただけない部分で、ちょっと中途半端な印象も残る。モーションキャプチャーについては、先駆的な作品として評価できるが、今後の使われ方について一石を投じるものでもある。

興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★★★★
感涙度★★


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)


1916 年アメリカはヨーロッパの大戦に中立的立場をとっていた。テキサスのカウボーイ、ブレン・ローリングスは映画で見たフランス義勇戦闘機隊に参加することを決める。同様に、ジェンセンは両親や恋人と別れて参加、パリの黒人ボクサースキナー、ニューヨークの坊っちゃんロウリーは父親に強制されて志願する。
 彼らはフランスのヴェルダンにあるラファイエット戦闘機隊に配属となり、一から訓練を開始する。すでに義勇兵として参加していたキャシディ大尉は既に同期が全員戦死し、新兵の彼らを冷たくあしらう。ライオンのマスコット「ウイスキー」を飼うキャシディ大尉は実戦経験のない彼らをバーに入れさせない。訓練中にローリングスとビーグルはガス欠で不時着し、売春宿で介抱される。ローリングスはそこで出会った娘ルシエンヌを好きになる。
 ローリングスらは1ヶ月の訓練を終え、新型機ニューポール17を与えられる。機体には先住民の絵が描かれ、好きずきにマークを書き入れる。ローリングスは牧場のマークを入れた。
 いよいよ初陣となり、ジャメの武器庫爆撃作戦支援に出撃する。ドイツ軍高射砲とドイツ軍戦闘機の迎撃を受け、初陣は散々な結果に終わる。トッドマンが戦死し、不時着したナンは敵の黒十字機「黒いタカ」に機銃掃射で殺される。ローリングスらは仲間の死に落ち込むが、キャシディ大尉はバーに初めて招き入れ騒ぐ。理解できないローリングスだったが、キャシディ大尉はこれが死者への偲び方だと言う。
 ローリングスはルシエンヌを探しに売春宿へ行くが、彼女は売春婦ではなく農家の娘だった。探し当てたルシエンヌと片言の英語で会話をするが、爆撃で死んだ兄夫婦の子供を育てる彼女は、パイロットとの恋に距離を置こうとする。
 ドイツ軍爆撃機がレヴォニー爆撃を行い、ローリングスらは追撃に向かう。ローリングスは3機を撃墜するが、弾詰まりで黒いタカに後を取られる。しかし、騎士道精神により見逃して貰う。この戦いでジャンセンが負傷、ポーターは1機を撃墜する。黒いタカはドイツ軍の撃墜王フランツ・ウォルフェルトだった。
 ビーグルは全く撃墜できず、本名ではなかったことが判明し、スパイではないかと尋問される。しかし実はアメリカで銀行強盗を行っていたためとわかり、笑って仲間に戻ることが出来た。また、ジャンセンは負傷がもとでパニック障害となり飛行できなくなる。
 歩兵部隊にドイツ軍機が来襲。迎撃したロウリーは1機を撃墜するも、危ういところを黒人のスキナーに助けられる。これまで黒人を奴隷と思っていたロウなーはスキナーと和解する。ビーグルは被弾して歩兵戦の昼間地帯に不時着。ローリングスは強硬着陸してビーグルを助けに行くが、助けるためにビーグルの手首を切断する。落ち込むローリングスにキャシディ大尉は「仲間を生かして返すのが俺たちの役割だ。友の仇を討つ。」と語る。
 ドイツ軍がルシエンヌのいるムーズ川を越えてくる。ローリングスは命令違反してルシエンヌと子供たちを救いに飛行する。危機一髪のところで彼女らを救い出すが、ルシエンヌは負傷してランスの病院に送られる。軍紀違反の罪に問われるローリングスだったが、逆に勲章を授与される。
 ドイツ軍はツェッペリン飛行船で爆撃にやってくる。迎撃したキャシディ大尉は黒いタカとの一騎打ちで被弾、そのまま飛行船に体当たりして果てる。ポーターも戦死する。キャシディはローリングに後を託す遺書を残していた。
 ローリングスはランスのルシエンヌのもとに行くが、ルシエンヌはイギリスに避難しようとしていた。戦争が終わったらパリで会おうとの言葉を残して別れる。
 再びジャメの弾薬庫爆撃作戦に参加する。ビーグルも義手で参加し、ハンドレページ爆撃機と合流し、爆撃を成功させる。だが、黒いタカにロウリーがやられる。ローリングスは弔い合戦として再び黒いタカのもとに出撃する。黒いタカとの一騎打ちをするが、押し寄せるドイツ軍機に劣勢となる。そこに仲間のスキナー、ジェンセンらが応戦に駆けつけ、ついにローリングスは黒いタカを仕留める。

 ジェンセンは終戦まで戦い、スキナーは戦後に米軍に入るが認められず、アメリカ初の航空便パイロットとなる。ビーグルはイタリアに残り、曲芸飛行団を創設。ローリングスはパリでルシエンヌと会えず、テキサスで大牧場を経営する。





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最終更新日  2008年11月01日 22時51分27秒
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