老人、みちこの指輪~
すっきりしました。ありがとうございました。

話は変りますが、賛否両論真っ二つのトリアー監督の映画「ダンサー・イン・ザ~」のレビュー、
いつかお願いします。こちらもスッキリしたい
作品、いまのところランク1です。(笑) (2008.06.22 01:49:26)

ラッコの映画生活

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2008.06.09
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カテゴリ: 日本映画
地下鉄(メトロ)に乗って
篠原哲雄
122min
(DISCASにてレンタル)

metro0.jpg

同じブログの Nさん が、「なんともな~?!」という映画で、 しかも悪い後味が後をひく とおっしゃるので、物好きな自分は見てみました。こういう、なんと言うか、非常に単純な大衆娯楽的日本映画を自分から見ることはないので、良いキッカケになります。浅田次郎の吉川英治文学新人賞受賞の原作小説は読んだことはないし、これからも読むことはないと思うので、原作と映画の関係については勝手な想像で書かせていただきます。

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まず映画を見始めて、正直面喰らいました。なぜって、東京地下鉄の協力はあるにしても、それなりにお金のかかっている映画だと思うのですが、1964年の商店街といい、敗戦直後の闇市の場面といい、そして何よりも演技の質自体がテレビドラマであって、映画のものではないんですね。大したこともない 『ゆれる』 が「映画」としてもてはやされる理由がわかりました。まあそんな悪口はやめて、ドラマの内容に入りましょうね。

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metro3.jpg

主人公の真次が続いて過去にタイムスリップして、終戦直後に闇商売をしながら飢えたガキの面倒を見る父、赤紙で満州に出征する父、満州の地での勇敢な父、そういう父の過去の姿に接し、また父が持っていた希望や夢がどのように実現され、また失われたか、そんな父の人生を知る。そして父という人を理解し、許せるようになるという、まあそんな物語だ。でもね、全然これが感動的でもなんでもないんですよ。あまりにもありきたりの人生観とか発想なんですね。原作は知らないけれど、少なくとも映画が描いて範囲では、そうなんです。森有正は、戦争体験を書いたエッセーや小説の著者の多くにとって、戦争が「体験」でしかなく深く「経験」になっていないと批判している。ただ「こういう本が書けるような変わった体験をさせてくれてありがとう」と言っているようだと。浅田次郎っていう人は、戦争体験者でもなんでもなくって、戦後1951年の生まれなのだけれど、これもその延長線上にあると言ってもよい。実は非常に甘っちょろい人生観を、戦争を使って偉そうに見せているだけに過ぎない。散文的事実としてはともかく、人間としては父の実存的苦悩なんて全く描かれていない。これでは映画を見せられている自分は、なんらこの父・小沼佐吉に共感が出来ない。だからタイムスリップで知って父を理解し許すという主人公・真次自体が更に薄っぺらになってしまう。

metro4.jpg

(以下ややネタバレ含む)
真次が妻子ありながら愛人がいるということ自体は別に良いのだけれど、それが原作の浅田のものか、脚本家や監督のものかは知らないけれど、男のみに許されるような古い男女観が基礎にある感じなのはちょっと気分が悪かった。まあそれはそれとして、この真次が実に愚鈍に描かれている。最初の方に愛人・みち子から母のオムライスのこと聞かされているのに、最後の方のみち子の母との対面のシーンで、オムライスが出てきても(ケチャップも)真次は何も気付かない。佐吉が生まれてくる娘の名前は「みち子」にしようって言って始めて気付く。これってba-kaなんじゃないかと思う。そんな真次だから増々もって映画全体が安っぽくなる。

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思うに映画として脚本が駄目駄目なのかも知れない。原作は恐らく長い小説だろうから、何に重点を置いて「一つの映画」にするかという感覚が欠如しているんでしょう。岡本綾って人ははじめて見たけれど、彼女だけがなかなか良い演技してましたね。みち子のタイムスリップは原作にはないらしいけれど、あの自分をお腹の中に妊娠した母との対面を軸に、この映画では常盤貴子がイモ演技していたこの母「お時」の生き方(アムールへの愛)、みち子の真次への愛、この辺を中心にドラマにしていたら面白かったかも知れません。というかそういう映画なら見てみたいです。

それにしてもあの場面でのビールとオムライス代はどうやって払ったんでしょうね?。

metro6.jpg




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Last updated  2008.06.21 03:03:46
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爆!ビールとオムライス代。  
なんでも、原作を読んだ友人の話だと・・
原作はみちこが主人公のようです。どうりで・・
それを聞いてそんな気がしました。
確かに常盤さんの演技は相変わらずオイモちゃん
でしたね。(笑)
私が謎だったのは、主人公のために・・
あの優しい母までも巻き込むほどの~あの選択を
する前、指輪をポッケに入れるじゃないですか・
あれは、自分の存在のアピールなのか、でも
存在がなくなってしまったら、主人公もあれを
みて何も感じなくなってしまうし・・
なので、なんだか意味深ですが意味のない描写の
ように感じました。主人公がラストに指輪を見つめ
ている時にすでに記憶を失っているのか、覚えて
いるのかも、あの浅い描写でつかめなかったです。

日本映画のレベルを痛くも感じてしまいました。
レビューありがとうございました。
なんだか、スッキリしました!!
あの・・先生の意味ってあるんですかね?旅の
案内人ですか?(笑)長男の実の父親なのかな・・
などとも考えたのですが~ (2008.06.21 07:41:27)

Nobubuさん  
racquo  さん
>原作はみちこが主人公のよう

最後の方にも書いたように、納得です。

>指輪をポッケに入れる

ファンタジーだから理屈を追求しても限界があるけれど、
『転校生』のような階段のシーンから現代に戻ったときは、
みち子の行為を真次は嘆いているから、あの時点では憶えていた。
でも階段を昇ってバー・アムールに行く前に、
既にみち子には決心があるわけで、
その時の彼女の心理(心残り)は、仮にそれをしてしまって、
現代に戻った真次に自分の思い出がなくなっている寂しさ。
だから仮に真次の記憶から自分が消えたとしても、
せめて物として何か自分の跡を真次に残したかったのでしょう。

>旅の案内人ですか?

あれは死者でしょう。先生が「自分には時間がいくらでもある」
と言うのもそういう意味から理解できます。
真次の父・佐吉は重病で生死をさまよい、
既に死者である先生と霊界で交流する。
父の心残りは、自分から何も真次に話さなかったのだけれど、
このまま語り合うこともなく、受け入れられないまま死ぬこと。
佐吉が頼んだか、先生がそれを察し、
Nobubuさんもおっしゃる通り一種の使者として、
真次の前に現れ、タイムトリップに誘ったのでしょう。

この映画の中で唯一評価できるセリフは、お時の、
「親は子供に自分の幸せを求めたりはしないものよ」でした。
これは理想論であって、現実はほぼ100%真逆かも知れない!!。

(2008.06.21 16:07:49)

そうですね、スッキリです。  

Nobubuさん  
racquo  さん
>映画「ダンサー・イン・ザ~」のレビュー

ですか。このブログを始めたのが2006年末なので、
それ以前に見て、その後再見していない作品は抜けてしまっています。
先日『ドッグヴィル』を見たけれど、『マンダレイ』『奇跡の海』も
見ようと思っているので、『ダンサー』もこの機会にまた見ましょうかね。
この映画は、映画も面白いけれど、賛否両論の、
特に「否」の方のレビューを読んでいると、実に面白いです。
あとは『9ソングス』ですか。これも見ないとね。

(2008.06.22 22:07:07)

Re:『地下鉄(メトロ)に乗って』篠原哲雄監督(2006日本)(06/09)  
aire_rino  さん
TBありがとうございました。
珍しく酷評したのを思い出しました(笑)
これを書いた人の人生経験が垣間見えてしまう恥ずかしさを
なぜ私が感じなきゃいけないのか・・・不思議な映画でした。

横レス失礼します。
「ダンサー・イン・ザ~」と「奇跡の海」は好き派です。
ラッコさんがご覧になったらレビューのTB頂きに来ますね。 (2008.06.23 15:47:56)

aire_rinoさん  
racquo  さん
>珍しく酷評したのを思い出しました(笑)

どこをとっても、それしかないでしょう!、って(笑)。

>書いた人の人生経験が垣間見えてしまう恥ずかしさを
>なぜ私が感じなきゃいけないのか

こういう恥ずかしさって何なんでしょうね。
他人の恥をなぜに恥ずかしいと感じるのか?。

『奇跡の海』(←なんて邦題、これも恥ずかしくなる)は
近々書けそうですが、『ダンサー』は再見してから書くか、
そうとうに不確かな記憶で書いてしまうか。

(2008.06.23 21:28:38)

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