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2004年10月15日

さて、今日は大好評（？）

「北方領土視察は小泉が仕掛けた罠」。

それでは、早速行ってみましょー！
まずはこの記事から。

『北方領土：首相が海上視察

　小泉純一郎首相は２日、海上保安庁の巡視船「えりも」で海上から北方領土を視察した。現職首相としては３人目の視察で、海上からの実施は初。来年初めに予定されているロシアのプーチン大統領訪日を控え、領土問題と平和条約締結問題に取り組む姿勢を国内外にアピールする狙いからだが、ロシア側は不快感を表明している。

　首相は同日午前１０時半ごろ、巡視船に乗り、北海道根室市の花咲港を出港した。巡視船は北海道と北方領土の中間線付近を航行し、正午前に歯舞諸島沖を通過。午後１時すぎ、国後島との距離十数キロまで近づいた。首相が甲板から双眼鏡で歯舞諸島を視察していた時に、ロシアの監視船が巡視船の右舷前方約４キロまで近づき、「航行上の安全を祈る」との内容を意味する旗を掲げた。

　首相は記者団に、「霧がかかっていた。もっとよく見たかった」と語った。

（9月3日毎日新聞）

うん。

この小泉首相の北方領土視察は、
マスコミからは

「支持率を上げるためのパフォーマンス」

と決め付けられたようで、
大した話題にもならず終わっている。

私も最初そうかなと思った。

でもね、これまで
「かみぽこ政治学」や
「外交･国際関係」を

私がつくづく思っていることなのだけど、
政治に偶然はなく、
特に小泉政治に偶然はない。

なんかあるはずだ。
単なるパフォーマンスなんかじゃなく、

必ずなんらかの意図があるはずだ。

ずっと考えていた。
そして、ふっと思いついた。

「北方領土問題」とは「領土問題」

だったのだと。。。。
それでは、今からそれを書いてみたいと思う。

皆さんは、北方領土問題の相手国、
ロシアのプーチン大統領にとって、
最も頭の痛い問題はなんだと思いますか？

言わずと知れた、チェチェン問題である。

9月にロシア南部・北オセチア共和国の首都
ウラジカフカス近郊ベスランで起こった中学校襲撃事件

「ベスランの悲劇」。

なんとも大変な事件が起こってしまったのだが、
多くの子供たちを巻き込んだ
この事件の実行犯は、チェチェン武装勢力。

チェチェン問題は、
プーチンにとって、
とにかく頭が痛い。

どう頭が痛いかを、
簡単に整理してしまうことにしよう。

プーチン大統領は、
チェチェンに対して強硬な態度に出ることで、
ロシア国内のナショナリストを抑えている。

同時に、ロシア国内に存在する、
少数民族（「チェチェン共和国」のように、
「なんちゃら共和国」。。。という形で存在している）
のロシアへの反乱も起きないように抑えつけている。

基本的に、プーチン･ロシアは国内を
「恐怖政治」で抑えつけて成り立っているので、
恐怖のない政治を見せてしまうと、
これまで抑えつけていたものが動き出して、
収拾がつかなくなってしまう。

例えば、チェチェンに対して
少しでも妥協の姿勢を見せようものなら、
あっという間に他の少数民族からの反乱が
ドミノ倒しのように広がってしまうだろう。

まあ、ものすごく簡単に整理してしまったが、
これが私のプーチン･ロシアに対する基本認識である。

さて、賢明な皆様は、
私が今日何を言いたいと思っているか、
そろそろお気づきでしょう？

「小泉の仕掛けた罠」シリーズで
私が言っていることをまとめると、

小泉が一見敵に攻撃材料を与えるような行動をとって、
敵が小泉に対して攻撃を仕掛けようとすると、
敵は小泉の行動によってヒートアップした内部からの突き上げと、
敵自身が実は有している小泉に対する弱みとの板ばさみになって、
急激にその力を失ってしまう、

ということである。
これを私は「小泉が仕掛けた罠」と言っている。

小泉首相の靖国神社訪問は明らかにそう。
外国人地方参政権付与の問題も、
実はそうではないかと私は思っている。

そして、今回の小泉首相の北方領土訪問も、
小泉がプーチン･ロシアに対して仕掛けた罠。

なぜなら、先に述べたように、
プーチン・ロシアが最も頭が痛い問題である、
チェチェン問題とは、
突き詰めると「領土問題」である。

そして、北方領土問題とは、
まさしく「領土問題」なのだから。

チェチェン問題で
プーチン･ロシアが苦慮している時に、
いつもの涼しい顔で

「ちょっと見てきます。」

って感じで、
北方領土を観に行ってしまった小泉首相。

（ほぼ同時にベスランの悲劇が起こってしまったのは、
さすがにあまりの「偶然」でびっくりだが。。。）

まあ、さすがにプーチン大統領、
この小泉首相の罠に簡単には乗らず、
静観を決め込んだが、
内心は間違いなく穏やかではないだろう。

小泉首相のこの行動は、
プーチン大統領に対して、

「俺はあんたが困っている問題が何かを知ってるよ。」

ということを伝え、
来年には来日が予定されるプーチン大統領を、
心理的に揺さぶることを狙った、
とは言えないだろうか。

「俺は甘くはないよ。
交渉にはきちんと『おみやげ』を持って来いよ。」

これが小泉首相のプーチン大統領へのメッセージではないか。

逆に、プーチン大統領は、

「こんな時に余計なことをしやがって。。。」

と思っただろうし、

「小泉はこれまでの日本の首相と違って、
交渉相手として手ごわい。」

と警戒せざるを得ないだろう。

日露外交では、
北方領土問題を最優先課題とすることを
政府は強調しているようだが、
実際には、日本にとって重要なのは、
石油や天然ガスなどのエネルギー源の確保であろう。

そしてロシアの狙いは、日本からの良質の外貨の獲得であろう。

シベリア原油パイプラインの敷設については、
中国と日本が争っていたわけだが、
日本提案のナホトカルートを優先する意向を
ロシア側が示している。

しかし、これに関しては、
中国側も巻き返しに出ているようで、
日本としてもきちんと交渉しなければならない。

この交渉において、北方領土は
有力な交渉カードとして使えそうだ。

もし、ロシアが中国側に有利に話が進みそうになれば、

「そうですか。じゃあ、北方領土問題を
本気で交渉に持ち出しますよ。
持ち出されたらそちらはお困りでしょう？

北方領土を我々が持ち出したら、
交渉をやめますか？

外貨が、経済援助がほしいでしょう？

北方領土を我々が持ち出しても、
交渉を続けますか？

ナショナリストが騒ぎ始めますよ。
『弱腰じゃないか』って。

チェチェンも騒ぎ始めますよ。
『じゃあ、我々も独立だ』って。

そして、民族独立運動のドミノ倒しが起きますよ。

大人しく、我々の要求の線で、
交渉をまとめられたほうが
よろしいのではないですか？」

というふうに日本側は話ができるのだ。

少なくとも、日本側が
こんな風に北方領土を使ってくるんじゃないかと
ロシア側を心理的に追い込む効果は十分にある。

ちなみに、プーチン大統領来日に当たって、
小泉首相はこれ以外にももう１つ、
仕掛けをしているように思われる。
それは、小泉人事の神髄：町村信孝外務大臣でご紹介した、

「内閣改造」

にある。

町村信孝外務大臣が
北海道５区選出であること、
エネルギー問題を担当する
中川昭一経済産業大臣が
北海道１１区選出であることに
注目してほしい。

2人とも北海道選出の国会議員であること
は、単なる偶然ではないかもしれないよ。
この2人、

ロシア→鈴木宗男・自民党北海道連・地元業者→外務省

で、ガチガチに出来上がっている利権構造を、
徹底的に破壊する任務を密かに帯びていると
推測できないだろうか？

まあ、その利権構造がどんなものかは、
私もよくわからないけれども。

この問題は鈴木や外務省ノンキャリの
トカゲの尻尾切りで終わってるわけだけど、
実際には何も解決したわけじゃないからね。

推測としてはありえる話じゃないかなと思う。

少なくとも、
プーチン・ロシアはそう警戒するだろう。
交渉に当たっての心理的効果は少なくないように思う。

プーチン大統領来日に当たって、
小泉首相は涼しい顔をしながらも、
いくつもの仕掛けをして、
プーチンを激しく挑発しているようだ。

小泉純一郎VSプーチン。

日露交渉は千両役者同士の激突で、
過去にないおもしろいものになるかもしれませんね。

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