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2003年04月21日

今日は二ールさんの英会話の日である。

いつもの通り、私が新聞・雑誌から記事をピック・アップして、内容を要約してしゃべり、それから議論する形を取った。

今日はThe Financial Timesに「日本の官僚制」についての記事が載っていたのを見つけたので、それをトピックに選んだ。

今日、二ールさんと議論したことで興味深かったのは、「族議員」という単語の話をしたときである。

「族議員」：中央省庁の政策決定とこれに関係する業界の利益保護に強い影響力をもつ国会議員のこと。

具体的には、族議員とは、
（１）主に自民党の国会議員で、
（２）当選回数を重ねるうちに、特定分野の政策に精通するようになり、
（３）省庁の法案成立と業界の利益保護に協力し、

という政治活動をする議員のことをいう。

財政族、国防族、文教族、郵政族、外交族、社労族（厚生族、労働族）、建設族、商工族、運輸族、農林族、水産族など分野ごとに名前がつけられている。

族議員については、その専門的な知識、人脈でのプラス評価よりも、業界との癒着体質など、マイナス面のほうが目だつ。

橋本内閣や、小泉内閣における行政改革論議の過程では、中央省庁と結び付いた自民党の族議員が行政改革に強い抵抗を示したのはご存知の通りである。

さて、この「族議員」。
英語では"political tribe"という。
「政治的な部族」という意味だ。

この単語は、「族議員」の英語訳として、一般的に定着しており、わたしも何の疑問もなく使った。

ところが二ールさんから指摘があった。
"tribe"という単語には、"primitive"という意味が含まれる。
つまり、「原始的な」、とか「未開の」という意味だと。

例えば英国で"tribe"を使う場合というのは、「マンチェスター・ユナイテッド族」とか「リバプール族」とかいう、サッカーのサポーターを表現する時に使うということだった。

要するに、ニールさんの指摘は「民主主義国の日本の国会議員を表現するのにtribeというのは正しいのかな？」ということだった。

私は考え込んでしまった。
確かに「族議員」という言葉にはマイナスの意味合いが強いものの、「原始的」とか「何も考えない」というのはいかがなものかと。

族議員には、選挙民や業界の意向をくみ上げて実現するという、ある意味民主主義的な一面があるのは無視できないだろう。

しかし、日本の国会議員は「原始的」で、日本は民主主義が「未開」という認識からこの訳が誕生したのなら、本当にこれは適正な訳語なのか、考え直す必要があるのかもしれない。

私たち、外国にいる研究者は、ある言葉の訳語に使われる単語の本来持つ意味をしっかり理解し、的確に使うことに神経を使わなければならない。

そのことの大きな意味を再認識させてくれた二ールさんの指摘でありました。

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